新刊紹介:「経済」2021年9月号(特集:中国と日本)(副題:浅井基文ブログ記事(中国関係)をこの機会に「多数」紹介する)(追記あり)

「経済」9月号について、俺の説明できる範囲で簡単に紹介します。
◆巻頭言「研究者の雇止め」
(内容紹介)
 赤旗の記事紹介で代替。
ストップ理研雇い止め/ネットワークが集会2020.11.10


◆随想「学問・思想の自由と日本学術会議」(本間慎*1
(内容紹介)
 日本学術会議会員の任命拒否について改めて菅政権が批判されています。
参考
主張/学術会議人事/政治介入を撤回し任命直ちに2021.4.26
6人の即時任命要求/日本学術会議が会見2021.5.28


世界と日本
中国共産党の100年(平井潤一)
(内容紹介)
 今年で結党(1921年)から100年の中国共産党について「日本共産党中国共産党には批判的)の準機関誌」らしく、香港問題、ウイグル問題などをネタに批判がされています。

【参考:日本共産党の中国批判】

共産党の名に値しない中国の党 国際世論で包囲すべきだ | | 笠井亮 | 毎日新聞「政治プレミア」笠井亮*2衆院議員)2021.6.17
 日本共産党は中国の人権侵害や覇権主義については断固反対、断じて許されないという立場だ。香港では1国2制度を壊し、新疆ウイグル自治区では大規模な人権弾圧を行っている。
 中国の政権党は共産党を名乗ってはいるが、こうした行動は、およそ社会主義とは無縁であり、共産党の名に値しない。

赤旗
中国問題/国際法に基づく冷静な批判こそ重要/『文芸春秋』志位氏インタビューに反響2021.4.17
中国共産党100周年/志位委員長がコメント2021.7.2


◆韓国「週52時間の上限制」(洪相絃)
(内容紹介)
 原則「週52時間の上限制」が制定された物の「日本の変形労働時間制や36協定」のような「例外規定がある」ため、上限制が機能していないという批判がされています。
 ちなみに例外規定とは「突発的事態への対応、生命保護の必要がある場合は上限規定が撤廃される」というもの。これを「突発的事態、生命保護の必要=コロナ禍」とし、「今はコロナ禍だから、常に例外規定が該当する」という無茶苦茶な拡大解釈を企業が強行したあげく、与党もそれを容認しているとのこと。


特集1「2021年・日本の改革課題」
◆菅政権「強権」性は脆さの裏返し(山添拓*3
(内容紹介)
 山添氏の言う「菅の強権」とは主として「日本学術会議会員任命拒否」と「土地利用規制法強行採決」ですが詳細な紹介は省略します。
 一方で山添氏は「入管法改定案」が廃案に追い込まれたことを「脆さの象徴」としています。

参考
赤旗
入管法改定案廃案へ/私たちの声で政治動いた/国会前2021.5.19
歯止めない住民監視/山添氏が反対討論 土地利用規制法が成立2021.6.17


◆「淘汰」ではなく公正取引実現で中小企業の生産性向上(松丸和*4
(内容紹介)
 赤旗の記事紹介で代替。
下請け取引改善迫る/衆院委 真島氏に経産相「重要」2017.3.14


ジェンダー平等へ日本の政治と社会が変わるには(大沢真理*5
(内容紹介)
 架空問答方式で書いてみます。架空問答ですので「大筋で内容は正しい」と思いますが、一言一句同じ訳ではありません。

聞き手
 日本のジェンダー平等において何が重要かと思いますか?
大沢
 私個人は二つ重要視していることがあります。一つは夫婦別姓。もう一つは「労働分野での男女差別是正」、特に「同一価値労働同一価値賃金」です。「労働分野での男女差別是正」については拙著『企業中心社会を超えて』(2020年、岩波現代文庫)で論じていますのでご覧頂ければ幸いです。『企業中心社会を超えて』の初版は1993年(岩波書店)で、それを今回「1993年(当時は宮沢*6、細川*7内閣)から現在に至るまでの状況変化」を加筆訂正した上で文庫化しましたが、正直「労働分野での男女差別」は(特に欧米諸国と比べて)どれほど是正されたのかという思いを感じました。
 ちなみに「話が脱線しますが」ジェンダー平等と言う言葉が日本で広く使われるようになったのは、私の理解では例の「森*8・前五輪組織委員会会長(元首相)」の「女性が多い会議は時間が長い」発言以降です。あれが「五輪の精神であるジェンダー平等に反する」という取り上げ方をされたことで「ジェンダー平等」と言う言葉が一気に広まった。それ以前は自民党右派議員などはジェンダー平等と言う言葉を「LGBTの権利拡張につながる」として明らかに毛嫌いしていたと思います。そして森発言を契機に「五輪に出場するLGBT選手」についてもわずかながら日本で報じられるようになった。そういう意味では森発言は「怪我の功名」ではあるでしょう。
 あるいはコロナ禍において、自民党サイドからも「生理の貧困」と言うことが言われるようになった(元々は野党側の主張ですが)。そういう意味では私個人は「過大評価はできない」ものの、菅政権も「政治的に追い詰められれば」ある程度はジェンダー平等の方向に動かざるを得ないとは見ています。


◆「グリーン・リカバリー」戦略が拓く日本経済(明日香壽川*9
(内容紹介)
 明日香氏の論文紹介で代替。
だれがグリーン・リカバリーを邪魔しているのか - 明日香壽川|論座 - 朝日新聞社の言論サイト2020.7.16
グリーン・リカバリーとグリーン・ニューディール:その財源および気候正義との関係 | 連載コラム | 自然エネルギー財団2020.7.28


◆地方再生をめぐる対抗軸(関耕平*10
(内容紹介)
 赤旗の記事紹介で代替。
語ろう日本共産党/地方再生 四つの転換/住民の願いかなう政治に2019.3.3


◆財政民主主義の危機と再生の課題:コロナ財政の名のもとに財政規律を破壊(梅原英治*11
(内容紹介)
 国会審議での野党の批判を恐れて、補正予算を組まずに「多額の予備費」で処理したがる菅政権を「コロナ財政の名のもとに財政規律を破壊」と批判しています。なお「再生」の案としてはいろいろありうるでしょうが、梅原氏は(多額の予備費に限らず、モリカケ桜を見る会など法違反の疑いのある行為一般に該当する改善案ですが)

・米国の特別検察官制度(ウォーターゲートなど)のような制度の実現
・公文書管理制度、情報公開制度、行政訴訟制度の改善
会計検査院の機能強化

などを考えられる案として提示しています。

参考

予備費10兆円認めない/2次補正 野党国対委員長が確認2020.6.4
 日本共産党と、立憲民主党、国民民主党などの共同会派は3日、国会内で野党国対委員長連絡会を開き、政府が第2次補正予算案(約32兆円)に10兆円もの予備費を盛り込んでいることについて、「財政民主主義に反し、断固認められない」との認識で一致し、政府・与党側に予備費の大幅減額を求めることを確認しました。
 日本共産党穀田恵二国対委員長は同日の記者会見で、「10兆円もの予備費は、『国の財政は、国会の議決に基づいて』行うとする憲法83条から見て問題だ」と指摘。「国民の代表である国会が税金の使い道もチェックせずに政府に白紙委任することは国会の自殺行為だ。立法府の役割が問われる問題だ」と強調しました。

予備費10兆円/予算化し3次補正を/田村政策委員長が主張2020.6.6
予備費活用 国会に示せ/政府・与野党連絡協 田村政策委員長要求2020.11.10

https://www.jiji.com/jc/article?k=2021032301009&g=eco2021.3.23
 政府は23日までに、2020年度の新型コロナウイルス対策予備費のうち計9兆1400億円余りの支出を決め、予算枠の95%を消化した。政府の裁量で機動的に使用できる予備費はコロナ対策の切り札とされ、21年度予算案でも5兆円が計上されている。ただ、国会の審議を経ずに支出できる予備費の巨額計上は、財政の透明性を損なう懸念もある。
 政府は20年度第1次・2次補正予算で11兆5000億円に上る巨額のコロナ対策予備費を確保。3次補正で9兆6500億円に減額したが、リーマン・ショック後に計上した予備費(1兆円)をはるかにしのぐ規模だ。


◆座談会『困窮するシングルマザー、若者、学生』(寺内順子*12、稲葉美奈子*13、村田くるみ*14
(内容紹介)
 ネット上の記事紹介で代替。
【シンママ大阪応援団】

https://mainichi.jp/articles/20170825/ddn/013/100/032000c2017.8.25
 生活保護率や就学援助率が全国ワーストクラスの大阪で、母子家庭を物心両面で支える市民グループ「シンママ大阪応援団」が発足して2年になる。かじを取るのは、長年貧困問題に取り組んできた民間団体「大阪社会保障推進協議会」(大阪社保協、大阪市)の事務局長、寺内順子さん(57)。これまでの活動で見えてきた、シングルマザーのニーズとは。

主張/ひとり親家庭/貧困を防ぐ対策と支援を急げ2020.6.10
 シングルマザー世帯からの生活相談に応じ、毎月食品などを届ける活動を行っている大阪のシンママ応援団には、「学校休校で給食もなく、お米がなくなるところだった」「仕事がなくなり、次も見つからない」「できればもう少し食料を送っていただけないか」など、今日、明日、食べるものにも事欠いているとの悲鳴が寄せられています。応援団は、「このところママたちから“死”という言葉がよく出される」「公的な支援が急務だ」と訴えています。

保険証ない外国人は「医療費2倍」 広がる訪日客価格:朝日新聞デジタル2021.4.16
 健康保険証のない外国人の方の医療費は、全額負担のさらに2倍になります。
 大阪市で暮らすチュニジア人の女性(25)は昨年8月、病院の受付でそう告げられ、驚いた。だが、こうした医療機関は今、全国的に珍しくない。いったい、どういう事情なのか。(玉置太郎)
◆難民申請中の妊婦に37万円請求
 女性は2019年末に難民申請のためチュニジアから1人で来日し、その後に妊娠がわかった。日本語がほとんど話せないため、昨年8月、暮らしている大阪市内のシングルマザー支援団体を頼った。
 区の保健福祉センターに紹介され、妊婦健診のため訪れた大阪市総合医療センターの受付で、「医療費は2倍」と言われた。
 支援者が用意した通訳機を使って健診を受け、9月に同病院で出産した。帝王切開による出産で子どもに医療措置が必要になり、費用は予想以上に膨らんだ。
 例えば、子どもの入院費など約17万円は、親が公的医療保険に加入していれば、通常は2割負担の3万円ほどで済む。だが、女性は約37万円を請求された。診療報酬点数1点につき、通常は10円(税込み11円)で計算するところ、女性は20円(同22円)とされていたからだ。
 外国籍であっても3カ月を超える在留資格があれば住民登録ができ、公的医療保険への加入義務が生じる。しかし、女性は当時、法務省から3カ月の在留資格しか認められておらず、保険に加入できなかった。貯金はなく、医療費は支援団体が立て替えた。
 後日、子どもに保険証が与えられ、大阪市の子ども医療費助成で大半は返金された。だが、支援するシンママ大阪応援団の寺内順子代表理事は「受付で医療費2倍と言われれば、受診をあきらめる人が多いのではないか」と憤る。

【高等教育無償化プロジェクトFREE】

困窮学生の3割が国の給付金受けられず 学生団体「支援が不十分」:東京新聞 TOKYO Web2020.7.15
 新型コロナウイルスの影響で困窮する大学生らに10万~20万円を給付する国の支援策について、学生団体「高等教育無償化プロジェクトFREE」のメンバーが14日、文部科学省で記者会見し、申請した学生の約3割が給付を受けられなかったとのインターネット調査結果を公表し、「支援が不十分だ」と訴えた。

学費無償化 踏み出す時/FREE 学生と国会議員が討論/吉良氏参加2021.4.28
 日本の高等教育をめぐる実態について学生と国会議員が語りあうトークセッションが27日、参院議員会館で行われました。全政党から国会議員・代表者が参加し、高等教育無償化などについて討論しました。
 主催は、高等教育無償化プロジェクトFREE。総合コーディネーターで中央大学生の村田くるみさんは、「コロナ禍で経済的理由だけではなく精神的理由で退学を検討する学生も増えてきている」と訴え。誰もが経済的理由で学びを諦めることがない社会にしたいと語りました。


◆国際基準から見た老齢年金(筒井晴彦*15
(内容紹介)
 1967年の障害、老齢及び遺族給付条約(第128号)など「老齢年金についての国際条約」を日本が必ずしも批准していないことを批判。早急に批准すると共に、批准前にも条約の内容に従った措置をするように求めている。


◆菅*16政権を終わらせ、新段階に入った改憲策動に終止符を(渡辺治*17
(内容紹介)
 バイデン*18政権誕生後も、バイデンが対中国政策ではトランプと路線があまり変わらず「台湾に武器を売却する」など中国との対立を深め、また米国のそうした「反中国」に助長された台湾・蔡英文政権が反中国路線を実行するため、残念ながら「米国の圧力による九条改憲→台湾有事介入」という「九条改憲*19の危機」は基本的に変わっていない*20というのが渡辺氏の見方です。
 従って、この「渡辺説」の立場に立てば、「米国政府や台湾政府が対中国政策を改めない限り」、九条改憲の危険性はやまないということになり、「米中対立、中台対立をどう解決するか」が重要なテーマになります。菅政権打倒(政権交代しないまでも菅退陣だけでも意味があるとしている)や、政権交代は重要ではあると「野党共闘支持」渡辺氏も主張するものの、それだけでは問題は解決しない(逆に言えば菅政権のママでも米中対立、中台対立が解消すれば改憲の危機がある程度遠のく)という「菅下野、政権交代については過大な評価はしない、やや悲観的(?)な結論」が渡辺論文の結論となります。特に渡辺氏は「改憲国民投票法案改定での立憲民主党の裏切り(共産や市民団体に相談もなく、自民と合意)」を共産党支持層として重要視しており、その点では「立憲民主党と自民の野合」による「改憲」の危険性すらあり得ると危惧しているようです。
【2021.9.5追記】
 なお、「菅退陣表明前」に書かれた渡辺論文と違い「退陣表明後」に書かれていますが、岸田文雄氏と石破茂氏の「台湾有事」発言|コラム|21世紀の日本と国際社会 浅井基文のページも、渡辺氏同様「バイデンや蔡英文が反中国姿勢を改めない限り」、そして「ポスト菅」がそうしたバイデン、蔡に距離を置かず、「反中国に同調する」ようであれば改憲の危機は続くとみているようです。


特集2「中国と日本」
◆中国の海洋進出にどう対応すべきか(川田忠明*21
(内容紹介)
 赤旗の記事紹介などで代替。
日本共産党の中国批判】
 なお、中国を批判する日本共産党(党平和運動局長の川田氏を含む)も「ウヨが主張する軍事対応」には批判的なことは指摘しておきます。
 また赤旗や川田論文も指摘していますが、1)南沙諸島問題で中国と対立するフィリピンやベトナムもAIIBや一帯一路に参加しており、中国との関係は対立オンリーではないこと、2)中越戦争(1979年)では軍事的に激突*22した中国とベトナムが現在はあのような軍事衝突はしないこと、3)「国際的批判」を考えれば、南沙諸島以外(尖閣や台湾)でも中国が「軍事侵攻」に打って出る可能性は低いことも指摘しておきます。
国際法に違反した中国海警法施行に抗議し、撤回を求める│声明・談話・発言│日本共産党の政策│日本共産党中央委員会2021.2.22
主張/中国の海警法/覇権主義強める法は撤回せよ2021.2.24
中国は国際法に違反/伊藤氏 尖閣諸島で覇権主義的2021.4.30

【中国批判への異論】

浅井基文ブログ『日本共産党の綱領改定問題:中国批判』(2019.11.10)から一部引用
 南シナ海における中国の行動に関してまず踏まえるべき事実関係は、いわゆる九段線に関する法律問題はさておいて、九段線内の島嶼に対する中国の主権に関しては広く国際的に承認されてきたという事実です(私たち日本人が銘記すべき事実は、1952年の日華平和条約において、日本軍が占領したこれら島嶼に対する権利を放棄したことを「確認」したことです)。ヴェトナム以下の沿岸諸国がこれらの島嶼に対する領有権を主張しはじめたのは、南シナ海に豊富な石油・天然ガス資源が埋蔵されているというECAFE*23の報告が出た1970年代以後のことです。当時の中国は文化大革命の混乱のさなかにあり、ヴェトナム等の行動をチェックする余裕も能力もなかったのです。
 以上の事実関係を踏まえるものであれば、南シナ海における中国の行動を「覇権主義」と断じることはまったく誤りであることは明々白々です。


◆日中経済関係の現状と課題(井手啓二*24
(内容紹介)
 『米国がくしゃみをすると日本は風邪を引く』という俗語が以前ありましたが、今や『中国がくしゃみをすれば日本は風邪を引く』と言ってもおかしくないほど、「日本企業の中国ビジネス」が重要という話です。このような状況下、産経のような「反中国路線」は全く非現実的です。


◆コラム『中国の農村戸籍都市戸籍』(高橋孝治*25
(内容紹介)
 農村戸籍(あるいはそれが一因とされるいわゆる『農民工*26』)の問題については(かなり中国に対して否定的な描き方でしたが)、ゴルゴ13など「日本のマンガ」でネタになったこともあるのでご存じの方もいるかもしれません。
 最近小生が読んだ『警部補ダイマジン*27』(リチャード・ウー*28原作、コウノ・コウジ絵、週刊漫画ゴラク連載中)でも(かなり中国に対して否定的な描き方でしたが)農村戸籍がネタになっていました。ええ、話が脱線しますが、小生もくだらない人間なので、そういう「ゴルゴ13」などの「くだらない娯楽マンガ」も普通に読みます。
 なお、農村戸籍(あるいは農民工)については中国政府も「問題があること」を理解しており、近年、一定の改革は行っています(例えば、赤旗どうする農村戸籍/中国・全人代で論議(2008.3.14)参照)。こうした改革をどう評価するかはなかなか難しいところです。
 なお、筆者の高橋氏ですが

【独裁者の時代】(中)習氏を礼賛「生き菩薩だ」 カリスマ性の演出躍起(1/4ページ) - 産経ニュース2018.3.21
 習は、改正憲法の第1条に「中国共産党の指導は中国の特色ある社会主義の最も本質的な特徴だ」との文言を挿入させた。
 中国法研究者の高橋孝治は、改正憲法について、党が何をやっても許される「最強の免罪符」になりかねないと指摘した。

新型コロナ 中国で病歴・旅行歴隠しに「死刑」適用も 法を自在に「超拡大解釈」 - 産経ニュース2020.3.7
 新型コロナウイルスの感染押さえ込みを「人民戦争」と位置付ける中国当局は、感染者の隔離違反などに「死刑」の適用も辞さない厳罰キャンペーン*29を展開している。
 中国の最高人民法院最高裁)や最高人民検察院最高検)、公安省などは2月6日、新型肺炎の防疫措置を妨害する犯罪の厳罰化に関する「意見」を通知した。感染者が隔離治療を拒否して公共の場所に進入したり、公共交通機関を利用したりした場合は刑法の「公共安全危害罪」を適用するとした。
 同罪は主にテロ防止を念頭に放火や起爆、放射性物質や伝染病病原の散布といった犯罪について規定し、最高刑は死刑だ。ウイルス感染者による公共の場への立ち入りまで適用対象とする拡大解釈が、当局の通知一つで認められた形だ。
 立教大学高橋孝治特任研究員(中国法)は「形式的な議会すら通さず、政府が自由に犯罪者を処罰する刑法の超拡大解釈を行っている。一歩間違えれば非常に危険な方法だ」と指摘する。
 新型肺炎の感染拡大が中国の経済と社会に大きな打撃を与える中で、習指導部は新たな「厳打」闘争を打ち出した。ただその特徴は「三権分立が完全に無視され、行政機関の公安・検察と、司法機関の裁判所が一体となって犯罪者を迅速に厳しく処罰すること」(高橋氏)であり、冤罪を多く生むことも懸念される。

と言う産経記事で解るように明らかに左派とは言えないでしょう。共産党系の雑誌には左派人士しか出ないような誤解が一部にあるようですが、そんなことは明らかにありません。まあ、そもそも「文革での対立」「天安門事件批判」でわかるように日本共産党は「産経のような無茶苦茶な敵視はしない」とはいえ、歴史的にそんなに中国共産党に好意的ではないのですが。


◆コラム『少数民族の懐柔と刑法の適用』(高橋孝治
(内容紹介)
 架空問答方式で書いてみます。架空問答ですので「大筋で内容は正しい」と思いますが、一言一句同じ訳ではありません。

聞き手
 記事タイトルの『少数民族の懐柔と刑法の適用』とはどういう意味ですか?
高橋氏
 多分ご存じないと思いますが、中国には『両少一寛(りょうしょう・いっかん)』と言う言葉があります。
 これについては、週刊プレイボーイ50号(2013年12月3日号)「漢民族VSウイグル族:差別と憎悪の連鎖が中国に与える“致命傷”!!」での私のコメントを紹介しておきます。週刊プレイボーイというと「プレイボーイ」ということで「女性アイドルのグラビアやヌードの雑誌」と思われる方が多いでしょうし、勿論「実際、グラビアやヌードはある」のですが、意外なことにこういう記事が載ることもあります。
 ちなみに記事の筆者は『無名時代の安田峰俊*30』です。

中国・漢民族はウイグル族をどう見ているのか? 現地の意外な声 (2013年12月3日) - エキサイトニュース(2/3)週刊プレイボーイ50号(2013年12月3日号:安田峰俊
 中国法研究者の高橋孝治氏は背景をこう説明する。
中国共産党は1949年の建国時から少数民族の反発を抑えて体制安定を図る目的で、彼らの逮捕と死刑を少なくして寛大に処理する『両少一寛』なる政策を出しています。これは1984年に党中央文件(党の方針指示文書)に明記され、全国的な方針となりました。都市部でウイグル族の軽犯罪が『不逮捕』となるケースがあるのは、公安機関がこの党方針に従って現場での判断を行なっているためではないかと推察されます」

 つまり「少数民族」に対して「鞭しか使われてない」なんてことは全くありません。勿論他にも「少数民族への優遇措置(大学への入学枠など)はいろいろとあります」が、『両少一寛』は「犯罪の黙認」という「正当化がかなり難しい話」かと思い紹介してみました。
 勿論いくら「できる限り不逮捕」とは言え「殺人のような凶悪犯罪まで不逮捕」にはなりませんが、「万引き、無銭飲食レベル」だろうと「大目に見ろ」で被害者が納得できるかと言えばそうでもないでしょう。
 勿論「大多数の少数民族は真面目」でしょうし、何も私も『在日特権ガー、アイヌ特権ガー』の日本右翼ではありませんので、『ウイグル特権ガー』『チベット特権ガー』として『少数民族に犯罪者レッテルを張って差別する』気もない。
 ただし、こうしたことがあれば、漢民族多数派が「少数民族は『少数民族特権』で政府に不当に優遇されてるのにテロだの暴動だの起こして許せない。あんな低劣な奴らは警察や軍隊で叩き潰せばいい」「欧米の連中は犯罪者をかばうのか!」となるのは無理からぬところです。単純に「少数民族が差別されてる」とはいえない複雑な部分があります。


◆中国「農村振興戦略」段階での農民層分解(座間紘一*31
(内容紹介)
 「農民層分解」とは

【1】
「一部の大規模農家(農家企業)」を除き、農民層の大部分が第二種兼業農家(サラリーマン農家(サラリーマンが主に土日で農業)など兼業の方の収益が多い)と化している
【2】
 農民の高齢化が進んでいる(日本のいわゆる三ちゃん農業(爺ちゃん、婆ちゃん、母ちゃん)にあたる)
 三ちゃん農業については3ちゃん農業 - Wikipedia三ちゃん(さんちゃん)農業 | NHK for School【昭和のことば】『ひよっこ』でも描かれていた例のアレ 高度経済成長期に増加した「三ちゃん農業」(昭和38年) - zakzakを紹介しておきます。
【3】
 農村への市場経済の浸透で「農民間の所得格差」が拡大している。「市場で高額で売れる作物の生産」など、農業経営に成功した農民が高所得を得る一方で、そうでない農民は貧困状態にある
→この結果として発生しているのがいわゆる農民工問題です。

等といった問題です。もちろん「中国特有の問題」もありますが「第二種兼業農家の増加」「農民の高齢化」などは日本も含め、世界的にも見られる現象であり、解決は困難な問題ではあります。


◆インタビュー『中国問題をどう見るか:近現代史の視点から』(久保亨*32
(内容紹介)
 架空問答方式で書いてみます。架空問答ですので「大筋で内容は正しい」と思いますが、一言一句同じ訳ではありません。

聞き手
 今の中国をどう見ますか?
久保氏
 戦前の日本は明治維新当初は「アジアの田舎国」だったところがついには、昭和には「東南アジア侵略」に乗りだし米英相手に戦争まで始めました。私が何が言いたいかといえば「いわゆる中国の大国主義」というのは、「戦前日本の大国主義」と同じで「大国化すればどこの国でも見られるタイプの代物」だと思うという事です。もちろん「戦前日本」と違い今の時代は「軍事力をそう簡単に行使できない」ので、「中国に限らず」使われる力は「軍事力以外の力(経済力など)」が使われることが多いですが。
 大国化すれば多くの国はその力で、相手を圧倒しようとする。つまり私は「中国の大国主義」において「中国の伝統」や「中国共産党」「習近平*33主席の個性」と言った要素をそれほど重要視しません。例えば習氏の個性について言えば、そもそも毛沢東主席、周恩来首相ら革命第一世代と違い、習氏にはそれほどのカリスマ性はないでしょうし、当人もそうしたカリスマ支配は目指してないでしょう(勿論「中国の伝統」であるいわゆる「中華意識(例えば清朝での三跪九叩頭の礼 - Wikipedia)」が大国意識に親和的なこと、中国が長い間『大国(唐王朝元王朝明王朝清王朝など)だったこと』が大国意識に親和的なことは事実でしょうが)。
 大国主義それ自体はおそらく「中国が経済大国であり続ける限り(私個人は中国が経済大国でなくなることは当面ありえないと思いますが)」、「国共内戦蒋介石国民党が勝利」しようと生まれたでしょうし、「今後、中国共産党が下野」しようと変わらないでしょう。米国で政権交代が起きようと「大国主義」が変わらないのと同じ話だと思います(遠い将来はともかく当面、私は中国共産党が下野するとは思っていませんが)。また、今の最高指導者が習氏でなかったとしても、今後、習氏が退任したとしてもその点は変わらないと見ます。
 例えば胡耀邦*34趙紫陽*35が失脚しなければ「大国主義はなかったか」と言うと私はそうは言えないと思います。 
 今まで中国において大国意識があまり表面化しなかったのは「日清戦争敗北後の日本や欧米による侵略」「国共内戦」「大躍進や文革のダメージ」などで「大国意識の基盤となる経済力がなかった」だけの話でしょう。
 これについては浅井基文氏も以下の記事において私と同じ事(中国の大国主義は、米国など、他の国の大国主義と大して変わらない)を言っているかと思いますので紹介しておきます。
 中国の大国外交のあり方|コラム|21世紀の日本と国際社会 浅井基文のページ2014.8.31
 香港問題にしても「今ああいう強行路線が採用できるから、ああしている」だけで、返還直後の主席が習氏なら、あれはできないし、一方で今の主席が例えば、江沢民*36でも同じ事をやるのではないか。
 なお、当面、私は中国共産党が下野するとは思っていません。何せ中国は経済的に発展しています。
 池田、佐藤政権時の自民党支持率の高さで解るようにやはり「経済による支持」は強い力があります。
 そして中国共産党は長年の長期政権で、「国民の間に一定の支持基盤を構築した」し、一方で文革での迫害などもあって「共産党批判勢力の基盤は小さい」わけです。「基盤の小さい批判勢力」を支持して、「より強い支持基盤を有する中国共産党」に「今の経済利益を犠牲にして」対立する人間は決して多くはないでしょう。やはりその意味で中国共産党の基盤が揺るぐとしたらそれは「経済力の停滞」ではないか。
 日本においても「池田*37、佐藤*38の高度経済成長」が終わると「田中*39、三木*40、福田*41、大平*42、鈴木*43」は池田、佐藤ほどの長期政権にはなれませんでした。もちろん「田中金脈」「ロッキード事件」等いろいろな要素はあるとは言え、田中らの政権の短命の大きな要因は「高度経済成長の終了」でしょう。
 なお、多くの中国国民が「中国共産党の支配」を一応は「良き物」として受け入れているらしいことについては以下の浅井基文論文を紹介しておきます。中国に限った話ではありませんが独裁とは通常「鞭だけでは維持できません」。「飴が存在し、国民がそれなりに支持してる」という事実認識が必要です(もちろんこれは『国民が支持してるから独裁に問題はない』とか、『独裁を支持する国民が愚かだ』とかそういう話ではなく単なる事実の指摘です)。
中国共産党統治に対する中国人の満足度|コラム|21世紀の日本と国際社会 浅井基文のページ2020.7.20
 また大国主義という意味では「少数民族問題(ウイグルチベット)」が指摘されますが、「中国シンパ」の誤解を恐れず言えば、この点についても「アイヌ問題(日本)」「アイルランド問題(英国)」などがあり、日本や欧米も一方的に中国非難できるほどきれいではないことには留意したい。
 中国の独裁については私個人は「中国の伝統(いわゆる皇帝支配)」というよりは「いわゆる開発独裁*44の一種」だろうと思っています。
 開発独裁と見なせば何もそれは中国限定ではありません。例えば明治新政府もそうですし、韓国の朴正熙もそうです。他にもいろいろあるでしょう(勿論、朴や鄧小平の開発独裁は明らかに明治維新での開発独裁を参考にしてるでしょう。明治新政府での「朴や鄧小平」に当たる人物が「内務卿」大久保利通や「首相」伊藤博文です)。なお、「開発独裁には民主主義が欠落している」「民主主義が欠落した物は共産主義とは言えない」(日本共産党の立場)という立場でない限り、開発独裁であることと共産主義であることは矛盾はしないと思います(これは単なる事実の指摘であり、私が中国を「共産主義と認めてる」ということではありません)。
聞き手
 習近平政権とそれ以前の政権の違いは何でしょうか。
久保氏
 やはり「経済大国化」と言う要素が大きいでしょうね。
 1980年代の中国外交を象徴する言葉で韜光養晦 - Wikipediaと言う言葉があります。
 これは平たく言えば「1980年当時の中国の国力(経済力)では欧米先進国と到底、対抗できないから『絶対に譲歩できない部分(例えば一党独裁の堅持、『一つの中国』路線)』以外ではなるべくもめ事を起こさないようにしよう」と言うような意味です。日本のことわざ、慣用句だと「雉も鳴かずば打たれまい*45」といった感じでしょうか。
 しかし習政権になると、経済大国化したからこそ「一帯一路」「AIIB」等が可能になるし、その結果、米国との対立も生じる。
 その結果、中国外交について欧米の一部からは『戦狼外交』という批判が出ていることについては西側の「戦狼外交」批判と中国外交部の公式見解|コラム|21世紀の日本と国際社会 浅井基文のページ(2020.12.13)を紹介しておきます(浅井氏自身は欧米の『戦狼外交』批判については『中国外交への不当な偏見』『海外での軍事力行使を躊躇しない米国の方がよほど『戦狼外交』に該当する』とみなしていますが)。
 習政権下での汚職摘発も私は「習派に甘く、アンチ習派に厳しい」というゆがみが仮にあるとしても、本質は「汚職を口実にした政敵打倒」ではなく実際に「綱紀粛正が主目的だった」とみます。経済大国化し、国民が豊かになれば政治汚職に対する目も自ずから厳しくなります。政権を維持するには綱紀粛正せざるを得ない。そして「そうした綱紀粛正」を「(民主的で?)すばらしい!」と過大評価したり、あるいは逆にそうした綱紀粛正を理由に「腐敗問題は深刻→中国共産党体制早期崩壊」を主張したりするのは間違いでしょうが、いかに一党独裁とは言え、そうした形で「国民の一定の支持を得なければ」独裁というのは中国に限らず、長期に継続できるものではありません。
 特に今の中国は昔より豊かになっていますし、習氏ら執行部には革命第一世代ほどのカリスマ性はありませんから「なおさら」です。
聞き手
 香港問題についてはどう見ますか。
久保氏
 多くの方が指摘しているところですが、やはり、けっきょく香港の中国における相対的地位の低下、利用価値の低下に話は尽きると思う - ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)と言う要素が大きいでしょうね。
 そして「中国シンパ」との誤解を恐れずあえて言えば、香港デモが暴徒化したことで、ついに「昔ほどの経済価値はないのに思い上がるな」という中国政府の反発を招いて、今の事態になったと言うことでしょう。
 また香港民主派が「中国民主化」について消極的だったことも今の事態を招いたことについては大きいかと思います。
 「香港独立」や「英国への復帰」は現実性に乏しい。であるならば、民主派は「中国民主化(あるいは中国民主派との連携)」について考えるべきだったでしょう。「一国二制度」という方式にはやはり無理がある。「返還を躊躇する英国」を納得させるために「窮余の策」として渋々中国が受け入れた面が明らかにある。
 中国が「何とかして香港を中国化しよう」とすることは「国家安全維持法制定前」からある程度予想できました。
 しかし民主派は「中国の反発が怖い」「現実性に乏しい」でそうした「中国の民主化問題」から逃げてしまった(にも関わらず、あそこまでデモを過激化させ、中国の反発を助長したのはやはり無謀だったと思います)。
 しかし「中国の民主化」について論じずして、香港の民主主義維持など考えられないのではないか。
 なお、「中国シンパ」との誤解を恐れずあえて言えば、まず第一に「植民地支配の精算」と言う意味で香港復帰は当然の話でしょう。
 何も「植民地からの独立国」が民主的な意味で問題があるのは中国に限りません。「一党独裁ベトナムラオス、フンセン首相が独裁色を強めるカンボジア(フランスからの独立)」「軍事クーデターのミャンマーやエジプト(英国からの独立)」などいくらでも例はある。だからといって誰も「独立が無意味だった」とは普通言わない。
 第二に、香港の民主的制度は「香港復帰」を前に慌てて作られた制度が多い。英国統治下においてずっと民主的だったかのような物言いは間違いです。
 第三に過大評価は禁物ですが中国にも全人代と政治協商会議という民主的システムは一応あります。
 「中国シンパ」との誤解を恐れずあえて言えば、協商会議にはいわゆる衛星政党であるとは言え「共産党以外の政党も存在する」ので、実は「厳密な意味では」中国は共産党一党独裁ではありません。「話が脱線しますが」実はこの点は北朝鮮も同じで、いわゆる衛星政党であるとは言え「朝鮮労働党以外の政党も存在する」ので、実は「厳密な意味では」北朝鮮一党独裁ではありません。
 こうした「中国型民主」については、浅井基文氏の以下の記事を紹介しておきます。
「中国的民主」とは何か|コラム|21世紀の日本と国際社会 浅井基文のページ2020.5.2
「人民」と「中国的民主」|コラム|21世紀の日本と国際社会 浅井基文のページ2020.5.27
中国の「全過程民主」|コラム|21世紀の日本と国際社会 浅井基文のページ2020.6.13
聞き手
 日中関係の今後についてどう思いますか?
久保氏
 私が言うまでもないことですが中国は日本にとって重要な貿易相手国であり、隣国です。敵対関係になることなど全く馬鹿げています。
 友好関係の構築が非常に重要です。
 なお、日中関係についていくつか私の考えを述べておきます。
 まず、第一に日中に限らず、日韓でも同じ話ですが、「南京事件否定論」「河野談話否定論」など日本側の「侵略戦争、植民地支配への無反省」が明らかに良好な関係を阻害しています。この点に対する日本人の十分な反省が必要でしょう。
 第二に反中国、嫌韓国の政治家、マスコミの悪影響で歪んだ見方が広がってるようですが、「第一」とも関係しますが、関係がギクシャクするのは多くの場合、「日本側が先に問題を発生させていること」が多い(すべてそうだとは言いませんが)。
 例えば「中曽根*46、小泉*47、第二次安倍*48政権での首相靖国参拝」「野田*49政権での尖閣国有化」などがそれにあたります。
 第三に第一、第二とも関係しますが「中国企業による北海道の土地買収程度」で「北海道を中国が狙ってる(産経)」と誹謗するなどの反中国誹謗報道、例えば

佐々木類(産経新聞・論説副委員長)
『日本が消える日:ここまで進んだ中国の日本侵略』(2019年、ハート出版)
『日本復喝!:中国の「静かなる侵略」を撃退せよ』(2020年、ハート出版)

などを私は苦々しく思っています。「中国に何の落ち度もない」とまではいいませんが、今の日本はあまりにも「反共右翼の中国誹謗」が蔓延していてまともな議論がしづらくなっている。こうした中国誹謗については政治家、官僚、学者、メディアなどによる批判が求められると思います。
 第四に中国批判をする際には「それが果たしてバランスのとれた適正な物か」を考えて欲しいと思っています。例えば少数民族問題について言えば既に指摘しましたが「アイヌ問題(日本)」「アイルランド問題(英国)」「クルド問題(トルコやイランなど)」など他の国にも存在します。勿論、だからといって「中国だけが悪いわけではない→批判するな」とは言いません。しかし「クルド問題」等について無関心な人間(典型的には反共右翼ですが)が語る『中国の少数民族問題ガー』に説得力はあるのか。それはただの反共、反中国ではないのか。あるいはこれは中国に限りませんが、少数民族問題とは「独立すればいい」という単純な話ではありません。当然ながら、独立はそう簡単に関係各国が認める物ではありませんし「独立すればそれだけでバラ色」と言う話でもない。正直、日本右翼が放言する「独立論」には無責任さを感じます。
 また、ウイグル問題について「ジェノサイド」と呼ぶことにも私は否定的です。例えば、何故、呼び方が「民族迫害(あるいは弾圧、抑圧)」ではいけないのか。あるいは中国以外の民族迫害はジェノサイドなのか、そうでないのか。例えばトルコやイランにおけるクルド迫害やミャンマーでのロヒンギャ迫害(例は何でもいいですが)は「ジェノサイド」なのか、そうではないのか(正直、中国以外の民族問題では「ジェノサイド」と言う言葉は聞かない気がします)。
 ウイグルについて、ジェノサイドとは「物理的殺害(私個人は物理的殺害の意味ではないのだろうと推測していますが)」を意味してるのか、それとも「文化的同化」の意味なのか。
 ウイグルについてのみ「ジェノサイド」と騒ぎ立て、ジェノサイドの意味が「物理的殺害か文化的同化か」を曖昧にした形で非難する。「中国シンパ」との誤解を恐れずあえて言えば、「中国に対する偏見」がありはしないか。そもそも大事なことは「ウイグル人の人権擁護」のはずです。必ずしも定義が明快でない「ジェノサイド」と言う言葉を使って「ジェノサイドの定義論争」を招くようなことをして意味があるのでしょうか。
 なお、ウイグル問題について、私同様「ジェノサイド」呼ばわりに疑義を呈する記事の一例(大西広*50慶應義塾大学教授の講演の要旨紹介)を以下の通り紹介しておきます。
レコードチャイナ事実を確かめずにウイグル会議情報を流布―現地11回調査の大西慶大教授が西側キャンペーンに反論(2021.8.16)

 以上、オレ流に久保氏の意見を紹介しましたが、正直「俺はほとんど同意見」ですので、上記の意見は「ほとんど俺の意見」でもあります。

【追記】

リベラル21 日本の左翼は中国の台湾政策をどう見ているか2021.8,20
 マルクス主義経済学の雑誌*51「経済」9月号(新日本出版社)が「中国と日本」という特集をした。川田忠明氏「中国の海洋進出」、井手啓二氏「日中経済関係」、座間紘一氏「農民層分解」など*52の論文と、久保亨氏の談話*53「中国をどう見るか」で構成され、ほかに高橋孝治氏のコラム*54がある。

 イヤー、阿部治平が「経済」の「中国特集」について感想を書くとは思いませんでした。小生とは「いろいろと違いがある」ので読み比べて頂ければ幸いです。
 なお、「日本共産党平和運動局長」「日本平和委員会及び原水爆禁止日本協議会(いずれも共産党に近い平和団体)の常任理事」の川田氏は「間違いなく左翼」ですが他の面子は「左翼かどうか」は論文内容や経歴を見る限りでは「?」ですね。「反共右翼」でないにせよ、必ずしも左翼ではないのではないか。とはいえ「阿部が触れてる」のは川田論文だけなので、そういう意味ではこの記事タイトルでも間違いではないのかな?。
 また、これは「日本共産党の認識」とは言えても「社民党など他の左翼にまで広げられる話ではない」と言う意味でも「日本の左翼は中国の台湾政策をどう見ているか」という阿部の記事タイトルは不適切ではないか。何故「日本共産党は」と書かないのか本当に意味不明です(とはいえ、川田論文の内容のうち、「(小競り合いはあり得ても)蔡英文政権が独立を宣言しない限り、中国の本格的な台湾への軍事侵攻はあり得ないだろう」というのは日本左翼一般の認識*55ではあるでしょうが)。
 なお、台湾政策について論じてるのは川田論文と久保インタビューだけです。そして、阿部は川田論文についてのみ言及しています。他のことについてはどうも興味がなかったようです。
 日頃の阿部の論調から

◆日中経済関係の現状と課題(井手啓二)について「中国評価が甘い」と悪口雑言。
 なお、阿部は井手氏の著書『中国は社会主義か』(共著、2021年、かもがわ出版)について以前、「中国は社会主義か」という討論について | ちきゅう座

 シンポジウム参加者の何人かから、「党国家体制」が大きな経済発展を導いたことを高く評価する見解が表明されが、高度経済成長は中国だけではない。開発独裁国家の例を挙げるまでもなく、政治がよほどでたらめでなければ、20年もたてば後発国の経済成長はたいがい実現するものだ*56

などと悪口雑言しています。
◆コラム『中国の農村戸籍都市戸籍』(高橋孝治)、◆中国「農村振興戦略」段階での農民層分解(座間紘一)をネタに「農村工」問題で中国政府に悪口
◆コラム『少数民族の懐柔と刑法の適用』(高橋孝治)に対して『そんなことを取り上げるのはチベットウイグルなどは差別されてない、むしろ優遇、特別扱いされてる、それなのに少数民族が反政府デモなんて全くおかしい、などと言う誤解を与える』と悪口

かと思いましたが。
 さて阿部の駄文について簡単にコメントしておきます。

 私は、習氏の「レガシー」であるがゆえに、台湾が「独立」を宣言しなくても、中国が損得勘定を無視した冒険*57に踏み切る可能性を否定できない。

 いつもながら「阿部ってバカ?」ですね。
 川田論文も久保インタビューも「米中対立」「中台対立」による「不測の事態(軍事衝突)」を危惧してはいますが、基本的には「(小競り合いはあり得ても)蔡英文政権が独立を宣言しない限り、中国の本格的な台湾への軍事侵攻はあり得ないだろう」と見ています(勿論、「だからこそ独立宣言はすべきではない」が川田、久保氏の立場です)。
 理由は簡単で「損得勘定に反するから」です。
 中国は常日頃「台湾が独立宣言したら軍事侵攻もあり得る」と牽制している。それは裏返せば「独立宣言しない限り軍事侵攻しない」という国際公約である。この国際公約を破れば、ほぼ確実に「欧米の経済制裁」が待っているでしょう(そもそも米国が台湾を軍事支援していることを考えれば中国が軍事的に勝利できるかどうかも微妙です)。そんなリスクを冒す必要は中国にはどこにもない。
 「独立したら軍事侵攻もあり得る」と牽制して独立宣言を封じ込めながら、中国の経済力で台湾を圧倒する。それで中国としては当面は「十分」でしょう。
 ただし一方で「台湾が独立宣言を強行したら」軍事攻撃に打って出る可能性が高いでしょう。
 「軍事侵攻もあり得る」としながら何もしないのでは中国の面子が潰れるからです(とはいえその場合も「経済制裁で締め上げた上で、独立宣言撤回を要求し、応じなければ最終手段として軍事侵攻」という形になるでしょうが)。
 いずれにせよ、そこで阿部のように「独立宣言がなくても、損得勘定を無視した冒険」云々などと言い出すのは暴論でしかない。
 阿部の「台湾侵攻論」は「北朝鮮の韓国侵攻」「ロシアの北海道侵攻」並の与太です。
 ちなみに「蔡英文政権が独立を宣言しない限り、中国の台湾侵攻はあり得ないだろう」つうのは別に「日本共産党や日本左翼の見方」ではなく「日本や欧米政府」もそうした立場であり「国際的な常識」と理解していいと思います。
 なお、阿部は中国の侵攻がありうるシチュエーションとして

第三は、台湾の世論が二分され、大陸統一派が中国に支援を要請するというシナリオが実現するときである

なんて書いていますが常軌を逸していますね。第一や第二のシチュエーションも酷いですが特に酷いのが第三です。「統一派」でも「まともな政治勢力」なら「軍事侵攻の要請」なんかするわけがないし、そんな要請をする勢力が仮にあるとしても「弱小勢力」でしかない。そんな弱小勢力の呼びかけで中国が侵攻すると考えるのは常軌を逸しています。まあ、これが阿部の個人ブログならいい。リベラル21に掲載したと言うことは「これがリベラル21の組織としての公的見解」と見なされても文句は言えないでしょう。とはいえリベラル21に多分問いただせば「組織としての見解ではない」と言うのでしょうが。
 俺が見るにリベラル21は「よく言えば融通無碍、悪く言えば何の統一性もない」烏合の集団です。
 「私たちは護憲・軍縮・共生を掲げてネット上に市民メディア、リベラル21を創った」と大言壮語していてもやってることは阿部治平ら構成メンバーが好き勝手に自分の書きたい文章を書いてリベラル21に掲載しているだけでしょう。
 同人誌に「メンバーが好き勝手に自分の書いた文章を載せて、統一性が何もない」のに近いのがリベラル21でしょう。
 そして「掲載された文章をもとに広範な議論が起こればいい」ですませてるだけの集団でしょう。およそ政治を変えようというやる気が感じられないし、当然、そんなことでは社会的影響力もまるでない。

 氏は、東南アジア諸国連合ASEAN)が積み上げた実績を「中国の海洋進出にたいして、衝突のリスクとコストを最小限に防ぎながら外交力でこれを食い止めようとしている」と高く評価する。同じ文脈で共産党の志位委員長も「ASEANが現に実践しているように、中国も包み込む形で地域的な平和秩序をつくっていく」といっている(日本共産党99周年記念の講演)。しかし、日本政府に求める攻勢的な外交、中国も包み込む平和秩序とはいったい何だろうか。

 川田氏や志位氏が言いたいことは、要するに「ASEANのような地域共同体=東アジア共同体」がベストだがそこまで行かなくても「中国、台湾、南北朝鮮、日本」で経済交流を進める(例えば経済協定)とか定期的な政治対話の場を設けるとかそういうことでしょう。勿論そうした考えに「アンチ中国」阿部は「中国がそんなもんに応じるわけがない」として賛同しないのでしょうが、そのくらいのことも阿部には解らないのか。それとも「解った上ですっとぼけている」のか。

 現今の台湾海峡の緊張は、中国が台湾へ軍事的圧力を強化したことによって生まれたものである。

 おいおいですね。馬英九政権時代には「ある種の友好関係」が構築されていたこと、その馬時代を「中国への媚びへつらい」と否定的に評価し、中国への敵対的な態度を蔡英文が強め、それをトランプやバイデンが応援するかのような態度をとったからこそ「中国が対抗措置を執った」のに「すべて中国が悪い」かのように言うとは阿部(松竹も似たり寄ったり)はどういう神経をしているのか。

 中国が「武力解放」を捨て軍事挑発をやめれば、日米両国は対中国抑止力の強化といった軍備増強の「口実」を失う。もちろんアメリカは東アジアで軍事攻勢に出ることはできない。

 おいおいですね。米国の軍拡は「すべて中国が悪い」と言いたげな阿部(松竹も似たり寄ったり)ですが、米国美化も大概にしたらどうなのか。
 そもそも浅井基文氏などが言うように「台湾が独立宣言しない限り台湾侵攻はない」のだから「中国を口実にした軍拡」などでまかせでしかありません。大体、米国が軍事展開しているのは「アフガンやイラク」などもあり「東アジア限定」ではない。
 とはいえ阿部に至っては「独立宣言しなくても軍事侵攻がありうる」と放言するから手に負えませんが。

 日本の左翼、平和・民主団体は、中国政府に対して「武力解放」の方針を変えるよう要求し、台湾の民主主義を守る運動をおこすべきだと思う。

 
 今日の中国ニュース(2021年8月9日分)(副題:楊海英&松竹伸幸のバカさに心底呆れる) - bogus-simotukareのブログで阿部と同内容の『松竹伸幸の愚論』を批判しましたが呆れて二の句が継げません。
 今日の中国ニュース(2021年8月9日分)(副題:楊海英&松竹伸幸のバカさに心底呆れる) - bogus-simotukareのブログでの指摘と重複しますが改めて書いておきます。
 まず「武力解放方針(阿部の表現、松竹も同様の表現をしている)」というのが適切な指摘ではない。川田記事、久保インタビューも指摘するように「独立宣言したときには武力解放もあり得る」です。「基本は平和統一」である。
 そもそもこういう物言いをする阿部や松竹は「事実上の独立」という「台湾の現状」にとどまらず、「台湾が独立宣言してもいい」と言う立場なのか。「中国と世界各国(勿論、日本を含む)」が国交正常化した際のいわゆる「一つの中国」を否定するのか。阿部や松竹はその点をはっきり言明すべきでしょう。なお、久保インタビューや川田記事は「一つの中国」を否定しません。「積極的に肯定」というよりは中国、台湾双方が飲める方向でなければ意味がないという「現実主義」でしょうが。「一つの中国」否定なんて中国が飲むわけもない。

*1:東京農工大学名誉教授

*2:日本共産党国際委員会副責任者(党常任幹部会委員兼務)

*3:参院議員。日本共産党政策副委員長(常任幹部会委員兼務)

*4:中央大学教授

*5:東京大学名誉教授。著書『イギリス社会政策史』(1986年、東京大学出版会)、『男女共同参画社会をつくる』(2002年、NHKブックス)、『現代日本の生活保障システム』(2007年、岩波書店)、『いまこそ考えたい生活保障のしくみ』(2010年、岩波ブックレット)、『生活保障のガバナンス』(2014年、有斐閣)、『企業中心社会を超えて』(2020年、岩波現代文庫)など

*6:池田内閣経済企画庁長官、佐藤内閣通産相、三木内閣外相、福田内閣経済企画庁長官、鈴木内閣官房長官、中曽根、竹下内閣蔵相などを経て首相。首相退任後も小渕、森内閣で蔵相

*7:熊本県知事、日本新党代表を経て首相

*8:中曽根内閣文相、自民党政調会長(宮沢総裁時代)、宮沢内閣通産相、村山内閣建設相、自民党総務会長(橋本総裁時代)、幹事長(小渕総裁時代)などを経て首相

*9:東北大学教授。著書『地球温暖化』(2009年、岩波ブックレット)、『クライメート・ジャスティス:温暖化対策と国際交渉の政治・経済・哲学』(2015年、日本評論社)、『グリーン・ニューディール』(2021年、岩波新書)など

*10:島根大学教授

*11:大阪経済大学名誉教授。著書『関西、その活力の源をさぐる:産業集積と起業家精神』(編著、2000年、法律文化社

*12:大阪社会保障推進協議会事務局長。シンママ大阪応援団代表理事(シンママとはシングルマザーのこと)。著書『基礎から学ぶ国保』(2015年、日本機関紙出版センター)、『シングルマザーをひとりぼっちにしないために』(共著、2017年、日本機関紙出版センター)

*13:全労連青年部書記長

*14:高等教育無償化プロジェクトFREEメンバー。中央大学3年生

*15:労働者教育協会理事。著書『働くルールの国際比較』(2010年、学習の友社)、『8時間働けばふつうに暮らせる社会を:働くルールの国際比較〈2〉』(2017年、学習の友社)

*16:第一次安倍内閣総務相、第二~四次安倍内閣官房長官を経て首相

*17:一橋大学名誉教授。著書『日本国憲法「改正」史』(1987年、日本評論社)、『現代日本の支配構造分析』(1988年、花伝社)、『憲法はどう生きてきたか』(1989年、岩波ブックレット)、『戦後政治史の中の天皇制』(1990年、青木書店)、『「豊かな社会」日本の構造』(1990年、労働旬報社)、『企業支配と国家』(1991年、青木書店)、『政治改革と憲法改正』(1994年、青木書店)、『現代日本の政治を読む』(1995年、かもがわブックレット)、『日本の大国化は何をめざすか』(1997年、岩波ブックレット)、『日本とはどういう国か、どこへ向かって行くのか』(1998年、教育史料出版会)、『企業社会・日本はどこへ行くのか』(1999年、教育史料出版会)、『憲法「改正」は何をめざすか』(2001年、岩波ブックレット)、『日本の大国化とネオ・ナショナリズムの形成』(2001年、桜井書店)、『「構造改革」で日本は幸せになるのか?』(2001年、萌文社)、『構造改革政治の時代:小泉政権論』(2005年、花伝社)、『安倍政権論』(2007年、旬報社)、『憲法9条と25条・その力と可能性』(2009年、かもがわ書店)、『渡辺治政治学入門』(2012年、新日本出版社)、『安倍政権と日本政治の新段階:新自由主義・軍事大国化・改憲にどう対抗するか』、『安倍政権の改憲構造改革新戦略:2013参院選と国民的共同の課題』(以上、2013年、旬報社)、『現代史の中の安倍政権』(2016年、かもがわ出版)、『戦後史のなかの安倍改憲』(2018年、新日本出版社)、『安倍政権の終焉と新自由主義政治、改憲のゆくえ』(2020年、旬報社)、『「平成」の天皇と現代史』(2021年、旬報社)など

*18:オバマ政権副大統領を経て大統領

*19:一応「警戒はしている」ものの、一時、自民党がぶち上げた「コロナを口実にした緊急事態条項改憲」主張は「緊急事態宣言すら国民の反発や経済への悪影響が怖くてなかなか発動できなかったこと」「国民の批判を無視して五輪を強行し、コロナ第五波を助長したこと」「ワクチン不足、病床不足は緊急事態条項でどうにかなる話ではないこと」で説得力を失ったと渡辺氏は見ているようです。

*20:とはいえ、渡辺氏も菅が「安倍に比べて改憲意欲が弱いこと」は認めていますが

*21:日本共産党平和運動局長。日本平和委員会常任理事。原水爆禁止日本協議会常任理事。著書『それぞれの「戦争論」』(2004年、唯学書房)、『名作の戦争論』(2008年、新日本出版社)、『市民とジェンダーの核軍縮核兵器禁止条約で変える世界』(2020年、新日本出版社)など

*22:もちろんあれは文革の影響という特異な事件ですが

*23:国連アジア極東経済委員会のこと。現在のESCAP(国連アジア太平洋経済社会委員会)の前身に当たる組織

*24:長崎大学名誉教授。著書『中国社会主義と経済改革』(1988年、法律文化社)、『中国は社会主義か』(共著、2021年、かもがわ出版

*25:立教大学特任研究員。著書『ビジネスマンのための中国労働法』(2015年、労働調査会)、『中国社会の法社会学』(2019年、明石書店

*26:昔の『東北からの出稼ぎ農民』みたいな物だろうと俺個人は認識しています。

*27:以前、漫画ゴラクに連載されていた『クロコーチ(こちらもダイマジンと同じ、リチャード・ウー原作、コウノ・コウジ絵)』の二番煎じと言っていい作品で俺的には「二番煎じでは全くつまらないので、一日も早く打ち切って欲しいゴラク連載作品ナンバー1(二番煎じを始めるとは、クロコーチを打ち切ったのは何のためよ?)」ですね。俺的にゴラクでおすすめは『江戸前の旬』と『酒のほそ道』です。

*28:元・小学館ビッグコミックスピリッツ』編集長で現在はフリーの漫画編集者、原作者である長崎尚志ペンネームの一つ。長崎は「本名の長崎(MASTERキートン、MONSTER、20世紀少年PLUTOなど浦沢直樹と組んだ作品で多く使用)」「リチャード・ウー」の他に「江戸川啓視ゴルゴ13の脚本など)」などの名義で活動(長崎尚志 - Wikipedia参照)

*29:キャンペーンの是非はともかく、さすがに中国も「殺害目的で故意に基礎疾患患者にコロナ感染させた」ようなよほど悪質なケースでもない限り死刑適用などする気はないでしょう。

*30:著書『和僑:農民、やくざ、風俗嬢。中国の夕闇に住む日本人』(2016年、角川文庫)、『さいはての中国』(2018年、小学館新書)、『もっとさいはての中国』(2019年、小学館新書)、『八九六四・完全版』(2021年、角川新書)、『現代中国の秘密結社』(2021年、中公新書ラクレ)、『中国vs.世界:呑まれる国、抗う国』(2021年、PHP新書)など

*31:桜美林大学名誉教授。著書『中国国有企業の改革と再編』(編著、2006年、学文社)、『変貌する中国農村:湖北・四川省の「三農」問題と近代化』(編著、2015年、蒼蒼社)

*32:信州大学特任教授。著書『戦間期中国「自立への模索」:関税通貨政策と経済発展』(1999年、東京大学出版会)、『戦間期中国の綿業と企業経営』(2005年、汲古書院)、『社会主義への挑戦 1945-1971(シリーズ中国近現代史4)』(2011年、岩波新書)、『日本で生まれた中国国歌:「義勇軍行進曲」の時代』(2019年、岩波書店)、『現代中国の原型の出現:国民党統治下の民衆統合と財政経済』、『20世紀中国経済史論』(以上、2020年、汲古叢書)など

*33:福州市党委員会書記、福建省長、浙江省党委員会書記、上海市党委員会書記、国家副主席、党中央軍事委員会副主席、国家中央軍事委員会副主席などを経て党総書記、国家主席党中央軍事委員会主席、国家中央軍事委員会主席

*34:中国共産党中央組織部長、中央宣伝部長などを経て党総書記になるが1986年に保守派の攻撃を受けて失脚。後任の党総書記には趙紫陽首相が就任した。

*35:文革終了後、鄧小平に抜擢され、副首相、首相、中国共産党副主席などを経て中国共産党総書記、中国共産党中央軍事委員会第一副主席に就任。しかし天安門事件の処理で鄧小平国家中央軍事委員会主席、陳雲元副首相、李先念国家主席ら党長老の不興を買い、党総書記を解任されて失脚

*36:電子工業大臣、上海市長、党委員会書記などを経て党総書記、国家主席党中央軍事委員会主席、国家中央軍事委員会主席

*37:大蔵次官から政界入り。吉田内閣蔵相、通産相、石橋内閣蔵相、岸内閣蔵相、通産相などを経て首相

*38:運輸次官から政界入り。吉田内閣郵政相、建設相、岸内閣蔵相、自民党総務会長(岸総裁時代)、池田内閣通産相科学技術庁長官等を経て首相

*39:岸内閣郵政相、池田内閣蔵相、佐藤内閣通産相自民党政調会長(池田総裁時代)、幹事長(佐藤総裁時代)などを経て首相

*40:国民協同党書記長、委員長、片山内閣逓信相、改進党幹事長(重光総裁時代)、鳩山内閣運輸相、自民党幹事長(石橋総裁時代)、政調会長(岸総裁時代)、岸内閣科学技術庁長官(経済企画庁長官兼務)、池田内閣経済企画庁長官、自民党政調会長、幹事長(池田総裁時代)、佐藤内閣通産相、外相、田中内閣副総理・環境庁長官などを経て首相

*41:大蔵省主計局長から政界入り。岸内閣農林相、自民党政調会長(池田総裁時代)、幹事長(佐藤総裁時代)、佐藤内閣蔵相、外相、田中内閣行政管理庁長官、蔵相、三木内閣副総理・経済企画庁長官などを経て首相

*42:池田内閣官房長官、外相、佐藤内閣通産相、田中内閣外相、蔵相、三木内閣蔵相、自民党幹事長(福田総裁時代)などを経て首相

*43:池田内閣郵政相、官房長官、佐藤内閣厚生相、福田内閣農林相、自民党総務会長(佐藤、田中、大平総裁時代)などを経て首相

*44:政治用語として初めて「開発独裁」を用いたのはカリフォルニア大学バークレー校教授であったジェームス・グレガーによる1979年の著作「Italian Fascism and Developmental Dictatorship」(イタリアのファシズム開発独裁)であったが、「開発独裁」という用語が広く用いられ始めたのは1980年代前半である。それは、韓国や台湾などでの民主化運動(例:1980年の光州事件)が高揚し、また、アジア各地で開発による負の側面が大きくクローズアップされ、それらの地域の各政権に対する批判が生じたからであった。当時「開発独裁政権」と名指しされたのは、マルコス大統領(後に亡命)のフィリピン、スハルト大統領(後に失脚)のインドネシアリー・クアンユー首相のシンガポールなど、東南アジアの反共政権であった。(開発独裁 - Wikipedia参照)

*45:これについてはまんが日本昔ばなし〜データベース〜 - キジも鳴かずば(父親役:常田富士男、娘役:市原悦子)参照。「雉も鳴かずば撃たれまい」の元となったとされる民話が「思っていた以上に物騒な話」で絶句しました。

*46:岸内閣科学技術庁長官、佐藤内閣運輸相、防衛庁長官、田中内閣通産相自民党幹事長(三木総裁時代)、総務会長(福田総裁時代)、鈴木内閣行政管理庁長官などを経て首相

*47:宇野内閣厚生相、宮沢内閣郵政相、橋本内閣厚生相などを経て首相

*48:自民党幹事長(小泉総裁時代)、小泉内閣官房長官などを経て首相

*49:鳩山内閣財務副大臣菅内閣財務相、首相、民進党幹事長(蓮舫代表時代)などを経て立憲民主党最高顧問

*50:京都大学名誉教授。慶應義塾大学教授。著書『「政策科学」と統計的認識論』(1989年、昭和堂)、『資本主義以前の「社会主義」と資本主義後の社会主義』(1992年、大月書店)、『環太平洋諸国の興亡と相互依存』(1998年、京都大学学術出版会)、『グローバリゼーションから軍事的帝国主義へ:アメリカの衰退と資本主義世界のゆくえ』(2003年、大月書店)、『中国はいま何を考えているか』(2005年、大月書店)、『チベット問題とは何か』(2008年、かもがわ出版)、『現場からの中国論』(2009年、大月書店)、『中国に主張すべきは何か』(2012年、かもがわ出版)、『長期法則とマルクス主義:右翼、左翼、マルクス主義』(2018年、花伝社)、『マルクス経済学(第3版)』(2020年、慶応義塾大学出版会)など

*51:「経済」誌の自称は「科学的社会主義経済誌マルクス主義経済学の雑誌、ではない)」だから、阿部も「「経済」誌の自称である」旨を断った上でそのように書くべきでしょう。

*52:「など」と書く阿部ですが、実は、久保インタビューを『談話』、高橋氏の1ページ程度の文章を『コラム』と呼んで論文と見なさない場合、論文は川田、井手、座間の三氏の論文しかありません。「など」なんてどこにもない。

*53:「経済」誌のインタビューに答えていますが、それは普通「談話」とは言わないと思います。なお、「河野談話」「村山談話」など、日本では「談話」は「政府首脳の意見発表」の意味で使われることが多い気がします。

*54:阿部が何を考えてるのか解りませんが、高橋氏のコラムについては、川田氏らと違い、テーマが何かすら書かないのはどういうことなのか?

*55:というか、日本左翼に限定されない国際的常識だと思いますが

*56:「世界に冠たる中国の経済力」を目にしながら随分と酷い強弁です。そこは「経済力はすごいが民主主義の面で問題がある」と言えばいいでしょうに。大体、この阿部の物言いなら「中国より経済力が落ちる発展途上国(特に工業が発展しておらず、農産物や工業資源の輸出に頼る、いわゆるモノカルチャー経済が多い国々(アフリカ諸国や中東の産油国など)」は軒並み「中国より政治がでたらめなのか?」。

*57:もちろん軍事侵攻のこと