「珍右翼が巣くう会」に突っ込む(2021年1/30日分:島田洋一の巻)

◆島田のツイート

島田洋一*1
 関川夏央の名著『海峡を越えたホームラン―祖国という名の異文化*2』を私は文庫版で持っているが、今は手に入りにくい状態にあるようだ。当代随一の文章家の著書を埋れさせてはならない

 手に入りにくいのは1)出版を希望する声も少なければ、2)関川自身も出版したくないからでしょう。もはや関川にとって

関川夏央 - Wikipedia参照
◆『ソウルの練習問題』(1988年、新潮文庫→2005年、集英社文庫)
◆『検証・北朝鮮北朝鮮の全体像を読む』(佐藤勝巳*3らとの共著、1992年、ジャプラン出版)
◆『退屈な迷宮:「北朝鮮」とは何だったのか』(1996年、新潮文庫)
◆『北朝鮮軍、動く:米韓日中を恫喝する瀬戸際作戦』(惠谷治*4恵谷治 - Wikipedia参照)との共著、1996年、ネスコ)
◆『金正日の哄笑:南北は本当に和解したのか』(惠谷治との共著、2000年、光文社)
◆『北朝鮮の延命戦争:金正日・出口なき逃亡路を読む』(惠谷治との共著、2001年、文春文庫)

などの「韓国、北朝鮮ネタ」は「無かったことにしたい黒歴史」なのでしょうね。
 以前も書いたことですが近年の関川の著書は

関川夏央 - Wikipedia参照
◆『本よみの虫干し:日本の近代文学再読』(2001年、岩波新書)
◆『二葉亭四迷の明治四十一年』(2003年、文春文庫)
◆『白樺たちの大正』(2005年、文春文庫)
 勿論この「白樺」とは有島武郎志賀直哉ら、いわゆる「白樺派」のことです(白樺派 - Wikipedia参照)。
◆『現代短歌 そのこころみ』(2008年、集英社文庫)
◆『女流:林芙美子有吉佐和子』(2009年、集英社文庫)
◆『「坂の上の雲*5」と日本人』(2009年、文春文庫)
◆『おじさんはなぜ時代小説が好きか』(2010年、集英社文庫)
◆『「一九〇五年」の彼ら:「現代」の発端を生きた十二人の文学者』(2012年、NHK出版新書)
 森鴎外、津田梅子、幸田露伴夏目漱石島崎藤村国木田独歩高村光太郎与謝野晶子永井荷風野上弥生子平塚らいてう石川啄木が取り上げられている(ただし津田塾大学創設者である津田梅子、日本婦人団体連合会初代会長、世界平和アピール七人委員会初代メンバーなどを歴任した平塚雷鳥は一般には作家とは評価されません。津田は教育者、平塚は市民活動家でしょう)。
◆『子規、最後の八年』(2015年、講談社文庫)
 「子規」とは勿論、俳人正岡子規のことです。

ということで明らかに関川は「日本文学評論家」方面に転進しています。過去には「北朝鮮に甘い」としてさんざん悪口雑言していた岩波書店からもためらいなく著書を出すのだから良い度胸です。まあ、関川の本を出す岩波には「プライドは無いのか?」「儲かれば良いのか?」という不快感を感じますが。

島田洋一
 プロ野球も大相撲も箱根駅伝も実施できているのだから、海外感染地域からの来訪を制御しさえすれば五輪もできる

 おいおいですね。プロ野球も大相撲も箱根駅伝も「選手は皆日本在住者」ですが、五輪は「海外(それも複数の国)から選手が来る」わけです。五輪は「選手を海外から呼ぶ」以上「コロナ禍でも日本で実施できている」云々として例に挙げるべきは「海外から選手を呼ぶ、日本で開催する国際大会」でなければ何の例にもなりません。
 「海外から選手を呼ぶ」のに、どうすれば「海外感染地域からの来訪を制御」できるのか。
 島田はもしかして「選手を海外から呼ばないわけにはいかないが、メディアと観客を海外から呼ばなければ問題ない(無観客試合にして取材は日本メディアに限定)」とでも思ってるのか、はたまた「感染地域からは選手も呼ばなくていい」と思ってるのか?。前者(選手だけ呼べばOK)なら考えが甘すぎるでしょう。「選手だけなら問題ない」といえる根拠はないでしょう。
 後者(感染地域からは選手も呼ばなければOK)なら「そのようにして感染地域の選手を排除してまで今年五輪を強行する理由は何なのか?」「全ての地域が参加できる状況で開催すべきでは無いのか」という話です。

*1:著書『アメリカ・北朝鮮抗争史』(2003年、文春新書)、『3年後に世界が中国を破滅させる:日本も親中国家として滅ぶのか』(2020年、ビジネス社)

*2:1984年、双葉社→1997年、双葉文庫

*3:1929~2013年。元・現代コリア研究所(今は消滅)所長。巣くう会初代会長(内紛で巣くう会を追放される)。著書『日本外交はなぜ朝鮮半島に弱いのか』(2002年、草思社)、『「秘話」で綴る私と朝鮮』(2014年、晩聲社)など(佐藤勝巳 - Wikipedia参照)。

*4:1949~2018年。著書『北朝鮮はどんなふうに崩壊するのか』(2013年、小学館101新書)など

*5:日露戦争を題材とした司馬遼太郎の代表作の一つ