新刊紹介:「前衛」2025年10月号

 無能な俺でも紹介できる範囲で紹介しておきます。
2025参院選
◆対談『沖縄県民の平和への思いを背負ってのたたかいが大きく広がった』(高良沙哉*1参議院議員沖縄の風)、赤嶺政賢衆議院議員日本共産党))
◆座談会『東京 誰もが尊厳をもてる社会へ、ともに歩み、声を届ける議席:都議選・参院選をたたかって』(大山とも子*2/坂井和歌子*3/田辺良彦*4
(内容紹介)
 高良氏は元沖縄大学教授で、2025年参院選で初当選(オール沖縄)。
 吉良氏*5は2025年参院選(東京選挙区)で6位当選(定数7、7位当選だと3年任期だが、幸いにも6年任期)と苦戦したものの再選を果たしました。
 勿論「現有議席を失った京都(倉林明子参院議員(党副委員長))や埼玉(伊藤岳前参院議員(党中央委員))」の関係者に敗戦の弁を語ってもらうという「厳しい紙面」も考えられますが、党機関誌には「士気を高める」と言う目的もある以上、勝利した選挙区が取り上げられるのもある意味「当然」かと思います。
 勝利したことにも一定の意義や分析すべき点はある。
 また「当選が果たせて良かった」と言う弁は当然ありますが、高良氏にせよ、吉良氏にせよ、楽観論ばかり語ってるわけでもない(詳細な紹介は小生の無能のため省略しますが)
 例えば、オール沖縄は最近の県議選、首長選等では必ずしも勝利してるわけではない。
 吉良氏当選も「7位当選で3年任期」「8位で落選」の可能性もないとは言えなかったし「ウヨ政党の参政候補が上位当選」「ウヨ政党の国民民主が二人当選(一方、二人当選を狙った立民は一人当選に留まった上、7位当選で3年任期)」であり手放しで喜べない(勿論、「現有議席を失った京都(倉林明子参院議員(党副委員長))や埼玉(伊藤岳前参院議員(党中央委員))」「比例での得票減→議席減」という問題もある)。
 「ウヨ政党の参政、国民民主の議席増」「その結果危惧される排外主義、改憲など右翼的風潮の高まりの危険」という問題もある。
 「再選できたことは良かった(取組の一定の成果だと思う*6)し、議員として頑張るが、議席を減らしたことについては本当に申し訳なく思ってる(吉良氏)」「参政党が支持されてることには懸念を感じてる。排外主義の高まりに戦っていかねば」「若者へのアピールやSNSへの取組を強めていかねば」という感じであり、「展望はある(参政や国民民主への支持は必ずしも右翼的支持ではなく、共産を含むリベラル、左派(立民、社民など)への支持に転じる可能性はあると思う)と思うが勿論、現状は楽ではない」という厳しい座談会ではありました。
 いずれにせよ小生も、拙ブログで赤旗、前衛紹介記事を書くぐらいのことは今後もして微力ながら党を応援したい。


◆トランプ関税「日米合意」の実相 日本が飲んだ理不尽な代償:「トランプラウンド」を許さず、新たな世界貿易のルールを(湯浅和己)
(内容紹介)
 「日米合意」について「成功」を語る石破政権を「合意文書もなく、米側とトラブルになった時に争うことすらまともに出来ないのではないか」「合意内容も、米国発表が事実なら、日本側が大幅譲歩しており適切な対応とは言えない」等と批判。
参考
主張/日米関税合意/「国益」に反する譲歩許されぬ2025.7.26

日米関税交渉 三つの重大点2025.7.27
 第1の問題は、「合意」といいながら、合意文書が存在しないことです。こんなずさんな国家間交渉は、前代未聞です。
 米ホワイトハウスが、「合意」の詳細な内容を記した「ファクトシート」を発表。(1)投資5500億ドルによる利益の9割が米側に配分される(2)米国の武器(防衛装備品)を毎年数十億ドル追加購入(3)ボーイング機100機を購入(4)米国産米の輸入を直ちに75%拡大―といった内容です。
 赤沢亮正*7経済再生担当相は24日、帰国直後に記者団から「ファクトシート」について問われ、驚くべき発言を行いました。
「紙の形で合意しているわけではない。法的拘束力ある形で署名するものではない」
「(ファクトシートは)機内Wi―Fi(ワイファイ)でざっと目を通しただけだ」。
 交渉当事者の赤沢氏にも知らせないまま、米側が一方的に発表したことになります。
 日米「関税合意」の重大問題の二つ目は、日本が米国に一方的に奉仕する不公平な「合意」内容になっていることです。
 特に深刻なのが5500億ドル(約80兆円)の対米投資支援です。米国政府は、この投資による利益の90%を米国側がとると発表しています。
 日米「関税合意」の重大問題の三つ目は、米国による永続的恐喝システムが出現しかねないことです。トランプ政権のルール違反を不問にした「合意」は、日米貿易協定の一方的な破棄と、世界貿易機関WTO)協定違反を追認することになります。
 米国政府は2019年に締結した日米貿易協定を一方的に破棄して日本に高関税を課しました。ところが、25日の与野党党首会談で石破茂首相は「トランプ大統領はもともとアメリカが一方的に搾取されているという認識だ。この認識を踏まえた交渉なので、言いたいことがあっても、それは言ってはいけないということがある」と述べました。トランプ政権のルール違反に対し、日本政府がまともに抗議していないことを示唆する発言です。これでは、今後も「合意」や協定の一方的破棄が繰り返される危険があります。

対米80兆円投資 国民負担に/参院予算委 日米関税合意で大門議員追及2025.9.13
 大門氏*8は、欧州連合EU)は民間主導の投資である一方、日本は(ボーガス注:財務省が100%株式を保有する)国際協力銀行*9JBIC)や日本貿易保険(NEXI)の保証付きなど、公的資金による投資だと指摘し、「国民負担を生じないよう慎重に考えなければならない問題だ」と主張。
 大門氏は、関係法令である国際協力銀行法(JBIC法)には、日本にとって利益や採算の見込みがない案件には投資できないとの趣旨が書かれているが、「米国から『将来、日本のメリットになる』などと強引に押しつけられた場合、拒否できないのではないか」と指摘。法に照らして厳しく審査し、米国に言うべきことを言うよう求めました。
 加藤勝信*10財務相は、JBICの投資は法の規定に沿って行われるべきで「日本政府として必要な主張をしていくのは当然のこと」だと答弁しました。

米国への約80兆円の、投資先決定権限無しの投資を受け入れさせられた自民党政府の対米弱腰朝貢外交 - 村野瀬玲奈の秘書課広報室2025.9.27
 自民党政権アメリカ合衆国との外交において、米国への巨額の投資をのまされて帰ってきました。80兆円だそうです。しかも、何に投資するかの決定権はすべてアメリカ側にあり、そこから発生する利益の分配も日本が不利なように取り決められていて、一体何の交渉をしたというのか。自民党政権の無力ぶりにただただ腹立たしいばかりです。
赤旗対米投資「覚書」撤回を/衆院予算委 田村貴昭議員が追及2025.9.20


◆財界本位の自民党政治を衝く、結党から企業献金への執着まで(中) 財界・大企業による政治への介入:直接・間接、多様な方法で(小松公生*11
(内容紹介)
 新刊紹介:「前衛」2025年10月号 - bogus-simotukareのブログの「財界本位の自民党政治を衝く、結党から企業献金への執着まで(上)」の続き。
 まず、財界から自民党議員として政界進出し、閣僚や党三役に就くなどした、以下の人物達が「自民党の財界本位政治」の一例とされている。

【経歴はウィキペディア参照】
◆藤山愛一郎
 藤山財閥(コンツェルン創始者・藤山雷太の息子。藤山財閥二代目総帥。自民党藤山派領袖。
 岸内閣外相、池田内閣経企庁長官、自民党総務会長(池田総裁時代)等を歴任。何度か総裁選に出馬するがついに総裁になれず。
◆鹿島守之助
 鹿島建設社長。鹿島を5大ゼネコン(鹿島以外は大林組清水建設大成建設竹中工務店)の一角にした「鹿島建設中興の祖」とされる。岸内閣で北海道開発庁長官。
 鹿島建設は日本の原子力発電工事のおよそ半数を手掛け「原子力の鹿島」の異名を持つ。
 石川達三の小説「金環蝕」に出てくる「寺田政臣首相(池田勇人首相がモデル)」への働きかけで福流川ダム建設(九頭竜川ダム建設がモデル)を受注した竹田建設は鹿島建設がモデル。佐藤栄作ノーベル平和賞受賞は鹿島守之助の政治工作の成果とされる。
河本敏夫
 三光汽船創業者。自民党河本派領袖。
 佐藤内閣郵政相、三木、福田内閣通産相自民党政調会長(福田、大平総裁時代)、中曽根内閣経企庁長官等を歴任。何度か総裁選に出馬するがついに総裁になれず。
◆地崎宇三郎(三代目)
 北海道の建設会社「地崎工業*12」の初代社長(創業者)である初代・地崎宇三郎の孫。地崎工業二代目社長の二代目・地崎宇三郎の息子。
 大平内閣で運輸相。北海タイムス会長、日刊スポーツ北海道本社社長、北海道テレビ放送取締役を歴任。
◆渡邉美樹
 ワタミ創業者。2013~2019年まで自民党参院議員

 次に「中曽根臨調の会長だった『メザシの土光*13』こと土光敏夫石川島播磨重工業社長、東芝社長、経団連会長を歴任)」「小泉政権経済財政諮問会議議員だった奥田碩トヨタ自動車会長、日本経団連会長を歴任)、御手洗冨士夫(キャノン会長、日本経団連会長を歴任)」など政府審議会での財界人登用が指摘される。


◆関電・美浜原子力発電所の新増設 望まぬ地元住民、国民の負担増も(山本雅彦*14
(内容紹介)
 赤旗の記事紹介で代替。

関電、新原発調査へ/福島事故後初 将来にわたり活用狙う/福井・美浜町で2025.7.23
 関西電力の森望社長は22日、記者会見し、福井県美浜町に立地する美浜原発で新しい原発の建設に向けた地質調査を開始すると発表しました。福島原発事故後、原発の新増設へ国内で具体的な動きが明らかになるのは初めて。
 原発をめぐっては、原発から出る使用済み核燃料の行き先の行き詰まり、見通しのめどが立っていない「核のごみ」の最終処分場、事故時の避難計画の実効性など問題は山積みのままです。

自然エネこそ推進を/原発新設の動きに緊急抗議/福井・美浜町2025.7.31
 関西電力が新しい原発を建設するため、同社の美浜発電所福井県美浜町)で地質調査を再開すると発表したことに対し、県内外の住民が30日、同社の原子力事業本部前(同町)に集まり、緊急の抗議行動を実施しました。


地球温暖化ヒートアイランドへの対応と「緑の日傘」:街路樹の整備と樹冠被覆率向上をめぐる課題(藤井英二郎*15
(内容紹介)
 『街路樹が都市をつくる』(2019年、岩波書店)、『街路樹は問いかける:温暖化に負けない〈緑〉のインフラ』(共著、2021年、岩波ブックレット)の著書がある筆者が、地球温暖化ヒートアイランドへの対応としての「緑の日傘(街路樹)」の重要性を論じていますが、小生の無能のため詳細な紹介は省略します。なお、藤井氏曰く「街路樹があるだけ」ではダメで日本の街路樹は「欧米の街路樹と比べ剪定しすぎ」であり「緑の日傘」としての効果が落ちると批判しています。
参考

緑の日傘 | 中国新聞デジタル2024.7.8
 舗装され、コンクリート建築が増えた都市は熱をためやすい。環境植栽学が専門の藤井英二郎千葉大名誉教授は、街を冷やす鍵として緑を挙げる。街路樹の木陰は路面温度が20度も下がるという。いわば「緑の日傘」。
▲きのう幕を下ろした東京都知事選でも、緑の在り方が問われた。明治神宮外苑の再開発事業にまつわる議論である。計画では、樹齢100年級の「緑の日傘」を成す木々が何百本も切り倒される。高層ビルや舗道の照り返し、冷暖房の排熱…。都市中心部の気温が高くなるヒートアイランド現象は、地面に近い子どもやペットの方があおりを受けやすい。


◆2010年「基本合意」以降の障碍者福祉の動向:介護保険と比較して*16佐藤久夫*17
(内容紹介)
 赤旗の記事紹介で代替。

「基本合意」完全実現を/障害者自立支援法違憲訴訟団/10年の節目に全国集会2020.1.8
 弁護団長の竹下義樹弁護士が主催者あいさつで、基本合意に基づき国との定期協議を10年間積み重ねてきたと指摘。「少しずつ確実に障害福祉施策を前進させてきたことを確信しよう」と呼びかけました。
 日本社会事業大学の名誉教授で厚生労働省の総合福祉部会長を務めた佐藤久夫さんが基調講演で、基本合意の意義について語りました。

障害児の福祉 無償化を/「応益負担」で利用料高額/自立支援法違憲訴訟団2023.11.7
 「障害者自立支援法違憲訴訟団」は6日、東京都内で政府と第14回定期協議を行いました。同訴訟団は、12項目にわたる要請書を厚生労働省と、こども家庭庁に提出。障害児の福祉サービス利用料の無償化など、障害福祉制度の充実を求めました。
 障害児の福祉サービス利用料負担をめぐっては、親に収入があることで高額な利用料が「応益負担」として課されることが問題になっています。障害児の親からは、障害がない子どもの子育て費用に比べて年間200万円以上の負担があったとの事例が紹介されました。
 同訴訟団は、訴訟の中でも「応益負担」の撤廃を要請してきました。厚労省とこども家庭庁は「財源の確保状況や、他制度との整合性、公平性を踏まえることが必要」などと述べ、これに背を向ける態度を示しました。
 定期協議は、2010年に同訴訟をめぐって国と訴訟団の和解にあたり交わした基本合意文書に基づき行われるもの。障害福祉制度の充実などを求めた基本合意の適切な履行を確認するため実施されています。

きょうの潮流 2025年1月7日(火)2025.1.7
 障害者自立支援法のもとで、利用料負担を理由に、作業所からの退所を余儀なくされた人は少なくありませんでした。
▼「応益負担は違憲・違法だ」と、全国71人の障害のある人たちが立ち上がりました。障害者自立支援法違憲訴訟です
▼国は2010年1月7日*18、和解に向けて訴訟団と基本合意を結びました。「障害者の人間としての尊厳を深く傷つけた」。国は基本合意文書でそう反省を述べ、自立支援法廃止と新法制定を約束しました
▼「この合意をスタートとして、引き続き運動を盛り上げ誰もが安心して暮らせる制度をつくりたい」。原告の一人、家平悟さんは当時、そう語っていました。自立支援法にかわって障害者総合支援法が制定されたものの、課題はいまも少なくない。原告らは基本合意にもとづいて国と毎年、定期協議を重ねています
▼基本合意の締結から今日でちょうど15年。その完全実現をめざして運動はこれからもつづきます。

きょうの潮流 2025年6月12日(木)
 約20年前、障害者自立支援法の施行で障害のある人は、くらしのあり方の大転換を余儀なくされました。食事や排せつ、入浴など生きるために必要な支援を得ると、原則1割の利用料負担が課せられたからです
▼これにあらがおうと立ち上がった71人の障害者が社会を変えました。国を相手に訴訟を起こし、利用料負担ゼロを勝ち取って基本合意を締結。40万人以上もの人がその対象になりました
▼訴訟の終結後も運動はつづきます。基本合意に明記された制度の改善が適正にすすめられているかを国と原告らが確認する定期協議を毎年開催。
▼自立・自助を強調し社会保障の改悪をすすめる自公政権。それでも、障害福祉施策は大きな改悪を許していません。基本合意という「防波堤」があるからだと、訴訟弁護団事務局長の藤岡毅さんは指摘します。


◆歴史的な最高裁勝訴判決を力に生活保護行政の根本的転換を(尾藤廣喜*19
(内容紹介)
 赤旗の記事紹介で代替。
生活保護費の引き下げ違法/厚労省は判決受け謝罪を/原告らが専門委設置に抗議2025.8.15
いのちのとりで裁判/共産党国会議員団の政府への要請書(全文)2025.8.20
主張/保護費減額は違法/国は最高裁判決に従い謝罪を2025.9.10


◆「敬老」から高齢者の人権が保障される日本を:「日本高齢者人権宣言」をベースに、政府や自治体、各種団体との対話・共同(阿部活士)
(内容紹介)
 敬老という「思いやり、精神論」ではなく「高齢者の人権」と言う観点から高齢者問題は考えるべきであると主張。
 2022年の日本高齢者大会で採択された高齢者人権宣言をテーマに論じていますが小生の無能のため詳細な紹介は省略します。
参考

高齢者人権宣言を採択/京都 日本高齢者大会が閉会2022.11.25
 京都市で開かれていた第35回日本高齢者大会(主催・実行委員会)は24日、全体会を開き、日本高齢者人権宣言とアピールを採択して閉会しました。採択された「宣言」で保障されるべき高齢者の人権は、「いのちと尊厳が守られる権利」「自律的で独立した生活をおくる権利」「最高水準の健康を享受する権利」など23項目。


◆「戦後80年」のいま、アイヌ遺骨問題を考える(上)(小田一郎*20
(内容紹介)
 ネット上の記事紹介で代替。

◆HTB(北海道テレビ)『聞こえない声~アイヌ遺骨問題 もう一つの150年~』(2018年4月23日(月)深夜1時20分放送~)
 東京大学北海道大学など国内12の大学に、日本の先住民族アイヌの遺骨が保管されている。国の調査で、その数はおよそ1600体に上ることが明らかになった。多くは明治から昭和にかけて(ボーガス注:小金井良精*21など)国内外の人類学者がこぞってアイヌ墓地を掘りおこし、研究の名目で持ち去ったものと言われている。
「先祖の遺骨を取り戻し、故郷で弔いたい」
 道内各地のアイヌたちが声をあげ、遺骨返還運動が始まった。返還に応じない大学を相手に裁判が起こされ、和解が成立して故郷に返還されるケースも出てきた。なぜ裁判を起こしてまで遺骨の返還にこだわるのか?

C-6 あるアイヌ遺骨の盗掘 – 脱植民地化のためのポータル2023.6.5
 それ*22をまず行ったのは東大の小金井良精でした。
 小金井はドイツ留学経験があり、ベルリンでルドルフ・ヴィルヒョウと親交があり、その影響で人骨研究を日本にいわば「持ち帰った」と考えられます。さらに京大の清野謙次*23がこれに続き、もっとも大規模なアイヌ遺骨の「収集」を行ったのは北大医学部解剖学教室の山崎春雄と児玉作左衛門でした。
【参照文献】
◆植木哲也*24『新版・学問の暴力:アイヌ墓地はなぜあばかれたか』(2017年、春風社)
◆小田博志*25「ドイツから「移管」されたあるアイヌの遺骨と脱植民地化」松島泰勝*26・木村朗*27編著『大学による盗骨:研究利用され続ける琉球人・アイヌ遺骨』(2019年、耕文社)

清野謙次 - Wikipedia
 アイヌ民族琉球民族の遺骨を、遺族に無断で墓から掘り出すなど、清野の「遺骨収集」には倫理的な問題が指摘されており、清野に祖先の人骨をコレクションされた沖縄やアイヌの人らが、京大に返還を求めている。
 同じくアイヌ民族の人骨をコレクションしていた北海道大は、2012年以降に遺骨を返還する動きを見せるなど和解の方向に進んでいるのに対し、京大の清野コレクションの遺骨に関しては2018年現在、返還されておらず、琉球新報などの沖縄のメディアや地元の京都新聞などからも批判されている。

【検証】北大「創基150周年」を考える―北大がアイヌに負う現在の責任 私たちは巻き込まれただけなのか part2 | THE MAINSTREET2025.3.28
 1931年北海道帝国大学医学部解剖学第一講座の山崎春雄元教授は人類学研究のため、アイヌ遺骨の収集を開始した。1865年英国領事館員が森町など2カ所で遺骨を発掘したのを皮切りに、88・89年には帝大医科大(現東京大医学部)の小金井良精元教授が道内各地で遺骨を発掘(盗掘)。1924年に京都帝大医学部の清野謙次元教授がサハリンで遺骨を発掘するなど、当時、本土の日本人とは違うルーツを持つとされるアイヌを、民族学的、生物学的に調べることは「社会的責務」だった。
 1933年には、第二講座の児玉作左衛門元教授(故人)が収集を開始。児玉元教授による収集はこれらのうち、最も大規模で、収集した遺骨は500体とも言われる。さらに遺骨だけでなく装飾品や衣服などの副葬品も収集された。収集活動中、「アイヌの墓地を盗掘している」と警察に通報されたこともあったが、道との交渉により「土地の管理者の承諾」があればよいということになり(人骨発掘発見ニ関スル規程、北海道庁令第83号」)、「合法的に」遺骨の収集は続くことになった。

(社説)アイヌの遺骨 帰る場所 奪った罪深さ:朝日新聞2023.5.14
 政府や大学が事の重大さを直視してきたのかは疑わしい。これまでの経緯について十分な総括を行っているとは言いがたく、なにより、ごく一部を除いて謝罪も行われていない。
 4年前にできたアイヌ施策推進法は、先住民族であるアイヌの誇りの尊重を掲げる。政府や関係大学は、アイヌの人々の尊厳を傷つけてきたことに対して謝罪するのが筋ではないのか。

アイヌ遺骨 集落に返せ/紙氏、先住民の権利指摘/参院決算委2025.4.30
 2024年12月現在、全国12大学に247体の遺骨があるが、謝罪した大学はあるかと質問。文科省の松浦重和審議官は「札幌医科大学は謝罪した」と答えました。紙氏は、大学が勝手に持ち去ったのだから返還するのが責任の取り方だと追及。伊東良孝アイヌ担当相は「みなさんの考えをしっかりうかがいたい」と答えました。
 紙氏は、オーストラリアでは2011年に先住民族返還政策を策定し、国内外のアボリジニ遺骨返還のために政府に諮問委員会を設置し具体化していると指摘。アイヌ施策推進法の見直しにあたり、こうした遺骨返還の動向を把握するよう求めました。伊東担当相は「研究したい」と答えました。

アイヌ民族の遺骨 日本に返還 イギリスの大学が100年以上保管 ドイツ オーストラリアに続き3例目 | NHK | 北海道2025.5.1
 イギリス北部スコットランドエディンバラ大学に100年以上にわたって保管されていたアイヌ民族の遺骨が日本側に返還されることになり、現地では遺骨を引き渡す式典が開かれました。
 式典では、大学のマティソン学長から白い布に包まれた遺骨の入った箱が北海道アイヌ協会の大川勝理事長に手渡されました。
 遺骨は、5月3日に北海道にあるアイヌ文化の発信拠点「ウポポイ」の慰霊施設に納められる予定だということです。
 アイヌ民族の遺骨は19世紀後半から20世紀前半にかけて研究目的などで国外に持ち出されていたということで、海外からの遺骨の返還はドイツとオーストラリアに続いて今回で3例目となります。
 イギリスではロンドンにある自然史博物館にもアイヌ民族の遺骨3体が保管されていて、日本政府は返還を請求しているということです。

<社説>アイヌ遺骨返還 国の主体的関与足りぬ:北海道新聞デジタル2025.5.16
 アイヌ民族の遺骨3体が英エディンバラ大から返還された。
 海外からは3例目となるが、各国にまだ多くの遺骨が残る。
 遺骨は19世紀以降、欧米の研究者が人種の特定などのため墓地から盗掘するなどして収集を始め、国内の研究者も行った。海外に流出した遺骨の全容は今も不明のままである。
 今回返還された3体のうち2体は元の場所への埋葬のめどが立っていない。慰霊や管理の担い手の確保が困難なためだ。
 盗掘などで踏みにじられた尊厳の回復には、元の埋葬地に戻すことが何よりも重要だ。政府は海外の遺骨の実態把握と返還を加速させ、故郷への埋葬まで真摯に取り組んでもらいたい。
 政府が主導して全容把握や流出経緯の調査をするよう求める声は以前からあるが、対応は鈍い。今回も研究者が遺骨の存在を突き止め、政府はその情報を受け大学に返還を要請した。
 2007年に採択され、日本も賛成した「先住民族の権利に関する国連宣言」は遺骨返還で国の努力を求めている。海外では必要な法整備や予算措置を進める国もある。日本政府は見習う必要がある。

「民族の尊厳を傷つけた」東大が初めて“謝罪の意” アイヌ民族の遺骨を返還 研究目的で盗掘…北海道(STVニュース北海道) - Yahoo!ニュース2025.7.14
 北海道白老町のウポポイに保管されていたアイヌ民族の遺骨19体が、小樽の団体に返還されました。
 研究目的で遺骨を収集・保管してきた東京大学は、「民族の尊厳を傷つけた」として初めて謝罪の意を示しました。
 ウポポイからアイヌの遺骨19体が返還されたのは、小樽のアイヌ民族や研究者でつくる「インカルシペの会」です。
 遺骨は1888年に東京大学の学者が研究目的で小樽市内で盗掘したとされるものなどで、先祖供養の儀式には遺骨を保管してきた東大や北大など4つの大学も参加しました。
 これまで国内の大学で謝罪を表明していたのは札幌医科大学のみでしたが、7月14日に東大が初めて謝罪の意を示しました。
東京大学・麻生亘総務部長)
アイヌ民族の方々のご意向に寄り添うことなく(収集・保管が)行われ、尊厳を傷つけたことを誠に申し訳なく思っており、深くお詫び申し上げます」
 返還された遺骨は15日から焼骨が始まり、25日に小樽市内の墓地の敷地内に埋葬される予定です。

一埼玉人(埼玉の考える人の一人)
 このニュース、好意的に受けとめられている背景も理解できるのだけど、謝罪している東大の人物が、総長*28でも理事・副学長でも研究科長・所長でも教授でもない、(ボーガス注:総務部長という)一介の事務職員だという点は見ておく必要があるのではないかと思ってる。
「尊厳傷つけた」東大が初めて持ち去りを謝罪 小樽・アイヌ遺骨返還 | 毎日新聞2025.7.14

アイヌ・琉球民族の遺骨「盗掘」 かたくなに謝罪しない学会の言い分 「先住民族」を尊重しない人類学の傲慢:東京新聞デジタル2024.12.18
 「難しいこと言ってるわけじゃない。遺骨をあるべき姿に戻して謝罪してくれって言っているだけだ」
 アイヌ民族の木村二三夫さん(75)が切々と訴えた。
 木村さんらは5月末、日本人類学会などに、過去の謝罪と、国が示す遺骨返還ガイドラインの廃止と見直しを求めて質問状を送った。
回答はどうだったか。
 日本人類学会と日本考古学協会は「謝罪は、謝罪すべき事項や範囲、立場などさまざまな意見がある」とし、「国の返還ガイドラインは慎重な議論を経て策定された」と見直しを否定。日本人類学会で東京大の近藤修准教授は「謝罪についてはそれなりに議論はしているが、過去の個人の行いに対して学会が責任を持つのかなど意見の相違がある」と否定し、日本考古学協会で東北大総合学術博物館の藤沢敦教授は「協会は1948年に発足した。自分たちの学会がなかった時代のことも謝罪するのはちょっと違う」と続いた。
 一方、4月にすでに謝罪を表明した日本文化人類学会は、国のガイドラインの「改正に向けて努力する」と回答。九州大の太田好信*29名誉教授は「アイヌ民族の怒りが学問への拒絶反応を生み出しており、向き合わなければならない。3学会で統一見解をと思ったが、どうしてもできなかった」と述べ、他の2学会との違いを鮮明にした。
 2学会の姿勢に、集会で浦河町アイヌ民族、八重樫志仁(ゆきひと)さん(61)は「あなた方には協力したくない」と切り出し、日高町アイヌ民族、葛野次雄さん(70)も「夜に墓を掘って頭蓋骨を持ち去り脳みその大きさを調べ、アイヌ民族の尊厳って何なのさ」と怒りをぶちまけた。
 日本人類学会の近藤氏が、10月にあった学会の大会抄録集で「(学会が)格好の攻撃対象とされている。今後、アイヌ人骨研究を続けていくにあたって心ない攻撃に遭うだろう」などと記したことにも批判が相次いだ。アイヌ琉球民族側は2学会に対し、考えを改めない限り、今後の研究への協力を拒否する声明を取りまとめる予定だ。

 なお、小田論文は「アイヌ遺骨返還問題」のみを取り上げていますが、アイヌ・琉球民族の遺骨「盗掘」 かたくなに謝罪しない学会の言い分 「先住民族」を尊重しない人類学の傲慢:東京新聞デジタル(2024.12.18)等で分かるように、琉球民族についても遺骨返還問題があるわけです。
 琉球民族遺骨返還問題については以下を紹介しておきます。

京都大学が返還拒否していた「琉球遺骨」問題が急転 子孫に相談せず地元教委に移管 条件もいろいろつけて:東京新聞デジタル2025.5.31
 1929年に旧京都帝国大(京都大)の研究者が、琉球王族らをまつる「百按司墓」(むむじゃなばか、沖縄県今帰仁村=なきじんそん)から遺骨を持ち去り、子孫らが返還を求めていた問題が、思わぬ展開を見せた。京都大が今月21日、遺骨を同村教育委員会に「移管」していたことが分かったのだ。関係者は96年ぶりの「帰還」に安堵する一方、対話なき京都大の手法に憤りの声が上がっている。
 「ふるさとに帰還したことは非常にうれしく思う。ただ、ヒトの心を取り戻していないのは歴然です」。
 琉球王朝を創設した第一尚氏の子孫で、遺骨返還訴訟の原告だった亀谷正子さん(80)が「こちら特報部」の取材にそう答えた。
 琉球遺骨を巡っては2017年に京都大に「保管」されていることが明らかに。返還に応じてもらえないことから2018年に提訴。一審の京都地裁控訴審の大阪高裁ともに「祖先の主たる祭祀継承者に該当しない」などとして原告の訴えを退けた。ただ、2023年9月の大阪高裁判決では「遺骨は、単なるモノではない。ふるさとで静かに眠る権利があると信じる」と異例の付言をし、原告を含む関係者間の話し合いによる解決を促した。
 原告側は改めて京都大との対話を求めたが、一向に始まらなかった。2024年7月に原告側が京都大に赴いたこともあったが、「検討中」などと門前払いに。対話の始まりを待っているところだった。
◆京都大「移管の事実は認めるが、それ以外はコメントはできない」
 一方、京都大は原告側ではなく、今帰仁村教委と協議を始め、2024年12月に村教委に管理を移す「移管」の協議書を交わした。
 問題はその協議書の内容だ。協議書では「人類の貴重な学術資料として保存されること」が条件に。原告が求めてきた「再風葬」もしないとした。今帰仁村教委によると、同様の遺骨返還で2019年に台湾大から沖縄県教委に移管された際の協議書にならったという。
 真意はどうか。京都大は取材に応じたが、谷川嘉奈子・広報室長は「協議は判決を受けたものではない」と主張し、「なぜ研究ありきなのか?」も「現時点では回答を差し控えたい」と述べるだけ。
 「移管した事実は認めるが、それ以外は大学としてのコメントはできない」。
 つまりゼロ回答だった。
(以下は有料記事です)


◆論点「原発再稼働・新増設と火力発電:国民負担で巨額財政支援」(安部由美子)
(内容紹介)
 「長期脱炭素電源オークション」制度が批判されている。ネット上の記事紹介で代替。

原発安全対策費 電気代に乗せるな/参院経産委で岩渕氏2024.6.16
 日本共産党の岩渕友議員は13日の参院経済産業委員会で、政府が原発の安全対策費まで電気代に上乗せしようとしている問題について追及しました。
 電気代への上乗せは、電源投資を促すためとして設けられた「長期脱炭素電源オークション」制度によるもの。国の電力広域的運営推進機関が「脱炭素」に資する電源を入札にかけ、落札した発電会社は原則20年間、固定費水準の容量収入を得ることができます。その原資は、小売電気事業者などが利用者から集める電気料金です。
 岩渕氏は初回応札の約定結果(今年4月公表)を示し、「脱炭素と言いながら太陽光と風力はゼロ、火力が2割以上、原子力が3割以上で最大だ」と指摘。中国電力が落札した島根原発3号機は20年間で7400億円の収入をもたらし、同オークション費用は年間4・8兆円にもなるとの試算を示し、原発への支援が手厚すぎると厳しく批判しました。

主張/「脱炭素」電源入札/原発新増設への支援をやめよ2024.7.11
 原発回帰の岸田文雄政権のもとで、原発の新設・建て替えを支援する新たな仕掛け「長期脱炭素電源オークション」が動き出しました。
 4月末、島根原発3号機(中国電力)など52件が採択されました。
 脱炭素を口実に、電力会社が投資リスクを負わずに原発建設をすすめる、しかも、そのコストを、電気料金を通して、再生可能エネルギー100%電力の消費者も含めて負担させるという言語道断の仕組みです。
 岸田政権はさらに、既設原発の規制基準対応のための改修費用もオークションの対象にしようとしています。改修費用は各電力会社の見込み額合計で5兆円を超え電力会社の大きな負担となっているからです。
 長期脱炭素電源オークションは石炭火力発電のアンモニア混焼への改修も対象です。計画通り混焼率2割で発電しても、石炭火力は天然ガス火力より多くの二酸化炭素を出します。アンモニア混焼に脱炭素の看板を掛けて石炭火力の延命を図るのはやめるべきです。
 今回のオークションでは、太陽光発電風力発電は応募すらありませんでした。同制度は、初期投資が巨額なものが対象で、10万キロワット以上の電源に限られているためです。
 脱炭素電源を掲げるなら、原発の新増設や石炭火力の延命をすすめるのではなく、再生可能エネルギーの拡大にこそ力を入れるべきです。

国際合意と異なるごまかし/LNG政策 岩渕議員が批判/参院経産委2025.3.28
 日本共産党の岩渕友議員は27日、参院経済産業委員会で政府の液化天然ガス(LNG)火力発電の開発と新設をやめるよう求めました。LNG火力を(ボーガス注:CO2を排出するにもかかわらず、石炭火力や石油火力よりは排出量が少ないとして)「脱炭素」支援制度に入れて国内で推進し、公的融資で海外に広げる政策が「国際合意と異なるごまかしだ」と批判しました。
 LNGは化石燃料ですが、政府は設備維持費用を消費者に負担させる「長期脱炭素電源オークション」制度にLNG火力を含めています。政府担当者が「電力の安定供給に必要。将来的に脱炭素できるもののみ」としたのに対し、岩渕氏は「それでは間に合わない。脱化石燃料が国際的に求められており、制度から排除すべきだ」と主張しました。

原発の建設費上ぶれ分、電気代で回収可能に 経産省が支援策まとめる:朝日新聞2025.6.26
「長期脱炭素電源オークション」とは? かさむ原発費用 電気代で 経産審議会で支援案/市民不在の議論で負担増 大島堅一龍谷大学教授・・・今日の「赤旗」記事 - (新版)お魚と山と琵琶湖オオナマズの日々2025.7.7

関電の支援策?「脱炭素に名を借りた原発優遇制度」の巧妙さ | 環境エネルギー最前線 | 川口雅浩 | 毎日新聞「経済プレミア」2025.8.7
 「長期脱炭素電源オークションは脱炭素に名を借りた原発優遇制度だ。名前だけ聞くと、再生可能エネルギーを普及させる制度と思う人が多いだろうが、実態は原発のための制度だ。今回の制度改正は、私から見ると官僚の暴走で、驚くべき内容となっている」
 こう語るのは大島堅一*30龍谷大教授(環境経済学)だ。
 大島氏は「オークションといっても、経済産業省が選んだ電源が生き残る仕組みだ。原発が再エネと競争するわけではない。他電源との競争ではなく、原発を建てる事業者だけで入札をする。入札に参加するのは原発を持つ大手電力に限られ、1~2社の入札でも、必ずどこかが落札する。これでは本来の競争といえない」と、制度そのものを批判する。
 政府は支援の対象について「出力30万キロワット以上、建設期間が10年超、建設費が1000億円以上の大型電源の新設かリプレース」で、原発に限らないと説明している。
 しかし、大島氏は「これだけの条件を満たす大型電源は限られる。事実上、原発しかない」と指摘。

長期脱炭素電源オークション:原発支援、電気代上乗せ 建設費高騰に政府対応 | 毎日新聞2025.8.13
 関西電力美浜原発福井県美浜町)で新たな原発の建設やリプレース(建て替え)を検討すると発表したのと歩調を合わせ、政府が原発の建設費や維持費を電気料金に上乗せして支援する仕組みを拡充しようとしている。原発の建設費が想定を上回った場合も電気料金で消費者に負担を求める仕組みで、国際的な環境NGOなどが反対を表明している。
 政府が原発の新増設やリプレースの支援策として、拡充を目指しているのは「長期脱炭素電源オークション」と呼ぶ仕組みだ。電力会社が加盟する国の認可法人「電力広域的運営推進機関」が市場管理者となり、2024年1月にスタートした。

脱炭素支援の入札なのに「再エネより原発が落札」ナゼ? | 環境エネルギー最前線 | 川口雅浩 | 毎日新聞「経済プレミア」2025.8.20
 原発はじめ「脱炭素」大型電源の建設費などを電気料金で支援する「長期脱炭素電源オークション」は、これまで2回の入札が行われたが、最も多く落札したのは原発で、再生可能エネルギーはわずかだった。
 「長期脱炭素電源オークションは脱炭素に名を借りた原発優遇制度だ。名前だけ聞くと、再エネを普及させる制度と思う人が多いだろうが、実態は原発のための制度だ」という大島堅一・龍谷大教授(環境経済学)の指摘は、その通りだろう。


◆論点「奈良教育大附属小の事件に見る民主主義弾圧と当事者のたたかい」(折出健二*31
(内容紹介)
 赤旗の記事紹介で代替。
強制出向教員 原職復帰/奈良教育大付属小 裁判中の3人2025.4.2

奈良教育大付属小・強制出向裁判で和解 「全て解決ではない」弁護団声明 | JCP奈良:ニュース2025.8.8
 奈良教育大学付属小学校の教員が強制出向は無効だと訴えていた裁判で7日、奈良地裁(和田健裁判長)において原告の教員3人らと被告の大学側(奈良国立大学機構*32)との和解が成立しました。
 原告の教員の一人は「本来は出向方針を撤回すべきだが、教職員の希望や人権を考慮・尊重するなどの文言が入った。今後、強制出向させられることがないように望む」と話しました。
 原告は昨年6月に提訴し、支援が全国的に広がる中で今年4月に原職復帰を果たしていました。


◆暮らしの焦点「大都市囲む不適切盛り土:建設残土の改善課題は」(山内健人*33
(内容紹介)
 国交省のストックヤード登録制度について「不適切盛り土」をなくすための制度として機能してないと批判。規制強化を求めていますが小生の無能のため詳細な紹介は省略します。


メディア時評
◆テレビ「参政党とマスメディア」(沢木啓三)
(内容紹介)
 TBS「報道特集」が参政党の排外主義を批判したことを高く評価する一方で、他マスコミの参政党批判が決して多くないことを批判している。
 またTBSに対して、参政党が恫喝を行ったことを「報道の自由に対する侵害」と批判している。
 また記者会見を「選別された者の場」へ――参政党の事前登録制が意味するもの|小松立騎などが批判する参政党の「事前登録制」について、「報道の自由に対する侵害」と批判し、排除された神奈川新聞への支援を呼びかけている。
参考

参政党記者会見の事前登録、識者「国民の知る権利が脅かされる恐れ」…「断る場合ある」承諾が条件 : 読売新聞2025.8.7
 参政党は先月22日、国会内で開いた神谷氏の定例記者会見で、神奈川新聞の記者の出席を認めなかった。同党は記者について「参院選の期間中、街頭演説で妨害行為に関与していた」などと主張し、「会見でも混乱が生じるおそれがあると判断した」との見解を発表。同社は「明らかな事実の誤りに基づく指摘だ」と反論する声明を出している。
 参政党が定例記者会見への出席希望者に事前登録を求めたのは今月6日。ただ、どのようなケースが「妨害」や「迷惑行為」に該当するのかは明記されていない。
 他の政党でも、記者会見などに記者らが参加する際には、報道目的との参加条件をつけたり、名刺の提示や腕章の持参を求めたりしている例はある。いずれも記者会見での混乱を避けるためだが、事前に党側が示した条件を受け入れなければ出席を認めないという政党はない。
 参政党の対応や見解について、白鳥浩*34法政大教授(現代政治分析)は「税金を原資とする政党交付金を国から支給される政党には、自らに都合が悪い情報を含めて国民に説明する責任がある」とした上で、「『妨害』や『迷惑行為』という曖昧な文言が拡大解釈されれば、党に批判的な報道機関の排除につながり、ひいては国民の知る権利が脅かされかねない」と指摘。「記者が圧力を受けたと感じて 萎縮し、党に都合のよい質問しかしなくなるおそれもある」とも語った。
 参政党は「会見はユーチューブでノーカットで配信している。報道機関や記者を問わず等しく視聴できる環境を整えている」とも強調しているが、山田健太*35専修大教授(言論法)は「記者会見は政党が伝えたいことだけを述べる『広報の場』ではない。ネット上で視聴できたとしても、記者が現場で自由に質問できなければ、一方的に政党の主張が流されるだけになってしまい、問題だ」と話している。


ジェンダー覚書:The personal is political「相次ぐ教員わいせつ:防止法を力に」(梅村早江子*36
(内容紹介)
 ネット上の記事紹介で代替。

わいせつ行為の教員免許失効データベース、活用状況を全国調査へ:朝日新聞2025.7.15
 わいせつ行為など子どもへの性暴力を理由に教員免許が失効した人のデータベース(DB)を活用しているかについて、文部科学省が全国の学校を対象に調査する。活用していない一部の状況が明らかになったことを受けて決めた。
 阿部俊子文部科学相が15日の記者会見で明らかにした。活用していなかった例について「二度とこのようなことがないよう猛省していただきたい。教員が児童生徒に性暴力を行うことは断じてあってはならない」と述べた。
 DBは「教員による性暴力防止法」により、2023年から教員採用時の活用が教委などに義務づけられた。但し、(ボーガス注:性的姿態撮影等処罰法違反で名古屋市の小学校教諭が逮捕された*37名古屋市教委が6月までDBを確認せず延べ5932人を採用していたことを10日に発表していた。名古屋市教委は、正規教員は官報情報で失効歴を確認していたが、常勤講師や非常勤講師は免許状の写しを確認していただけだった。
 また、私立学校や幼稚園の運営法人の75%が活用していなかったことも2024年度の文科省調査で明らかになった。

 梅村論文においてもデータベースの利用が強く主張されています。
 また、現在は学校教員のみが対象であり「ジャニー喜多川(少年の性加害)のような芸能事務所社長」「スイミングスクール講師」「学童保育(放課後児童クラブ)や学習塾」など「子どもに関わる仕事全てが対象にはなってないこと(データベースの使用は任意に留まること)」が今後の検討課題とされています。

https://www3.nhk.or.jp/shutoken-news/20250725/1000119989.html2025.7.25
 埼玉県では、今月、所沢市の小学校の教員が児童を盗撮した疑いで逮捕される事件*38が起きました。
 県教育委員会は、校内で性暴力が再発するのを防ぐため、トイレを定期的に巡回しているかや、教室などを整理整頓しているかなどをチェックするリストを、新たに作成して県内の学校に配付しました。
 また、性暴力対策の研修動画も急きょ作成され、教員が子どもの私的な相談にSNSを通じて応じるなど、具体的な問題行為を示した上で、同僚のこうした行為に気付いたらどう対処すべきかも考えさせる内容となっています。
 教員による一連のわいせつ事件について、教育政策に詳しい日本大学の末冨芳(すえとみ・かおり)*39教授は、「同僚の言動に違和感を抱きながら誰にも相談できていない教職員はけっこういるはずだ。子どもと2人きりになる回数が多すぎるとか、私物のカメラを持ち込んでいるようだといった相談をどこの誰に連絡すればいいか、確立しないといけない」と指摘します。
 その上で、再発防止策の1つとして、校内への防犯カメラの設置は有効だと提言します。
 末冨教授は、「防犯カメラだけで教員の盗撮やわいせつ行為がなくなるわけではないが、教員の動きは確認ができる。教室内の設置は(ボーガス注:人権面から)慎重に判断すべきだが、トイレの入り口などの盗撮やわいせつ行為が起きやすい場所には設置したほうがいい。一件の性暴力も許してはならない、それが子どもたちの幸せの基盤になるんだという強い意識を持って、全ての関係者が対策に取り組むことが重要だ」と訴えています。

 なお、「性犯罪者が教育現場から排除されるべき」なのは当然でしょうが「社会から排除されるべき(例:教育現場以外の全ての職場から排除され、アパートも借りられないなど)」ではないのは言うまでもない。
 性犯罪者に限らず「死刑判決が出ない限り(死刑の是非はひとまず置きます)」、生きる権利はある。
 梅村論文では「性犯罪防止」が専ら論じられており、さすがに、「更生支援」まで触れていません。また「性犯罪者への怒り」から「忘れがちな視点」ではありますが、以下のような「性犯罪者=性的依存症患者」への「更生支援(医療支援)」の視点も一方では重要でしょう。
 こういう「まともな記事」だけ書いてれば俺も産経を批判しないのですが。産経は社会部(社会面)は割とまともですが政治部(政治面)が自民党万歳で酷い。

相次ぐ盗撮、昨年の摘発過去最多 繰り返しエスカレート「性的依存症」の可能性も - 産経ニュース(長谷川毬子、濵佳音)2025.9.13
 盗撮などを繰り返す行為は「性的依存症」の可能性もあり、専門家は治療の必要性を指摘する。
 盗撮について、依存症などの研究を行い、精神科外来クリニックで性的問題を抱える人の治療を行う筑波大の原田隆之*40教授(犯罪心理学)は「『性的依存症』の可能性が極めて強いと考えられる」と話す。
 原田氏は性的依存症の要件として、ネガティブな結果(逮捕や離婚)があっても繰り返し起こしてしまう▽性的行動やその準備に多くの時間をかける-などを挙げる。依存者の多くがそうした行為に強い快感を覚えており、「やってはいけないという理性では治らない。病気であり、治療できるという認識を広めることが必要」と話す。
 原田氏は具体的な対策として、▽(ボーガス注:カメラ付きスマホを持たないなど)物理的に写真を撮れないようにする▽(ボーガス注:空いた車内では精神的に盗撮しづらいので、通勤時間帯を避けるなど)混雑した状況を避ける▽(ボーガス注:ネガティブな感情がストレスになって、ストレス発散としての盗撮を助長するので)孤独や退屈などのネガティブな感情への(ボーガス注:盗撮ではない)対処策を見つける-などが有効と説明。
 性的依存症の治療を担う医療機関が少ないことにも触れ、「国をあげて治療者を育成してほしい」と訴えた。
 性犯罪加害者への対応を巡っては治療に加え、社会に出て犯罪を繰り返さないための継続的な支援も求められている。日本で唯一の性犯罪・性依存治療専門の医療機関である「性障害専門医療センター(SOMEC)」では、認知行動療法薬物療法などのプログラムを実施。
 センターの福井裕輝*41代表理事が再犯防止に欠かせないとするのが、周囲のサポートだ。センターでは加害者の家族向けのセミナーも開催。「加害者にどう対応すべきかなどを家族に伝えている」といい、社会全体に正しい理解を広げることが重要だとしている。


文化の話題
◆美術「二人の画家の画業と戦争」(朽木一)
(内容紹介)
 『藤田嗣治×国吉康雄: 二人のパラレル・キャリア―百年目の再会』(兵庫県立美術館)の紹介。記事タイトルで分かるように朽木記事は「戦争」に焦点が置かれていますが、展覧会自体は「戦争(藤田の戦争画、国吉の戦前日本批判など)」にも焦点を当ててはいますが、それだけがテーマではない。
 なお、国吉の戦前日本批判を「本心ではない」とは言いませんが、朽木記事や

国吉康雄 - Wikipedia
 1941年の日米開戦の際、国吉はニューヨークに住んでいたためにアメリカ西海岸の日系人強制収容の対象にはならなかったが、敵性外国人として当局によって、ニューヨーク市外に出る際には許可が必要という措置を受けた。国吉は、自らがアメリカに敵対しない事を証明する必要に迫られた。国吉は当時のアメリカではびこっていた、「在米日本人、日系人は日本の天皇のみに忠誠を誓い、アメリカには忠誠心を持たない」という偏見と闘わなければならなかった。
 1941年12月12日、国吉はニューヨーク在住日本人美術家委員会の名で声明を出し、日米戦争に際してアメリカを明確に支持すると表明した。これには保忠蔵(たもつ・ちゅうぞう)やトーマス永井、鈴木盛(すずき・さかり)、ロイ門脇といった在米日本人・日系人美術家*42が加わった。

が指摘するように「日系人(敵性国民扱い)の強制収容」の事実を考えれば、自己防衛という要素は当然あったでしょう。
参考

「藤田嗣治×国吉康雄」展見学後、芦屋交響楽団の超名演を体験する - 徒然草枕2025.6.15
 藤田嗣治国吉康雄はほぼ同時代にパリとニューヨークで活躍した日本人画家であり、互いに微妙に接点を持ちながらも研鑽を重ねてその芸術を完成させていった。本展ではその二人のキャリアを対比させつつ紹介していくという。
 まず第1部は1910年代~20年代初頭の初期の絵画。
 第2部になると1922年~24年の時期で、二人ともその画風を確立していく。国吉は後の作品につながる強烈な裸婦像などでアメリカでも注目の画家となりつつあったが、知名度では「乳白色の下地」による美麗な裸婦像で時代の寵児となった藤田の方がはるかに上回っていた。
 第3部の1925年~1928年が藤田のパリにおけるキャリアの絶頂期となる。いかにも藤田らしい裸婦像が多数登場。一方の国吉はここで後の作品につながる鮮やかで肉感的な女性像を確立する。なおこの時期に国吉は腕を磨くべく渡仏しているらしいが、自分よりも遥かに高い世間評価を得ている藤田が眩しかったのか、両者が接触した記録は残っていないという。
 第4部は藤田が一次帰国を果たした後に、ニューヨークで個展のために渡米した時期になる。この時に二人は初めて直接接触した模様で、当時の寄せ書きなどの資料も残っているという。
 第5部は1930年代の軍国主義が台頭して第二次大戦の予兆が見えてくる時期。藤田はこの時期にパリを離れて、中南米などを経由して帰日する。この頃の藤田はそれまでの乳白色の下地を捨てて、新たな画風を模索している時期で、キャリアの転換点に当たる。一方の国吉はアメリカでキャリアを高め、教職に就きつつ芸術家の権利向上のための社会運動などにも注力するようになる。
 第6部は1940年代前半の戦時下。藤田は軍部からの作戦記録画に力を注ぐようになる。そこにはかつてのエコール・ド・パリを代表した美麗な作品の片鱗は全く見えなくなる。一方の国吉はアメリカで敵性外国人として監視下に置かれる中で、日本の軍国主義を批判する活動を行い、そのための作品などを制作する。ここでこの両者は完全に袂を分かつことになってしまう。
 第7章は戦後。藤田は戦争責任を追及される可能性さえ囁かれる中で、かつてのような裸婦像の制作を再開する。そして居心地の悪い日本を離れてフランスに帰還する道を模索するようになる。一方の国吉はアメリカでさらに名を上げており、その作品も社会性を帯びたものが登場する。
 第8章は1949年、藤田がフランスを目指す途中で渡米して10ヶ月滞在した時期になる。この時に藤田は個展を開催したらしいが、国吉と直接に再会してはいない。しかし記録によると国吉が藤田の個展を訪れたことが分かっているとのことで、袂を分かったものの、やはりお互いに気になる存在ではあったことが覗える。
 最終章が最晩年の国吉が1953年に亡くなるまでと、藤田がフランス国籍を取得してからカトリックに改宗して、1968年に没するまでの時期。完全にスタイルを確立した国吉らしい作品や、宗教的な題材を精緻な画風で描く藤田の晩年の典型的な作品が展示されている。
 以上、海外で活躍した二人の日本人画家を並列させた展覧会。正直なところ「思っていた以上に接点がない」という印象を受けたが、時代の空気の影響を受けながらの二人の芸術の変遷は興味深くはあった。特に藤田については今まで度々彼の展覧会などでその大体のキャリアは把握していたが、国吉についてはこのように流れに沿っての説明を受けたことがなかったので、実に興味深かった。

ユニバーサルな美を求めて 国吉康雄と藤田嗣治 - 日曜美術館 - NHK2025.7.20
 乳白色の肌でパリを魅了した藤田嗣治(1886-1968)。まさに同時代、16歳で単身、海を渡り、アメリカを代表する画家となったのが国吉康雄(1889-1953)。自ら「ユニバーサル・ウーマン」と称した女性像は、国籍も人種も定かでない独特の存在感を放つ。発掘された一枚の色紙から藤田との知られざる交流が明らかに。時代に翻弄されながら異国の地に生きた二人の巨人。

藤田嗣治をこれからも語るために必要なこと。林洋子インタビュー|美術手帖2025.4.27
 20世紀前半、海外で成功と挫折を経験した二人の画家、藤田嗣治(1886〜1968)と国吉康雄(1889〜1953)。ふたりがともにフランス・パリに滞在した1925年から100年目になることを機した特別展「藤田嗣治×国吉康雄:二人のパラレル・キャリア―百年目の再会」が、兵庫県立美術館で開催される。本展に際し、同館館長であり藤田嗣治の研究者でもある林洋子*43に、これまでの藤田研究について、そして新たな研究の礎としての本展について話を聞いた。
◆インタビュアー
 いまでこそ多く語られるようになった(ボーガス注:『アッツ島玉砕』(1943年)、サイパンの集団自決を描いた『サイパン島同胞臣節を全うす』(1945年)などの)藤田の戦争画についても、当時は(ボーガス注:「戦争加担」であり、触れるべきではない藤田の「黒歴史」として)タブー視されていたのではないでしょうか。
◆林
 本格的な回顧展だった庭園美術館の「レオナール・フジタ展」でも、戦争期は外されていました。90年代ですら、「エコール・ド・パリ」をテーマにした講演会の場などで糾弾されたりもしました。「藤田は戦争に加担した芸術家なのに、なぜその話をしないんだ、隠蔽しているのか」みたいなことを言われてしまう。90年代、藤田を研究することは、世の中的には決して歓迎されることではなかったんです。
21世紀になって、こうした流れが次第に変わっていきます。2006年に東京国立近代美術館京都国立近代美術館で開催された「生誕120年 藤田嗣治展 パリを魅了した異邦人」は、藤田の戦争画までが並んだ事実上初めての回顧展になっていましたし、2016年には兵庫県立美術館などでも「生誕130年記念 藤田嗣治展 東と西を結ぶ絵画」が開催されました。そして没後50年となる2018年に「没後50年 藤田嗣治展」(東京、京都、パリ)が開かれることになるわけです。そのときになってようやく、監修者としてほぼ望み通りの仕事ができたと思いましたし、自身の研究活動にもひと区切りついたという思いでした。
◆インタビュアー
 今回開催される「藤田嗣治×国吉康雄:二人のパラレル・キャリア」は、国吉と藤田を比較することで、藤田研究に新たな視点を与えようとするものということでしょうか。
(以下は有料会員限定です)

 藤田の戦争画についてタブー視するのも不適切でしょうが、朽木記事が批判するように「当時としてはやむを得なかった」として免罪するのも不適切かと思います。やはり藤田の行為は「戦争加担」として批判されて当然ではないか。

国際的画家の藤田嗣治と国吉康雄|海外で成功と挫折を経験したふたりの足跡を辿る展覧会2025.6.19
 一時期は親しく交わったこともあるふたりは、太平洋戦争を機に袂を分かちます。藤田は軍部に依頼されて戦争画を描き、《アッツ島玉砕》などの迫真的な描写で高い評価を得ました。「米国で教育を受け、米国の画家になった」と自負していた国吉は、戦中に日本の軍国主義への非難を表明。戦後、藤田が戦争責任を追及され、日本に居づらくなって渡米した際には、藤田が米国で活動することに反対しました。作家としての対抗意識もあったかもしれません。


◆演劇「新国立劇場ザ・ヒューマンズ―人間たち」」(寺田忠生)
(内容紹介)
 ネット上の記事紹介で代替。

<キャスト>    
エイミー(長女):山崎静代*44
ブリジッド(次女):青山美郷
リチャード(次女の恋人):細川岳
モモ(祖母):稲川実代子
ディアドラ(母):増子倭文江(ましこ・しずえ)
エリック(父):平田満
<各人の悩み>
 このドラマでは各人が各人の「問題」「苦悩」を背負っています。
 感謝祭で「楽しく」家族で過ごすために集まっているのですが、その「苦悩」を隠しつつ、他の家族に気遣いながらでも、その家族にしかその悩みを打ち明けられないという「家族」という関係の「難しさ」を考えさせてくれます。
祖母モモ:
 この時点では認知症となってしまっている。家族から愛されているが、そのこともわからない。予感のあった5年前の手紙がのこっていて、認知症への「恐怖」を漠と感じている。この時が一番怖かったでしょう。
父エリック:
 不倫関係で、学校を首となり、年金ももらえず、生活を支えるために家も売り、財政的にめどもつかない。最近は夜も眠れない日々を送る
母ディアドラ:
 夫エリックの女性関係が悪夢であり、また財産がなくなった後、祖母モモの面倒を見ることにも疲れが見えている。また甘いものの過食にも悩む。
長女エイミー:
 長年のパートナー(レズビアンの様である)と別れることになり孤独を抱える。大腸の病気で健康にも不安があり、弁護士(パラリーガル)の職も失いかけている。なお、711事件*45の時現場にいて、辛うじて命を保ったこともトラウマになっているようである(その場に父エリックもいて、エイミーを必死に探したようであり、両者のトラウマの様である)
次女ブリジッド:
 憧れの職に就きたいと思っているが、うまく推薦が得られず、安定した職に就くことができない。自分の夢に向かいこのまま追い続けていいのか不安をもつ。食はビーガン(菜食主義)か。
ブリジッドの恋人リチャード:
 やはり自閉症だった過去を持ち、最近やっと人並みの生活を送れるようになったがまだ経済基盤が弱い。確か何かのボランティアのような職だったような
<所感>
 救いのない状況に、見ていてやはり少しつらかったです。
 「南海キャンディーズ」の「しづちゃん」こと山崎静代は、TVで聴くようなとても低い声を想像していたのですが、そこまで低くなく、普通の役者さんと違和感なく上手な演技&せりふ回しでした。

ザ・ヒューマンズ(新国立劇場小)|もか2025.6.15
 上演時間2時間、休憩なし。
 新国立劇場の主催の演劇公演です。
 原作はわりと最近のアメリカの戯曲で、映画化もされたそうです。
 舞台はニューヨークのマンハッタン島、チャイナタウンにある半地下のアパート。その部屋で彼氏と同棲している女性のもとに、感謝祭の日に、両親と姉と認知症の祖母が田舎から会いにきます。そして家族でディナーをして、タクシーを呼んで送っていくまでがリアルな会話で描かれています。
 見るまではこんな暗い話だとは思っていなかったです!帰り道にはどよーんとした気持ちになること間違いなしです。でも、人間のきれいごとじゃない部分や、何だかんだ抱えてて苦しくても表面的には波立てずにやろうとする家族どうしの思いやりとかエゴみたいなものが巧みに表現されているので、見ごたえがありました。
 特に、親が子供を心配する気持ち…危険に近づけたくないとか、不慮の事態に備えさせたいとか、安定した暮らしをしてほしいとか、お金の心配させたくないとか、負担かけたくないとか、いつまでも子供を上から守る庇護者でいたいっていう気持ちが切々と伝わってきました。でもそれは子の側も同じことで、親の体を心配しているし、自立していると思われたいし、心配させたくないし、相手の幸せを願っているのです。ここは日本人でも共感できる部分だと思います。
 最後にお父さん(平田満)の秘密が明らかになって、好感度が地に落ちてしまうんですけど、私はあのお母さんを見てたらなんかわかる気がするんですよね…。悪夢の内容からしても、お父さんの心の隙間はかなり深いものがあると思います。お母さん(増子倭文江)は気の毒な立場なのですが、いちばん「こういう人いるよね~!」と思ったキャラクターでした。本当は受け入れられないことを理解したふりをしなきゃいけなくて、でも本心では嫌だから、遠回しに人を思い通りにしようとしたり。無力な人を世話することで自分の価値を確かめたり。長女も、愛情豊かに育てられて性格は良いんだけど、作中では語られていない、彼女と別れた理由がちょっとわかる気がする。お世話依存的なところがお母さんに似てるんですよね…。
 そういう話じゃないのはわかっているんですが、認知症の祖母の介護を自宅でしていることが諸悪の根源なんじゃないかと私は思ってしまいました。アメリカは(ボーガス注:国民健康)保険もないし、お金がないから仕方がないのかもしれないけど、それで疲弊しちゃってるせいで心と体が病んで人間関係もボロボロになってるんじゃないかなと…。

『ザ・ヒューマンズ』 - 駒子の備忘録2025.6.20
 ゴタゴタした家族のゴタゴタした一夜を描いて、実は…というようなタイプの作品なのだと思いますが、私調べで周囲の船漕ぎ率の高さが尋常ではありませんでした。構造として、最後の20分のためにそこまでの100分を耐えるタイプの作品なんでしょうけれど、そこを寝て過ごした観客にとってラストは意味があるのか…と思うと、演出としてもう一工夫できなかったのかなあ?とは疑問でした。
 私はよっぽどのことがない限り、どんなに退屈でもつまらなくても寝ないので今回もずっと観ていましたが、しかしやはり別に面白くないわけです。うちの家族はこうじゃないので、誰にも共感できなかったし、好感も持てませんでした。欧米の家族ではこれが普通なのかもしれませんが、私からするとやはり過剰に愛し合い、案じ合い、干渉し合い、そのくせ見栄を張り、嘘を吐き合っていて、不健全で不健康に思えるのでした。なら他人行儀と言われようともっと適度な距離を取ろうとするのが東洋の、あるいは東アジアの、現代の日本の家族ではなかろうか。それを日本人の役者が演じている違和感、というのはあったかもしれません。
 仲良く慈しみ合い助け合い、しかしみんなけっこうボロボロで、結局崩壊する…というような話かと思いますが、大仰なタイトルが示すとおり、これは人類の末路のメタファーなのかな、とも思いました。
 そんな感想でいい舞台なのかは謎ですが、私としては以上です。

新国立劇場『ザ・ヒューマンズ』(一部ネタバレあり)|スナフキンの友達2025.6.25
 とにかく全員かなりのハイテンションでしゃべり続けている。その時点で、違和感を覚えた。いくらアメリカで、いくら感謝祭でも、こんなに皆が大きな声でしゃべり続ける家族があるのだろうかと。きっと中にいたら、”ちょっと静かにしゃべってよ”とか”いっぺんに話すなよ”とか”それ、今言わなくてもいいんじゃないの”とか、言っちゃってたんだろうな。というか、舞台に向かって、あやうく言いそうになっていた。
 殺人事件が起きるとか、そういうお話ではなく、何も起こらないといえば何も起こらない2時間のお芝居だけど、自分の家族のことや家族の中での自分の立ち居振る舞いなど思い出して、しんどかった。
 皆さん素晴らしかったけど、特に、青山美郷さん、舞台で拝見するのは初めてだったが、祖母・両親・姉・交際相手への愛と、家族のなかで演じてきたであろう”妹”としての立ち位置と、抑えてきた感情のなかでの揺らぎを感じさせる演技が素晴らしかった。また別のお芝居でも観てみたい役者さんだった。
 あー楽しかった、という感想にはならない内容だったが、忘れられない観劇体験の一つになった。


◆音楽「オペラ「ナターシャ」の世界初演」(小村公次)
(内容紹介)
 ネット上の記事紹介で代替。

「脳に電光が走った」と台本の多和田葉子 日本発の多言語オペラ「ナターシャ」、新国立劇場で - 産経ニュース
 環境破壊をテーマに、ナターシャとアラトが悪魔メフィストの孫に誘われ、現代のさまざまな地獄を旅するという台本は日本語、ドイツ語、ウクライナ語など多言語で書かれる。
 (ボーガス注:東日本大震災という)大きな災害で母を失い旅をしているアラトは、(ボーガス注:ロシアのウクライナ侵攻で)故郷を追われさまようナターシャと出会う。言葉が通じないながら理解する2人の前に、メフィストの孫を名乗る男が現れる。2人は男に誘われさまざまな地獄を巡ることになる。
 ナターシャはウクライナチェルノブイリ出身、アラトは福島から来た設定だが、台本には書かれない。
 地球温暖化の影響による猛暑の被害や環境破壊による干魃や豪雨、人間の欲望が引き起こした現代のさまざまな地獄が音楽で表現される。ナターシャとアラトは最後に新しい世界と愛を見つけるという。

新国立劇場「ナターシャ」世界初演…舞台上に映像投影、オペラ演出と好相性 : 読売新聞(音楽評論家・安田和信)2025.8.26
 ベルリンを本拠とする作曲家、細川俊夫の8作目のオペラ「ナターシャ」の世界初演
 主人公は2人の難民、ウクライナ人のナターシャ(イルゼ・エーレンス)と日本人と思しきアラト(山下裕賀(やました・ひろか))。
 ドイツ語を中心に日本語やウクライナ語なども混じる台本は、ベルリン在住の作家、多和田葉子。演出・美術はクリスティアン・レート。
 特にわかりやすい物語が展開するわけではない。森林破壊の「森林地獄」から最後の「 旱魃地獄」まで、人間がなす術もなく世界を破壊した先に、ほのかな希望を見出すという結末を迎える。
 冒頭の海はもちろん、各地獄は具体的な効果音と舞台上に映像を直接投影するプロジェクションマッピングによって、かなり明確に描写されていた。水が出てくれば実際に水の音が流れるし、「ビジネス地獄」では大都会の摩天楼が映し出されるという塩梅。
 プロジェクションマッピングとオペラの相性の良さを再確認した次第である。
 音楽関係者は「オペラ」というと、つい音楽を中心に考えてしまうが、この作品は視覚と聴覚の双方を等しく刺激した。
 しかしながら評者の基準では、管弦楽中心の間奏曲が地獄の合間に挟まることも含めて、「オペラ」という割に「歌」が希薄だったのはどうしても解せない。それとも、古典的なレパートリーの価値観に引っ張られた評者の偏見が、この作品の先進性に気づけなかっただけなのか。評価は未来の判断に委ねよう。


◆スポーツ最前線「広陵高校の甲子園辞退:暴力根絶の大きな一歩に」(和泉民郎*46
(内容紹介)
 赤旗の記事紹介で代替。

しんぶん赤旗が報道する「広陵高校出場辞退」の記事) | 菊池のぶひろの議会だより2025.8.13
 大会出場中の高校が出場辞退にいたる最悪の事態となりました。今回の事案は広陵、日本高野連ともに、暴力に対する不誠実な対応が、根底にあると言わざるをえません。
 広陵は起きた暴力事案の事実にしっかり向き合ってきたのかが深く問われます。
 昨年3月に起きた監督の暴力や性加害を含む事案は、対応の遅さが顕著です。被害者は今年2月に日本高野連や県高野連にも文書で訴えています。しかし、第三者委員会設置は6月。これまで2回開かれ、3回目は8月末だといいます。性被害という重大な問題を含みながらこの対応の遅さは、夏の大会が終わるまでの”時間稼ぎ”といわれて仕方ありません。
 学校長によれば被害届が警察に出されています。学校側はもうその時点で、出場辞退も考えるべきでした。遅い対応が、傷口を広げた一番の要因だと思えてなりません。
 日本高野連の対応にも疑問を感じます。今回の場合は、報告後とはいえ部員が転校し、警察に被害届が出ています。学校の報告待ちの対応には疑問が残ります。(ボーガス注:高野連が)独自に調査する必要があったのではないでしょうか。
 今回、SNSでの誹謗中傷が起きました。これはあってはならないことで、事実に基づき冷静な対応が求められます。しかし、一番の問題は、多くの疑念に学校側も日本高野連も対応できていなかったこと、何より根底には、暴力事案の事実究明への後ろ向きな姿勢があります。
 問題はこれだけではありません。事実の究明をしっかりやり、なぜこうした事態にいたったのか、学校側、高野連の問題点を明らかにすることです。今後の暴力問題の対応を含め、根本姿勢を見つめ直す必要があると思います。

主張/暴力問題と高校野球/事実を究明し今後に生かそう2025.8.24
 問題は被害者2人が学校と事実認識で食い違い、納得していないことです。
 (ボーガス注:学校側に)事態を小さくみせたり、隠したりという意図はなかったか。甲子園に出場する思惑を優先させていなかったか。同校は5人の理事のうちの1人が、野球部の監督でした。学校の経営優先の姿勢の有無も含め、真摯な検討が求められます。
 上級生と下級生のゆがんだ関係にメスを入れる必要もあります。上級生が力で支配し、人権すら認めないあり方がいじめや暴力の温床となっている可能性があります。ここでも学校、指導者の姿勢が要です。学校はその後、たった1度の部員アンケートで、いま暴力はないとしていますが、あまりに安易に考えてはいないか。
 日本高野連自身の検証も不可欠です。日本学生野球憲章は「学生野球は、一切の暴力を排除」としていますが、これを現実のものにする努力と体制が十分だったか。いま多くのスポーツ団体は暴力・ハラスメントの相談・通報窓口を設けています。主張が対立する際、窓口の存在と独自調査の権限は決定的です。導入の努力をすべきです。

 さて広陵高校の問題ですが以下の通り、被害者側と加害者側が完全に「対立関係」にあるようで、「何ともかんとも」です。

広陵野球部の加害生徒、被害者の親権者らを告訴「SNSで名誉毀損」 - 高校野球 [広島県]:朝日新聞2025.9.11
 広陵高校広島市)の硬式野球部が3月、日本高校野球連盟から「厳重注意」を受けた暴行事案をめぐり、加害者とされた生徒の1人が、SNSへの投稿で名誉を傷つけられたとして、被害者の元部員の親権者やSNSに投稿した氏名不詳者に対する名誉毀損容疑の告訴状を東京地検に提出した。

*1:著書『「慰安婦」問題と戦時性暴力』(2015年、法律文化社)、『沖縄軍事性暴力を生み出すものは何か』(2025年、影書房

*2:都議(共産党

*3:山添、吉良参院議員事務所長

*4:共産党東京都委員長

*5:共産党政策副委員長(党常任幹部会委員兼務)(中央委員会の機構と人事(第29回党大会)|党紹介│日本共産党中央委員会参照)

*6:やはり苦戦したとはいえ、また過大評価は禁物とは言え、7位立民を上回ったことは一定の評価をしていいでしょう。一方「恐らく基礎体力では国民民主よりは上」だろうに、ある種の「ウヨ政党」ブーム(国民民主や参政)にうまく対抗できず「国民民主2議席>立民1議席(しかも最下位当選で任期3年)」となった立民は猛省が必要でしょう。一部に「2人立てたのが失敗」と言う声もあるようですが、最大野党が定数7で一人しか立てないなどという「志の低いこと」はすべきではない。そもそも過去には「2人当選」してるわけですし。

*7:石破派所属。石破首相と同じ鳥取選出で石破の側近とされる。石破内閣経済再生等担当相が初入閣

*8:共産党政策副委員長(党中央委員兼務)。著書『「属国ニッポン」経済版』(2003年、新日本出版社)、『新自由主義の犯罪』(2007年、新日本出版社)、『ルールある経済って、なに?』(2010年、新日本出版社)、『カジノミクス』(2018年、新日本出版社)、『やさしく強い経済学』(2022年、新日本出版社

*9:1999年(平成11年)10月1日、日本輸出入銀行海外経済協力基金が統合し、国際協力銀行が発足

*10:第二次安倍内閣官房副長官、第三次安倍内閣一億総活躍等担当相、自民党総務会長(第二次安倍総裁時代)、第四次安倍内閣厚労相菅内閣官房長官、岸田内閣厚労相等を経て石破内閣財務相

*11:著書『原発にしがみつく人びとの群れ』(2012年、新日本出版社)、『カジノ狂騒曲』(共著、2014年、新日本出版社)、『政党助成金に群がる政治家たち』(2015年、新日本出版社

*12:1891年に初代・地崎宇三郎が創業(創業当時の社名は地崎組)。経営不振から2007年に岩田建設に吸収合併され、現在は岩田地崎建設(北海道では最大規模の建設会社)

*13:現在では、実際にはもっと贅沢な食事をしており、中曽根政権や土光とグルになった、マスコミのデマ宣伝という説が有力

*14:原発問題住民運動全国センター代表委員

*15:千葉大学名誉教授

*16:過大評価は出来ないと断ったうえで、いわゆる「基本合意」の存在が、「基本合意が存在しない介護保険」に比べ、「障害者総合支援法(旧称:障害者自立支援法)」改悪を一定程度阻止してきたとしている。

*17:日本社会事業大学名誉教授。著書『共生社会を切り開く:障碍者福祉改革の羅針盤』(2015年、有斐閣

*18:当時は鳩山内閣厚労相長妻昭(現在、立民党代表代行)

*19:弁護士。「いのちのとりで裁判全国アクション」共同代表。生活保護問題対策全国会議 -代表幹事。著書『生活保護「ヤミの北九州方式」を糾す』(共著、2007年、あけび書房)、『生活保護「改革」ここが焦点だ!』(共著、2011年、あけび書房)等

*20:共産党国会議員団北海道事務所事務局長

*21:1859~1944年。東京帝国大学名誉教授。妻・小金井喜美子は森鴎外の妹。 星一(星製薬社長)は義理の息子。星新一(SF作家、星一の子)は孫

*22:アイヌ遺骨の盗掘のこと

*23:1885~1955年。清野は京都帝国大学教授という地位もあって京都の寺院に自由に出入りして経典を閲覧していたが、1938年(昭和13年)6月30日、疑いを持った神護寺の通報から、帰宅途上、刑事に尋問され、カバンの中から経典数十点が見つかり窃盗が発覚。教室と自宅からも京都市内の22寺社の経典630巻の無断帯出が発見された。清野は逮捕され、懲役2年、執行猶予5年の有罪判決を受ける。このため清野は京大を免職になったばかりか、濱田耕作京大総長も辞意を表明した(この心労もあってか、濱田は1938年7月25日に病死)(清野謙次 - Wikipedia参照)

*24:1956年生まれ。2017年当時、苫小牧駒澤大学(現在は北洋大学)教授。著書『植民学の記憶:アイヌ差別と学問の責任』(2015年、緑風出版

*25:北海道大学教授。著書『改訂版・エスノグラフィー入門』(2023年、春秋社)

*26:龍谷大学教授。琉球民族遺骨返還請求訴訟原告団長。琉球民族遺骨返還研究会代表。著書『沖縄島嶼経済史』(2002年、藤原書店)、『琉球の「自治」』(2006年、藤原書店)、『琉球独立への道』(2012年、法律文化社)、『琉球独立論』(2014年、バジリコ)、『琉球独立宣言』(2015年、講談社文庫)、『琉球独立への経済学』(2018年、法律文化社)、『琉球奪われた骨:遺骨に刻まされた植民地主義』(2018年、岩波書店)、『帝国の島:琉球尖閣に対する植民地主義と闘う』(2020年、明石書店)、『京大よ、還せ:琉球人遺骨は訴える』(編著、2020年、耕文社)、『学知の帝国主義琉球人遺骨問題から考える近代日本のアジア認識』(2022年、明石書店)等

*27:鹿児島大学名誉教授。著書『危機の時代の平和学』(2006年、法律文化社)、『市民を陥れる司法の罠:志布志事件裁判員制度をめぐって』(2011年、南方新社)等

*28:現在は藤井輝夫役員・部課長・研究科長等名簿 | 東京大学参照)

*29:著書『トランスポジションの思想:文化人類学の再想像』(1998年、世界思想社)、『人類学と脱植民地化』(2003年、岩波書店)等

*30:著書『再生可能エネルギーの政治経済学』(2010年、東洋経済新報社)、『原発のコスト』(2011年、岩波新書)、『原発はやっぱり割に合わない』(2012年、東洋経済新報社)等

*31:愛知教育大学名誉教授。著書『人格の自立と集団教育』(1986年、明治図書出版)、『相互自立の生活指導学』(1993年、勁草書房)、『子育て・教育とも育ち』(1996年、中日新聞社)、『変革期の教育と弁証法』(2001年、創風社)、『市民社会の教育』(2003年、創風社)、『人間的自立の教育実践学』(2007年、創風社)、 『対話的生き方を育てる教育の弁証法』(2018年、創風社)、『否定の中に肯定をつかむ弁証法ノート』(2023年、高文研)等

*32:奈良教育大学奈良女子大学を運営

*33:全日本建設交通一般労働組合関東ダンプ協議会議長

*34:1968年生まれ。著書『市民・選挙・政党・国家:シュタイン・ロッカンの政治理論』(2002年、東海大学出版会)、『現代欧州統合の構造』(2008年、芦書房)、『都市対地方の日本政治』(2009年、芦書房)等。獨協大学名誉教授、東海大学名誉教授で政治学者の白鳥令(1937年生まれ)は父

*35:著書『法とジャーナリズム』(2004年、学陽書房)、『ジャーナリズムの行方』(2011年、三省堂)、『言論の自由:拡大するメディアと縮むジャーナリズム』(2012年、ミネルヴァ書房)、『3・11とメディア』(2013年、トランスビュー)、『放送法と権力』、『見張塔からずっと:政権とメディアの8年』(以上、2016年、田畑書店)、『沖縄報道』(2018年、ちくま新書)、『愚かな風:忖度時代の政権とメディア』(2020年、田畑書店)、『転がる石のように:揺れるジャーナリズムと軋む表現の自由』(2025年、田畑書店)

*36:衆院議員。共産党「子どもの権利委員会」副責任者(党中央委員兼務)

*37:これについては例えば女児盗撮、名古屋の教諭は校外学習「写真担当」…体液を児童の楽器に付着させた教諭も : 読売新聞(2025.6.26)、https://digital.asahi.com/articles/AST9C1GD4T9COIPE006M.html(2025.9.11)参照

*38:これについては例えば小学校でカメラ発見、着替えを盗撮目的か 逮捕の教員、容疑を否認 [埼玉県]:朝日新聞穴開いた筆箱にスマホ隠す 女児着替え盗撮で教室侵入か、小学校教諭の男逮捕 埼玉・所沢 - 産経ニュース(いずれも2025.7.2)参照

*39:著書『教育費の政治経済学』(2010年、勁草書房)、『子どもの貧困対策と教育支援』(編著、2017年、明石書店)、『子育て罰:「親子に冷たい日本」を変えるには』(共著、2021年、光文社新書

*40:著書『入門・犯罪心理学』(2015年、ちくま新書)、『サイコパスの真実』(2018年、ちくま新書)、『痴漢外来:性犯罪と闘う科学』(2019年、ちくま新書)、『あなたもきっと依存症:「快と不安」の病』(2021年、文春新書)等

*41:著書『ストーカー病』(2014年、光文社)、『子どもへの性暴力は防げる!:加害者治療から見えた真実』(2022年、時事通信社

*42:なお、朽木論文は「著名な藤田、国吉」だけでなく様々な「海外で活動した日本人画家」を取り上げるべきとしている。

*43:京都造形芸術大学准教授、国際日本文化研究センター客員准教授、文化庁芸術文化調査官を経て兵庫県立美術館長。著書『藤田嗣治・作品をひらく:旅・手仕事・日本』(名古屋大学出版会、2008年:サントリー学芸賞受賞)、『藤田嗣治・手しごとの家』(2009年、集英社新書)、『藤田嗣治・本のしごと』(2011年、集英社新書)、『藤田嗣治・手紙の森へ』(2018年、集英社新書)等

*44:2006年公開の映画『フラガール』で本格的な女優デビュー。演技面でも評価され、2007年に日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞(山崎静代 - Wikipedia参照)。最近は山崎に限らず、お笑い芸人を映画やテレビドラマ等、演劇の世界で見ることが多くなった気がします。

*45:原文のまま。911事件(アメリカ同時多発テロ事件 - Wikipedia)の誤記か?

*46:赤旗スポーツ部記者