今日のロシアニュース(2022年5月6日分)

危ないロシアの中国従属 北朝鮮に劣らぬ核脅迫も: 日本経済新聞*1
 日経記事のバカさに吹き出しました。危ないどころか「ロシアが中国に従属してくれたらどんなにいいか(少なくともウクライナ戦争に関しては)」と思うのは俺だけではないでしょう。「ロシアが中国に従属」するなら、「中国のロシアへの圧力」で戦争がすぐに終わるでしょう。まさか「俺(中国)が応援するから、ウクライナ戦争をもっとやれ。いっそモルドバにも攻め込め」などと中国がロシアをけしかけるわけもない。
 とはいえ、ロシアは中国に従属する気はないでしょうし、中国も「従属させる気もない」でしょう。小国・北朝鮮ですら中国言いなりではない(中国に従属してない)のに、どうやって中国が大国ロシアを従属させるのか?
 まあ「ロシアの弱体化後に相対的に中国が台頭する(ただし、それは勿論ロシアの中国への従属ではない)」かもしれませんが、それは「ロシアの自滅」にすぎず中国が悪いわけでも何でもない。


中国の目で見たウクライナ戦争 | コラム | 拓殖大学海外事情研究所
 筆者は富坂聰*2です。「アンチ中国の右翼」のはずの富坂ですが、その中国認識は「意外とバランスがとれてる」と思います。
 単に中国を悪口雑言するような代物ではない。
 さて富坂曰く「ウクライナ戦争での中国の態度」を「ロシア贔屓」として批判するのは「一理ある」が一理しかなく「一面的すぎる」。ましてや「中露同盟」であるかのように認識するのは間違っている。
 なぜなら、「国連総会ロシア非難決議」で中国同様に棄権した国は「インド、ブラジル、南ア、ベトナム」など他にもあり、これらの国のロシアへの態度も「中国同様」、NATO諸国ほどにはロシアに厳しくないからです。
 中国にせよ「他の棄権した国」にせよ「国益判断」から厳しい態度を取ってないに過ぎない(似たようなことは21世紀の日本と国際社会|浅井基文のWebサイトも指摘していますが)。
 そもそも日本だって

ガス協会会長「サハリン2、ガス供給に極めて重要」: 日本経済新聞2022.4.25
 日本ガス協会の本荘武宏会長(大阪ガス会長)は25日の定例記者会見で、日本の商社が出資する極東ロシアの石油・ガス開発事業「サハリン2」について「ガスの安定供給上極めて重要で、日本は権益の一定割合を保有し続けるべきだ」と強調した。

三井物産社長、「サハリン2」撤退改めて否定 - 産経ニュース2022.5.2
 三井物産の堀健一社長は2日の決算記者会見で、同社が権益の12.5%を保有する極東ロシアのLNG液化天然ガス)事業「サハリン2」について、「制裁を順守しつつ、エネルギー安定供給の観点を踏まえ適切に対応していく」と述べ、継続する考えを改めて示した。

ということで「現時点ではサハリン2から撤退してない」わけです。
 「ロシアに厳しい態度を取らない=ロシア贔屓」なら「中国よりは厳しい態度」かもしれませんが「米国ほどではない日本」も立派に「ロシア贔屓」です。
 中国を「ロシア贔屓」云々と批判しながら「サハリン2継続」については「一部の日本人を除いて、日本の政府(政権与党・自公や経産省)や財界(サハリン2に出資している三井物産三菱商事など)を批判しない」。
 それどころか「サハリン2の存在を知らない人間も少なくない(プーチン批判ならロシアから何の報復もないので喜んでやるが、日本の政府や財界については、報復の可能性が怖くて批判する度胸などない腑抜けのテレビ局がサハリン2についてろくに報じないので)」日本は明らかに「反中国で物の見方がゆがんでる」。
 なお、話が脱線しますが例のid:kojitaken氏も、ウクライナ戦争問題について「れいわの山本太郎ガー、維新創業者の橋下徹ガー」ばかりでなく「サハリン2継続への批判」とかしたらどうなんですかね?(彼のブログkojitakenの日記を「サハリン2」でサイト検索しても記事が出てこないので、彼はブログ記事においてサハリン2について論じたことは恐らく一度もない)。
 「無知なのでそもそもサハリン2について知らない(インテリぶってる彼ですが、正直、俺は彼にどれほどの見識があるか疑問に思っています)」のか「サハリン2について知ってるが山本や橋下と違って興味ない」のか「サハリン2がらみでの日本政府、財界への批判をしたくない(kojitaken氏は実はサハリン利権を今後も日本は確保すべきだと思ってるが、ロシア批判派ぶってるためそれが公言できない)」のか知りませんが。
 ちなみに富坂の見立てではウクライナ戦争を中国は「勝者なき戦争」と見なしています。
 つまり最終的には「どちらかが勝つ(まあ、普通に考えてウクライナ側でしょう、非難決議で反対、棄権した国ですらロシアの勝利は考えてないでしょう)」が、おそらく勝つまでのダメージがお互いでかすぎて「勝った」と手放しで喜べない物がある。だから中国も「曖昧な態度」を取ることになる。どちらかに過剰に肩入れしても大して利益にならないからです。
 中国の「ウクライナ戦争認識」は「仁義なき戦い・頂上作戦(第4作)」の「間尺に合わん*3仕事したのう」(菅原文太が演じる広能組長の台詞:諸事情から抗争に突入したが、広能にとって特に利益がなかったという話)、「仁義なき戦い・完結篇(第5作)」の「つまらん連中*4が上に立ったから、下のものが苦労し、流血を重ねたのである(ナレーター)」みたいなもんです。 
 なお、「話が脱線します」が「戦前日本の太平洋戦争」もまさに「間尺に合わん仕事したのう」「つまらん連中が上に立ったから、下のものが苦労し、流血を重ねたのである」でしょう。
 拉致敗戦も「間尺に合わん仕事したのう(田中均氏:救う会、家族会の個人攻撃で退官に追い込まれたので)」「つまらん連中(救う会会長の西岡、副会長の島田や、横田滋、飯塚滋雄(いずれも元家族会会長、故人)、横田拓也(現家族会会長)など救う会いいなりの家族会役員たち)が上に立ったから、拉致敗戦を重ねたのである」でしょう。

*1:北朝鮮の核脅迫」は中国がやらせてるとでも言いたげな阿呆タイトルで吹き出しました。中国の「北朝鮮に対するスタンス」は「核実験などされても迷惑だが、しがらみがあるので冷たく切り捨てるわけにも行かないし困った」というところでしょう。

*2:著書『ルポ 中国「欲望大国」』(2008年、小学館101新書)、『中国の地下経済』(2010年、文春新書)、『日本に群がる! 中国マネーの正体』(2011年、PHPビジネス新書)、『中国人民解放軍の内幕』(2012年、文春新書)、『中国の破壊力と日本人の覚悟』(2013年、朝日新書)、『習近平と中国の終焉』(2013年、角川SSC新書)、『中国という大難』(2013年、新潮文庫)、『中国の論点』(2014年、角川oneテーマ21)、『習近平の闘い:中国共産党の転換期』(2015年、角川新書)、『中国・無秩序の末路:報道で読み解く大国の難題』(2015年、角川oneテーマ21)、『中国は腹の底で日本をどう思っているのか』(2015年、PHP新書)、『風水師が食い尽くす中国共産党』(2016年、角川新書)、『中国がいつまでたっても崩壊しない7つの理由』(2017年、ビジネス社)、『「米中対立」のはざまで沈む日本の国難アメリカが中国を倒せない5つの理由』(2019年、ビジネス社)、『「反中」亡国論:日本が中国抜きでは生きていけない真の理由』(2021年、ビジネス社)など。それにしても、富坂の『中国崩壊論は間違っている!』という趣旨の著書『中国がいつまでたっても崩壊しない7つの理由』(2017年)、『「反中」亡国論:日本が中国抜きでは生きていけない真の理由』(2021年)を出したビジネス社ですが、一方では、宮崎正弘『「火薬庫」が連鎖爆発する断末魔の中国』(2019年)、『新型肺炎、経済崩壊、軍事クーデターでさよなら習近平』(2020年)、石平『バブル崩壊前夜を迎えた中国の奈落』(2021年)という「富坂が批判する中国崩壊論本」を出してるのだからデタラメの極みです。儲かれば何でも出すのか。まあ、富坂も「ビジネス社のインチキ」を露呈するために、あえて「ビジネス社から出してる」のかもしれません。富坂ならビジネス社以外の出版社(過去に著書を刊行している角川、文春など)からいくらでも出版できるでしょう。しかしそんな富坂の思惑を知りながら「金が儲かればいい」と「富坂本と、石平、宮崎らの本」を一緒に出すビジネス社もいい度胸です。それでも「ビジネス社から本を出す宮崎ら」や「宮崎らの本を読むアンチ中国の右翼」も呆れたバカですが。

*3:「割に合わない」「得にならない」という意味

*4:加藤武が演じる打越組長や金子信夫が演じる山守組長など