▼臓器は全て、中国政府が邪教とみなす気功集団のものだ―と。2008年北京五輪より前の話という。『臓器収奪*1』(イーサン・ガットマン著、ワニ・プラス)から引いた。関係者の言葉を元に、移植を巡る大国の暗部に迫ろうとした著作である。
邪教とみなす気功集団とは法輪功のことです。
以前、拙記事(法輪功 の検索結果 - bogus-simotukareのブログ参照)でも批判しましたが「LGBT差別&反共主義(LGBTは治療しなければならない病気、LGBTが生まれたのは共産主義*2のせい)」「エセ科学(法輪功を信じると末期ガンでも治る)」等、常軌を逸した主張で分かるように「中国共産党の法輪功批判*3(あるいは法輪功取り締まり*4)が何処まで正しいのか」はともかく法輪功は邪教以外の何物でもない。
そしてここで産経が紹介するネタ『法輪功信者の被害』は「真偽不明」です。
何せガットマンなる御仁は「中立の第三者」ではなく、法輪功関係者ですし、少数民族(ウイグル、チベット)問題等で中国政府を批判する「欧米の政府やマスコミ」もこんなことでは批判していません。
「法輪功信者が違法な臓器移植の被害にあってる」を
◆デービッド・マタス他『中国の移植犯罪:国家による臓器狩り』(2013年、自由社)
◆デービッド・マタス他『中国臓器狩り』(2013年、アスペクト)
◆野村旗守*5ほか『中国臓器移植の真実』(2021年、集広舎)
等で主張してるのは俺の認識では「法輪功関係者」と「中国叩きならどんな怪しいネタでも乗っかる反中国極右(例:野村旗守)」だけです。上記の本の出版社も「岩波書店、角川書店、講談社、集英社、小学館、筑摩書房、新潮社、文春、平凡社」などの大手は一つもない。
産経が邪教とみなす気功集団とぼかすのは産経自身も内心では
1)法輪功が邪教だと思ってるし
2)この「違法な臓器移植」話が嘘かもしれないと疑ってるからではないのか。
経済安全保障アナリストの平井宏治氏*6が、1日付の夕刊フジで展開した「推理」が興味深い。中国当局に逮捕されたアステラス製薬の駐在員は、臓器移植の裏をのぞいてしまったのでは、と。
▼移植後の患者に投与する免疫抑制剤を同社は扱っている。駐在員が販売に携わる立場なら、移植の裏側に触れる機会*7はあり得る。
呆れて二の句が継げません。
そのように疑うまともな根拠は何もない。
*1:2022年刊行
*2:勿論「過去においてスターリンソ連等、共産国でLGBTが迫害を受けたこと」「志位氏の謝罪発言『1970年代、「赤旗」に掲載された論文などで、同性愛を性的退廃の一形態だと否定的にのべたことについて、きちんと間違いと認めてほしいというものです。これは当時の党の認識が反映したものにほかならないものだと思います。これらは間違いであったことを、この大会の意思として明確に表明しておきたいと思います。』(日本共産党第28回大会/綱領一部改定案の討論についての志位委員長の結語参照)」でわかるように「世界の共産党が軒並みLGBTに好意的だった」と言う事実がそもそもない
*3:例えば「法輪功」とは何か - 中華人民共和国駐日本国大使館(2004.2.5)参照
*4:当たり前ですが相手がオウム真理教や統一協会だろうと違法な取り締まりは不可です。
*5:1963~2022年。著書『北朝鮮送金疑惑』(2002年、文春文庫)、『Z(革マル派)の研究』(2003年、月曜評論社)等。野村については高世仁の仕事仲間(?)だった野村旗守が、北朝鮮問題から撤退したあたりが、つまりは連中の北朝鮮分析がろくでもないものである証左だ(関川夏央や李英和らもご同様) - ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)(2023.1.19)や拙記事 珍右翼・高世仁に悪口する(2022年11/5日分)(副題:デマ右翼・野村旗守を褒める高世に呆れる)(追記あり) - bogus-simotukareのブログ(2022.11.5)を紹介しておきます。
*6:著書『経済安全保障リスク』(2021年、育鵬社)、『経済安全保障のジレンマ』(2022年、育鵬社)、『トヨタが中国に接収される日』(2022年、ワック文庫)。トヨタ云々はタイトルが常軌を逸しています。そんな無法ができるわけがない。