吉行和子さん、天国へ。何よりも映像(映画、テレビ、そしてアニメまで)に愛された女優でした。|三浦小太郎
「アニメ出演した女優」というと吉行氏*1よりも
【ウィキペディア参照】
【岸田今日子】
初代ムーミン(フジテレビで1969年~1970年(第1シリーズ)、1972年(第2シリーズ)に放送)
【戸田恵子】
◆『機動戦士ガンダム』(テレビ朝日で1979~1980年に放送)の「マチルダ・アジャン(地球連邦軍中尉。ジオン軍のモビルスーツ『ドム』との戦闘で戦死)」
◆『キャッツ・アイ』(日本テレビで1983~1984年(第1シリーズ)、1984~1985年(第2シリーズ)に放送)の来生三姉妹の次女「来生瞳」(内海俊夫刑事(CV: 安原義人)の恋人でもあり、主人公的存在)。なお、来生泪(長女)が藤田淑子*2、来生愛(三女)が坂本千夏
◆3期鬼太郎(フジテレビで1985~1988年に放送)
◆アンパンマン(日本テレビで1988年から放送開始し、現在も放送中)
◆ジブリアニメ『魔女の宅急便』(1989年公開)の『グーチョキパン店店主のおソノさん*3』
→今でこそ『アンパンマン』以外の声優活動はかなり減っている(テレビドラマなど俳優の方がメイン)が、若手の頃は俳優だけでは食えず、また、声優としても活躍していた野沢那智が主催する劇団『薔薇座』に在籍していたため、野沢の口利きで声優活動を開始
を俺は連想しますが、それはさておき。
以下の赤旗の訃報報道を紹介しておきます。
「戦前美化の反動右翼」三浦では触れない視点ではあるでしょう。
きょうの潮流 2025年9月12日(金)
俳優・吉行和子さんが逝きました。享年90歳。
▼最初にインタビューしたのは2016年。3年前には本紙日曜版「この人に聞きたい」(6回連載)に登場してもらいました。
▼戦争中は妹*4と疎開。外で遊んでいた時、兵隊に「お父さんはどうしているの」と聞かれ「死にました」と答えました。
「どちらで」
「家で」
「そう言うと軽蔑したような顔で行ってしまったんです。戦争で死ななきゃ男じゃない、みたいな。みんな、おかしくなっていたわよね」
なお、吉行和子氏(1935~2025年)の父「エイスケ氏(1906~1940年)」は1940年に狭心症で死去しています。
参考
吉行エイスケ - Wikipedia
死去した頃には、生活資金は「山の手美容院」を当時経営していた、妻のあぐり(1907~2015年)に頼っていた。
新興芸術派の旗手として活動したが、新興芸術派は日本の文壇において、後世の評価は極めて低い。息子の淳之介*5(1924~1994年)ですら、冬樹社から全集を出したいので許可が欲しいといわれたときに「許可を出すのは構わないが、私は売れるとは思わない」と答えたという。
新興芸術派 - Wikipedia
1930年4月に「新興芸術派倶楽部」が創設され、第1回総会が4月13日に行われ、当時の若手作家で、『早稲田』の高橋丈雄、保高徳蔵、八木東作、『蝙蝠座』の中村正常、今日出海*6、小野松二、坪田勝、西村晋一、舟橋聖一、『文学』の永井龍男、小林秀雄、吉村鉄太郎、宗瑛、神西清、笠原健治郎、深田久弥、堀辰雄、『近代生活』の吉行エイスケ、『文芸都市』の阿部知二、雅川滉(つねかわ・ひろし)*7、井伏鱒二*8、蔵原伸二郎、古沢安二郎ら30名が出席した。
読売新聞主催による「新興芸術派宣言並に批判講演会」は4月18日に開催され、講演者として雅川滉、舟橋聖一、阿部知二、横光利一、青野季吉、新居格が出演した。
新潮社からは『新興芸術派叢書』が以下のラインナップで刊行された。
・尾崎士郎『悲劇を探す男』
・ささきふさ『豹の部屋』
・中河与一『R汽船の壮図』
・阿部知二『恋とアフリカ』
・中村正常『ボア吉の求婚』
・北村寿夫『淡彩の処女』
・岡田三郎『物質の弾道』
・龍胆寺雄『街のナンセンス』
・久野豊彦『聯想の暴風』
・川端康成『僕の標本室』
・楢崎勤『神聖な裸婦』
・佐左木俊郎『黒い地帯』
・嘉村礒多『崖の下』
・井伏鱒二『夜ふけと梅の花』
・横光利一『高架線』
・浅原六朗『女群行進』
・十一谷義三郎『キャベツの論理』
・池谷信三郎『有閑夫人』
・舟橋聖一『愛慾の一匙』
・吉行エイスケ『女百貨店』
新興芸術派は、平野謙が「芸術方法において独自なものを打ち出すことができなかった」と評したように1932年にはその活動は見られなくなった。
*1:吉行和子 - Wikipediaによればスタジオジブリのアニメ映画『崖の上のポニョ』(2008年)、『思い出のマーニー』(2014年)に出演
*2:1950~2018年。俺的には『一休さん』の一休(1975~1982年にテレビ朝日で放送)、『キテレツ大百科』の「キテレツこと木手英一」(1987~1996年にフジテレビで放送)といった「少年キャラ」の方がなじみがありますが。
*3:男性キャラであるアンパンマン、鬼太郎と違い、「女性キャラ(しかもマチルダや来生瞳と違い『かわいいキャラ』設定ではない。そうした『かわいいキャラ』は主人公である魔女のキキ(CV:高山みなみ)が専ら担当)」なのでおソノさんは割と「テレビドラマ等で見る戸田恵子」に近いと思いますね
*4:1981年に小説『小さな貴婦人』で芥川賞を受賞した作家・吉行理恵(1939~2006年)のこと
*6:1903~1984年。1950年、『天皇の帽子』で直木賞受賞
*7:成瀬正勝(1906~1973年)の当時のペンネーム(成瀬正勝 - Wikipedia参照)