今日の中国ニュース(2022年12月21日分)

「ゼロコロナ」転換、中国でコロナ死急増か…北京の葬儀場に車列「毎日100件超す」 : 読売新聞オンライン
 中国のいわゆるゼロコロナを「厳しすぎる、経済に悪影響が出ている」「国民に不満がある(一部で抗議デモ)」「オミクロンは弱毒、緩和が当然」等と中国政府に悪口していた日本マスコミ(今回紹介したのは読売ですがそれ以外も大同小異)が実際に中国政府が緩和*1するや、掌返しで「死者が増加」「十分な準備をせずに緩和したのが良くなかったのでは」等と非難するのには「中国叩きの結論ありきか。何処まで反共、反中国なのか?」「ゼロコロナ当時から、『オミクロンを甘く見るのは良くない、果たして緩和していいのか』『ゼロコロナには一定の合理性がある』としてゼロコロナ批判に対しては疑問もあったはず」と憮然とせざるを得ません(追記:コメント欄でも、日本マスコミ批判に賛同頂き、実に嬉しい)。
 と同時にこれは「オミクロンは弱毒」と言いたがる日本政府、財界、マスコミ(政府や財界の言いなり?)に対する「反証」ではないのか。中国と日本のコロナの性格がそれほど違うとも思えない。「マスク着用」「ワクチン接種」など様々な手が功を奏してるに過ぎず、日本も「舐めた態度を取った」り「誤った手を打った」りすればいつ「コロナ第8波」の悲劇が襲ってくるか分からないでしょう。そういう意味では中国の感染再拡大は「他山の石」であって一方的に非難できる話ではない。
 またネット上で指摘がありますが「100円ショップなど日本で売られてる商品のかなりの部分は中国製」「日本企業の輸出先のかなりの部分は中国市場」なので中国でのコロナ再拡大は「日本経済や日本人の生活」に無視できない打撃を与える可能性がある。反中国ウヨのように「ざまあみろ、中国」的な態度を取るのは馬鹿げています。


中国「天皇訪中」繰り返し要請、外務省は訪韓も検討 平成3年の外交文書公開 - 産経ニュース

 外務省は21日、1991(平成3)年の外交文書19冊、6800ページ超を公開した。
「来年の天皇陛下訪中実現*2にかける中国側の気持ちは非常に強い」
 記録によると、91年8月10日、中国を訪問した海部氏*3を歓迎する夕食会で、李鵬*4首相(当時)は海部氏にこう語りかけた。
 中国では89年6月、民主化運動を武力弾圧した天安門事件が発生した。これを受け西側諸国は中国に経済制裁を科したが、日本はいち早く制裁を解除。海部氏の訪中は事件後、西側の首脳として初めてだった。
 外務省が91年7月に作成した資料によれば、同年4月、李氏は訪中した中山太郎外相(当時)に「明年は国交正常化20周年であり、天皇・皇后両陛下に訪中していただく好機だ。もし訪中されるならば、中国人民、日本人民の歴史の傷口を治す上からも、友好関係を強固にする上からも重要だ」と呼びかけた。銭其琛*5外相(当時)も同年、2度にわたって中山氏と面会し、「本件が実現すれば、必ずや中国人民の熱烈な歓迎を受けることであろう」と語っている。

 中国側が「西側の経済制裁」への対応策の一つとして「天皇訪中」を考えていたことは以前から指摘されてるので意外性はない。
 むしろこの時期に外務省が文書公開したことの思惑が気になるところです。やはり「今年が日中国交正常化(1972年)から50年」という節目の年だからか。

 同じ記録には「天皇が韓国よりも先に(ボーガス注:共産国北朝鮮の友好国でもある?)中国を訪問することは、日韓関係に大きなしこりを残す可能性がある」とも書かれており、当時、外務省が(ボーガス注:天皇訪中に先立って天皇訪韓も検討していたことがうかがえる。ただ、訪韓は実現せず*6

 ここからは市場の重要性(人口の多い中国の方がより重要)という観点から「中国>韓国」と言う評価がされていたことが窺えます。
 ちなみにこれについては

天皇訪韓、31年前に日本側が提案 韓国外交文書に記載:朝日新聞デジタル2020.4.1
 1989年4月、当時の宇野宗佑*7外相が韓国の崔浩中外相に、韓国内の情勢次第で「天皇陛下の最初の海外訪問として、訪韓を調整したい」と伝えていたと韓国政府*8が当時の外交文書に記していた。韓国政府が31日、関連の文書を公開した。
 宇野氏は89年4月1日、竹下*9政権の外相として東京で韓国・盧泰愚政権の崔外相と会談した。
 一方、当時の外務省アジア局長だった長谷川和年氏*10は取材に、「日本側から天皇訪韓を提案した事実は一切ない」と話した*11

と言う報道が過去にあります。
 いずれにせよ「反共主義の観点」から韓国が重視されはしなかったわけです。まさに経済のほうが政治よりよっぽど現実(実状)に正直だ - ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)です(なお、1992年天皇訪中当時の韓国は盧泰愚政権)。

*1:「ゼロコロナの緩和」については別の拙記事積極支持ではない消極的支持(諦め)であれ、「デマ扇動やメディア統制による詐欺的支持獲得(いわゆるポピュリズム)」であれ、国民の支持無しでは独裁は成り立たない(追記あり) - bogus-simotukareのブログでも「国民の支持無しでは独裁は成り立たない一例」として触れました。

*2:実際に宮沢内閣によって1992年に天皇訪中が実施された。

*3:福田、中曽根内閣文相、自民党国対委員長(三木総裁時代)などを経て首相

*4:電力工業大臣、副首相兼国家教育委員会主任(文相)、首相、全人代委員長(国会議長)など歴任

*5:著書『銭其琛回顧録:中国外交20年の証言』(2006年、東洋書院)

*6:現在に至るまで天皇訪韓は実現していません。

*7:田中内閣防衛庁長官自民党国対委員長(三木総裁時代)、福田内閣科学技術庁長官、大平内閣行政管理庁長官、中曽根内閣通産相、竹下内閣外相などを経て首相

*8:当時は盧泰愚政権

*9:佐藤、田中内閣官房長官、三木内閣建設相、大平、中曽根内閣蔵相、自民党幹事長(中曽根総裁時代)等を経て首相

*10:著書『首相秘書官が語る中曽根外交の舞台裏』(2014年、朝日新聞出版)

*11:右翼の反発を恐れて長谷川氏が嘘をついてるとみるのが自然な気がします。