今日の中国ニュース(2019年7月20日分)

中国の太陽光パネル工場を歩く 1枚1分で、世界を席巻 :日本経済新聞

 中国の太陽光パネルメーカーが世界市場を席巻している。世界上位10社のうち8社を中国企業が占め、生産地別のシェアでも中国は約7割を占める。

 中国をどう評価、認識するにせよこうした事実をおさえずに反中国発言をしてもそれは無意味でしょう。


■M谷氏ツイートにコメント

■M谷N子
‏ 中国駐日大使館の京アニへの哀悼に深謝。当方からも一つ哀悼を。新疆ウイグル自治区職業訓練施設などと偽り大規模に作られているテュルク系ムスリム強制収容所で、大勢のウイグル人らが死亡していることに、心から遺憾*1の意を表します。

中華人民共和国駐日本国大使館
‏ 京都で発生した悲惨な事件で、お亡くなりになられた方のご冥福をお祈りし、負傷された皆様にお見舞いを申し上げます。

 「なんだかなあ」ですね。ご本人うまい皮肉を言ったつもりなのでしょうがね。こういう物言いは京都アニメに失礼な気がしますし、中国に対しても挑発行為でしょう。どう見ても感謝してない。
 俺なら

■ボーガス
(ツイート例)
 中国駐日大使館の京アニへの哀悼には日本人として感謝している。しかしそうした人情を例えばウイグル族にも向けてほしい。国連が批判している現状の中国によるウイグル統治にはやはり問題があると思う。

とでもツイートしますかね。まあ内容的には「中国批判」で大して変わらないですけど、やはり「表現の仕方」は大事だと思います。
 小生の「ツイート例」の場合「皮肉でも何でもなくて単なる感想」ですからね。


宗教・文化省大臣カルマ・ゲレク・ユトク師、訪日:お寺と国会を訪問 | ダライ・ラマ法王日本代表部事務所

 毛沢東時代より悪化している

 いやーさすがに毛時代(文革?)よりはマシでしょう。

・カルマ・ゲレク・ユトク師は国会を訪問、元文部(ボーガス注:科学)大臣で現国会議員の下村博文氏と面会した。超党派の「日本チベット国会議員連盟」会長の下村氏
・ユトク師は千葉工業大学麗澤大学からも暖かな歓迎を受けた。

 麗澤大が「日本会議にも参加してるウヨ宗教モラロジー系列」「古森義久高橋史朗八木秀次が教員」と言うウヨ大学です。
 千葉工業大が「落選していた頃の萩生田光一が一時客員教授でカネをもらってた加計系列の大学」です。
 まあ何というか「下村に言われるがままに訪問」なんでしょうが「やれやれ(苦笑)」ですね。

*1:「哀悼」がいつの間にか「遺憾」に変化しています。

「珍右翼が巣くう会」に突っ込む(2019年7/20日分:高英起の巻)

美人ウェイトレスに労働者…「生き残り」に必死な北朝鮮(高英起) - 個人 - Yahoo!ニュース

 国連安全保障理事会で2017年9月12日に採択された制裁決議2375号は、国連加盟国に対して北朝鮮出身の労働者の新規雇用を禁じている。また、同年12月22日に採択された制裁決議2397号は、2019年末までに現在雇用している北朝鮮労働者をすべて本国に送り返すことを義務付けている。
 中国当局は、以前からいた北朝鮮労働者を6月末までに北朝鮮に帰国させるように指示を出していたが、多くの企業は守っておらず、未だに北朝鮮労働者を雇用し続けている。熱心な働きぶり、離職率の低さ、賃金の安さから北朝鮮労働者に魅力を感じているからだろう。

 「性格が違うとは言え」日本とて「外国人不正就労」があるのだから十分理解できる話です。


消えた金正恩の女性エリートと「ニオイ拷問」収容所(高英起) - 個人 - Yahoo!ニュース

 韓国紙・朝鮮日報は5月31日、北朝鮮国務委員会の金革哲(キム・ヒョクチョル)対米特別代表が2月の米朝首脳会談決裂の責任を問われ、3月に平壌郊外の美林(ミリム)飛行場で銃殺されたと報じた。
 同紙はまた、金英哲(キム・ヨンチョル)朝鮮労働党副委員長が粛清され、金正恩党委員長の妹である金与正(キム・ヨジョン)党第1副部長も謹慎させられていると報じていたが、いずれもその後に健在が確認された。
 金革哲氏についても、韓国の情報機関、国家情報院(国情院)は今月16日、国会情報委員会に対し「生きているものと見ている」との認識を示した。

 つまりは朝鮮日報がガセネタ記事を書いたという話です。
 これについては「合理的推理」の「理」は、「当事者にとっての理」も含まれる: 白頭の革命精神な日記を紹介しておきます。

 残るは、金聖恵(キム・ソンへ)党統一戦線部統一策略室長とシン・ヘヨン通訳官の女性2人である。朝鮮日報は彼女らが、金革哲氏と同様に首脳会談決裂の責任を問われ、政治犯収容所に送られたとしているが、今に至るも健在が確認されていない。

 やれやれですね。金英哲、金与正粛清について「ガセだ」と判明し、金革哲粛清についても韓国政府が否定的な今「金聖恵とシン・ヘヨン」の健在が確認されないからと言って、それはもちろん「粛清」を意味するかは分かりません。
 また「粛清を意味する」としてもその粛清理由が「朝鮮日報が報じるような物かどうか」もわかりません。

 朝鮮日報の件の報道がほぼ覆ってきたことを思えば、彼女らもまた、何らかの処分を受けつつも、そこまでひどい扱いを受けてはいない可能性が高い。

 さすがの高ですらこう言わざるを得ないわけです。なお可能性としてなら
1)病気などで表に出ないだけで処分ではない
2)処分だが、「朝鮮日報が報じるような理由ではない」という可能性もあります。

 そもそも朝鮮日報の報道は、北朝鮮消息筋の情報に頼りながら、独自の分析を欠いていた点でバランスが悪かった。金正恩氏は部下の「裏切り」や「怠慢」に対して厳罰を与えたことはあるが、「失敗」を理由に罰した例は確認されていない。これを踏まえていれば、金革哲氏の処刑説や女性2人が収容所送りになったとの情報を伝えることには、より慎重になったはずだ。

 「後出しじゃんけん乙」ですね。これが「ガセネタであることが明確化」する前に高がこう言ってれば説得力もありますが、そんな事実はないでしょう。

 北朝鮮内部の様子が、今よりはるかに探りにくかった金正日総書記の時代、北朝鮮ウォッチャーは様々な断片情報を、すでに確認された過去の事例と対照し、信ぴょう性を検討した。それでも100パーセントの確信は持てないから、重大な噂を知ってはいても、なかなか表には出せなかった。
 ところが最近の北朝鮮は、当時と比べるとかなり開けっ広げになっている。そこには、金正日氏と金与正氏という、若い兄妹の感性が反映されているように思える。

 「だから飛ばし記事書いちゃったんです」と強弁する気でしょうか。この種の飛ばし記事金正日時代からあったと思いますが。

 とは言っても、北朝鮮が本当に重要な情報を出そうとせず、諸外国を惑わせる情報戦を続けていることに変わりはない。北朝鮮の動向を知るためには、金正恩氏が過去において、どのような状況でどのように行動したかを確認し、現在の事象と対照させることがなお重要なのだ。

 そんな一般論は今更、高に言われなくてもまともな人間なら分かってることです。つうかろくな根拠もないのに粛清記事を断定的に書くなんてそれ以前の話でしょう。

今日の朝鮮・韓国ニュース(2019年7月20日分)

あなたの参院選:日韓政治対立と韓国ブーム 女子高生「政治と文化は無関係」 | 毎日新聞

 記者が東京・新大久保のコリアンタウンを訪れると、中高生や20代の若者がまちにあふれていた。平日のお昼過ぎにもかかわらず、まるで観光地のようなにぎわいだ。
 「自分の周りでは韓国のコスメ(化粧品)やアイドルがブームです」。
 埼玉県から来た中学2年、もえかさん(14)が大流行している韓国発祥のチーズドッグ「ハットグ」を手に取材に応えてくれた。韓国のイメージを尋ねると「おしゃれで流行の最先端。ファッションがかわいくてまねしたくなる」と魅力を熱く語る。
 K-POPを代表する「防弾少年団BTS)」は2014年に日本でデビューした。オリコンによると、3日にリリースした日本での10枚目シングルは週の売り上げが62.1万枚を記録して初登場1位になった。
 韓国コスメも若い女性に人気がある。財務省貿易統計によると、2008年に118億4356万円だった韓国からの「精油・香料及び化粧品類」の輸入額は、今回のブームが始まったとされる2016年に262億6863万円になり、18年は364億5130万円と10年間で3倍に膨らんだ。
 今回の韓国ブームは第3次と呼ばれている。第1次は2003年ごろから爆発的な人気を呼んだ韓流ドラマ「冬のソナタ」によるもの。第2次は2010年前後で、少女時代や東方神起といったアイドルが本格的に日本でデビューし、NHK紅白歌合戦にも出演*1した。

 そりゃ政治と文化は無関係でしょう。当たり前の話です。
 文化交流することも悪いことではない。若者を中心に韓流愛好家が増えてることも、そうした文化交流を毎日新聞がこのように報じることも「日韓友好や在日差別撲滅に貢献しうること」で大変いいことです。
 とはいえ日韓関係に限らず、「文化交流してれば政治的対立が自然に解決するわけでは全くない」。
 安倍のような極右排外主義者、韓国差別者がでかい面して首相をやっていて「文化交流だけで」日韓関係がよくなるわけもない。
 たとえば、いかにフランス文化が魅力的でも「ルペンのような極右」が大統領になったら「文化の魅力だけ」でどうにかなる話ではない。
 その点、この毎日記事は「文化交流の重要性」しか訴えておらず、「何だかなあ」ですね。

 新大久保を楽しんでいた中高校生グループに日韓関係のことを聞くと、冷え込んでいる国同士の関係を思い出したかのように「あ~」と一斉に口をそろえた。詳しくは知らなくても「政治的に仲が悪い」ということは認識しているようだった。高校2年の女子生徒(16)は「政治とこれ(文化)は関係ないですから。悪くても別に良いです。アイドルとか文化が好きな人からしたら関係ない」、中学1年の女子生徒(12)は「おじいちゃん、おばあちゃんにアイドルのグッズをねだると『韓国のアイドルだから』と嫌な顔をされた。正直『なんで』って思う。歴史のこととかアイドルには関係がないことを持ち出してこないでと思います」と答えた。

 こうした少女たちの気持ちは分からないではありません。
 しかし一方で「慰安婦問題」「徴用工問題」などに「日本の韓国植民地支配」に対する適切な認識なくして日韓友好は困難でしょう。
 日本人に適切な認識がないからこそ安倍の無法が容認されてしまう。
 まあ小生だってろくな知識はありませんが「植民地支配は悪だということ」「宗主国が植民地だった国を無反省に敵視するなど馬鹿げてる」「慰安婦戦争犯罪だ」「安倍の戦争認識や韓国評価は許せない」つう認識くらいはさすがにあります。


朝鮮中央通信:日韓問題に関する安倍政権批判|コラム|21世紀の日本と国際社会 浅井基文のページ
 浅井先生も指摘していますが安倍の嫌韓国行為は「安倍の本音(徴用工判決ガー)」においても、「建前(密輸ガー)」においても北朝鮮にとって容認できる話ではなく批判も当然でしょう。
 まず「徴用工判決ガー」。北朝鮮にも当然、元徴用工はいます。それについて「日本は悪くない」と公然と居直る発言はさすがに北朝鮮も容認できないでしょう。
 一方、ありもしない「韓国から北朝鮮への密輸ガー」には「ありもしない捏造話で我が国を誹謗するな」「我が国を何でも言っていいサンドバッグかなんかと勘違いしてるのか」と言う意味で容認できないわけです。しかも「実態は徴用工判決への報復なのに嘘ついて安保云々と強弁」なんて「WTO違反行為の疑い濃厚」ですから「他の件とは違い」実に日本批判しやすい。
 WTO違反行為を擁護したがる国はまずない。
 かつ「韓国に対して日本は酷い」と北朝鮮がいえば、「韓国との関係が多少なりとでもよくなり、南北交流につながる可能性もある」わけで「日本批判しない動機がない」わけです。
 まあ浅井先生も指摘してますが「前提条件なしで首脳会談(安倍発言)」を北朝鮮は今

「ああ、やっぱウソだったか(最初から期待してなかったけど)」
「本気で首脳会談する気なら『韓国から北朝鮮へ密輸ガー』なんてウソで我が国中傷しないだろ」
「徴用工判決ぐらいで、韓国相手にあんな逆ギレする狭量な安倍が、前提条件なしで金正恩委員長と会うわけがない。『俺が訪朝する場合は、俺のメンツのために何人か拉致被害者を出せ』とか絶対に言ってくるに決まってる。安倍が首相でいる限り交渉の余地なんかねえよ」
「しかしやる気もないことでよく『前提条件なしの首脳会談』なんて嘘がつけるよな、サイコパスなの?」
「よく日本人もあんなんを支持できる。理解が出来ん(注:まあその点は俺も理解できませんが)」

と改めて思ってるでしょうね。


日韓双方とも求めるなら仲介も 韓国大統領が要請 トランプ氏は及び腰 - 産経ニュース
トランプ氏、日韓仲介の用意 「双方が求めるなら」 (写真=ロイター) :日本経済新聞

日韓双方とも求めるなら仲介も 韓国大統領が要請 トランプ氏は及び腰 - 産経ニュース
 トランプ米大統領は19日、韓国の文在寅ムン・ジェイン)大統領から、輸出管理をめぐる日本との対立に関して仲介を頼まれたことを明らかにした。「もし日韓双方が私に求めるのであれば関与するだろう」と述べた

 「なぜ仲介しないのか」という批判に対し、どう見ても「文在寅からは要請があったが、安倍が要請してこないから」と「安倍に責任転嫁してる」としか理解できない話ですが、そうは安倍は理解しないのでしょうね。
 いずれにせよ産経の強弁とは違い、この件で米国は「明確な安倍批判、文氏支持もしない代わりに」安倍支持、文氏批判もしないわけです。
 むしろ「安倍が要請すれば応じる*2byトランプ」ということは、文氏の要請*3それ自体は「日韓関係改善に一定の尽力をしている」としてトランプ政権が評価していると見なすことすら出来るでしょう。

*1:少女時代は2011年の紅白歌合戦に、東方神起は2009年、2011年の紅白歌合戦に出場した。

*2:まあ要請しないとみての逃げ口上の可能性大ですが。

*3:もちろん「韓国の言い分を無視した仲介」など文氏が望んでるわけもないですが、仲介要請自体は「韓国の側に立ってくれ」と言う要望ではありません。そういう意味では安倍が要請したって本来はおかしくないわけです(おそらく要請する気はないでしょうが)。

「北朝鮮帰国者の生命と人権を守る会」を笑おう(2019年7/20日分:黒坂真の巻)

黒坂真
‏ 吉岡正史さん。田村智子さんは、大企業の内部留保が大企業内部にため込まれた現金、預金総額だと思い込んでいる。

 おそらく田村氏も「内部留保が全て現金だ」と思うほどバカではないでしょう(つまり黒坂の言いがかり)。どっちにしろ「大企業の内部留保」は「社員への給与」として与えることが「一円たりとも絶対に不可能なカネ」というわけではありません。内部留保が全て「企業の研究費用などとして必要なカネ」かといったらそんなことはない。
 給与として与えないのは単に「その方が企業利益になる」という企業の判断にすぎません。そうした判断に対し、田村氏のように「企業留保をため込んでばかりおらず、社員給与にすべきだ。その方が長い目で見れば、国内需要を増やし企業の利益や国の利益にもなると思う」と言う批判をすることは全く正論だと俺は思います。

黒坂真
 石川康宏先生*1。米国が核兵器を持ったとき、隣国のメキシコは非核化を目指したから素晴らしいという呟きですが、米国がメキシコなど中南米諸国に核攻撃をするわけがない。

 「黒坂はバカか」ですね。誰が考えても石川氏の主張は「メキシコは日本や韓国のように核の傘に入らずに非核化を目指して立派だ」と言う意味であることは明白でしょう。もちろん「キューバのような共産国ではない」メキシコが「核の傘入り」を選択する可能性は十分あったでしょう。単なる可能性だけなら「親米国メキシコへのソ連からの核攻撃の可能性」は一応あるからです。

黒坂真
 自衛隊解散、日米安保廃棄で日本が一切反撃力をなくせば、金正恩は日本に核ミサイルを発射して民族の英雄になろうとするでしょう。

 日米安保廃棄はともかく「自衛隊解散」なんてことを「将来目標」ならともかく、共産党は当面の目標にはしていませんが(当面の目標は軍縮と海外派兵の阻止)。
 つうか金正恩が「軍事的統一」を目指して韓国攻撃*2ならまだしもなぜ日本を攻撃するのか。 

黒坂真
 月刊イオ編集部の皆さん。朝鮮学校では生徒たちに、金正日の長男金正男さんがマレーシアの空港で毒ガスにより亡くなったことを教えないのでしょうか。直接の下手人はベトナムインドネシア女性ですが、彼女らを指揮したのは国家保衛省らしい

 やれやれですね。モリカケでは「裁判所などで安倍総理の不正が認定されたのか!(勿論否定もされていません)」と抜かす男が「金正男暗殺事件」では「裁判所判決など公的なものでは北朝鮮の犯行など認定されてない(勿論否定もされていませんが)」のによくもこんなことがいえたもんです。

*1:個人サイトはげしく学び はげしく遊ぶ-石川康宏研究室。著書『マルクスのかじり方』(2011年、新日本出版社)、『若者よ、マルクスを読もう』(共著、2013年、角川ソフィア文庫)、『若者よ、マルクスを読もうII』(共著、2014年、かもがわ出版)、『「おこぼれ経済」という神話』(2014年、新日本出版社)、『社会のしくみのかじり方』(2015年、新日本出版社)、『若者よ、マルクスを読もうIII』(共著、2018年、かもがわ出版)など

*2:まあそれだってないでしょうが。

今日の産経ニュースほか(2019年7月20日分)

改憲勢力「3分の2」迫る?厳しい? 参院選分析、割れたメディア(1/2ページ) - 産経ニュース
 前も触れましたが
1)一人区が接戦で判断が難しい
2)「改憲派」産経、読売などは迫ると書き、一方、「護憲派」朝日、毎日などは難しいと書き、いずれも世論誘導的な態度に出てる(もちろんどちらの態度も非常に問題です)
つうことでしょうね。最悪でも「改憲派2/3阻止」だけは実現したいところです。


自民党・安倍総裁 「不安定な政治に逆戻りするわけにはいかない」 - 産経ニュース
 民主党政権時代がそこまで酷かったとは俺は思いませんが、安倍は本気でそう思っており、それに賛同するのが安倍支持者なんですかね?
 つうか6年の長期政権で今時「不安定な政治に戻せない」もないもんです。なぜそこで自らの成果を語れないのかと言ったら「語る成果がない」と安倍も自覚してるからでしょうね。


公明・山口代表「無責任な政党、口先だけの政治家に負けられない」 - 産経ニュース
 「無責任な口先だけの党ってそれ公明党のことじゃねえのか?」「昔、護憲の党とか、クリーンな党とか言ってたくせによく安倍とつるめるな」「そんな政党はイカンザキ!ですよ」て話です。最近の若者は「イカンザキ(細川内閣郵政相、新党平和代表など歴任)」とか言っても誰のことか分からないでしょうけど。


地上イージス改めて陳謝 首相「緊張感欠いた」 - 産経ニュース
 こんな舌先三寸の無内容な謝罪で済む話では全くありませんが、さすがの安倍も「居直り続けると状況が悪くなる」と思う程度には「反省(?)」しているようです。


共産党・志位委員長「増税は無謀の極み」 - 産経ニュース
 全くもって同感です。消費税増税など10月にやれば確実に景気に悪影響を与えるでしょう。


自民党・安倍総裁「強い経済つくれば年金基盤も強く」 - 産経ニュース
 安倍らしい馬鹿げた主張です。「きちんとした年金制度」を作らなければいくら景気がよくなろうが安心の年金にはなりません。
 こういうデタラメなことを首相が言って恥じないというのだから呆れます。


【昭和天皇の87年】日中和平の一歩手前で“決裂” 背後にソ連の影も… - 産経ニュース
 下で適当にコメントした【昭和天皇の87年】近衛文麿の嘆き「兵がどこに行くのか少しもわからない…」 - 産経ニュースの続きです。
 産経の言う

【昭和天皇の87年】近衛文麿の嘆き「兵がどこに行くのか少しもわからない…」 - 産経ニュース
 この連絡会議のもとで進められたのが、駐華ドイツ大使、オスカー・トラウトマンを仲介とするトラウトマン和平工作である。ところが近衛は、この工作をめぐり大失敗を犯してしまう

の意味が今回分かるわけです。

 日中戦争の初期、ドイツは微妙な立場にいた。日本と防共協定を結ぶ一方で、中国とは経済提携を強め、軍事顧問団も送り込んでいる。

 まあそういうことです。なおウィキペディア「中独合作」を見れば分かりますがこうしたドイツの中国への接近は「1920年代からのこと」、つまり満州事変前、ナチ政権誕生前からのことです。

 広田は、「ドイツが中国に和平を促すなら歓迎する」とした上で、和平条件として(1)内蒙古自治政府を設立する(2)華北は一定の条件のもと中国に行政権を委ねる(3)上海の非武装地帯の拡大(4)排日政策の中止(5)共同防共政策の推進-などを示した。
 ドイツ本国からの指示を受け、中国側の説得にあたったのは駐華大使のトラウトマンだ。親中派のトラウトマンは、中国に一定の影響力を持っている。ところが蒋介石は11月5日、こう言って和平条件を一蹴した。
 「日本側が現状を盧溝橋事件前に戻す用意がない限り、いかなる要求も受け入れられない」
 蒋介石が強気の姿勢をみせたのは、国際連盟の主導で始まった米英仏などの九カ国条約会議(※1)に、期待していたからだろう。会議で日本の軍事行動が条約違反とされ、日本に対する経済制裁などを引き出すことができれば、情勢は一変するに違いない。
 だが、会議は実質的成果を上げることができず、11月15日に閉会してしまう。
 蒋介石は頭を抱えた。和平交渉を拒んでいるうちに上海が陥落し、南京も風前のともしびである。12月2日、蒋介石は軍幹部を招集し、日本の和平条件を示して意見をきいた。
 最高幹部の一人、白崇禧が言う。
「これだけの条件だとすれば、なんのために戦争しているのか」
 徐永昌もうなずく。
「ただこれだけの条件ならば、これに応ずべし」
 同日、蒋介石はトラウトマンに会い、こう伝えた。
「ドイツの仲介を受け入れる用意がある」
 あとは日本側の決断次第だ。しかし、ここで近衛文麿内閣が第一の失敗を犯す。12月13日に南京が陥落したことを受け、和平条件を一気に引き上げてしまうのだ。華北の特殊地域化を要求したり、賠償請求を追加したりと、中国の面子を潰すような内容である。

 当初の条件を引き上げて交渉の見込みをかえって潰すとはまるで「小泉訪朝後に、特定失踪者デマを持ち出して拉致被害者数を水増しした救う会」のような所業です。まあ救う会の場合、「交渉を潰す気」なのに対し、近衛首相や広田外相は「南京が陥落した、蒋介石も弱気になってきた。もっと有利な条件が要求できるはずだ」「蒋介石に和平を蹴れるはずがない。蹴ったら日本軍で叩き潰せばいい」と蒋介石をなめていただけであり、一応「和平する気はあった」わけですが。
 一方参謀本部の多田や石原(和平推進派)は「とにかく和平最優先」でこういう条件引き上げには批判的だったわけです。
 これでわかることは「落としどころを考えずに楽観論で無茶苦茶なことすると後で取り返しがつかなくなる」つうことですね。拉致問題での家族会なんかその典型でしょう。今安倍がやらかしてる韓国相手の嫌がらせも似たようなもんです。

 近衛内閣にも、止むに止まれぬ事情があった。8月の第二次上海事変以降、日本軍の戦死傷者は10万人を超え、戦費も巨額に達していた。12月の南京陥落で国民が戦勝気分に酔う中、賠償請求などを追加しないわけにはいかなかったのだ。

 まるで「家族会がうるさいから北朝鮮に強硬路線をせざるをえないんだ」の世界ですね。今の我々は当時の近衛内閣を全く笑えません。

 とはいえ、中国側に受け入れ不能な条件を出しても意味がない。ある時、内閣書記官長の風見章*1が関係閣僚に「この条件で和平の見込みがあるだろうか」と聞いてみた。
 米内光政海相「和平成立の公算はゼロだと思う」
 広田弘毅外相「まあ、三、四割は見込みがありはせぬか」
 杉山元陸相「四、五割は大丈夫だろう。いや五、六割は見込みがある」
 こんな調子では、本気で和平実現を考えていたのか疑われても仕方がない。
 12月23日、新たな条件を伝えられた駐日大使のディルクセンは、外相の広田に言った。
 「これらの条件を中国政府が受諾することは、あり得ないだろう」

 産経ですら「お前ら、和平する気があるのか」と突っ込む近衛内閣メンバーの態度です。南京陥落による「蒋介石の妥協(当初受け入れ拒否していた条件を受け入れる用意があるとした)」に「そんなに蒋介石が弱気ならもっと条件をあげよう。それで向こうが受け入れなくてもいい」と完全に楽観論だったわけです。
 まあそれはともかく「受け入れ不能な条件を出しても意味がない」つうのは何だって同じです。
 例えば北朝鮮拉致。「即時一括全員帰国以外認めない」とかいって相手が受け入れるのか。
 産経記事をパロれば救う会、家族会は

・ある時、家族会、救う会に「この条件(即時一括全員帰国)で日朝首脳会談の見込みがあるだろうか」と聞いてみた。
・「会談成立の公算はゼロだと思う」
・「まあ、三、四割は見込みがありはせぬか」
・「四、五割は大丈夫だろう。いや五、六割は見込みがある」
 こんな調子では、本気で拉致解決を考えていたのか疑われても仕方がない。

ではないのかと疑いたくなります。

 果して中国は、トラウトマンから新条件を示されて沈黙した。日本側は翌年1月6日を期限とし、回答を待ったが、うんともすんとも言ってこない。
 ただ、何もしなかったわけではなかった。実はこの時、中国は新条件をソ連に内通し、アドバイスを受けていたのだ。スターリンは12月31日、こう打電した。
 「盧溝橋事件以前の状態に戻すという条件でなければ応じるべきではない。仲介したドイツの意図は日本を休ませることにあり、日本は休戦してもすぐにそれを反故(ほご)にする」(※2)

 産経は「スターリンの狙いは国民党による共産党攻撃の阻止ではないか」としていますが、仮にそうだとしても、蒋介石も「いったん受け入れた条件を引き上げる」ような無茶に応じる気にはならなかったでしょう。
 そもそも「盧溝橋事件以前に戻せ」ということは「満州国は認める」ということなのだから、日本にとってとてつもなく不利益というわけでもない。

 しかし、近衛は粘らなかった。このまま蒋介石政権が和平を求めてこないなら、親日的な新政権の樹立を助長し、それと交渉して戦争を終わらせようとしたのだ。
 これが近衛の、第二の失敗である。戦争相手と交渉せずに、何を決めるというのか。しかも近衛は、新たな方針を御前会議で確定しようとする。昭和になって初の御前会議だ。それが近衛の、取り返しのつかない第三の失敗を招くのである

 「親日的な新政権の樹立」とは汪兆銘擁立工作です。汪兆銘政権と日本で和平を結ぶとともに、蒋介石政権幹部に「汪兆銘政権に参加せよ」と切り崩し工作を仕掛けて、蒋介石政権を崩壊させれば戦争は終わるというなんとも日本にとって都合のいい話です。その結果「国民政府(つまり蒋介石)を対手とせず」声明(第一次近衛声明)が出され、一方では汪兆銘擁立工作が水面下で始まる。
 「御前会議での第三の失敗」「新たな方針」とは御前会議を経て決定された第一次近衛声明のことでしょう(ただし詳しい話は次回の記事のようです)。
 しかし汪兆銘 理想と現実1汪兆銘 理想と現実2を読めば分かるように、汪兆銘工作の結果は日本にとっても汪兆銘にとっても悲惨でした。
 汪に「日本が期待したほどの政治力」がないため、蒋介石政権への打撃はたいした物ではありませんでした。蒋介石政権の重要メンバーが汪のもとにかけつけるなんて都合のいいことにならなかった。しかも日本側も「汪のメンツを守る」どころか手前勝手な要求を突きつける。かえって蒋介石に「汪兆銘売国奴、裏切り者」と宣伝されるだけに終わります。
 こうしてみると「前も書きましたが」
1)「当時の日本支配層(政財官界)が軍部に限らず、中国は簡単に倒せると蒋介石をなめていたこと(その結果、軍部が暴走しても大目に見てしまうこと)」
2)「米国の中国支援意志を軽視していたこと(どうせ、中国に対する軍事的勝利という既成事実を作れば米国も支援を諦めると考えた結果、米国との対立がどんどん深刻になる)」
ことが日中戦争を深刻化させ、太平洋戦争を招いたのだと改めて思います。
 「1)中国は簡単に倒せる」や「2)既成事実を作れば米国も蒋介石支援を諦める」と言う認識が正しければ「道徳的是非」はともかく近衛らの「トラウトマン和平工作否定」は「それなりに合理的だった」でしょう。しかし1)も2)も結果的には間違いであり、日本は泥沼の戦争に突入していきます。
 ゆう氏が

小林英夫『日中戦争』
 戦争は「持久戦」となります。しかし中国には、自らの力で勝利を勝ち取る(ボーガス注:軍事)力はありません。そこで中国は、「ソフトパワー」の発揮により反撃に転じようとします。
 初期において、中国は諸外国、特に米国の同情を獲得することに成功していました。
 このような中国側の「ソフトパワー」の発揮は、米国などからの大規模な物資支援、あるいは日本に対する石油禁輸措置などの形で、少しずつ成果を挙げていきます。そして打つ手がなくなった日本は、英米戦争という「狂気の選択」に追い込まれることになります。

と書くとおりでしょう。
 軍事力において中国を圧倒していた日本は、「戦争勝利」を確信していた。しかし中国側は「欧米の支援」で対抗した。その結果、「欧米のせいで中国に勝てない」とばかりに日本は英米戦争という「狂気の選択」に踏み込むわけです。遅くともその時点で「英米戦争」ではなく「日中戦争和平」に動くべきでした。


【昭和天皇の87年】近衛文麿の嘆き「兵がどこに行くのか少しもわからない…」 - 産経ニュース
 以下は小生が持ってる山田朗昭和天皇の軍事思想と戦略』(2002年、校倉書房)を参考に書いていきます。
 なお、山田氏はその後も「昭和天皇の戦争責任問題」では

・『昭和天皇の戦争:「昭和天皇実録」に残されたこと・消されたこと』(2017年、岩波書店
・『日本の戦争III:天皇と戦争責任』(2019年、新日本出版社

と言う本を出していますがそちらは未読です。

 戦争状態を終結*2するには、政府と軍部の意思疎通が欠かせない。そこで近衛が考えたのは、大本営の設置である。大本営は戦時における天皇直属の最高統帥機関だ。正式な構成員は参謀本部と軍令部の首脳のみ*3だが、かつて伊藤博文が首相の立場で列席した前例がある。近衛は、大本営を設置したうえで自ら構成員に加わろうとした。

 戦争があまりにも長期化したため、大本営の設置自体には軍部も反対はしていません。
 問題は「制度上は大本営のメンバーではない首相、蔵相、外相」をメンバーにして軍部をコントロールしようとする近衛首相の態度には軍部が難色を示したと言うことです。彼らは近衛に余計な口出しをされたくなかった。
 その結果、妥協案として「政府と大本営の意見調整組織」として大本営政府連絡会議が設置されます。
 幕末の討幕運動に従事し、「毛沢東主席、劉少奇国家主席周恩来首相、トウ小平副首相ら中国共産党革命第一世代」なみの権威を持ち、明治新政府誕生後も「首相、貴族院議長、枢密院議長、韓国統監」など要職を歴任した伊藤は「軍出身」でなくても、大本営に参加し軍ににらみをきかすだけの実力がありました。近衛にはそれだけの力はなく彼は大本営それ自体には参加できませんでした。
 ただし、「近衛ら内閣構成員」を排除しようとした軍部の態度を批判した上での話ですが、個人的には日中戦争が継続した最大の理由は「統帥権独立による軍部の暴走」ではなく
1)「当時の日本支配層(政財官界)が軍部に限らず、中国は簡単に倒せると蒋介石をなめていたこと(その結果、軍部が暴走しても大目に見てしまうこと)」
2)「米国の中国支援意志を軽視していたこと(どうせ、中国に対する軍事的勝利という既成事実を作れば米国も支援を諦めると考えた結果、米国との対立がどんどん深刻になる)」
だと思うので仮に近衛が蔵相、外相とともに大本営メンバーになっても日本は「1945年の敗戦に向かった」とは思います。

 当時は日中双方とも宣戦布告をしておらず、本来なら大本営は設置できない。しかし昭和天皇は12年11月17日、陸海両相の奏請により従来の大本営条例を廃止し、「大本営ハ戦時又ハ事変ニ際シ必要ニ応ジ之ヲ置ク」とする新たな大本営令を裁可した。

 なぜ日中両国は宣戦布告しなかったのか。なぜ日本は大本営規則を「事変でも設置できる」と改正したのか。産経はなぜか書いていませんがその理由は「米国による中立法の発動」です。
 当時の米国にはモンロー主義に基づき「戦争中の国に対しては米国は中立的立場をとり、軍事物資を輸出しない」と言う中立法がありました(ドイツと戦う英仏を軍事支援するために後に中立法は廃止されますが)。日本や中国が宣戦布告すると中立法が発動されます。そうなると日本も中国も米国から軍事物資が一切来なくなる。それで戦争が遂行できるのかと言う不安が日中両国にはありました。「中国だけではなく」当時の日本もそれほど米国に物資を依存していた。
 しかしその後の日本は「そんな米国相手」に戦争を仕掛けるのだから無謀な話です。
 いずれにせよ「戦争なのに中立法の発動を恐れ宣戦布告しないだけ」「大本営をいつまでも設置しないと不便」ということで大本営規則が「事変でも設置できる」と改正されます。

 この連絡会議のもとで進められたのが、駐華ドイツ大使、オスカー・トラウトマンを仲介とするトラウトマン和平工作である。ところが近衛は、この工作をめぐり大失敗を犯してしまう

 ということで今回の記事はこれでひとまず終わりです。産経の言う「近衛の大失敗」の意味がよく分かりませんが「工作にのらない」と決めたことか。
 あるいは工作打ち切り後に出されて「和平の可能性を破壊した」と非難される、いわゆる「国民政府を対手とせず」声明(第一次近衛声明)のことか(ただし、どちらも近衛の独断ではなく他の大臣もそうした意見が多かったのですが)。
 いずれにせよ、産経の言う「近衛の大失敗」の意味は次回明らかになるわけです。
 なお、当時のドイツは「満州事変の起こる前」から中国に積極的に経済進出し、武器などを売っていました。上海事変ではドイツ軍事顧問の指導で蒋介石は日本と戦ってさえいました。
 一方で日本とは日独同盟を結んでいたわけです。
 「中国という巨大市場を失いたくないが、日独同盟も続けたい」と思ったドイツは「トラウトマン和平工作」に動きますが勿論これは日本が乗り気でないことから失敗します。その結果「ソ連と戦うには日本との同盟が必要だ」と考えるヒトラーの意向によって、「中国市場を失いたくない財界や経済官庁」の意向「中国との連携」は捨てられドイツは更に日本との提携に力を入れます。
 以前も別記事で書きましたが「もしトラウトマン工作が成功していたら」「もしドイツが日本を切って中国を選んでいたら」、日本は太平洋戦争に踏み切っていなかったかもしれません。
 なお、山田本でもウィキペディア「トラウトマン和平工作」でも指摘がありますが、この工作に乗り気だったのが、多田駿*4・参謀次長*5石原莞爾*6参謀本部第一部長が支配する当時の参謀本部です。多田らは日中戦争が泥沼化すること、欧米の対日感情が悪化することを恐れていました。
 一方、近衛内閣メンバー「近衛首相」「広田*7外相」「杉山*8陸軍大臣」「米内*9海軍大臣」は「こんな不利な条件で和平するくらいなら戦争を継続する」「日本の方が軍事的に勝利してるんだ」と全員がこの工作には否定的でした。その結果、日本はこの和平工作には乗らないことを決めます。
 終戦工作に従事したこと、日独伊三国同盟や対米戦争に反対したことで平和主義イメージで語られることの多い米内はこの時はむしろ戦争を推進しました。
 そして「満州事変」によって「戦争推進イメージ」で語られることが多い石原莞爾はこの時「平和主義」ではなく「日中戦争が泥沼化したらせっかく作った満州国がぽしゃるかもしれない」と言う考えだったとは言え、むしろ終戦に動いていたわけです。いわゆる陸軍悪玉論、海軍善玉論が単純には成立しないことが分かるかと思います。
 

【産経抄】7月20日 - 産経ニュース

 集団的自衛権の行使を限定容認した安全保障関連法の成立直後の平成27年9月のことである。朝日新聞で、著名な憲法学者の長谷部恭男氏*10が同法を批判し、憲法条文を見ても白黒の判断がつきにくい場合について持論を語っていた。
▼「答えを決めるのは、(中略)『法律家共同体』のコンセンサスです」。

 (中略)と言う部分が怪しすぎます*11がそれはともかく。
 「専門的な問題については原則として専門家の意見に従うべきだ」「素人が安易に専門家を否定すべきでない」と長谷部氏は言ってるに過ぎません。
 例えばわかりやすい例で言えば「国民が温暖化CO2否定論を否定したら、政府もその方向で動くべきなのか」。そんな馬鹿な話はない。
 あるいは専門家の意見(米国には勝てない)を無視して国民挙げて「対米戦争に突き進んだ日本」は結局敗戦しました。
 もちろん「人文・社会科学と自然科学」では性格が違いますが、長谷部氏の主張はその程度の話でしかありません。
 つうか長谷部氏の主張は「天皇と国民主権~国体関連で」 小堀桂一郎・東京大学名誉教授 « 最近の活動 « 公益財団法人 国家基本問題研究所で国基研が持ち上げる「ノモス論」にある意味近い認識なんですけどね。
 かつ「決めるのは国民の多数決だ」と産経が言うなら産経は「国民の大多数」が支持する女帝導入を支持すべきでしょう。しかし産経は大原康男などを持ち出した上で「これが天皇制の専門家の意見だ」と言い出して反対するわけです。全くデタラメです。


「天皇と国民主権~国体関連で」 小堀桂一郎・東京大学名誉教授 « 最近の活動 « 公益財団法人 国家基本問題研究所

 法哲学者・尾高朝雄著『国民主権天皇制』をとりあげ、象徴天皇制国民主権とは矛盾しないという尾高理論

 ググったら『国民主権天皇制』が最近、講談社学術文庫から刊行されたようです。
 「今時、尾高説かよ」ですね。
 まあ、大学の法学部で憲法を学ぶと「尾高・宮沢論争」というのが「あったという事実」は教わります(ウィキペディアにも「尾高・宮沢論争」という項目がある)。「一応、法科卒」の俺も「あったという事実」は教わりましたし、芦部の教科書なんかにも確か簡単に書いてあります。
 ただ「尾高の主張」はあまりにも意味不明で難解なので詳しい説明なんかまず「大学の授業レベル」ではされないし、一般には「宮沢の方が支持された」で話は終わります。
 尾高理論(いわゆるノモス主権論)は『象徴天皇制国民主権とは矛盾しない』という理論ではありません(確かに尾高説なら矛盾しませんが)。そうではなく「戦前日本と戦後日本で主権のあり方は変わらなかった。主権はどちらの社会でもノモスにあったのだ」と言う代物です。
 これだと日本に限らず「フランス革命でも、ドイツ革命でも、ロシア革命でも、辛亥革命でも、あらゆる政治的変革で」「王制から共和制になろうが」主権はノモスで変わらないと言うことになりかねません(尾高がそういったと言うことではなくそう解釈しうる)。
 一方、宮沢は「主権は天皇から国民に移った」と主張しました。
 まあ、「戦後の変化を小さく見せたがる」尾高は「右寄り」なんでしょう。いずれにせよこの尾高理論だと「戦後の国民主権への変化はたいした変化じゃない」んだから「日本国憲法」について「象徴天皇制になったこと」に話を限れば何ら嘆くことではなくなりますが、それを国基研は支持するのか。まあ尾高は「右寄り」として「象徴天皇制」を認めざるを得ない(反対しても国際社会の圧力で、阻止は無理)と考えた上で「戦後の変化をできる限り小さく見せようとした」んでしょう。
 いずれにせよ、問題は「ノモスって何?」ですよねえ(尾高の独自理論のようですが)。
 これを国基研は

 変わったのは主権発動の態様、いわゆる政体であり、主権の在り方としての国体に変化はないことになる。
 ここで、尾高氏はギリシャの詩人ピンダロスの言葉「ノモス(法や掟、伝統など)」を用い、難解なノモス主権論を展開して、国民主権天皇制が矛盾しないと結論するが、より分かり易い言葉にすると、それは「天*12」になると小堀教授は易しく説き、結果的にそれが国全体を正しい道へ導くのだという。

と主張します。
 やれやれですね。「ノモスとは中国儒学で言ういわゆる天道に近い概念のことである」と言う理解が正しいとしましょう(正しいのか知りませんが)。
 そこで「政治は天道(あるべき道理)によって決めるべきだ。そういう意味では主権は「天道」にある。その意味では、天皇主権だろうが国民主権だろうがたいした問題じゃない」なんて主張に何の意味があるのか。その理屈だと「別に中国とかベトナムとかキューバとか共産党一党独裁でいいじゃん、天道(ノモス)に従ってれば」つうことにもなりかねません。
 そもそも「天道(ノモス)って何?」「誰が天道を決めるの?」ですね。かつこうした考え方は一歩間違えば「問題は天道(ノモス)に合致しているか否かだ。形式的合法性など関係ない。天道に反する政治は形式的には合法でも実質的には違法であり、否定していいのだ」「これは違法な殺人ではなく、国を守るための天誅、正義の行いなのだ。処罰されるいわれはない。むしろ褒められて当然だ」として226事件青年将校のようなテロ容認論にもなりかねません。
 もちろん「形式的な合法性」を否定するというのは「ある意味大事なこと」です。大抵の独裁体制はナチドイツにせよ、スターリンソ連にせよ何にせよ「形式的には合法」だからです。
 モリカケですら「形式的には一応合法」なわけです。司馬遷が「天道是か非か」とぼやいた宮刑だって「形式的には合法」です。
 そういう意味で「ノモス(天道)」的な問題意識は尾高や国基研の思惑に関係なく重要です。しかし、一方で安易に「ノモス」なんて放言したらただの法治主義否定にしかならない危険性も大です。
 「形式的合法性による人権侵害(実質的な違法)」を批判しながら、一方でそれが「恣意的な判断基準による法治主義の否定」にならないようにするのはそんなに楽なことではないでしょう。
 そして「ノモスに反する」的な物言いで仮に「韓国植民地支配」「治安維持法」「戦後のレッドパージ」などを批判すれば、国基研は「当時は合法だった」と言い出すのだから、まあご都合主義でしかない。
 「ノモス」なんか持ち出したら「当時は合法だった」ですむ話ではないでしょうに。つうか安倍のモリカケすら擁護するウヨ連中が天道だのノモスだの全くふざけています。

 このような尾高氏の説は、これから改憲へ向けて議論する上で、格好の教材になるとした。

 何の教材になるのかさっぱり分かりません。もしかして「ノモス(天道)に反する改憲(例:天皇制廃止)は認めない」「ノモスに反する法改正(例:女帝容認)は認めない」とかウヨ連中が叫ぶのか(女帝容認はともかく天皇制廃止は当面ありそうにないですが)。
 むしろ「ノモス(天道)に反する安倍の首相辞任」でも求めてほしいもんです。まあモリカケとかニッキョーソ野次とかノモスや天道以前の話ですが。
 まあそういう物言いをやっていいなら、そして意味があるなら俺も「アンチ右翼の護憲派」として「ノモスに反する改憲国家神道復活、集団的自衛権容認、三権分立否定、天皇主権復活など*13)は認めない」とか言いたいところですが、それ「是非以前に」政治的に意味がないでしょう。
 単に「俺はそんな行為は無法だと思うから認めない」の言い換えでしかない。

参考

司馬遷の「天道是か非か」と「歴史とは何か」 | 山内昌之 | 10MTVオピニオン
 今日は、司馬遷の発した有名な言葉「天道、是か非か」についてお話しします。
 「天道、是か非か」という言葉を聞くにつけて、私たちは、このシリーズのテーマである「歴史とは何か」という問いをどうしても考えざるを得ません。「天道は、正しいのか、正しくないのか」という悲痛な叫びは、まことに歴史と人間との関わり、そして、歴史とは何か、正義とは何か、ひいては歴史と正義との関わり方について、私たちを本当に悩ませます。また考える材料を提供してくれます。
 司馬遷はいろいろなケースを出して、秩序を守らず悪行を重ね、生涯を享楽や逸楽のままに過ごし、富貴にも恵まれた人々を、他方において、自分に厳しく行動に慎重であり、誰からも後ろ指を指されない、さらに言葉も口数も少なく、人から隠れてずる賢く脇道や近道を通って物事を達成しようとはしない人と比較しています。
 そして、司馬遷はこのように言います。
 「大義名分にかかわることでなければ憤りを発しない人間で、しかもなお禍いにあう者の数は枚挙にいとまがないほどである」(小竹文夫他訳『史記5 列伝一』)
 すなわち、数えるごとができないほど多いと言っているのです。
 こうした不幸をもって、司馬遷はまた有名な言葉を発します。
 「余、甚だ惑う(余甚惑焉)」、すなわち、自分はすこぶる絶望感に襲われるほど悩み、迷いに誘われると言って、歴史の不条理を語ろうとしているのです。
 歴史とは、なかなか一本道にはいきません。時にはさまざまな不正がある。正しい道だけではなく、脇道やそれた道から歴史を歩もうとする不正のやからもいるのです。
 私も含めてですが、およそ若い頃、少年少女の頃に、世の中にいったいなぜ不正義、不公正、不公平があるのか、自分はなぜ貧しい家に生まれ家庭環境で苦労しているのに、なぜあの遠くに見える人は豊かな家に生まれ明るい家族に恵まれて幸せなのか、と疑問に思った人は多かったと思います。
 日本のケースに少し触れてみましょう。
 『太平記』という本があります。これは、鎌倉時代の末期、建武の中興から南北朝時代に至る日本の動乱期において、特に南朝方に対して同情的とも言える立場だけではなく、北朝方についても逸話を交えて書いた書物です。
 この書物の中に、大変印象的な光景があります。それは、延文5年(1360年)の5月頃、後村上天皇を頂く南朝方の敗色が濃厚になったときのことです。君臣一同が金剛山の奥で息を潜めていたときに、ある廷臣が、将来を絶望して出家しようと思い詰めるシーンです。
 太平記の専門家でもある松尾剛次*14によれば、このようなシーンになります。
 「いったい今の世の中はどうなっているのか」と、この廷臣は疑問を呈します。威力があっても道義のない者は必ず滅ぶと言い置かれた先賢の言葉にも背いている。また百代までは王位を守ろうと誓われた神約(神による約束)も実現されない。そして、臣下*15が君(天皇)に反逆しても天罰を受けることもない。子どもが父を殺しても、神の怒ったためしがない。
 この悲歎(歎きや憤り)は、紀元前2世紀に生きた司馬遷の考えともどこか通じるところがあります。否、それどころか彼らの悲歎は、司馬遷をはじめ、中国の先人や賢人たちの金言、物事の本質を突き刺すような言葉に触発されていたのかもしれません。


【主張】京都アニメ放火 大惨事は防げなかったか - 産経ニュース
 マジレスすれば残念ながら防げなかったでしょうね。
 この男が以前から、京都アニメに無法な行動をとっていたと言うなら話は別ですが、いきなりの犯行ではどうにもなりません。

 消防法令ではガソリンの購入には専用の携行容器が必要としているが、京都アニメに放火した男は携行缶持参で購入したガソリンを現場に持ち込んだとみられる。これでは現行法で取り締まれない。購入時の身元確認も義務づけられず、業界団体に任されているのが実情だ。今後のテロ対策も含めて法整備の必要はないか。

 うーん、どんなもんでしょうか。「ガソリンテロだけは絶対に防ぐ」ということでその当たり規制を強化する必要はあるのかもしれません。

*1:1886~1961年。戦前、立憲民政党衆院議員(1930~1942年)を経て、第一次近衛内閣書記官長、第二次近衛内閣司法大臣など歴任。戦後は社会党衆院議員(1952~1961年)。著書『近衛内閣』(中公文庫)

*2:「戦争終結」ではなく、単に戦争するだけでも、戦争が長期化すれば「政府と軍部の意思疎通」は欠かせません。

*3:つまり参謀総長、参謀次長、軍令部総長、軍令部次長の4人です。場合によってはそれプラス「陸軍大臣、陸軍次官」「海軍大臣海軍次官」「侍従武官長」なども出席します。

*4:支那駐屯軍司令官、参謀次長、北支那方面軍司令官など歴任

*5:当時の参謀総長は皇族の閑院宮だったため、多田が事実上のトップ。

*6:関東軍参謀として満州事変を実行。関東軍作戦課長、 参謀本部作戦課長、参謀本部第一部長、関東軍参謀副長、舞鶴要塞司令官など歴任

*7:斎藤、岡田、第一次近衛内閣外相、首相など歴任。戦後、死刑判決。後に靖国に合祀。

*8:林、第一次近衛、小磯内閣陸軍大臣、陸軍教育総監参謀総長など歴任。戦後、自決。

*9:林、第一次近衛、平沼、小磯、鈴木内閣海軍大臣、首相など歴任。

*10:著書『権力への懐疑:憲法学のメタ理論』(1991年、日本評論社)、『テレビの憲法理論』(1992年、弘文堂)、『憲法と平和を問いなおす』(2004年、ちくま新書)、『憲法とは何か』(2006年、岩波新書)、『憲法の境界』(2009年、羽鳥書店)、『憲法のimagination』(2010年、羽鳥書店)、『憲法の円環』(2013年、岩波書店)、『法とは何か:法思想史入門(増補新版)』(2015年、河出ブックス)、『安保法制から考える憲法立憲主義・民主主義』(編著、2016年、有斐閣)、『憲法の理性(増補新装版)』(2016年、東京大学出版会)、『憲法の論理』(2017年、有斐閣)、『比較不能な価値の迷路:リベラル・デモクラシーの憲法理論 (増補新装版)』(2018年、東京大学出版会)、『憲法の良識』(2018年、朝日新書) など

*11:いつの朝日新聞記事が産経がきちんと書かないのもおそらく「中略部分」を確認されたくないからでしょう。

*12:正確に言うと「天道」でしょうね。司馬遷の「天道、是か非か(この世に天道はあるのか!)」の「天道」です。天道(あるべき人の道)に従って生きてきた自負を持っていた司馬遷は「宮刑」と言う酷い目に遭い、こうした嘆きをせずにはいられませんでした。

*13:まあウヨですら三権分立否定、天皇主権復活は今時目指してないでしょうが。

*14:著書『鎌倉新仏教の誕生』(1995年、講談社現代新書)、『救済の思想:叡尊教団と鎌倉新仏教』(1996年、角川選書)、『太平記』(2001年、中公新書)、『忍性』(2004年、ミネルヴァ日本評伝選)、『知られざる親鸞』(2012年、平凡社新書)など

*15:南朝と対立した足利氏のこと

「珍右翼が巣くう会」に突っ込む(2019年7/20分:高世仁の巻)

いま東日本大震災のときの自民党を振り返る - 高世仁の「諸悪莫作」日記

 テレビが選挙期間中とは思えないほど「静か」で、どうなっているのかと思っていたら、実際、選挙報道が激減していた。
《テレビ番組を調査・分析するエム・データ社(東京都港区)によると、地上波のNHK(総合、Eテレ)と在京民放5社の、公示日から15日までの12日間で選挙に関する放送時間は計23時間54分で、前回に比べ6時間43分減っている。とりわけ「ニュース/報道」番組の減少が顕著で、前回から約3割減、民放だけなら約4割減っている。》(朝日新聞
 記事では、その(ボーガス注:考えられる)理由として、視聴率が取れないことや(ボーガス注:自民党の)クレームを怖れて発言時間を細かく管理する手間がかかることなどが挙げられるが、実は、選挙を扱うテレ朝の「モーニングショー」が高い視聴率を取っているという。
 安倍政権の6年を振り返り、日本の直面する課題、選挙の争点は何かを深く調査、分析する報道をやれば視聴者はついてくるはずだと思うのだが。

 問題はその「モーニングショー」がきちんと安倍批判してるかどうかであり、そこに触れない高世の態度はどうかと思いますが、それ以外については全く同感です。

 安倍首相が立憲民主党を「民主党」とわざと間違えるのは、「民主党政権時代は酷かった」という空気に乗っかろうとする*1ものだが、実際に民主党政権はそんなに酷かったのか。
 民主党政権下で情報公開への取り組みは成果があって、外交文書の公開はかなり進んだ。東日本大震災でストップしてしまったが、いまの安倍政権の情報をとにかく隠蔽しようという姿勢とはまったく違っていた。
 高校の授業料無償化*2なども成果の一つだ。偏見なく見れば総合点で自民党政権よりは高い点をつけていいと思う。それがなぜか、メディアでも、民主党に政権を取らせてひどい事になったというイメージがふりまかれている。大震災への対応で責められるわけだが、あの未曽有の混乱のなか、自民党政権ならもっと悲惨なことになったのではないか。
 選挙戦の中、ある漁師がブログで震災のとき、自民党が、震災対応より民主党政権の足を引っ張ることを優先したことを振り返って糾弾している。
「私は絶対に忘れない!」―
東日本大震災の千年に一度の「国難」で、超党派での対応が必要な時に、野党自民党民主党の復興政策案の全てに反対 「審議拒否」や「内閣不信任案」までしていた 何たる事か!】
https://blogs.yahoo.co.jp/sasaootako/64967420.html
《震災から2ヶ月後あたりだった。みんながまだ避難所にいた。
 そんな時、国会では与野党協力してあの「国難に対応すべき」だったはずなのに、野党の自民党民主党政権の「復興政策案、予算案の全てに反対して、果ては 「審議拒否」や「内閣不信任案」まで提出し「解散総選挙」を求めていたのだ。
 私は、あの卑劣な自民党の行為を忘れない。
 その時、痛感した。自民党は身勝手で、非人道的政治なんだと。 現場にも来ずに見てもいない自民党議員達は、東日本大震災を利用して、 民主党を叩き、「政権奪回」だけを狙っている卑劣な党なんだと・・。》
 また、当時の自民党の審議拒否がいかにひどかったかを指摘している。
 《相次ぐ安倍政権の森加計疑惑や不祥事を追及のために、野党が国会の「審議拒否」を続けていることが批判を浴びている。
 しかし、見るがいい。自民党が野党時代には、今の野党よりも多い「審議拒否」をやっているのだ。》

 全く同感ですね。まあ俺個人は「消費税増税反対(霞ヶ関埋蔵金云々)」「八ッ場ダム建設中止」「沖縄基地県外移設」などを全て反故にし、社民党の連立離脱も招いた「民主党の公約違反」が許せないとは思います。しかし、それを割り引いても安倍よりはマシです。正直、民主党へのネガティブイメージの多くは「公約違反」ではないか。とはいえその点では自民とて何ら立派ではないのですが。
 なお、超党派での対応といえば、「安倍の無法に与野党一致で対応すること」を韓国与野党が確認したそうです。
 この確認がいつまで続くかという問題はありますが、野党・自由韓国党などが「安倍の無法」をまともに批判せず、文政権の足を引っ張るようなことは現時点では避けたことは評価できます。もちろん韓国国民世論がそれを許さないのでしょうが。

 日本は好景気だと懸命にアピールする安倍首相だが、日本経済が世界で圧倒的に負け組になっていることはいくつか統計を見れば一目瞭然だ。
 95年日本のGDPは世界の18%だったのが2001年から急降下して今は6%。GDPを指標にするのは古いというなら、実質賃金がとくに安倍政権になってから大きく下がっている。
 2018年の調査結果と比較すると、貯蓄ができていない人(「0万円」)の割合は、2018年17.1%→2019年23.1%と、6.0ポイント増加している。(SMBCコンシューマーファイナンス)貯金できない人が1年でこんなに増加しているのだ。
 ウソをつく政治家は落としましょう。
 山形にも嘘つき候補者がいるので、よろしく。
VOTE OUR PLANET 私たちの地球のために投票しよう―パタゴニア - 高世仁の「諸悪莫作」日記

 安倍には「右翼的なこと以外には興味がなく」、日本財界も「企業収益が増えること(法人税が安くなることなど)」しか興味がないからこうなるのでしょう(まあ、安倍の場合、能力もないのですが)。GDPが減ろうが、実質賃金が減ろうが、「企業収益が法人税減税などで増えてること」は確かです。また今の日本大企業(トヨタ自動車など)は「欧米や中国など海外を市場」と考えてるから「実質賃金が下がろうとかまわない、日本市場はメインの市場じゃない」「むしろコストカットが出来ていい」としか思ってないのでしょう。
 「国内の中小企業」はそういうわけにいきませんが。なお、安倍が反中国を撤回したのも結局は「中国市場を重視する財界の要望」でしょう。
 実質賃金が減ってるのは文句の余地なく「安倍の失政」でしょう。GDPについて言えば「中国など新興工業国の躍進がスゴイ」と言う面があるので「実質賃金の話」とはやや性格が違い「安倍の失政」とばかりは言い切れませんが(アンチ安倍の俺ですが、安倍叩きに走るのではなくこういう点ではフェアになりたいと思います)。高世に寄れば「減少が深刻化したらしい」2001年以降というのも「2001年=小泉政権」であって安倍じゃないですしね。
 なお、VOTE OUR PLANET 私たちの地球のために投票しよう―パタゴニア - 高世仁の「諸悪莫作」日記については「珍右翼が巣くう会」に突っ込む(2019年7/15分:高世仁の巻) - bogus-simotukareのブログでコメントしました。

*1:仮にそうだとしても、それに共感する奴がいるんですかね?。だったらはっきりと「民主党は酷かった。それをよくしたのはわが自民党」と言えば済む話ですし。

*2:ただし朝鮮学校を除外したことは勿論許せません。

「珍右翼が巣くう会」に突っ込む(2019年7/20分:荒木和博の巻)

詐欺【調査会NEWS3032】(R01.7.21): 荒木和博BLOG

・太永浩・元北朝鮮駐英公使の著書『平壌3階書記室の暗号』の一節です(荒木訳)。
・このころロンドンでは北朝鮮国営保険会社が提起した訴訟が行われていた。2005年7月、北朝鮮高麗航空のヘリコプターが墜落する事故が発生した。北朝鮮国営保険会社は保険金として所定のユーロを支払うようヨーロッパの再保険会社に要求した。私の記憶では4千万ユーロだった。ヘリが人道主義支援物資が保管された倉庫の上に墜落したとごまかして支援物資に対する補償まで受け取ろうとしたのだった。このために北朝鮮は倉庫の物資免税票まで偽造した。再保険会社は事故を信じることができないとして支給を拒否し、事件は法廷での争いに引き継がれた。
 長期化した裁判は北朝鮮の勝訴で終わり保険金は受け取ることができた

 またわかりづらい文章ですね。
 「ヘリが人道主義支援物資が保管された倉庫の上に墜落したとごまかして支援物資に対する補償まで受け取ろうとした」ということは墜落事故自体はあって、「墜落事故の補償」だけなら当然の権利としてカネが受け取れたのか。詐欺的な部分は「倉庫の上に落ちた」云々という部分だけなのか(実際には倉庫には落ちなかった?)。
 ここで言う勝訴とは何の勝訴なのか。
 「太永浩のいう『倉庫の物資免税票まで偽造』云々」という「保険金詐欺」の部分も含めての勝訴なのか。それとも「実際にあった墜落事故限定」で「当然の権利として保険金が受け取れる部分」限定か。
 まあ、そもそも太永浩が脱北者であることを考えれば「あることないこと言って北朝鮮を誹謗している疑い」もあり、どこまで事実かわかりませんがそれはさておき。
 「保険金詐欺するような北朝鮮は信用できない」と言い出すいつもの荒木です。
 そもそも太永浩の主張が事実かどうかもわかりませんが、仮に事実だとしても「拉致解決においては交渉するしかない」わけです。
 そして北朝鮮が提出した資料も「明らかに怪しいところがあれば指摘する」がそうでなければひとまず受け入れるしかないわけです。
 あるいは怪しいところがあっても、北朝鮮が「これが事実だ」と突っぱねるなら、交渉を進めるために、渋々「一応受け入れるということ(ただし全面的に納得しているわけではないこと、何か新たな証拠が出てくれば再度追究することもあり得ることを断る)」もありうる。
 とにかく交渉するしかないわけです。荒木みたいなことを言って交渉を否定しても何もどうにもなりません。
 なお、詐欺と言うなら荒木らの「特定失踪者デマ」も立派な詐欺でしょう。おそらく特定失踪者家族から「必要経費」として金も受けとってるのでしょうし。