リベラル21と阿部治平のバカさに呆れる(2023年1月25日分)

リベラル21 岸田大軍拡批判の方法について(阿部治平)
 過去にリベラル21と阿部治平のバカさに呆れる(2022年12月30日分) - bogus-simotukareのブログで批判した阿部記事と論調はほとんど変わりませんが、「問題の立て方」が間違ってると俺は思います。
 第一に日本の軍事費(軍事力)は「過去の日本の軍事費」「世界各国の軍事費」と比較して決して少なくはない。既に日本は軍事大国であり、「周辺諸国の軍事的脅威」どころか日本自体が「周辺諸国にとって軍事的脅威」でしょう。すべき行為は軍縮であって軍拡ではない。
 第二に「軍拡などすれば今でさえ少ない日本の福祉や科学技術の予算」が確実に減ります。
 「元教師(教育に興味があっておかしくない)」にして「福祉に関心があっておかしくない高齢者」の阿部が「教育や福祉の予算」に無関心であることには絶句します。
 まあ、これは阿部に限った話ではなく、少なくない日本人が「世界各国と比較して少ない福祉や科学技術の予算」を増やすことについて無関心なことに俺は呆れていますが。
 「日本にとっての中国の脅威」とは軍事的脅威ではなく「千人計画」のような「科学技術振興の脅威」です。
 一方、日本は財政難を理由に科学技術予算をむしろ減らしている。その結果、「いつまで経っても教授や准教授になれない」一部の日本人若手研究者は中国のスカウトに応じて「中国の大学、研究機関等で教授や准教授になっていること」はマスコミも近年報じているところです。こうした「中国の科学技術振興」には阿部もリベラル21も全く無関心なようですが。
 第三に中台対立は「米国、台湾」が煽ってる面が明らかにある。馬英九総統時代には今ほど中台関係は悪くなかったこと、当時も中国国家主席習近平氏だったことは注目すべき事だと思います。
 そもそも「今の米中対立」には明らかに「1980年代のジャパンバッシング - Wikipedia」のような要素があるでしょう。
 あの日本バッシングを「全て日本に非がある、米国は悪くない」と思う日本人はまずいないでしょう。
 日本が経済大国化する中、日本を脅威視する米国がいたずらに、不当に日本を敵視したという面は明らかにある。
 今回の米中対立もそうした「中国が経済大国化する中、中国を脅威視する米国がいたずらに、不当に中国を敵視したという面」は明らかにあるでしょうに、何故阿部はその点を無視ししてすべてを中国のせいにするのか。
 第四に「詳しくは後述しますが」中国の台湾侵攻の可能性が全くない。
 なお、前回の阿部記事とは多少異なる点についても突っ込んでおきます。

 田中均*1日米安保体制と自衛隊を抑止力と考える人だが、外交ビジョンなしの岸田軍拡を危険視している。
 氏はブログで、「世界3番目の経済規模を持つ国がGDPの2%の防衛費を持つわけで、日本は世界3位の軍事大国になっていくという認識を持つ国は増えるだろう」「もちろん、日本の防衛能力は周辺の脅威に対応するものであり、あまり他国の意向を気にすべきでもないが、防衛能力の拡大とともに、日本がどういう外交を進め平和に貢献するのかというビジョンを合わせ示すべきではないのか」という。
 氏は、遠回しに周辺諸国の対日警戒心に配慮した外交ビジョンが必要だというのである。
 元防衛省高級官僚の柳沢恭二氏*2も「台湾有事は宿命のように捉えられているが、防ぐための外交戦略が議論されていない。巻き込まれて迷惑を被るのは日本なのだから、米中が衝突しないよう双方に協議をうながす立場で動くべきだ」という。
 ところがこの2人の外交と防衛の専門家も、あるべき外交政策を具体的に示していないのである。

 田中氏や柳沢氏の「元役人」と言う立場(退官したとは言えおそらくいろいろと政治家や官僚との間にしがらみがある)を考えれば「米国と中国の対立緩和に日本政府は動け」以上の「具体的な政策提言」も言いづらいでしょうし、「米国と中国の対立緩和に動け(対立激化ではダメだ)」は十分あるべき外交政策を具体的に示しているのではないか。

 護憲革新勢力*3の中で中国を含めた、ASEAN中心の平和地域の設定策を提案しているのは共産党だけである(これには大いに敬意を表する*4が、すでに空想的だという批判をしたことがあるのでくりかえさない)。

 やれやれですね。「既に繰り返さない」で片付けられては意味が全く分かりません。
 この記事の読者が「既に過去の阿部記事を熟知している」なんて前提を勝手に置くなと言いたい。俺は過去の阿部記事なんか熟知していませんし、大抵の阿部記事読者はそうでしょう。せめて過去記事にリンクを張ったらどうなのか。
 なお、「中国の脅威」云々と言った場合、問題にされることの一つは「南沙諸島問題(フィリピンやベトナムと中国)」ですし、既に「中国・ASEAN間」には「ASEAN+3 - WikipediaASEAN日中韓)」「東アジアサミット - WikipediaASEAN日中韓米露、豪州、ニュージーランド)」など「対話の枠組み」がある。しかもその対話の場には日本が入っている。
 であるならば「ASEANを基盤とした平和構築」を共産党が提言するのは「空想的」では全くないと俺は思います。
 むしろ阿部が放言する「台湾有事」の方がよほど「空想的」でしょう。

 岸田軍拡に反対する人の中には、田岡俊次*5のように台湾有事はあり得ないとする見解もある。

 田岡氏に否定的な「反中国分子」阿部ですが俺も田岡氏に同感です。
 別に「中国が平和主義」と言う話ではない。単に「合理的に考えれば台湾侵攻は中国の利益に反する」「その程度の合理性は中国政府にもあるだろう」という「合理主義の話」です。
 とはいえ、「米国に侵攻した戦前日本」のような「非合理主義的な価値観*6」の国も時にありますが、こうした問題は合理的に考えるべきです。阿部のように

 習近平主席は台湾の統一を実現して歴史に名を残そう*7としている。損得抜き*8で武力侵攻を試みる可能性*9は存在する。

として「中国政府は非合理的に動くかもしれない」と言ったら

◆台湾が大陸反攻するかもしれない(そうすれば中国の軍事的脅威を恐れる必要が無いので)。台湾がそのように動かないと何故断言できるのか
北方領土(あるいは竹島)を取り返すために自衛隊が軍事侵攻するかもしれない
フォークランド諸島(マルビナス諸島)を取り返すために、フォークランド紛争 - Wikipedia(1982年)のようにまたアルゼンチン軍が島に侵攻するかもしれない
→いずれも可能性は低いと見るのが常識的でしょうし、阿部もそうした理解でしょうが

など、「何でもあり」になってしまう。
 何故中国の侵攻の可能性が低いかと言えば第一に軍事的に勝てる保障がない。「米国製の武器提供」など、米国の軍事支援を受けるウクライナにロシアは現在苦戦してます。台湾も米国から「米国製の武器提供」など、軍事支援を受けている。
 第二に侵攻する大義名分が今のままではない。
 中国は侵攻の条件として「台湾の独立宣言」をあげています。であるなら台湾が現状維持に留まる限り、侵攻する大義名分がない。確かに「中国の反発を無視してペロシ訪台を受け入れる」などの蔡英文の挑発的態度は「独立を画策しているのではないか」との疑念と反発を中国に生んでいます。とはいえこの程度ではとても「独立宣言」ではないのは勿論「独立宣言に準じる行為(台湾の国連加盟申請とそれに対する米国の支持表明など)」と見なして侵攻することはできないでしょう。
 そんなことをすれば、現在ロシアに対してなされた「国連総会でのロシア非難決議」「欧米の対ロシア経済制裁」と同様の「中国非難決議や制裁」は避けられないでしょう。
 第三にそんなことをしたら中国国民党が完全に敵に回ってしまう。中国国民党は「蔡英文」に比べたらいくらかは中国に融和的です。
 それを完全に敵に回すのは得策ではない。特に「最近の地方選での民進党敗北、国民党勝利」で民進党支持率が低下し、民進党蔡英文)が「蔡英文民進党主席辞任(総統は辞任していませんが。なお、後任主席は頼清徳*10副総統)」「蘇貞昌*11首相の辞意表明」で「国民党の政権奪回」の目が「かなり出てきた(勿論、総統選までに何がどうなるかは分かりませんが)」のだから、なおさら侵攻しないでしょう。
 第四にそもそも侵攻に中国国民の賛同が得られるかどうか。中国国民の反発から「ゼロコロナ」を「緩和の方向」に修正したように、今や中国は文革時代等と違い、「上からの命令」で全てが動く時代ではないでしょう。
 なお、以上についてコメント投稿しましたが恐らく掲載拒否でしょう。自称リベラルが聞いて呆れます。
【追記:教師の上から目線】

教師の上から目線な物言い | 中学理科教師のつぶやき
 私たち教員が気にしなくちゃならんのは物言いではなくて指導上の実績なのだろうと思うのです。
 事実、多少根性が悪くても指導上の実績を上げている教師に対しては保護者や世間は何も言わん。

 「上から目線、教師」でググってヒットした記事です。
 俺の考えではこういうのが「典型的な上から目線」のダメ教師ですね。
 「実績(その教師が受け持つ生徒のテストの成績、部活動の実績)が良ければ、性格が問題があっても構わない」というなら「実績があれば子どもや保護者、同僚教師の人格侵害をするようなクズでもいいのか」と言う話になる。
 そういう考えこそが「職場でのパワハラ」なども生んでいる。
 そもそも「指導上の実績」をあげようが「人格に問題のある教師」は非難されて当然です。
 というか「人間関係がいい方」が多くの場合「実績も上がる」のであって、こういう「上から目線」では「そもそも実績も上げられない」のが「多くの場合の落ち」でしょう。
 そりゃ立場上「上司が部下に」「先輩が後輩に」「専門家(医師、弁護士など)が素人(患者などユーザー)に」対し、「自然と生じる」権力関係から、上から目線になりがちなのと同様「教師が生徒や保護者に」上から目線になりがちなのは確かでしょうがそれを「上から目線で何が悪い」と居直るのは最低です。
 恐らくこの御仁とて「医師と患者」等の関係で上から目線で話されれば「カチンとくる」でしょうに。
 勿論「モンスター親」にビクビクして信念がない教師という「下から目線(?)」も困りものですが、こうした「上から目線」を恥じないダメ教師も困りものです。

*1:サンフランシスコ総領事、外務省経済局長、アジア大洋州局長、外務審議官など歴任。現在、日本国際交流センターシニア・フェロー、日本総合研究所理事長。著書『外交の力』(2009年、日本経済新聞出版社)、『プロフェッショナルの交渉力』(2009年、講談社)、『日本外交の挑戦』(2015年、角川新書)、『見えない戦争』(2019年、中公新書ラクレ)など

*2:防衛庁運用局長、人事教育局長、長官官房長、防衛研究所所長など歴任。著書『検証・官邸のイラク戦争』(2013年、岩波書店)、『亡国の安保政策』(2014年、岩波書店)、『亡国の集団的自衛権』(2015年、集英社新書)、『自衛隊の転機』(2015年、NHK出版新書)など

*3:阿部の言う「護憲革新勢力」に「阿部が名前を出した共産党」以外に何が含まれるのか(自民、公明、維新、国民民主は改憲右翼勢力、社民は護憲革新勢力とみなすとして、立民、れいわは阿部にとってそれにあたるのか)、何故「護憲勢力」と書かないで「革新」をつけるのかは不明です。なお、一般的には「革新=左翼(現在の共産党社民党新社会党沖縄社会大衆党、昔の社民連など、俺の価値観では立民、れいわは革新ではない)」であり、一方で「護憲勢力」は「日米安保容認」の「自民党リベラル(加藤紘一官房長官河野洋平自民党総裁宮沢喜一元首相など)」なども「護憲勢力」と見なすならば、必ずしも左翼ではない。

*4:どうせ舌先三寸の社交辞令でしょう。本気で敬意を表してるなら「すでに空想的だという批判をしたことがあるのでくりかえさない」で片付けるような無礼はしないでしょう。阿部を見ていると「悪い意味での教師根性=上から目線」を感じます。「教師だからそうなったのか」、元から「そういう人格なのか」はともかく俺は阿部のような「上から目線(悪い意味での教師根性)」は反吐が出るほど大嫌いです。阿部が「アンチ共産」なので大嫌いですが多分、阿部が「共産支持」でも奴の「上から目線」には不快感を感じたと思います。過去の「阿部の生徒」にも阿部を「心底憎悪してる人間」も多いのではないか。

*5:元朝日新聞編集委員。著書『北朝鮮・中国はどれだけ恐いか』(2007年、朝日新書)、『日本の安全保障はここが間違っている!』(2014年、朝日新聞出版)。京都大名誉教授(国際法)だった田岡良一は父。自由民権活動家の田岡嶺雲 - Wikipediaは祖父

*6:とはいえ当時の日本としては合理的な判断でした。そこには「ドイツへの過大評価(ドイツがソ連と英国にいずれ勝利すれば、米国は日独同盟相手に一国だけで戦争となり日本が勝利できる)」があった。

*7:台湾統一などせずとも既に習氏は『AIIB創設(2015年)』『北京冬季五輪(2022年)』で歴史に名を残している。

*8:阿部ですら「台湾侵攻」が「損得勘定に反する」と認めていることが興味深い。

*9:阿部のように「損得勘定抜き」などと抜かしたらそもそも「中国に台湾侵攻をさせない外交手段はどうしたらよいか(阿部)」という問題設定自体が完全に無意味になります。そのことに阿部が気づいてないらしいのが滑稽です。それとも「まさかとは思いますが」阿部は「中国政府は台湾独立を正式に認めろ」と言う気なのか?

*10:台南市長、首相などを経て副総統、民進党主席

*11:屏東県長、台北県長(現在の新北市長)、総統府秘書長(日本の官房長官にあたる、陳水扁政権時代)等を経て首相