今日の産経ニュース(2019年2月18日分)

懲戒権削除、法相に要請へ 小4女児死亡事件巡り自民 - 産経ニュース

自民党馳浩文部科学相は18日のBS-TBS番組で、千葉県野田市の小4女児が死亡し傷害容疑で両親が逮捕された事件をめぐり、監護や教育のため子供を懲らしめる「懲戒権」を民法から削除するよう山下貴司法相に近く要請すると明らかにした。馳氏は、児童虐待に関する党の特命委員長を務めている。
・「子供の成長に必要な教育は、体罰や暴言、暴力であってはならない。懲戒権は削除すべきだ」と述べた。児童福祉法児童虐待防止法を改正し、体罰禁止を明記すべきだとも強調した。

 以前から「懲戒権は体罰の温床であり廃止してはどうか」という意見はありました。
 珍しく自民党がまともです。というよりは「馳浩*1がまとも」というべきでしょうか。ただ安倍を支持するような極右連中は体罰大好きですから果たしてどうなることやら。


【正論】ヴェノナ文書を歴史戦に生かせ 評論家・江崎道朗 - 産経ニュース
 ばかばかしい。仮に「ヴェノナ文書」なるものについての産経の言い分(赤狩り時代のアメリカでは、従来考えられていたよりもソ連スパイが暗躍していた)が事実だと仮定しても「だから何?」て話です(俺は無知なので、このあたり知りませんが)。
 そんなもんと「南京事件慰安婦、徴用工や靖国」での中韓の安倍批判と何の関係もない。
 もちろん「南京事件資料を世界記憶遺産登録したユネスコ」も「河野談話河野洋平*2」も「クマラスワミ報告書のクマラスワミ氏、マクドガル報告書のマクドガル氏」も「米国下院慰安婦決議採択に尽力したマイク・ホンダ氏」も「慰安婦研究の吉見義明氏*3南京事件研究の笠原十九司*4」もソ連スパイでも何でもないわけです。


【iRONNA発】北方領土 「日本固有」となぜ言えないのか 木村汎氏(1/2ページ) - 産経ニュース
 これについては「うーん」ですね。「日本固有」と安倍が言えないのはもちろんプーチン*5の反発を恐れてるからです。それは恥ずべき腰抜けではあるでしょう。一方で安倍*6竹島については「固有の領土」と呼ぶことにためらいがないほど「なぜか韓国をなめてる」わけです。
 ただしネット上でも指摘がありますが「固有」とは何なのか、という問題もある。
 コトバンクなどでは

「固有」
・他から与えられたのではなく、もとからあること。 「人間固有の精神」
・そのものだけにあること。特有。「日本固有の文化」「北国に固有の風土」

と説明がありますが「日本固有の領土」というのはコトバンクの意味ではぴったり当てはまらないように思います。
 おそらくこの場合の「固有」は「大昔から」を意味するのでしょうが、そんな事実はありません。北方領土が「日本の領土となった」のは明治以降の話です。
 そして「最近、領土になろうとも」、領土になった経緯が合法、正当であれば、何ら問題ないわけです。
 つまりは「日本の領土」といえばそれですむ話で「固有」という意味不明の言葉をつける必要はどこにもありません。


駐日ロシア大使「平和条約交渉は期限を設けず、綿密に進める」 - 産経ニュース
 つまりは「わかりきったことですが」、今年中に決着がつく可能性はほとんどないと言うことです。安倍もよくもまあ「参院選前に宣伝に使おう」なんて脳天気なことを考えていたもんです。


【産経・FNN合同世論調査】韓国国会議長の発言「撤回すべき」82% - 産経ニュース
 何で撤回すべきなんだかさっぱり分かりません。
 「昭和天皇は戦犯じゃない」とでもいうのか。はたまた「戦犯だけど米国ならともかく、韓国なんかに言われたくない」という韓国蔑視か。まあ日本人であることがつくづく恥ずかしいですね。

 慰安婦問題が収まらないのは「韓国側」「あえて言えば韓国側」に問題があると答えたのが67・7%に上った。

 「正気か?」と心底呆れます。「すべて日本(つうか安倍)のせい」に決まってるでしょうに。もちろん「安倍なんぞ支持してる連中のせい」でもありますが。しかし「67%」ね?。事実なら「げんなり」です。安倍の支持率は今さすがに67%もなく、「安倍批判派にトンデモウヨがいる」つうことですから。


【産経・FNN合同世論調査】韓国「信頼できぬ」77% 虚言、逆ギレ…この3カ月で対韓不信が拡大 - 産経ニュース
 そりゃ散々日本マスゴミ嫌韓国をあおってますからね。とはいえ「日本人は劣化しているのではないか」「日本人の差別意識がより悪化したのではないか」とげんなりする話です。こうした嫌韓国を少しでも是正するためにも「安倍の一日も早い下野」が必要ですね。たとえ自民党政権でも安倍ほど酷い嫌韓国ウヨもいないでしょうから。石破*7でも石原伸晃*8でも岸田*9でも安倍よりはマシでしょう。


【奈良「正論」懇話会】「米中間の通訳できるのは日本」 富坂聰・拓殖大海外事情研究所教授 - 産経ニュース
 そんなことが安倍に出来るかどうかはともかく、「打倒中国」などと叫ばず「米中の仲介役として両国の落としどころを見つけることが日本の国益になる。日本(つまり安倍政権)は米国や中国のどちらか片一方に過剰に肩入れすべきではない。どちらの国も日本にとって重要だ」というあたりは、「産経文化人のウヨ」でも富坂*10は「櫻井よしこ*11島田洋一などと違い」まともと言えるでしょう。


【主張】加速器の誘致 日本の未来見据え判断を - 産経ニュース
 俺個人は「誘致すべきじゃない」つう考えです。つうのは産経も書いてるように

建設費は約8千億円とされ、立地国の負担は全体の5~6割と見込まれる。

ということでやたらカネがかかるからです。産経記事を前提にすれば日本が誘致すると、日本が4000億円も負担する可能性がある。
 「そこまで金かけてまで誘致すべきものか」と疑問に思いますね。つうか「欧米(米国やEU諸国)は費用負担したくない」からこそ「日本で引き受けてくれないか」つう話になってるようです。ある意味「沖縄米軍基地問題に似てる」。
 「(米軍基地や加速器が)俺にとって必要だとは思うんだけどさ、金がかかるから、日本で引き受けてくんないかなあ?。米国の財布から出そうとすると国民の反発が強いから(米国の場合)」て、「手前ら日本を馬鹿にしてるのか!。日本は手前らの財布じゃない!」つう怒りを感じずにはいられません。いやそんだけの成果があればまだいいですけど、そんな保証ないし。そんだけつぎ込めば、他につけ回しすること(福祉や他の科学研究の予算が減る)にもなるわけです。

 (ボーガス注:国の研究予算減少もあって)日本の科学力はこの10年で急激に低落した。

 うん、だから「加速器につぎ込んでも学術研究予算を増やして他の研究にもちゃんと金は回します」「学術研究予算の総額は今まで通りで加速器が大幅に増えた分、他の研究費が大幅に減るなんてことは心配しないで下さい。そんなことはありません」つう話じゃないと「加速器研究者以外」は「加速器だけのために俺たちを犠牲にされてたまるか、冗談じゃない」「これ以上、科学力を停滞させられない」と絶対に誘致に反対するよね。俺が「加速器に関係ない研究者」なら当然そう動きますから。
 で「安心して下さい、他の研究にもカネを回しますから」なんて安倍政権は何一つ言わないわけです。それで「誘致に反対するな」なんてふざけるにもほどがあります。しかし産経のこの社説の論調は明らかに「誘致すべき」ですがはっきりと『誘致しろ』といえないあたりが滑稽です。
 「加速器研究者以外」の科学者の反発が強いことを産経も無視できないのでしょう。

【追記】
次世代加速器ILC 国際議論の開始を支援 誘致議連 - 産経ニュース

 日米欧で分担する総建設費が約8000億円に上り、他の科学研究予算を圧迫する可能性が懸念されることが、最大の課題となっている。
 誘致構想の是非を、文部科学省の依頼で審議した日本学術会議は昨年12月、ILCの科学的意義を認める一方、巨額の経費負担に見合うとは認識できず、国際的な経費分担の見通しも不明だなどとして、「誘致を支持するには至らない」とする回答書を提出した。

ということで俺個人は誘致には反対ですが、

 議連会長の河村建夫*12衆院議員は「実現に向け大詰めの時期だ。国の方針が示され議論を世界へと動き出させなければならない」とげきを飛ばした。
 総会には、文部科学省の磯谷桂介研究振興局長も出席し「3月の国際会議で政府の考え方を説明する」と明かした。

という誘致の動きはいささかも軽視できないでしょう。


【主張】自衛官募集問題 どちらがフェイクなのか - 産経ニュース
 もちろん安倍の主張は完全なフェイク(というか勝手な思い込み、または嘘であると知りながらの言いがかり)ですが、安倍が詭弁はいて、安倍本人は非を認めないが故に「安倍総理は間違ってない」と強弁する産経です。 
 もはや公正中立性を建前ですら標榜する気は産経にはどこにもない。完全な「日刊・安倍晋三」と化してるわけです。

 防衛省自治体に、募集対象者の氏名、生年月日、性別、住所のデータを載せた名簿を、紙か電子媒体で提供するよう求めている。
 平成29年度に要請に応じたのは全1741市区町村のうち36%であり、残り64%は提供しなかった。過疎地で人口が少ない自治体を除く53%の市区町村では、募集業務に当たる隊員が、住民基本台帳法の規定を用いて、膨大な資料を手書きで写したり、閲覧したりするしかなかった。
 朝日新聞や野党などは36%にこの53%を加え、約9割が協力したと言って首相を批判している。
 本気で言っているのか。紙か電子媒体を出せば済むのにそうせず、募集業務担当の現場の隊員に膨大な作業を強いた。こういう振る舞いを協力とは言わない。

 産経の方こそ「本気で言ってるのか」ですね。「紙か電子媒体での提供」は「そうしてほしい」という自衛隊側の単なる要望でしかありません。従う義務はおそらくない。その要望に従わない理由が「役所の業務が忙しくて、そんなことはとてもやってられない(住民台帳閲覧は許可するから、そのくらい自衛隊でやってくれ、本来、そこまでが自衛隊の業務だろ)」のか、「自衛隊に批判的な意見*13も住民の中にある中、単なる台帳閲覧ならともかく、そこまで役所が自衛隊に協力するのははいかがなものか」という認識かはともかく。
 「住民基本台帳法による閲覧」を容認*14してる以上、「協力しない」云々と自治体が非難されるいわれはないでしょう。
 いずれにせよこんなことは「憲法自衛隊を書き込むかどうか」でどうこうなる話ではない。どうしても産経や安倍が「紙や電子データで提供しろ!」といいたいなら「法的あるいは政治的な是非はともかく」、自治体が自衛隊に対し、「単に台帳を閲覧させるのではなく、紙や電子データで提供すること」を何らかの形で義務づければいい*15だけの話です。改憲の必要性として使える話じゃない。つうか、そもそも「閲覧」についてそんなに自衛隊から不満が出てるのか。
 実際には「役所も忙しいし無理強いはできんよな。協力してくれれば御の字だけど」「台帳見せてくれるだけでもありがたい」が現場の声じゃないのか(田母神のような極右自衛官を除いては)。

*1:第三次安倍内閣文科相

*2:中曽根内閣科学技術庁長官、宮沢内閣官房長官、村山、小渕、森内閣外相、衆院議長など歴任

*3:中央大学名誉教授。著書『草の根のファシズム』(1987年、東京大学出版会)、『従軍慰安婦』(1995年、岩波新書)、『毒ガス戦と日本軍』(2004年、岩波書店)、『日本軍「慰安婦」制度とは何か』(2010年、岩波ブックレット)、『焼跡からのデモクラシー:草の根の占領期体験(上)(下)』(2014年、岩波現代全書)など

*4:都留文科大学名誉教授。著書『アジアの中の日本軍』(1994年、大月書店)、『日中全面戦争と海軍:パナイ号事件の真相』(1997年、青木書店)、『南京事件』(1997年、岩波新書)、『南京事件三光作戦』(1999年、大月書店)、『南京事件と日本人』(2002年、柏書房)、『南京難民区の百日:虐殺を見た外国人』(2005年、岩波現代文庫)、『南京事件論争史』(2007年、平凡社新書→増補版、2018年、平凡社ライブラリー)、『「百人斬り競争」と南京事件』(2008年、大月書店)、『日本軍の治安戦』(2010年、岩波書店)、『第一次世界大戦期の中国民族運動』(2014年、汲古書院)、『海軍の日中戦争』(2015年、平凡社)、『日中戦争全史(上)(下)』(2017年、高文研)など

*5:エリツィン政権大統領府第一副長官、連邦保安庁長官、第一副首相、首相を経て大統領

*6:自民党幹事長(小泉総裁時代)、小泉内閣官房長官を経て首相

*7:小泉内閣防衛庁長官福田内閣防衛相、麻生内閣農水相自民党政調会長(谷垣総裁時代)、幹事長(第二次安倍総裁時代)、第三次安倍内閣地方創生担当相など歴任

*8:小泉内閣国交相自民党政調会長(第一次安倍総裁時代)、幹事長(谷垣総裁時代)、第二次安倍内閣環境相、第三次安倍内閣経済財政担当相など歴任

*9:第一次安倍、福田内閣沖縄・北方等担当相、第二次、第三次安倍内閣外相を経て自民党政調会長

*10:著書『ルポ 中国「欲望大国」』(2008年、小学館101新書)、『中国の地下経済』(2010年、文春新書)、『中国人民解放軍の内幕』(2012年、文春新書)、『中国という大難』(2013年、新潮文庫)、『中国の論点』(2014年、角川oneテーマ21)、『習近平の闘い』(2015年、角川新書)、『中国がいつまでたっても崩壊しない7つの理由』(2017年、ビジネス社)、『感情的になる前に知らないと恥ずかしい中国・韓国・北朝鮮Q&A』(2018年、講談社)など

*11:国家基本問題研究所理事長、「美しい日本の憲法をつくる国民の会」共同代表。一時安倍政権で中教審委員を務めた。著書『GHQ作成の情報操作書「真相箱」の呪縛を解く:戦後日本人の歴史観はこうして歪められた』(2002年、小学館文庫)、『中国はなぜ「軍拡」「膨張」「恫喝」をやめないのか:その侵略的構造を解明する』(編著、2012年、文春文庫)、『ニッポンの懸案:韓・中との衝突にどう対処するか』(2014年、小学館新書)、『日本とインド いま結ばれる民主主義国家:中国「封じ込め」は可能か』(編著、2014年、文春文庫)、『地政学で考える日本の未来:中国の覇権戦略に立ち向かう』(2017年、PHP文庫)など

*12:小泉内閣文科相麻生内閣官房長官自民党選対委員長(第二次安倍総裁時代)など歴任

*13:もちろんそれは改憲すればなくなるという話ではありません

*14:まあ拒否する理由もないのでしょうが

*15:そうしないのは「自衛隊に批判的な住民もいるのにそこまでやらせるのは政治的にいかがなものか」という話(もちろんそれもあるでしょうが)よりも、むしろ「自治体にそんなマンパワーはない(台帳は閲覧させるから細かい作業は自衛隊でやってくれ)」つう話が一番大きいかと思います。