「珍右翼が巣くう会」に突っ込む(2022年6/24日分:荒木和博の巻)

「アメリカなら軍艦を出しても取り返す?」(R4.6.24): 荒木和博BLOG
 5分40秒の動画です。タイトルだけで見る気が失せます(一応見ましたが)。実に馬鹿馬鹿しい。
 何が馬鹿馬鹿しいか。
 第一に荒木は過去にも今回とほとんど同じ

「憲法の制約」と「アメリカなら軍艦」の間: 荒木和博BLOG2015.2.27
米国は助けてくれるのか(R3.12.8): 荒木和博BLOG2021.12.8

を記事にしています。何度同じ事を記事にすれば気が済むのか。
 従って過去にも俺はこの件で荒木批判していたと思いますが、すぐには記事が見つからないので過去記事の紹介はしません。
 第二に「米国と日本と関係ない」「米国ができることでも日本ができないことはできない」。
 例えば「米国などNATO諸国の一部は現在、ウクライナに武器供与」していますが、だからといって「日本も武器供与すべきだ」なんて話にはなりません。
 さすがに現時点では岸田政権はそんな右翼的立場、憲法無視ではありません*1が、ウクライナ支援は「難民支援」などいくらでも「非軍事的支援」がある。
 第三に「米国の過去の歴史から見て明らかにそうした物言いは事実に反する」。
 例えば

【1】プエブロ号事件 - Wikipedia(1968年)や「ワームビア君解放」
【2】ベトナム戦争の捕虜解放
 荒木も触れていますがベトナム戦争の捕虜としては共和党大統領候補にもなったマケインが有名です。
【3】イランアメリカ大使館人質事件 - Wikipedia(1979年)

のいずれも米国は軍事対応ではなく外交で解決しました(【3】だけは「イーグルクロー作戦」という軍事作戦が失敗したというもので、最初から外交方針だったわけではありませんが)。軍事大国「米国」だって「軍事対応」で全て解決してきたわけではない。
 そもそも居場所が分かってる【3】ですら軍事作戦失敗で、外交に切り替えましたが、日本人拉致の場合「居場所が分からない」。
 「居場所が分かる」というのは「軍隊で取り戻す」を実行する上での最低条件です。
 ここで「居場所が分からないなんて自衛隊は無能」と罵倒しても何もどうにもならない(俺は無能だとは思いませんが)。
 そして日本は

北朝鮮ケース】
◆金丸訪朝での第18富士山丸船長帰国(1990年)
◆小泉訪朝での拉致被害者帰国(2002年)
北朝鮮ではないケース】
◆シベリア抑留者帰国
よど号ハイジャック事件(1970年、佐藤内閣:北朝鮮への亡命を認め人質救出)
ダッカ日航機ハイジャック事件(1977年、福田赳夫内閣:いわゆる超法規的措置(身代金支払い等)で人質救出)
キルギス日本人誘拐事件 - Wikipedia(1999年)
イラク日本人人質事件 - Wikipedia(2003年、小泉内閣
安田純平*2拉致事件(2015年に拉致、2018年に解放)

という「外交での救出」実績が過去にあるわけです(これらの中にはどのような外交が行われたのかよく分からない物もありますが「日本政府の外交ゼロ」はさすがにないでしょう)。
 さて荒木が動画内で「先日、水道橋博士*3と対談しました(拉致について話したと言うだけで具体的な説明は皆無ですが。また、対談したといっても、荒木が参院選でのれいわ支持や、博士支持を打ち出してるわけでもありませんし、そもそも博士の出馬自体に触れていません)」というのには思わず吹き出しました。
 何故吹き出したかと言えば,以前

問題作『北朝鮮 拉致問題』がきょう発売に - 高世仁のジャーナルな日々
 書評*4も出始めた。以下は水道橋博士によるもの。
 有田芳生『北朝鮮 拉致問題 極秘文書から見える真実』を水道橋博士さんが読む。

という記事を読んでいたからです。水道橋博士を「善意の第三者」のように描き出していた高世ですが「博士」はおそらくこの件では「荒木や高世の協力者」なのでしょう。
 高世仁の幼稚なデマ自慢を平然と垂れ流すNHKの馬鹿さとクズぶりに本気であきれ返る - ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)が批判する「デマ話」に比べればましでしょうが「醜悪な政治工作」という点で変わりはありません。
 しかし「拉致について何を対談した」のか知りませんが、水道橋博士も良く「特定失踪者デマ」荒木なんかと「対談できる」もんです。

*1:勿論仮に「憲法上の問題がない」としても「武器供与できる」というほど話は単純ではない。「米国など武器供与してる国との関係性」もあります。「米国などが供与してる武器」を供与してもあまり意味がありませんが、とはいえ「諸事情から米国などが供与をためらってる武器」を日本が供与したらウクライナは歓ぶでしょうが、「我々の武器供与が足りないという批判か!」と日本への反発が出かねません。

*2:著書『ルポ 戦場出稼ぎ労働者』(2010年、集英社新書)、『シリア拘束 安田純平の40か月』(2018年、扶桑社)

*3:1962年生まれ。お笑い芸人、作家。1987年に玉袋筋太郎(1967年生まれ)と浅草キッドを結成(2020年に玉袋が所属事務所TAP(旧:オフィス北野)を自主退社する一方、博士はTAPに残留した為、コンビ解散。お互いにフリーとして芸能活動は継続)。2022年参院選にれいわ新選組から出馬。個人サイト水道橋博士公式サイト「博士の異常な入口」 - 博士の異常な入口 | 水道橋博士ポータルサイト浅草キッド名義の著書として『お笑い・男の星座』(2003年、文春文庫)、『お笑い・男の星座2』(2005年、文春文庫)など。水道橋博士名義の著書として『本業』(2008年、文春文庫)、『博士の異常な健康』(2009年、幻冬舎文庫)、『藝人春秋』(2015年、文春文庫)、『藝人春秋2:ハカセより愛をこめて』、『藝人春秋3:死ぬのは奴らだ』(以上、2021年、文春文庫)など (水道橋博士 - Wikipedia参照)

*4:そもそも、有田芳生『北朝鮮 拉致問題 極秘文書から見える真実』を水道橋博士さんが読む。は有田本を刊行した「集英社サイトの宣伝記事」であり、こういうのを「書評と呼んでいいのか」微妙な気もしますが。