今日の産経ニュース(2021年1月27、28日分)(追記あり)

静岡の干物店強殺、死刑確定へ 最高裁が上告棄却 - 産経ニュース

 静岡県伊東市の干物店で平成24年、2人を殺害し、現金を奪ったとして強盗殺人罪に問われた元従業員、肥田公明被告(68)の上告審判決で、最高裁第1小法廷は28日、被告の上告を棄却した。死刑とした1、2審判決が確定する。裁判官5人全員一致の結論。
 凶器などの物的証拠や直接の目撃証言はなく、被告は一貫して無罪を主張していた。深山卓也裁判長は判決理由で「種々の客観的証拠に基づき犯人と認めた1、2審の判断は相当だ」と述べた。

 もちろん裁判をきちんとウオッチしていない以上うかつなことも言えません(なお、ググったら伊東市干物店強盗殺人事件 - Wikipediaがヒットしました)。「無罪主張している」からといって無罪とは限らないですが、とはいえ、「松川事件」「八海事件」(一審、二審で死刑判決が出たが最高裁で逆転無罪)、「財田川事件」「島田事件」「松山事件」「免田事件」(いわゆる昭和の四大死刑冤罪:再審無罪)や「帝銀事件」「名張毒葡萄酒事件」「三鷹事件」(冤罪の疑いが指摘され、死刑が執行されないまま獄中で病死)「袴田事件」「北海道庁爆破事件」(現在再審請求中)、「菊池事件」(ハンセン病差別に基づく冤罪の疑いが指摘されている)などといった「死刑冤罪(最高裁で逆転無罪や、再審無罪)」「冤罪の疑いのある死刑事件」が過去に多数あることを我々は既に知っています。「詳しくウオッチしないと、この事件についてうかつなことは言えませんが」一般論としては、「死刑冤罪」の可能性は否定できません。過去に死刑冤罪があるわけですから。
 我々は「全知全能の神」ではありません。正直、俺はこの記事を読んで「本当に真犯人と言えるのか」という恐怖感を感じずには居られません。こういう記事を読むとやはり「死刑は廃止するしかない」という思いを感じます。そしてこういう記事を読んで「大丈夫なのか」という恐怖感を感じない「鈍感な人間」にはなりたくないもんです。というか「恐怖感を感じない人間」とは俺は話が合いそうにない。


特措法・感染症法改正 自民、立民幹事長が修正に合意 懲役削除、過料に改め額引き下げ - 産経ニュース
 「刑事罰は勿論反対だが、50万円の科料にも賛成できない」「科料よりもまず補償を充実させるべきでは無いのか」とする共産を無視して「自民と合意」というのだからいつもながら立民には呆れます。野党共闘をする気が本気であるのか。「俺たちは最大野党だ(だから共産や社民、れいわは俺たちに従うべきだ)」という思い上がりを感じて仕方が無いですね。


<独自>テロ対策区域に釣り人侵入 容疑で書類送検 (1/2ページ) - 産経ニュース
 産経的には「テロ対策区域に釣り人が入り込むなんて、警察の警備に手落ちがあった!。これが本物のテロリストならどんなことになったか!」つうことなのでしょう。
 なお、あくまでも「立ち入り禁止の看板がある区域(大阪港の一部)」に、「良い釣り場だから侵入した。誰にも迷惑はかけてない」という釣り人が「あほで馬鹿」というのを前提にした上での話ですが「そんなところは本当にテロ対策区域に該当するのか?」「該当するなら厳重な警備でそもそも入れやしないのでは?」と個人的には疑問に感じます。


【正論】独裁者の神格化許さぬ立憲君主 東京大学名誉教授・平川祐弘 - 産経ニュース
 「戦前の日本やイタリアが君主国では無かったとでも?。それとも独裁では無かったとでも?」「非君主国は独裁になりやすいとでも?」ですね。呆れて二の句が継げません。
 もちろん問題は「独裁を許さない国民の監視」にあるわけで、「君主国なら独裁になりにくい」「共和制なら独裁になりやすい」なんて事実はどこにもありません。そもそもほとんどの国は今や「共和制」のわけです。君主国の方が数が少ない。


「検定基準に反する」 つくる会、改めて「従軍慰安婦」削除勧告を要請 中学歴史教科書 - 産経ニュース

 文科省は今年1月8日に「教科用図書検定調査審議会の学術的・専門的な審議の結果、検定意見は付されなかったものなので、記述の訂正を勧告することは考えていない」と文書で回答していた。

と既にはっきり明言してるのに

新しい歴史教科書をつくる会」などは28日、「明らかに検定基準に反する」として、改めて同社側に記述削除を勧告するよう同省に申し入れた。

と言うのだから呆れます。「1月8日」に「検定基準には反してない」と門前払いされたのに1月28日に「また同じ事を申し入れ」したって無意味です。そんなに文句があるならとっとと行政訴訟すれば良いでしょう。これが民主党政権なら躊躇無く訴訟なのでしょうが「相手が菅首相、萩生田文科相」ではそれが出来ないのだから全く滑稽で無様です。完全に菅、萩生田コンビはつくる会をなめてるし、それに対してつくる会も何も出来ないわけです。もちろん産経もこの話で菅政権批判などろくにしないわけです。

【追記】

萩生田光一文部科学大臣記者会見録(令和3年1月29日):文部科学省
記者)
 中学の歴史教科書における従軍慰安婦の記述問題でお聞かせください。令和元年度検定で合格した山川出版社の歴史教科書にある従軍慰安婦の記述をめぐって、「新しい歴史教科書をつくる会」などが、昨日、記述の問題点を指摘した上で、文科省の方に削除を勧告するよう求める申入れをしました。同趣旨の申入れは、先月にもなされて、教科書課名で回答済みなのですけれども、この問題について大臣はどのようにお考えでしょうか。また、あの、平成5年の河野談話を除いて、政府が使わなくなった用語が教科書では使われ続けるという状況が是正されるべきとの指摘もあるんですけれども、その点、どうお考えでしょうかお聞かせください。
大臣)
 「新しい歴史教科書をつくる会」などの関係者が、昨日、文科省を来省し、担当課に再度申入書を提出したことは承知をしています。ご指摘の図書の記述については、教科書検定基準等に基づき、教科書用図書検定調査審議会の学術的・専門的な審議の結果、検定意見は付されなかったところであり、記述の訂正を発行者に勧告することは考えておりません。

 ということで予想通り萩生田は、つくる会の申し入れなど無視するし、それでもつくる会は萩生田批判が出来ないわけです。無様で滑稽なことこの上ないですね。民主党政権だったら悪口雑言でしょうに。


教科書の従軍慰安婦記述「検定意見付されなかった」 加藤官房長官 - 産経ニュース

 加藤勝信官房長官は29日午前の記者会見で、4月から使われる中学校歴史教科書に「従軍慰安婦」という記述があることについて、文部科学省教科書検定の基準に沿ったものだとの認識を示した。「教科書検定基準などに基づき、教科用図書検定調査審議会において学術的、専門的な審議がなされ、その結果として検定意見は付されなかった」と述べた。
 一方、「従軍慰安婦」という言葉を広め、慰安婦募集の強制性を認めた平成5年の河野洋平官房長官談話について「基本的立場を継承している」と説明し、見直しを否定した。政府は同26年に河野談話を「見直さない」とする政府答弁書閣議決定している。

 予想の範囲内ですが明らかに菅政権はつくる会の要望に応じる気などありません。それでもつくる会は菅政権批判は絶対に出来ないのでしょう。


中学教科書に「従軍慰安婦」 使用是非で再び議論 河野談話が暗い影(1/2ページ) - 産経ニュース
 もちろん議論なんてどこにもありません。産経らウヨが因縁を付けてるだけですが、「何故、菅政権はそういう態度なのか」はともかく、「検定基準に反する」 つくる会、改めて「従軍慰安婦」削除勧告を要請 中学歴史教科書 - 産経ニュースでわかるように、今や菅政権すら産経らウヨの要請「中学校教科書から慰安婦という語を削除せよ」に応じません。にも関わらず菅批判できないのだから無様です。これが民主党政権ならためらいなく悪口雑言でしょうに。

 昨年12月に申し入れた際には「『従軍慰安婦』という言葉は(先の大戦)当時に存在せず、歴史用語として不適切」や「『従軍』は従軍カメラマン、従軍看護婦などの軍属を指す用語であり、慰安婦が軍属として勤務していた事実はない」などと問題点を指摘した。

 以前も別記事今日の産経ニュース(2021年1月19~21日分) - bogus-simotukareのブログで指摘しましたが「当時はそうした言葉は無かった」というなら例えば「弥生土器」はどうなるのか、と言う話です。
 「当時の言葉で呼ばないといけない」なんてルールはどこにもない。「従軍=軍属」も大嘘で「従軍」と言う言葉に「軍属」と言う意味はありませんし、実際「従軍カメラマン、従軍看護婦など」は必ずしも軍属ではありません。とはいえ以前も別記事今日の産経ニュース(2021年1月19~21日分) - bogus-simotukareのブログで書いたように、林博史氏、吉見義明氏は

【著者名順(著者名が同じ場合は出版年順)】
林博史『日本軍「慰安婦」問題の核心』(2015年、花伝社)
◆吉見義明『日本軍「慰安婦」制度とは何か』(2010年、岩波ブックレット)
◆吉見義明『買春する帝国:日本軍「慰安婦」問題の基底』(2019年、岩波書店)

でわかるように近年「日本軍「慰安婦」」と表現しており「従軍慰安婦」とは表現していませんが。

 河野談話をめぐっては「強制連行説」が否定された*1後も、「広義の強制性(はあった)」とする解釈のもと、現在に至るまで見直されていない。さらに「見直すことや新たな談話を発表することは考えていない」とする答弁書閣議決定されているため、文科省*2河野談話閣議決定と同等の効力があるとの見方を示している。

 まあ、文科省の見解に問題は何もないでしょう。「見直すことや新たな談話を発表することは考えていない」とする答弁書閣議決定されていなくても「官房長官談話は閣議決定より価値が低い」なんてのはデマですが、産経のそうしたデマ見解にたったところで「河野談話を撤回したり、見直したりする気はない」とする答弁書閣議決定されている以上、河野談話は「閣議決定と同等の価値」としか評価しようがない。

 慰安婦問題に詳しい麗澤大の高橋史朗特任教授

 せめて「秦郁彦」でも持ってくるべきでしょうにねえ(呆)。


拉致救出バッジ着用は控訴審でも禁止に フジ住宅「ヘイト」訴訟で - 産経ニュース
 フジ住宅にブルーリボンバッジなど付けられても「救う会はフジ住宅の同類の嫌韓国ヘイターか?」と疑われるだけなのに「フジ住宅を応援する」というのだから救う会の馬鹿さには呆れて二の句が継げませんね。


世界に広まる「慰安婦=性奴隷」説を否定 米ハーバード大J・マーク・ラムザイヤー教授が学術論文発表 - 産経ニュース
 産経記事が「捏造では無く事実」ならば、単に「ラムザイヤー*3」が馬鹿をさらしただけの話であり、それ以上でもそれ以下でもありません。
 そもそもラムザイヤーは過去の著書名で分かるように「経済学者(日本近代経済史専攻?)」であって、「慰安婦問題の研究者」ではない。
 ラムザイヤーは広い意味では「日本近代史研究者」ですが、それはあくまでも「日本近代経済史」限定です。
 「経済学者」ラムザイヤーのしたことは「一応、経済学者*4」の「田中秀臣上武大学教授)」や「高橋洋一嘉悦大学教授)」が慰安婦違法性否定論を放言しているのと何一つ変わりません。しかし「田中や高橋と何一つ変わらない」ラムザイヤーを産経が持ち出すのは「彼らの白人コンプレクス、欧米コンプレクスの現れ」でしょう。
 過去にも「ニセ外人イザヤ・ベンダサン山本七平)」「テキサス親父(いつの間にかフェイドアウトしましたが)」「ケント・ギルバート」だの「外人を持ち出した」り、あるいは「川口マーン惠美(ドイツ在住)」など「欧米出羽守」を持ち出したのと同じパターンです。
 何せ「ニセ外人イザヤ・ベンダサン」「日本ウヨ業界以外では無名の外人・テキサス親父」すら「これが欧米人の意見だ」と持ち出す連中です。「ハーバード大教授でサントリー学芸賞受賞者」なんて「ある種の権威」ラムザイヤーなら当然鼻高々で持ち出すでしょう。
 未だにその種の「白人様万歳」「欧米万歳」が日本で通用すると思ってる。だから「そう言う白人コンプレクス」もあってウヨ連中はトランプにへいこらする(ただし欧米人でもマイク・ホンダ氏のような日本に批判的な存在はできる限り無視し、無視できないときは「反日」だの「韓国の手先」だのと罵る)。こんな欧米コンプレクス連中がよくもまあ「大東亜戦争はアジア解放の聖戦」などとほざけたもんです。
 しかし過去においては「内容の是非はともかく」、それなりに「まともな日本経済史研究家(著書の版元も東洋経済新報社日本評論社でトンデモ右翼系ではない)」と見られていたラムザイヤーが「デマ文章で晩節を汚す」とは滑稽な話です。

【追記】

https://twitter.com/emigrl/status/1359990114458292228
エミコヤマ
 ラムザイヤー、在日コリアンについての記述のソースとして余命とか桜井誠をふつうに引用してるよ… 学者としてムリでしょ、もう。

https://twitter.com/KebyJr/status/1360062437530038273
S.carloS
 まさかと思ったんでが、「公的(政府)支援を受ける在日コリアンの割合(15.1%)が日本人より(3.1%)よりよっぽど高い」という主張の根拠として、桜井誠の文献(日本第一党宣言128ページ)を裏付けの資料として引用していますね。論文27ページで。

https://twitter.com/hfmasaki/status/1360184234208448513
Hisako Masaki
 こんな論文を発表させた学会がどうなっているのかと思います。ピアレビュー*5段階で何故止められなかったんだろう、と。

ということでコヤマ氏らのツイートを信用するならば「予想以上に」ラムザイヤー論文は酷そうです。さすがに日本のウヨ学者連中ですら桜井誠や余命三年なんか自説の根拠にする奴はまず居ないでしょう。


さいたま市長選 共産系新人が出馬表明 - 産経ニュース
 立民が支援する気らしい現職は「共産が支援できるような候補とは到底言えない(要するにウヨ)」ので独自候補擁立に動くのはある意味当然ではあります。


高齢者ワクチン接種は4月以降にずれ込み 河野担当相、知事会に説明 - 産経ニュース
 ということで基礎疾患患者はともかく、高齢者(60歳以上?)は「どんなに早くても4月以降」ということで当面ワクチン接種がないらしいことが明らかになりました。もちろん「50代以下」はなおさら「ワクチン接種の見込み」は当面ありません。
 もちろん「見込み」にすぎないのでこの「見込み」が、さらに後ろ倒しにならない保証は今のところありません。当面は「PCR検査による隔離」「三密防止」「マスク着用」「手洗いとうがい」という感染予防対策をするしか無く、感染した場合も「決定的な治療法」は何もありません。
 「感染しないこと」「感染しても最悪でも死なないこと(そして出来れば早期発見、早期治療(?)が出来ること)」を祈念する他はありません。


米露、新START5年延長で合意 戦略兵器削減条約、土壇場で失効回避 - 産経ニュース
 トランプが落選したことによって核軍縮問題で、ベストではないにせよ「最悪の事態は回避できた」といっていいのでしょう。
 しかし産経曰く【主張】米露の延長合意 中国なき核軍縮は疑問だ - 産経ニュースだそうでいつもながら無茶苦茶な産経です。
 今のところ中国は新STARTに参加する意思を見せておらず、自動延長しなければ、2/5に期限が切れる。2/5までに中国に参加させることはまず無理という状況下でこんなことを言うのは「中国が参加しなければ期限切れで構わない」と言ってるのと同じですが、そんなバカは産経など「一部の常軌を逸した反中国」だけでしょう。
 仮に「中国を含めた核軍縮合意が必要」という立場に立つとしても「まずは新STARTは今後も継続し、米露の核軍縮を進めよう(中国の問題は別途考える)」と思うのが当然でしょう。
 そもそも産経は「核軍縮に否定的」であることもそうした態度を産経が取る理由の一つですが。産経の場合「中国の参加」云々は本気では無く「新STARTを期限切れで消滅させたい」が本音では無いのか。

*1:そんな事実はどこにも無く完全なデマです。そもそも最初から吉見義明氏などは「狭義の連行(暴力的連行)」に話を限っていません。また「慰安婦全てが狭義の連行」といったら嘘になりますが「狭義の連行」による慰安婦も存在します。かつ「北朝鮮拉致」については産経らウヨは「横田めぐみ」のような「狭義の拉致(暴力的拉致)」だけでなく「よど号グループにだまされたとはいえ自分で訪朝した有本恵子」など「広義の拉致」も拉致被害者扱いしてるのだから全くデタラメです。「だましによる慰安婦連行は法的、道義的に問題ない」と強弁するのなら「有本恵子は拉致ではない、だまされたとはいえ国交がない国に一人で訪朝した有本の自業自得」としたらどうなのか?(もちろんウヨへの皮肉として言っています)

*2:文科省が」というよりは「政府(安倍、菅政権)、与党(自民、公明)が」なのですがどうしても安倍、菅批判が出来ない産経です。

*3:『法と経済学:日本法の経済分析』(1990年、弘文堂)でサントリー学芸賞を受賞。著書『日本政治の経済学』(共著、1995年、弘文堂)、『日本経済論の誤解』(共著、2001年、東洋経済新報社)、『産業政策論の誤解:高度成長の真実』(共著、2002年、東洋経済新報社)、『経済学の使い方:実証的日本経済論入門』(共著、2007年、日本評論社)など(J・マーク・ラムザイヤー - Wikipedia参照)

*4:まあ、モリカケや桜ですら詭弁で安倍をかばったことがたたって今や田中や高橋を「まともな経済学者」と見なしてる奴はいないでしょうが。ラムザイヤーも今後同じ扱いでは無いか。

*5:論文を雑誌に掲載するかどうかを決定する、いわゆる「査読」のこと