黒坂真に突っ込む(2019年11月30日分)

■黒坂ツイートにコメント

黒坂真
‏ 昔の左翼には、風格がある方がいましたね。飛鳥田さん*1の演説は耳に入りやすく、親近感が持てました。長洲一二*2知事は、興味深い著作*3を幾つも出しています。

 「非常識極右」黒坂が本気でそんなことを考えてるとはとても思えませんが「(共産主義はともかく)社民主義など、非共産系左派には理解のある保守派」を演じたいようです。本気でそういうイメージを持たれたいのなら「非常識な安倍擁護」と「反共&野党誹謗発言」はやめろと思いますが。黒坂は保守系の野党もためらいなく誹謗してますからね。
 ある程度まともな保守派、自民党関係者(例:河野洋平氏)が言うのならともかく黒坂がこんなことを言っても何の説得力もありません。
 しかし「飛鳥田や長洲が首長を務めた神奈川で、今や、中田宏松沢成文のような極右が横浜市長(2002~2009年)、県知事(2003~2011年)になる時代」ですからね。なんというかげんなりせざるを得ません。 

黒坂真
‏ 野党と市民の共闘を叫ぶ方々の中に、長洲一二知事の業績を振り返り探求する方がいるのか、はなはだ疑問です。

 吹き出しました。長洲氏をどう評価するにせよ、ウィキペディア長洲一二」が指摘するように「当初は革新自治体の代表例とされたが、次第に自民党への接近と日本共産党の排除を強めていき、相乗りオール与党の代表例といわれるようになった」のだから、「現在の野党共闘」においてあまり参考にはならないでしょう。
 いや正確に言えば「野党共闘(当時は社共共闘で今とは性格が違いますが)だったはずの長洲県政が、なぜ相乗りオール与党に変質したのか」つう批判的事例としては参考になるかもしれませんが「長洲氏をまねればいい」つう話ではない。まあ黒坂のツイートはどうでもいいとして、過去について学ぶことは大事ではあります。

黒坂真
‏ 怪しい、と警察官が判断した人物の自宅を捜査令状不要ですぐに調査できる権限を警察官に与えれば、犯罪をかなり防げるはずです。

 おいおいですね。黒坂本人が「あの黒坂という男は怪しい」と思われて警察に「捜査令状不要で自宅や大学研究室に家宅捜索に入られても」同じことが言えるのか。
 「犯罪防止のためには、俺が捜査令状不要で家宅捜索されても我慢する」といえるのか。
 おそらく「俺にはそんなことはあり得ない」と勝手に思い込んでるのでしょうが、そんな保証はどこにもありません。つうか「警察性善説」も大概にしたらどうなのか。そもそも「正当な理由がない」のに家宅捜索することは「職権乱用」や「住居不法侵入」という立派な犯罪であり、黒坂の主張はそうした「警官の犯罪を増やす可能性大」なのですがね。そして多くの犯罪は「怪しいと思っても捜索できない」のではなく「そもそも怪しいと思う根拠がなかった」場合がほとんどでしょうに。

黒坂真
 池内さおりさん。故中曽根氏*4が(ボーガス注:海軍主計将校としてインドネシアに)慰安所を作った事は当時では合法です。

 池内氏(前衆議院議員日本共産党))が「慰安婦問題について、さすがに産経のような違法性否定論は公言しなかったとは言え『回想録に書いたこと(海軍主計将校として慰安所設置に関わった)』を都合が悪いからと言って、その後『覚えてない』と逃げ続けた中曽根氏の生前の態度を厳しく批判したい。生前に謝罪してほしかった」「中曽根氏について、問題点は問題点*5として批判すべきだ。死者にむち打つべきでない、といって批判を避けるのは適切でない」(俺の要約)とツイートしたことへの黒坂の「反論(?)」ツイートです。
 当時においても中曽根の行為「慰安所設置」は「国際法違反」というのが通説的見解ですし、そもそも「違法でない=道徳的、政治的に無問題」ではありません。さすがに中曽根は黒坂ほど恥知らずでも非常識でもなかったので、「慰安所設置について謝罪することはなかった」ものの、ここまで平然と居直ってはいません。

参考
中曽根康弘死去であらためて振り返る従軍慰安婦 中曽根の「慰安所つくった」証言と「土人女を集め慰安所開設」防衛省文書|LITERA/リテラ

黒坂真リツイート
 吉岡正史さん。沖縄は本土から差別されている、という呟きですが(中略)沖縄に米軍基地が多いのは台湾、尖閣と沖縄を中国共産党が狙っているからです。沖縄県民への差別など皆無。

 よくもまあこんなふざけたことが言えたもんです。第一に沖縄の米軍基地からベトナム戦争などに出撃したことで分かるように、沖縄の基地は「沖縄(尖閣を含む)防衛のため」にあるわけではありません。そして沖縄に基地が集中したのは本土の反基地闘争で「埼玉県朝霞、石川県内灘など本土から撤退した米軍」が立場の弱い沖縄に押しつけられただけです。
 第二に「台湾を狙ってる」なんてことは沖縄県民には全く関係ない。
 なんで「赤の他人」台湾のために沖縄が犠牲にならないといけないのか。
 第三に中国が「台湾、尖閣、沖縄」を武力侵攻する気は無いでしょう。香港デモ(国内問題)相手ですら国際的批判を避けて人民解放軍を投入しない中国がよりハードルの高い「対外武力侵攻」なんかするわけもない。特に無人島の尖閣はともかく、有人島で「台湾軍や自衛隊」が存在する台湾や沖縄になど米軍がなくても侵攻するわけがない。
 第四に「沖縄にやたら基地を集中させた上、米兵犯罪被害や騒音被害をほったらかしにしておいて」差別してないなどと良くも言えたもんです。
 黒坂には「自民党員だった翁長氏*6」がなぜ共産党の支援も受けて県知事選に出馬し、当選後も国と対決したのか、考えろと言いたいですが言うだけ無駄でしょう。

*1:1915~1990年。横浜市長(1963~1978年)、社会党委員長(1978~1983年)など歴任。著書『生々流転:飛鳥田一雄回想録』(1987年、朝日新聞社

*2:1919~1999年。1949年に横浜国立大学経済学部助手に着任(その後、講師、助教授を経て教授。一時、経済学部長も務めた)。1974年に大学を退官。1975年に神奈川県知事選に出馬し、当選、以後1995年まで5期20年在職。著書『日本経済入門』(1960年、カッパ・ブックス)、『社会主義の新時代』(1967年、講談社現代新書)、『現代資本主義の名著』(1968年、日経新書)、『社会主義』(1975年、講談社現代新書)など

*3:というなら「詳細な感想は書かないにしても」、一つでいいので著書名ぐらい出したらどうなんですかね。著書名すら出さないのでは説得力皆無です。

*4:岸内閣科学技術庁長官、佐藤内閣運輸相、防衛庁長官、田中内閣通産相自民党幹事長(三木総裁時代)、総務会長(福田総裁時代)、鈴木内閣行政管理庁長官などを経て首相

*5:池内氏が指摘したのは「慰安婦問題だけ」ですが他にも「岸内閣科学技術庁長官、田中内閣通産相として原発を推進した責任」「国鉄分割・民営化によってローカル線の多くが廃止された問題」「リクルート疑惑」などがあげられるでしょう。

*6:那覇市議、沖縄県議、那覇市長を経て沖縄県知事