「珍右翼が巣くう会」に突っ込む(2023年7/26日分:島田洋一の巻)(副題:中国外相の更迭&田畑光永のバカさに呆れる)(追記あり)

島田洋一
 粛清。
 習近平スターリン化が進む。
中国の秦剛外相を解任 動静不明1カ月 - 産経ニュース

 現時点で秦剛*1外相の解任理由は分からないのでこんな評価は勿論できません。
 自らが任命した人間(2022年12月に外相に就任)、それも

中国 秦剛外相を解任 後任に王毅政治局委員 - キャッチ!世界のトップニュース - NHK
 去年12月に外相に任命され、3か月後のことし3月には副首相級の国務委員にも選出されました。前任の王毅氏が、外相に就任してから5年後に国務委員に選出されたのと比べ、異例のスピード出世です。習近平国家主席の信頼を得て、近い関係にあるとみられてきました。

として抜擢した人間を短期間(2023年7月更迭で約1年)で更迭することは習氏にとって面目が潰れ不利益であり、一番あり得そうなのは
1)外相という激務に耐えられない重病(末期ガンなど)の発覚
2)習氏でもかばえないレベルの重大不祥事(巨額収賄、被害者が多数のセクハラ等)の発覚

といったところであり「粛清」とはむしろ逆でしょう。
 この点は

リベラル21 秦剛外相の解任田畑光永*2
 外相については動静途絶の原因として女性問題や健康問題(コロナ感染説)が取りざたされた

と言う指摘もあります(但し後で批判しますが、田畑は根拠レスで重病説や不祥事説を否定しますが)。
 7/26(水)のTBSラジオ森本毅郎スタンバイ」で水曜コメンテーター伊藤芳明*3が推測したように「前任者・王毅*4外相の再登板」と言う辺りも1)または2)によって「今度こそいわゆる身体検査をきちんとやらねばならない→外相を長く経験した王氏なら1,2の問題はないはずだし能力面でも勿論問題なし。当面は王氏再登板」ということではないか。いずれは新しい外相が任命されるでしょうが。
 なお、中国においては外交トップは外相ではなく、「党中央外事工作委員会弁公室主任(王毅氏)」であり、秦剛氏の更迭によっても「外交方針自体には大きな変更はないだろう」「この程度で習体制が揺らぐとは思わないが、習氏の面子が潰れたことはやはり、習氏にとって政治的痛手だろう」と伊藤氏は見ています。 
 なおリベラル21の田畑光永*5も下記の通り「根拠レス」で島田と同じこと(政治的粛清説)を言ってることには心底呆れます。

リベラル21 秦剛外相の解任(田畑光永
 秦剛前外相の本意を知った習近平一派が同氏を解任しようとし、それは外交部全体を敵にまわすことになると王毅外相らが火消しに入り、とにかく表面のほころびを隠したのが今回の奇妙な処分ではないのだろうか。

 「未だ更迭理由を公式には説明しない」中国相手に要望すべきことは「外相更迭についての理由説明(伊藤氏)」であって田畑のような無根拠な憶測ではない。なお、伊藤氏も「噂されるように病気か不祥事がやはり更迭理由ではないか(習主席自ら抜擢した人間が主席と政治的に対立し更迭されることは考えがたい)」「若くして抜擢された秦氏をよく思わない人間から不祥事や健康問題が暴露されたのかもしれない」と「推測」はしていましたが、それでも田畑のように断定的な主張はしていません。伊藤氏が「更迭理由の憶測」よりも強く主張していたのは「更迭理由の公式説明の要望」です。
 なお、

リベラル21 秦剛外相の解任
 秦剛氏は外交部長であると同時に国務委員でもあるのだが、報道で見る限り外交部長職を解任されたとあるだけで、国務委員の地位には言及はない。常識的には国務委員のポストにはとどまっていると見るべきだろう。

という田畑には「おいおい(呆)」ですね。「病気」「醜聞(不祥事)」「政治的対立」、更迭理由がいずれであれ「外相を更迭された人間が国務委員(外交担当)に留まる」などどう考えてもあり得ることではないでしょう(ポスト的には国務委員の方が外相より上ですし)。
 「病気で外相は務まらないが国務委員はやらせる」「不祥事で外相を更迭したが国務委員はやらせる」「(習主席が)政治的に対立し外相を辞めさせたが国務委員はやらせる」など常識的に考えてあることではない。単に「国務委員更迭を明確な形で発表してない」だけでしょう。

リベラル21 秦剛外相の解任
 秦剛外相になにか問題が発生したことは確かである。しかし、それは女性*6とか健康とかにかんするものではないはずだ。それなら処分の結論を出すのにそれほど時間がかかるはずはない

 とは必ずしも言えないでしょう。健康や不祥事が更迭理由でも「秦氏が素直に辞めようとしない場合(特に彼に後ろ盾がいる場合)」、秦剛氏を抜擢したのが「習主席本人」ということもあって、(習氏の面子が潰れるので)そう簡単に更迭することはできないのではないか。特に不祥事の場合「不祥事の性質(彼だけでなく他にも不祥事の関係者がいる)」によっては処分は時間がかかるでしょう。
 それはともかく「伊藤氏(1950年生まれ)の方が田畑(1935年生まれ)より若い」とはいえ、「伊藤氏が未だメディアで活躍している」のに田畑がもはや「メディアから相手にされない」のには苦笑します。そして世間的には、伊藤氏が推測する「病気説」「不祥事説」の方が通説的見解のわけです。
 ちなみに田畑、岩垂弘(以上、1935年生まれ)、広原盛明(1938年生まれ)、阿部治平(1939年生まれ)ら「リベラル21常連メンバー」と近い年齢なのがTBSラジオ森本毅郎スタンバイ」の森本氏(1939年生まれ)です。同世代の森本氏が未だ活躍していることに対し、「自分らがまるで影響力がないこと」について田畑等には何か「反省」等はないんでしょうか(特に昔はTBSニュースキャスターだった田畑には)。
 ないんでしょうねえ(呆)。
【追記】
 この件については田畑光永のバカさに呆れる(2023年8/1日分)(副題:中国外相の更迭) - bogus-simotukareのブログでも田畑を批判しました。

*1:英国公使、外務副大臣、米国大使、国務委員(外交担当)兼外相などを歴任

*2:1935年生まれ。1984年10月から1988年9月まで『JNNニュースコープ』のメインキャスターを、1989年10月から1年間、『JNNニュースデスク'88→JNNニュースデスク'89』でコメンテーターを務めた。この他、TBS北京支局長、香港支局長など歴任。TBSを定年退職後は、法政大学客員教授を経て、2006年まで神奈川大学経営学部の教授を務めた。著書『中国を知る』(1990年、岩波ジュニア新書)、『鄧小平の遺産』(1995年、岩波新書)、『勝った中国・負けた日本:記事が映す断絶八年の転変・一九四五年~一九五二年』(2015年、御茶の水書房)等(田畑光永 - Wikipedia参照)

*3:1950年生まれ。毎日新聞カイロ特派員、ジュネーブ特派員、ワシントン特派員、外信部長、編集局長、専務など歴任。著書『アラブ:戦争と生活』(1991年、岩波書店)、『ボスニアで起きたこと:「民族浄化」の現場から』(1996年、岩波書店)等(伊藤芳明 (ジャーナリスト) - Wikipedia参照)

*4:駐日大使、党中央台湾工作弁公室主任(国務院台湾事務弁公室主任兼務)、国務委員(外交担当)兼外相等を経て、党中央外事工作委員会弁公室主任(党中央政治局委員兼務)

*5:TBS北京支局長、香港支局長などを歴任。TBSを定年退職後は神奈川大学名誉教授。著書『鄧小平の遺産』(1995年、岩波新書)等

*6:話は女性問題(不倫、セクハラ等)に限らず不祥事一般と見るべきですが