今日の産経ニュースほか(2019年10月23日分)(追記あり)

【正論】共産支配ラトビアで母娘の悲劇 東京大学名誉教授・平川祐弘 - 産経ニュース

 ソ連支配下ラトビアの母娘の物語を描いた『ソビエト・ミルク*1』の作者、ノラ・イクステナさんが来日し、私も大使に招かれ、話を聞いた。

 よりによって「平川*2 なんて非常識な反共、反ロシア右翼」を駐日ラトビア大使館に招かなくてもいいと思いますがそれはさておき。
 平川が旧ソ連時代のラトビア支配を批判するのはいいとしても

 バルト三国*3は91年ふたたび自由を回復する。
 だが、ソ連の後継国家ロシアと国境を接する三国は、近年欧州連合(EU)と北大西洋条約機構NATO)に加盟したとはいえ、ロシアがまた魔手をのばすかもしれない。ラトビア国内の4割近く*4の住民はロシア系だ。

と言うのは非常識極まりないですね。ロシアも「ラトビア侵攻」などする気はないでしょうし、ラトビア国内のロシア系も大多数はそんなことは望んでないでしょう。クリミア侵攻とは話が全然違う。
 そして「旧ソ連時代の不幸な歴史」があろうとも独立後のラトビアは「4割近くのロシア系住民」と仲良くやっていかざるを得ないわけです。
 これは何もラトビアに限らない。ほぼその可能性はないでしょうが、仮にチベットウイグルが独立しても「ロシア系住民の一部がラトビアに残ったように(そしてその数が約4割近くと無視できない数だけいるように)」、独立後のチベットウイグルにも「中国系住民は多数残る」でしょう。
 その点を考えたらいくらアンチ中国の立場でもダライラマのように日本ウヨと野合するようなまねはすべきではないでしょうね。
 あるいは北方領土が仮に返ってきたとして「島に残るであろうロシア系住民をどう扱うか」と言う問題を我々は考えざるを得ません。それにけりがつかないのでは島は帰ってこないでしょう。
 なお「ソビエトミルク」については

WEB特集 “私の母乳には毒がある”「ソビエト・ミルク」 | NHKニュース
 バルト3国の1つ、ラトビアを舞台にしたこの作品、同国の小説としては初めて、日本語版も出版されることが決まりました。一体どんな小説で、なぜ今、人気なのか(国際部記者 青木緑)
 舞台は、ラトビアソビエト政権下にあった1960年代から80年代。ラトビア人の母と娘を主人公に、当時の市民の日常が描かれています。
 都会の病院で医師として活躍していた母親。
 しかし政権に批判的だと指摘され、地方の小さな診療所に“左遷”されてしまいます。
 ソビエト社会の現実を一般市民の視点で描いたこの小説は反響を呼び、10か国語以上に翻訳されました。
(中略)
 第2次世界大戦中、ソビエトに併合され、1991年の独立まで約50年間、ソビエト政権下にあったのです。
 今はEU加盟国として欧米寄りの政権運営が続くラトビアですが、街中では、ラトビア語に混ざってロシア語がよく聞こえてきます。
 ラトビアでは、ロシア系の住民が人口の3割を占めるのです。
 ソビエト時代に移住してきたロシア系やその子孫が、独立後もラトビアに暮らしています。
 取材を進めていくと、こうした「ロシア系住民」と「ラトビア系住民」との間に、見えない“壁”があることがわかりました。
 ロシア系住民が持つパスポートの表紙に書かれているのは、「無国籍」の文字。政府はロシア系住民に対し、たとえラトビアで生まれても、自動的に国籍を与えていません。
 人口190万のラトビアで、20万人近くがこうした“無国籍”だといいます。無国籍だと選挙権がなく、就職先も制限されます。
「この国で生まれたのに、わざわざ試験を受けて国籍を取らなければならないなんて、不公平だ」(ロシア系の住民)
 一方、ラトビア系住民にも不満があるようです。
 中高年のロシア系住民の多くは、ラトビア語をほとんど話しません。
 これに対し、「ラトビア社会に溶け込む意思がない」と批判する声も聞かれます。
「ここはロシアではなくラトビアだ。ラトビア語を身につける気がないなら、ロシアに帰ればいい」(ラトビア系の住民)
 こうした民族間の“分断”に拍車をかけたのが、5年前、ロシアによるウクライナ南部のクリミア併合でした。
 ロシア系住民の保護を名目に、いつクリミアのようにロシアが手を伸ばしてきてもおかしくない。
 警戒の声が、ラトビア人社会で上がっています。
 クリミア併合と同時期に「ソビエト・ミルク」を書き始めたという、ラトビア人作家のノラ・イクステナさん(49)。
 ロシアへの警戒感が高まる今だから、ソビエト時代の恐ろしさを伝える小説を書いたんですかという、私の問いに対してノラさんは、本にはその真逆のメッセージが隠されていると教えてくれました。
 見せてくれた写真に写っていたのは、小学生のノラさんと、近所でよく遊んでいた友人たち。皆、ロシア系だったといいます。
 「当時は民族に関係なく、同じソビエト時代を生きる存在として理解しあい、尊重しあっていた。2つの民族の分断が広がる今こそ、当時を振り返るべきだ」
 ノラさんは作品を書いたきっかけをこのように話していました。
 ソビエト時代の厳しい体験をロシア系の人々への憎悪へとつなげてはならないと考えています。
 「もし虐げられる立場だったら、憎しみの感情を持つのは当然ですが、それを乗り越えなければならないのです」

を紹介しておきます。しかしNHK記事が「和解」を訴えるのに対し、平川記事はただただ反ロシアで心底呆れます。


映画への助成金取り消し 出演者の不祥事を理由に - 産経ニュース
 無茶苦茶としか言い様がありませんね。先日の「トリエンナーレでの同様の無法」と関係があるのかと思いましたが、この「宮本から君へ*5」、別に「ウヨが言う左翼的、反日的作品」つうわけでもなさそうなので、直接の関係はないかもしれません(ただし「不支給にした方が薬物に厳しい政権と宣伝できる*6」「この映画を不支給にすればトリエンナーレの不支給も正当化できる」という勘違い(?)による安倍首相や萩生田文科相の「トリエンナーレ同様の無法な圧力」はあるかもしれませんが)。
 それにしても「出演者のピエール瀧*7が薬物犯罪で摘発されたから不支給」「支給してほしいなら瀧の出演部分を全てカットしろ(重要な役でそれでは映画が成り立たないなら改めて瀧の部分だけ取り直せ、それが無理だというなら助成金は諦めろ)」ってマジでこんな馬鹿なことが許されると思ってるのか。映画関係者は彼の犯罪なんて知るわけもないし、映画も薬物犯罪を美化してるわけでもない。支給したところで誰も「日本政府が薬物犯罪に甘い」とは思わないでしょう。
 しかし

 映画の製作会社によると、助成金は3月に交付が内定。その後、出演者のピエール瀧さんが麻薬取締法違反容疑で逮捕され、4月に振興会側から助成金の辞退または出演場面の編集を求められたという。拒否・抗議すると、瀧さんの有罪確定後の7月、「公益性の観点から適当ではない」と不交付決定通知が届いた

という制作側の勇気は高く評価したい。もちろん「助成金をもらわなくても、人気マンガの映画化(それもテレ東ドラマが好評だった事による映画化)なので元は取れるから」つう要素は大きいでしょうが。俺的には関係者が国相手に裁判を起こして徹底的に争ってほしいところです。

【追記】

立川談四楼
‏ 助成金不交付は(ボーガス注:愛知のトリエンナーレから)映画『宮本から君へ』に飛び火した。なるほどその線か。『宮本から君へ』の(ボーガス注:映画)プロデューサー(ボーガス注:河村光庸氏)は(ボーガス注:東京新聞・望月記者原作の安倍政権批判映画)『新聞記者』(ボーガス注:の映画プロデューサー)と同一人物なのだ。政府を誹謗中傷するあんな映画を撮りゃがって。丁度いい、ピエール瀧が出てる。ここはひとつ懲らしめてやるか。そんな経緯だと思うよ。連中ならやりかねないからね。

 なるほど、そういう嫌がらせですか。小生も「なんか変だなあ?。瀧がでてるだけでそういうことするか?」「もしかして朝鮮学校無償化除外、韓国のホワイト国除外、トリエンナーレ補助金不支給のような安倍の嫌がらせ?。でも、この映画は別に左翼的でもなさそうだしなあ?」と思いながらそういう裏があるとは気づかず首をひねっていたのですがね。
 おそらく談志楼の読み通りでしょう。「ホワイト国除外」同様の完全な違法行為であり「江戸の敵を長崎で」ですね(加計学園の大学認可など、過去の無法がまかり通ってきたことでの、さらなる居直りでしょう)。今更ながら安倍を「一時的とはいえ」褒めていた馬鹿者ども(I濱Y子・早稲田大学教授、M谷N子・明治大学准教授、id:noharra)の馬鹿さに呆れざるを得ません。
 そしてこんなクズ政治家が長期政権であることに改めて絶望的にならざるを得ません。中国の習主席にせよ、韓国の文大統領にせよ、安倍ほどの「無能&人格低劣(邪悪)」ではないと思います(リトビネンコ暗殺疑惑があるロシアのプーチン大統領は「無能ではない(有能だ)が安倍より邪悪」な気がします)。
 個人的には今回の一件、
1)映画プロデューサー側が訴訟
2]赤旗や文春などに内部告発があり、「報道&国会での追及」といった形で広がりを見せてほしいところです。
 しかし「安倍に批判的で野党共闘も支持する談志楼(政治にもある程度関心がある)」が「安倍の奴隷と言っていい志らく」と同じ立川一門とは世の中、面白いもんです。


関電の闇を徹底解明し、信頼取り戻せ 奈良林直(東京工業大学特任教授) « 国基研ろんだん 国基研ろんだん « 公益財団法人 国家基本問題研究所
 国基研も奈良林も口先だけで「闇の解明を」というだけで署名活動も何もしてないので本心では全くないでしょうが、それにしても、彼らですら「関電裏金疑惑は放置すると我々原発推進派にとってまずい」「口先だけでも批判しないとまずい」と思ってるのでしょうね。とはいえ、「モリカケの安倍」「URの甘利」のように「大物政治家の名前」でも浮上すればためらいなく「たいした問題じゃない」「余計なことはするな」と言い出すでしょうが。


日本でのIR参入目指す香港系企業 「脱中国依存」の狙いも - 産経ニュース
 産経らしい反中国記事ですね。企業が「あらゆる手段を使って金儲けしたがる」のは当然の話であり、この記事のように「脱中国」などと反中国的に理解する必要はないわけです。


香港「逃亡犯条例」契機の男めぐり台湾が反発 - 産経ニュース

 台湾側は当局間の対等な司法協力による身柄と証拠の引き渡しを求めている。

 台湾政府の態度には心底呆れますね。
 現状では「逃亡する」という「刑事責任からのトンズラ」ではなくきちんとした処罰を受ける気ならば「台湾に自首して処罰を求める」以外にこの男がとれる手段はないと思うのですがね。現実問題、「蔡英文の反中国路線&それに対する中国政府の反発」により、司法協力による引き渡しなどが可能な政治状況ではないでしょう。かつ、今の政治状況では「いつ実現するか分からないこと(司法協力による引き渡し)」を待てずにこの男が「早く現状にけりを付けたい」として自首するのも「人の情として当然」でしょう。


正殿の儀 台湾や香港出席、正式招待せず - 産経ニュース

 「即位礼正殿の儀」には、日本と外交関係がない台湾から、台北駐日経済文化代表処の謝長廷*8代表(駐日大使)も列席した。政府は「一つの中国」の原則に立つ中国への配慮から、台湾の代表者を正式には招待しなかったが、日台の友好関係を踏まえ、謝氏を来賓として接遇した。
 即位礼正殿の儀には、中国の特別行政区である香港の林鄭月娥(りんていげつが)行政長官とマカオの崔世安行政長官も参列した。外務省によると、政府はこの2人に対しても正式な招待は出していなかったという。

 さすがに安倍も日中関係をぶち壊しにすることはできなかったようです。


【産経抄】10月23日 - 産経ニュース

 実は5世紀に、日本で最初の治水工事を行ったとされるのは仁徳天皇である。自らには質素な生活を課しながら、常に民の竈(かまど)から煙が立っているか気にかけていた。古代の聖帝は、こんな逸話で知られる。「日本書紀」には、淀川水系に堤防「茨田(まむたの)堤(つつみ)」を築いた、との記述がある。

 やれやれですね。天皇のイメージアップのために後世に作られたと見られ、真偽が怪しい話を良くも持ち出せるもんです。


【国際情勢分析】台湾総統選で劣勢の韓国瑜氏、香港デモと対中姿勢が足かせ(1/3ページ) - 産経ニュース
 「反中国(その結果、反国民党&民進党万歳)」産経の記事なので話半分に聞いておきます。ただし、今の「反中国」蔡英文なんか再選したら台湾経済がどんどん沈んでいくでしょうから最悪の選択だと思いますね。


中西進さん、竹田恒泰さん…各界からお祝いの言葉「真の安寧の実現を」「伝統の尊重に深く感銘」(1/2ページ) - 産経ニュース
 他のメンツはともかく、「ただのネトウヨ」竹田なんぞをよくもまあ有識者扱いできるもんです。


巨人は投手陣が踏ん張れず 日本シリーズ3連敗で一気に崖っぷちに - 産経ニュース
 短期決戦だと良くあることですが、このまま巨人が4連敗で終わるのか、はたまた「4連勝で逆転」は難しいにせよ、「4勝2敗」程度には最低でも盛り返すのか(追記:結局、巨人の4連敗で終戦しました)。

*1:邦訳は2019年、新評論

*2:著書『日本人に生まれて、まあよかった』(2014年、新潮新書)など

*3:エストニアラトビアリトアニア

*4:ただし WEB特集 “私の母乳には毒がある”「ソビエト・ミルク」 | NHKニュース は「3割」と記載しています。

*5:漫画家・新井英樹の連載デビュー作であり、講談社『モーニング』誌上に、1990年35号から1994年34号にかけて掲載された。1992年度の小学館漫画賞青年一般部門受賞。単行本は講談社より全12巻(モーニングKC)。2018年4月にテレビ東京で連続ドラマ化され、2019年9月には映画が公開された(ドラマも映画も「主演(宮本役)は池松壮亮、監督、脚本は真利子哲也」)。新卒営業マンの主人公・宮本が、恋や仕事に不器用ながらも成長し、自分なりの生きざまを見つけていく物語である(ウィキペディア「宮本から君へ」参照)。

*6:むしろ「芸術への不当な介入」と言う非難がほとんどで「薬物犯罪撲滅のために当然の行為」なんていう奴はあまりいないと思うんですがそうでもないのか。

*7:瀧が主役でもこんな不支給は許されませんが重要な役とは言え、主役でなく一脇役(宮本の取引相手である泉谷建設の真淵資材部長)に過ぎません(ウィキペディア「宮本から君へ」参照)

*8:高雄市長、首相など歴任