新刊紹介:「前衛」2022年5月号

 「前衛」5月号について「興味のある内容」のうち「俺なりに何とか紹介できそうな内容」だけ簡単に触れています。「俺の無能」のため「赤旗記事の紹介」でお茶を濁してる部分が多いです。なお、昭和天皇批判については長くなったので別記事新刊紹介:「前衛」2022年5月号その2(副題:昭和天皇のクズさに改めて呆れる)にしました。
◆今月のグラビア『宮森630会と沖縄の空を守る抗い:私の沖縄語り2』(豊里友行*1
(内容紹介) 
 宮森630会とは「1959年6月30日」に起こった宮森小学校米軍機墜落事故 - Wikipediaを語り継ぐことを目的とした団体です。以下の記事を参考に紹介しておきます。
「風化させない」同級生ら誓う 米軍機墜落事故の慰霊祭 - 沖縄 [私たちの沖縄考]:朝日新聞デジタル2019.6.30
罪なき市民の命を奪った「無関心」。イラク戦争と沖縄、検証なき過ちを繰り返さないために | ハフポスト WORLD2020.4.4
米軍落下物事故から考える沖縄。「なんでおそらからおちてくるの?」 | ハフポスト NEWS2020.6.30
赤旗宮森小の米軍機墜落61年/二度と惨事起こさせない/沖縄・「慰霊祭」2020.7.1
風化させない 宮森小学校米軍ジェット機墜落62年 語り部だった亡き母思い - 琉球新報デジタル|沖縄のニュース速報・情報サイト2021.7.1
宮森小の悲劇つなぐ NPO資料館 来年開設へ[沖縄から] : ニュース : 九州発 : 地域 : 読売新聞オンライン2021.7.22


ウクライナ侵略と国際秩序の行方(森原公敏*2
(内容紹介)
 架空問答形式で書いてみます。

 ウクライナ問題での日本共産党のお考えをお聞かせください。

 「NATOプーチン政権の評価」に関係なく「ウクライナ侵攻は国際法違反の侵略。ロシアはウクライナから撤退せよ」の共通点で共闘すべきだと考えています。
 これは「NATOの東方拡大」を理由にロシアの侵攻を正当化しない一方で「NATOも美化しない」ということです。明らかに米国はNATO正当化に動こうとしていますが、それはあえて言えば「火事場泥棒」「焼け太り」も甚だしいでしょう。我々もNATOウクライナ軍支援をさすがに否定はしません。そこまで教条的、硬直的ではありませんが、それと米国が狙うNATO美化は話が別です。我々はNATOに限らず軍事同盟はなくすべきと思っています。
 また、制裁などの結果としてプーチン政権が結果として崩壊するとしても、あくまでも方向性は「ロシア軍撤退」を前面に出すべきで「プーチン政権打倒」を前面に出すべきではありません。
 安倍元首相や維新が「核共有」を言い出していることにも呆れざるを得ません。
 一部では「中国の台湾侵攻の危機」「民主体制VS権威体制」という主張も見られますがこれも適切ではない。
 「中国の台湾侵攻の危機」は「まずありえない」とみるべきでしょう。いずれにせよ「中国とロシア」「プーチン習近平」「ウクライナと台湾」は違うので単純比較できません。
 「民主体制VS権威体制」という見方にしても1)「国連総会ロシア非難決議」で反対は「ベラルーシ、シリア、北朝鮮」など少数に限定された上、これらの国は「権威主義」というよりは国内の反体制派弾圧などでロシアに借りがある、2)棄権した国々には「インド、南ア、ブラジル」など民主国もある、3)賛成派は必ずしも民主国ではないという意味で適切な見方ではありません。
 そもそも「民主国米国」が戦争国家である一方で、いわゆる権威主義国家が必ずしも「対外侵略的ではないこと」を考えてもそうした見方は適切ではない。ロシアへの態度は「ロシアとのしがらみの有無」にすぎません。
 そもそも日本だって賛成票を投じたとは言え、サハリン2開発からは現時点では撤退していませんし。


プーチンによるウクライナ侵略:その歴史的背景(堀江則雄*3
 架空問答形式で書いてみます。

 ウクライナ侵攻の原因をどう考えますか。

 これはあくまでも「プーチンの持つであろう価値観の説明」であり私がそれを是としているわけではないことをまずは断っておきます。
 やはり大きいのは「NATOのいわゆる東方拡大」「いわゆる2003年のジョージアでのバラ革命、2004年のウクライナのマイダン革命(オレンジ革命)、2005年のキルギスでのチューリップ革命(いずれも親ロシア政権が崩壊し欧米政権が誕生)」でしょう。
 プーチンにとって「ロシアの勢力圏が米国の陰謀によって破壊されている」との被害感情が生まれたと思います。
 当初プーチンはこうした「米国の陰謀」への対抗措置としては「BRICS」「上海協力機構 - Wikipedia」などの「一応、平和的な方向」で対抗していました。しかし「何故、方向が次第に軍事路線に傾斜していったのか」は私にもわかりませんが、プーチンは2014年のクリミア併合を契機に、今回の全面侵攻のような「軍事への傾斜」を深めていきます。
 なお、「ロシア人にとってのウクライナ認識」もプーチンの侵攻に影響したかと思います。
 国名「ウクライナ」の語源については諸説ありますがウクライナ - Wikipediaも指摘していますが、ロシアでは「辺境」を意味するロシア語「クライ」が語源だとされています。つまりロシアにとってウクライナとは「中心から外れた辺境の地(遅れた地)」なのです。
 「遅れたウクライナ相手の戦争など簡単にけりがつく」と思っていたとしても不思議ではないでしょう。
 話が脱線しますがそうした意味では「ロシアの日本侵攻」など云々することは全く馬鹿げています。ロシアは日本をウクライナほど馬鹿にしてはいないでしょう。
 それにしても、ロシアには「歴史的にウクライナへの差別感情が強い」とはいえ、過去の「クリミア併合」などでは親ロシア派住民の要請を受けて「親ロシア派支配地域」のみに軍事展開していたので、「首都侵攻をした」のは『正直予想外』ではありました。現時点ではロシア国内でのプーチン支持率はむしろ高いのですが、太平洋戦争も初期は国民が熱狂してたところ、東京空襲などの被害が出ると厭戦気分が広がりだしたことを考えれば、こうした支持率がいつまで続くかは疑問符がつくと思います。


ウクライナ危機と国際法の到達点(松井芳郎*4
 架空問答形式で書いてみます。
 なお、松井氏の主張については澤藤統一郎の憲法日記 » 参院予算委中央公聴会 松井芳郎氏の公述から ー ロシアはどう間違っているのかも参照してください。

 国際法の観点からウクライナ侵攻についてのお考えをお聞かせください。

 ロシアは1)ロシアが国家承認したドネツク、ルハンスク共和国の要請に基づく集団的自衛権行使、2)ウクライナがロシアの国家主権を侵害した事による個別的自衛権行使を主張しています。プーチンはこれについては「ウクライナの非ナチス化」とも言っています。ウクライナの親ナチス勢力(アゾフ軍団など)がウクライナ在住ロシア人を迫害しているという論です。まずはロシアですら「自衛権の行使」を主張していることに注目しましょう。
 私が後述するように「自衛権行使」という主張は国際社会(国連総会、ICJ)が支持せず、私も支持しませんが、今や公然と「自衛権行使に当たらない武力行使」を正当化できる時代ではないのです。というか、戦前日本ですら対米開戦を「自衛権行使(ハルノートや石油禁輸で日本の生存が脅かされた)」で正当化していたわけですが。
 さて自衛権行使ですがそれを主張するにはまず1)自衛権行使の前提となるウクライナのロシア攻撃、2)そのロシア攻撃に対しては局地戦ではなく、ロシアが実際に実行したような首都キーウ進撃作戦を展開するほかにはなかったこと(自衛手段のバランス)が必要です。
 しかしいずれもロシアはそうした事実の証明に失敗していると言っていいでしょう。ICJもウクライナの要請を認めロシアに「即時停戦」を勧告しました(ロシアはICJの勧告を完全に無視しましたが)。
 そもそも「自衛権行使」の正当理由がないのですが、ロシアが集団的自衛権行使の理由とする「ドネツク、ルハンスク共和国」の「国家資格(?)」についても論じておきます。これらと国交を結ぶ国はほとんどなく、国連にも加盟しておらず、そもそもプーチンですらウクライナ戦争開戦直前に初めて国家承認しており、「正当な独立国」といえるかは疑問符がつくことを指摘しておきます。満州国やビシー政権のような傀儡国家に過ぎないという批判は強い。そもそも「一国の支配地域の人間(今回はドネツクやルハンスク)が、外国の応援で独立国宣言」なんてことを安易に認めたら国際秩序が無茶苦茶になってしまいます。
 それにしても「同胞の生命保持を理由に開戦」「国連総会で非難決議」「傀儡国家を建設」「非戦闘員の虐殺疑惑(戦前日本では例えば南京事件)」「にもかかわらず国内マスコミ統制もあってプーチン政権高支持率」などといったロシアの姿は澤藤統一郎の憲法日記 » ロシアのウクライナ侵略は、過去の日本の中国侵略にそっくりなのだ。などが指摘するように私にはまさに「戦前日本」を連想させます。正直「戦前日本もこうだったのだろうか」という複雑な心情を禁じ得ません。
 以上は「侵攻自体の違法性」ですが「原発や病院への攻撃」「ブチャでの民間人虐殺疑惑」といった戦争犯罪についても注意する必要があります。


特集『施行75年を迎えた日本国憲法の価値』
◆「軍事国家」化を進めるなかでの改憲論の危険性:プーチン政権のウクライナ侵攻を受け、改めて憲法9条の価値を考える(奥野恒久*5
架空問答形式で書いてみます。

 ウクライナ侵攻後の改憲派の動向についてどう考えますか。

 安倍元首相や維新の「核共有」が『最も極端な例』ですが、九条改憲など軍事対応を声高に叫ぶ論が出てきています。まさに火事場泥棒、焼け太りと言っていいでしょう。
 まず第一に憲法九条は「日本がプーチンのような無法なことをしないための物」です。日本において過去の戦争への反省が決して強くないこと(例:産経など右派の南京事件否定論など)、自衛隊が海外派兵した場合、共同軍事作戦するであろう米軍に「民間人虐殺の前科があること」を考えれば「自衛隊の無法」は決して空理空論ではありません。
 また、過去には安保闘争時に岸首相が「治安出動の可能性」を云々し、赤城*6防衛庁長官が強く反対したことも忘れてはならないと思います。陸幕長「反戦デモ」敵視講演/繰り返した疑い調査を 穀田氏迫る/衆院外務委は「岸的な価値観」であり背筋が寒くなります。
 第二に政府見解では「専守防衛は九条に反しない」ので武力侵攻への対応という意味では改憲の必要は全くありません。
 第三に現在において自衛隊は世界有数の軍事力(そのことへの評価はひとまず無視します)であり、在日米軍も世界有数の軍事力です。「在日米軍の撤退」「自衛隊の大幅な軍縮」の後の話ならともかく現時点で日本侵攻を考える国はまずないでしょう。
 第四に「ロシアの苦戦を見て日本侵攻を考える国」がどこにあるのか。ロシアは「米軍の軍事支援がある」とはいえ、単独でロシアに対抗するウクライナ相手に苦戦してます。勿論ウクライナの方が日本より軍事費は低く、自衛隊より装備も劣るとみられるのだから、ロシア軍は自衛隊相手にはさらに苦戦するでしょう。
 また国連総会ではロシア非難決議が採択され、欧米によるロシア経済制裁も始まった。日本侵攻をすればこうした「厳しい対応がある」のは目に見えています。
 第五にそうした軍事対応論は「過去の戦争への反省の弱さ」とあいまって、中国や韓国などとの外交関係を悪化させるでしょう。


◆国会での改憲勢力の動向と、対抗する野党の役割(植松健一*7
(内容紹介)
 1)衆院選での自民勝利、維新躍進による衆院改憲派2/3確保、2)未だに高止まりする政権支持率や維新支持率、3)それを契機とした国民民主の自民へのすり寄り、4)国民民主と絶縁できず曖昧な態度を取る立民・泉執行部といった動向をあげた上で、参院選での「改憲派2/3」に向けての対応が急務と論じられています。


日本国憲法75年と「教育を受ける権利」:「学制」150年(丹羽徹*8
(内容紹介)
 まずは学制について説明しておきます。
 日本で初めての「近代的教育システム」について定めた法令というプラス面と「国家主義」「男尊女卑」といったマイナス面があると評価できるでしょう(学制 - Wikipedia学制百二十年史:文部科学省参照)。
 なお、学制が定められた150年前(1872年)は

1872年 - Wikipedia
◆9月4日(当時はまだ旧暦で旧暦換算だと8月2日:以下、括弧内は全て旧暦換算)
 学制発布
◆10月14日(9月12日)
 新橋(後の汐留)~横浜間で日本初の鉄道正式開業(後に10月14日は鉄道の日となる)。
◆11月4日(10月4日)
 富岡製糸場操業開始
◆12月15日(11月15日)
 国立銀行条例制定

と様々な近代化施策が実施されていました。
 次に「憲法26条(教育を受ける権利)」について。憲法26条に基づき、教育基本法が制定され、それによって教育勅語も無効になったわけです。
 第三に改憲派の教育云々についての言及ですね。この点、筆者が警戒しているのは「維新の教育無償論」です。勿論、教育無償化は改憲しなくても予算措置さえすれば可能なので詭弁もいいところですが(例えば、赤旗おおさか維新 改憲で教育無償化?/9条改憲の呼び水に/教育無償化 実現迫ってきた共産党(2016.7.7)、教育無償化に改憲不要/NHK討論 小池書記局長が批判(2017.5.15)、教育無償化 改憲せずとも可能/必要なのは政治判断/逆行してきた自民政権(2017.5.16)、主張/高等教育の無償化/改憲は不要、ただちに踏み出せ(2017.6.5)参照)。
 

◆高校生は日本国憲法をどう見ているか(上):全教・子ども全国センター・高校教育研究委員会「高校生憲法アンケート2020」集計結果報告(波岡知朗*9
(内容紹介)
 ある意味当然ではあるのですが、記事を読む限りではとりたてて、改憲世論、護憲世論など「憲法に対する認識や評価」が「他の世代」と比べて大きな違いがあるようには見受けられませんね。


◆なぜシングルマザーは貧困から抜け出せないのか:その構造を労働に注目して考える(中囿(なかぞの)桐代*10
(内容紹介)
 架空問答形式で書いてみます。なお、「囿」は「園」の外字なのでしょう。

 『シングルマザーの貧困はなぜ解消されないのか:「働いても貧困」の現実と支援の課題』(2021年、勁草書房)という著書を執筆された中囿先生に『シングルマザーの貧困はなぜ解消されないのか』端的にお話し頂ければと思います。

 私の著書の副題は『「働いても貧困」の現実』ですが、シングルマザーの大半はワーキングマザーです。しかし「低賃金の非正規雇用」が多く貧困にならざるを得ないのです。結局、多くの女性は「教師、看護師」など特殊な資格があるか、性風俗業でもなければまともな賃金が得られない。
 また非正規雇用では当然ながら老後の年金支給額も低くなります。
 「女性の正規雇用」を増やすとともに、「非正規雇用の待遇改善」が求められます。勿論「安すぎる年金」も引き上げる必要がある。
 結局のところ「シングルマザーが貧困な社会」とは「弱者(非正規雇用や低年金者)が貧困な社会」であり「シングルマザーだけ改善する」ということは無理な話です。
 またシングルマザーの多くは「離婚者(勿論死別の場合もありますが)」であり、本来なら元夫から養育費が受け取れるはずです。しかし法制度の不備もあって受け取れていません。「養育費がきちんと受け取れる法制度の整備」も重要です。
 とはいえ養育費が受け取れればいいのかというと話は単純でないところがあります。
 問題は日本の児童扶養手当が貧弱であることです。その上「自己収入(養育費を含む)が増えるとその額に関係なく児童扶養手当が減らされる」という無茶苦茶なシステムになっています。
 養育費や勤労収入が「それだけで十分」ならともかくそうでないなら今の児童手当システムでは「働くほど、養育費を受け取るほど不利になる」ことすらあります。「自己収入(養育費を含む)が増えるとその額に関係なく児童扶養手当が減らされる」という無茶苦茶なシステムはやめるべきです。


◆「赤旗」と日本共産党を語る〈上〉(小木曽陽司*11/山本豊彦*12/米倉春奈*13
(内容紹介)

【編集版】2022.2.11 赤旗と日本共産党を語る - YouTube
 日本共産党東京都委員会のネット企画第2弾。
 スクープ連発で注目集まる「しんぶん赤旗」編集局長・小木曽陽司さんと日曜版編集長・山本豊彦さんによる対談に、字幕などをつけ編集したものです。進行役は米倉春奈都議会議員です。

 この「1時間42分程度の動画」を文字化した物が今回の前衛記事です。


◆止めねば大阪が壊れる:暴走する夢洲カジノ計画(桜田照雄*14
(内容紹介)
 赤旗の記事紹介で代替。なお「大阪市議会の自民」は現時点では反対の立場であることを指摘しておきます。

きょうの潮流 2022年1月29日(土)2022.1.29
 「IR・カジノに税金は一切使いません」と日本維新の会代表の松井一郎大阪市長はかつていいました。ところが予定地の人工島「夢洲(ゆめしま)」の液状化・汚染土壌対策に約790億円かかると市が発表しました。市の負担です。それで収まる保証はありません
▼「夢洲」にアクセスするための大阪メトロ中央線延伸と新駅整備費が当初見込みより約129億円膨らむとの試算もわかりました。地盤沈下やメタンガス防爆対策のためです

カジノ需要予測 過大/大門氏 3府県の計画「非現実的」/参院予算委2022.3.15
 大門氏は、自民党大阪市議団も異論の声をあげているとして、「総裁として自民党市議団の意見を聞くべきではないか」と指摘。岸田文雄首相は「必要な手続きを進めていくことが重要だ」と答えるだけ。大門氏は「このまま計画を進めるわけにはいかない」と主張しました。

カジノ誘致計画 可決/大阪市議会 山中氏が反対討論2022.3.30
 日本共産党の山中智子議員は反対討論に立ちました。
 「将来、ギャンブル依存症に苦しむ市民をつくり出すようなことを決してするべきではない」と訴えました。
 事業者の解除権等が乱用される基本協定書について、「1から10まで事業者に有利なもの」だと指摘。夢洲の土壌対策に788億円もの公費支出を負担する点については「事業者の言いなりに、大阪市の負担がいったいどこまで膨らむのか、市の財政がどこまで食い物になるのか空恐ろしい」と批判しました。
 住民説明会や公聴会の開催が回数・内容ともに不十分であるうえ、コロナ感染拡大を理由に多くを中止した点は、「地域における十分な合意形成」などまったく意に介さない態度だと指摘。

きょうの潮流 2022年4月3日(日)
 これにはちょっと驚きました。「大阪IR『維新』を追及 自民党議員団が大阪市会で鋭く」の見出しが1面に躍ります。自民党の機関紙「自由民主」3月29日号です
▼同号では(中略)維新はIR整備に「公金は一切投入しない」と言っていたのに、土壌汚染・液状化対策費790億円が突如として浮上したと指摘。経済波及効果の試算の信ぴょう性も疑わしいとしています


特集『交通・移動権と地域公共交通のこれから』
◆地域公共交通の危機とその再生に関する論点(桜井徹*15
(内容紹介)
 赤旗の記事紹介で代替。
鉄道路線廃止に歯止めをかけ、住民の足と地方再生の基盤を守るために/国が全国の鉄道網を維持し、未来に引き継ぐために責任を果たす/2017年4月28日 日本共産党
鉄道路線廃止に歯止めを/共産党政策発表 “市場任せ”から転換2017.4.29
地域公共交通支援を/武田議員、予算増求める2021.3.31
ローカル線廃止ノー/中国5県 共産党がJR問題学習会2022.2.22


◆コロナ危機とタクシー・バス労働者(菊池和彦*16
(内容紹介)
 赤旗などの記事紹介で代替。
老舗「広島タクシー」 コロナ下、今秋までに自主廃業へ:朝日新聞デジタル2021.5.28
赤旗
タクシー協会と懇談/もとむら氏 事業継続へ国支援を/名古屋2021.3.2
コロナ禍 営業収入減/こくた氏とタクシー協会懇談/京都2021.3.29
タクシー支援 強化を/本村氏 危機的な状況示す2021.4.15


ジェンダー覚書:The personal is political『所得税法56条・家族賃金を巡る動向』(槐島明香)
(内容紹介)
 赤旗記事の紹介で代替。
自営業家族の働き分認めない所得税法56条/477自治体が「廃止を」意見書採択2017.1.4
家族従業員給与は経費/大門氏 所得税法56条見直せ2019.4.1
所得税法56条廃止を/全婦協 国会議員懇談で訴え2019.9.27
家族労働に光を/所得税法56条廃止へ署名提出/全婦協2019.11.28
家族の労賃 経費と認めよ/所得税法56条廃止・見直し 543議会が意見書2020.4.14
所得税法56条廃止を/全婦協が署名を提出2022.2.11


◆論点『憲法審査会の〝越権行為〟:本会議への「オンライン出席」議論をめぐって』(佐々木森夢)
(内容紹介)
 赤旗記事の紹介で代替。
権力乱用の危険増大/オンライン審議めぐり参考人/衆院憲法審2022.2.25
オンライン出席「可能」報告議決/「越権」と共産党反対/衆院憲法審2022.3.4


メディア時評
◆新聞『ロシアの蛮行 台頭する〝力の対決〟論』(千谷四郎)
(内容紹介)
 ロシアのウクライナ侵攻を口実に九条改憲を主張する読売、産経など右派新聞が批判されている。


◆テレビ『放送をめぐる気がかりなこと』(沢木啓三)
(内容紹介)
 『放送をめぐる気がかりなこと』がいくつか紹介されている。
参考
BPOへの自民の圧力】
民放労連が自民党に抗議声明 「言論・表現の自由を脅かす」 | 毎日新聞2022.3.14
自民党がBPOに横車/波動 桜宮淳一(在阪テレビ局記者)・・・今日の赤旗記事 - (新版)お魚と山と琵琶湖オオナマズの日々2022.3.21
「BPO人選に国会関与」発言が波紋 自民調査会の議論に放送界警戒:朝日新聞デジタル2022.4.4
(Media Times)BPO検証、自民検討に波紋 元総務相「委員人選、国会が関われないか」:朝日新聞デジタル2022.4.6
【マスメディア集中排除原則緩和の動き】
持ち株会社によるグループ経営の制限を撤廃 放送局経営の規制緩和案:朝日新聞デジタル2022.3.14
【若者のテレビ離れ

石原さとみから元SMAP、人気声優まで起用の“新しいNHK”「答えは皆さまの声の中に」 : エンタメ・文化 : ニュース : 読売新聞オンライン2022.4.8
 SNSが浸透する中で若者を中心としたテレビ離れは深刻だ。今回の改編でもそれを食い止めようと必死だ。目玉の「サタデーウオッチ9」も、(ボーガス注:1990年生まれの)赤木野々花アナを中心に若手アナウンサーがずらり。
 さらに「クロ現」では、安元洋貴*17小松未可子*18中井和哉*19といった人気声優がナレーションを担当。局アナでなく、彼らの若年層への発信力にあえて期待し、「この人が読んでいるのなら一度見てみよう、と思う視聴者が一人でも増えれば」と松本CPは願う。
 若い世代に情報を届けたいNHKの意欲は強く、「新しいNHK」もそこが主眼なのかとも感じられる。中高年視聴者の中には「これが国民の受信料で作られる番組か」と首をひねる人もいるだろう。


文化の話題
◆映画『岩波ホールの閉館発表の衝撃』(児玉由紀恵)
(内容紹介)
 ネット上の記事紹介などで代替。
東京・岩波ホール、7月29日で閉館へ コロナによる経営悪化で:朝日新聞デジタル2022.1.11
岩波ホール閉館のニュースを知り、あらためてミニシアターの運営の大変さを痛感する - ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)2022.1.12
赤旗きょうの潮流 2022年1月14日(金)
コロナ禍で「岩波ホール」閉館へ 下北沢には新たなミニシアターも | NHK2022.1.19

岩波ホール最終上映作品はヴェルナー・ヘルツォーク監督『歩いて見た世界』予告編も解禁 | cinemacafe.net
 『アギーレ/神の怒り』やニコール・キッドマン主演『アラビアの女王:愛と宿命の日々』などの作品で知られる巨匠ヴェルナー・ヘルツォーク監督の新作『歩いて見た世界:ブルース・チャトウィンの足跡』が、7月29日(金)をもって閉館が決定している岩波ホールにて6月4日(土)より公開することが決定。
 彗星のように現れこの世を去っていったイギリス人作家ブルース・チャトウィン(1940-1989)。本作は、彼の没後30年に、生前チャトウィンと親交を結んだヘルツォーク監督が制作したドキュメンタリー。

https://twitter.com/KamiTomoko/status/1483809027209498628
紙智子*20
 本日付けしんぶん「赤旗」に載った「岩波ホールの閉館」について、映画監督小栗康平さんの「深い精神の訃報」との言葉に胸の痛みを感じました。
 私も岩波ホールは何度か足を運び「名画」に出会い、観終わった後のなんとも言えない余韻に浸っていた事を今でも覚えています。
 どれだけ多くの人々の精神の深いところに影響を与えて来たことだろうと思います。ここに紹介されている小栗監督の「伽倻子のために」もじっくり考えさせられた作品でした。サタジット・レイの「大地のうた」のほか、大地三部作の一挙上映にも、6時間くらいぶっ続けで観て深く感銘を受けたこともありました。閉館は「コロナによる経営悪化と伝えられている、それもあっただろう」。しかし「政権が芸術、文化を支えることもせず、どこか遠いことのように見殺しにしてきたことへの怒りも大きい」と。明らかになった危機の本質は、経済問題ではない、映画文化そのもの変質であり堕落である•••。重く受けとめたい。


◆演劇『「夜の来訪者」の問いかけ』(水村武)
(内容紹介)
 ネット上の記事紹介で代替。

「夜の来訪者」演出の西川信廣「ワクワクする台詞劇に」 6日から俳優座劇場 - 産経ニュース2022.3.4
 彼女を死に追いやったのは誰だ。俳優座劇場プロデュースNo.114「夜の来訪者」が6日から、俳優座劇場(東京都港区)で上演される。社会派ミステリーの傑作を演出する西川信廣は「ワクワクドキドキハラハラするような台詞(せりふ)劇に仕立てられたら」と話す。
 昭和15年のある夜、娘の婚約が決まり、喜びに沸く倉持家の邸宅に、影山と名乗る警部(瀬戸口郁=かおる)が現れ、ある女性が自殺したことを告げる。かつて、その女性は、家長で企業経営者の幸之助(柴田義之)によって、いわれのない理由で解雇されていた。影山警部は、家族のそれぞれに質問を重ねていく…。

[演劇] B・プリーストリィ「夜の来訪者」 (2022/03 俳優座) : ブログ di Luna2022/03/08
 六本木の俳優座に、俳優座劇場プロデュースNo.114「夜の来訪者」の公演を聴きに行きました。その感想・レビュー。
【1】J・B・プリーストリィ作『夜の来訪者
 この作品は、「面白い作品」「結末の大どんでん返し」などの評を読んだことがあり、岩波文庫で求めて読みました。
 確か、ある少女の死に関して、警部がその関係者家族を一人ひとり糾弾していく作品。
 岩波文庫の案内文を引用すると、
 「息もつかせぬ展開と最後に用意された大どんでん返し──再々上演され,映画化されたイギリスの劇作家プリーストリー(1894-1984)の代表作.舞台はある裕福な実業家の家庭.娘の婚約を祝う一家団欒の夜に警部を名乗る男が訪れ,ある貧しい若い女性が自殺したことを告げ,全員がそのことに深く関わっていることを暴いていく。」とあります。
 記録を見ると、私がこの本を読んだのは、2011年、10年以上前です。
 驚くべきことは、私は結末を忘れています。自分で書いたメモがあり、こんなことを書いていました。
<感想>
 161ページの3幕からなる戯曲。面白くて、2日で読み終えてしまった。
 一人の少女の死をきっかけに、その捜査にあたる警部が、裕福な家族一人一人のエゴを暴き立てる内容。若い人はそれをきっかけに変わっていこうとするが、分別のある年代の人間は、むしろそれを正当化しようとする。老いるということはずる賢くなることか?
 正直、最後の謎解きは大体想像が付いていたし、「落ち」は、あまり好きな内容ではなかったが(あとから考えると少し恐ろしい内容)、でも、劇としてのこのテンポ、速さ、中心に向ってぐいぐい進んでいく求心力、とても見事な作品と感心する。 

 事前に作品について少しおさらいしようと思い、すっかり結末を忘れていることに気づいてしまいました。すごく印象的だったはずのに、10年前とはいえ、内容を忘れてしまっているとは少し情けないです(オペラの舞台も5年ぶりぐらいでみると、すっかり以前見たことを忘れている)
 でも逆に言えば、その意味では結末は、まだ「知らない」状態です。
 せっかくなので、この状態で楽しもうと思い、無理に本を読み返すこともなく、見に行くことにしました。 
【2】当日の公演の感想・レビュー
 会場は、六本木にある俳優座劇場。地下鉄の出口すぐなので、とても便利な立地にあります。
 時間は、19:00開演で、終了が20:45。休憩なしの1時間45分です。
 面白い劇で、一気に見終えた感じです。
 最期の瞬間で、どんでん返しの仕組みを思い出しましたが、途中まで見ていても結末がどうなるか、ハラハラしながら見ました。
 まず、原作の大きな流れは同じだと思いますが、それぞれが、亡くなった女性にした行為が原作と同じだったかはすっかり忘れています。とはいえ、そこはこの際問題ではなく、枠組みが同じであれば、十分原作の意図を組んでいると思います。
 自分自身の感想を見た時、その気持ちを思い出すことはなかったですが、今回演劇を見ても、やはり、「若い人はそれをきっかけに変わっていこうとするが、分別のある年代の人間は、むしろそれを正当化しようとする。老いるということはずる賢くなることか?」と、同じ印象を受けました。
 最後に影山警部は、「我々は一人で生きているのではなく、一人ひとりがその責任を負わなくてはいけない」と言っています。


◆スポーツ最前線『札幌五輪招致 意向調査にみる欺瞞』(和泉民郎)
(内容紹介)
 ネット上の記事紹介で代替。

主張/30年札幌冬季五輪/招致をとりやめ暮らし優先に2022.4.16
 問題なのは民意を軽んじている市の姿勢です。市は招致を実現するには、「市民・道民から幅広い支持を得ることが必要」と説明してきました。しかし、市は3月の意向調査で4割近い市民の反対がありながら、賛成がわずかに半数を超えたことをもって招致に突き進んでいます。しかもこれは、五輪の魅力のみを描いた資料を添付するなど賛成に誘導し、「回答をゆがめる」((社説)札幌五輪招致 ゴーサインには遠い:朝日新聞デジタル)と批判された調査でした。北海道新聞の直近の世論調査(13日付)では、市民の五輪招致反対57%、賛成42%とまったく逆の結果となっています。

共産党が札幌冬季五輪招致の中止求める 「巨額経費に懸念」:朝日新聞デジタル2022.3.9

(社説)札幌五輪招致 ゴーサインには遠い:朝日新聞デジタル2022.3.22
 驚いたのは、結果とともに公表された調査のやり方だ。
 「北海道・札幌が将来にわたって輝き続けるためのプロジェクト」「共生社会の実現に貢献」「税金は投入しない」といった、大会に関して市が打ち出している前向きの考えや計画を繰り返し説明したうえで、賛否を問うている。回答をゆがめる恐れがあり、世論調査では注意しないといけない手法である。
 ここまで「誘導」してなお、比較的信頼できる郵送調査で賛成が52%、反対が39%だった事実にこそ目を向けなければならない。単純に比べられないが、14年に市が実施した市民アンケートでは、賛成67%、反対21%だった。市長は「活動の加速」ではなく、足を止めて市民の声を冷静に分析することに、まず取り組むべきだ。
 背景に五輪そのものへの不信があるのは間違いない。
 市は、再度の意向調査も、外国の他都市が五輪開催をめぐって実施したような市民投票も、考えていないという。
 このまま走っていいのか。疑念が膨らむ「賛成5割」だ。

「2030年冬季五輪招致」に前のめり札幌市の危機感 | 政策 | 東洋経済オンライン | 社会をよくする経済ニュース2022.3.30
 地元紙の北海道新聞は3月22日付の社説で「札幌五輪調査 招致合意とは言い難い」と冷静な分析を示している。調査期間(3月2日~14日、調査手法により異なる)が日本勢の活躍した北京五輪の余熱が残っている時期だったこと、市が調査に併せ、駅前の地下歩行空間で招致PR活動を行っていたことを挙げ、「中立で客観的な環境で民意を測ろうとしたのかは疑問が残る」と指摘している。

*1:著書『オキナワンブルー』(2015年、未来社)、『沖縄戦の戦争遺品』(2021年、新日本出版社)、『沖縄にどう向き合うか』(2022年、新日本出版社)。個人ブログ豊里友行の「とよチャンネル」

*2:日本共産党国際委員会副責任者(幹部会委員兼務)。著書『NATOはどこへゆくか』(2000年、新日本新書)

*3:日本ユーラシア協会(旧称:日ソ協会)理事長。著書『もう一つのワシントン報道:「赤旗」初代特派員の1000日』(1985年、未来社)、『極東共和国の夢:クラスノシチョコフの生涯』(1999年、未来社)、『シベリア抑留』(2001年、東洋書店ユーラシア・ブックレット) 、『ユーラシア胎動:ロシア・中国・中央アジア』(2010年、岩波新書

*4:名古屋大学名誉教授(国際法)。著書『湾岸戦争国際連合』(1993年、日本評論社)、『テロ、戦争、自衛:米国等のアフガニスタン攻撃を考える』(2002年、東信堂)、『国際環境法の基本原則』(2010年、東信堂)、『国際法学者がよむ尖閣問題』(2016年、日本評論社)、『国際社会における法の支配を目指して』(2021年、信山社

*5:龍谷大学教授

*6:岸内閣農林相、官房長官防衛庁長官、池田、佐藤内閣農林相など歴任

*7:立命館大学教授

*8:龍谷大学教授

*9:全教副委員長

*10:北海学園大学教授。著書『シングルマザーの貧困はなぜ解消されないのか:「働いても貧困」の現実と支援の課題』(2021年、勁草書房

*11:赤旗編集局長(常任幹部会員兼務)

*12:赤旗日曜版編集長

*13:都議(日本共産党

*14:阪南大学教授。著書『「カジノで地域経済再生」の幻想』(2015年、自治体研究社)

*15:日本大学名誉教授

*16:全自交(全国自動車交通労働組合連合会)書記長

*17:1977年生まれ。2014年放送の『鬼灯の冷徹』(東京MXなど)の鬼灯役でテレビアニメ初主演(安元洋貴 - Wikipedia参照)

*18:1988年生まれ。2010年4月、テレビアニメ『HEROMAN』(テレビ東京)でヒーローマンと行動を共にする主人公ジョーイ役として声優活動を開始(小松未可子 - Wikipedia参照)

*19:1967年生まれ。アニメ『ONE PIECE』(フジテレビ、1999年~現在も放送中)のロロノア・ゾロへの抜擢をきっかけに、アニメやゲームの声優として活躍(中井和哉 - Wikipedia参照)

*20:参院議員。日本共産党農林漁民局長(党常任幹部会委員兼務)