高世仁に突っ込む(2021年3/17日分)

韓国では関心が低い「慰安婦問題」 - 高世仁の「諸悪莫作」日記
 タイトルだけで

◆高世は何が言いたいんだ、「だから慰安婦問題で安倍や菅がどんな態度を取ろうが問題ないんだ」という居直りでもする気か、もしそうなら本当にクズだな、お前
◆それとは180度逆で『もっと韓国人は慰安婦問題に興味を持つべきだ』なら話は別だが、救う会右翼・荒木和博と野合し、かつては「新しい教科書をつくる会」理事という歴史捏造主義・嫌韓国右翼「三浦小太郎」を「畏友」と呼んだ高世だからたぶんそうじゃないんだろうな

と思って、「暗澹たる思い」「おぞましさと吐き気」を感じますね。
 で読んでみましたが、現時点では「続く」で「そうした嫌韓国トーン」「居直りトーン」は低いですがたぶん今後そうしたトーンがモロ出しになってくるのでしょう。
 でそんなんは高世が言うほど「驚きの事実」なんかではない。
 例えば「ロシアでのスターリン粛清」「中国での文革」「バルト三国でのソ連併合問題」などは今もそれらの国において「ホットな問題」なのか。おそらくそうではないでしょう。「文革スターリン粛清などの直接の被害者」ならともかく、特に「スターリン死後(1953年以降)に生まれたロシア人(67歳以下の人間)」「文革終了後(1977年以降)に生まれた中国人(43歳以下の人間)」「バルト三国の独立後(1991年以降)に生まれた人間(29歳以下の人間)」の多くにとってはそんなことは「自分に関係ない昔の出来事」でしかないでしょう。
 日本人だって例えば

【括弧内は当事者です】
東京大空襲、広島、長崎の原爆、沖縄戦、シベリア抑留(戦争被害者)
北方領土北海道民)、竹島問題(島根県民)、尖閣問題(沖縄県民)などの領土問題
伊勢湾台風名古屋市民などの被災者。これについては拙記事新刊紹介:「歴史評論」2021年4月号 - bogus-simotukareのブログで、◆歴史のひろば『伊勢湾台風へのまなざし:名古屋歴史科学研究会2019年度大会(テーマ:伊勢湾台風現代社会)を中心に』(鈴木雅)についてコメントしました)
阪神大震災(神戸市民などの被災者)
東日本大震災福島原発事故福島県民などの被災者。高世もこれについては大震災から10年の雑感 - 高世仁の「諸悪莫作」日記で「震災の風化」を嘆いています)
拉致問題拉致被害者家族)
◆米軍基地問題(沖縄、広島岩国など)、原発問題(新潟、福井など)などのいわゆる「迷惑施設問題」(迷惑施設の近くに住む日本人)
水俣病などの公害問題、エイズ薬害などの薬害問題(公害、薬害被害者)
同性婚合法化問題(同性愛者の日本人)
夫婦別姓問題(夫婦別姓を希望する日本人)
◆冤罪問題(冤罪被害者)
ハンセン病差別問題(ハンセン病患者とその家族。これについてはやはり入門編としては映画『砂の器』を推薦したい。『砂の器』については以前、「砂の器」雑感(ネタバラシあり) - bogus-simotukareのブログ中国での松本清張 - bogus-simotukareのブログ「砂の器」と国語研(一部ネタばらしがあります) - bogus-simotukareのブログ欧米(?)での松本清張 - bogus-simotukareのブログある意味「贅沢な映画」である「砂の器」 - bogus-simotukareのブログで以前触れました)
◆いわゆる待機児童問題(いわゆるワーキングマザー)
視覚障害者の駅ホームでの転落死問題(視覚障害者)
視覚障害者、聴覚障害者などの「介助犬」入店不当拒否問題(介助犬を使う障害者)

などへの関心は正直「当事者」以外は低いでしょう(例は何でも良いのですが思いついた物をいくつかあげてみました)。
 拉致なんかもはやマスコミが取り上げることはほとんど無くなった。拉致は完全に風化した。新型コロナや「総務省接待問題」の方が余程報じられている。「過去に拉致をネタに散々金儲けをしていた」高世仁も卑劣にも、拉致が風化し金にならなくなると「ジンネット倒産」を契機に拉致問題から逃げ出す有様です。まあ、高世はその辺り曖昧にごまかしていますが、最近のブログ記事では拉致のことなどまるで書かないのだから逃げてる以外の何者でもありません。高世も呆れた馬鹿でクズです。
 「同じ日本人同胞のことだから、当事者で無くても関心があるんです」なんて人間はまず居ない。韓国人だってその点は変わらないでしょう。
 なにも慰安婦問題に限ったことでは無く最近の韓国人は「朝鮮戦争(1953年休戦)」「青瓦台襲撃事件(1968年)」 「文世光事件(1974年)」「ラングーン事件(1983年)」「大韓機爆破事件(1987年)」などへの関心も低いでしょう。だからこそもはや韓国(人)にとっては、北朝鮮は「脅威」「打倒の対象」よりもメロドラマのネタ程度のものなのだろう(たぶん日本も同じ 関川某も自分の書いたことを撤回しろとおもう) - ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)ということになる。
 それはともかく、日本人同胞ですら「当事者でない」と「無関心なことが多い」。「パレスチナ問題」「シリア内戦」「ミャンマーロヒンギャ問題」「中国の少数民族問題(チベットウイグル)や香港問題」などといった外国の問題なんか日本人はもっと関心なんかない。
 「パレスチナ人がかわいそう、イスラエル許せない!」とかまずない。拙記事新刊紹介:「歴史評論」2021年4月号 - bogus-simotukareのブログ

パレスチナイスラエル論』(早尾貴紀、2020年、有志舎)

と言う本について簡単に触れましたが、出版社は「有志舎」という中小出版社です。講談社小学館といった大手でパレスチナ問題の本が出てベストセラーとかまずありえない。
 高世が香港 国安法に屈しない人々3-天安門事件を忘れない - 高世仁の「諸悪莫作」日記なんて書いたところで俺も含めてほとんどの日本人は全く何とも思わない。むしろ「中国ビジネスは日本経済にとって大事なんだからあまり非常識な中国批判するなよ」「習主席が早く訪日して日中関係が更に進展するといいな」と俺なんかは思う。
 さすがに「原爆投下やシベリア抑留」に関心の薄い日本人でも米国やロシアが「我々のしたことには何の問題も無い」「原爆投下で戦争終了が早まった」などと居直ったらそりゃ大抵の人間は怒るでしょう。
 現在の日韓関係はそう言う状況です。
 というか「関心が低い」からこそ「河野談話アジア女性基金で一応決着した」という側面があるわけです。
 もちろん日本でも韓国でも「河野談話(宮沢内閣)やアジア女性基金(村山内閣)に対する批判*1」はありましたが、「是非はともかく」そうした批判はそれほど強い力は無かった。
 だからこそ「ポスト宮沢、村山」である橋本内閣、小渕内閣などでは今のような「慰安婦問題での日韓対立」なんてもんはなかった。
 そうした「慰安婦問題の再燃」という事態を生み出したのは「約7年8ヶ月」という「史上最長となった第二~第四次安倍政権」による「慰安婦違法性否定の企み」によってです。
 おそらく「谷垣内閣や石破内閣」なら今のようなことにはなってないでしょう。
 そして第二~第四次安倍政権が第一次のように短命に終わるなり、「長期政権でもマスコミが慰安婦問題については安倍をガンガン批判すれば(例えばホワイト国除外への批判)」まだよかった。そうではないからこそ日韓関係が悪化するわけです。
 慰安婦問題については安倍どころか「あいちトリエンナーレの少女像」で無茶苦茶な大村愛知県知事非難を始めた河村名古屋市長も批判しないのだからげんなりします(まあ河村等、慰安婦否定ウヨのバックに安倍がいるからこそ河村などをマスコミがまともに批判しないという要素もありますが)
 というか「韓国人の慰安婦への問題意識が高いかどうか」なんてことは「慰安婦問題で逆ギレした」安倍や菅の無法「ホワイト国除外やフッ化水素水輸出禁止」の是非(俺は勿論、非の立場ですが)と関係ないわけです。
 「韓国では関心が低い」とかそんなことは我々日本人にとってある意味どうでも良い。問題は

◆我々日本人が『慰安婦を侮辱して恥じない安倍や菅のような奴』を容認して良いのか。それで日韓友好が構築できるのか。そして、そんな不道徳な奴を野放しにするから政治道徳が劣化して「モリカケ、桜」などの政治腐敗では無いのか。
◆それでは日本政府は『いずれ同じような過ち(戦争犯罪や人権侵害)を犯す』のではないか
◆元慰安婦に対して無礼では無いか
◆そんなことで女性差別がなくせるのか。日本がそんなことだから森「女性が多い会議は時間がかかる」や杉田「女性はいくらでも嘘をつく」という女性蔑視暴言じゃないのか。そんなことだからウヨメディアが伊藤詩織氏(レイプ被害者)を誹謗するんじゃ無いのか

などと言う話です。

 今の日韓関係は戦後最悪と言われるが、それは両国の力関係が大きく変化し、主には韓国側の日本に対する意識が変わってきたことがベースにあるという。
 要は日本の国力が沈み、韓国が力と自信をつけたいま、日本は韓国にとってワンオブゼムにすぎない。それに対して日本側は、昔と同じような「上から目線」で韓国を見ている。ここに大きなギャップが生まれているという。

 「そりゃそうだろう、お前に言われなくても知ってる。高世はどや顔すんじゃねえよ」「それが分からない奴ははっきり言ってバカだろ」で終わる話です。しかも「上から目線」が「それなりに正当性や合理性のあるもの」ならまだいい。

安重根はテロリストなのになぜ義士と称えるのか
◆日本の韓国植民地統治のおかげで韓国が近代化した
慰安婦に問題など無い、河野談話は間違ってる
端島炭鉱(いわゆる軍艦島)での韓国人徴用工には問題など無かった。世界遺産登録に反対する韓国の批判は言いがかりだ

などと罵倒や「事実を否定する居直り(歴史修正主義)」を始めるから話にならない。
 なお、

日本側は、昔と同じような「上から目線」

云々というのは「一面の真実」にすぎず、「厳密には正しくありません」。
 第一に「昔ですら」

◆久保田妄言事件(吉田内閣時代)
 これについては例えば久保田貫一郎 - Wikipediaいま振りかえる 植民地支配 歴史と実態(3)/戦後、日本政府がとった態度は参照
◆高杉妄言事件(佐藤内閣時代)
 これについては例えば高杉晋一 - Wikipediaいま振りかえる 植民地支配 歴史と実態(3)/戦後、日本政府がとった態度は“メディアは事実を伝えるのが仕事だ”と主張する人に伝えておきたい政府・メディア共同で犯した隠蔽事件 - 誰かの妄想・はてなブログ版参照。
◆文世光事件での朴正熙の「日本政府への激怒」(田中内閣時代)
 これについては例えば文世光事件 - Wikipedia参照。これについては文世光事件 - Wikipediaにも書いてありますが朴をなだめに言った「韓国ロビー」椎名悦三郎(当時、自民党副総裁。池田、佐藤内閣外相として日韓国交正常化交渉に関与。また戦前は岸商工相のもとで商工次官を、戦後は岸内閣で官房長官を務めた岸の側近としても知られる)がさんざん朴に「日本は何を考えてるのか」と罵倒される羽目になります。
◆藤尾文相暴言問題(中曽根内閣時代)
 これについては例えば藤尾正行 - Wikipedia参照

などで韓国側の「反日感情(?)」が爆発しています。何も「韓国が経済大国になったこと」だけが日本批判の理由ではない。
 もちろん「経済大国になったこと」でさらに「日本はふざけるな」となるわけですが、「今と違ってまだまだ貧しかった」吉田内閣、佐藤内閣、田中内閣時代ですら場合によっては「日本への怒りが大爆発」のわけです。
 第二に、ずっとそんな「上から目線」オンリーなら「河野談話(宮沢内閣)」「アジア女性基金(村山内閣)」「菅直人首相談話とそれに基づく朝鮮王朝儀軌(略奪文化財)の返還(談話は菅内閣、返還は野田内閣)」なんてもんはない。
 過去において「河野洋平氏(宮沢内閣官房長官、村山、小渕、森内閣外相など歴任)」「宮沢喜一氏」「村山富市氏」「菅直人氏」などがそうした「上から目線」を是正しようとしたにもかかわらず「是正できなかった」と言う話です。

*1:もちろんここで言う批判とは産経、日本会議など、歴史修正主義極右の『慰安婦に問題など無い』という批判(居直り)では無く、左派、リベラル派(例:日本共産党、吉見義明氏、林博史氏、挺隊協など)の「居直るよりはマシだが河野談話などは100点満点を与えられるような物ではない、更なる取り組みが必要だ」という批判ですが