高世仁に突っ込む(2020年10/7日分)

「天皇も任命拒否ができるかも」 - 高世仁の「諸悪莫作」日記

 天皇も任命拒否ができるかも
 今朝の「朝日川柳」の入選句(東京都・奥津春美)だが、私も同じことを考えた。
 天皇が(ボーガス注:衆院の指名を無視して、指名された人間を首相に)任命しないということは許されない。この場合の「任命」は形式的な行為にすぎないからだ。
 問題は、学術会議から推薦された人を菅総理が任命しなくてよいのかだ。
 会員は、当初は研究者による選挙で選ばれていたそうだ。次第に選挙に出る人が減って1984年から学会の方針を基にして学術会議が候補者を推薦する方式になったという。
 日本学術会議法では、学術会議は「内閣総理大臣の所管」で、「独立して職務を行う」とされる。
 第7条2項には「会員は、第17条の規定による推薦に基づいて、内閣総理大臣が任命する」とある。
 第7条2項の「任命」はどういう意味なのか。
 これについては、1983年、学術会議法が改正される際に国会で当時の中曽根康弘*1首相が、「政府が行うのは形式的任命にすぎません」(1983年5月12日、参院文教委員会)と答弁。丹羽兵助*2総理府総務長官(当時)も「学会の方から推薦をしていただいた者は拒否はしない、そのとおりの形だけの任命をしていく」(1983年11月24日、参院文教委員会)と答えている。
 これが政府の法解釈であり、推薦された人を任命する行為は形式的なものにすぎない、つまり総理大臣は推薦された人を自動的に任命しなければならない。争う余地がないほど明快である。
 ところが政府は今日、行政権や公務員任命権を定めた憲法の条文を根拠として、首相が学術会議の推薦通りに任命する義務はないと確認した2018年11月の内部文書というものを公表した。
 内閣府日本学術会議事務局が作成したとされるその文書は、首相が推薦通りに会員を任命する義務があるかを検討したものだという。
 そこには「首相に学術会議の推薦通り会員を任命すべき義務があるとまでは言えない」と記されてある。
 従来の法解釈を明らかに変更するこんな文書をずっと公表せずに、今ごろ「実は・・」と出してくるとは卑劣きわまりない。
 しかも、なぜ公表しなかったかについて加藤勝信*3官房長官は「解釈に変更を加えたものではないので、直ちに公表する必要はなかった」と笑止千万の答え。
 菅*4首相は、何を聞かれても「まったく問題ない」と官房長官時代と同様、木で鼻をくくった答え。
 任命拒否された6人は、安倍政権で成立した安全保障法制や「共謀罪」法に反対の意思表示をしており、菅首相がお上に逆らうものを排除したことが見え見えだ。
 不誠実で陰湿な体質も安倍政権を継承している。
 百歩譲って「首相に学術会議の推薦通り会員を任命すべき義務があるとまでは言えない」としても、拒否した判断基準を示すのは最低限の説明責任だ。それを示さなければ、恣意的な判断になる。
国会で徹底的に追及すべし。

 これらの文について、高世の指摘には異論はありません。まあ菅首相や加藤官房長官らには呆れて二の句が継げませんね。
 なお、今日の産経ニュースほか(2020年10月1日分) - bogus-simotukareのブログで紹介しましたが拒否された6人は

◆東京大社会科学研究所教授の宇野重規教授(政治思想史)
◆早稲田大大学院法務研究科の岡田正則*5教授(行政法
東京慈恵会医科大の小沢隆*6教授(憲法学)
◆東京大大学院人文社会系研究科の加藤陽子*7教授(日本近現代史
立命館大大学院法務研究科の松宮孝明教授(刑事法)
◆京都大の芦名定道教授(キリスト教学)

です。彼らの経歴については菅首相が学術会議の任命を拒否した6人はこんな人 安保法制、特定秘密保護法、辺野古などで政府に異論:東京新聞 TOKYO Webを参照下さい。
 また、これを契機に「菅批判と任命拒否撤回」だけではなく「あるべき日本学術会議の姿」「あるべき学問との政治の関係」なんて話も野党各党に期待したいところです。
 「話が脱線しますが」、ちなみに戦前の「元老(山縣有朋西園寺公望*8など)の推薦と天皇の任命」は戦後の「衆院の指名と天皇の任命」と違い、天皇(戦前は国家元首)の任命は実質的行為でした。だから元老も一人だけ指名すると言うことはしないで複数候補を出すことが通常でした。
 なお、戦前は「いわゆる憲政の常道」として「原敬*9首相から犬養毅*10首相」までは「衆院第一党党首から首相を元老が推薦する」という「議院内閣制に近い運用」でした(いわゆる第二次憲政擁護運動では『司法官僚出身の清浦奎吾*11』が首相になったことに対して、政党側が『憲政の常道に反する』と批判を行い、清浦が退陣に追い込まれ、加藤高明内閣が成立する)。しかし「議院内閣制ではない」「運用にすぎない」ので、犬養が515事件で海軍青年将校に暗殺され「議院内閣制的な運用では軍部が反発して内閣が持たない」と理解されると、犬養暗殺以降は「斎藤実*12岡田啓介*13(海軍出身)」「広田弘毅*14(外務省出身)」「林銑十郎*15(陸軍出身)」「近衛文麿*16貴族院出身)」「平沼騏一郎*17(司法官僚出身)」「阿部信行*18(陸軍出身)」「米内光政*19(海軍出身)」「近衛文麿貴族院出身、再登板)」「東条英機*20、小磯國昭*21(陸軍出身)」「鈴木貫太郎*22(海軍出身)」とずっと「非政党出身者」が首相になります。
 また、「原敬」以前は「伊藤博文*23黒田清隆*24山縣有朋*25松方正義*26明治新政府の重鎮)」ということで全然、「憲政の常道」ではない。原のような政党出身者が力を付けたことで元老も「憲政の常道」という主張を容易には無視できなくなり、「無視して元老・西園寺が行った清浦の首相就任」は第二次憲政擁護運動で覆されたわけです。
 たぶん「衆院の指名と天皇の任命」の元ネタは「元老の推薦と天皇の任命」でしょう。
 また「王に事実上の首相任命権が『限定条件付きでだが』ある『らしい』国」があってそれが英国です。
 ジェフリー・アーチャー(一時、保守党議員でもあった)の『めざせダウニング街10番地』(邦訳は新潮文庫)はもろにそれが「最後の落ち」と関連しています。といっても小生は実は『ダウニング街』は読んだ事が無くいわゆる雑学本での知識です。
 想像つくでしょうが「ダウニング街10番地」とは「英国首相官邸のある場所」で「首相官邸の隠語」です。

【大統領官邸、首相官邸の隠語:あいうえお順】
エリゼ宮=フランス大統領官邸
クレムリンソ連共産党本部やロシア大統領官邸
青瓦台=韓国大統領官邸
中南海中国共産党本部
ホワイトハウス=米国大統領官邸
【地名の隠語:あいうえお順】
◆大手町=オフィス街
霞ヶ関=官庁街
兜町東京証券取引所
桜田門警察庁
信濃町公明党本部*27創価学会本部
◆神保町=神田古書店
◆永田町=首相官邸や国会
虎ノ門文科省*28
三宅坂=戦前は参謀本部、戦後は長きに亘り、日本社会党社民党本部(現在は社民党本部は別の場所に移転)
◆代々木=日本共産党本部*29

等と同じですね(豆知識ネタとして思いつく限り上げてみました)。
 ググって見つけた記事に寄れば

ジェフリー・アーチャー 『めざせダウニング街10番地』 - To Read, or Not To Read, That Is The Question
 物語では、マーガレット・サッチャー女史の退任後、エリザベス女王が高齢を理由に王位を息子のチャールズ3世に継承します。
 ここで、下院の総選挙で労働党、保守党の議席がまったくの同数となり、選挙は国王布告で実施されるのと同様、首相の任命も実質は儀礼として行われており、このような同数になった場合、どちらに任命するかは国王の決断いかんによるところとなるのですが・・・

だそうです。アーチャーが嘘を書いてるのなら話は別ですが、事実ならば、正直「びっくり」ですね(ただし英国において実際にそういう事態が起こったことはない)。
 日本においては同数の場合「抽選」のようですがこれまたそう言う事態は起こったことはありません。

 きのう*30、(ボーガス注:生きていれば)横田めぐみさんは56歳の誕生日を迎えたが、早紀江さん(84)は(中略)めぐみさんの誕生日には毎年、滋さんと小さなケーキとコーヒーでお祝いをしてきた。今は滋さんとめぐみさんの写真をくっつけてリビングの見える所に並べて置き、毎日お祈りし、めぐみさんの無事を願い、話し掛けているという。
 北朝鮮外務省は先月、「拉致問題は不可逆的に完全無欠に解決された*31」とする声明を公表した。早紀江さんは「めぐみの偽の骨とか死亡通知書とか、みんなでたらめだったとはっきりしている*32。左右されない」と語気を強め、「早く日本で自由にさせてあげたい。北朝鮮という国を納得*33させて、みんなを帰してほしい」と国に求めた》(東京新聞
 早紀江さんとともに私も祈ろう。

 吹き出すとともに、高世に呆れました。「祈ることしかしねえのかよ!。散々、北朝鮮専門家ぶっていながら、手前、高世、ふざけんな!。恥を知れよ!」ですね。
 まあ、救う会の連中(西岡救う会会長、島田救う会副会長、荒木特定失踪者問題調査会代表)みたいに無責任に「新型コロナ(海外から観光客が来ない)と台風直撃で北朝鮮は厳しい状況にある。今こそ制裁で締め上げれば拉致解決のチャンスガー」と無責任に放言するよりは高世の方が「ある意味誠実」「現実を直視してる」とはいえるでしょう。
 とはいえ繰り返しますが「祈ることしかしねえのかよ!。散々、北朝鮮専門家ぶっていながら、手前、高世、ふざけんな!。恥を知れよ!」ですね。
 祈って解決するなら誰も苦労しません。祈って解決しないから「ジンネットも倒産した」(高世への皮肉のつもり)。
 ほとんど「神風が吹けば日本は米国に勝てる(太平洋戦争末期)」などというのと同じ世界です。
 まあジンネットが倒産した今、高世も「拉致問題に関わる熱意」をもはや失ってはいるのでしょう。記事タイトルは拉致とは関係ありませんし、記事のメインの話題も「記事タイトルから予想される」ように「菅の任命拒否」です。
 「なら拉致について、高世はもう何も言わずに、黙ってろ!」と思いますが。 

【参考:太平洋戦争と『神風』】

<2>-開戦- 軍国教育に染められ|第2部 銃後の思い|とちぎ戦後70年|下野新聞 SOON(スーン)
 宇都宮市今泉町、関口喜美子(せきぐち・きみこ)さん(84)は国民学校で「神風が吹いて日本は勝つ」という教育をたたき込まれた。
 「純真無垢(むく)な子どもは、教師の導きでどのようにでも染まるから」。
 そして皆「同じ色」に染められていった。

【戦後70年】「神風が吹いて勝つ」と教えられた戦中…今の若い人は「自分で判断する力を」〈三重発5完〉(1/2ページ) - 産経WEST
 「日本は必ず神風が吹いて勝つ」。
 戦時中は教えられた三重県四日市市塩浜本町の伊藤幹郎さん(79)と同市桜台の中瀬啓之助さん(79)。塩浜国民学校の同級生で、ともに教師の道を歩んだ。戦後70年を迎え、子供心に感じた戦争の記憶を振り返った。
(中略)
 中瀬さんは「洗脳って怖い」と言い、「人間は弱い。大きな力や雰囲気に負けて染まってしまう。若い人には、安易に世論に流されないで、自分で考え冷静に判断する力がほしい」と訴えた。

軍国少女の敗戦:元教師が語る1945/下 「神風で勝つ」信じて 磯田正江さん(89)=吉野川市 /徳島 - 毎日新聞
 今思うと恥ずかしいけれど、日本が戦争に負け、そのことを知った後も「神風が吹いてアメリカ軍をやっつけるんだ」と本気で思っていた。降伏文書に調印する時、占領軍が上陸する時、神風が吹くはずと期待した。何も起こらなかったが、それでもだまされたとは感じていなかった。学校で先生が言っていたことを信じ切っていたから。

【参考終わり】

 きのうNHKの「ニュースウォッチ9」にアルパインクライマー・山岳カメラマンの平出和也さんと中島健郎さんが出演。2020 ピオレドール賞を受賞した喜びを語った。
 ピオレドール賞とは、優秀な登山家に贈られる賞で「登山界のアカデミー賞」とも呼ばれる、1991 年に創設されたフランスの山岳賞。
 2019年7月2日に、パキスタンカラコルムに位置するラカポシ 7788m 未踏の南壁より新ルートにて登頂。その功績を称えられての受賞だった。
 お二人とも、ジン・ネットの番組の撮影をお願いしたご縁がある。

 「赤字強調」は俺がしました。また「ジンネット時代の自慢」です。「哀れで無様で滑稽な男=高世仁」と鼻で笑います。

*1:岸内閣科学技術庁長官、佐藤内閣運輸相、防衛庁長官、田中内閣通産相自民党総務会長(福田総裁時代)、幹事長(三木総裁時代)、鈴木内閣行政管理庁長官などを経て首相

*2:田中内閣国土庁長官、中曽根内閣総理府総務長官(沖縄開発庁長官兼務)、竹下内閣労働相など歴任。1990年に統合失調症の男性によって不幸にも刺殺されている。

*3:第二次安倍内閣官房副長官、第三次安倍内閣一億総活躍等担当相、自民党総務会長(第二次安倍総裁時代)、第四次安倍内閣厚労相などを経て菅内閣官房長官

*4:第一次安倍内閣総務相、第二~四次安倍内閣官房長官を経て首相

*5:そもそも、「岡田教授に限らず」『行政の中立性』を破壊した『安倍のモリカケ桜を見る会』に批判的で無い行政法学者はどこにも居ません。

*6:そもそも西修百地章など一部ウヨ学者を除けば、「小沢教授に限らず」安倍の安保関連法(集団的自衛権容認)に批判的で無い憲法学者はどこにも居ません。

*7:そもそも「加藤教授に限らず」まともな歴史学者なら安倍の歴史認識に批判的で無い学者はどこにも居ません。

*8:第2次伊藤内閣文相(外相兼務)、第3次伊藤内閣文相、首相など歴任

*9:第4次伊藤内閣逓信相、第1次、第2次西園寺、第1次山本内閣内務相などを経て首相。首相在任中に暗殺される。

*10:第一次大隈内閣文相、第二次山本内閣逓信相(文相兼務)、加藤高明内閣逓信相などを経て首相

*11:第2次松方、第2次山県、第1次桂内閣司法相、農商務相、内務相、枢密院議長、首相などを歴任

*12:第一次西園寺、第二次桂、第二次西園寺、第三次桂、第一次山本内閣海軍大臣朝鮮総督、首相、内大臣を歴任。内大臣在任中に226事件で陸軍青年将校に暗殺される。

*13:田中、斎藤内閣海軍大臣、首相を歴任。

*14:斎藤、岡田、第一次近衛内閣外相、首相など歴任。戦後、戦犯として死刑判決。後に靖国に合祀

*15:朝鮮軍司令官、斎藤、岡田内閣陸軍大臣、首相など歴任

*16:貴族院議長、首相を歴任。戦後、戦犯指定を苦にして自殺

*17:検事総長大審院長、第2次山本内閣司法相、枢密院議長、首相、第2次近衛内閣内務相など歴任。戦後、戦犯として終身刑で服役中に病死。後に靖国に合祀

*18:台湾軍司令官、首相、朝鮮総督など歴任

*19:戦前、林、第1次近衛、平沼、小磯、鈴木内閣海軍大臣、首相など歴任。戦後、東久邇宮、幣原内閣海軍大臣

*20:関東憲兵隊司令官、関東軍参謀長、陸軍次官、陸軍航空総監、第二次、第三次近衛内閣陸軍大臣、首相など歴任。戦後、戦犯として死刑判決。後に靖国に合祀

*21:関東軍参謀長、朝鮮軍司令官、平沼、米内内閣拓務大臣、朝鮮総督、首相など歴任。戦後、戦犯として終身刑で服役中に病死。後に靖国に合祀

*22:海軍次官連合艦隊司令長官、海軍軍令部長侍従長、枢密院議長、首相など歴任

*23:参議兼工部卿宮内卿、首相、枢密院議長、貴族院議長、韓国統監など歴任。元老の一人。安重根によって暗殺される

*24:第1次伊藤内閣農商務相、首相、第2次伊藤内閣逓信相、枢密院議長など歴任。元老の一人。

*25:陸軍卿、内務卿、第1次伊藤内閣内務相、首相、第2次伊藤内閣司法相、枢密院議長、参謀総長など歴任。元老の一人。

*26:大蔵卿、第1次伊藤、黒田、第1次山県、第2次伊藤、第2次山県内閣蔵相、首相、内大臣など歴任。元老の一人。

*27:最寄り駅が信濃町駅だからだが、実は公明党本部の所在地は新宿区南元町

*28:最寄り駅が虎ノ門駅だからだが、実は文科省の所在地は千代田区霞ヶ関

*29:最寄り駅が代々木駅だからだが、実は共産党本部の所在地は渋谷区千駄ヶ谷

*30:10/5のこと

*31:安倍や菅、産経ら日本ウヨの「慰安婦や徴用工問題での物言い」と似ているところを「どう思うのか」、北朝鮮及び日本ウヨに聞きたいところです。おそらくどちらも「全然違う」と強弁するのでしょうが。

*32:当たり前ですが「遺骨とか死亡通知書が仮にデタラメである」としてもそれは「めぐみさん生存」の根拠には何らなりません。

*33:早紀江ですら「舌先三寸、口から出任せ」だとしても「北朝鮮を納得させて」と言っているところが興味深い。まあ、実際に早紀江がとってる態度は「経済制裁支持」であり「どこが『北朝鮮を納得させて』なんだ?」と問いただしたくなる馬鹿げた代物ですが。