新刊紹介:「前衛」2021年10月号

 「前衛」10月号について「興味のある内容」のうち「俺なりに何とか紹介できそうな内容」だけ簡単に触れます。「俺の無能」のため「赤旗記事の紹介」でお茶を濁してる部分が多いです。
◆座談会『遺骨土砂の辺野古投入は許されない』(浅井春夫*1、具志堅隆松*2、横田眞利子、赤嶺政賢*3
(内容紹介)
 赤旗の記事紹介で代替。
主張/沖縄「慰霊の日」/遺骨眠る土砂 新基地に使うな2021.6.23
辺野古新基地建設 遺骨眠る土砂使うな/平和遺族会が訴え2021.7.8
辺野古埋め立て 遺骨土砂使うな/ハンスト始まる/日本武道館前2021.8.15
沖縄戦遺骨土砂使用は「戦没者を冒とく」「新基地建設中止に全力」/ガマフヤーの公開質問に志位委員長回答2021.9.26


◆コロナ禍、入院制限方針の撤回、重症化防ぐ早期治療を(谷川智行*4
(内容紹介)
 赤旗の記事紹介で代替。
守れる命が守れない/入院制限方針 宮本氏が撤回迫る2021.8.5
主張/コロナ「入院制限」/命置き去りの方針許されない2021.8.5
入院制限 重症化招く/塩川氏、政府方針撤回を要求/衆院内閣委2021.8.19
入院制限方針 撤回を/参院内閣委 田村議員が要求2021.8.20


内閣総理大臣内閣総理大臣による内閣総理大臣のための土地規制法:発動を許さず、廃止求めて(馬奈木厳太郎*5
(内容紹介)
 赤旗の記事紹介で代替。
土地利用規制法 廃止を/スタート学習会 「発動許さない」2021.8.28
住民監視・私権制限の土地規制法/来年9月に全面施行/赤嶺議員に政府が回答2021.8.30


◆「菅政権の政治的体質・病理」は総選挙の最大の争点:終わらない「政治とカネ」事件、財務省森友学園」事件を中心に(上脇博之*6
(内容紹介)
 架空問答方式で書いてみます。架空問答ですので「大筋で内容は正しい」と思いますが、一言一句同じ訳ではありません。

聞き手
 総選挙の重要な争点の一つは「森友疑惑」などの疑惑追及だというご指摘ですね。
上脇氏
 現在、赤木氏の未亡人が裁判を起こしており、森友疑惑は終わったわけではありません。なお、今回は前衛記事においては主として『森友疑惑』に触れましたが安倍政権の疑惑は森友だけではありません。『加計学園疑惑』『桜を見る会疑惑』『河井夫妻の公選法違反(党本部から1億5千万という巨額の資金投入)』『アベノマスク疑惑(ユースビオ疑惑)』『持続化給付金疑惑(電通中抜き疑惑)』とまさに「底なし沼」といっていいでしょう。1件だけでも昔ならば内閣が崩壊していた重大疑惑です。
 またこの種の疑惑は菅政権でも発覚しています。
聞き手
 菅首相(第一次安倍内閣総務相という総務族議員)の息子(メディア企業・東北新社に勤務)が、総務省官僚を接待し、東北新社に不当な便宜が図られたのではないか、と言う東北新社疑惑ですね。
上脇氏
 その通りです。菅首相は「息子が勤務しているからと言って、東北新社に不当な便宜などはかってない」と強弁しますが、ならばなぜ、『飲食代と手土産代で一人6万円』などという高額接待を総務官僚に東北新社がしたのか。そもそも息子の東北新社への就職自体が「菅首相からの利益誘導」を狙ったものではないのか。「安倍疑惑」だけでなく「菅疑惑」についても疑惑は全く晴れていないと言うべきでしょう。
 なお、私は安倍政権の疑惑「モリカケ、桜、河井夫妻疑惑」については私の著書である
◆『忘れない、許さない!:安倍政権の事件・疑惑総決算とその終焉』(2020年、かもがわ出版
◆ 『逃げる総理、壊れる行政:追及! 「桜を見る会」&「前夜祭」』(2020年、日本機関誌出版センター)
◆『ストップ!! 国政の私物化:森友・加計、桜、学術会議の疑惑を究明する』(共著、2021年、あけび書房)
◆『政党助成金、まだ続けますか?:安倍自民党本部主導選挙・河井議員夫妻「1億5千万円買収事件」から』(2021年、日本機関誌出版センター)
で論じたことがあるのでこの機会にお読み頂ければ幸いです。

アベノマスク/実績ない企業に30億円/「信頼して発注」と政府2020.5.20
持続化給付金 電通「中抜き」の構図/99.9%外注の子会社も2020.6.14
アベノマスク単価黒塗りなぜ/大阪地裁 上脇教授 公開求め提訴2020.9.29
主張/河井議員辞職表明/自民党の責任逃れ許されない2021.3.25
主張/東北新社接待報告/解明尽くすのは菅政権の責任2021.5.26
主張/赤木ファイル開示/改ざん強要の徹底解明拒むな2021.6.24
主張/「赤木ファイル」/改ざん経過の全体像解明せよ2021.7.18


アフガニスタンと日米軍事同盟(山根隆志*7
(内容紹介)
 赤旗の記事紹介で代替。

主張/アフガン政権崩壊/報復戦争の誤りから教訓学べ2021.8.18
 日本は戦争の当事国でした。報復戦争にあたって米国から「ショー・ザ・フラッグ」(旗幟〈きし〉鮮明にせよ)と迫られた当時の小泉純一郎政権は、テロ特別措置法を急いで成立させ積極的に応じました。イージス艦、補給艦などの自衛艦をインド洋に派遣し、洋上給油で米軍などを支援しました。
 報復戦争の失敗が明確になった今、日本は米軍の無法な戦争に加担した誤りを認め、憲法第9条に基づいて国際紛争の解決に貢献する本来の姿に立ち返らなければなりません。


◆国民不在と悪政の突撃隊:日本維新の会(下)(小松公生*8
(内容紹介)
 新刊紹介:「前衛」2021年9月号 - bogus-simotukareのブログで紹介した小松『国民不在と悪政の突撃隊:日本維新の会(上)』の続編です。今回も「突撃隊」、つまり「自民の悪政をアシストする自民二軍としての維新」と言う観点から批判がされています。なお、「維新の自民二軍ぶり」が「遺憾なく発揮された(?)」のが先日の兵庫県知事選(自民プラス維新VS野党共闘、維新批判派の俺にとっては残念ながら自民・維新が勝利)でしょう。
維新、内閣不信任で悪罵/際立つ補完勢力ぶり2019.6.27


◆カーボン・ニュートラルを達成するために何が必要か:政府のエネルギー基本計画案の問題点と今後の展望(明日香壽川*9
(内容紹介)
 架空問答方式で書いてみます。架空問答ですので「大筋で内容は正しい」と思いますが、一言一句同じ訳ではありません。

聞き手
 カーボンニュートラル、つまりCO2削減のために必要なことは何でしょうか?
明日香氏
 CO2の発生源はいろいろありますが、ここでは『電力』について専ら触れたいと思います。
 やはり火力発電を減らし、再生可能エネルギーに力を入れることが必要だと思います。
 これについては詳しくは以前
だれがグリーン・リカバリーを邪魔しているのか - 明日香壽川|論座 - 朝日新聞社の言論サイト2020.7.16
グリーン・リカバリーとグリーン・ニューディール:その財源および気候正義との関係 | 連載コラム | 自然エネルギー財団2020.7.28
で論じたことがあるのでご覧頂ければと思います。


◆2021高校入試から廃止の展望を考える:さらば高校入試=全員合格がやってくる(角谷信一)
(内容紹介)
 赤旗の記事紹介で代替。

きょうの潮流 2021年6月29日(火)
 全国進路指導研究会のセミナーで千葉県の元高校教員、角谷信一さんが報告しました。全国の公立高校入試倍率を調べると、1倍未満が半数以上にも
▼「(ボーガス注:高校入試という)“入り口規制”は必要ない時期に入ったのではないか」と問いかけた角谷さん。


特集「満洲事変(柳条湖事件)から90年」
◆日本にとっての満洲支配(加藤聖文*10
【追記】
 書いてしまったので今更消しませんが、俺の駄文よりわかりやすい加藤聖文「日本にとって満洲支配とは何だったのか」 - 紙屋研究所を紹介しておきます。
(内容紹介)
 架空問答方式で書いてみます。架空問答ですので「大筋で内容は正しい」と思いますが、一言一句同じ訳ではありません。

加藤氏
 満洲というと何を想像しますか。
聞き手
 「ぎょうざの満洲」ですね。すみません、今のくだらない冗談はなかったことにして、張作霖暗殺(1928年)、満州事変(1931年)、満州国満州移民などですね。
加藤氏
 それでは張作霖暗殺、満州事変を実行した関東軍はいつ誕生した組織か知っていますか?
聞き手
 すみません、わかりません。
加藤氏
 何故こういう質問したかというと、意外と「関東軍のルーツ」を知らない方が多いんですね。実は日露戦争講和条約(1905年)で、ロシアから満洲の権益(満鉄など)を得たときに関東軍は誕生したんです。だから、「日本と満洲の関わり」を知るには、やはり「1905年」から考えていかないといけない。
 しかし、実は歴史学の分野でも割と最近まで「1931年の満州事変以前」の「満州、満鉄や関東軍の研究」というのは手薄な分野でした。
 というのも「張作霖暗殺」や「満州事変」以前というのは多くの日本人にとってやはり満州は身近ではなかったわけです。
 それはともかく、「満洲権益」というのはとても「変わった権益」なんですね。日本の植民地である韓国や台湾とは違って一応、満洲は「中国の領土」です。日本が完全に植民地化しているわけではない(いわゆる半植民地)。そこでどうしても「何で中国の領土で日本が好き勝手やってるんだ」「日本は出て行け」と言う批判が出やすい。「今は返還された租借地」香港やマカオについて「英国やポルトガルは出て行け」という批判があったのと似ている。
 そういう批判に「解った、出て行く」ではなく「半植民地だから悪い。半植民地だから出て行けと非難される。なら完全に日本の植民地化しちまえばいいんだ(満州事変当時、関東軍参謀だった石原莞爾板垣征四郎*11)」という「逆ギレ」的な方向で起こったのが満州事変と満州国建国だった。
 実は「満州事変の3年前の」張作霖暗殺の時には日本はそこまでできなかった。3年間で日本が大きく変わったわけです。とはいえ明治時代とは違って「公然と日本の領土化(植民地化)できず」溥儀を担いで「五族協和」を建前に、「保護国」「傀儡国家」的な形にする「ぐだぐだな形」ではありましたが。
 なお、石原莞爾がいわゆる『不拡大派』だったことは有名な話です。彼は『満洲を日本の植民地にすればいい』とは思った。ただ『国力的に中国の完全植民地は無理』と思っていた。そして石原にとって最大の敵は蒋介石ではなく「ソ連」だったわけです。「ソ連と戦うため」の満州国であって彼にとって「中国完全植民地のため」の満州国じゃなかった。
 しかし石原の当初の思惑からは話がどんどん外れていく。拡大派(中国完全植民地派)の武藤章*12に、石原が「中央を無視して勝手なことをやるな」とダメだししようとしたら「中央を無視して、満州事変をやったあんたにそんなことを言われる筋合いはない」「昔のあんたを見習ってるだけだ」と「部下のはず」の武藤に反論されて絶句したというのは有名な話です。そして石原の方が傍流になって、武藤の方が主流になっていく(だからこそ主流派から外れた石原は満州事変の中心人物でありながら、戦後訴追されなかったとも言われますが)。
 とにかく、日本は国として「中国の完全植民地化」を目指す。
 そしてその前段階として『満洲』を完全な日本の植民地とするために、満州移民を推進して日本人人口を増やそうとする。そのために「満洲へ行くと大儲けできる」という、すごくバラ色な話が無責任に垂れ流される。で多くの人間が満洲に行った。
 でも実際には日本軍が現地住民から武力で奪い取った土地だったわけです。関東軍が崩壊すると悲惨なことになった。日本人を恨んでいた現地民に襲撃されて虐殺とか、集団自決とかなってしまう。結果、NHKドラマになった山崎豊子の小説『大地の子』のような残留孤児も沢山生まれる。残留孤児の問題も決して終わったわけではない。いわゆる残留孤児二世、三世の中には生活が苦しくて犯罪に手を染める人間もいるわけです。

参考

人間交差点』(作画:弘兼憲史、原作:矢島正雄
 小学館ビッグコミックオリジナル』1980年7月5日号から1990年12月20日まで掲載。1986年、第30回小学館漫画賞受賞。
◆第10巻
 中国で医者をしていた佐藤は、3年前、新聞記者の原に自分が中国残留孤児だと教えられた事から、日本に帰国。しかし日本の受け入れ態勢が整わず、豊かとはいえない暮らしが待っていた。佐藤の実の母親はすぐに亡くなり、中国の養父母も別れの辛さから他界してしまう。原は佐藤と友人として付き合ってきたが、彼に残留孤児だと知らせた事が本当に正しかったのか、悔やむようになる。(エピソード「帰国」)

 「ハロー張りネズミ」「人間交差点」とか昔の弘兼の「お涙頂戴」作品は「そんなに嫌いではない(むしろ好きな方)」のですが『島耕作』『加治隆介の議』のようなウヨマンガは大嫌いな俺です。

中国残留孤児の訪日調査から40年 - 高世仁の「諸悪莫作」日記2021.3.4
 3月2日の朝のNHKおはよう日本」で、1981年の中国残留孤児の訪日調査開始から40年になることが報じられていた。その対象になったのが2,818人で、2,557人が永住帰国した。しかし、その中で身元が判明したのは1284人にすぎない。
 残留孤児、残留婦人をはじめ、国策で被害を被った人たちに日本は冷たすぎる。

「大地の子」は終わっていない 置き去りにされた日本人たち、問題は2世に共同通信=山上高弘)2021.4.1
 「年金、もらえるのは月1万9千円。将来が心配。助けてほしい」。
 「九州地区中国帰国者二世連絡会」会長の小島北天さん(73)=福岡県志免町=は、たどたどしい日本語で打ち明ける。
 終戦後の47年、遼寧省奉天(現瀋陽)で中国人の父と残留婦人の母との間に生まれた。母の帰国に伴い97年から日本で暮らすが、「日本語ができない50歳に仕事なかった」
 平成不況で雇用を切られるなど、転職は6回を重ねた。今は週3日、パートで働きながら妻や娘らと暮らす。年金を合わせても世帯収入は月に十数万円。「もし大きな病気にかかったら大変」
 2世は中国語が母語として身についた30代以降での帰国が多い。小島さんのように残留婦人の子の中には、残留孤児とほとんど変わらない年齢で帰国した人もいる。日本語がうまく話せないため正規雇用を得られなかったり、年金加入期間が短く老後の生活にも不安を抱えたりしている。国は支援法改正で1世への老齢基礎年金の満額支給を認めたが、2世への経済的支援は含まれなかった。17年に同連絡会が福岡、佐賀、長崎、熊本4県で2世を対象に行った調査では、210人のうち6割が生活保護を受けていた。
 中国残留邦人の問題に詳しい神戸大の浅野慎一*13教授(社会学)は「2世は学歴や帰国時の年齢が多様なために共通の課題が見えづらく、苦境の要因が個人の問題として捉えられている。帰国が遅れた責任は国にあり、経済的に困っている2世に必要に応じて支援をするべきだ」と指摘する。
▽未認定の「孤児」
 国はこれまでに2818人を残留孤児と認めたが、2012年を最後に新たな認定はない。一方で「日本人として認めてほしい」と、国に訴え続ける人もいる。
 満蒙開拓平和記念館(長野県阿智村)の寺沢秀文館長は、十数人の認定支援を個人的に続けてきたが、「時間がたち、新たな証拠を探し出すのは難しい」と話す。
 浅野教授は「残留孤児になったのは戦前・戦後の国の政策が不十分だったことに原因があり、自己責任ではない」と指摘した上で、「国はどのような証明が足りず、なぜ認定できないのか情報を開示し、手助けを図るべきだ」と訴えている。

「私たちには居場所がない」中国残留邦人2世がコロナ禍で苦境に | 毎日新聞2021.4.26
 1980~90年代を中心に永住帰国した中国残留邦人の子の世代で、老いた親の面倒を見るため中国から来日した2世たちが生活苦にあえいでいる。日本語をあまり話せないため職種が限られ、アルバイトなどで生計を立てている人が多い中、新型コロナウイルスの感染拡大で働き口を失ったり収入が減ったりしているためだ。行政の支援もなく、2世たちは「厳しい生活実態を知って」と訴える。


◆戦前国定教科書の中の「満洲事変」(佐藤広美*14
(内容紹介)
 まあ、普通に考えてそうだろうと思いますが、佐藤氏によれば、戦前なのでやはり「蒋介石が全部悪い(いわゆる暴支膺懲 - Wikipedia)」「日本は悪くない」「満州国では五族協和が実現」とか書かれるわけです。


ジェンダー視点で労働時間を考える:資本と政治による性別役割分業と女性の非正規雇用・貧困化を転換させる(日野徹子)
(内容紹介)
 架空問答方式で書いてみます。架空問答ですので「大筋で内容は正しい」と思いますが、一言一句同じ訳ではありません。

聞き手 
 「ジェンダー視点で労働時間を考える」とはどういうことでしょう。そしてそれは副題の「性別役割分業」「女性の非正規雇用・貧困化」とどうつながるのでしょう。
日野氏
 日本は欧米に比べ長時間労働ですが、その前提には「男性の家事、育児、介護時間が女性に比べて短い」という背景があります。
 つまり「男は外で長時間、働いて、収入を稼ぐ代わりに」に「家事などはしない」。女は「収入を稼がない」かわりに専ら家事などする。
 そうして「性別役割分業」が長く続いてきた。この「性別役割分業」のもとでは「女性労働者」は主たる労働力としては扱われず、もっぱら「非正規雇用」です。非正規雇用は一般に「低収入」であるため、「夫との共稼ぎ」でない「未婚」あるいは「夫と死別、離婚した」女性労働者は「貧困化」せざるをえません。
 こうした社会構造をどう変えていくかが政治に問われているわけです。


◆熱海 土石流被害:急がれる建設残土規制の法制化(高瀬康正)
(内容紹介)
 赤旗の記事紹介で代替。
主張/熱海の土石流被害/危険箇所の点検と対策が急務2021.7.10
主張/熱海土石流1カ月/被災者支援と再発防止策急げ2021.8.4
熱海の土石流災害1カ月/残土規制の法制化を/根本に国の責任2021.8.5


◆論点『国立大学交付金を増額してこそ学術の基盤を支えられる』(土井誠)
(内容紹介)
 赤旗の記事紹介で代替。
交付金傾斜配分廃止を/共産党国会議員団と国大協懇談2021.7.14
主張/国立大学交付金/増額に転じ知的基盤を支えよ2021.7.27
国立大交付金増やせ/政府に共産党国会議員団2021.8.4


◆暮らしの焦点『住民に不安をもたらす久留米市藤山町の盛り土問題』(立川由美*15
(内容紹介)
 静岡県熱海市で盛り土が崩壊して多数の犠牲者が出たことは「まだ記憶に残っている」かと思いますが、福岡県久留米市でも同様の危険な盛り土があることが「熱海の事故」をきっかけに指摘されているという話です。


メディア時評
◆テレビ:戦争と平和を考える好番組(沢木啓三)
 架空問答方式で書いてみます。架空問答ですので「大筋で内容は正しい」と思いますが、一言一句同じ訳ではありません。

聞き手
 今年も8月には戦争を取り上げた番組があったと思いますがいくつかおすすめの番組を教えて下さい。
沢木氏
 まず、NHKドラマしかたなかったと言うてはいかんのです - Wikipediaを紹介します。
 これは『九州大学生体解剖事件』をテーマとした熊野以素『九州大学生体解剖事件:70年目の真実』(2015年、岩波書店)をもとにしています。既にこの事件については遠藤周作原作の熊井啓監督映画『海と毒薬』(1986年)がありますが。
 妻夫木聡蒼井優が主演で、妻夫木が生体解剖に関与した鳥巣太郎・九州大助教授(ドラマ内では鳥居太一)を、蒼井が鳥巣の妻を演じています(ちなみに妻夫木が演じた役は海と毒薬 (映画) - Wikipediaでは成田三樹夫が演じていますが、映画においては成田は主役ではありません)。
 ドラマタイトルが、このドラマの言いたいことを端的に示してると思いますね。つまり『上の命令』だからといって『しかたなかったと言うてはいかんのです』ということですね。この点は捕虜虐殺をネタにした、橋本忍脚本、フランキー堺主演(後に所ジョージの主演でTBSがリメイク)のTBSドラマ私は貝になりたい - Wikipediaとの「大きな違い」でしょう。『私は貝になりたい』は『上の命令』だから『しかたなかった』『私は貝になりたい』と言うて戦争責任を直視することから逃げてしまったわけです。
 なお、NHKは過去にも

◆小林弘忠『逃亡:油山事件戦犯告白録』(中公文庫)を原作としたドラマ最後の戦犯 - Wikipedia(2008年)

など「いわゆるBC級戦犯の問題」を取り上げています。やはり、「腐っても鯛」ならぬ「腐ってもNHK」というべきでしょうか。とはいえ民放にももっと頑張ってほしい。
 次にテレビ朝日ラストメッセージ“不死身の特攻兵”佐々木友次伍長』を紹介しておきます。
 佐々木氏については既に鴻上尚史『不死身の特攻兵 軍神はなぜ上官に反抗したか』 (2017年、講談社現代新書)と言う著書も出ていますが佐々木氏へのインタビューをもとに『外道の作戦』特攻の無謀さ、野蛮さを問う番組となっています。

参考
BC級戦犯裁判】
『NHKスペシャル』最後の戦犯 - 法華狼の日記2009.2.24
『私は貝になりたい』 - 法華狼の日記2012.8.15
「九州大学生体解剖事件 七〇年目の真実」書評 人の弱さを追い、医の倫理示す|好書好日2018.6.8
死の恐怖におびえ…「油山事件」3年半の逃亡、最後の戦犯の手記|【西日本新聞me】2020.12.8

戦時の九大生体解剖事件の証言者、東野利夫さん死去:朝日新聞デジタル2021.4.14
 第2次世界大戦の末期、日本軍の捕虜になった米兵8人が福岡市の九州帝国大(現九州大)で人体実験の末に殺害された「九大生体解剖事件」に立ち会い、証言を続けてきた医師、東野利夫(とうの・としお)さん*16が13日、肺炎で死去した。95歳だった。
 「九大生体解剖事件」は1945年5~6月、撃墜されて日本軍に捕らえられた米爆撃機B29の搭乗員8人が軍の命令で九州帝国大に運ばれ、臓器摘出や脳切開などをされて全員死亡した事件。敗戦後に日本軍将校や同大教授ら30人が戦犯として起訴され、23人が有罪を宣告された。うち5人は絞首刑を宣告されたが、後に減刑された。事件は遠藤周作の小説「海と毒薬」(1958年)の題材にもなった。

(惜別)東野利夫さん 九大生体解剖事件の目撃者:朝日新聞デジタル2021.5.29

戦時中に処刑された米兵ら43人、日米関係者が慰霊:朝日新聞デジタル2021.6.20
 76年前の6月20日、福岡市にあった旧陸軍の西部軍管区司令部に捕らわれていた米兵8人が軍律会議を経ずに処刑された。8月にも同様の処刑があり、5月と6月には九州帝国大(現九州大)での実験手術の末、米兵が殺された。これら計43人の米兵を慰霊する法要が20日、福岡市城南区の油山観音であった。
 法要には処刑に加わって戦犯となった軍人2人の遺族や、米国のジョン・C・テイラー在福岡首席領事らが参列した。

「生体解剖事件」戦犯となった医師の悔い 親類が企画、ドラマ化|【西日本新聞me】2021.8.11
 第2次世界大戦末期に福岡市の九州帝国大(現九州大)医学部で起きた米国人捕虜に対する「生体解剖事件」を題材にしたドラマが13日夜、NHK総合で放送される。原案は、戦犯として死刑判決(後に減刑)を受けた元助教授のめいが刊行したノンフィクション小説。NHK職員のその息子が福岡の事件関係者に会うなどして、6年がかりで企画を実現させた。
 「しかたなかったと言うてはいかんのです」。
 手術に関わったことを生涯悔やみ続けた元助教授の言葉を、そのままタイトルとした。
 事件当時助教授だった鳥巣太郎さんは詳しい事情を知らず、教授から「手伝い」を頼まれて手術に参加した。ただ教授は逮捕直後に自殺し、鳥巣さんが首謀者として扱われたという。
 鳥巣さんのめいの熊野以素(いそ)さん(77)=大阪府=は都内に住んでいた幼少期、巣鴨プリズン(東京)から一時外出を許された「巣鴨の伯父ちゃん」とよく食卓を囲んだ。鳥巣さんは1954年に出所し、福岡市に外科医院を開業。正月は家族ぐるみで小旅行を楽しむなど、鳥巣さんが93年に85歳で亡くなるまで交流は続いた。
 高校の社会科教師だった熊野さんは95年から裁判資料や伯父、伯母の手記などを読み込んだ。
 「たとえ焼き殺されても抗議すべきだった」「(戦争中だから)しかたなかったと言うてはいかんのです」。
 伯父は、軍や教授の命令に逆らえず医の倫理を踏み外したことを晩年まで悔いていた。
 熊野さんは2015年、伯父の視点から描いた「九州大学生体解剖事件」(岩波書店)を出した。それを読んだ次男の律時(のりとき)さん(47)=同=は事件について一切語らなかった大伯父の思いに触れ、衝撃を受けた。
 「これは戦争中のひどい出来事という昔話にとどまらない。私たちは、大きなあらがいがたい流れの中で『もう止められない』『仕方ない』と目をつむり、それがとんでもない結果を生み出す。今に通じる話だ」
 「朝の連続テレビ小説」などの「ドラマ畑」を歩んできた律時さんは、医学生として事件に関わった東野(とうの)利夫さん(今年4月に95歳で死去)を福岡市に訪ねるなどしてイメージを膨らませた。減刑の理由や獄中での人間模様など明らかになっていないことも描写するため「事実に基づくフィクション」の形にし、制作統括として企画や台本作りを担った。
 助教授役と妻役は、いずれも福岡県出身の俳優妻夫木聡さんと蒼井優さん。2人とも台本を読むまで事件を知らなかったが「今やるべき作品だと思いました」と話しているという。放送は午後10時から。

『 終戦ドラマ「しかたなかったと言うてはいかんのです」』 - 法華狼の日記2021.8.13
妻夫木聡と蒼井優が問う 戦争だから仕方がなかったのか:朝日新聞デジタル2021.8.13
「仕方がなかった――」万能の言葉が歪める戦争責任 九大生体解剖事件から問い直す - 石川智也|論座 - 朝日新聞社の言論サイト2021.8.14
【特攻】
9回出撃して、9回生きて帰った特攻隊員の「その後の人生」(鴻上 尚史) | 現代新書 | 講談社(1/3)2017.11.16


文化の話題
◆演劇:市民参加でつくりあげる舞台:かわさき演劇まつり『冒険者たち:ガンバと15ひきの仲間』を見る(鈴木太郎)
(内容紹介)
 ネット上の記事紹介で代替。

<新型コロナ>昨年中止の「かわさき演劇まつり」 「今年こそ」熱演で元気を 7月31日、8月1日 川崎市の多摩市民館:東京新聞 TOKYO Web2021.6.27
 昨年はコロナ禍で中止になった「第39回かわさき演劇まつり」が七月三十一日と八月一日の二日間、川崎市多摩区の多摩市民館で開かれる。演劇関係者とともに、公募による市民参加で作り上げる舞台が魅力だ。今回はネズミたちが団結し、困難に立ち向かう物語「冒険者たち ガンバと15ひきの仲間」を上演。
 かわさき演劇まつりは一九七二年の開始からもうすぐ半世紀、市民参加で積み重ねてきた舞台だ。川崎市が共催として支援しており「市民と行政が一緒になって続けている演劇祭は全国でただ一つ」と実行委員長の城谷護(まもる)さん(80)。
 ともに主人公ガンバを演じる泉紀華さん(23)、益子有輝さん(21)は「今年こその気持ちで、演劇ならではのつながりや元気を届けたい」と話している。

「ガンバの冒険」 舞台で かわさき演劇まつり 7月31日から開幕 | 中原区 | タウンニュース
 この催しは1972年にスタート。39回目となる今回は、アニメ化もされた児童小説が原作。ネズミの主人公・ガンバが仲間たちと巨大な白イタチ・ノロイに立ち向かう冒険活劇だ。
 制作プロデューサーの柳沢芳信さんは「子どもたちに、諦めない強さや仲間を思いやる優しさを感じてほしいと温めていた作品。アニメや人形劇では、ネズミの数が減らされることも多いが、本公演では15匹がちゃんと出てくるところもポイントの一つ」と見どころを語る。

 柳沢氏のご指摘の通りで、日本テレビアニメ「ガンバの冒険」(1975年)ではネズミの数が減らされています。ただし15匹もいると「演じ分け」が難しく、見てる方が「訳がわからなくなる危険性がある」ので「減らすのが悪い」とは一概には言えません。
 しかし『ガンバの冒険』も45年以上前の作品で『主役ガンバ』の野沢雅子(1936年生まれ)は「未だ現役」とはいえ、

ガンバの冒険 - Wikipedia
◆ボーボ(水城蘭子:1929~1997年)
 ガンバの親友。
◆ヨイショ(内海賢二:1937~2013年)
 船乗りネズミの船長。以前アザラシ島でノロイに襲われて右目を潰されたため、ノロイとの戦いを避けたがっていた。しかし、ガンバの心意気に打たれ、恋人と子分を捨て旅に出る。
◆ガクシャ(富山敬:1938~1995年)
 ヨイショの幼馴染み。
◆シジン(島田彰:1934~2004年)
 ガンバとボーボが港で初めて出会った風来坊の医者ネズミ。
ノロイ大塚周夫:1929~2015年)
 通常のイタチの三倍はある巨体をもつイタチ。「まるで白い悪魔」と恐れられている。

と声優のかなりの部分が「故人であること」については「複雑な感慨」がありますね。

*1:立教大学名誉教授。著書『子ども虐待と性教育』(1995年、大修館書店)、『社会福祉基礎構造改革でどうなる日本の福祉』(1999年、日本評論社)、『新自由主義と非福祉国家への道:社会福祉基礎構造改革のねらいとゆくえ』(2000年、あけび書房)、『市場原理と弱肉強食の福祉への道:「構造改革」は日本の福祉をどこに導くか』(2002年、あけび書房)、『子ども虐待の福祉学』(2002年、小学館)、『子どもの権利と「保育の質」』(2003年、かもがわ出版)、『「次世代育成支援」で変わる、変える子どもの未来』(2004年、山吹書店)、『子どもを大切にする国・しない国』(2006年、新日本出版社)、『社会保障と保育は「子どもの貧困」にどう応えるか』(2009年、自治体研究社)、『脱「子ども貧困」への処方箋』(2010年、新日本出版社)、『沖縄戦と孤児院』(2016年、吉川弘文館)、『「子どもの貧困」解決への道』(2017年、自治体研究社)、『戦争孤児たちの戦後史』(編著、2020年、吉川弘文館)、『包括的性教育』(2020年、大月書店)など

*2:著書『ぼくが遺骨を掘る人「ガマフヤー」になったわけ。:サトウキビの島は戦場だった』(2012年、合同出版)

*3:衆院議員。日本共産党常任幹部会委員、沖縄県委員長

*4:日本共産党東京都委員会新型コロナウイルス対策本部長。共産党衆院東京4区比例東京ブロック予定候補

*5:「生業を返せ、地域を返せ!」福島原発訴訟弁護団事務局長

*6:神戸学院大学教授。「政治資金オンブズマン」共同代表。著書『政党国家論と憲法学』(1993年、信山社出版)、『政党助成法の憲法問題』(1999年、日本評論社)、『政党国家論と国民代表論の憲法問題』(2005年、日本評論社)、『ゼロからわかる「政治とカネ」』(2010年、日本機関誌出版センター)、『議員定数を削減していいの?』(2011年、日本機関誌出版センター)、『自民改憲案 VS 日本国憲法』、『なぜ4割の得票で8割の議席なのか』(以上、2013年、日本機関誌出版センター)、『財界主権国家・ニッポン:買収政治の構図に迫る』、『誰も言わない政党助成金の闇』、『どう思う? 地方議員削減』(以上、2014年、日本機関誌出版センター)、『告発!政治とカネ』(2015年、かもがわ出版)、『追及! 安倍自民党・内閣と小池都知事の「政治とカネ」疑惑』『追及! 民主主義の蹂躙者たち:戦争法廃止と立憲主義復活のために』(以上、2016年、日本機関誌出版センター)、『日本国憲法の真価と改憲論の正体』(2017年、日本機関誌出版センター)、『安倍「4項目」改憲の建前と本音』、『内閣官房長官の裏金:機密費の扉をこじ開けた4183日の闘い』(以上、2018年、日本機関誌出版センター)、『ここまできた小選挙区制の弊害:アベ「独裁」政権誕生の元凶を廃止しよう!』(2018年、あけび書房)、『忘れない、許さない!:安倍政権の事件・疑惑総決算とその終焉』(2020年、かもがわ出版)、 『逃げる総理、壊れる行政:追及! 「桜を見る会」&「前夜祭」』(2020年、日本機関誌出版センター)、『ストップ!! 国政の私物化:森友・加計、桜、学術会議の疑惑を究明する』(共著、2021年、あけび書房)、『政党助成金、まだ続けますか?:安倍自民党本部主導選挙・河井議員夫妻「1億5千万円買収事件」から』(2021年、日本機関誌出版センター)など

*7:日本共産党政治・外交委員会責任者。著書『イラク戦争の出撃拠点:在日米軍と「思いやり予算」の検証』(共著、2003年、新日本出版社

*8:著書『原発にしがみつく人びとの群れ:原発利益共同体の秘密に迫る』(2012年、新日本出版社)、『カジノ狂騒曲:日本に賭博場はいらない』(共著、2014年、新日本出版社)、『政党助成金に群がる政治家たち』(2015年、新日本出版社

*9:東北大学教授。著書『地球温暖化』(2009年、岩波ブックレット)、『クライメート・ジャスティス:温暖化対策と国際交渉の政治・経済・哲学』(2015年、日本評論社)、『グリーン・ニューディール』(2021年、岩波新書)など

*10:国文学研究資料館准教授。著書『満鉄全史:「国策会社」の全貌』(2006年、講談社選書メチエ→2019年、講談社学術文庫)、『「大日本帝国」崩壊:東アジアの1945年』(2009年、中公新書)、『満蒙開拓団:虚妄の「日満一体」』(2017年、岩波現代全書)、『国民国家と戦争:挫折の日本近代史』(2017年、角川選書)、『海外引揚の研究:忘却された「大日本帝国」』(2020年、岩波書店

*11:関東軍参謀長、第一次近衛、平沼内閣陸軍大臣朝鮮軍司令官、第7方面軍(シンガポール)司令官など歴任。戦後、死刑判決。後に靖国に合祀。

*12:後に陸軍省軍務局長、近衛師団長、第14方面軍参謀長(フィリピン)など歴任。戦後、日米開戦(軍務局長)とマニラ虐殺(第14方面軍参謀長)を理由に死刑判決。後に靖国に合祀

*13:著書『異国の父母:中国残留孤児を育てた養父母の群像』(共著、2006年、岩波書店)、『中国残留日本人孤児の研究』(共著、2016年、御茶の水書房

*14:東京家政学院大学教授。著書『総力戦体制と教育科学』(1997年、大月書店)、『植民地支配と教育学』(2018年、皓星社)、『「誇示」する教科書:歴史と道徳をめぐって』、『災禍に向きあう教育』(以上、2019年、新日本出版社)、『戦後教育学と戦争体験』(2021年、大月書店)

*15:日本共産党福岡県議

*16:著書『汚名:「九大生体解剖事件」の真相』(1985年、文春文庫)など