今日の中国ニュース(2019年5月14日分)

■I濱Y子のツイート

 同業の歴史研究界隈で、現状が第一次世界大戦前夜に酷似と指摘する人*1がいる。この場合、香港・台湾は当時のベルギーになぞらえられている*2(笑)。その人によると中国はこれから微笑み外交を日本にしかけてくる*3というが、絶対なびいちゃだめとのこと。てか、現状の日本では、表面的にはあわせても、本質的にはなびかない*4だろ。

 「なびいちゃダメ」の「なびく」とはどういう意味なのかをまずI濱先生と類友にお聞きしたいところです(反中国のI濱ではなんとなく予想がつきますが)。
 まず第一に日本にとっての中国経済の重要性を考えれば「敵対」なんてことは当然出来ません。
 第二に、とはいえ、当然ながら「日本の国益と中国の国益」は違います。中国の主張が日本の国益に反すると思うときは、当然「中国様のいうことには下僕の我々・日本人は文句などありません。はい、喜んで」とはなりません。
 要するに中国に限ったことではなく米国、韓国、ロシア、どこの国でも同じですが「なびかない」というI濱発言が「敵対関係になること」ならそんな馬鹿なことは出来はしません。一方で「なびかない」が「何でもかんでも言いなりにならない」なら「いうのも馬鹿馬鹿しい」当たり前の話です。つうかどこをどう見れば今の自民党政権が「中国の言いなりの属国なのか」。むしろ問題にすべきは沖縄基地問題で分かるように「アメリカの言いなりであること(まるで属国)」なのですが、まあ反中国・非常識ウヨのI濱と「I濱の類友(多分反中国・非常識ウヨ)」にそういう認識はないでしょう。


ダライ・ラマ報道で記者聴取=中国に配慮-ネパール:時事ドットコム
 Mukkeセンセイなら当然「ネパールに霞を食えとは言えない」といって下さるでしょう(皮肉のつもり)。


中国、ギリシャと「一帯一路」推進合意 :日本経済新聞

 米との貿易戦争が激化するなか、イタリアに続きギリシャ欧州連合EU)を切り崩す足がかりにする。

 日本語が明らかにおかしいですね。「切り崩す」というには「EUが一帯一路に参加しないことを組織として決定したという事実」がなければならないでしょう。しかしそんな事実はないでしょう。
 たとえば「希望の党」騒動は「右派労組・連合執行部などによる野党共闘切り崩し」といっていいでしょうが、そういえるのは「とにもかくにもそれ以前の民進党野党共闘を進める立場を公式に表明していた」からです。


【産経抄】5月14日 - 産経ニュース

 昨年9月、台風21号の影響で、関西国際空港には数千人の旅行客が取り残されていた。すると中国の駐大阪総領事館がバスを派遣して、中国人観光客を優先的に救出した。中国のネット上にこんな情報が流れ、中国メディアも追随して報道した。
 ▼台湾の総領事館は何をやっているのだ。台湾の世論は沸騰し、非難の矛先は(ボーガス注:大阪総領事館に当たる)台北駐大阪経済文化弁事処に向けられた。2カ月前に着任したばかりの蘇啓誠(そ・けいせい)処長は、自殺に追い込まれた。
 ▼ところが、中国のネット情報はまったくのフェイク(偽)だったことがまもなく明らかになる。中国当局が、台湾に混乱をもたらす目的で虚偽情報を流した。国際ジャーナリスト組織「国境なき記者団」は、今年3月に発表した報告書のなかで、こうした見方を示している。

 で、その「中国政府の謀略説」には何か根拠があるのか。単に「アンチ台湾の中国ネット右翼」がデマを垂れ流し、一部の軽率な中国人や台湾人がそれを信用したという理解ではなぜいけないのか。
 「中国にとって台湾非難は都合がいいから」レベルで「中国政府の謀略」と決めつけてるのならそれはまともな批判とは言えません。
 それにしても「蓮舫民進党代表(当時)の二重国籍ガー」と蓮舫氏だけでなく台湾に対しても失礼なデマ飛ばした産経が良くも言ったもんです。

▼来日していた台湾の頼清徳(らい・せいとく)前行政院長の念頭にも、日台の外交の最前線で長年活躍した外交官の悲劇があったのかもしれない。小紙のインタビューで、台湾を脅かす危機の一つとして、中国がインターネットを通じて広める偽情報を挙げていた。

 「いやだから偽情報て具体的に何?」ですよねえ。少なくとも台湾の統一地方選民進党が大敗したのは偽情報のせいではありません。

▼来年の台湾総統選挙への出馬を表明している頼氏が何より心配しているのは、中国による選挙干渉である。

 そんな事実が一体どこにあるのか。単に「国民党支持者に中国の犬レッテル貼って牽制したい」「総統選で敗戦したときに中国ガーと言い訳したい」だけじゃないのか。ただこれ牽制どころか、台湾住民に「手前ら民進党を支持しないと中国の犬扱いするのか!。馬鹿にするな!。総統選では絶対手前ら民進党には投票しない!」と反感買うだけじゃないですかね。まあもしかしたら「産経相手にいってること」と「台湾でいってること」は違うのかもしれませんがそれも酷い話です。

 米国のトランプ大統領は、中国と貿易戦争を繰り広げているだけではない。昨年には、中国が中間選挙に介入している、と批判していた。

 とはいえトランプは何の根拠も提示せず、中国が「事実無根」と反論したのはもちろん、米国メディアも「ロシアゲート疑惑をごまかすための詭弁」「予想される共和党中間選挙敗北をごまかすためのデマ」と冷淡な扱いでした。

▼今夏に参院選挙をひかえている日本では、今のところ中国によるあからさまな内政への介入は確認されていない。とはいえ頼氏は、「中国は、日本に対しても浸透工作を行っている」と語っている。台湾の危機は人ごとではないのだ。

 おいおいですね。具体的に「中国の日本での活動」の何がどう問題だというのか。

*1:一体誰か名前を教えてほしいところです。そして何が「第一次世界大戦に似ているのか」「なぜ第二次世界大戦ではないのか」教えてほしいところです。まさかとは思いますが「米中で戦争が始まる恐れがある」とか言い出す気でしょうか?。もしそうなら正気じゃありません。まあI濱がまともな人間じゃないのは前から知ってはいますが。

*2:何をどうなぞらえてるのかさっぱり分かりません。「第一次世界大戦時にドイツがベルギーに侵攻したように」、中国が台湾侵攻する恐れがあるとでもいう気なのか(まあそうだとしてなぜ「第二次世界大戦のドイツのポーランド侵攻」にはなおzらえないのかよくわかりませんが)。もしそうなら正気じゃ(以下略)。

*3:「微笑み外交」なら願ったり叶ったりです。I濱と類友は隣国にそんなに「敵対外交」を仕掛けてほしいんでしょうか?。つうか二階訪中で分かるように日中関係は一方的に中国が日本へ微笑んでる話では全くないのですが。

*4:「本質的にはなびかない」とはどういう意味でしょうか?。俺個人の考えを言えば「なびく」が「同じ価値観」ならそんなことは「中国に限らず」そもそもありえないでしょう。「国家間関係」は「同じ価値観」がありうる「人間の友情関係」「男女の恋愛関係」とは違います。もっとシビアなもんでしょう。

常岡浩介、黒井文太郎に突っ込む(2019年5月13日分)

■ツイートに突っ込む

黒井文太郎*1
‏ 露と戦争など論外。
 しかし露は交渉で領土は返しません

 「で、黒井君は何が言いたいの?」ですね。俺的には「戦争」「交渉」以外に島の返還はありえませんが黒井には他に何か手段があるのか。
 それとも黒井は「島なんか何があっても帰ってこないよ、諦めろ」といいたいのか。「自称ライターなら、何が言いたいのかはっきりツイートしろよ(苦笑)」ですね。

 さてこの黒井のツイートに対する常岡*2リツイート

常岡浩介
 露は武力で戦ってはいけない。経済で破綻に追い込むしかありません

 吹き出しました。「経済で破綻に追い込む」が可能かどうかはひとまず置くとしても、島の返還と何一つ関係ねえじゃん。ソ連崩壊時はおそらく「今のプーチンロシア政権以上に経済が悪かった」でしょうが島なんぞ帰ってこなかったわけです。何で常岡ってこうまでバカなんでしょうか。
 つうか例のイエメン取材話をそっちのけでロシアがどうこうって(苦笑)。

*1:著書『イスラムのテロリスト』(2001年、講談社プラスアルファ新書)、『北朝鮮に備える軍事学』(2006年、講談社プラスアルファ新書)、『ビンラディン抹殺指令』(2011年、洋泉社新書y)、『イスラム国の正体』(2014年、ベスト新書)、『イスラム国「世界同時テロ」』(2016年、ベスト新書)など

*2:著書『ロシア 語られない戦争:チェチェンゲリラ従軍記』(2008年、アスキー新書)、『イスラム国とは何か』(2015年、旬報社

今日の産経ニュースほか(2019年5月13日分)

「戦争で北方領土取り返す」酔って問う 元島民に維新・丸山議員 - 産経ニュース
 維新がキチガイの集まりであることは知っていましたがそれにしても常識外れです。一方、元島民側は「そんなことができないなら外交してるんじゃないか!。無責任な放言するな!」と怒り心頭のようです。
 とはいえ「戦争してでも韓国から竹島(あるいは北朝鮮から拉致被害者)取り戻す」などと似たり寄ったりのことを放言してるウヨは他にもいますからね。彼一人を「馬鹿者」と片付けてすまないのがなんともかんとも。


■支持率いろいろ(日本、英国、韓国)
「皇室に親しみ」78% 本社世論調査、内閣支持率55% :日本経済新聞
 安倍批判派としてはいつもながら「参院選後も安倍政権なのか?」と絶望的な気持ちにならざるを得ません。未だに「令和万歳」が続いてるのか。「モリカケ総理ですら容認」「北方領土返還見込みがデマカセの食言であることが露呈しても容認」とは安倍支持層(しかも今回の世論調査を信じればそれが過半数)の脳みそは正直俺には理解不能です。安倍が有能なわけでもないですしね。むしろ近隣国の「文在寅氏や習近平氏、プーチン氏」の方がずっと有能でしょう。


英世論調査、EU離脱派の新党「ブレグジット党」が支持率トップに 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News
 支持率34%で1位だそうです。残りの66%(最大与党保守党、最大野党労働党、その他としてイギリス自由民主党などの支持者)は必ずしも離脱賛成ではないわけですが、これまた絶望的な気持ちにならざるを得ません。本気で離脱がプラスだと思うのか。


文在寅氏が陥る「構造の罠」支持率低迷、理念に現実の壁:朝日新聞デジタル
 とはいえなんとか過半数は超えてるし、最大野党自由韓国党の支持率が伸びてるわけでもないので、「次の大統領選で勝利できるかどうか」はともかく当面は政権危機にはなりません。不支持の大きな理由は「失業率の増加」など景気問題なので「太陽政策支持」で「自由韓国党の政権復帰を望まない」俺としてはそこを何とか文氏に頑張ってほしいところです。
 ちなみに台湾で民進党が苦しんでる理由も景気問題ですね。

今日の北朝鮮・韓国ニュース(2019年5月13日分)

https://www.sankei.com/politics/news/190513/plt1905130027-n1.html
 6月末がG20なのに「5月中旬の今」、「ノーコメント」や「現在努力してる」ならともかく、堂々と「困難」と言い出すとはどれほど非常識なのか。しかもそれが「徴用工判決ガー」です。「アホか」ですね。そんなことが首脳会談拒否の理由になると本気で思ってるのか。


安倍首相「北朝鮮と直接対話」発言の真意 | 韓国・北朝鮮 | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準

 安倍首相の発言には、「7月の参議院選挙をはじめ、安倍首相は目先の手柄を上げる必要に迫られている。安倍外交の主軸の1つであるロシアとの北方領土交渉の進展にも減速感が生じている。(ボーガス注:安倍発言の時期が日露交渉挫折(6月のプーチン訪日で進展はない見込み)を日本メディアが報じた後なので)それなら、北朝鮮と対話でもするか、という下心があるように北朝鮮には見えている」(中国の北朝鮮研究者)。
 しかも、安倍首相は(ボーガス注:制裁論など対北朝鮮強硬論、対北朝鮮タカ派の立場で)拉致問題に深くコミットし、その後首相の座を得た人物ということが北朝鮮でも広く知られている。そんな人物が「条件つけずに会おう」と言ってもにわかに信じられない、ということだ。

 まあ当たり前の話です。ただし「信用できる何か(例:制裁の一部解除、朝鮮総連幹部の渡航制限撤廃、朝鮮学校即時無償化)」を安倍が提示できれば、対話する用意は北朝鮮にもあるでしょう。

 日本では「過去の清算や経済支援といった名目で金が入るなら北朝鮮は対話に応じる」という見方はある。だが、いまや金の出どころは日本だけではない。現実的に商売相手となっている中国や韓国もそうで、アメリカとの関係が改善すれば経済環境は好転し、アメリカ企業をはじめ他国から資金が流入するだろう。日本のポジションは相対的に低下しているのが現実だ。

 これまた全くその通りです。
 実際に首脳会談がされるか全く分からない安倍との関係より実際に首脳会談が実施された「トランプ米国大統領」「文在寅韓国大統領」「習近平中国国家主席」「プーチン・ロシア大統領」との関係を北朝鮮が重視するのはある意味当たり前です。
 北朝鮮からすれば「首脳会談したいなら土産もってこんかい。朝鮮学校の即時無償化とか制裁解除とか、朝鮮総連幹部の渡航制限廃止とかいろいろあるやろ。何も土産を持たないで首脳会談したいとかアホか」でしょう。

「珍右翼が巣くう会」に突っ込む(2019年5/13分:島田洋一の巻)

島田洋一
 この部分に限れば、珍しくまともな発言だ。元首相なら、皆こうした「意外によいこと」も言わねばならない。 
構造改革、中国にメリット=福田元首相、北京で講演:時事ドットコム

 苦笑しました。島田の場合「米国が中国に報復関税をかけるのは中国が経済の構造改革しないからだ、中国が全て悪い」という反中国に過ぎません。
 しかし福田氏の場合「確かに米国のやり口は無茶苦茶だと思いますが、構造改革自体はいずれ必要だと思う。そういう意味では『米国が構造改革を求めることそれ自体は正しい』と思う。構造改革は長い目で見れば中国の利益にもなると思います。この機会に構造改革をすることで米国の中国批判も和らぐのであれば、構造改革に早急に手をつけてはどうか」ですから「構造改革が必要」という点は同じでもそのほかは全然違います。
 それにしても、福田氏を「常に中国のいいなり」だの、中国政府指導部を「構造改革反対派、消極派しかない」だの理解しない限り、島田のようなツイートはあり得ませんがそれ、どちらも事実に反してるでしょう。
 

「北朝鮮帰国者の生命と人権を守る会」を笑おう(2019年5/13分:黒坂真の巻)

吉岡正史
‏ フェイク、ここにも。
宮古島市上野野原に新設された陸上自衛隊ミサイル基地内の小銃弾などを置くとしていた『保管庫』が、事前説明とは異なり中距離多目的誘導弾(ミサイル)も置く弾薬庫だった」
「基地撤去を」住民要求/沖縄・宮古島 弾薬庫問題で説明会

 この「嘘をつくなど、不誠実」という吉岡ツイートに対し「中国の侵略ガー」とツイートする、いつもの黒坂です。全然反論になってない。
 「中国の侵略ガー、ていえば嘘ついていいのか」「本当に中国の脅威があるならそれこそ嘘なんかつかずに、『中国の脅威があるから中距離多目的誘導弾(ミサイル)が必要なんです』というべきだろ」て話ですね。

黒坂真
 高麗ジャーナル編集部の皆さん。次の指摘に同感です。
北朝鮮を非核化させたければ、北朝鮮が核抑止力を開発するに至った原因を同時に取り除かなけれれば不可能だ」。
 これは、金正恩が非核化の前提条件として在韓、在日米軍撤退を要求しているという事ですね。

 もちろんそんなことを高麗ジャーナルはいっていませんし、北朝鮮ですらそんなことはいってない。北朝鮮がいってる「核廃棄の条件」は「米国による北朝鮮体制の保証」です。高麗ジャーナルがいってることも「そうした北朝鮮の要求に応えなければ核廃棄はあり得ない」つう指摘に過ぎない。
 「政権転覆の危険性があるのに核廃棄なんか出来ない。政権転覆はしないということを目に見える形で行動に移せ。体制保証しろ」と北朝鮮はいっている。この北朝鮮がいう「体制保証」が何を意味するかは明白ではありません。
 終戦協定かもしれない。米朝国交樹立かもしれない。黒坂のいうように「在韓米軍、在日米軍撤退」かもしれない。いずれにせよ現段階で「在韓米軍、在日米軍撤退」と決めつけることが出来る根拠は何もありません。
 なお、黒坂がこんなことを言うのは
1)「在韓、在日米軍撤退なんか出来ない→非核化なんか無理」
2)だから打倒北朝鮮
つう流れでしょうが、2)は現実的に無理です。ロシアや中国が北朝鮮を支援してるわけですから。
 1)についていえば黒坂らウヨはともかく俺個人は「別に撤退してもかまわない」と思っています。少なくとも在韓米軍や在日米軍がなくなったからといって「韓国や日本に中国や北朝鮮、ロシアの侵略がある」ということはありえない。日本や韓国には軍隊があるわけですから(自衛隊の現状をどう評価するかはひとまず起きます)。そして在日、在韓米軍にしても「日本や韓国の防衛」というよりは「米軍の出撃基地」のわけです。

黒坂真
‏ 吉岡正史さん。森友問題は総理と総理夫人が国民の財産を8億円も値引きし、官僚に改ざんさせた等という証拠は、日本共産党国会議員団必死の調査にも関わらず見つかっていない*1

 その黒坂の詭弁なら「小泉訪朝まで北朝鮮が拉致をしたという決定的証拠は何もなかった」「金正男北朝鮮が暗殺したという決定的証拠も何一つ見つかってない」のですがね。もちろんそういったら黒坂はマジギレでしょうが。
 しかし「無視してる」とはいえ吉岡氏も良く黒坂をツイッターブロックしないもんです。

*1:そもそも天皇制廃止など共産党オリジナルの主張ならまだしも「立民、国民民主、社民など共産以外の野党」も批判してる森友疑惑で「共産だけに悪口雑言ツイート」という黒坂も全く異常な男です。

今日の中国ニュース(2019年5月13日分)

米、自国農産物買い増しへ 中国が報復措置なら :日本経済新聞
 「中国の対抗措置で農産物が中国に売れなくなっても、米国の農家の皆さんは心配しないで下さい、米国政府がその分買いますから」てなんだか「本末転倒」の気がします。


「中国排除」米にも代償 最新工場、もぬけの殻に :日本経済新聞

 中国南部にある半導体メーカー、福建省晋華集成電路(JHICC)。東京ドーム8個分の敷地にそびえる真新しい巨大工場は、もぬけの殻になっている。2018年夏の量産準備時に1千人以上いた従業員の大半は解雇された。
 JHICCは習近平(シー・ジンピン)国家主席肝煎りのハイテク産業育成策「中国製造2025」の目玉国策会社だった。6千億円余りを投じて18年末の量産をめざしていたが、米商務省が同年10月に半導体製造装置の輸出を規制。さらに米連邦大陪審が同社に米企業から盗まれた技術が渡ったとして訴追し、量産計画は頓挫した。
 中国国有通信最大手、中国移動(チャイナモバイル)の米参入を全会一致で拒否した9日の米連邦通信委員会。対中強硬派のブレンダン・カー委員は、中国の通信会社の徹底的締め出しを提案した。20年近く米国で事業を営む中国電信(チャイナテレコム)を「米国の通信を乗っ取り中国に送っていた」と、免許取り消しを検討すべきだと訴えた。

 さすが経済新聞というべきでしょうか。
 米国が報復関税など仕掛ければ当然中国側は「じゃ生産拠点は米国以外にします」となるのは十分予想できます。報復措置、対抗措置云々もあるでしょうがそれ以前に「米国政府が中国企業に対して、報復として何やり出すか分からない現状」では「米国に生産拠点」は中国企業にとって経営的にリスキーすぎるでしょう。その結果「米国の雇用が減った」わけです。

 制裁関税はサプライチェーン(供給網)の亀裂を深めている。米空調大手レノックス・インターナショナル。アイオワ州の組み立て工場で使うサーモスタットなど中国から輸入する主要部品が18年8月に25%の追加関税対象となり、仕入れ先を東南アジアに切り替え始めた。トッド・ブルードーン最高経営責任者(CEO)は「関税措置がいつまで続くかわからない以上、先を見越して動く必要がある」と話す。
 トランプ米政権の対中制裁関税「第3弾」「第4弾」は、米消費者を直撃する。消費財に響くからだ。スマートフォンスマホ)などのハイテク製品にも25%の関税が上乗せされる可能性がある。米国に輸入される「iPhone」などのスマホやパソコンの6割超は、中国で組み立てられている。
 「関税は(米国内での)生産コストにほとんど影響せず、大部分は中国が負担している」。
 トランプ大統領の自信の背景には米国の物価安定があるが、消費財への関税上乗せで上昇する可能性がある。
 米中間の貿易額は米国の貿易総額の16%、中国の14%を占め、お互いに最大の相手国だ。経済相互依存の網を引き裂きかねない二大国による貿易戦争の戦線拡大は、グローバル経済に代償となって跳ね返る。

 産経などは「中国から企業が撤退した」「ざまあ中国」と大喜びですが、日経が書くように話はそこまで単純ではありません。
 トランプの対中国報復関税は産経などウヨがいうほど「米国万々歳、中国のみ苦境」ではないわけです。トランプが虚勢を張ってるのか、まともな経済知識がないのかはともかく「報復関税で苦しむのは中国であって米国は少しも痛くない(トランプ)」なんてことはありません。


中国は日本にも「浸透工作」 偽情報・選挙干渉は最大の危機 頼清徳氏インタビュー詳報(1/3ページ) - 産経ニュース
 産経の取材を受けるような「アンチ中国政治家」としては当然の発言でしょうが馬鹿馬鹿しいですね。

 短い訪問期間だが、3人の元首相や30人以上の国会議員と会談した。

 その「3人の元首相」が誰なのか気になるところです(なお、現在存命の元首相は中曽根、海部、細川、村山、森、小泉、福田、麻生、鳩山、菅、野田の各氏)。現役大臣の麻生は多分ないでしょうが。親中国派の福田氏は会ってくれそうにないし、安倍政権下において民主党元総理とは会いたがらないだろうしとなると「右派の中曽根、森、小泉」といったあたりでしょうか。

 昨年11月の統一地方選で私たちの民進党は大敗した。このままでは中国の統一攻勢を受け入れる中国国民党が政権をとり、台湾は中国に併呑(へいどん)されてしまう。来年の総統選は、民進党にとって負けられない選挙だ。国際社会の普遍的な価値観である民主主義を選ぶか、それとも中国の独裁的な政治手法を選ぶか-を決める選挙だともいえる。

 何度も書きますが併呑などあり得ません。併呑などありえないからこそ「民進党下野」の可能性が出てるわけです。こんなデマをいって恥ずかしくないのか。

産経
 あなたの対中政策は
頼氏
 第1に、軸足をしっかりと民主主義国家の陣営に置くこと。第2に、国際社会へ積極的に発信し、周辺国としっかりと連携体制を構築すること。第3に、国家の安全を守る態勢を増強することだ。

 「中国との経済交流」という話が何一つ出てこないことには心底呆れます。「安倍ほど無能でない」とはいえその反中国姿勢は「台湾の安倍晋三」とでも呼ぶべきでしょうか。

 今の台湾にとって最大の危機は、中国による浸透だ。中国は人的交流やインターネットを通じて台湾内部に入り込み、偽情報を流布したり、選挙に干渉したりしている。

 やれやれですね。「ロシアゲートのような選挙時の中国による嘘情報流布」なんか確認されてません。民進党が敗北したのもそういう話ではもちろんない。正直「中国の陰謀ガー」を口実に「選挙での与党批判報道を規制で潰そうとしてる」と疑われても文句は言えないでしょう。

 中国は日本に対しても浸透工作を行っている

 「浸透工作て何?」ですね。合法な形での「日中友好意識促進」なら当然やってるでしょう。そもそも台湾の側もこうして前首相が訪日するなどして「日台友好意識促進」をやってるわけでお互い様です。違法な浸透ならもちろん問題ですが、「どこにそんなもんがあるのか」て話です。

 民進党は1999年に「台湾前途決議文」を採択した。その中に「台湾はすでに独立した民主国家であり、主権国家である現状を変更するには、台湾全住民による住民投票が必要だ」と明記されている。私が言う台湾独立とは、この「台湾前途決議文」を守ることだ。

 やれやれですね。国民党だってさすがに統一なんて重要問題が現実化したときに「住民投票もしないで国会議決だけでやろう」とは思ってないでしょうよ。それが「台湾独立支持」なら独立派でない政治家は台湾にはいません。

産経
 福島第1原発事故に伴う日本産食品の輸入規制についてどう考えるか
頼氏
 昨年の住民投票で、被災地の食品を禁輸とすることが賛成多数を占めた。台湾の有権者に今、被災地の食品に対する不安と誤解があるのは確かだ。日本政府と一緒になり、不安や誤解をなくす努力をしなければならないと考えている。
 食の安全の問題については、国際社会の基準と科学的な根拠が大事だ。私が当選すれば、この問題を円満に解決する自信がある。

 まさか産経相手に「輸入規制は継続する」とはいえないでしょうが「前首相」ですからね。今の輸入規制継続は彼にも責任があるわけで「総統になったら日本に納得される対応にします」といわれても「ホンマかいな、また規制解除反対派に政治的に敗北するのと違うの?」ですね。


中国との「平和協定」は災難 台湾・頼清徳前行政院長インタビュー(1/2ページ) - 産経ニュース
 産経の取材を受けるような「アンチ中国政治家」としては当然の発言でしょうが馬鹿馬鹿しいですね。
 平和協定は文字通り「平和協定(終戦協定)」です。実際はともかく建前では今も「中台間は戦争状態」です。
 なぜなら正式に終戦協定が締結されてないからです。そこで「中台の経済交流を進めていく上でも正式に終戦しましょう」つう話でしかないわけです。
 もちろん中国は終戦協定締結に当たって「一つの中国」に当たる言葉を書き込もうとするでしょう。
 しかし「だから終戦協定なんかいらない」つう話ではないでしょう。ましてや「終戦協定に積極的な国民党は中台統一狙ってる」つう話ではない。

 来年1月に投票が行われる総統選については、民進党と国民党の対中政策が真っ向から対立しており、「中国の統一工作を受け入れるか否かを決める最も重要な選挙だ」と危機感を見せた。

 もういい加減こういう「国民党が勝利したら台湾が中国に飲み込まれる、吸収合併される」つうデマはやめてほしいですね。馬英九・国民党政権当時にそんなことなかったし、仮に今後、国民党が政権奪取してもそんなことになるわけがない。国民党支持者ですら、「即時統一」なんか希望しておらずほとんどの人間が「現状維持支持」だからです。むしろこんなこといえばまともな人間は「そんなデマを飛ばすより、蔡英文政権の実績と今後の展望を語れ」と思って呆れるだけです。

 頼氏は、中国が1951年にチベット政府と締結した協定を守らず、チベット人が弾圧されている現状を指摘。「平和協定は台湾にとって災難にほかならない」と力説した。

 「1951年当時のチベット」と「今の台湾」と置かれてる状況が全く違うし、協定の内容も違うわけです。チベットの協定は「中国共産党チベット統治」がもちろん前提です。台湾の終戦協定は「戦争を正式に終わりにしましょう」つう内容がメインです。
 それ以外の内容はサブでしかない。サブに何を書き込むかはまだ何一つ明白になっていません。

 対中国の「反浸透法」や「反併呑(へいどん)法」の立法を推進していく考えを明らかにした。

 そうした法律が具体的に何を意味するかですね。もし仮に「即時統一主張(そもそもそんな主張は少数派ですが)は合法的な物でも規制する」つうならまともな民主主義国家じゃないでしょう。

 頼氏は行政院長に在任中、立法院(国会)で「私は台湾独立を主張する政治家だ」と答弁したことがあり、その主張が中国の武力行使を招くと警戒する声もある。これに対し、頼氏は「私が言う台湾独立とは、中国による浸透と併呑を阻止することだ」とし、総統選で当選しても「台湾の独立を(新たに)宣言することはない」と説明した。

 まあ詭弁ですね。「併呑阻止が独立」というなら台湾の政治家は皆、独立派です。国民党だって「台湾住民の意思が統一なら」「中台が対等な立場での統一で、台湾の自主性が維持できるなら」統一する(そして当面はそうした条件は整ってないとしている)としており「一方的に併呑されること」なんか容認してませんので。
 結局「独立宣言する」なんていったら総統選で「民進党支持者以外の支持が得られないこと」「民進党支持者以外の票なしでは国民党に勝てないこと」がわかってるからこうなるわけです。