今日の産経&中国&朝鮮・韓国ニュースほか(2019年7月7分)

東京新聞:<各駅停車>朝鮮学校への補助金:埼玉(TOKYO Web)
 今年、埼玉県知事選があるわけですが、「新しい県知事には是非補助金をきちんと支給してほしい」「ぜひ支給すると選挙戦において明言する知事候補が出てほしい」とするコラムです。全く同感なので紹介しておきます。


北朝鮮、揺れる要求/核保有の野望隠す意図か - 牧野愛博|論座 - 朝日新聞社の言論サイト
 「またアンチ北朝鮮の牧野か」ですね。
 基本的に北朝鮮の主張は牧野が言うほど揺れてはいないでしょう。
 「体制保証すれば核廃棄してもいいが、体制保証がなければ核廃棄しない」、これが北朝鮮の要望です。
 したがって「核保有の野望隠す」なんてことはない。「体制保証すれば核廃棄してもいい」のだから「核保有」は絶対的な目的ではない。
 ただし経済小国、軍事小国「北朝鮮」は正直「核カード」以外に手持ちの札が少ない。当然ながら重要な札である「核」はそう簡単には捨てられない。ただしそれは「絶対に捨てない」ということではない。
 と思って牧野文章を読んでいて「なるほど、こりゃ、俺と牧野じゃ話が通じないわ」と思いました。
 牧野は「北朝鮮は最低限、朝鮮戦争終戦協定*1米朝国交樹立がないと体制保証とは認めないだろう」が「米国が体制保証すること(終戦協定と国交樹立)はない」と決めつけてる。なるほどそれならば「北朝鮮は核廃棄しない」でしょう。ただしそれは「核保有の野望」と言う話ではない。そして、牧野がすべき主張は「米国が体制保証すること(終戦協定と国交樹立)はない」と決めつけることではなく「体制保証とのバーターで核廃棄を目指すこと」でしょう。まあ牧野の場合本心は「米国云々」ではなくアンチ北朝鮮の立場から「米国が体制保証すること(終戦協定と国交樹立)をしてほしくない」のでしょうが。


玉城沖縄知事、自衛隊のF35導入批判 - 産経ニュース
 玉城氏の批判には全く同感なので紹介しておきます。高額な軍用機を大量購入する財政の余裕はないし、「米軍と共に海外で戦争しない限り」そんなことをしなければいけない事情もないでしょう。


慶大教授は問う「中国のデータ国家主義は悪いだけか」:朝日新聞デジタル

 国家が主導して、膨大な個人データを収集・活用して社会を改革しようという中国。海を隔てた日本では、不気味と見る向きも多い。しかし、医療政策が専門の宮田裕章・慶応大教授は、そんな固定的な見方に異を唱えている。

 いやーこういう「我々は中国について偏見で物を言ってないか?」つう記事を見ると嬉しくなりますね。
 詳しくはリンク先を見てほしいですが宮田氏が言ってるのは「俺の理解」では以下のようなことです。
・そうしたデータ収集活用は確かに個人情報保護の観点でリスクがないとはいわない。中国ももしかしたらそうした問題を抱えてるのかもしれない。
 しかし便利であることも一方では事実だし、そうした方向に動いてるのは何も中国だけではない。日本や欧米だってそういう面はある。例えば、いわゆる「ビッグデータ」と言うのはそういう話だ。
 安直に「中国が個人データを集めて個人監視しようとしてる、怖い」というのではなく「個人情報をきちんと保護し、個人の不当な監視などに悪用されないよう注意した上で」、「個人情報データをどのように社会のために活用していけばいいか」という議論をしていくべきではないか(もちろんこう主張する宮田氏はそうしたデータ活用を進めたいのでしょうが)。少なくともこうした動きが「中国のような独裁国家限定」と思ったら大きな間違いだ。


慰安婦像に日本人装い唾か 韓国人4人、制止され「日本語使った」 - 産経ニュース
 こんな馬鹿がいるのかと呆れますが、「なりすまし」云々を強調しようとする産経のゲスさにも呆れます。
 相手は酔っ払いであり「酔っ払いのバカが馬鹿な行為をやっただけ」の話であり、こんなことで「日本に対する韓国側の言いがかり」云々みたいに書くのは「はあ?」ですね。
 「日本語を使えば、日本人観光客と思われて大目に見てもらえる」とか酔っ払いどもは無茶苦茶なことでも考えてたんでしょうか?。どっちにしろ韓国の慰安婦問題での批判は何ら言いがかりではないですし、この酔っ払いのバカどもについても、すぐに「韓国人だった」と警察発表がされたわけです。


文在寅政権進む「親日狩り」、学校の日本痕跡清算する初条例…済州島、シンボルの木の扱いで混乱も - 産経ニュース
 産経記事が事実なら「戦前植民地統治時代の物を何でもかんでも不合理な物として否定してないか?」「あまり望ましくないのではないか?」「戦前日本の英語排撃のようになってないか?」と個人的には思いますがそれはさておき。
 ここで問題になってるのは「戦前の植民地時代から韓国に残ってる日本色の強い物で不合理な物はなくす(例:戦前に作られ植民地支配正当化の疑いがある校歌)」つう話です。
 少なくとも建前では「日本に関係のあるものは全て否定する」つう話ではありません。
 なくす(廃止する)対象として
1)「戦前の植民地時代から韓国に残ってるもの」
2)「不合理な物」
つう二つの条件が必要なわけです。
 そして今のところ「韓国国内に話はとどまっており」、日本人が何かしないといけないわけでもない。正直、「少なくとも日本人にとっては」産経が騒ぎ立てるほどの話ではないでしょう。


【浪速風】 韓国へ輸出規制 かの国は信頼を重んじよ - 産経ニュース
 「徴用工判決ガー」「信頼関係ガー」「だから報復も仕方がない」の産経には呆れますが、一般論としては「問題解決は交渉でしか解決しないことが多く」、その場合「信頼関係を築くこと」は大事なことです(もちろん徴用工問題について言えばむしろ信頼関係を破壊してるのは安倍自民の方ですが)。
 しかし北朝鮮拉致問題においては「信頼関係なんかどうでもいい」「とにかく北朝鮮は日本に従え」が産経ですから呆れます。それで拉致問題が解決するわけないでしょう。小泉訪朝が成功したのも「ある種の信頼関係」が日朝間に成立したからであり、一方、その後、なんの成果もないのは「対北朝鮮経済制裁」で信頼関係を破壊したからです。


孟前総裁の妻、ICPOを提訴 「夫を保護せず」主張 - 産経ニュース
 ICPOを提訴した理由がよく分かりません。事情はどうあれ中国に帰国したのは孟前総裁の意思でしょうし、保護云々て何をしてほしいのか。
 彼が「亡命しなかった」のはICPOのせいではなく「あえて言えば」彼の個人責任だと思いますし、亡命申請をするならその申請先は「ICPOではなく、ICPO本部のあるフランスなど外国政府」ではないのか。
 中国が帰国要請し、彼が亡命申請しない(そして帰国する)と言う状況でICPOに出来る事ってあるんでしょうか?。また帰国後の状況を問題にするにしても、「仮に妻の言うように政治的迫害だとしても」それはもはや「一般的な人権問題」であって「ICPOの管轄外の問題」の気がします。
 もう少しわかりやすい記事を書いてほしいのですが、妻の主張自体がわかりづらいのか。


安倍首相、対韓輸出管理体制見直しの正当性主張 - 産経ニュース
 今回の措置を正当化するには「制度目的(制度の建前)が軍事転用の防止」である以上、「韓国による軍事転用の疑いを示す証拠」を「ウソでも」提出するしかないのに「徴用工判決ガー」ですから呆れます。明らかに制度目的を逸脱している。一般論で言って「制度目的を逸脱した行為」は違法で無効です。
 韓国によってWTOに提訴されたらどうするかなどということは、他の人間はともかく「少なくとも安倍は」何一つ考えてないことが分かります。ここで安倍が言ってることをWTOに持ち出されたら確実に負けるでしょうね。WTOは安倍に忖度して日本政府を勝たせる理由もないでしょうし。
 「頭が悪い上に性格も下劣」。およそ首相の器ではありません。

【追記】
「北朝鮮問題絡め圧迫」=安倍首相発言で韓国メディア:時事ドットコム
 「徴用工ガー」では「WTOに提訴されたら負ける」と言われたのか「(軍事転用の疑いがある)不適切事例があった」といいだしたそうです。しかし普通なら「こういう事例があるので規制を強化したい」と韓国に通知し、お互い交渉してから決定でしょう。それもなしにいきなり、一方的に規制強化したあげく当初は「徴用工ガー」、「それはおかしい」といわれたら「不適切事例があった」と主張を変更したあげく、何が不適切なのかまともに説明しないというのではなんの説得力もありません。WTO提訴されれば敗訴は不可避でしょう。
 そもそも本当に「(軍事転用の疑いがある)不適切事例があった」のなら韓国にきっちりと抗議し是正措置を要求するのが当たり前です。輸出規制で済む話ではない。それをしない時点で「口から出任せ、嘘八百」であることはモロバレです。


訪日韓国人、前年比4・7%減少 さらなる冷え込みも - 産経ニュース
 勿論この減少理由が何かは分かりません。
 一番ありうる理由は「政治的理由(安倍の極右嫌韓国政治への反発)」ではなく「日本は他(例:ヨーロッパ)と比べて観光地としての魅力に乏しいと思う韓国人が増えてきた(金がかかる割に大して楽しくない)」でしょうが、それにしても、安倍の例の行為は「愚行」と言うべきでしょう。
 「どうしても日本の京都奈良に行きたい」などの「強い訪問意欲」があるならともかくあんなことをすれば「日本以外のホニャララ(例:オーストラリア)やチョメチョメ(例:台湾)も魅力的だな」と思う程度の「訪日観光旅行を考えてる韓国人」は「安倍があんなことやるんじゃ、日本はしばらく行かない方がいいよな。どうしても今すぐ日本を旅行したいわけでもないし」ということになりかねません。つまり「どの程度影響するかどうかはともかく」訪日韓国人旅行客を減らしかねない。


【北朝鮮核問題】ビーガン北朝鮮担当特別代表が欧州訪問へ - 産経ニュース
 先日、米朝首脳会談があったばかりなので「それについての説明行脚」ですかね。


【この本と出会った】藤原書店社長・藤原良雄 『吉田松陰』徳富蘇峰著 感銘受けた世界史的視野(1/2ページ) - 産経ニュース
 今時、吉田松陰をただ絶賛て、「藤原書店社長」もどんだけ右翼なんですかね。
 もちろん吉田松陰は「偉人」でしょうが、「彼のアジア侵略思想」が明治以降の日本に与えた影響を考えれば今時手放しで礼賛できる人間じゃないでしょう。まして、今は「戦前礼賛ウヨ安倍」が首相ですからね。
 これは何も吉田松陰だけじゃない。例えば「中国改革開放の父・トウ小平*2」なども「偉大」でしょうが天安門事件に触れずに「偉大だ」とだけ言っていたら「何を考えてるんだ?」と思われても仕方ないでしょう。


【産経抄】7月7日 - 産経ニュース

 〈学もし成らずんば死すとも還(かえ)らじ…人間(じんかん)/到(いた)る処(ところ)/青山(せいざん)有り〉。幕末の志士、村松香雲が15歳で郷里を発(た)つ日に詠んだとされる。
▼志を遂げずには故郷に帰るまい。世間のどこにでも死に場所(青山)はある、と。
 自分の命、あるいは命に等しいものを犠牲にしても成し遂げたい何事かは、昭和39(1964)年の日本にもあった。
▼その人は東京五輪を前に医師からこう迫られた。
 「オリンピックか、目か」。
 聖火に関する行事万般を託された、中島茂という文部官僚である。五輪の母国、ギリシャから聖火を空輸する計画に忙しい中、左目に重い眼病を患った。
▼治療に割く時間はない。医師に告げて、聖火を運ぶ日本航空の機体「シティ・オブ・トウキョウ」号に飛び乗っている。39年8月半ばからひと月近い長旅に、五輪の命運を懸けた(夫馬信一*3著『1964東京五輪聖火空輸作戦』*4)。
▼後に中島は「気にしてたら立派な聖火リレーはできない」と語ったという。
 ギリシャからの帰途、左の視力を失った中島はしかし、聖火の見張りを他の誰にも委ねなかった。国立競技場に燃え盛ったのは、光を犠牲に届けた火だった。来年、新たな聖火を引き継ぐ人たちにも、記憶にとどめてほしい裏面史である。

 「カミカゼ特攻すら美化する産経」らしいコラムですがそういう話を美談にしてほしくないですね。
 「イヤー中島さんの左目が失明したけど、聖火リレーが出来たからよかったよね」てそういうのはおかしい。ご本人、「聖火リレーにどうしても関与したかった」ので、それで満足だったのかもしれませんが後世の人間が美談にしたらダメでしょうよ。
 本来なら「治療に専念して他の人間に代わるべきだった」わけです。

参考

東京五輪聖火リレー功績に脚光 神埼出身の故中島さん 回顧本で発掘 |行政・社会|佐賀新聞ニュース|佐賀新聞LiVE
 1964年の東京五輪の回顧本で佐賀県出身者の功績が取り上げられている。神埼郡神埼町(現神埼市)出身の故中島茂さん(1914~2007年)で、ギリシャを含め十数カ国・地域を巡る聖火の空輸に奔走した。2年後の東京五輪パラリンピックを前に、過去の聖火リレーの苦労や舞台裏に光を当てている。
 著書は『1964東京五輪聖火空輸作戦』で、ノンフィクション作家の夫馬信一さん(58)=東京都=が今年出版した。
 中島さんは国外空輸の最中に左目を失明している。以前から中心性網膜炎を患い、「五輪か目か」と医者から告げられていた中、五輪を優先した。周囲に心配をかけないようにと、空輸中は症状を明かさなかった。夫馬さんは「当時の五輪組織は、とんでもない働き方を強いられた。中島さんら現場の存在はそれだけ大きかった」と話す。
 宏子さんは「父はリレーの成功が誇りだった。この本で思い出がよみがえった」と感じ入る。多くの人たちが準備に関わる2度目の東京大会の成功を祈っている。
 『1964東京五輪聖火空輸作戦』は原書房刊。A5判、318ページ。2500円(税別)。


ダライ・ラマ14世84歳で声明 亡命60年「チベット人は団結」 - 産経ニュース
 声明を出さないわけにも行かないのでしょうが「ああ、そうですか。でも賛同はしません(中国)」で終わってしまうある意味むなしい状態になっています。


日韓の歴史問題と安倍政権の対韓輸出規制措置|コラム|21世紀の日本と国際社会 浅井基文のページ

 今や有権者の多く(20歳代から40歳代)は、書き換えられた歴史教科書に基づいて歴史を教えられて育っています。私自身、1990年代に大学で日本政治を講義していたとき(講義の終わりに任意でメモを提出することを学生たちに求めていました)、学生たちが提出するメモの記述内容で、アジアに対して行った日本の侵略戦争・植民地支配についてすでに間違った歴史を信じ込まされていることを思い知らされて、何度も愕然としたことを今も鮮明に覚えています。そういう彼らが今や40歳代なのです。

 「30代以下」については知識がないので何も言えませんが「今、40代の小生」からすれば「え、そうなの?」ですね。

 私は「安倍政治に引導を渡す」ことにはもちろん賛成です。しかし、それだけで日本政治が根本から変わるとは到底考えられません。

 もちろんそれは「安倍を生み出した構造(戦前への無反省、中韓への差別意識日米安保を『当然の前提』として容認していることなど)」がすぐに消えるわけではないからです。
 「トランプが大統領を辞めてもそれで万々歳じゃない」と言うのと同じです。とはいえ「まずは安倍をやめさせること」でしょう。


【昭和天皇の87年】進撃する日本軍 中国軍司令官がとった驚きの行動とは… - 産経ニュース

 上海で日本軍を食い止め、長期戦に持ち込んで欧米列国の介入を招こうとした蒋介石の戦略は、崩壊したといえるだろう。

 この点、今日の産経&朝鮮・韓国ニュースほか(2019年7月6分) - bogus-simotukareのブログで紹介した昭和天皇の発言「一発がつんと中国軍をぶったたけ(俺の要約です)」が一見、成功したように見えます。その結果、昭和天皇ら日本政府は中国をなめ、戦線を拡大していくことになります。しかし蒋介石はそうした日本の予想に反し戦争を継続して抵抗していきます。

 ほぼ無傷で上陸した第10軍は独断で南京への追撃を開始。陸軍中央が定めた上海と南京の中間にある制令線を勝手に越えてしまった。軍司令官の柳川平助*5は、首都南京を一気に攻略して蒋介石の戦意をくじこうとしたのである。

 笠原十九司*6本多勝一*7などが指摘していることですが「十分な準備なしに南京に侵攻したこと」は「準備不足で食糧不足だから、捕虜に食料が与えられない、とはいえ解放するわけにも行かない→いっそ殺せばいい」と言うとんでもない形(捕虜の違法な殺害)で南京事件を助長することになります。そして南京事件はもちろん「違法で不道徳な行為(戦争犯罪)」ですが、それだけではなく「欧米の日本批判が更に厳しくなる→蒋介石が政治的に有利になる」と言う形で日本の首を締めていきます。
 別に「南京事件がなくても日本への批判は強まった」でしょうがさらに「強まる」わけです。
 日本軍は「軍事力で勝てばいい」としか思っておらず「その行為を政治的、道義的に正当化しようとすること」にあまりにも無関心でした。その結果が南京事件です。
 戦後、南京事件については、東京裁判で「松井石根(事件当時、中支那方面軍司令官)」に、南京軍事法廷で「谷寿夫(事件当時、第6師団(熊本)師団長)」にそれぞれ死刑判決が下ります(なお、第10軍司令官・柳川は1945年1月に病死しています。東京裁判時に存命でも松井や谷とは違い、なぜか裁かれていない「南京事件現地軍幹部」もいるので、なんとも言えませんが存命なら、柳川が南京軍事法廷に戦犯として起訴され死刑判決かもしれません。そうなると柳川の部下である谷は訴追されなかった可能性も出てきます)。
 なお、こうした捕虜への無法は南京事件だけではなく有名な事件では「バターン死の行進」があります。「バターン死の行進」では第14軍(フィリピン)司令官の本間雅晴*8が死刑になります。

 唐は、その命令が行き届かないうちに幕僚を連れて南京城から脱出、ひそかに揚子江を渡った。蒋介石に誓った絶対死守の方針を、いともあっさり投げ捨てたのだ(※2)。
 この唐の、敵前逃亡ともいえる行為が中国軍将兵を激しく混乱させたのは言うまでもない。

 こうした唐の行為が無責任であることは言うまでもありません。とはいえそれは「南京事件(捕虜の違法虐殺など)での日本の責任」を軽減する物では全くありません。

 一方、予想外の事態に日本軍も狼狽(ろうばい)した。南京が陥落した13日以降、投降兵が続々と出現したからだ。陸軍中央も各軍上層部も、統制を失った捕虜が大量に出ることを想定していなかった。その結果、捕虜の処置は現場部隊に丸投げされ、現在まで論争の続く大問題が起きてしまう。

 「捕虜の違法殺害があったかどうか」など「違法行為があったかどうか」についていえば、論争なんかどこにもありません。産経など極右歴史修正主義者がデマで「捕虜虐殺などの違法行為の存在を否定しようとしているだけ」にすぎません(南京事件では捕虜虐殺以外にも民間人の虐殺もありますが)。
 なお、笠原氏などが指摘していることですが、こうした捕虜虐殺を正当化しようとすると日本軍にとっては完全にブーメランになります。
 というのは戦陣訓で「原則、降伏が禁じられたため」、日本軍では司令官が自決した場合以外はまず降伏があり得ず「日本軍捕虜」は大部分「統制を失った捕虜」だからです。

*1:単なる終戦宣言なら米国にとって実行のハードルが低い(北朝鮮にとってのプラス面)が、協定と違い、米軍が一方的に破棄する危険性(北朝鮮にとってのマイナス面)が否定できません。

*2:副首相、党副主席、党中央軍事委員会主席、国家中央軍事委員会主席などを歴任

*3:著書『幻の東京五輪・万博1940』(2016年、原書房

*4:2018年、原書房

*5:台湾軍司令官、第10軍司令官、第二次近衛内閣司法大臣など歴任

*6:都留文科大学名誉教授。著書『アジアの中の日本軍』(1994年、大月書店)、『日中全面戦争と海軍:パナイ号事件の真相』(1997年、青木書店)、『南京事件』(1997年、岩波新書)、『南京事件三光作戦』(1999年、大月書店)、『南京事件と日本人』(2002年、柏書房)、『南京難民区の百日:虐殺を見た外国人』(2005年、岩波現代文庫)、『南京事件論争史』(2007年、平凡社新書→増補版、2018年、平凡社ライブラリー)、『「百人斬り競争」と南京事件』(2008年、大月書店)、『日本軍の治安戦』(2010年、岩波書店)、『第一次世界大戦期の中国民族運動』(2014年、汲古書院)、『海軍の日中戦争』(2015年、平凡社)、『日中戦争全史(上)(下)』(2017年、高文研)など

*7:著書『中学生からの作文技術』(朝日選書)、『新・アメリカ合州国』(朝日文芸文庫)、『アイヌ民族』、『アメリカ合州国』、『アラビア遊牧民』、『植村直己の冒険』、『NHK受信料拒否の論理』、『カナダ=エスキモー』、『きたぐにの動物たち』、『釧路湿原:日本環境の現在』、『検証・カンボジア大虐殺』、『50歳から再開した山歩き』、『子供たちの復讐』、『殺される側の論理』、『殺す側の論理』、『事実とは何か』、『実戦・日本語の作文技術』、『しゃがむ姿勢はカッコ悪いか?』、『憧憬のヒマラヤ』、『職業としてのジャーナリスト』、『先住民族アイヌの現在』、『戦場の村』、『そして我が祖国・日本』、『中国の旅』、『天皇の軍隊』、『南京への道』、『日本環境報告』、『新版・日本語の作文技術』、『ニューギニア高地人』、『冒険と日本人』、『北海道探検記』、『滅びゆくジャーナリズム』、『マスコミかジャーナリズムか』、『マゼランが来た』、『新版 山を考える』、『リーダーは何をしていたか』、『ルポルタージュの方法』(以上、朝日文庫)、『本多勝一戦争論』、『本多勝一の日本論:ロシア、アメリカとの関係を問う』(以上、新日本出版社)など

*8:台湾軍司令官、第14軍(フィリピン)司令官など歴任