今日の中国ニュース(2022年6月3日分)

リベラル21 日米首脳会談とバイデンの「YES」について阿部治平

 現状は有権者の多くが「軍拡に対しては外交で応じる*1」とか「戦争を未然に防ぐ外交努力こそ必要*2」などという抽象的な「正論」を受け入れる心理状態にない。
 我々は今、非力のウクライナ人が祖国防衛のために戦っている、その悲惨なありさまを毎日みている。日本人の関心は、いつになく安全保障に傾いている。中国の尖閣占領とか台湾有事の際、具体的にどう対処すればいいのかという疑問ないし不安*3は、多くの有権者が抱いている。革新勢力の指導者には国民のこの感情を知ってほしい。

 だとしたら「日本人多数派って本当にバカだな」「日本人であることが心底恥ずかしい」が俺の感想ですね(とはいえ、「7/10投開票」が予想され、参院選も近いですし、そのバカ相手に必死に平和主義を訴えていく必要があるわけですが)。「ロシア軍が大勝利→ゼレンスキーが国外亡命し傀儡政権誕生」ならその気持ちも分からないでもない。
 「ウクライナ相手にロシアが大苦戦→ゼレンスキー政権転覆などまず無理」という状況で何でそういう理解になるのか。日本について言えば「かけてる軍事費」を考えればその軍事力はウクライナを遙かに上回るわけです。
 在日米軍まであるし、そんな日本を外国が侵攻するわけがない。そして「ウクライナ侵攻に対する欧米の経済制裁」を見れば「少なくとも欧米を敵に回すような戦争(日本侵攻は明らかにそういう戦争になるでしょう)はできるものではない」と「普通の国」なら思うでしょう。そして俺は中国にはその程度の常識はあると思っています。
 正直「世界を敵に回して戦争できる国」なんて「ブッシュのイラク戦争」の米国くらいではないのか。
 ウクライナ戦争にしても「外交は非力だ」という単純な話ではない。今後「外交で解決する可能性」はゼロではない。
 また「経済制裁」「ロシア非難国連総会決議」でわかるように欧米やウクライナも「ロシアとの武力戦争」だけで片をつけようとはしてない。外交戦術も並行して行っている。

 革新勢力*4は東アジアの緊張緩和*5のために、どんな外交を展開すべきか、有権者に具体的な提案をしなければならない。
 たとえば、日本政府に対して、「ともすれば対中国強硬策を取ろうとするバイデン氏を抑え、習近平氏に対しては台湾人の大多数が大陸との統一を望むまで待てと説得するよう要求する」とか

 バイデンについての指摘には異論はないですが、習近平については「阿部は何をバカなことを言ってるんだ?」ですね。
 中国がいつ「今すぐ統一したい」なんて言ったのか。
 中国の主張の是非はともかく、中国の主張は「バイデンが台湾独立を支援する気なら我々はそんなことは許さない」「台湾が独立を宣言するなら武力侵攻も辞さない」というものです。阿部が曲解してるような「今すぐ統一」ではない。中国は阿部に「待て」といわれなくても「台湾が独立宣言しない限り、待つ」でしょう。実際問題、今の中国の路線「独立宣言は認めない、その場合は武力侵攻もあり得る(ただし、現状維持にとどまるなら侵攻はしない)」は、「事実上は独立していること」もあって「問題の棚上げ」でしかありません。うがった見方をすれば「単に中国が時間稼ぎしてるだけ(いずれ台湾の独立は不可避と考えながらも、それを積極的に認めることはしないで、独立宣言の時期を引き延ばせるだけ引き延ばす)」にも見える。


横浜中華街の老舗「聘珍樓本店」が破産 コロナ禍で - 産経ニュース
 「ホンマかいな」とびっくりです。どうも記事に寄れば「コロナ」だけではなく「同業者との競争」に敗れた(勿論、横浜中華街それ自体が経営不振で、店が全て倒産したあげく、消滅したわけではないので)ようですが、ここって「かなりの大手で老舗」だったと思うのですが。
 ちなみに漫画「美味しんぼ」の登場人物の一人「周懐徳*6」のモデルだと言われ、一時はテレビ出演していた周富徳*7がここの「元総料理長」だそうです。

*1:軍拡に軍拡で応じたら緊張が激化するだけでしょう(勿論財政上の問題もある)。そうした理解から冷戦末期には「米ソともに軍事費増大に苦しんでいた」という面が大きい物の核軍縮交渉に動いたわけです。

*2:実際、プーチンロシアがウクライナ侵攻する前に「クリミア併合」など「前兆」があったわけで、いきなりウクライナ侵攻になったわけではない。「クリミア併合などの際に国際社会は適切な外交をしていたのか」という反省は当然すべきです。それなしで「外交は非力だ、軍事対応だ」なんて野蛮かつ無謀極まりない。

*3:「ロシアに対する経済制裁」を見て中国がそんなことをやろうと思うわけがないでしょう。常識があればそんな疑問や不安は感じない。

*4:何で阿部が「革新勢力」といいたがるのか、阿部にとっての「革新勢力」とは何なのか。正直「革新勢力=左派(共産党社民党など)」が一般的理解であり、その理解なら「立憲民主党」「れいわ新選組」は明らかに革新勢力ではないですが、阿部の「革新勢力」もそういう理解でいいのか。

*5:正直「国内の人権問題」はともかく、俺は「東アジアが緊張激化している」とは思わないし、仮に激化してるとしたら「中国や北朝鮮に対して敵対的なバイデン政権」の罪が重いでしょう(これについては例えば 日本とアメリカの「中国観」は世界標準なのか | 中国・台湾 | 東洋経済オンライン | 社会をよくする経済ニュース(岡田充)、支離滅裂なアメリカの対中軍事「戦略」の怖さ|コラム|21世紀の日本と国際社会 浅井基文のページ参照)。この点は「ウクライナ侵攻という無法をしたプーチンロシア」とは話はまるで違います。

*6:ただし周富徳が料理人なのに対し周懐徳は「料理に造詣が深い」とはいえ「貿易商」という設定

*7:1943~2014年。1961年に新橋「中国飯店」に入社して修行を積み、京王プラザホテル「南園」を経て、「聘珍樓」、「赤坂璃宮」で総料理長を歴任。1993年に青山「広東名菜・富徳」オーナーとして独立した。テレビ番組には、「南園」時代からNHKきょうの料理』に出演していたが、1990年代に入ってからは、テレビ東京浅草橋ヤング洋品店』(1992~1996年)、TBS『わいど!ウオッチャー』(1993年)火曜日のコーナー「周富徳の中華指南」、フジテレビ『たほいや』(1993年)などへの出演でブレイクし、全国区の人気となった。1993年10月26日放送の日本テレビいつみても波瀾万丈』(1992~2008年)にゲストとして出演し、半生が回顧された。翌1994年12月31日の『NHK紅白歌合戦』にもゲスト出演するほどの勢いだった。しかし、2001年には法人税脱税(約4,700万円)で、懲役1年、執行猶予3年、罰金1,000万円の判決を受けた。この影響によりメディアへの出演が減った。青山の店「広東名菜・富徳」は、富徳の死後は、長男の志鴻が跡を継ぎ、現在も営業を続けている。著書『厨房の御馳走』(1994年、朝日出版社)、『周富徳の中華人生相談』(1994年、主婦の友社)、『チャーハン人生論:ちょっとおいしい僕の生き方』(1994年、PHP研究所)など(周富徳 - Wikipedia参照)。