今日の産経&しんぶん赤旗ニュースほか(2021年10/24日分)(追記あり)

【最初に追記】
 最高裁裁判官国民審査について
 懸念されるアフガンの人権状況 - 高世仁の「諸悪莫作」日記でも紹介されている松原耕二氏の

https://twitter.com/matsubarakoji/status/1451859815450374149?ref_src=twsrc%5Egoogle%7Ctwcamp%5Eserp%7Ctwgr%5Etweet
松原耕二
2021年10月23日
 きょう期日前投票に行ってきた。誰に1票を入れるかだけでなく、最高裁裁判官の国民審査も、国民の権利のひとつ、最高裁の判断で確実に社会は変わる。材料として、NHKのサイトが素晴らしい。
最高裁判所 裁判官の国民審査 特集サイト2021|経歴や注目裁判での判断は|NHK

というツイートを紹介しておきます。やはり「検事、外交官出身判事:政府寄り(例:夫婦別姓訴訟でも同姓強制について合憲判決)」「学者、弁護士出身判事:ある程度政府に批判的」という傾向がありますね。
【追記終わり】
これまで罷免ゼロ 国民審査の意義とは何か - 産経ニュース
 「罷免がゼロだから無価値」ということでもないですが、とはいえ、
1)関心が低い人間が多い→何も書かない人間が多い
2)「バツをつけたときのみ罷免」という方式なので何も書かないと信任扱いされる
という現行方式には問題があるとは思います。
 せめて「丸をつけたときのみ信任(産経記事にも書いてありますが、現状ではバツ以外の記載は無効票)」「バツは罷免(現状もこれは同じ)」「無記入は棄権(産経記事にも書いてありますが、現状では無記入は信任)」に切り替えたらどうか。
 なお、この記事自体は

・これまでに24回行われ、延べ179人が審査を受けているが、罷免された裁判官はゼロ。最も多く×がついたのは昭和47年に行われた第9回審査での下田武三*1で、15・17%。失言があり野党が反発、「罷免キャンペーン」を展開した影響もあったという。
・国会議員が決めた法律を覆せる強大な権限を持つ最高裁裁判官を国民が直接チェックするという重要な意義を持つ一方、機能しているとは言い難い国民審査。裁判所行政に詳しい明治大の西川伸一*2教授(政治学)は「正直言って、衆院選の『刺し身のツマ』のような扱いとなっている」と嘆く。
・投票日の数日前には、投票の参考にするため審査対象の各裁判官の略歴や関与した主な裁判などを紹介した「審査公報」が各世帯に届くが、最高裁で扱う案件は抽象的で難解なものが多く、一読するだけでは理解するのは難しい。
・ただ、最高裁が行う判断や決定は、社会や国の形に関わる重要なものばかり。そこには、各裁判官の考えが色濃く反映されている。
 たとえば今年6月、夫婦別姓を認めない民法などの規定を「合憲」とした最高裁大法廷での判断。15人中4人が「違憲」とする意見を付け(中略)るなど、個々の裁判官がこの問題を深く考え、結論を導き出したことがうかがえた。
・西川教授は「ネットの発達もあり、最高裁裁判官の詳しい経歴や関与した判決などの情報が以前より入手しやすくなっている。ぜひ自分事として考え、関心を持って投票してほしい」としている。

ということで産経には珍しく「まともな記事」です。


衆院選比例投票先 自民29%、立民11% 共同通信 - 産経ニュース
・自民29%というのには、自民批判派として今更ながらげんなりしますが、圧倒的な支持ではないわけです。
野党共闘支持としては

◆調査で野党一本化について聞くと「評価する」44・7%、「評価しない」48・5%
→「評価しない」の方がわずかながら多い
◆望ましい選挙結果を尋ねたところ「与党と野党の勢力伯仲」が49・4%で前回より4・2ポイント増加。「与党が野党を上回る」は34・6%、「与党と野党が逆転」は11・4%だった。
→「与党>野党」は34%にとどまるとは言え「野党>与党」も11%にとどまる

というのにもげんなりしますが、とにかく「最後の最後まで議席増に向けて頑張り」、かつ選挙後も「野党共闘に懐疑的な見方を払拭する」ためのさらなる野党共闘の進展に力を入れるほかはないでしょう。


発見遺体は内閣府審議官 「桜を見る会」で経緯説明 岐阜・北穂高、石の下敷き:東京新聞 TOKYO Web
 この審議官氏が「桜を見る会」で詭弁説明をした人間の一人と言うことで、まともな根拠もないのに「自民の謀殺」云々という陰謀論流してる馬鹿が一部にいるようでげんなりします。


野党攻撃 Dappi 運営企業/就業時間に中傷ツイート 自民と関連企業が販売先/岸田首相・甘利氏も元代表取締役
 「Dappiを運営している企業は自民党と多額の取引実績がある→当然、Dappiの野党誹謗ツイートも自民党からの仕事の一環の疑いがある」という「Dappi疑惑」をマスコミももっと取り上げるべきでしょう。


参院山口補選 自民の北村氏当選確実 - 産経ニュース
 安倍元首相のお膝元で、立民が「勝ち目なし」と見て、候補擁立をせず、共産が擁立という時点で「選挙結果」は予想の範囲内ですが、やはり残念ですね。
 静岡はともかく「安倍王国」山口の選挙結果は「衆院選の前哨戦」とは、とても言えないでしょう。静岡について言えばこうした「野党共闘による小選挙区での勝利」が31日の選挙で、野党側が「どれだけ実現できるか」でしょう。勿論、選挙区事情はいろいろ違うので、何とも言えませんが。


自民、参院補選1勝1敗 山口勝利、静岡競り負け - 産経ニュース
 競り負けと書く産経ですが、静岡では「野党共闘が成立しておらず」、「共産支持層のかなりの部分*3」が立候補した共産候補に投票したであろうことに注意が必要です。つまりは「共産候補がでなければ」大差がついていたろうと言うことです。共産候補の出馬も「理由はいろいろある」でしょうが、「出馬しても自民当選はない→自民を利したという批判は受けない→だから筋を通す」という点もあったのではないか。いずれにせよ、今回の結果は、自民が勝利するよりは「マシ」とは思います。


【参院静岡補選】勝敗の分かれ目 二人三脚で知事選と連勝 - 産経ニュース

 今回の補選は、自民の参院議員が知事選で川勝氏に挑むため辞職したことに伴うものだった。

 と言う経緯から「知事選で川勝に対決(ただし川勝が勝利)」し、「今もアンチ川勝の立場を変えない自民」に対抗するために、川勝が立民系候補を支援し「自民支持層」の票が割れることは十分予測されていました。
 そして実際、川勝が支援し、自民支持層の票が割れ、自民が敗北したと。そういう意味では野党共闘が無意味とは言いませんが、それだけでの当選ではなかったわけです。


【歴史の交差点】孝明天皇の死因 神田外語大学客員教授 山内昌之 - 産経ニュース
 通説が病死説、「超少数説」として「薩長による毒殺説」があることは有名な話です。
 とはいえ、もはや彼の死因は「わかりようがない」でしょう。通説(俺も通説支持ですが)にしても「よほどの根拠がない限り、暗殺など認定すべきではない(そして暗殺を認定できるような根拠はどこにも存在しない)」「病死でも説明がつく死に方」と評価しているに過ぎず積極的に「暗殺」を否定しているわけではありません(そもそも「暗殺がなかった」という「不在の証明」なんて無理な話ですが)。
 実際、暗殺説も「病死では説明がつかない死に方」「薩長にとって孝明天皇は邪魔だった(後述しますが)」と評価しているに過ぎず「大久保ら薩長による暗殺の確かな証拠(大久保による暗殺命令の証明など)」を示しているわけではない。
 いずれにせよ「暗殺説」が提唱されるほど「孝明天皇の死去」が薩長にとって都合が良かったことは確かです。
 後継者の明治天皇はまだ15歳の少年で、薩長が『明治天皇の周辺を薩長派で固めれば』自由に利用できる(実際にそう動いたわけですが)。これが孝明天皇(享年35歳)ではとてもそうはいきません。孝明天皇自身は、薩長のような「武力倒幕」には否定的な立場であり、彼が存命だった場合、薩長が実際に行った「武力倒幕で幕府の力を完全にそぎ、明治新政府薩長中心でやる」というわけにはいかなかったかもしれない。


【日曜に書く】論説委員・川瀬弘至 おしゃれな保守になろう - 産経ニュース
 これまで罷免ゼロ 国民審査の意義とは何か - 産経ニュースといった「まともな記事」とは違う「デマ極右・産経らしいあほ記事」です。
 勿論、政治活動において「見た目が悪いよりいい方がいい」。しかし「中身がデマ」だったら「何の意味もない」わけです。
 「南京事件否定論」など、デマ記事常習の産経は「見た目にこだわる」より中身にこだわったらどうなのか。まあ、見た目だって「格好いい、いかしてる」とはとても言えない産経らウヨですが。
 それにしても産経がこの記事で「我々は保守派だが右翼ではない」と言うのには吹き出しました。どう産経が強弁しようが産経と「お仲間連中(日本会議など)」は「右翼」でしかないのですが「右翼」と呼ばれることがそんなに嫌なのか。

*1:元外務官僚。外務事務次官、駐米大使など歴任(下田武三 - Wikipedia参照)

*2:著書『日本司法の逆説:最高裁事務総局の「裁判しない裁判官」たち』(2005年、五月書房)、『最高裁裁判官国民審査の実証的研究:「もうひとつの参政権」の復権をめざして』(2012年、五月書房)、『増補改訂版・裁判官幹部人事の研究』(2020年、五月書房新社)など(西川伸一 - Wikipedia参照)

*3:すべてとはいえないでしょうが。あえて「立民系候補」に投票した共産支持層もいるでしょう(党外のライトな支持者は特に)。