新刊紹介:「前衛」2025年9月号

 無能な俺でも紹介できる範囲で紹介しておきます。
 「編集後記」で参院選について「共産の後退」「極右排外主義参政の躍進」が簡単に触れられ「排外主義との戦い」等の重要性が述べられていますが、他の記事では特に言及はありません。次号以降述べられることになるのでしょう。
◆力の政治との対決、独左翼党の復活:ベルリン国際会議に参加して(緒方靖夫*1
(内容紹介)
 赤旗の記事紹介で代替。政党からの参加者は緒方氏以外はドイツ左翼党(主催者)とベルギー労働者党とのこと。
市民社会の役割提起/“大国”につかない自主的外交探る/ベルリン国際会議 緒方靖夫党副委員長2025.7.8

 参加者からは「日本の平和運動は持続的に発展しているが、弱体化している欧州としては日本との交流を進めたい」などの感想が出されました。

 「日本人」緒方氏への社交辞令の可能性は勿論あるでしょうが、「欧州の方が平和運動が発展してる印象」がありますが違うんですかね。
 欧州の左翼運動は発展しているが「平和運動は違う」のか。確かに「反核」と言う意味では「核保有国(米国)と軍事同盟関係にあるが、一応、非核の日本」は「核保有の英仏」よりは進歩的かもしれない(勿論欧州でも独伊などは非核国ですが)。

 欧州の左翼・進歩勢力の外交を巡っては、米国にも中国にもつかない「自主的な欧州」の選択が強調されました。米国か旧ソ連かという半世紀前の構成から入れ替わって(ボーガス注:ロシアではなく)中国が登場した変化が注目されました。

 それだけロシアの力が落ち、中国が力を付けたと言うことです。

 2月のドイツ連邦議会選挙で左翼党が躍進(改選前の28議席から64議席、得票率8・8%)したことについて、同党幹部に端的な理由をたずねました。すると「他党との違いを鮮明にできた」が回答でした。「反軍拡と反ファシズム」という他の政党にない唯一左翼党だけの立場が鮮明になったというのです。

 「反軍拡、反ファシズム(反排外主義)」なら日本共産党も同じなんですが「反軍拡、反排外主義が支持されるドイツ」と「そうでない日本」の差でしょう。「ドイツなら日本共産党は躍進したろう(一方、日本ならドイツ左翼党は躍進できなかったろう)」とげんなりしますが戦うしかないわけです。


◆ 財界本位の自民党政治を衝く(上):財界の資金と援助によって誕生した自民党(小松公生*2
(内容紹介)
 自由党日本民主党の合同による自民党誕生が「財界の働きかけ」によるものであることを「自民党50年史」「岸信介*3回顧録」などを元に指摘。自民党が誕生当初から「財界本意の政党」であり「労働者本意の政党では無い」と批判される。


◆ 「不登校についての提言」:日本共産党の探究(藤森毅*4
(内容紹介)
 赤旗の記事紹介で代替。
不登校についての提言/子どもの権利を尊重し、子どもも親も安心できる支援を/過度の競争と管理をやめ、子どもを人間として大切にする学校を/2025年5月23日 日本共産党
子どもの権利尊重し 安心できる支援を/不登校急増 共産党が提言/山添・吉良氏が会見2025.5.24
主張/共産党の不登校提言/子どもには休息の権利がある2025.6.3

子どもには休む権利/参院委・吉良氏 不登校巡り支援迫る2025.6.10
 吉良氏*5は、子どもがSOSを発した時に親がすぐに安心して休める制度を整えるべきだとして、「不登校休業制度」の新設や介護休業、育児休業制度の拡充を求めました。


◆ 物価高騰、追い打ちをかけるトランプ関税:日本経済再生妨げる産業空洞化、低賃金構造、財政赤字、累積債務、国民負担の増大(工藤昌宏*6
(内容紹介)
 タイトルの通りで「物価高騰」「トランプ関税」「産業空洞化」「低賃金構造」「財政赤字」「累積債務」「国民負担の増大」と言った問題がまず指摘されます。
 問題解決方策としては1)非正規雇用の削減(正規雇用の増加)、2)最低賃金の引き上げ、3)国民負担の軽減(増税が不可避となる大軍拡の中止、消費税減税(消費税減税とセットで累進課税や法人課税、金融資産課税の強化))等が主張されます。


トランプ大統領のイラン核施設攻撃の何が問題なのか:国連憲章国際法から考える(大久保賢*7
(内容紹介)
 赤旗の記事紹介で代替。

主張/米国のイラン攻撃/政府は米の属国的態度やめよ
 米国のイラン攻撃は、国連憲章国際法を蹂躙し国際秩序を根底から覆す、無法極まりない暴挙です。
 国連憲章は紛争解決の手段として武力の行使を禁止し、その例外を▽加盟国への武力攻撃が発生した場合▽安全保障理事会が認めた場合―に限っています。今回の攻撃はどちらにも該当しない明白な国連憲章違反の武力行使です。
 しかも、トランプ氏は自ら指名した国家情報長官が3月に「イランは核兵器を製造していない」と議会証言したことも「どうでもいい」などと切り捨て、核開発の具体的な証拠をまったく示していません。
 加えて、核施設への攻撃は、ジュネーブ条約など国際法に違反するもので、炉心溶融や広範な地域への放射能汚染が強く危惧されています。

 

イスラエルのガザ虐殺とイラン空爆(米沢博史*8
(内容紹介)
 赤旗の記事紹介で代替。
主張/ガザへの新たな攻撃/イスラエルは集団殺害やめよ2025.5.21
イスラエルによるイラン大規模攻撃を強く非難する | 日本共産党2025.6.13


◆廃墟に捧げる人間性の花束:ジョージ・フロイド殺害事件から5年(薄井雅子*9
(内容紹介)
 ネット上の記事紹介で代替。
ジョージ・フロイドさん殺害事件から5年、各地で式典 トランプ政権から逆風も - BBCニュース2025.5.26

フロイドさん死亡事故から5年 人種差別是正 現状は (辻’s ANGLE) - 国際報道 2025 - NHK2025.5.27
 一部の都市では、警察改革が進みました。
 警察官にボディーカメラの着用を義務づけたり、「チョークホールド」と呼ばれる首を絞める行為を禁止したりする自治体もありました。
 しかし、 アメリカのメディアは「こうした動きが、トランプ政権下で逆戻りしている」と指摘しています。相次ぐ政策転換が行われているからです。
 先週、 アメリカ司法省による象徴的な動きが2つありました。
 1つ目は、人種差別的な慣行があったと認められたミネソタ州ケンタッキー州の都市の警察改革の合意を、破棄するとしたこと。
 2つ目は、警察による黒人に対する過剰な力の行使があったとされる6つの地域の警察への調査を、打ち切るとしたことです。
 一言で言えば、人種差別的な行為があったと疑われた警察に対して、説明責任などを求めない姿勢を示したわけです。
 もともとトランプ氏は、ブラック・ライブズ・マター運動が起きた当初から、 「法と秩序」の重要性を訴え、 警察の側を擁護するような発言をしていました。
 ではアメリカの国民は今、どう感じているのでしょうか。
 事件から間もない 2020年の9月には 、ブラック・ライブズ・マター運動が「変化につながる」と期待した人は52%にのぼっていました。 しかし5年後どうなったかというと、2025年2月は、 「変化をもたらした」と回答した人は27%にとどまり、72%が「変化をもたらさなかった」と回答したんです。
 フロイドさんの事件をきっかけに強まった人種差別是正の機運は、 逆差別を訴えるトランプ政権のもとで転換を迎えています。


◆座談会「フジテレビ第三者委員会報告書・検証番組をどうみたか」(岩崎貞明*10/谷岡理香*11/松元ちえ*12
(内容紹介)
 座談会形式で書いてみます。

「検証番組では社長、会長を歴任した『フジテレビのドン』日枝元相談役に取材を申し込んだが断られたとしています。でも普段は夜討ち朝駆けというか、突撃取材をやってるはず。なぜそれが出来なかったのかという気がしますね」

「報道番組でよくあるスタッフロール(担当ディレクター、プロデューサーなど番組制作スタッフの名前表示。番組最後に表示されるのでエンドロールとも言う)が検証番組では無かった。責任を明確にするためにスタッフロールを付けるべきだった」 

「検証番組で『女性アナは上質なキャバ嬢』発言(元女性アナの証言で発言者は大多元専務。例えばフジテレビ、企業風土などを検証する番組を放送「女子アナは上質なキャバ嬢」 : 読売新聞フジテレビが検証番組、大多元専務が「女性アナウンサーは上質なキャバ嬢」発言 日枝氏は辞任説得に応じず、取材も拒否(2025年7月6日掲載)|日テレNEWS NNNフジテレビが検証番組を放送 大多亮元専務の「女性アナは上質なキャバ嬢」発言明らかに 日枝久氏を“ガバナンス不全の要因”と指摘 | TBS NEWS DIGバニーガール、胸をわしづかみ、面接でセクシーポーズ…フジ検証番組「女性アナは上質なキャバ嬢」発言の真相 | AERA DIGITAL(アエラデジタル)参照)が出てきたことには驚きました。やはり『女性差別』が今回の事件の背景にあることは明らかでしょう。なお、これを大多氏個人の問題と見なすべきではなく、やはり『フジの長年の社風』あるいは『フジ以外も含むテレビ業界の体質』と見るべきでしょう」

「今、ソ連軍への性接待を描いた『黒川の女たち』と言う映画が公開されていますが、女性を接待要員とすることに疑いを持たないという点で、80年前から日本は変わっていないのかという絶望すら感じました。」

「フジテレビに対しては、ガバナンス、コンプライアンスというなら、中居問題だけが問題じゃないと言いたいですね。例えば、木村花氏が自殺した『テラスハウス』の問題は解決したとはおよそ言いがたい。遺族である母親がフジを民事提訴しているわけですから。テラスハウス問題を遺族が納得する形で解決しない限り、フジのガバナンス重視、コンプライアンス遵守と言う言葉は私は信用できませんね。また、マスコミやスポンサー各社が『テラスハウス』問題を中居問題に比べ、軽視してるように見えるのも疑問を感じます。『テラスハウス』問題が解決しない限り、フジテレビでCMは流さないという、そのくらい厳しい態度を取ってもいい問題だと思います。」
「また、『テラスハウス』問題を契機にああいったリアリティーショー番組、一般人参加型バラエティ番組についてどうあるべきか、どうやって参加者の人権を守るのか、フジやテレビ局各社がもっと議論して当然ではないか?。今のままではまたああした悲劇が起きないとは言い切れないと思います」

「声明を出した民放労連はともかく民放連は何もしてないように思いますね。所管官庁の総務省と比べて、中居問題では遠藤民放連会長(フジテレビ副会長)に辞めてもらっただけで、ほとんど何もしなかったのではないか。しかも遠藤さんの後任会長が『テレ朝のドン』と呼ばれる早河洋テレ朝会長(1944年生まれ)ですよ。『フジのドン』日枝相談役(1937年生まれ)について、長期政権で組織(フジテレビ)を歪めたと批判しながら、何で遠藤会長の後任会長が早川さんなのか。」
【参考:テラスハウス問題】

「フジテレビは事件を風化させることを…」木村花さんの母が記者会見 番組「テラスハウス」出演巡る自死問題:東京新聞デジタル2025.1.29
 フジテレビの番組「テラスハウス」に出演したプロレスラー木村花さん=当時(22)=が2020年、交流サイト(SNS)で誹謗中傷を受けた後に自死した問題で、同局などに損害賠償を求める訴訟を起こしている母響子さん(47)が29日、東京都内で会見した。フジテレビ側が証拠の開示を拒み続けているとして「事件を風化させることを考えているようにしか感じない」と批判した。

木村花さん母、フジ株主総会の会場近くで訴え「人権を真剣に守って」 [フジテレビ問題]:朝日新聞2025.6.25
 響子さんは花さんが亡くなった問題についても(ボーガス注:中居問題のような)第三者委の設置を望んでいる。フジに対しては「人の命や人権をもっと真剣に守ってほしい」と要望する。

「フジ中居問題は防げたはず」 テラスハウス問題で自死した木村花さんの母・響子さんが悲痛な訴え | AERA DIGITAL(アエラデジタル)2025.7.13
 木村花さんの母で元プロレスラーの木村響子さんはフジや番組の共同制作会社を提訴している。今も法廷で闘い続ける響子さんが、「フジには人権意識がまるでない。このままでは次の被害者が出る」と危機感をあらわにする。
◆記者
 フジは今年3月、元タレントの中居正広氏の女性トラブルに端を発した一連の問題を受け、第三者委員会による調査報告書を公表しました。この報告書では、花さんが亡くなった事案が過去の「深刻な人権問題」と認定され、これまでのフジの対応が不十分であると指摘されています。
◆木村
 報告書には、私が裁判を起こすまで、フジの取締役会でテラスハウス問題についての報告も議論もなかったと書かれていました。さらに港浩一前社長は、中居氏の女性トラブルが発覚した時のことを、「(被害女性の)自死の恐れが一番怖かった。テラスハウスの件のようになったら責任をとれないという思いがずっとあった」と話していたとあり、はらわたが煮えくり返る思いでした。
 報告書でも指摘されていましたが、テラスハウスの問題も中居氏の問題も、根底にはフジの人権意識の欠如があるわけです。花の事件があった時にフジがちゃんと非を認めて自浄作用が働いていれば、中居氏の一件は防げたはずだと思います。
 フジは(ボーガス注:中居問題では)人権尊重を掲げて新しく生まれ変わる姿勢をアピールしていますが、裁判では相変わらず花の人権を無視した主張や、十分な証拠を出さない非協力的な態度を続けています。私からすれば二枚舌にしか見えないし、過去の問題は切り捨てて水に流すつもりなのでしょう。(ボーガス注:中居問題のように)スポンサー離れのような外圧がかかればすぐに第三者委員会を立ち上げるのに、一個人が声をあげても無視する対応の差には失望しかありません。
◆記者
 フジの親会社であるフジ・メディア・ホールディングスが6月25日に定時株主総会を開いた際、響子さんは会場外で株主たちにチラシを配り、フジが裁判で不誠実な態度を取り続けていると訴えました。大胆な行動に出た理由はなんですか。
◆木村
 フジが裁判を無意味に長引かせている間に、花の事件が社会から忘れられてしまうという危機感がずっとあるんです。株主の中には、「テラスハウス問題はこのままじゃだめだよね」「応援しているよ」とチラシを受け取って下さる方もいました。でもこれまでのネット上の反応などを見ていると、世間では私がフジに裁判を起こしていること自体を知らない方が非常に多い印象です。


統一協会解散命令をめぐって何が課題になっているか(阿部克臣*13
(内容紹介)
 架空問答で書いてみます。
Q
 統一協会の解散命令が確定することは確実と思いますが今何が問題になっているのでしょうか?

 第一に財産隠しの恐れですね。
 これについては既にダミー組織「天地正教」に財産を移すのではないかとして
謎の宗教法人「天地正教」 旧統一教会解散命令に「抜け道」の懸念 | 毎日新聞2025.3.28
財産移転先に北海道の宗教法人 16年前に指定、解散を想定―被害弁護団が懸念・旧統一教会:時事ドットコム2025.4.6
旧統一教会、「天地正教」を後継化か 解散命令時の財産移転先 所有地83ヘクタールを購入 |【西日本新聞me】2025.4.18
「旧統一教会の不動産、天地正教の所有に」 鈴木エイト氏が危惧 道新東京懇話会:北海道新聞デジタル2025.6.16
としてマスコミも報じています。
 特別法を作ってそのような抜け道を塞ぐことが必要ではないかと思います。
 第二にいわゆる「宗教二世問題」です。統一協会が消滅したところで二世の心の傷(トラウマ)は消えない。彼らの精神ケアをどうするかも重要な問題です。
参考

宗教2世支援の法整備を主張、当事者ら 旧統一教会の解散命令受けて [旧統一教会問題]:朝日新聞2025.3.26
 東京地裁が世界平和統一家庭連合(旧統一教会)に対する解散命令を決定したことを受け、宗教団体の信者の親をもつ2世らの団体が26日、東京都内で会見を開いた。「解散命令は2世の問題の解決には直結しない」として2世を守るための法整備を訴えた。
 会見を開いたのは、旧統一教会エホバの証人の2世らでつくる一般社団法人「スノードロップ」と、任意団体の「宗教2世問題ネットワーク」「JW児童虐待被害アーカイブ」のメンバー。
 会見に出席したスノードロップ代表の夏野ななさん(仮名)は「宗教を強制されたことで、精神的な後遺症を患い、人生そのものが奪われた。長年にわたって苦しんできた2世たちがいる。同じ過ちを繰り返すようなことがあってはならない」と話した。


特集「戦後80年」
◆占領軍に差し出された女性の声を「闇」から掬い出す(平井和子)
(内容紹介)
 平井氏については以前

新刊紹介:「歴史評論」2025年8月号 - bogus-simotukareのブログ
ソ連占領下の「満洲」で(平井和子)
(内容紹介)
 『日本占領とジェンダー:米軍・売買春と日本女性たち』(2014年、有志舎)、『占領下の女性たち:日本と満洲の性暴力・性売買・「親密な交際」』(2023年、岩波書店)という「筆者の過去の著書」で想像が付くでしょうが「ソ連占領下の満洲」での「ソ連兵による日本人への性暴力」が論じられています。

として「ソ連軍の性加害」関係で簡単に触れました。
 今回は「占領軍」と言うタイトルから想像が付くでしょうが平井『日本占領とジェンダー:米軍・売買春と日本女性たち』(2014年、有志舎)、『占領下の女性たち:日本と満洲の性暴力・性売買・「親密な交際」』(2023年、岩波書店)をもとに

ドウス昌代*14『敗者の贈物 : 特殊慰安施設RAAをめぐる占領史の側面』(1995年、講談社文庫)
・村上勝彦*15進駐軍向け特殊慰安所RAA』(2022年、ちくま新書)

等で知られる「RAA(特殊慰安施設協会)」について論じられていますが、小生の無能のため詳細な紹介は省略します。
【参考:特殊慰安施設協会

「占領下の女性たち」書評 国内外で「性の防波堤」担わされ|好書好日
 日本人女性は国内外で、米兵やソ連兵による性暴力の被害にあった。
 本書が重視するのは、一部の女性が「性の防波堤」として米兵・ソ連兵に公然と差し出されていた事実だ。「性の防波堤」を担ったのは、性売買に従事していた女性が多かった。男たちは、性を売る女性を犠牲にして、それ以外の女性を守ろうとしたのだ。
 占領軍の米兵に対しては特殊慰安施設協会(RAA)が設立され、各地に「特殊慰安所」が設置された。そこでは、一人の女性が何十人もの兵士の相手をさせられた。
 本書の時代像は、GHQの改革によって新たな日本が出発するという、一般的な歴史理解とは大きく異なる。兵士には性の処理が不可欠だとする戦前の発想は、戦後も温存された。
 一方、女性には貞操が求められ、性暴力の被害は女性の落ち度だと見なされ続ける。近年の#MeToo運動が立ち向かったものが戦後日本に残り続けた過程を、本書は示している。

論文題目:日本占領を問い直す―ジェンダーと地域からの視点―から一部引用
著者:平井和子 (HIRAI, Kazuko)
博士号取得年月日:2014年3月24日
 第一に、日本占領が日米で総じて「成功した占領」、「良い占領」と認識されていることに対して、勝者・敗者間で取り引きされた被占領国女性(RAAの女性たち、街娼、「パンパン」たち)の体験と、占領軍(駐留軍)を抱える地域住民の体験からこの認識を問い直すことである。特に、占領下で行われた「女性解放」の内容を、占領軍相手の女性たちの体験から問い直し、「女性解放」策が売春女性たちの人権を抑圧する形で進められたことを明らかにした。そのことを通して、今後新たな軍事介入や占領に「女性解放」が口実として使用されることを許さないための研究に貢献したいと考えた。
 第二に、1990年代以降、「戦争と性暴力」を女性に対する人権侵害としてとらえ直してきた国際的潮流を受けて、占領期の日本で、女性の身体を使って占領軍兵士の性的欲望をコントロールしようとした性政策も、日米(豪)合作による組織的性暴力であったと位置づけた。
第1章 占領軍「慰安所」(RAA・特殊慰安施設)の開設と展開
 本章で取り上げた大竹市の例に見られるように、「慰安所」開設を広島県・警察・業者と米軍が協働して進めた背景には、占領軍上陸に際して急遽RAA(特殊慰安施設)を準備した日本政府とこれを利用した米軍との「合作」の経験が前提となっている。
 全国の地方新聞を閲覧することによってRAAの募集範囲は、首都圏以外に北は青森県から西は静岡、長野、石川県というほぼ東日本全域に、一斉に出されていることが分かった。また、募集対象を第一に「経験者(娼妓・芸妓)」に置き、盛んに「曾テノ職場ヲ通ジテノ御奉公」を呼びかけているが、実際の応募には「無経験者」が多かったことも分かった。敗戦後、生活難の直撃を受けた貧困層の女性がこれに吸い寄せられていったと考えられる。
 次に、熱海・箱根に開設したRAAの5施設を検討することによって、地方の温泉都市が占領軍「慰安所」を受け入れ、国際観光保養都市として復興をはかるという面も見えてきた。
第2章 日米合作による性政策
(省略)
第3章 米軍基地売買春と地域―1950年代の御殿場を中心に―
 本章では、前章で見た日米合作による性病コントロールが地域でどのように展開され、対象となった「パンパン」たち(以下括弧外す)がどのような状況に置かれ、地域住民はどのような対応をしたのかを、米軍の3キャンプが置かれた御殿場市周辺(御殿場町・玉穂村・印野村・原里村・富士岡村、1955年合併して御殿場市)に焦点を当て、考察した。
第4章-1 占領と売春防止法、第4章-2 売春取締地方条例-静岡県の場合
第5章 「婦人保護台帳」に見る売春女性たちの姿-神奈川県婦人相談所の記録から

 省略
終章
 敗戦直後に日本政府が勝者へ向けてRAAや特殊慰安施設を開設したのは、「性の防波堤論」に依拠するセクシュアリティ認識によるが、この認識は当時の一般国民男女にも、女性国会議員や地域婦人会メンバーにも共有されていた。そして、この「性の防波堤論」と男性兵士には「慰安」が必要という「男性神話」は、2013年5月の橋下徹大阪市長の「慰安婦発言」で示されたように、現代の一部の政治家にも引き継がれている。しかし、本論文で見たように、占領軍「慰安所」は、「防波堤」になるどころか、占領軍兵士の性犯罪の温床となり、新たな買春地域(「赤線」や基地売買春)を生み出した。「性の防波堤論」は、占領期の歴史的事実を直視すれば破綻していることが明らかであり、この認識を克服することが真の意味で日本の「非軍事と民主化」、そして「男女平等」を自ら獲得することにつながるのである。

「特殊慰安施設協会」を用意した日本社会|怪しいTV欄2024.7.19
世界に一体こういう例があるのだろうか。占領軍のために被占領地の人間が自らいちはやく婦女子を集めて淫売屋を作るというような例が。
 作家・高見順*16の文章からの引用を暗澹たる思いで聞いたのは、NHKの「映像の世紀バタフライエフェクト」の「東京・戦後ゼロ年」。
 「占領軍の家族の反対に遭い、施設での売春行為は半年で中止された」と番組は解説します。米軍は公娼制度を認めておらず、その後のいわゆるポツダム命令にも公娼制度の廃止が盛り込まれていました。
 このような、世界にもあまり類を見ない施設を用意した異様な社会と、今の社会。80年の時間の隔たりはあるものの、別の社会にとって変わった経緯はなく、「継続」している。あの頃と今は続いてるのだという視点であれこれ考えてみることには、有用性がありそうです。
 日本政府は占領軍のための慰安施設を「性犯罪を防ぐため」に設立したといいます。ある女性たちを性犯罪の被害から守るため、ある女性たちには犠牲になってもらおうとの発想です。
 自分たちの娘など身内の女性たちと、それ以外の女たちの間に引かれた太い線を感じます。線を引く筆は、男性の権力者たちに握られています。
 特殊慰安施設協会を成り立たせたような考えがこの社会から完全に消えたとは考えにくい。窮すれば、また大きく頭をもたげるのではないか。

高見順 『敗戦日記』 | 荒野に向かって、吼えない…
 11月11日、高見は「伊東君」と銀座に行き、「松坂屋の横の地下室」の「特殊慰安施設協会のキャバレー」を見に行こうとする。高見が「のぞいて見たいが、入れないんでね」と言うと、伊東君は「地下二階までは行けるんですよ」とした。
『地下二階で「浮世絵展覧会」をやっている。その下の三階がキャバレーで、アメリカ兵と一緒に下に降りて行くと、三階への降り口に「連合国軍隊ニ限ル」と貼紙があった。』
『日本軍は前線に淫売婦*17を必ず連れて行った。朝鮮の女は身体が強いと言って、朝鮮の淫売婦が多かった。ほとんどだまして連れ出したようである。酒保の事務員だとだまして、船に乗せ、現地に行くと「慰安所」の女になれと脅迫する。おどろいて自殺した者もあったと聞く。自殺できない者は泣く泣く淫売婦になったのである。戦争の名の下にかかる残虐が行われていた。
 戦争は終わった。しかしやはり「愛国」の名の下に、婦女子を駆り立てて進駐兵御用の淫売婦にしたてている。無垢の処女をだまして戦線へ連れ出し、淫売を強いたその残虐が、今日、形を変えて特殊慰安云々となっている』。
 高見は「酒保の事務員だとだまして、船に乗せ、現地に行くと「慰安所」の女になれと脅迫」したとしている。
 高見は「徴用」され報道班としてビルマ、そして中国で軍と行動を共にした経験を持つだけに噂を含め日本軍の内情にある程度は通じていたのであろうし、水木しげるが『総員玉砕せよ!*18』や『カランコロン漂泊記:ゲゲゲの先生大いに語る*19』などで記したように、兵士や軍属においては「慰安婦」とされた人たちがいかにしてこのような目にあったのかなどは広く知られていたのだろう。

「敗戦日記」(高見 順) - ukiyobanare
 1945年の1月1日から12月31日まで、ほぼ毎日綴られた日記*20である。
 長くなるが、1945年11月14日の日記を下記に引用しよう。
※一部差別的表現があるかもしれないが、原文ママ
世界に一体こういう例があるのだろうか。占領軍のために被占領地の人間が自らいちはやく婦女子を集めて淫売屋を作るというような例が。
 さらにその企画経営者が終戦前は、「尊皇攘夷」を唱えていた右翼結社であるということも特記に値する。
 かかる恥ずかしい真似は支那国民はしなかった。
 日本人だけがなし得ることではないか。
 日本軍は前線に淫売婦を必ず連れて行った。
 朝鮮の女は身体が強いと言って、朝鮮の淫売婦が多かった。
 ほとんどだまして連れ出したようである。
 酒保の事務員だとだまして、船に乗せ、現地に行くと「慰安所」の女になれと脅迫する。おどろいて自殺した者もあったと聞く。自殺できない者は泣く泣く淫売婦になったのである。
 戦争の名の下にかかる残虐が行われていた。
 戦争は終わった。
 しかしやはり「愛国」の名の下に、婦女子を駆り立てて、進駐兵御用の淫売婦にしたてている。
 無垢の処女をだまして戦線へ連れ出し、淫売を強いたその残虐が、今日、形を変えて特殊慰安云々となっている。』
 これを読んだときに、今まさに隣国に対して、「慰安婦問題はもう賠償済みだから」といって取り合おうとしない、我が国の政府の態度が、まことに恥ずかしく思えてくる。


◆時代と向きあうとき「人間のドラマ」は生まれる:木下順二と戦争(佐藤広美*21
(内容紹介)
 劇作家・木下順二

沖縄戦を題材にした『沖縄』
ゾルゲ事件の尾崎秀実を題材とした『オットーと呼ばれる日本人』
東京裁判BC級戦犯裁判を題材とする『神と人とのあいだ』

など、戦争をテーマにした戯曲について論じていますが、小生の無能のため詳細な紹介は省略します。
【参考:沖縄】

松本昌次のいま、言わねばならないこと〜木下順二が問いかけたもの2014.2.1
 『沖縄』という作品がある。戦争中、日本兵によって恋人を殺された主人公の秀は、幕切れでその復讐を果たしたあと、海に身を投げて自裁する。その秀がたえずくりかえす台詞、「どうしてもとり返しのつかないことを、どうしてもとり返すために」こそ、木下さんがわたしたちに届けたかった最も大事な言葉であろう。
 日本近代が行ったアジア諸国に対する植民地支配、侵略戦争、それらによる膨大な加害のかずかずは、とてもとり返すことはできない。しかしどうしてもとり返さねばならない。それらがカネや条約なんかで結着がつくはずはない。
 木下さんは、「朝鮮に対する植民地支配」、「中国をはじめとするアジア諸国への侵略戦争」、「沖縄に対する差別」の三つを、本土日本人が近代に背負った原罪といった。

【参考:オットーと呼ばれる日本人】

オットーと呼ばれる日本人 | 芝居漬け2008.5.31
 新国立劇場にて「オットーと呼ばれる日本人」を観る。
 新劇界の大家、木下順二が1961年に発表、翌年劇団民藝で初演、その後70年代に他の劇団により上演、さらには2000年に民藝により再々演されているものの、他の木下作品、例えば「夕鶴」などに比べたら極端に上演回数の少ない作品。2回の休憩をはさんで3時間40分という上演時間の長さがその原因の一つなのだろうか。

劇団民藝公演「オットーと呼ばれる日本人」を観て | 渓流斎日乗2024.5.26
 1962年に劇団民藝により初演されました。演出は宇野重吉、尾崎秀実をモデルにしたオットー役は滝沢修ゾルゲをモデルにしたジョンスン役は清水将夫という豪華絢爛たる顔ぶれです。今回は劇団民藝としては(恐らく)24年ぶり4度目の公演で、丹野郁弓演出、オットー役に神敏将、ジョンスン役は千葉茂則です。
 素人臭い第一印象を述べさせて頂ければ、「随分難しい台詞が長い観念演劇だなあ」ということでした。私自身は、ゾルゲ事件に関してはかなり精通してますから(笑)、登場人物の「宋夫人と呼ばれるアメリカ人」(桜井明美)はアグネス・スメドレー*22満洲に諜報で派遣される林(吉田正朗)というのは川合貞吉*23、銀座のドイツ料理店で働き、ジョンスン(ゾルゲ)の愛人となったゾフィー(石川桃)は、石井花子*24をモデルにしてるな、と直ぐ分かるのですが、ゾルゲ事件に関して何ら基礎知識がない人が観てもよく分からないのではないかなあ、と思ってしまいました。特に若い人は。
 そう思って、468席の客席を一覧したところ、若者は殆ど見当たりませんでした。
 伝統ある民藝ですから、演劇通と同時に、ゾルゲ事件に関してある程度の知識を持った人たちだったかもしれません。 
 感心したことは、こんな難しい観念演劇が1962年当時、多くの人に受け入れられ、大ヒットしたことです。尊崇の念すら抱きました。当時の日本人は、今とは違って随分真面目だったんだなあという感慨です。

[演劇] 木下順二『オットーと呼ばれる日本人』 - charisの美学日誌2024.5.18
 初演が1962年、本上演が4回目で、丹野郁弓演出。評伝劇あるいは歴史劇の傑作だ。
 尾崎の構想は、「ソ連共産主義中国+日本」で「アジア共栄圏」を作り、欧米の帝国主義諸国家と対抗するというもの。それはユートピアすぎて不可能、と嘲笑するゾルゲとの議論が全体で一番面白かった。1941年8月の時点で、世界革命という視点からは、独ソ戦ソ連が勝つことだけが課題であり、日米開戦で日本は惨敗すればよい、とするゾルゲ。日米開戦だけは阻止したいと考える尾崎。結果的には、ゾルゲが正しく、尾崎構想は挫折した。ゾルゲは、KGB出身のプーチン*25が「国家の英雄」と讃えるだけの凄い人物だと思う。一方、尾崎は中国情勢を一番正しく捉えていた日本人と思われ、ちょっとした科白の端々から、中国革命を深く理解していることが分る。近衛文麿*26西園寺公一*27犬養健*28や、尋問での思想検事など、当時の体制エリートが尾崎を高く評価していた理由はたぶんそこで、尾崎は「スパイ」というちゃちな存在ではない。「ゾルゲ尾崎事件」はまだ全貌が明らかになっておらず、戯曲は、1962年に書かれたので、細部に修正すべきところはあるが、大筋は正しいだろう。また尾崎が魅力的な男性だったこともよく分る。


◆論点「大川原化工機事件が浮き彫りにした問題」(小林亮*29
(内容紹介)
 ネット上の記事紹介で代替。なお、残念ながら「警察の内部調査報告(2025.8.7発表)」は時期的な問題(前衛は8.8発売なので、8.7の警察発表を反映した論文を掲載することは勿論、物理的に不可能)で小林論文には反映されていません。恐らく小林氏は警察発表(各方面から不十分との批判が出ている)についてかなり批判的な見解でしょうが。

主張/大川原化工機冤罪/捏造の動機解明し徹底検証を2025.6.14
 暴走の一因に、当時の安倍晋三政権が推進する経済安全保障への忖度が指摘されており、検証が必要です。
 この事件は、容疑を否認するほど拘束が長くなる「人質司法」の怖さも突きつけます。大川原正明社長らの身柄拘束は332日に及びました。多くの冤罪を生んだ捜査手法への深刻な反省が必要です。
 勾留中に胃がんが見つかり、潔白が証明されたことを見届けることなく亡くなった同社顧問の相嶋静夫さんと遺族の無念を思わざるをえません。がんと診断された相嶋さんの保釈申請を却下した裁判所の責任も問われます。
 警視庁や最高検は問題点を検証するとしますが、警察、検察の内部検証でなく外部の目が必要です。秘密体質の警視庁公安部の不透明なお手盛り検証では許されません。事件をでっちあげ、無実の人を逮捕した重大な権力犯罪を徹底的に検証し、結果を公表し、体質を改めるべきです。

第三者機関の検証要求/大川原化工機冤罪で井上氏/参院内閣委2025.6.18
 日本共産党井上哲士*30参院議員は17日の参院内閣委員会で、大川原化工機冤罪事件の違法捜査を巡って警察庁最高検の責任を追及し、第三者機関による徹底検証を求めました。
 井上氏は、高裁判決が検察の勾留請求を「合理的根拠がなく違法」としたことを示し、勾留中にがんと診断され亡くなった同社顧問の相嶋静夫さんは適切な治療の機会を奪われたと強調。検察の検証を要求しました。また、不当な長期勾留の背景にある、罪を否認すると保釈されにくい「人質司法」をただすよう強く求めました。

大川原化工機えん罪 警視庁公安部歴代幹部ら19人処分・処分相当 警視庁の検証結果踏まえ | NHK | 事件2025.8.7
Q.具体的な再発防止策は?
A.検証報告書の中で、警視庁は今後、適切な捜査指揮を担保するため、公安部長が取りしきる捜査会議を導入するほか、捜査の監督や指導を行う部署を新たに設けるなどの対策を進めるとしている。逮捕された3人のうち、会社の顧問を務めていた相嶋静夫さんは無実が明らかになる前に亡くなった。こうした事実と今回の検証結果を重く受け止め、えん罪を生まない組織に改革できるのか。真に実効性のある取り組みが求められている。
◆警視庁関係者「なぜこうした処分か疑問」
 当時の捜査状況を知る警視庁の関係者がNHKの取材に応じました。
 警察当局の処分の内容については「処分は当然のことだが、人が亡くなっているのに、最も重くて『減給』という処分で相嶋さんの遺族が納得するのか。2審で認められた事実に忠実であるならば、なぜ、こうした処分になるのか疑問だ。うその調書を取ったり逮捕した人を欺いたりするような行為は刑事罰が相当であり、より重い処分が必要だったのではないか」とコメントしました。
 警視庁の再発防止策については「公安部長が直接、捜査を指揮することで今回のようなえん罪事件を防げるかは疑問だ。経済産業省との関係では部長レベルの話し合いによって事件化したはずで、今回の事件は部長レベルが『全く知らなかった』事件ではない。この程度の再発防止策で終わるなら第三者の目を入れた再検証が必要になるのではないか」と指摘しました。不正輸出事件の一部について取り調べの録音・録画を実施する方針については「唯一、評価できる。警視庁はやりたがらなかった仕組みだが違法な捜査を抑止するには一定程度、効果があるだろう」とコメントしています。
◆元警察庁キャリア「報告なくわからないでは捜査指揮官と言えず」
 警視庁公安部で捜査指揮を執った経験がある元警察庁キャリアで京都産業大学の田村正博*31客員教授は、警視庁の検証で幹部への報告が形骸化していたと結論付けたことについて、「今回の事件は公安部長が指揮官であったのに部長にきちんとした報告がなかったことは問題で、『細かい報告がないからわからない』では捜査指揮官とは言えない」と指摘しています。


◆暮らしの焦点「急増するリースバック・押し買い被害:ターゲットにされる高齢者」(寺下真)
(内容紹介)
 ネット上の記事紹介で代替。

住宅リースバック/単身高齢者が被害に/参院国交委 大門氏が国に対応要求2025.4.18
 大門氏*32は、不動産押し買い被害対策弁護団に寄せられた独居女性(85)の被害に言及。東京・六本木に本社ビルがある企業から、2500万円相当の自宅をわずか1000万円で押し買いされ、月9万円の家賃滞納を理由に退去を迫られているとして、いきなり家を奪われ、1000万円を超える高額な被害を生むリースバック悪用は大問題だとして、国交省に対応を求めました。

住宅押し買い被害多発/誇大広告規制を/参院国交委 大門議員2025.6.13
 大門氏は、契約後も法定期間内に解約できる宅建業法の「クーリングオフ」が、リースバックには適用できない問題について検討を要求。

 大門氏が言うようにやはりクーリングオフがリースバックにも適用できるように法改正すべきでしょう。

住宅の「リースバック」 高齢者中心にトラブル急増 注意を|NHK 関西のニュース2025.7.2
 相談の内容は▽「認知症の父親が、相場よりかなり低い価格で売却する契約を結んでしまった」など契約に関するものや▽「家賃6万円で住み続けられると説明されていたのに、3年経過後に11万円に値上げされ払えなくなった」など契約内容に関するトラブルが目立つということです。
 国民生活センター相談情報部の加藤良太課長補佐は「勧誘が迷惑な場合はきっぱり断り、即決しないことが大切だ。トラブルで困っている場合は、最寄りの消費生活センターに相談してほしい」と呼びかけています。


メディア時評
◆新聞「排外主義許さぬメディアの責務」(千谷四郎)
(内容紹介)

<主張>来日外国人の狼藉 取り締まり強化が必要だ 社説 - 産経ニュース2025.4.10
  来日外国人の迷惑な振る舞いが問題となっている。

<主張>外国人の高額療養 ただ乗り許してはならぬ 社説 - 産経ニュース2025.4.11
 さして保険料を納めずに果実だけ得ようとする「ただ乗り」*33を許してはならない。

<主張>外国人政策 議論を着実に進める時だ 社説 - 産経ニュース2025.7.15
 医療費が高くなる患者の自己負担を抑える高額療養費制度を利用するために、来日する中国人がいるとされる。
 林芳正*34官房長官は会見で、外国人をめぐり「国民が不安や不公平感を有する状況が生じている*35」と語った。
 日本は日本人の国だ。

など排外主義を扇動して恥じない「外国人差別」産経を批判。同業他社(朝日、読売、毎日、日経など)には「産経」を厳しく批判すると共に産経を「他山の石」とし、排外主義を批判し、まともな外国人記事を書くことを要望。
 新聞の「排外主義批判」の弱さも「排外主義右翼政党」参政党の躍進を助長したのではないかと批判。


◆テレビ「戦争の非人間性の実像に迫る」(沢木啓三)
(内容紹介)
 以下のテレビ番組、映画の紹介。
信越放送『沈黙の奥底:河野村分村が問いかけるもの』(2024年放送:ギャラクシー賞奨励賞受賞、手塚孝典ディレクター)
 長野県河野村(現・豊丘村)が行った満州移民を当時の河野村長「胡桃澤盛(くるみざわ・もり)」の日記を元に報じる。
参考

第32回 決壊 ~祖父が見た満州の夢~ | 民教協スペシャル | 民教協の番組 | 公益財団法人 民間放送教育協会(2018年放送)
編集後記
ディレクター:手塚孝典(信越放送
 10年ほど前、初めて胡桃澤盛の日記を手にした時の衝撃や感動を忘れることはできません。
 若い頃には、自由主義の風に触れ、社会の不条理や農民が置かれた苦境に心を寄せていた、聡明で慧眼を持つ盛が、なぜ、国策に与して、過ちを犯したのか。
 それは、「軍国主義の時代だったから」という一言で済ませてはいけないものです。敗戦後、そのことに最も苦しんだのが、盛自身ではなかったかと思います。これは、決して過去の戦争の話ではなく、現代の問題なのだと感じています。
 満蒙開拓を語ることは、私たちが、今の社会や政治、国のあり方と、どう向き合うのかを問うことであり、今回の番組制作を通して、その思いを強くしています。

村民73人の集団自決、自責の念で自殺した村長…「その孫だからこそ」満蒙開拓団の悲劇語り継ぐ 劇作家・胡桃沢伸さん:東京新聞デジタル2024.1.24
 1932年、「満州国」を建国した日本は、農村部などから移民を送り出し、その数は敗戦までに27万人。日米開戦後は、町村単位で地元に残る人と満州に送る人を分ける「分村移民」を推進し、各自治体に送り出し人数が割り当てられた。当時河野村長だった盛さんは分村移民を決断した一人だった。1945年春、27世帯、95人を吉林省に送り出している。
 しかし開拓団の成人男性は敗戦直前に徴兵され、村に残った女性や子ども、高齢者73人は、ソ連軍侵攻時に日本人に土地を奪われた中国の人たちに襲われ、帰国をあきらめて集団死。翌年、悲劇を知った盛さんは村民を送った罪責から自ら命を絶った。42歳だった。

◆映画「黒川の女たち」
 テレビ朝日報道ステーションの特集「独ワイマール憲法の“教訓”」、テレビ朝日テレメンタリー『ハマのドン "仁義なき闘い"』など多くのテレビドキュメンタリーを制作してきたテレビ朝日の社員「松原文枝*36」が制作したと言うことで「テレビ」コラムでの紹介。
 内容については
新刊紹介:「歴史評論」2025年8月号 - bogus-simotukareのブログ2025.7.19
今日の産経ニュース(2025年8/9分) - bogus-simotukareのブログ2025.8.9
で既に簡単に紹介しました。


ジェンダー覚書:The personal is political「なぜ若い女性は地元を離れるのか:2025年度版『男女共同参画白書』を読む」(米沢玲子*37
(内容紹介)
 ネット上の記事紹介で代替。

東京へ移る女性その理由は?“地方への潮流”カギは女性に|地方潮流 | NHK政治マガジン2022.2.25
 20代が52.8%で全体の半数余りに上ったほか、30代が18.8%と、20代・30代で実に70%以上を占める結果となりました。
 なぜ、こうした世代の女性たちが東京に多く入ってくるのでしょうか。
 人口移動に詳しいニッセイ基礎研究所の天野馨南子さん*38は、女性の大学進学率の向上が関係していると分析しています。
「女性にとって大学への進学が当たり前となった今、自らのキャリアを大切にしながら生きていきたいと考えている若い女性が非常に増えている。しかし、大学を卒業したばかりの女性が自己実現できるような魅力ある労働市場が地方には少ない。結果、自らのスキルを生かせる選択肢が多く、多様な働き方もできる東京に、20代前半の女性が集まる傾向が続いている。人の移動が減ったコロナ禍ですらその傾向は変わらない」

地方を去る女性たち・・・ なぜ地元に戻らない?女性流出 本音を聞いてみた - クローズアップ現代 取材ノート - NHK みんなでプラス2024.6.17
 国や自治体に対し、女性たちの本音を聞いてほしいという思いから「地方女子プロジェクト」を立ち上げた、山本蓮さんです。
 きっかけは3年前、地元山梨で就職活動をしていた時の出来事でした。
◆山本蓮さん
「女性の先輩の話を聞いたら、『私は営業で入ったのに事務に回されて、男性が営業、女性がその補佐をする体制になっていて、この会社でやりたいことはできないと思うよ』ってアドバイスをもらったときに自分の意志だけではどうにもならない環境があるなと思いました。
 東京に出れば少しマシになるけど、地元に残ったら我慢し続けなきゃいけないのかというのは、おかしいんじゃないかなと思って」
 山本さんが人口減少などのレポートを見て感じたのは、「女性は子どもを産むべき」という社会からの圧力。
 女性たちの本音を反映させて欲しいと、この活動を始めました。
◆山本蓮さん
「地方から女性が出ていってそれが人口減につながっている、みたいな課題を見たときに、投げかけられているのは『地元に戻って子どもを産め』ということなのかなみたいな。
 そういう圧みたいな、あおりみたいなものに感じ、地方が女性にとって生きづらい場所になっているのではないかという疑問があって。
 でも報道とかレポートとかを見ていても、そこに当事者である女性の声が全くない。私たちの思いは統計や数字になっていない感じがするので、それを示したいです」
 これまで山本さんは、10代後半~30代の地方出身の女性たち50人ほどに聞き取りを行ってきました。
 多くの人が地元を離れた理由としてあげたのは、「地元では働きがいがある仕事が見つからない」ということでした。
 東北地方の地域シンクタンクが18~29歳の女性を対象に行った調査からも“仕事”の重要性が浮かび上がります。
 東北圏から東京圏に移動した理由を複数回答で尋ねたうえで、インタビュー調査で最も重要視する項目を順位付けしてもらったところ「やりたい仕事・やりがいのある仕事が地方では見つからない」ことが地方から転出した主要因だということが分かりました。
 また、多くの女性が口にしたのが、「女性の役割」を求められる地方の息苦しさでした。
◆むくげさん(19歳・山形出身)
「育ってきたので地元に愛着はあります。でも東京が令和だったら、地方は江戸時代だなって」。
◆みずきさん(26歳・新潟出身)
「若年女性が生きやすい国にするとかじゃなくて、単純に『人口を増やさなきゃ』みたいなメッセージに感じてすごく危機感を持っています。女性を頭数で産む機械って思わないことが一番大事だと思っています」。
 一方、人口減少に悩む地方自治体の多くが力を入れるのは、結婚・出産・子育てへの支援です。
 新たに「消滅可能性自治体」とされた、富山県入善町です。
 この10年、町から流出する若年女性の割合は2倍に増加。出生数はこの10年で半分以下にまで減少しました。(140人→64人)
 笹島春人町長は、人口減少を止めるには、子育て世代の支援を手厚くし、出生数を維持する事が不可欠だと考えてきました。
 そのために町独自の予算をつけ、不妊治療費助成や子宝支援金など、子を産み育てる全てのライフステージでの支援を目指してきました。
 しかし、若年女性の流出は止まりませんでした。
 一方、地元を離れた女性たちからは、国や自治体が行う支援は結婚や子育てを前提にしたもので、独身女性へのサポートが少ないのではないかという声もあがりました。
 政府は先週、この10年の地方創生に関する政策の効果を点検し、報告書にまとめました。
 現状について「人口減少や東京圏への一極集中などの大きな流れを変えるには至っておらず、地方が厳しい状況にある」としています。
 そうした中で、今後は「女性・若者にとって魅力的な、働きやすい、暮らしやすい地域づくりに向けた検討を女性・若者の視点から行っていく必要がある」としており、「従来の取組を超える新たな発想に基づく施策を検討・実行していくことで、一人ひとりが多様な幸せ(well-being)を実現する社会を目指すことが重要である」としています。


文化の話題
◆美術「彼女たちのアボリジナル・アート」(武居利史)
(内容紹介)
 ネット上の記事紹介で代替。

「彼女たちのアボリジナル・アート」(アーティゾン美術館)に見る、オーストラリアの歴史と現代美術の現在地|美術手帖
 アーティゾン美術館で9月21日まで開催中の展覧会「彼女たちのアボリジナル・アート:オーストラリア現代美術」は、複数のアボリジナル女性作家に注目することで、アボリジナル・アートのなかにいまなお息づく伝統文化と、オーストラリア現代美術の現在地を読み解くものとなっている。本展を担当した学芸員の上田杏菜に企画意図を聞いた。
◆記者
 「アボリジナル・アート」の定義について、上田さんの視点から教えてください。
◆上田
 「アボリジナル・アート」とは、オーストラリアの先住民による美術を指します。
 皆さんはどちらかというと、アボリジナルより「アボリジニ」という呼び方のほうが耳馴染みがあるかもしれません。じつは現地では、差別的なニュアンスを含む言葉になります。ですから、本展では「アボリジナル」という表現を用いてアボリジナル・アートと定義しています。
◆記者
 今回の展覧会は女性作家にフォーカスをしているのが大きな特徴のひとつです。時代によって変化しているとは思いますが、アボリジナル・アートにおける、女性たちの文化的・社会的・歴史的な位置づけはどのようなものなのでしょうか?
◆上田
 現代アボリジナル・アートと呼ばれる形態は1970年代に起こったもので、その始まりはアクリル絵画にあります。
 当時、ここで活動していた作家はすべて男性で、女性は作家として認められていませんでした。こうした構造にはふたつの理由があります。ひとつは、主流社会が男性中心であったこと。もうひとつは、アボリジナル・コミュニティの男女の役割が分かれていたことです。当時、コミュニティを訪れる外部の人(役所の職員や、警察、人類学者など)は男性がほとんどでした。この外部の男性の相手をするのは、コミュニティの男性です。女性がコミュニティ外の男性に話しかけるということはタブー視されていました。
 女性たちは、バスケットや小さな彫刻を伝統的につくっていましたが、それは男性中心の西洋美術の価値基準からは工芸品や実用品であるとして、芸術作品としては認められませんでした。先住民の女性たちは、いわゆるその西洋の美術の枠組みのなかでは作家として認められなかった歴史がありました。本展では、出展作家であるエミリー・カーマ・イングワリィによるバティック(ろうけつ染めの布地)を1点展示しています。男性中心であった主流社会に女性が進出するようになった社会背景も影響しているのでしょう。パパニア・トゥーラ・アーティスト協同組合にも、 80年代になると白人女性のマネージャーが現れます。そのマネージャーに促されるかたちでコミュニティの女性たちは夫など男性作家とともに絵画作品の制作に関わり始め、次第に個人としても絵画を描くようになっていきます。また、同時期には国内で多文化主義が興り始めたため、アボリジナル・アートを国家のアイデンティティとして組み込もうとする動きも見られました。その戦略はオーストラリア国内の美術館でも見られ、先住民のバックグラウンドを持った女性キュレーターが雇用されるといったことも起こりました。このような流れもあり、女性のアボリジナル・アートというものがきちんと紹介されるようになったのは1980〜90年代の話なのです。
◆記者
 1980年代当時のオーストラリア国内の具体的な状況と、日本をはじめとするアボリジナル・アートの国外の動きについてもお伺いできますか?
◆上田
 アボリジナル・アートが最初に評価されたのは国外だったんです。オーストラリア国内は根強い先住民差別があったため、現代アボリジナル・アートが起こり始めても、目を向けられる土壌があまりなかったのだと思います。1980年代後半以降には、北米とヨーロッパで記念碑的な展覧会として「Dreamings: The Art of Aboriginal Australia」や「Aratjara: Art of the First Australians」が開催されました。そこでアボリジナル・アートに向けられる目がガラッと変わった。そうすると今度はオーストラリア国内もその動きを無視できなくなって、これをきちんと現代美術として受けいれていこう、という意識が生まれました。
◆記者
 日本とアボリジナル・アートの関わりはどのようなものでしょうか?
◆上田
 日本とアボリジナル・アートの関わりは、やはり国立民族学博物館みんぱく)による研究が大きいと思います。美術界で紹介され始めたのは1990年代に入ってからでしょうか。例えば、京都国立近代美術館が主催となって、アボリジナル・アートだけを紹介する展覧会が巡回したりもしていました。そう考えると、日本国内でアボリジナル・アートが注目されるようになったのはたった30年前のことです。
◆記者
 アーティゾン美術館(旧:ブリヂストン美術館)が2006年*39「プリズム:オーストラリア現代美術展」を開催して以来、アボリジナル作家の作品を収集していたこと自体も今回初めて知りました。
◆上田
 2006年は日豪友好協力基本条約の締結から30周年の年で、展覧会はそれを記念したものでもありました。「プリズム」展は広くオーストラリアの現代美術を紹介するもので、そのなかにアボリジナル・アートも含まれていました。
◆記者
 上田さんはオーストラリアのアデレード大学大学院学芸員博物館学修士課程を修了され、オーストラリア先住民美術を専門に学ばれました。アーティゾン美術館で学芸員になってからもオーストラリア先住民美術に関する論文を数多く執筆されています。このテーマに関心を持たれたきっかけなどがあれば教えてください。
◆上田
 国立新美術館で開催された「エミリー・ウングワレー展アボリジニが生んだ天才画家」(2008年*40)を見て大きな衝撃を受けたのがきっかけのひとつでした。
◆記者
 今回の展覧会はアボリジナル・アートのなかでも、女性作家にフォーカスをしていますね。そのねらいについて改めて教えてください。
◆上田
 作家の選定にあたっては、コレクションとしてすでに所蔵していたエミリー・ウングワレー、ノンギルンガ・マラウィリ、サリー・ガボリの3人は当初より含める予定でした。すでに国際的にも高い評価を得ている作家たちですし、活動地域や表現手法も異なります。ただこの3人だけで現代アボリジナル・アートを包括的に紹介できるかといったらできない。なぜなら、彼女たちはコミュニティに根付いた作家です。しかし現在アボリジナルの人口の8割は都市部で暮らしています。つまり、現代のアボリジナル・アートを語るならば、都市部で活躍をしている作家を含む必要があります。そこで選んだのが、マリィ・クラーク、ジュリー・ゴフ、イワニ・スケース、ジュディ・ワトソンの4人でした。
◆記者
 最後に、いまこの展覧会を日本で行うことの意義について、上田さんの考えをお聞かせください。
◆上田
 日本でただ紹介するだけでは「アボリジナル・アートってすごく面白いね」だけで終わってしまう可能性がある。企画の意図として、先住民やオーストラリアといった異国の文化をただ受容するだけの展覧会にはしたくなかった。彼女たちが作品を通じて伝えているメッセージを自分たちの生きる社会や文化と照らしあわせながら見ることで、新たな気づきがあるのではないかと思っています。

【レビュー】「オーストラリア現代美術 彼女たちのアボリジナル・アート」(アーティゾン美術館)。まなざす/まなざされる——先住民女性アーティストたちの「声」に応答する(評:鈴木弥香子)(Tokyo Art Beat) - Yahoo!ニュース
 先住民族への差別や排除の問題は、決してオーストラリアの特殊な歴史などではない。日本にも、アイヌ琉球といった先住民の人々は存在するのであり、彼ら/彼女たちの「声」、文化や記憶をめぐる語りは、長いあいだ抑圧され、奪われてきた。
 さらに、アボリジナルの人々への加害に、私たち日本人は間接的に加担してきたという事実にも向き合う必要がある。たとえば、イワニー・スケースの作品、《えぐられた大地》(2017年)からその関係について考えてみよう。
 彼女の作品では、ウラン資源採掘によっていかにしてオーストラリアの大地が傷つけられてきたかが、強い存在感をもって表現されている。採掘の結果、アボリジナルの人々は、深刻な健康被害と環境破壊に直面してきたのである。
 そして、そのウランの多くは、日本の原子力発電に使われてきた(*1)。私たちの「豊かで便利な生活」は、彼ら/彼女たちの犠牲の上に成り立ってきたのだ。
(*1)松岡智広「ウラン採掘地から福島へのオーストラリア先住民の眼差し」(山内由理子*41編『オーストラリア先住民と日本』(2014年、御茶の水書房)収録)

 【レビュー】「オーストラリア現代美術 彼女たちのアボリジナル・アート」(アーティゾン美術館)。まなざす/まなざされる——先住民女性アーティストたちの「声」に応答する(評:鈴木弥香子)(Tokyo Art Beat) - Yahoo!ニュースの指摘「アイヌ琉球民族」云々、「核開発による被曝」云々は「政治的に重要な指摘」ですが、多分「予備知識なし」で美術展だけ見たら「そこまで読み取ることは恐らく難しいのだろうな」とは思います。


◆映画「摩文仁 mabuni」(伴毅)
(内容紹介)
 ネット上の記事紹介で代替。

沖縄観光を楽しむ私たちは、沖縄戦の歴史を知っているか。ある映画が問いかける、慰霊の形と歴史との向き合い方 | ハフポスト NEWS
 新田義貴監督に話を聞いた。
◆記者
 映画の主人公である大屋初子さんが、集団自決について話すシーンが印象的でした。
◆新田
 集団自決の場にいた方は「自分だけ生き残ってしまった」という思いで、なかなか自身の経験を話すことはありませんでした。
 しかし高齢になるにつれ、やはり自分が見たことを話しておかないといけないと思う方もいらっしゃり、大屋さんもそのような気持ちでご経験を話してくれたのではないかと思います。
 以前に撮影をし、映画に登場する方々は大田*42元県知事含め、すでに他界された方もいて、認知症でインタビューが難しいという方もいます。今後は、新たに戦争体験者の証言を撮るということは本当に難しくなってきます。戦後80年というタイミングで、クラウドファンディングを行い、これまで取材を受けてくださった沖縄の人たちに対する感謝を込めて、映画化することができました。
◆記者
 東京で本作を上映することにどのような思いを持っていらっしゃいますか。
◆新田
 戦争中に沖縄で何があったのかということを、本土の人に伝えたいという気持ちが強くありました。
 映画のタイトルにも「mabuni」とローマ字での表記を添えましたが、これは本土の人には「摩文仁」を読めない人も多いからです。
 沖縄の人々にとって摩文仁沖縄戦の象徴ですが、本土では知らない人も少なくありません。
 本土の人たちの多くは沖縄が好きで、旅行で海や(ボーガス注:沖縄美ら海水族館など)水族館に行くけれど、良いところばかり見て、沖縄が置かれてきた歴史や、戦後も米軍統治下で苦労してきたことなどをよく知りません。
◆記者
 大田実海軍司令官の孫である大田聡さんが沖縄をめぐり「弱いところに負担を押し付けて、日本社会が社会構造として成り立っている」「忸怩たる思い」と話されていました。その言葉をどう受け止めていらっしゃいますか。
◆新田
 本土の人たちは沖縄の女性たちが米兵の性暴力の被害に遭っていることや、米軍機が小学校に墜落した事件、交通事故でひき逃げされた事件*43などは知っているでしょうか。そのような沖縄の人たちの痛みに、関心を持っているでしょうか。


◆写真「豆塚猛写真展『「ピカドンのドンが聞こえなかった人々』が伝えるもの」(白鳥悳靖)
(内容紹介)
 ネット上の記事紹介で代替。

ピカドンの「ドン」、聞こえなかった ろう者の被爆体験を後世に | 毎日新聞2025.6.14
 ピカドンの「ドン」が聞こえなかった人たちがいる。
 80年前の夏、長崎で被爆したろう者(聴覚障害者)たちだ。
 その体験は長い間誰にも伝えられず、記憶の中に封印されていた。
 写真家の豆塚猛さん(70)=京都市=は戦後40年が経過した1985年、京都から長崎へ通い、聴覚障害のある被爆者たちの体験を手話通訳を通じて聞き取りながら撮影を重ねた。

「ピカドンのドンが聞こえなかった」ろうあ被爆者の写真展、東京で [戦後80年 終戦の日 被爆80年]:朝日新聞2025.6.21
 耳が聞こえず、言葉が話せない、長崎のろうあの被爆者の日常を記録した写真展「ピカドンのドンが聞こえなかった人々」が東京の丸の内フォトギャラリー(東京都千代田区丸の内3の3の1)で開かれている。撮影した写真家の豆塚猛さん(70)は「被爆80年の今年、写っているほとんどの方は亡くなっているでしょう。記憶の継承の助けになれば」と話す。30日まで。
 豆塚さんは撮影を通じて手話通訳者に出会ったことをきっかけに、1985年ごろから長崎を訪問し、約10年間撮影を続けた。91年に写真集「ドンが聞こえなかった人々」を出版した。

京都:<戦後80年>ピカドンの「ドン」 聞こえずとも:地域ニュース : 読売新聞2025.7.25
 長崎で被爆した聴覚障害者の日常を写した写真展「ピカドンのドンが聞こえなかった人々」が、東山区の京都写真美術館ギャラリーで開かれている。撮影した京都在住の写真家、豆塚猛さん(70)は「写真に納まる一人ひとりの強いメッセージを感じてほしい」と話す。
 豆塚さんは40年前、全国手話通訳問題研究会の長崎支部が発足したことをきっかけに、同支部の手話通訳者から「被爆した聴覚障害者の生活を記録してほしい」と依頼され、撮影を始めた。

ろうあ被爆者の人生伝える50点 70歳の写真家が長崎市で写真展|【西日本新聞me】2025.8.11
 耳が不自由な中、80年前に原爆被害にあった「ろうあ被爆者」を紹介する写真展「ピカドンのドンが聞こえなかった人々」が10日、長崎市茂里町のベネックス長崎ブリックホール回廊ギャラリーで始まった。15日まで。写真家の豆塚猛さん(70)=京都市在住=が、ろうあ被爆者と40年以上も交流しながら撮影した写真50点が並び、その生きざまを伝える。入場無料。
 写真展を企画した日本リアリズム写真集団長崎支部によると、ろうあ被爆者をテーマにした展示会は県内初という。会場には豆塚さんが常駐しており、解説なども行う。

 6月が東京、7月が京都(終了済み)、8月が長崎(開催中)という巡回展ですね。


◆スポーツ最前線「デフリンピック・初の日本開催:草の根から仲間でつくる大会に」(山崎賢太
(内容紹介)
 ネット上の記事紹介で代替。知らない方も多いでしょうが、というか俺も無知なので「この記事を読むまで知りません」でしたが今年(2025年)は東京でデフリンピック(期間は11/15~26までの12日間)があります。
公式サイト東京2025デフリンピック | TOKYO 2025 DEAFLYMPICS

2025年デフリンピックは東京開催!メダリストが語る魅力 #ろうなん9月号 - ハートネットTV - NHK2024.3.5
 聴覚障害者のスポーツの祭典「デフリンピック」が、2025年に東京で開催されることになりました。オリンピックやパラリンピックと同様、4年に1度行われる世界大会で、2022年5月のブラジル大会では日本選手団が過去最多のメダルを獲得しました。
 デフリンピックでは選手の聞こえの差をなくすため、全員が補聴器を外して競技に臨みます。そうしたなか、聞こえない選手たちが最大限の力を発揮できるよう、大会としてもさまざまな工夫がされているのが特徴です。
 そのひとつが、陸上競技で使用されるスターター。ランプの色でスタートのタイミングを伝えます。赤は「位置について」、黄色は「用意」、白が「スタート」です。
 テコンドーなどの格闘技でも独特の仕組みが使われています。会場が突然真っ赤になることがありますが、これは審判による「待て」の合図。どんな体勢でも目で見て分かるよう、会場全体を赤く光らせているのです。
 さらに、大会の会場には大型モニターが設置され、進行状況や試合の結果は手話や文字で伝えられます。競技の配信映像には、国際手話の通訳と英語の字幕がついています。
 こうした手厚い情報保障があるからこそ、聞こえない選手も観客もデフリンピックを楽しめるといいます。
 2022年に開催されたブラジル大会で、日本は11日目までに過去最多のメダルを獲得。2大会連続優勝を狙う女子バレーボールも、準々決勝で強豪アメリカを圧倒して準決勝進出を決めました。
 しかしその翌日、各国の選手団のあいだで新型コロナウイルスが感染拡大し、日本選手団の中で陽性者が急増。これを重く見た全日本ろうあ連盟が、全競技を途中で棄権することを発表。選手の間に落胆の声が広がりました。
 さらに、この途中棄権をきっかけに、デフリンピックの抱えるさまざまな問題が浮かび上がることになりました。実は、デフリンピックは、出場するためのほとんどの費用を選手が自分で負担しています。
 競技団体によると、1人あたりおよそ50万円の費用がかかっているとのことです。途中棄権の結果、1試合も出場できなかった選手もいたことによって、こうした自己負担の問題がより浮き彫りになりました。
◆マウンテンバイク・早瀬久美*44選手
デフリンピックには知名度の問題があります。もし、オリンピック・パラリンピックと同じくらい皆さんが注目していれば、デフリンピックの価値も上がると思います。企業もアスリートと契約をして、会社勤めをしながら競技に打ち込める環境をつくることもできると思うのですが、日本では足りていないのかもしれません。』
 日本財団パラリンピック研究会の調査によると、パラリンピックの認知度はおよそ98%。一方で、デフリンピックはおよそ11%しかありません。
 そうしたなか、2025年の東京大会は状況を変える好機だと、早瀬さんと佐々木さんは意気込みを語ります。
◆早瀬さん:
 デフリンピックに向けて頑張っているろうのアスリートたちが、今どんな競技に取り組んでいるのか、どのような問題を抱えているのかを見てもらうことで、ろう者を知る良いきっかけになると思います。
◆陸上・佐々木琢磨*45選手:
 本当にいい機会だと思います。観客席を満席にして、そこで100メートルの世界記録を更新して勝つ。さらに、100メートル、200メートル、またリレーでも勝って、三冠王になるところを皆さんにお見せしたいです。100%超えるくらい自信があります!

*1:共産党副委員長、国際委員会責任者。著書『フランス左翼の実験』(1987年、大月書店)、『日本共産党の野党外交』(2002年、新日本出版社)、『イスラム世界を行く:中東・湾岸六カ国の旅』(2003年、新日本出版社)、『つながる9条の絆』(2014年、新日本出版社)等

*2:著書『原発にしがみつく人びとの群れ』(2012年、新日本出版社)、『カジノ狂騒曲』(共著、2014年、新日本出版社)、『政党助成金に群がる政治家たち』(2015年、新日本出版社

*3:戦前、満州国総務庁次長、商工次官、東条内閣商工相を歴任。戦後、日本民主党幹事長、自民等幹事長(鳩山総裁時代)、石橋内閣外相を経て首相

*4:共産党文教委員会責任者(党中央委員、子どもの権利委員会副責任者、学術・文化委員会委員兼務)。著書『教育の新しい探究』(2009年、新日本出版社)、『いじめ解決の政治学』(2013年、新日本出版社)、『教育委員会改革の展望』(2015年、新日本出版社)、『教師増員論』(2021年、新日本出版社

*5:参院議員。共産党「子どもの権利委員会」責任者(常任幹部会委員兼務)

*6:東京工科大学名誉教授。著書『日本海運業の展開と企業集団』(1991年、文眞堂

*7:弁護士。「日本反核法律家協会」事務局長、会長を歴任。著書『「核の時代」と憲法9条』(2019年、日本評論社)、『「核兵器も戦争もない世界」を創る提案』(2021年、学習の友社)、『迫りくる核戦争の危機と私たち』(2022年、あけび書房)、『「核の時代」と戦争を終わらせるために』(2022年、学習の友社)、『「核兵器廃絶」と憲法9条』(2023年、日本評論社)、『「原爆裁判」を現代に活かす』(2024年、日本評論社

*8:赤旗カイロ支局員

*9:著書『戦争熱症候群:傷つくアメリカ社会』(2008年、新日本出版社

*10:雑誌『放送レポート』編集長。専修大学特任教授(メディア研究)

*11:東京MXテレビ「東京NEWS」キャスター、東海大学教授(メディア研究)等を経てメディア総合研究所所長。著書『テレビ報道職のワーク・ライフ・アンバランス』(共著、2013年、大月書店)。公式サイト谷岡理香公式サイト

*12:新聞通信合同ユニオン委員長

*13:全国統一教会被害対策弁護団メンバー

*14:1938~2022年。1977年、『東京ローズ』(サイマル出版会→後に文春文庫)でデビューし、講談社出版文化賞ノンフィクション部門を受賞。1982年、『ブリエアの解放者たち』(文藝春秋社→後に文春文庫)で文藝春秋読者賞を、1992年、『日本の陰謀 : ハワイオアフ島ストライキの光と影』(文藝春秋社→後に文春文庫)で大宅壮一ノンフィクション賞、新潮学芸賞を、2000年、『イサム・ノグチ』(講談社→後に講談社文庫)で講談社ノンフィクション賞を受賞(ドウス昌代 - Wikipedia参照)

*15:NHK記者、BPO(放送倫理・番組向上機構)事務局員を経て月刊『マスコミ市民』編集委員。著書『政治介入されるテレビ:武器としての放送法』(2019年、青弓社)(アマゾンの著者紹介による)

*16:1907~1965年。日本近代文学館初代理事長。死後、文化功労者を追贈。著書『如何なる星の下に』、『死の淵より』、『わが胸の底のここには』(以上、講談社文芸文庫)、『敗戦日記』(中公文庫)、『終戦日記』(文春文庫)、『文壇日記』、『闘病日記』(以上、岩波同時代ライブラリー)等(高見順 - Wikipedia参照)

*17:勿論、従軍慰安婦のこと

*18:現在は講談社文庫

*19:現在は小学館文庫。『カランコロン漂泊記』での慰安婦への言及については例えば水木しげる『従軍慰安婦』でも描かれた数の暴力 - 法華狼の日記(2010.9.7)、●エッセイ集&漫画・・ 「カランコロン漂泊記」-水木しげるが見た従軍慰安婦- - Kenの漫画読み日記。(2015.3.28)、追悼! 水木しげるが描いていたラバウルの戦争体験と慰安婦…「80人の兵隊を相手に…あれはやっぱり地獄だ」|LITERA/リテラ(2015.11.30)、水木しげるが描いていたラバウルの戦争体験と慰安婦 | さぶろうの WORDS OF LOVE(2016.1.15)参照

*20:現在は中公文庫

*21:東京家政学院大学名誉教授。著書『総力戦体制と教育科学』(1997年、大月書店)、『植民地支配と教育学』(2018年、晧星社)、『「誇示」する教科書』、『災禍に向きあう教育』(以上、2019年、新日本出版社)、『戦後教育学と戦争体験』(2021年、大月書店)、『教師のモラルとは何か』(2023年、新日本出版社

*22:1892~1950年。著書『偉大なる道:朱徳の生涯とその時代(上下)』(岩波文庫)、『中国の歌ごえ(上下)』(ちくま文庫

*23:1901~1981年。ゾルゲ事件連座して懲役10年の判決を受けるが1945年に釈放

*24:1911~2000年。著書『人間ゾルゲ』(角川文庫)

*25:エリツィン政権大統領府第一副長官、連邦保安庁長官、第一副首相、首相等を経て大統領

*26:戦前、貴族院議長、首相を歴任。戦後、戦犯指定を苦にして自殺

*27:1906~1993年。元老西園寺公望の孫。ゾルゲ事件禁錮1年6月、執行猶予2年の有罪判決を受け西園寺公爵家家督を弟の不二男に譲った。著書『貴族の退場』(1995年、ちくま学芸文庫)等

*28:犬養毅首相の三男。ゾルゲ事件で起訴されるが無罪判決。戦後、吉田内閣法相。著書『揚子江は今も流れている』(1984年、中公文庫)等

*29:弁護士。共産党法規対策部副部長

*30:2025年参院選で残念ながら落選したため、現在は前議員(共産支持者として書いてて無念さに改めて泣きそうになりましたが、一日も早い井上氏の国政復帰を記念するとともに、共産支持者の皆さんには「支持者としてお互いに、出来る範囲で頑張りましょう」と書いておきます)。共産党幹部会員

*31:秋田県警本部長、福岡県警本部長、警察大学校長等を歴任

*32:参院議員。共産党政策副委員長(党中央委員兼務)

*33:そもそもそんな「ただ乗り」が何処に存在するのか。まともな根拠など何もなく、明らかなデマでしょう。

*34:福田内閣防衛相、麻生内閣経済財政担当相、第二次安倍、第三次安倍内閣農水相、第四次安倍内閣文科相、岸田内閣外相、官房長官を経て石破内閣官房長官

*35:そのような不安や不公平感が仮にあったとしても、まともな根拠はなく「不当な差別」「排外主義」でしかないでしょう。

*36:著書『ハマのドン:横浜カジノ阻止をめぐる闘いの記録』(2023年、集英社新書

*37:共産党ジェンダー平等委員会事務局員

*38:著書『データで読み解く「生涯独身」社会』(2019年、宝島社新書)、『まちがいだらけの少子化対策』(2024年、金融財政事情研究会

*39:アーティゾン美術館に改称されたのは2019年であり、「プリズム:オーストラリア現代美術展」が開催された2006年当時はブリヂストン美術館(アーティゾンは「アート(芸術)」と「ホライゾン(地平)」を組み合わせた造語)。ブリヂストン美術館ブリヂストン創業者である石橋正二郎(1889~1976年)の収集した美術品を展示するため、1952年、東京・京橋のブリヂストン本社ビル内に開館。1956年には石橋財団(初代理事長は石橋正二郎)が設立され、1961年には美術品が財団へ移管された(アーティゾン美術館 - Wikipedia参照)

*40:上田氏は1988年生まれで2008年当時は20歳

*41:東京外国語大学准教授

*42:1925~2017年。琉球大学名誉教授。沖縄県知事(1990~1998年)、参院議員(2001~2007年)を歴任。著書『沖縄平和の礎』(1996年、岩波新書)、『沖縄は主張する』(1996年、岩波ブックレット)、『新版・醜い日本人:日本の沖縄意識』(2000年、岩波現代文庫)、『沖縄、基地なき島への道標』(2000年、集英社新書)等

*43:但し本土にも「沖縄に比べれば数は少ない」ものの、岩国基地山口県)、佐世保基地長崎県)、三沢基地青森県)、横須賀基地(神奈川県)、横田基地(東京都)などがあり、基地被害はあることに注意が必要です。

*44:1975年生まれ。聴覚障害者として日本で初めて薬剤師免許を取得。マウンテンバイク女子で、2013年のブルガリアデフリンピックで銅メダル、2017年のトルコデフリンピックで銅メダル、2022年のブラジルデフリンピックで銀メダルを獲得。この功績により2013年に東京都民スポーツ大賞、2017年に横浜市スポーツ栄誉賞を受賞。著書『こころの耳伝えたい。だからあきらめない。』(2004年、講談社)(早瀨久美 - Wikipedia参照)

*45:2022年のブラジルデフリンピック陸上男子100メートルで金メダル