今日の中国ニュース(2023年9月27日分)

【産経抄】「思い込み」は、なくなり難し - 産経ニュース

<少年老い易(やす)く学成り難し>は、漢詩の一節として有名である。<一寸の光陰軽んず可(べ)からず>と続けて口ずさむ方も多いだろう。(ボーガス注:長い間)出典は中国の思想家、朱熹の『偶成詩』とされてきた
▼確かに、平成10年秋に出た手元の辞書には「朱熹、偶成」とある。辞書編集者の神永曉(さとる)さん*1によると、明治時代の教科書に「朱熹作」と載って以来、各辞書が何の疑問も抱くことなく踏襲してきたらしい。近年の研究では、「日本の禅僧の作」が有力になっていると聞く

 これについては少年老いやすく学なりがたし - Wikipedia第160回 「少年老いやすく学なり難し」の作者は誰? - 日本語、どうでしょう?を紹介しておきます。

 当事者である中国が、涼しい顔をしてきたのもちょっと解せない

 「涼しい顔」も何もそんなことに向こうが興味がなくても当然です。  

▼学術論文における「中国=研究大国」の印象も、数字がもたらした思い込みかもしれない。2019~21年に発表された論文は、総本数、引用された回数とも中国が首位だった。そのからくりが、科学技術・学術政策研究所の分析で見えてきた
▼中国の論文が自国の他の論文から引用した事例は、61%を占めたという。

 アンチ中国の産経らしいですが、
【1】中国の学者の引用だからと言って「全てがお手盛り引用とは限らない」でしょうし、
【2】「中国=科学大国」評価は論文数、論文被引用数だけによる評価でもないし、
【3】日本の「論文数、論文被引用数」が低下傾向にあること(中国以外にも抜かれてること)が否定できるわけでもない。産経らしい「現実逃避の強がり」というべきでしょう。
 なお、科学技術・学術研究所は「単なる事実指摘をしただけ」で産経のような居直りはしてないのではないか。


米民主党上院トップ 中国訪問計画 習主席と会談模索か 米報道 | NHK | アメリカ
アメリカ上院トップが中国訪問へ 超党派で来週にも - 日本経済新聞
 米国が「中国と全面対決する気がないこと」はよく分かります。


台湾憲兵隊を1万人超に倍増、中国の「斬首作戦」に対抗…総統らの殺害計画に備え : 読売新聞
 「中国に対する挑発」も同然であり「蔡英文は正気なのか?」と心底呆れます。


【教えて!石平先生】軍高官の腐敗摘発、狙いは台湾侵攻へ引き締め - 産経ニュース
 有料記事なので全く読めませんが、本当に腐敗があれば摘発するのは当然ですし、それは「台湾侵攻」とは関係ない。
 いつもながら産経と石平には呆れます。


中国寄り野党候補勝利か モルディブ大統領決選投票 - 産経ニュース
 実に産経らしいですが、「前政権に比べれば親中国に傾く」としても、産経が危惧するような「度を超した親中国路線」が採用されるかどうかは現時点では不明です。
 何せ「勝利した候補の得票は54%」であり圧勝とまでは言えません。
 なお、

モルディブ大統領選 中国と関係強化訴えた野党統一候補が勝利 | NHK | 海外の選挙
 現職のソリ大統領が防衛や安全保障などで隣国インドを重視してきた一方で、ムイズ氏はインドへの過度な依存は国の主権を損なうと批判し、中国との関係強化を訴えていました。
 勝利した背景には、中国からの投資や支援が生活改善につながると主張したムイズ氏が、現政権への批判票の取り込みに成功したことなどがあるとみられています。

が大事ですね。「親中国が支持された」というよりは
【1】生活問題(貧困?)で不満を抱える国民
【2】親インド路線に「インドにへいこらしすぎる」と不満を抱える国民
が「現状を変える候補」としてムイズ氏を選び、そのムイズ氏が「親中国」にすぎないでしょう。
 また

モルディブ大統領選、「中国寄り」ムイズ氏が当選…親インド路線見直しへ : 読売新聞
 選挙前にソリ氏は盟友のモハメド・ナシード元大統領との関係が悪化し、与党分裂を招いたことも響いた。

ということで与党の内紛がムイズ氏を利した面もあるようです。


【国家の流儀】「台湾有事」への備え 大量避難民と大規模通信障害 江崎道朗 - 産経ニュース
 何度も指摘していますが「独立宣言のない状況」で台湾侵攻をすれば、欧米の対中国制裁は不可避でしょう。
 当然ながらそんなリスクを犯して侵攻することに中国にはメリットはない。台湾が独立宣言しない限り台湾有事の可能性は皆無です。


【主張】アジア大会 中国の専横は許されない - 産経ニュース

 浙江省杭州*2で開催中のアジア大会にインドの武術選手が出場できず、インド政府が抗議し、閣僚の訪中を見送った。
 該当の女子選手はインド北東部アルナチャルプラデシュ州の出身で、中国入国に必要な書類を入手することができなかった。
 中国は同州を含む地域を蔵南(南チベット)と呼び、領有権を主張しているためだ。

 インドの思惑が何であれ「中国の態度」は批判されるべきです。
 一方で「本当にインドは競技能力で彼女を選んだのか」「国際社会にインドの領有権をアピールするために彼女を政治利用する思惑がなかったのか」が論じられるべきでしょう。インドに「政治的思惑」があったなら中国の態度の是非とは関係なく批判されるべきでしょう。
 なお、「北方領土住民」をロシア代表として国際大会にロシアが送り込んだときに産経が何というのか気になるところです。

 想像してほしい。中国の国際大会では沖縄出身の選手に入国許可が出なくなるかもしれない。アジア大会におけるインド選手の問題とは、そういうことだ。

 中国は尖閣領有権は主張しても、沖縄本島等「沖縄の有人島」については領有権など主張してないので完全なデマです。そもそも既に「沖縄出身の選手」が中国開催の国際大会に出場済みではないか?

*1:小学館で国語辞書編集に長く従事。著書『悩ましい国語辞典』(2019年、角川ソフィア文庫)、『さらに悩ましい国語辞典』(2020年、角川ソフィア文庫)、『微妙におかしな日本語:ことばの結びつきの正解・不正解』(2020年、草思社文庫)、『辞書編集、三十七年』(2022年、草思社文庫)等

*2:浙江省省都