高世仁に突っ込む(2020年8/19日分)

「飢餓」か「食糧不足」かージョーンズ VS デュランティ - 高世仁の「諸悪莫作」日記
 高世仁に突っ込む(2020年8/15日分) - bogus-simotukareのブログで取り上げたウクライナの飢餓を暴いたジャーナリスト - 高世仁の「諸悪莫作」日記の続きです。
 高世記事タイトルに「飢餓も食糧不足も一緒じゃん?。つうか、食糧不足の結果、人体に起こる現象(激しい空腹感や喉の渇きなど)が飢餓だろ?」と思った方も中にはおられるでしょうが、ここの文脈では「餓死者続出にまで至ってないレベルの食糧不足=食糧不足」、「餓死者続出の食糧不足=飢餓」つう定義(?)です。まあそういうのは飢餓と言うより「飢饉」と言った方がいい気が個人的にはしますが(「享保の大飢饉 - Wikipedia」、「天明の大飢饉 - Wikipedia」などの飢饉ですね)。

 ロシア革命以降、共産主義(運動)が、ロシア、ウクライナはじめ中国や東欧、カンボジアなど多くの国々で、1億人におよぶ人々の命を奪うことになるが、その根幹は農業の集団化*1にあると思う。
 4000万人が犠牲になったとされる中国の「大躍進」は、ジョーンズが取材したソ連の32~33年の「ホロドモール」と呼ばれる大惨事の繰り返しと言ってもよい。
(つづく)

 ということで
1)先日見た映画(スターリンソ連時代ウクライナが舞台)での飢餓は「無理な」農業集団化(国営農場ソフホーズとか?)が原因だと思う
2)例えば大躍進(人民公社?)もそうだ
ということで「高世にとっては、おそらく知識も無ければ実のところそれほど興味もないらしいウクライナ話」から「より知識や興味関心もある」中国大躍進に話を転換するようです。
 ぶっちゃけ「中国批判のためのただの前振りかよ!。映画関係者に失礼すぎじゃね!」感がありますね。
まあ確かに
1)ネットで「ホロドモール」でググっても「大躍進」に比べて情報はヒットしないし(とはいえこの映画の影響なのか、全くヒットしないわけでも無いですが)
2)ヒットした「ホロドモール」関係情報を有効活用できるほど「ホロドモール」についての知識は高世には無い(一方「大躍進」についてはある程度知識がある)のでしょうが。
 しかし「無理な農業集団化にあると思う」て根拠は何なんですかね?
 つうか、「無理な農業集団化(経済失政)による食糧不足ガー」て「反共ウヨ」高世的にそれでいいのか?
 スターリン粛清とか文革とかポルポト虐殺とか「無理な農業集団化ガー」て話と違うでしょうに。正直「無理な農業集団化による餓死」レベルならもっと「共産主義体制下における犠牲者」は少ないでしょうよ。
 あるいはその高世理論「無理な農業集団化ガー」だと「文革の惨状から経済を発展させて、経済大国にした中国すごいね!」つうことにもなりかねないでしょうに。
 つうかホロドモール - Wikipediaを読む限り「共産主義ガー」つうより、非共産国でも発生したことがあるいわゆる飢餓輸出 - Wikipediaモノカルチャー経済なので外貨獲得のために食料不足でも、外貨獲得源となる食料を輸出し、飢餓を一層悪化させる)の一種に思えるんですが。
 スターリンソ連が悪くないとは言いませんが、ホロドモール - Wikipediaによれば「ロマノフ王朝時代から小麦の飢餓輸出をやっていた」と書いてあることには注意しておく必要があるかと思います。
 そして飢餓輸出ばかりにこだわって「反共ウヨ」高世的にそれでいいのか?。正直「飢餓輸出」レベルならもっと「共産主義体制下における犠牲者」は少ないでしょうよ。

【参考:飢餓輸出】

食糧第一:世界飢餓にまつわる12の神話
◆神話その1
 膨張した世界人口を養うだけの食糧が足りない。だから食糧増産が必要だ。
◆事実
・インドでは、2億人の国民がお腹をすかせていたとき、6.25億ドル分の小麦・小麦粉と13億ドル分の米が輸出されていた(1995年)。
・ブラジルでは、7,000万人の国民が充分食べられなかったときに、130億ドル分の食糧が輸出された(1994年)。
・アフリカでは、2億1,300万人が飢えるサハラ地方の国々が盛んに食糧を輸出している。1960年代末から70年代初頭に西アフリカ諸国が史上最悪の干ばつに襲われたときも、12.5億ドルもの食糧が輸出され続けた。1982~85年の干ばつのときもこれらの国からの食糧輸出は続いた。
 世界の食糧供給事情は「過剰」の一言につきる。
 (中略)
 それでも飢餓が続き、餓えた国々から食糧や他の農産物が輸出されている。飢餓は現実に存在する。しかし、食糧は不足していない。
◆神話その2
 干ばつや凶作が飢饉を引き起こす。自然災害のせいだ。
◆事実
 1982年から85年に「干ばつに襲われ」多くの人々が餓死したとき、サヘル諸国*2の多くは農作物の輸出を増加させていた。干ばつの年1984年に記録的な量の綿花がこれらの国から輸出された。

 この指摘が本当かどうか知りませんが、こういうのが飢餓輸出です。見て分かるように非共産国でも起こる話です。
 飢餓輸出 - Wikipediaにも高世が紹介した「ホロドモール」のほかにも色々と飢餓輸出の例が挙げられています。勿論それらには非共産国の事例もあります。

*1:せめて「実態を無視した無理な」「現実から乖離した」などの修飾語でも付けたらどうなんですかね?。農業集団化それ自体は日本や欧米だってあるでしょうに。農業集団化それ自体がまずいわけじゃないでしょうに。それとも高世は「農業集団化それ自体に反対」なんでしょうか。

*2:セネガルモーリタニア、マリ、ブルキナファソニジェール、ナイジェリア、チャド、スーダンエリトリアのこと(サヘル - Wikipedia参照)