「珍右翼が巣くう会」に突っ込む(2019年9/17分:荒木和博の巻)

帰すべき人を日本へ【調査会NEWS3076】(R01.9.17): 荒木和博BLOG
 「返すべき人(拉致被害者)を日本に返せ」と叫ぶだけで問題が解決するなら誰も苦労しません。その上荒木ら巣くう会は「特定失踪者は拉致被害者」とデマまで飛ばしてるのだからなおさら解決なんかしない。家族会が本気で拉致を解決したいならまず荒木ら巣くう会と縁切りすることでしょう。「蓮池透氏と家族会が和解しない限り」それができるとは全く期待していませんが。


小銃対遺憾砲【調査会NEWS3073】(R01.9.14): 荒木和博BLOG

 大和堆で海保の巡視船が北朝鮮のボートから小銃を向けられて、日本政府は北京の大使館ルートを通じて「厳重に抗議した」とのこと。
 やがて小銃を持った人間が日本に上陸することも想定しておかなければいけません

 ばかばかしい。船から小銃を向けるのと、小銃を持った人間が日本国内に上陸するのと全然違うでしょうよ。よくもまあ自分ですら信じてないデマが飛ばせるもんです。

今日の産経ニュース(2019年9月17日分)(追記あり)

【正論】「地球温暖化」論議に再考を促す 日米近現代史研究家・渡辺惣樹 - 産経ニュース
 主張内容自体、温暖化CO2原因否定論という似非科学*1でひどいですが、それにしても「日米関係史」ならまだしも「日米近現代史研究家*2」なる肩書の人間に書かせる文章じゃないでしょう。


【主張】処理水と小泉氏 前環境相の決意受け継げ - 産経ニュース

「思い切って放出して希釈する他に選択肢はない」と、退任直前の原田義昭環境相(当時)が発言した。
 東京電力福島第1原子力発電所で増え続ける、有害放射性物質除去後の処理水に関する閣僚としての思いだ。批判を覚悟でよくぞ表明したと評価したい。本来は安倍晋三首相の口から聞きたかった所感である。
 漁業関係者は猛烈に反発した。風評被害の増大を懸念しての対応である。その怒りと危惧は理解できる。しかし、処理水をため続けることの大きなマイナスも存在する。
 トリチウム放射線のエネルギーが弱く、体内に摂取しても速やかに排出されるので、韓国を含め世界の原子力施設からトリチウム水は海洋放出されている*3
 小泉氏が勉強し、風評被害という因習打破に動く姿を見たい。はたして、それができるか。

 そりゃ安倍も五輪招致の演説で「汚染水はアンダーコントロール」といった手前、「海に放出」なんて恥ずかしくて言えなかったんでしょう。もちろん産経が指摘する「漁業関係者の反発」もあります。もちろん産経は「放出してオーケー」と放出支持派(安倍自民や東電)を擁護するわけですが。
 それはともかく安倍が小泉JRを環境相に据えた理由の一つ(すべてではないにせよ)はこれかもしれません。
 つまり「小泉人気」とやらで汚染水放出が国民多数に容認されれば*4御の字だし、「小泉JRってそんな人間だったのか、失望した」として小泉JRの人気が落ちてもどっちでも安倍的には歓迎できるわけです。
 小泉JRが「汚染水放出なんかできません、やれというなら更迭してくれ」といって「小泉人気アップ、安倍人気(?)ダウン」となると安倍にとって困りものですが、そうはならないという読みなんでしょう。まあ、俺も小泉JRにそんな度胸はないと見ますが、ただ安倍の場合「韓国のWTO提訴」を予想せず、「すぐに韓国は音を上げる」と思い込んでホワイト国除外をしかけたとしか思えない前科がありますからね。安倍の読みほどあてにならない「いい加減なもん」もない。


【産経抄】9月17日 - 産経ニュース

▼9年前から阪神でプレーしてきたランディ・メッセンジャー*5投手は、バッキー*6さんと連絡を取り合っていた。バッキーさんは、日本ですでに98勝を挙げているメッセンジャー投手が、自らの100勝の記録を超えるのを楽しみにしていた。ところがメッセンジャー投手は今月13日、現役引退を発表する。バッキーさんが米ルイジアナ州で82歳の生涯を終えたのは、その翌日だった。
▼バッキーさんは引退後、故郷で中学の教師を務めながら牧場を経営していた。昨年4月、サンケイスポーツの記者が自宅を訪れている。阪神にテスト入団して、夫人と子供とともに来日した頃のエピソードを昨日のことのように語っている。日本人はみんな親切だった。和式トイレを除いて困った経験はない。
▼昭和39年には29勝9敗で阪神のリーグ優勝に貢献した。外国人初の沢村賞に選ばれたのが一番の思い出である。
「できればもう一度、この目で甲子園を見てみたい」。
 涙ながらに語る場面もあった。

 「バッキーて亡くなってたんだ」というのが個人的感想です。
 阪神ファンが書いた普通のスポーツ記事ですね。いつもこうなら問題ないのですが、産経抄には時々『異常な右翼記事』が混入されます。

参考

バッキー氏は打のバースに並ぶ最強外国人/吉田義男 - プロ野球 : 日刊スポーツ(日刊スポーツ客員評論家)
・1964年(昭39)の逆転リーグ優勝は、バッキーの活躍なくしては語れません。
・その年のバッキーは、29勝(9敗)で最多勝最優秀防御率。チームが優勝したので、MVPにふさわしい活躍でした。だが、選ばれたのはシーズン55本塁打をマークした王*7(巨人)で、バッキーには気の毒でした。
・東京遠征で後楽園球場近くの清水旅館に滞在した時は、(中略)ふすまで仕切られた畳部屋に布団を敷き、浴衣姿で寝てました。ジャパニーズスタイルに不平も言わず、異国のしきたりになじもうとしていました。
 日本文化を理解しようとする姿が印象的で、それが成功につながったのでしょう。阪神歴代外国人の最強は、打のバース*8、投のバッキーでしょう。懐かしいし、寂しい。愛すべき助っ人でした。

【悼む】「ガハハハ!」笑顔、笑顔…それがバッキーさん - 野球 - SANSPO.COM(サンスポ)
 バッキーさんの周りには笑いがあふれていた。
 自宅を訪ね、インタビューをしたのは昨年3月終わり。自宅はきれいに整理されていたが、ある部屋だけ、物置のようになっていた。「ここは何の部屋ですか?」と聞くと、「古い写真とかがあるはずだけど、もう何がどこにあるのか分からない」と豪快に笑った。
 整理を買って出ると、出てくる、出てくる、子供のときや阪神時代の写真が。そして、どんどん昔の記憶が蘇ってきて、何度も破顔した。
 「これは吉田さん*9(義男)だ、ほら、こんなに若いだろ? ガハハハ!」
 取材2日目の夕方、いっしょに阪神時代のビデオを見ていると、近所の小学生くらいの子供たちがやってきた。
 「バッキーさん、明日はゴミの日だよ。外に出しておいてあげる」
 子どもたちを呼び寄せたバッキーさんは「ほら、ここに映っているのが俺だ。昔は、本当にプロ野球選手だったんだぞ」と自慢気に言った。
 「へぇ~、本当だ。でも、昔は痩せてたんだね!」
 「ガハハハ!」
 笑顔、笑顔、笑顔。それがバッキーさんを思い出すときに浮かぶ顔である。

池井優慶大名誉教授「とても陽気で」バッキー氏悼む - プロ野球 : 日刊スポーツ
■元助っ人選手を取材した「ハロー、スタンカ、元気かい:プロ野球外人選手列伝*10」著者の池井優*11 慶大名誉教授のコメント
 昨年のジョー・スタンカさん*12に続き、60年代を彩った名投手が相次いで亡くなりましたね。とても陽気で(中略)不慣れな旅館や文化住宅での暮らしに文句ひとつ言わず、日本に溶け込もうとした姿勢が誰からも愛されていました。謹んでご冥福をお祈りします。

*1:もちろん安倍政権ですらそんな立場ではありません。

*2:もちろん産経が持ち上げるような人間ですからその「日米関係史」にしてもまともな代物ではないですが。なんせ著書が『第二次世界大戦アメリカの敗北:米国を操ったソビエトスパイ』(2018年、文春新書)ですからね(呆)。完全な陰謀論です。

*3:東京電力「トリチウム水海洋放出問題」は何がまずいのか? その論点を整理する | ハーバービジネスオンラインを信じればトリチウム以外の放射性物質が含まれているため「トリチウム水」というのは詐欺も甚だしいようです。

*4:「そうならないと言い切れない」と思う俺は日本国民多数派の知性を全く信頼していません。

*5:1981年生まれ。2010年から阪神タイガースで投手として活躍(ウィキペディアランディ・メッセンジャー」参照)

*6:1937~2019年。阪神タイガース (1962~1968年)、近鉄バファローズ (1969年)で投手として活躍。1964年に29勝9敗、防御率1.89の好成績を挙げ、最多勝利、最優秀防御率のタイトルを獲得し、沢村賞に選ばれた。外国人選手が沢村賞を受賞するのはこれが初めて。バッキーの活躍でこの年の阪神セリーグの優勝を果たした。同年の日本シリーズでは南海ホークスと対戦、第6戦でエースのジョー・スタンカと投げ合ったが0-4で敗れた。この年のシーズン200奪三振は、2014年にランディ・メッセンジャー226奪三振を記録するまで、阪神球団所属外国人投手の最多シーズン奪三振記録であった。なお、彼の姓の発音は日本語で表記すると「バックエ」に近い。日本に来た際に、「バックエ」では化け物を連想させるなどの理由で、太平洋戦争前に名古屋軍中日ドラゴンズの前身)などで活躍したバッキー・ハリスにあやかり「バッキー」と表記することになった。バッキーのマウンド姿のフィルムは多く現存しており、小津安二郎監督の映画『秋刀魚の味』(1963年)では、笠智衆中村伸郎が飲んでいる居酒屋のテレビに阪神対大洋戦のテレビ中継画面が映り、そこでバッキーが大洋の4番打者桑田武を迎えるというシーンが登場する(ウィキペディアジーン・バッキー」参照)

*7:1940年生まれ。1959~1980年まで巨人で選手として活躍。1977年に通算本塁打世界新記録達成(756本)で国民栄誉賞を受賞。選手引退後も巨人監督(1984~1988年)、ホークス監督(1995~2008年)、日本代表監督 (2006年)を歴任。現在、福岡ソフトバンクホークス株式会社取締役会長(ウィキペディア王貞治」参照)

*8:1954年生まれ。1983年から1988年まで阪神タイガース一塁手としてプレーし、1985年のセリーグ優勝、日本シリーズ制覇に貢献。現役引退後、2004年から2019年1月3日までオクラホマ州議会の上院議員民主党)を務めた。NPBにおけるシーズン打率の日本記録保持者(3割8分9厘)であり、外国人選手としてNPB史上最多となる2度(1985年、1986年)の三冠王(最多打率、最多本塁打数、最多打点)に輝いている(ウィキペディアランディ・バース」参照)

*9:1933年生まれ。遊撃手として阪神タイガース (1953 ~1969)で活躍し、1962年、1964年のセリーグ優勝に貢献。その後も阪神監督(1975~1977年、1985~1987年、1997~1998年)、フランス代表監督(1989~1996年)を歴任。1985年に阪神監督としてセリーグ優勝、日本シリーズ制覇を果たしている(ウィキペディア吉田義男」参照)。

*10:1986年、講談社文庫

*11:1935年生まれ。専門は日本外交史で『駐日アメリカ大使』(2001年、文春新書) 、『語られなかった戦後日本外交』(2012年、慶応義塾大学出版会)などの著書があるが、野球通として知られ、『白球太平洋を渡る:日米野球交流史』(1976年、中公新書)、『ハロー、スタンカ、元気かい:プロ野球外人選手列伝』(1986年、講談社文庫)、『野球と日本人』(1991年、丸善ライブラリー)など野球関係の著書が多数ある(ウィキペディア「池井優」参照)。

*12:1931~2018年。南海ホークス (1960~1965年)、大洋ホエールズ (1966年)で投手として活躍。1964年には26勝を挙げてシーズンMVPに輝き、阪神タイガースとの日本シリーズでは第1、6、7戦で先発し3完封し、南海の日本一に大きく貢献。日本シリーズMVPも受賞した。スタンカ以降、ホークスの外国人投手の2桁勝利は長らく達成されず、デニス・ホールトンの登場まで44年を待たねばならなかった(ウィキペディアジョー・スタンカ」参照)。

今日の中国ニュース(2019年9月17日分)

「西側デモクラシー」と「中国デモクラシー」の違い|コラム|21世紀の日本と国際社会 浅井基文のページ
 浅井先生が紹介する中国共産党機関誌『求是』の主張は俺の認識では以下の通りです(詳しく知りたい方はリンク先を読んでください。まあ、そんなに間違った要約ではないと思いますが)。
1)欧米は中国に民主主義がないと批判する。しかし中国にも「議会的システム」として、全人代全国人民代表大会)と政協(人民政治協商会議)が存在し、全く「民主主義が欠落している」わけではない。
 もちろん「共産党の指導的地位」を認める点で中国型民主主義(浅井先生の表現だと「中国デモクラシー」)は「欧米型民主主義(浅井先生の表現だと「西側デモクラシー」)」とは異なるが。
2)アメリカでの「トランプvs反トランプ」、英国での「EU離脱派vs存続派」の深刻な対立を考えるに欧米型民主主義は完全無欠ではない。少なくとも一部の国(例:米英)では深刻な内部対立を生んでいる。いまだに英国はEU離脱問題を決着できない。
3)いまだ「都市と田舎の経済格差」「民族間の対立」など様々な矛盾を抱える我が中国が、欧米型民主主義を「中国化せずに導入すること」は内部対立を激化させ、経済成長を阻害し国益を害する危険性が否定できない。
4)そもそも「欧米型民主主義でない国」は発展途上国を中心に他にもあるのに欧米が我が中国ばかりを非難するのはダブルスタンダード
(以上終わり)
 もちろん自己正当化という面は明らかにあるでしょう。しかし全くの嘘というわけではないでしょう。それなりに本心でしょう。
 そして浅井先生も「手放しでは支持できないとはいえ『求是』の主張は一面の真理はある」「中国民主化は漸進的な進み方が現実的で望ましいだろう」としています。俺も同感ですね。
 漸進的な形でしか中国の民主化は進まないでしょうし、下手に進めたらそれこそ『求是』や浅井先生が危惧するように国内対立を助長しかねないでしょう。
 などと書くと小生や浅井先生が、一部の人間(例:阿部治平)から「中国に甘い」とみなされるのはよくわかっていますが、俺はそう思っています。
 いずれにせよ浅井先生や俺の中国認識に関係なく、浅井先生がおっしゃるように「中国の政治的考えがわかりやすい」という意味で『求是』論文は重要な価値があるのではないかと思います。
 なお、浅井先生や『求是』も批判していますが、「ほとんど中国と同じ理屈」でサウジなどが反民主的な部分を正当化してることを欧米が容認してることを考えれば、まあ、欧米の「民主主義をネタとした中国批判」ははっきり言ってでたらめですよね。

高世仁に突っ込む(2019年9/17分)

「暴力」を肯定する香港の若者たち - 高世仁の「諸悪莫作」日記

 この3カ月で、香港政府とくに警察への不信感が決定的になり、運動の目標が「5つの要求」に拡大した。それは1. 改正案の完全撤回、2.警察と政府の、市民活動を「暴動」とする見解の撤回、3. デモ参加者の逮捕、起訴の中止、4. 警察の暴力的制圧の責任追及と外部調査実施、5. (ボーガス注:香港行政長官)林鄭月娥の辞任と民主的選挙の実現だ。もう改正案の完全撤回などそのうちの一つに過ぎないのだ。
 多くのデモ参加者が逮捕されても運動が潰れずに続く要因の一つは、リーダーがおらず、市民一人一人が自主的に参加する運動形態にある。周庭さんも自分は今回はリーダーではなく、ただ市民の一人としてやっていると私に語っている。
 しかし、リーダーがいないと今後、政府と交渉して落としどころ(あまり好きな言葉ではないが)をさぐるといったことができない。
 5つの要求の中の民主的選挙の実現などとてもすぐに北京指導部が認めるわけがないと思う
(中略)
 気になるのは、警察との衝突を経てデモ隊側が火炎瓶を投げるなど暴力がエスカレートしていることだ。運動側の言い分は、「沒有暴徒 只有暴政」(暴徒はいない、暴政あるのみ)、警察の暴力こそが問題だという。
(中略)
 日本に住む人には意外に思われるだろうが、運動参加者の中では、デモ隊の暴力を肯定する声が非常に多い。
(中略)
 ある集会に制服姿で参加した女子中学生(6年制なので4年以上は日本でいう高校生)に、デモ隊の一部が暴力的な行為をすることをどう思うかと聞いたところ、問題は「完全に平和的な方法では解決しないと思う」と答えた。さらに「これは革命なので、流血は避けられないのではと思う。(ボーガス注:フランス革命など?)歴史をみてもそうだ」とまで言った。
 暴力の連鎖が続く先にどんな事態が来るのか。澄んだ目で「革命」を語る若者たちの行く末が心配でならない。

 北朝鮮拉致問題では「即時一括帰国」などという家族会、救う会の暴論を容認する高世もまあ、香港デモだとずいぶんとまともなもんです。
 「デモ隊の5つの要求を全部すぐに飲め」「飲まない香港当局と中国がすべて悪い」「警察が先に暴力をふるったのだからデモ隊の暴力に問題などない」という度胸はないようです。

 澄んだ目で「革命」を語る若者たちの行く末が心配でならない。

というのは時代情勢やイデオロギー*1が違うとはいえ、高世が「連合赤軍」のような事態(暴走の果てに市民に見捨てられ、当人も傷つく)を恐れてるということでしょうか。
 一方、福島香織

福島香織
・香港のデモは過激化しているが、七割方の市民が、あの暴力を容認しているのは何故か。時代革命って認識が、共有されているんじゃないかな。100年なかった未曾有の変革のきっかけが、香港ってありえそう。
・この香港の動きに、米英がのっかり、台湾、その他世界中の反共勢力*2がのっかり始めて、党内にも呼応者がでてきたら、次のステージがあるかもしれない。香港デモが、暴れるだけ暴れて疲れ果ててフェードアウト、って単純な話でなくなるかもよ。
北京冬季五輪が、中共の花道って気がしてきた

などと無責任な放言をするのだから心底呆れます(なおこの無責任な放言にリツイートしていたのが例の野原さんです。反中国をどこまでこじらせてるのか?)。
 まあ「米英は乗らない」でしょうねえ。
 それにしてもこんな与太を書いて恥じない福島は「産経時代が全盛期って気がしてきた」ですね。あとは反共デマゴーグとして落ちる一方なんでしょうね。

*1:もちろん高世の言う『澄んだ目で「革命」を語る若者たち』は連合赤軍などのような「狭義の左翼(マルキスト)」ではないでしょう。

*2:「民主主義勢力」と書かないあたりが「福島も本当に劣化したな」感がありますね。香港デモの参加者も「反共主義者」扱いされてはかえって迷惑でしょうよ。

新刊紹介:「前衛」10月号(追記あり:日本ラグビー代表、事前予想を裏切り決勝トーナメント進出)

 「前衛」10月号の全体の内容については以下のサイトを参照ください。「興味のある内容」のうち「俺なりになんとか紹介できそうな内容」だけ簡単に触れます。「赤旗記事の紹介」でお茶を濁してる部分が多いです。
http://www.jcp.or.jp/web_book/cat458/cat/

■グラビア『学童クラブの瞳』(並木すみ江)
(内容紹介)
 ネット上の記事紹介で代替。

https://www.yomiuri.co.jp/local/tokyotama/news/20190524-OYTNT50157/
 昭和から平成にかけて学童クラブに通っていた子どもたちを活写した写真展「学童クラブの瞳――昭和から平成へ」が6月2日、青梅市中央図書館の多目的室で始まる。市立第一小にあった学童クラブで指導員をしていた並木すみ江さん(69)が、撮りためた50点を展示する。
 並木さんは1983年(昭和58年)から91年(平成3年)まで、学童クラブに勤めた。趣味で写真を始めた88年以降、子どもたちを撮影し、現像した写真をプレゼントしてきた。
 6月7日まで。

並木すみ江 写真展 | 新宿フォトギャラリー(写真展)『シリウス』
並木すみ江 写真展「学童クラブの瞳-昭和から平成へ」 | 新宿フォトギャラリー(写真展)『シリウス』
 

議席獲得の三選挙区*1座談会『自公政治と対決、市民との共闘の新たな発展で勝ち抜く:「比例を軸に」を揺るがず追求、深まる信頼』(荻原初男*2/若林義春*3/渡辺和俊*4
(内容紹介)
 党機関誌なのでやはり「景気のいい話にはなりがち」です。
 まあ、「支持層が被るとみられるれいわ新選組に票を食われたこと」で比例で1議席、「立民が候補擁立を強行し票を食われたこと」で選挙区(大阪)で1議席減らしているので手放しで喜べませんが、京都で「立民を押さえて勝利したこと」は素直に喜びたいと思います(共産を敵視しているとしか思えない「京都や大阪の立民の態度」「それを容認する立民・枝野執行部」には改めて怒りを禁じえません)。東京についていえば「当選はほぼ確実」なのであまり感慨もないかな。埼玉についても「うれしいことはうれしい」のですが「定数4議席なら何とか最後に滑り込めるんじゃないか」感はありましたのでね。いやもちろん「国民民主や維新を押さえての埼玉での当選」をそれなりに評価はしますが。東京と違い「当選確実」とまではいえないでしょうから。
 いろいろな地域事情があるので単純には論じられません。が、やはり京都ではこの座談会も触れるように「知事選での福山和人候補支持」「大山崎町長選での市民候補支持(そして勝利)」といった「市民団体などとの共闘」が大きかったということでしょうね。
 一方、立民はこれらの選挙で自民と相乗りしたことが「立民はうそつきだ」として参院選で響いたのではないか。
 京都には「歴史的に共産党が強い」というアドバンテージがあるものの、こうした「京都のような市民団体等との共闘の成果」を全国に広げたいところです。


共産党擁立の統一候補座談会:深化、発展する野党共闘 大きな可能性を示す(中林佳子*5/山田和雄*6/松本顕治*7穀田恵二*8
(内容紹介)
 党機関誌なのでやはり「景気のいい話にはなりがち」です。
 ただし、「ほかの野党が半ば勝利をあきらめて、候補を立てる気がないから共産に話が回ってきた(実際、残念ながら敗戦した)」という面は否定できないにせよ、「共産党擁立の統一候補」が出て「渋々であるにせよ」、立民、国民民主などが野党統一候補として支援したということは「決して小さな話ではないのではないか」とは思います。「反共右派」連合などはいかなる形であれ「共産系候補などノー」でしょうから。この「一定の成果」を何とか次につなげたいところです。


■インタビュー「参議院選挙の結果と安倍憲法蹂躙政治のゆくえ」(上脇博之*9
(内容紹介)
 記事自体がインタビューですので、架空インタビュー形式で書いていきます。
■俺
 憲法との関係を中心に参院選結果についてお考えをお聞かせください。
■上脇
 まず安倍政権の選挙での勝利は「低投票率(これについては砂川論文でも指摘がありますが)」と「野党第一党の力不足」に支えられたものであることを指摘したいと思います。自民党が下野した2009年衆院選での比例得票数は1881万票でした。一方、安倍自民が政権復帰した2012年衆院選での比例得票数は1662万票に減っています。その後の衆院選(2014年、2017年)では2009年に比べ増加していますが、実は「2009年衆院選での比例得票数1881万票」を超えたことは一度もないのです。
 裏返せば「2009年衆院選での得票を最大野党がキープしていれば」自民党に勝てたということになります。
 得票数には様々な要因があるので単純比較はできませんが、安倍政権が世論の絶大な支持を得ているとは到底言えないことは明白かと思います。
 なお、今回の参院選ではやはり「野党共闘によって改憲派2/3が阻止できた」ということは「今後の野党共闘推進」という意味でも「改憲阻止」という意味でも大きい意義があるかと思います。もちろん安倍政権を退陣に追い込めなかったことは残念です。安倍政権も改憲をあきらめてはいない。いささかも油断は禁物です。
 しかし「2/3阻止」により「党内に改憲右派を抱える国民民主党」も執行部はもちろん前原*10議員のような党内改憲右派議員も公然とは改憲に動けない状況ですし、公明党も安倍改憲への支持を高言することは避けています。過大評価は禁物ですが、このことはやはり評価していいでしょう。
■俺
 戦後で2位という今回の参院選投票率についてお考えを聞かせください。
■上脇氏
 今回の参院選投票率は全国平均で50%を割っています。つまり「投票率50%の過半数25%以上」を押さえれば選挙に勝てるわけでおよそまともな選挙とは言えません。こうした低投票率はいろいろな要因がありますが、大きな理由の一つは死票が多い小選挙区制度だと思います。比例、中選挙区いろいろな選挙制度が考えられますが、まずは衆院小選挙区をやめることだと思います。ひとまずは「中選挙区に戻す」だけでもいいのではないか
 参院選でも一人区は事実上小選挙区と同じわけです。なお、この問題については拙著『なぜ4割の得票で8割の議席なのか』(2013年、日本機関誌出版センター)、『ここまできた小選挙区制の弊害:アベ「独裁」政権誕生の元凶を廃止しよう!』(2018年、あけび書房)やブログ記事
上脇博之 ある憲法研究者の情報発信の場 : 2019年参議院通常選挙における低い投票率と選挙制度改革の必要性で論じましたのでお読みいただけると幸いです。
■俺
 私や上脇先生のような維新批判派にとっては残念ながら今回の選挙で、維新は「大阪、兵庫限定でしかほとんど勝てない*11」とはいえ、維新が「身を切る改革」を訴え議席を増やしていますが、上脇先生は「大嘘だ」と批判していますね。
■上脇氏
 これについては例えば拙ブログ記事上脇博之 ある憲法研究者の情報発信の場 : 政治資金問題から見える「維新の正体」その70(「文書通信交通滞在費」問題からも見えた正体)をお読みください。政務調査費などについて「犯罪に該当する疑惑すらある」でたらめな金の使い方をしているのが維新であり、「身を切る改革」などという資格はまったくありません。問題はこうした維新の本性が「関西マスコミの維新翼賛報道」で見えなくなっていることであり、関西マスコミのそうした欺瞞的な報道を批判し、改善を求めるとともに
我々維新批判派が維新の「汚い本性」を選挙民に伝えていく必要があると改めて痛感します。


シリーズ「メディアと民主主義を問う」
■低投票率とパターン報道:第25回参議院選挙からみえるもの(砂川浩慶*12
(内容紹介)
 架空インタビュー形式で書いていきます。
■俺
 上脇先生にもお聞きしたことですが低投票率についてお考えを聞かせください。
■砂川氏
 「低投票率ではまともな民主主義とは言えない」「小選挙区制が低投票率を助長している」という上脇先生のご指摘には同感です。もう一つ、低投票率の理由として指摘したいことは
いま東日本大震災のときの自民党を振り返る - 高世仁の「諸悪莫作」日記
選挙結果雑感 - 高世仁の「諸悪莫作」日記も指摘していますがマスコミ、特にテレビ局の選挙報道が低調だったことですね。「視聴率至上主義」もあるでしょうが、明らかに「安倍自民への恐れ」があるとみていいでしょう。
 特に私が問題だと思うのは「れいわ新選組」「N国党」についてのマスコミの扱いです。選挙前はろくに報じなかったのに、議席獲得後の選挙後はセンセーショナリズムから報じる。選挙前も選挙後も「視聴率がとれるかどうか」などジャーナリズムとは全く無縁の報道しかしないのは心底呆れます。
 特にN国党など明らかに非常識な極右政党であり、話題性から取り上げるなど「オウム真理教を興味本位で取り上げた過去の過ち」の二の舞でしょう。
 最近、「警察が脅迫容疑でN国党党首を事情聴取」という事件があったため、マスコミもさすがに批判を強めるかもしれませんが本来、警察が犯罪容疑で動くかどうかなど批判するかどうかとは関係ない話のはずです。


憲法審査会リポート③「参院選の結果と安倍改憲阻止のたたかい」(佐々木森夢)
(内容紹介)
 架空インタビュー形式で書いていきます。
■俺
 憲法審査会の動きについて教えてください。
■佐々木氏
 やはり参院選での改憲派2/3阻止は大きかったと思います。野党だけでなく、自民党内からも「大島氏*13に失礼だ」などの批判が出て発言撤回、謝罪に追い込まれた萩生田*14暴言「(野党の反対で事実上停止している憲法審議会を稼働させるために、野党に弱腰な)大島衆院議長を変えたい」発言もそうした安倍政権の焦りの表れでしょう。
 2/3がとれていればああした暴言があったかどうか。
 もちろん萩生田氏がひどい暴言政治家であることは事実ですが、あの暴言は彼個人の意思ではなく安倍政権の意思とみるべきでしょう。

強権と行き詰まり安倍改憲/萩生田氏の議長交代発言 広がる批判/撤回も謝罪もせず
立法府への乱暴な介入 「おごり」と「あせり」のあらわれ/萩生田氏発言 志位委員長が批判
主張/「議長交代」発言/安倍政権のおごり示すものだ


■米軍機の飛行情報を秘密にする日米合同委員会の密約(吉田敏浩*15
(内容紹介)
 赤旗の記事紹介などで代替。

日本政府が米軍に「大甘」なのはなぜか? 『「日米合同委員会」の研究』 | BOOKウォッチ
「米軍機運用は非公表」/穀田氏 日米密約を暴露/衆院予算委 外相・国交相も認める
日米合同委の密約暴露 穀田議員/今も米軍が日本の空を支配 根本にある密約を暴露
シリーズ検証 日米地位協定 - 「しんぶん赤旗」
検証 日米地位協定 主権を取り戻すために│出版物│日本共産党中央委員会


■「技能実習法」施行後の課題と改正入管法(榑松佐一*16
(内容紹介)
 赤旗の記事紹介で代替。要するに不正が横行している(技能実習制度)、不正が横行する危険がある(改正入管法)という話ですが。

失踪技能実習生の「聴取票」/国会決議に基づく調査/提出拒否に道理無し/法務省提出の資料で分かる
技能実習生の実態把握こそ/衆院委 塩川氏 監理団体調査迫る
技能実習先 「7割法令違反」も氷山の一角/衆院法務委 藤野氏が追及
技能実習 悪徳機関をどう排除/衆院内閣委 塩川議員ただす
「特定技能」も使い捨て/改定入管法 偽装請負横行の危険/衆院閉会中審査 藤野議員が追及
技能実習生に計画と違う作業/国・日立の責任重大/藤野氏が追及


■インタビュー「沖縄戦研究の現状と今後の課題:非体験世代がつくる『沖縄戦を知る事典*17』が問いかけるもの」(林博史*18
(内容紹介)
 記事自体がインタビューですので、架空インタビュー形式で書いていきます。
◆俺
 『沖縄戦を知る事典』の特徴について教えてください。
◆林氏
 この時点は副題が「非体験世代が語り継ぐ」となっており、これが特徴の一つだと思っています。
 沖縄においてすら戦争は風化しており、若者世代には自民党支持が増えていると実感しています。そうした中、若手世代に沖縄戦を伝えていくことは大事だと思っていますし、この本では多くの若手研究者に執筆してもらいました。
◆俺
 林さんが沖縄戦研究を始めたきっかけ、あるいは沖縄戦研究を進めた問題意識、その問題意識による研究成果の特徴などについて教えてください。
◆林氏
 沖縄には、中学生のときに家族旅行で行って、すごい衝撃を受けました。当時、摩文仁の丘の下にある健児の塔の裏側にあるガマでは、入り口にまだ米軍の火炎放射器の黒い跡がくっきりと残っていました(マガジン9〜この人に聞きたい『林博史さんに聞いた その2』〜参照)。
 ただし、それが研究の形になったのはずっと後で、1985年ごろに大学院の恩師である藤原彰*19先生に沖縄戦の研究会に誘われたのがきっかけです。この時の研究成果は藤原彰編『沖縄戦天皇制』(1987年、立風書房)、『沖縄戦:国土が戦場になったとき』(1987年、青木書店)として刊行されています。藤原先生以外では江口圭一さん*20、纐纈厚さん*21高嶋伸欣さん*22山田朗さん*23などが研究会メンバーで藤原編著の執筆にもかかわっています。
 私の沖縄戦研究、あるいは沖縄研究では「本土出身者としての視点」「沖縄県民では気づきにくい、あるいは気づいても触れにくい点」について意識してきたかと思います。
 伊波普猷賞をいただいた著書『沖縄戦と民衆』(2002年、大月書店)について伊波普猷賞審査委員の新崎盛暉さん*24から「この本は本土出身者だからこそ書けた本だ」と言われたときはそういう意味でうれしく思いました。
 「県民では気づきにくい、あるいは気づいても触れにくい点」についていくつか例を挙げると
1)集団自決強制の問題
 ご存じとは思いますが、集団自決強要は沖縄以外でもサイパン満州などでも起こっています。「沖縄戦以外の集団自決」と沖縄戦の集団自決は何が違い何が共通しているのか。なぜ「サイパン→沖縄→満州」などと日本軍は集団自決強要を実行し続けたのか。そうした問題意識が重要だと思っています。 
2)琉球王朝美化の問題
 薩摩・島津氏の沖縄侵略、琉球処分沖縄戦の悲劇などから沖縄では琉球王朝を美化する傾向があるように思います。「薩摩の侵攻以来の、本土の沖縄へのひどい扱い」を考えればその気持ちはわかります。しかし実際の琉球王朝で民衆はそんなにハッピーではなかったことが最近の研究成果で分かっています。琉球は中国と交易をしていたといっても、それは「農業生産力が低いので交易に頼らざるを得なかった」という面が大きいのです。しかもそうした交易の利益はほとんど王朝や特定の商人が得ていました。多くの民衆は貧困だったのです。
 琉球王朝を美化することは「基地をなくした後、沖縄経済をどうするか」という点について「安易な認識」を生む危険性があり、決して「昔のことだからどうでもいい」とはいえません。そしてそうした「沖縄の貧困」が「基地を支持する県民を生み出してきたこと*25」もまた一面の事実です。
 もちろんだからといって「そんな貧乏な琉球琉球処分以降、本土は開発したのだ」「基地は沖縄経済に必要だ」という一部右派の居直りは論外ですが。
◆俺
 集団自決強要は沖縄限定ではないというのは「歴史研究者にとっては常識と思いますが」大事なご指摘かと思います。琉球王朝美化の件についていえばぺマ・ギャルポらダライ・ラマ一味の「解放前チベットには問題などなかった(もちろん大嘘。中国共産党に「解放された」からチベットは近代化できた*26)」のような話で勉強になりました。それでは今後の沖縄戦研究の課題について考えをお聞かせください。
◆林氏
 実は私は「沖縄戦を語り継ぐ」という言葉はあまり好きではありません。なぜなら「沖縄戦以前からすでに沖縄は戦争に突入していた」という認識が弱くなるのではないかと思うからです(これは沖縄だけではなく東京大空襲、広島、長崎への原爆投下など本土の戦争被害も話は同じですが)。沖縄戦以前から沖縄は日本本土とともに「日中戦争」「太平洋戦争」に突入しており、たとえば徴兵された沖縄県民は中国蒋介石軍や米国軍と「沖縄戦以前から」戦っていました。
 「沖縄戦を語り継ぐ」という問題意識をもった結果「沖縄県民も加害者である」あるいは「日中戦争全体、太平洋戦争全体における沖縄の占めた位置は何か」という視点が弱くなりはしないか。沖縄戦は「太平洋戦争の一部」なのであり、日本が真珠湾攻撃しなければおこらない戦争でした。いきなり米国が沖縄を侵略したわけではない。
 もちろん「沖縄戦を語り継ぐ」という視点には歴史的背景、意義があることはわかります。「第一次安倍政権下でのいわゆる集団自決記述・修正要求検定意見」が典型ですが、本土の右派は「沖縄戦の被害を矮小化しよう」とし続けてきました。「そうした歴史修正主義に対するカウンター」、「沖縄県民の誇りを守る戦い」という意義はわかりますが「沖縄県民も加害者である」あるいは「日中戦争全体、太平洋戦争全体における沖縄の占めた位置は何か」という視点も今後は重要かと思います。
 そういう視点から、最近私は「戦犯裁判と沖縄出身者」(季刊戦争責任研究2018年冬号)という論文を執筆しました。
◆俺
 「日中戦争全体、太平洋戦争全体における沖縄の占めた位置は何か」という貴重な視点をご指摘されましたが、そうした意味では林さんの新刊『沖縄からの本土爆撃:米軍出撃基地の誕生』(2018年、吉川弘文館歴史文化ライブラリー)は、そうした視点に基づく貴重な研究成果かと思います。この新刊についてお話をお聞かせください。
◆林氏 
 「珍右翼が巣くう会」に突っ込む(12/11分:高世仁の巻)&北朝鮮最新ニュースその他色々(追記・訂正あり) - bogus-simotukareのブログ
 高橋哲哉教授の「米軍基地引き取り論」への疑問 - あしべの自由帳
などでボーガスさん、芦部ゆきとさんなども批判していました*27が、私がこの研究で言いたいことの一つ、それは「高世仁氏、高橋哲哉*28など一部の人間が主張する沖縄米軍基地・本土引き取り論はおかしい」ということですね。
 沖縄米軍基地は私の理解では最初から「沖縄防衛は目的ではなかった」。最初から「出撃基地(侵略基地)」だったわけです。沖縄戦に勝利した米軍は沖縄に基地を作りそこから本土爆撃を行った。もちろんボーガスさんなどが指摘する「米軍基地周辺の犯罪、騒音、事故といった問題」「そうした問題があるがゆえに本土での引き取りはほとんど現実性がないという問題」「本土基地引き取り論は日米地位協定問題などを見えなくする危険性があること」は重要です。それだけでも「本土引き取り論」に反対する理由になると思います。しかしそれ以前に「防衛基地ではない基地(要するに侵略基地)を沖縄に限らず日本に置いていいのか」「それは侵略戦争への加担ではないのか」「それは憲法九条の精神に反しないのか。それで護憲派といえるのか」「そもそも日米安保が必要なのか、廃止すべきではないのか。そう訴えていくのが真の護憲派ではないのか」という思いが私は「本土引き取り論」に対してあります。私としては『沖縄からの本土爆撃:米軍出撃基地の誕生』(2018年、吉川弘文館歴史文化ライブラリー)を皮切りに「朝鮮戦争」「ベトナム戦争」などで「沖縄米軍基地が果たした役割」についても今後研究したいと思っています。そしてそういう意味ではあえて言えば「戦後の日本&沖縄」は「朝鮮戦争」「ベトナム戦争」は加害者の立場だったわけです。

参考

マガジン9〜この人に聞きたい『林博史さんに聞いた その2』〜
◆編集部
 林さんはこれまで沖縄戦のほか、従軍慰安婦、BC級戦犯裁判、またシンガポールでの日本軍による華僑虐殺などについても研究を続けてこられ、それらについての著書がおありです。こうした、少なくとも日本においては最近まであまりきちんと知られてこなかった、あるいは「隠されてきた」とも思えるような問題に興味を持たれるようになったのは、どういった思いからだったのでしょうか? そのきっかけや経緯をお聞かせいただけますか。
◆林
 うーん。一言で説明するのはなかなか難しいんですが(笑)、最初に衝撃を受けたのは、中学生のときに部落差別の問題を知ったことですね。「こんなひどいことが現実にあるのか」と思ったし、差別される人の立場に立って物事を考えないといけない、と意識するようになったのはそれがきっかけです。
 沖縄にも、中学生のときに家族旅行で行って、すごい衝撃を受けました。当時、摩文仁の丘の下にある健児の塔の裏側にあるガマでは、入り口にまだ火炎放射器の黒い跡がくっきりと残っていたりもしたんです。それから、当時はまだ日本への復帰前で、基地を囲むフェンスの内と外の光景が、明らかに違っていた。基地の中は芝生が敷き詰められてとてもきれいで、それなのに外側は道路の舗装さえされていなくて、すごく貧しい。そのコントラストが非常に印象に残りました。僕自身の考え方をつくる上では、そのあたりが大きな影響を与えていると思います。
◆編集部
 そこから、具体的に沖縄戦従軍慰安婦など、戦争に関係するテーマに取り組まれるようになったのはどうしてですか?
◆林
 一つは、「誰もやらないから」です。沖縄戦のことも沖縄の人たちは研究していましたが、本土でやっている人は、まったくいなかった。慰安婦の問題も、研究者でやろうとしている人は少なかったし、当初名乗り出たのはほとんど朝鮮半島の女性だったでしょう。
 私はその前に東南アジアへ行って、その地元の女性の中にも慰安婦にされた人がいるということを耳にしていたんですが、東南アジアの研究者は誰もそういうことを発言しない。このままだと朝鮮半島出身の慰安婦ばかりに関心が行って、その他の占領地域の女性の被害が反映されないのでは、というので、東南アジアのほうから慰安婦の問題をやり始めたんです。
■編集部
 やる人がいない、というのはどうしてなんですか?
◆林
 はっきり言えば、あまり学問業績にならないからでしょう。少なくとも、研究者としての就職には有利にならないどころか、敬遠されます。思想的に偏ってると評価されることもあるし、慰安婦問題にしても戦争犯罪にしても、学界は「そんなのは学問じゃない」と言って逃げる。そうして、自分は安全なところで高尚な議論をして、それが認められるという構図。そういうアカデミズムに対する反発もあったのかもしれないですね(笑)。


少年法改正に根拠はない:人権保障に逆行(奥村千尋
(内容紹介)
 赤旗の記事紹介で代替。
主張/少年法の適用年齢/引き下げる理由は一つもない
少年法適用年齢下げ反対/与野党議員参加 弁護士、市民ら集会
59、少年法(2019参院選・各分野の政策)│各分野の政策(2019年)│日本共産党の政策│日本共産党中央委員会


西日本豪雨災害から1年 成果・前進面と課題:住民の苦難に寄り添い問題解決へ着実に(大平喜信)
(内容紹介)
 赤旗の記事紹介で代替。
西日本豪雨 復旧支援を/広島・岡山 共産党県委など政府交渉
西日本豪雨 公費解体 宅地のみの被害でも対象に/党岡山市議団が政府に要請/仁比議員が同席
西日本豪雨 国は全額支援継続を/「医療費無料化延長ぜひ」/大平氏ら省庁要請


■女子W杯 選手の発したジェンダー平等の〝パス〟(和泉民郎)
(内容紹介)
 赤旗の記事紹介で代替。

きょうの潮流 2019年7月14日(日)
 すてきなスピーチに心奪われました。サッカーの女子ワールドカップを制し、得点王と最優秀選手に輝いた米国のミーガン・ラピノー選手(34)が、優勝を祝うニューヨーク市民に語りかけました
▼「よりよい人になりましょう。憎むより愛しましょう。発言するばかりではなく、耳を傾けましょう。ここにいる人もいない人も、賛同する人も反対する人も、コミュニティーや世界をよりよくする責任があります」
▼こう呼びかけたのには、理由があります。女子代表の仲間と男女の報酬格差是正に立ち上がっていることが一つ。「お金の問題ではない」と、現在と未来の女性のためにたたかっています
▼同性愛者を公言し、人種や社会的な差別に強い怒りの目を向けていることも大きい。そのため大会中に「優勝してもホワイトハウスにはいかない」と発言しました。「優勝してから言うべき」というトランプ大統領の心無い反撃にもひるみません
▼「この舞台に立つためにどれだけの時間と労力、誇りをかけているかを考えると、とても訪問する気にはなれない。自分たちと同じ思考を持って同じ目標に向かってたたかっているとは思えない政権だから」。差別や分断を助長する大統領を小気味よい論理で“一蹴”しています
▼モノ言う選手と呼ばれます。その言葉が力を持つのは、生きざまに裏付けられた信念が宿っているから。スポーツの持つ民主主義的な価値を体現し、表現しているからです。彼女のメッセージが国境を越えて広がることを切に。

 まあ、このあたり「ラピノー女史」の個性もあるでしょう。米国女子サッカー選手が皆こうではないでしょうが、日本女子サッカー選手連中は「日本のトランプ」安倍相手に「優勝しても首相官邸にはいかない」「自分たちと同じ思考を持って同じ目標に向かってたたかっているとは思えない政権だから」とはおそらく言えないわけです。
 「米国民主主義はなんだかんだ言ってもやはりすごい」「それに比べて日本は」という思いを禁じえません。


■論点「わがもの顔、米軍機低空飛行 「日米合意」違反も知らん顔」(大野智久)
(内容紹介)
 赤旗の記事紹介で代替。記事の舞台が北海道や青森、長野であることで分かるように米軍基地被害は「沖縄が一番ひどいだけ」で本土に被害がないわけでは全くありません。沖縄基地・本土引き受け論がいかに馬鹿げてるかとあらためて思います。
F16 超低空飛行を誇示/風力発電 風車(78メートル)の下/傍若無人 米軍が動画投稿
米低空飛行訓練中止を/紙議員・はたやま予定候補 道防衛局に要請
米軍 低空飛行許すな/長野・佐久 市民が対話集会
米軍機、高度二百数十メートル飛行/長野・佐久 日米合意に違反/共産党が調査


■暮らしの焦点「かんぽ不正販売とその背景 郵政民営化の弊害」(日巻直映*29
(内容紹介)
 赤旗の記事紹介で代替。
日本郵便かんぽ不正の裏側/どう喝30分 ノルマ迫る/毎日目標・懲罰研修…容赦なし


メディア時評
■テレビ:NHKの力作ドキュメンタリー(沢木啓三)
(内容紹介)
 夏の力作ドキュメンタリーとして
https://www.nhk.or.jp/docudocu/program/20/2259675/index.html
#あちこちのすずさん|教えてください、身近な人のエピソード
NHKスペシャル | かくて“自由”は死せり~ある新聞と戦争への道~
https://www.nhk.or.jp/docudocu/program/46/2586182/index.html*30
https://www.nhk.or.jp/docudocu/program/46/2586132/index.html
が紹介されています。
 さて、このように沢木氏が評価するNHKドキュメンタリーも櫻井よしこの手にかかると

「 NHK終戦報道は相変わらず問題山積 」 | 櫻井よしこ オフィシャルサイト
 日本新聞は大正14(1925)年に司法大臣小川平吉が創刊し、賛同者に平沼騏一郎東条英機が名を連ねる。彼らは皆「明治憲法に定められた万世一系天皇を戴く日本という国を絶対視する思想を共有していた」との主旨が紹介される。
 明治憲法においても現行憲法においても国柄を表現する基本原理のひとつである「万世一系*31」の血筋が、まるで非難されるべき価値観であるかのような印象操作だ。

となります。
 よしこ的には「産経新聞そっくりの右翼新聞・日本新聞」が批判的に取り上げられたNHKスペシャル | かくて“自由”は死せり~ある新聞と戦争への道~が気に食わないようです。
 なお、ウィキペディア日本新聞」によればこの日本新聞、オーナーが小川平吉*32で、支援者が「近衛文麿*33」「東条英機*34」「平沼騏一郎*35」「右翼結社・原理日本社の蓑田胸喜*36」というウヨぞろいで、論調も「天皇機関説攻撃、打倒米英など極右的」だそうですから、全く「自民党とずぶずぶの産経そっくり」です。
 まあ「よしことその仲間たち」なんざまともな人間の眼から見れば「平成の蓑田胸喜」みたいなもんですからね。「日本新聞や蓑田を批判する」NHKドキュメンタリーを「自分たちへの当てこすり」のように感じたのかもしれません。

参考

NHKTVで「全貌 二二六事件」を見る・・・の巻 | 乾パンのブログ
 当時16歳で海軍陸戦隊として係わった現在99歳のお人。
「まかり間違えれば陸軍の野郎どもと東京で市街戦になる」の発言。
千代田区が消滅」ってのもリアルですな

 小生の持つ本『226事件』(須崎慎一著、2003年、吉川弘文館)は荒木、真崎といった皇道派はともかく「皇道派ではない」川島陸軍大臣が最後まで武力鎮圧に消極的だった「最大の理由」は「まかり間違えれば東京で市街戦になる(当然一般市民にも犠牲者が出かねない)」「千代田区が消滅する」恐怖(そうなった場合の自らの責任問題)であり、決して青年将校に好意的なわけではなかったとみています。

 海軍軍令部は既に2月26日以前から事件についてかなり詳細に把握していた。
 番組では「海軍は事件の計画を事前に知っていた。しかしその事実は闇に葬られた。その後、起きてしまった事実を記録した秘密文書。不都合な事実を隠し自らの保身を図る組織の姿であった。」とありますが、コレは海軍にとってはなかなか辛辣な見解ですな。
 この番組の内容を見る限り、当時の海軍はいわゆる「情報収集」が主で有り、スパイを放ったり、電話・通信を無断で盗聴・検閲するなどの諜報活動はしていなかったようです。
 事前に事件を知り得たのも警視庁特高課長からの連絡や東京憲兵隊隊長との会見からだったようです。
 これじゃ事件を事前に察知したからと言って、どうすれば良いのかはてなマークと言いたくなるなぁ
 法制上、当時の陸軍将兵の犯罪は陸軍刑法によってのみ裁くことが可能。
 となると筋を通せば、海軍が事件の可能性について通達するのは陸軍しかない。
 陸軍から得た情報を陸軍に伝えるってか!?
 んな、バカな。
 まぁ事件で襲撃された岡田*37首相、斎藤*38内大臣、鈴木*39侍従長はいずれも海軍将官OBだし、先輩後輩の私的ルートでの「警告」はあったと思いたいが。
 実際、警視庁では政府首脳に陸軍将校によるテロの可能性があることは通達していたそうですがね。
 警視庁特高警察は海軍を遙かに凌ぐ諜報機関で事件についてかなり事前に探知していたそう。
 歩兵第一連隊では山口一太郎大尉、歩兵第三連隊では安藤大尉が週番将校の夜がヤバいとまで察知。
 正に2月25日の夜がその晩だったのですが、よもや大雪の日にそんな事が起きるとは思わなかったそうで・・・
 警察庁では間違いなく二二六事件についての詳細な報告書が保管されていると察します。
 でもそれが公開される可能性は皆無だろうなぁ
 海軍の機密文書が公開できるのも日本海軍が終戦時に解体消滅したからこそ。
 日本の警察組織は明治以降現在まで連綿と続いていますからね。

 この記事を信じる限りでは「警視庁特高課や東京陸軍憲兵隊も把握していた程度の情報を海軍もつかんでいた」程度の話でそんなに海軍が非難されることでもない気がしますが果たしてどんなもんか。

NHKの良心的な番組って、何ですか~"NHKが独自に入手した資料が明かす・・・"ドキュメンタリーの虚実 | ちきゅう座
NHKスペシャル「全貌 二・二六事件~最高機密文書で迫る~」(2019年8月15日、総合午後7時30分~(73分)再放送:2019年8月18日、午前0時35分~
 これまでも謎が多い二・二六事件で、出てくる資料は陸軍側のものが多かったが、今回、海軍側の「最高機密文書」をNHKが入手したという。
 1945年9月2日ミズリー号船上での降伏文書調印式に海軍側の随員として参加していた富岡定俊少将のもとにあった資料だったらしい。
 海軍側の資料によれば、すでに事件の1週間前の2月19日には、蹶起が近く、そのリーダーの将校の名前など具体的に記録されていたことがわかる。ということは、海軍側は、事件発生は予想できたにもかかわらず、放置、傍観していたことになる。というよりは、海軍による鎮圧まで計画していたという

 「真崎甚三郎*40荒木貞夫*41、本庄繁*42(本庄は娘婿・山口一太郎陸軍大尉が226事件に参加)や山下奉文*43といった陸軍皇道派は事前に知っていたんじゃないか」という話はよく言われますが、「海軍云々」は果たしてどうなんですかね。NHKTVで「全貌 二二六事件」を見る・・・の巻 | 乾パンのブログはそうした海軍非難に否定的ですが。

ETV特集『忘れられた“ひろしま”』を見た感想。 | 英語と何かといろいろと。
 広島の体験を残したい、核兵器が二度と使われないように、という主旨に賛同して一流の映画人が集まった。
 当時のスター、月丘夢路さんが「故郷の広島の話だから」と事務所の反対を押し切ってノーギャラで出演。
 すごいのがエキストラに被爆者が多数参加していたこと。
 8年後とはいえそりゃ辛いんじゃないかな、と思ったらやっぱりトラウマみたいに思い出したと言っていました。そりゃそうだろうなあ。
 今風に言えばフラッシュバックですよね。
 衣装の中には被爆当時に本当に着ていた服も使われているそうです。それもすごい・・・・
 被爆体験者で撮影に参加した人が、川を流れていく人間とも思えない様子になった遺体を見た経験を語りながら、「実際はこれよりもっと酷かったが、映画でもそこまでは描けないだろう、でもこういう形で残すのは意義あることだ」というようなことを語ってらしゃいました。
 しかし、結局、映画は大規模に公開することができず、ほぼお蔵入りに近い形になった。
 映画配給会社が「反米的だ」ということで嫌がったため。
 GHQの占領は終わった後でしたが、まだ占領政策の影響が人々の間には残っていた。
 日教組が出てきたのが興味深かった。あの団体について私はよく知らないんですが、映画作りに賛同したんですね。
 後年、傷んだフィルムのデジタル化に資金を出してくれたのが、これまたアメリカの会社なんですよ。
 アメリカに日本映画を紹介する仕事をしている日本人の働きかけがあって実現したんですが、その米国の会社の人が「掘り出し物だった」「大変重要なものだ」というような積極的ぶりで、リベラルな会社だなあと思いました。
 また、オリバー・ストーン監督が「ひろしま」を6年前に見たと言っていたんだったかな、インタビューが登場します。
 日本でもこの映画の上映会をあちことでやっているそうですが、なんと、2019年8月17日(土)午前0時~(16日深夜)[Eテレ]でこの映画「ひろしま」が放映される予定です。


文化の話題
■演劇「現代から過去を照射する話題作」(鈴木太郎)
(内容紹介)
 劇団民芸「ハンディマン」、俳優座LABO公演「血のつながり」の紹介。なお「ハンディマン(handyman)」とは「便利屋」のことだそうです。

参考
【ハンディマン】

http://www.gekidanmingei.co.jp/performance/2019studio_handyman/
 ロナルド・ハーウッド作『ハンディマン』を上演します。イギリスののどかな町に暮らす老人が、第二次大戦中のユダヤ人大量虐殺に関与した嫌疑で裁判に……。「戦場のピアニスト」アカデミー脚色賞で知られるハーウッドの作品は、民藝公演で『どちらの側に立つか』『コラボレーション』と2作上演し好評を得ました。どうぞご期待ください。

西部守演出、ロナルド・ハーウッド『ハンディマン』@劇団民藝稽古場(2019年8月3日): 今日も劇場へ? 森岡実穂・劇場通いの記録
 スターリンに迫害されたウクライナの民にとって、独軍は友軍だった。だがその関係はナチスへの加担をも意味した。英軍の捕虜になったウクライナ人ロムカ(杉本孝次)は情報部の将校の助けも得て英国民になり、その家庭の「便利屋」として半世紀を過ごす。娘クレシダ(笹本志穂)にも仕えて間もなく彼も80代という老境に、ソ連時代にユダヤ人虐殺に関わった容疑で警察(みやざこ夏穂、保坂剛大)が来訪。本人は否認するも、かなり重い証言も提出され苦境に。家族同然と思ってきたクレシダとジュリアン(大野裕生)夫妻は、無罪を主張する彼の言葉を信じたく思いつつも深く苦悩する

ハンディマン レポ@劇団民藝 | 小野寺美奈 税理士事務所
 若夫婦の「じい」的な存在の「ロマン」さん。80歳近いじいさんが主役です。
 ロマン爺は、農業も料理も大工作業も家事全般、なんでも器用にこなして働き者。若夫婦はとても助かっているのです。
 ロマン爺は、妻の亡き父親が連れてきた「お手伝いさん」的な人。まぁ、時代が時代なら、執事ってとこでしょう。妻の亡き父親はウクライナの元軍人で、エライ人だった。その後、色々あってウクライナからイギリスへ引っ越してきたみたいだった。
 妻はイギリス人の皮肉屋の夫と結婚し、しばらくして妻は父親を亡くし、夫婦とロマン爺と3人で暮らしていた。
 ある日、刑事が2名、家宅捜索に来て。ロマン爺は、かつてウクライナで従軍し、ユダヤ人を虐殺した疑惑を持たれる。
 ロマン爺への従軍時虐殺疑惑について、若夫婦は弁護士依頼を行う。哲学が得意な事務弁護士は女性で、夫がユダヤ人。
 舞台上ではロマン爺と美人弁護士が2人で面談のシーン。
 ロマン爺は、段々と感情をあらわにする。
 「私は従軍しましたが、コックとして、です」
 「私は、無実です!」
 ロマン爺は美人弁護士と共に、スコットランドヤードまで出頭し、取り調べを受ける。
 そこでは、様々な証拠により、ロマンのユダヤ人虐殺疑惑について調べていく。
 当時の写真とロマン爺の証言により、当時従軍していた部隊には、ロマンという同じ名前の兵隊がいたことが分かった。
 警察は、「ロマンさん違い」をしているのでは?ロマン爺はコックとして従軍しただけで、現地には行っていない。だって、調理場は現場にないのであるから、というロマン爺の思い。
 ロマン爺の証言に、納得する私。うん、ロマンさん違いじゃない?警察の勇み足でしょ。
 警察は、証人の証言をロマン爺へ告げる。
 刑事が言う、
「軍曹、証言のためにイギリスに旅行に来ませんか」
 軍曹はいやらしい笑顔で言う、
「ああいいな。イギリスの女性は美しいと聞いているからな。証言に行くさ。ロマンのやつ、俺が30年もブチこまれている間、自由に生活していたなんて気に入らないな」
 軍曹の証言は、正しいのか否か。記憶は確かなのか?
 ロマン爺とは近所の人だったのか面識があるようだった。ロマン爺の行方不明の妹と同僚だったようだった。
 次に、シスターが舞台上に登場する。シスターが証言する。
「ええ。ユダヤ人が虐殺された日、私は寮の窓から軍隊のトラックから石灰がこぼれているのを見ました。気になって現場を見に行きました。」
「ロマンさんがマシンガンを持っているのを見ました。ユダヤ人が大きな穴へ入っていて、這い上がろうとして地面をかきむしる手が見えました。それを・・・。」
「夜、ロマンさんは食事を作っていました。火の近くにいたので顔が見えましたから間違いありません」
「寮に戻り、ロマン妹へ”あなたの兄がこんなことをしていた”と告げてしまいました。彼女は、私を告発しました。そして私は神父様がこっそりとトラックの荷台に載せてくれて、今の修道院にいるのです。」
 ロマン爺は告訴された。いったん帰宅したロマン爺を報道陣が取り囲み、若夫婦は困惑した。
 あれですよ。ラストはあなたが決めるんです、みたいなヤツ!
 結局、ロマン爺はユダヤ人をマシンガンで撃ったのか、撃っていないのか。事実はどうだったのかは不明のまま幕。誰の記憶が正しいのか、分からないまま。

【血のつながり】

劇団俳優座 LABO公演『血のつながり』 | ぴあエンタメ情報
 俳優座の伝統に囚われず実験的な作品を実演しているLABO公演。今回取り上げるのは、カナダ演劇界随一の社会派作家として注目されるシャロン・ポーロックの戯曲『血のつながり』。1892年のアメリカで実際に起きた迷宮入り殺人事件を題材に、事件の裏側と心の闇をあぶり出す問題作。

https://www.haiyuza.net/%E5%85%AC%E6%BC%94%E6%A1%88%E5%86%852019%E5%B9%B4/labo%E5%85%AC%E6%BC%94-%E8%A1%80%E3%81%AE%E3%81%A4%E3%81%AA%E3%81%8C%E3%82%8A/
 1892年米国ボストン近郊の田舎で、町の豪農夫婦が何者かによって手斧で殺害された。
 夫婦の次女に疑いが向けられたが、証拠不十分で不起訴となる...。
 しかし、それに家族も世間も納得していなかった。その疑いは親友の女優の口からも...。
 十年間誹謗中傷に耐えてきた次女は、ついに「私の役をやったら」ともちかける。「あなたが私になれるの」。「あの時の事をおさらいしてみたら」と。二人による空想の芝居が始まる...。

3月23日(土)M「血のつながり」文学座 文学座モリヤビル1F : 江森盛夫の演劇袋
 1892年アメリカ合衆国マサチューセッツ州フォールリバーで資産家の夫婦2人が斧で惨殺されるという衝撃的な事件が起こる。その被疑者は夫婦の次女リジン・ポーデン。事件から10年後、無罪釈放となった彼女は親友である女優と共にあるゲームを始める。女優は問う。
「あなたなの?。あなたがやったの?」
” この戯曲は1981年度カナダ総監賞(最優秀作品賞)を受賞した。とても興味深い舞台だったが、私には、このゲームというものがよく解らなかった。

■リジー・ボーデン(1860~1927年、ウィキペディア参照)
 マサチューセッツ州フォールリバーで1892年8月4日に発生した、実父と継母が斧によって殺害された事件の被疑者となったことで知られる。事件とその後の裁判や過熱報道はアメリカの大衆文化や犯罪学に大きな影響を与えた。ボーデンは裁判で無罪となり、真犯人は見つかっていない。
■事件の発生と裁判
 1892年8月4日の朝、父アンドリュー・ジャクソン・ボーデンと継母アビー・ボーデンは自宅で殺害された。当時他にその家にいたのは、リジーとメイドのブリジット・サリバンだけだった。
 アンドリューの最初の妻が亡くなった後、ボーデン家では争いが絶えなくなった。リジーは殺人事件の直前に近所の薬屋からシアン化水素を購入しようとして断られている。これについて彼女はアザラシの毛皮のコートを洗浄するためだったと主張している。
 殺人事件の数日後、リジーは青いドレスを引き裂いて台所のストーブで焼いていた。これについて彼女は、ペンキ塗りたての場所にこすって汚れたので処分したのであって返り血を浴びたわけではないと主張した。状況証拠は数々あったが、陪審は一時間の議論の末にリジーを無罪とした。凶器が見つかっていない点、返り血を浴びた布が見つかっていない点が重視された結果であった。また、裁判の直前にその地域で別の斧による殺人が発生した事がリジーに有利になった。
■社会への影響
 裁判の報道はアメリカ全土で過熱した。これは全く新しい現象であった。
 事件は有名な「なわとび唄」として記憶され、マザーグースの1つに分類されている。
Lizzie Borden took an axe(リジー・ボーデンは斧を取り)
And gave her mother forty whacks.(母さんを40回打った)
And when she saw what she had done (自分がした結果に気づき)
She gave her father forty-one.(今度は父さんを41回打った)
 この唄は新聞を売るためにライターがでっち上げたもので、実際には継母は18回か19回殴られ、父親は11回殴られている。
■その後
 裁判では無罪となったが、リジーは周囲から村八分となり、追い出された。1897年、リジーは万引きでつかまり、再び大衆の前に名前が登場することになった。
■リジー・ボーデンを題材とした作品
・『ヒッチコック劇場』の1エピソード "The Older Sister" はリジー・ボーデン事件を扱っている。
アガサ・クリスティの『葬儀を終えて』にはリジー・ボーデンの詩が引用されている。『そして誰もいなくなった』ではリジー・ボーデン事件と思われる事件への言及がある。
・Sharon Pollock(シャロン・ポーロック)の Blood Relations(血のつながり)は1980年カナダのエドモントンで初演された。この舞台では、事件から裁判までを描いている。

 「ハンディマン」にせよ、「血のつながり」にせよ、こういう「藪の中」展開というのは「相当高度な演技力が求められる芝居」ではあるでしょう。
 なお、上で紹介したウィキペディア「リジー・ボーデン」によれば「血のつながり」のもとになった実際の犯罪事件があるようですね。まあ、「関係者がなくなったから」ネタにできたという面はあるでしょう。
 日本でも「津山30人殺し(横溝『八つ墓村』)」など一部を除けばそうそう実在の犯罪事件はネタにはなりません。下手な扱いをすれば完全な人権侵害になるからです。


■「あいちトリエンナーレ2019 『表現の不自由展・その後』」展示中止が問いかけるもの(岩崎貞明*44
■美術「表現の自由の現在的状況」(朽木一)
(内容紹介)
 いずれの記事も「平和の少女像」などについてウヨ(名古屋市長の河村、官房長官の菅など)が因縁をつけて中止に追い込まれた「あいちトリエンナーレ」の「表現の不自由展・その後」について「再開を望む」「平和の少女像などに何の問題もない」「権力の恫喝は許されない」と論じられています。

参考
表現の不自由展中止に抗議/名古屋で市民ら
「表現の不自由展」再開求める/実行委が愛知県知事に申し入れ
「表現の不自由」考える/「知る権利」奪われたまま
私たちの声で必ず再開/「不自由展」 東京で緊急集会
愛知 「不自由展」中止1カ月/再開へ市民の行動続く


スポーツ最前線
■攻撃的防御で欧州強国に挑む日本:ラグビーW杯で飛躍期す日本(大野晃*45
(内容紹介)
 架空インタビュー形式で書いていきます。
■俺
 今回日本は決勝トーナメント進出ができるでしょうか?。
■大野氏
 今回、日本代表(世界ランク9位)の一次リーグの相手は「アイルランド(世界ランク3位)」「スコットランド(世界ランク8位)」「サモア(世界ランク18位)」「ロシア(世界ランク20位)」です(ランキングは大野氏がコラムを執筆した8/19現在。今後、若干の変動があり得ます)。
 まず決勝トーナメントに進出するには「サモア」「ロシア」には確実に勝つ必要があります。油断は禁物ですが、ランキングや過去の対戦成績を考えれば「サモア」「ロシア」に勝つことはそれほど難しいことではないでしょう。そもそもロシアは「ルーマニアが代表資格違反で失格し、繰り上げ進出」なのでそれほど士気も高くありません。
 問題は「スコットランド」「アイルランド」ですね。「日本の2勝(サモア、ロシア)2敗(スコットランドアイルランド)」では決勝トーナメント進出は困難ですが、さすがに私も「優勝候補の一角であり、日本よりランキングも上、二軍メンバーが来ることが多い練習試合や親善試合を除いて*46、過去に日本が勝ったこともない、しかもランキングが格上の優勝候補であるアイルランドスコットランド」に「日本が勝てる」とはいいがたい(苦笑)。普通に考えれば「日本の決勝トーナメント進出の可能性は残念ながらほとんどない」と言わざるを得ません。残念ながら開催国の日本には「決勝トーナメントに行けるご祝儀」は今回なかったわけです。
 まあ、「現実的可能性を無視して希望をいえば」「前回大会の南アフリカ戦での勝利」のようにアイルランドスコットランドのどちらか(可能ならば両方*47)に大金星で勝って、「3勝1敗(あるいは4戦全勝)」で決勝トーナメントに進出してほしいですが、勝てないまでも善戦してほしいところです。可能性で言えばもちろん「スコットランドに勝つ可能性」の方が「アイルランドに勝つ可能性」より高いと思います。
■俺
 今大会の見どころは何でしょうか。
■大野氏
 ニュージーランド代表オールブラックスが優勝し史上初の3連覇となるか、それとも3連覇が阻止されるかがやはり一番の見どころでしょう。
 オールブラックスはやはり「優勝候補の筆頭」で強いとはいえ「絶対王者」といえるほどの力はないと思います。
 他の強豪「アイルランド」「アルゼンチン*48」「イングランド」「ウェールズ」「スコットランド*49」「南アフリカ」などが決勝トーナメントに進出した上でオールブラックス3連覇を阻止できるか楽しみにしたいと思います(追記:
https://www.sankei.com/sports/news/191026/spo1910260035-n1.htmlということで3連覇はイングランドによって阻止されました)。

【追記】
1)9/20初日のロシアとの試合にはまずは「30-10」で日本が快勝しましたね。これは予想通りです。ここで負けたのでは話になりません。
2)【ラグビーW杯 再現 日本-アイルランド戦】日本劇的勝利 日本19-12アイルランド - 産経ニュース
 信じられない大金星ですね。興味のある方は前衛十月号の大野記事を直接見て頂ければ幸いですが、大野氏もさすがに「ランキングや過去の対戦成績を考えれば、日本がアイルランドスコットランドに勝てる可能性はほぼ皆無」だが「前回大会での南ア戦勝利の再現を願望込みで期待したい」としていました。
3)記事は貼りませんが「日本28ースコットランド21」で当然ながら日本が決勝トーナメント進出です。もちろんここで負けるとスコットランドは「予選敗退」ですので日本がアイルランドに勝利した「日本VSアイルランド戦」以上にスコットランドが「全力でぶつかってくる」わけでそれでも勝利したわけです。
 大野論文のような「ロシアとサモアには過去の対戦成績やランキングからして番狂わせがない限り勝てるとして、後が厳しい。願望込みだが、アイルランドよりランキングが低いスコットランドには『南ア戦勝利の奇跡』をもう一度実現して、勝って三勝で2位に入る。アイルランドに勝つなんて無理(ただしスコットランドに勝つ事だって出来るかどうか?。善戦すれば御の字)」つうのが試合前の大方の予想だったわけでびっくりですね。
 『南ア戦勝利の奇跡をスコットランド相手に起こせば2位に滑り込める!。それをなんとか目指そう!』と言っている人間(大野氏もその一人)だって試合前は「まあ、願望込みなんだけどね」つう話だったわけです。
 もはやこうなると「外人が多い*50」とはいえ「日本代表チーム」に話を限れば「世界の強豪入りした」ということになるのでしょう。
 決勝進出はおそらく無理にしても、どこまで行けるかと言うことでしょう。
 そうなると日本でもある程度ラグビー人気が期待でき、「中学、高校でもラグビーが普及」となるでしょうか?
 小生が「性格がひねくれてる」ので以下、「憎まれそうなこと」を書いておきますが「なでしこジャパンの優勝」は必ずしも「女子サッカーの普及」や「プロ女子サッカーの人気」にはつながらず、また「弱いわけではないとはいえ」、昔に比べればなでしこジャパンも常勝軍団ではありません。
 ラグビーにしても「新日鉄釜石の全盛時代(実業団時代の1978年から1984年にかけて日本選手権7連覇)」や「TBSドラマ『スクール☆ウォーズ1984~1985年、京都市立伏見工業高等学校ラグビー部がモデル)』のヒット」というラグビー普及に有利な条件があっても最近までラグビーはマイナースポーツでした(だからこそ今回日本開催でラグビー人気盛り上がりを狙い、そのもくろみは日本代表の決勝トーナメント進出で大いに成功したと言えるでしょう)。
 つまりは「今回の件であぐらをかいてはいけない」つうことですね。まあ、一般ラグビーファン(特ににわかファン)はともかくその辺りは日本ラグビー関係者もよくわかってるでしょうが。
 しかしこれでしばらくマスコミが「政治批判から逃げてラグビー日本代表万歳」、産経にいたっては「国粋主義宣伝に悪用しようとする」んでしょうか。「マスコミのせい」であって日本代表のせいではないとはいえうんざりしますね。
 

*1:東京、京都、埼玉のこと

*2:日本共産党埼玉県委員長

*3:日本共産党東京都委員長

*4:日本共産党京都府委員長

*5:島根・鳥取選挙区無所属候補。前参院議員

*6:福井選挙区公認候補

*7:高知・徳島選挙区無所属候補

*8:日本共産党選挙対策委員長国会対策委員長

*9:神戸学院大学教授。「政治資金オンブズマン」共同代表。著書『政党助成法の憲法問題』(1999年、日本評論社)、『政党国家論と国民代表論の憲法問題』(2005年、日本評論社)、『なぜ4割の得票で8割の議席なのか』(2013年、日本機関誌出版センター)、『財界主権国家・ニッポン:買収政治の構図に迫る』、『誰も言わない政党助成金の闇』(以上、2014年、日本機関誌出版センター)、『告発!政治とカネ』(2015年、かもがわ出版)、『追及! 安倍自民党・内閣と小池都知事の「政治とカネ」疑惑』(2016年、日本機関誌出版センター)、『日本国憲法の真価と改憲論の正体』(2017年、日本機関誌出版センター)、『内閣官房長官の裏金:機密費の扉をこじ開けた4183日の闘い』(2018年、日本機関誌出版センター)、『ここまできた小選挙区制の弊害:アベ「独裁」政権誕生の元凶を廃止しよう!』(2018年、あけび書房)など。個人ブログ上脇博之 ある憲法研究者の情報発信の場

*10:鳩山内閣国交相菅内閣官房長官民主党政調会長(野田代表時代)、野田内閣国家戦略担当相、民進党代表など歴任

*11:神奈川の松沢当選は「松沢の個人的力が大きく」維新の力とはいいがたいでしょう。

*12:著書『安倍官邸とテレビ』(2016年、集英社新書

*13:村山内閣環境庁長官森内閣文相(科技庁長官兼務)、小泉内閣農水相自民党国対委員長(第一次安倍、福田、麻生総裁時代)、幹事長、副総裁(谷垣総裁時代)などを経て衆院議長

*14:9/10時点で書いていますが今度の内閣改造で萩生田が文科相だそうです。絶句しますね。

*15:著書『民間人も「戦地」へ:テロ対策特別措置法の現実』(2003年、岩波ブックレット)、『ルポ 戦争協力拒否』(2005年、岩波新書)、『密約:日米地位協定と米兵犯罪』(2010年、毎日新聞社)、『赤紙と徴兵』(2011年、彩流社)、『沖縄:日本で最も戦場に近い場所』(2012年、毎日新聞社)、『「日米合同委員会」の研究』(2016年、創元社)など

*16:愛知県労働組合総連合(愛労連)議長。著書『トヨタの足元で:ベトナム人研修生 奪われた人権』(2008年、風媒社)、『反貧困でつながろう:国境を越えた仲間たち 改正入管法対応 外国人実習生支援ガイド』(2010年、かもがわ出版)、『外国人実習生「SNS相談室」より:ニッポン最暗黒労働事情』(2017年、風媒社)

*17:2019年、吉川弘文館

*18:関東学院大学教授。著書『沖縄戦と民衆』(2002年、大月書店)、『BC級戦犯裁判』(2005年、岩波新書)、『シンガポール華僑粛清』(2007年、高文研)、『戦後平和主義を問い直す』(2008年、かもがわ出版)、『戦犯裁判の研究』(2009年、勉誠出版)、『沖縄戦 強制された「集団自決」』(2009年、吉川弘文館歴史文化ライブラリー)、『沖縄戦が問うもの』(2010年、大月書店)、『米軍基地の歴史』(2011年、吉川弘文館歴史文化ライブラリー)、『裁かれた戦争犯罪:イギリスの対日戦犯裁判』(2014年、岩波人文書セレクション)、『暴力と差別としての米軍基地』(2014年、かもがわ出版)、『日本軍「慰安婦」問題の核心』(2015年、花伝社)、『沖縄からの本土爆撃:米軍出撃基地の誕生』(2018年、吉川弘文館歴史文化ライブラリー)など。個人サイト(http://hayashihirofumi.g1.xrea.com/)。

*19:一橋大学名誉教授。著書『南京大虐殺』(1985年、岩波ブックレット)、『昭和天皇15年戦争』(1991年、青木書店)、『南京の日本軍:南京大虐殺とその背景』(1997年、大月書店)、『餓死した英霊たち』(2001年、青木書店→2018年、ちくま学芸文庫)、『中国戦線従軍記』(2002年、大月書店→2019年、岩波現代文庫)、『天皇の軍隊と日中戦争』(2006年、日中戦争)など

*20:愛知大学名誉教授。著書『日中アヘン戦争』(1988年、岩波新書)、『盧溝橋事件』(1988年、岩波ブックレット)、『1941年12月8日 アジア太平洋戦争はなぜ起こったか』(1991年、岩波ジュニア新書)、『日本の侵略と日本人の戦争観』(1995年、岩波ブックレット)、『日本帝国主義史研究』(1998年、青木書店)、『十五年戦争研究史論』(2001年、校倉書房)、『まぐれの日本近現代史研究』(2003年、校倉書房)など

*21:山口大学名誉教授。著書『日本海軍の終戦工作』(1996年、中公新書)、『検証・新ガイドライン安保体制』(1997年、インパクト出版会)、『侵略戦争』(1999年、ちくま新書)、『有事法制とは何か』(2002年、インパクト出版会)、『近代日本政軍関係の研究』、『文民統制自衛隊はどこへ行くのか』(以上、2005年、岩波書店)、『監視社会の未来:共謀罪・国民保護法と戦時動員体制』(2007年、小学館)、『憲兵政治:監視と恫喝の時代』(2008年、新日本出版社)、『私たちの戦争責任』(2009年、凱風社)、『田中義一』(2009年、芙蓉書房出版)、『「日本は支那をみくびりたり」:日中戦争とは何だったのか』(2009年、同時代社)、『侵略戦争と総力戦』(2011年、社会評論社)、『領土問題と歴史認識:なぜ、日中韓は手をつなげないのか』(2012年、スペース伽耶)、『日本降伏:迷走する戦争指導の果てに』、『日本はなぜ戦争をやめられなかったのか』(以上、2013年、社会評論社)、『集団的自衛権容認の深層:平和憲法をなきものにする狙いは何か』(2014年、日本評論社)、『暴走する自衛隊』(2016年、ちくま新書)、『逆走する安倍政治』(2016年、日本評論社)、『権力者たちの罠:共謀罪自衛隊・安倍政権』(2017年、社会評論社)、『[増補版]総力戦体制研究:日本陸軍国家総動員構想』(2018年、社会評論社)、『日本政治史研究の諸相:総力戦・植民地・政軍関係』(2019年、明治大学出版会)、『自衛隊加憲論とは何か』(2019年、日本機関紙出版センター)、『戦争と敗北:昭和軍拡史の真相』(2019年、新日本出版社)など

*22:琉球大学名誉教授。著書『八〇年代の教科書問題』(1984年、新日本新書)、『旅しよう東南アジアへ:戦争の傷跡から学ぶ』(1987年、岩波ブックレット)、『教育勅語と学校教育』(1990年、岩波ブックレット)、『教科書はこう書き直された!』(1994年、講談社)、『教科書裁判はつづく』(共著、1998年、岩波ブックレット)、『ウソとホントの戦争論:ゴーマニズムをのりこえる』(1999年、学習の友社)、『使ったら危険「つくる会」歴史・公民教科書』(共著、2005年、明石書店)『拉致問題で歪む日本の民主主義』(2006年、スペース伽耶)など

*23:明治大学教授。著書『昭和天皇の戦争指導』(1990年、昭和出版)、『大元帥昭和天皇』(1994年、新日本出版社)、『軍備拡張の近代史:日本軍の膨張と崩壊』(1997年、吉川弘文館)、『歴史修正主義の克服』(2001年、高文研)、『護憲派のための軍事入門』(2005年、花伝社)、『世界史の中の日露戦争』(2009年、吉川弘文館)、『これだけは知っておきたい日露戦争の真実:日本陸海軍の〈成功〉と〈失敗〉』(2010年、高文研)、『日本は過去とどう向き合ってきたか』(2013年、高文研)、『近代日本軍事力の研究』(2015年、校倉書房)、『兵士たちの戦場』(2015年、岩波書店)、『昭和天皇の戦争:「昭和天皇実録」に残されたこと・消されたこと』(2017年、岩波書店)、『日本の戦争:歴史認識と戦争責任』(2017年、新日本出版社)、『日本の戦争Ⅱ:暴走の本質』(2018年、新日本出版社)、『日本の戦争III:天皇と戦争責任』(2019年、新日本出版社)など

*24:沖縄大学名誉教授。著書「現代日本と沖縄」(2001年、山川出版社日本史リブレット)、「沖縄現代史(新版)」(2005年、岩波新書)、『日本にとって沖縄とは何か』(2016年、岩波新書)、『私の沖縄現代史』(2017年、岩波現代文庫)など

*25:これはチベットも話は同じでしょう。「チベット開発による近代化」が「中国支配を一応受け入れるチベット人」を生み出してることは否定できないかと思います。

*26:こういうこと言うとMukke、I濱Y子、阿部治平とか激怒しそうですが「解放されたから近代化できた」のは事実でしょう。もちろんそれは「人権面で中国のチベット統治に何も問題はない」という話ではありません。

*27:架空インタビューですのでこういうやり取りが出てきますがなにとぞご容赦ください。

*28:東京大学教授。著書『教育と国家』(2004年、講談社現代新書)、『国家と犠牲』(2005年、NHKブックス)、『戦後責任論』(2005年、講談社学術文庫)、『犠牲のシステム 福島・沖縄』(2012年、集英社新書)、『デリダ』(2015年、講談社学術文庫)、『沖縄の米軍基地:「県外移設」を考える』(2015年、集英社新書)など

*29:郵政産業労働者ユニオン委員長

*30:サイト見て気づきましたがナレーターが「ヱヴァンゲリヲン(1995~1996年、テレビ東京)の綾波レイ」で一躍有名になった林原めぐみだったんですね。この番組を見ていたのに全然気づきませんでした。

*31:今時「万世一系」というフィクションを「国柄を表現する基本原理」とは本当によしこは気が狂っています。

*32:加藤高明内閣司法相、田中義一内閣鉄道相など歴任。佐藤内閣労働相、福田内閣自治相・国家公安委員長、鈴木内閣文相などを歴任した小川平二代議士の父。

*33:貴族院議長、首相を歴任。戦後、戦犯指定を苦にして自殺。

*34:関東憲兵隊司令官、関東軍参謀長、陸軍次官、第二次、第三次近衛内閣陸軍大臣、首相を歴任。戦後死刑判決。のちに靖国に合祀。

*35:検事総長大審院長、第二次山本内閣司法相、枢密院議長、首相、第二次近衛内閣内務相など歴任。戦後終身刑判決で服役中に病死。のちに靖国に合祀。

*36:天皇機関説攻撃で知られる極右活動家。戦後、自殺している。

*37:田中、斎藤内閣海軍大臣、首相を歴任

*38:第一次西園寺、第二次桂、第二次西園寺、第三次桂、第一次山本内閣海軍大臣朝鮮総督、首相、内大臣など歴任

*39:海軍次官連合艦隊司令長官、海軍軍令部長侍従長、枢密院議長、首相など歴任

*40:台湾軍司令官、参謀次長、陸軍教育総監を歴任

*41:犬養内閣陸軍大臣、第一次近衛、平沼内閣文相など歴任。戦後、終身刑判決を受けるが後に仮釈放。

*42:226事件当時、侍従武官長。娘婿の歩兵第1連隊中隊長山口一太郎大尉(事件後無期禁固になるが後に仮釈放)が226事件に参加したこともあり、青年将校に好意的態度をとったことで昭和天皇の不信を買う。満州事変当時の関東軍司令官だったことから戦後、戦犯指定を受け、それを理由に自決。

*43:決起部隊が反乱軍と認定されることが不可避となった折に、皇道派の山下の説得で青年将校は自決を覚悟した。このとき山下は川島陸軍大臣と本庄侍従武官長を通じて、彼らの自決に立ち会う侍従武官の差遣を昭和天皇に願い出たが、これは昭和天皇の不興を買うことになった。この件に関して『昭和天皇独白録』には「本庄武官長が山下奉文の案を持ってきた。それによると、反乱軍の首領3人が自決するから検視の者を遣わされたいというのである。しかし、検視の使者を遣わすという事は、その行為に筋の通ったところがあり、これを礼遇する意味も含まれていると思う。赤穂義士の自決の場合に検視の使者を立てるという事は判ったやり方だが、背いた者に検視を出す事はできないから、この案を採り上げないで、討伐命令を出したのである」とある。また『木戸幸一日記』にも「自殺するなら勝手になすべく、このごときものに勅使なぞ、以ってのほかなり」とあり、青年将校を擁護する山下に対し、天皇天皇側近の評価は極めて低かった(なお、青年将校が山下に約束した自決は「侍従武官の差遣」が条件だったため、この条件が果たせない時点で事実上約束は無効になり、野中四郎(自決により死亡)、安藤輝三(自決未遂、後に死刑判決)など一部を除き青年将校は自決しなかった)。このため山下は事件後、歩兵第40旅団長に左遷される。太平洋戦争では第25軍(マレーシア)司令官として、マレー作戦を指揮し、「マレーの虎」と国民的人気を得るが、226事件後の山下は、彼と対立する東条英機ら統制派が陸軍の実権を握っていたこともあり、歩兵第40旅団長、支那駐屯混成旅団長、北支那方面軍参謀長、関東防衛軍(満州)司令官、第25軍(マレーシア)司令官、第1方面軍司令官(満州)、第14方面軍(フィリピン)司令官と「それなりには出世はする」ものの、 「一時、陸軍航空本部長を務めたこと」を除けば、外回りに終始しついに陸軍中央に戻ることが出来なかった。戦後、戦犯として死刑判決(ウィキペディア山下奉文」参照)。

*44:「放送レポート」編集長。「表現の不自由展・その後」実行委員

*45:著書『現代スポーツ批判』(1996年、大修館書店)

*46:だからこそガチの一軍メンバーに勝利した前回の南ア戦が「奇跡」「快挙」「大金星」といわれたわけです。なお、【ラグビー日本代表】スコットランドとの対戦成績や注目の選手まとめ|かえるのしっぽを見ればわかりますが「かなり昔(30年前)の上」、「親善試合なのでスコットランドは二軍メンバー」であり、全く参考になりませんが、日本は1989年にスコットランドに「日本28-スコットランド24」で「1回だけ勝利」してます。しかし、他の「10試合」はすべて日本が敗北しています(一番最近の負け試合は2016年6月の「日本16-スコットランド21」)。【ラグビーW杯】日本の対戦国アイルランドは強い?過去の対戦成績は?|かえるのしっぽを見ればわかりますがアイルランドに至っては「9戦9敗で日本が全敗」です(一番最近の負け試合は2017年6月の「日本13-アイルランド35」)。

*47:追記:驚くべき事に両方に勝ちました。

*48:追記:アルゼンチンはイングランド、フランスに敗れ、予選で敗退しました。

*49:追記:スコットランドは日本、アイルランドに敗れ、予選で敗退しました。

*50:ここを問題にするのは必ずしも差別ではないだろうと俺は思っています(正直、俺も「排外主義(?)」的な面を持つ人間なので、『外人ばかりじゃ応援する気にならない』つう気持ちがあることは否定しませんが)。なぜなら、これはどう見ても「日本において中学、高校などでラグビーが盛んでないこと」の表れだと思いますので。日本でラグビーが盛んで、「日本人選手が一流揃いなのに外人が代表になった」つうならともかくそうじゃないでしょうからねえ(海外チームに日本人選手が複数、参加してそれなりに活躍しているサッカーや野球とはラグビーは違うでしょう)。

新刊紹介:「経済」10月号

「経済」10月号について、俺の説明できる範囲で簡単に紹介します。
 http://www.shinnihon-net.co.jp/magazine/keizai/
世界と日本
■中国、4年ぶりの国防白書(平井潤一)
(内容紹介)
 国防費の増大については批判をしていますが、それ以外については特に目立った批判はありません。
 少なくとも平井氏が産経など反中国ウヨが放言する「米中戦争」「台湾危機」など「軍事衝突」を想定していないことは確かでしょう。俺も同感ですね。
 今のところ中国は「イラクやアフガンでの米軍」「シリアでのロシア軍」のような大規模な海外での軍事展開はしていませんし、当面はそうした考えはないでしょう。だからこその一帯一路でもあるでしょう。

参考

軍事専門家の解説 『新時代の中国国防』の6つの注目点--人民網日本語版--人民日報
■注目点3:「永遠に覇権を唱えず、永遠に拡張せず、永遠に勢力範囲を求めず」を初めて新時代における中国の国防の鮮明な特徴に
【白書】
「永遠に覇権を唱えず、永遠に拡張せず、永遠に勢力範囲を求めない。これは新時代における中国の国防の鮮明な特徴だ」
【専門家の解説】
 軍事科学院政治活動研究院の釋清仁副研究員
「永遠に覇権を唱えず、永遠に拡張せず、永遠に勢力範囲を求めない。これは我が国が長年堅持している対外政策であり、習主席が国際的な場で世界に向けて行ってきた重大な政策表明でもある。新版の白書はこれを新時代における中国の国防の鮮明な特徴とし、新時代における中国の国防政策が防御的であることを明示し、中国の戦略的意図の透明性を反映した。これは中国の発展に対する外の世界の疑念及び懸念を取り除き、一部の者が宣伝するいわゆる『中国脅威論』を打破する助けとなる」
■注目点6:国防費の国際比較によって中国の国防費と安保上の必要性との開きを初めて明らかに
【白書】
「2017年に国防費が世界の上位にあった国々のうち、中国の国防費は対GDP比や国の歳出に占める割合でも、国民1人当たりや軍人1人当たりの額でも低水準にある」
【専門家の解説】
 軍事科学院戦争研究院ポストドクターの周州氏「国防費はかねてから国際社会の注目の焦点だ。新版の国防白書は国防費の対GDP比、歳出に占める割合、1人当たり国防費水準の3つの次元から、2017年に国防費が世界の上位にあった国々の状況と比較して、中国の国防費の増加が合理的で適度なものであり、支出がやや低水準のものであることを力強く説明した」

 「永遠に覇権を求めない(覇権主義否定)」「我が国は軍事費が増加しているがその増加は欧米や日本などに比べ低水準。欧米や日本には少なくとも批判されるいわれはない」などの主張を「事実に合致した全くの正論だ」と肯定的に評価するにせよ、「事実に反する」と否定的に評価するにせよ、どう評価するにせよ、中国が「軍事大国で何が悪い」という居直り的態度を公然ととっていないことは注目すべきことでしょう。


■湾岸の緊張が孕む危険性(西海敏夫)
(内容紹介)
 イランへの対決姿勢を強めるトランプ政権が批判されている。
イラン沖の「有志連合」への派兵に反対する/―外交的解決にこそ力つくせ/志位委員長が表明
なんだっけ/イラン核合意って?
独は「有志連合」不参加/外相表明 対イラン「軍事的解決ない」


特集『グローバリゼーションとEU
欧州議会選挙とEU統合の現段階(田中宏*1
(内容紹介)
 架空インタビュー形式で書いてみます。
■俺
 今回の欧州議会選挙の特徴は何でしょうか。
■田中氏
 まず第一に当初危惧された極右の躍進はありませんでした。ただし議席自体は増加しているので今後も警戒は必要です。
 第二に従来の二大勢力である中道左派(社民)、中道右派は退潮し、その代わりに緑の党が躍進しました。ただし緑の党は躍進してもすでに述べたように中道左派は退潮していますし、共産党など従来の左派も議席を減らしました。また緑の党はもっぱら北欧とフランス、ドイツで議席を獲得し、東欧、南欧ではほとんど議席を獲得できていません。東欧、南欧ではいまだに従来の二大勢力の力が強いのです。


新自由主義とイギリス福祉国家(二宮元*2
(内容紹介)
 イギリス福祉国家サッチャー保守党政権(1979~1990年)の「急進的新自由主義」により大きく変化したが、それは格差拡大を生み、労働者の反発による保守党下野、ブレア労働政権誕生(1997年)を生んだ。
 ブレア政権(1997~2007年)は「サッチャーの急進的新自由主義」でも「従来の労働党」でもない「第三の道」を掲げたが、それは、福祉に一定の目配りをしている点ではサッチャーとは違うとはいえ「マイルドな新自由主義」とでもいうべきものであった。そのため次第に労働党支持層は不満を高め、労働党下野、キャメロン保守党政権誕生(2010年)をもたらした。
 その後、労働党はブレア路線に批判的だった左派コービン(2015年以降)を党首に就任させている。2017年総選挙では政権奪取には至らなかったものの、議席を増加させるとともに保守党を過半数割れさせており、コービンの路線はおおむね労働者層に支持されているとみられる。


■財政規律をめぐる欧州委員会とイタリアの対立(霜田博史)
(内容紹介)
 イタリアの財政赤字克服のため、緊縮財政を求めるEUへの反発から、2018年イタリア総選挙では「反緊縮」を掲げる同盟(右派ポピュリスト政党と言われる)と5つ星運動(左派ポピュリスト政党と言われる)が躍進し、両党の連立政権が成立した(同盟党首のサルビーニが副首相兼内務相に就任)。
 しかし最近、政策対立から同盟が政権から離脱を表明、従来、政権と対立してきた最大野党民主党中道左派)と5つ星運動が連立政権樹立に合意したが前途は不透明である。
 今後の情勢が全く見通せない状態になっており注目される。


特集「問われる報道とNHK問題」
■座談会「官邸支配とメディア:瀬戸際の『国民の知る権利』」(望月衣塑子*3永田浩三*4、砂川浩慶*5
■NHK政治報道へ強まる批判:視聴者市民の継続する取り組み(戸崎賢二*6
NHK「公共メディア」経営戦略のねらい:政府主導ですすむ4K8K放送、ネット活用事業(須藤春夫)
(内容紹介)
 座談会と戸崎論文が「安倍自民の恫喝と圧力」によって安倍御用メディア化しているNHKへの批判です。ただし座談会においては望月氏がメンバーであることで分かるように、安倍自民に忖度し、「望月排除」へ動く安倍政権を何ら批判しない日本新聞協会やそれどころか、安倍擁護する産経なども批判されています。
 一方、須藤論文は「4K8K放送、ネット活用事業」ということでNHKの金儲けの傾斜を「公共放送として適切なのか」という批判をしています。
参考
国民の信頼が不可欠/NHKネット同時配信 本村氏ただす/法改定案は可決/衆院委
改定放送法が成立 山下氏ただす/NHKのネット同時配信可能に/スマホからも受信料?
なんだっけ/NHKがネットで見られる?
NHK前「アベチャンネルNO!」/「政権忖度」の声 板野専務理事解任求める
真実へ記者の連帯を/シンポ 安倍政権とメディア語る
公共的な放送機関をなくしてはいけない/「放送を語る会」がN国党を批判


■米中相互依存(チャイメリカ)経済から「新冷戦」化へ(下)(山脇友宏)
(内容紹介)
 新刊紹介:「経済」9月号 - bogus-simotukareのブログで紹介した(上)の続きです。
 (上)では オバマ政権の「米中相互依存(チャイメリカ)経済」からトランプにより『米中「新冷戦」化』という事実認識が示されていました。
 (下)ではそうした中国敵視は「米国経済や世界経済が中国市場に依存しているため」挫折せざるを得ないし、一日も早く挫折させるべきだとしています。そしてそのためには「無法な中国敵視」をやめさせる「EU諸国(英独仏など)や日本」の米国への働きかけが重要であるとしています(ただし山脇氏はトランプべったりの安倍にそれができるとは思えない、安倍下野がそうした意味でも急務としていますが)。


MMT(近代的金融理論)をめぐって(建部正義*7
(内容紹介)
 MMT(近代的金融理論)なる理論への批判がされていますが「無能のためよく内容がわからない」ので詳細は省略します。まあもちろん、感覚的には「財政赤字を放置してもかまわないなんておかしいんじゃないか?」つう感覚はありますけどね。ただし「たとえインチキな主張だとしても」学説として唱えられてるものを「感覚的に納得いかない」つうのは批判にならないわけです。
 なお、是非はともかくとして「サンダース支持者とされるステファニー・ケルトンが提唱者」「(れいわ新選組党首の山本太郎がどこまでMMTを理解しているかはともかく)山本がMMTに対して好意的な言動をしたこと*8」により、今後も日本においてMMTは一定の注目を集めてはいくのでしょう。

参考

大門実紀史のMMT論
大門実紀史
 大門です。
 既に今日も議論ございましたけれど、今話題のMMT、現代貨幣理論について、日銀の政策にも関係いたしますので質問したいというふうに思います。
 今資料を配っていただいておりますが、既にいろんな方に使ってもらっていますけど、一枚目が朝日新聞の資料でございまして、MMTとは何かということが左上に書いてございますが、朝日は金融理論になっていますが、貨幣理論の方が的確ではないかなとちょっと若干思いますけれども、要するにどういう主張かと申し上げますと、政府は通貨発行権を持っているから通貨を限度なく発行できる、自国の通貨建ての国債が返済不能になることはない、したがって財政赤字が大きくなっても問題はないというんですね。で、インフレは起こらないとはおっしゃっていませんで、インフレが起こるだろうけれども、ある水準に達するまではさっき言った財政支出は幾らやっても構わないというんですね。仮に、ハイパーとは言いませんが、高インフレになっても簡単に抑えることができると、国債を売る売りオペとか増税すればいいというようなこと、もう一つは中央銀行による国債の直接引受け、財政ファイナンスもやっていいんだと。
 これは、ニューヨーク州立大、ケルトン先生の記事でございます。この中にもありますけれども、過去の世界の歴史で起きたハイパーインフレ、日本の、先ほどありましたが、戦後直後のハイパーインフレも含めて、ハイパーインフレが起きたのは中央銀行による財政ファイナンスのせいではないんだと、戦争とかいろんな特別な危機の下で、つまり供給が需要に追い付かない、いろんな生産設備が破壊されますので、そういう物の供給不足からインフレになったので、中央銀行の債務や信用拡張とは関係ないということですね。ですから、財政ファイナンスをやっていいと、ハイパーや悪性インフレ、高インフレは起こらないと、起きても制御できるというふうな、そういう理論でございます。
 MMTそのものはそもそも、ちょっと調べてみましたら、私も専門ではありませんけれど、通貨とは何かという純粋な貨幣学説であって、特に何か急に出てきた話ではないということで、ただ、今まで余り注目されてこなかったのが、今、日本とアメリカで大変話題になっていると。
 そのきっかけは、昨年のアメリカの中間選挙で史上最年少の女性下院議員に当選したオカシオコルテスさん、民主党のサンダース派の、民主的社会主義者とおっしゃっているグループの方ですね、このオカシオコルテスさんが、女性議員ですけど、MMTを支持するということで一気に注目をされてきたということでございまして、これは今のところ、出どころからいえば(ボーガス注:バーニー・サンダース派という)左派の理論なんですね。日本では右派が注目しておりますけれども。
 資料の二枚目に、先ほどございましたけれど、このMMTについて、アメリカのFRBの議長さん含めてそうそうたる、本当にそうなんです、これ何枚も続くんです、著名な学者がみんなMMTを批判をしております。これ財務省の資料で、後でこの問題点も言いますけれど、非常に過剰反応じゃないかと思うくらい、もうことごとくこれは駄目だというふうに批判しているわけですね。
 余りに批判されますので、このケルトン教授というのは、今言いましたMMTの急先鋒の学者さんであって、先ほどのコルテスさんですね、サンダースさんのときもそうですが、コルテスさんのとき、民主党の左派のブレーンみたいな方ですけど、そういう批判が猛烈にされましたので、このケルトン教授は、資料一に戻りますけれども、そのいろんな批判された反論として、日本でやっているんだと、日本で成功しているんだと、実例があるじゃないかということでいろいろおっしゃっているわけですね。だから、もう理論的にも実証されているんだということで、そういう議論があったので、この議論がアメリカから日本に飛び火をして、日本の日銀も含めて今いろんなことになっていると。
 それで、財務省が、要するにどんどん借金しても大丈夫だよというような理論なので、慌てて火消しに躍起になって、財政審で、この三枚目から六枚目の資料ですね、こうびっしり出して、これも過剰反応ではないかなと私思いますけれど、出してきているということですね。
 資料の三枚目に西田さんの有名な決算委員会での質問の答弁が載っているわけですが、これ私、西田さんに大変失礼だと思うんですよね。西田さんの質問を載っけないで答弁だけ載っけているんですよね。
(中略)
 この答弁だけ載っけて反論だけに使っているというのは、大変議員の質問に対して失礼じゃないかと思いますけれど、非常に過剰反応ですよね、過剰なんですね。
 このMMTの理論の中身は後で触れたいんですけれど、まず、なぜこういう主張が欧米で力を増してきたのかということをやっぱり私たちは考えるべきじゃないのかなと思うんですよね。一言で言いますと、緊縮財政、緊縮政策に対する反発、もうたまりにたまった不満が爆発してきたのではないかと。これは日本でも言えると思います。
 要するに、この二、三十年、日本では二十年ぐらいですかね、新自由主義的なグローバリゼーション、規制緩和、小さな政府、緊縮、財政規律、社会保障を抑制して、増税して、我慢しろ我慢しろと。こういうふうないわゆる緊縮政策に対して、もういいかげんにしろと、政府は国民のためにお金使えと、場合によっちゃ借金してでも国民の暮らしを守れということなんですね。今まで政府が言ってきたような、日本の政府もそうなんですけど、財政規律とか緊縮というのが一体誰のための緊縮だったのかと。
 要するに、小さな政府論があって、富裕層とか大手資本が海外に逃げないとかいろんな、そのために緊縮財政を押し付けてきたんじゃないかというようなことがだんだん分かってきて、そういうことも含めてこういう反発が起きて、ですから、私はこれ、不満の歴史的な爆発というふうに捉えるべきではないかと思うんです、政治的に言えば、歴史的に言えばですね。
 ですから、欧州の左派、イギリスの労働党のコービンさんとか、スペインのポデモスですか、新興左派ですね、で、アメリカのさっき言ったサンダース、オカシオコルテスさんというような人たちが一様にこの緊縮に対する反発、反緊縮という言い方されておりますけど、そういうものとして、対抗軸として出てきたのではないかと思うわけであります。
 実際にこのMMTの理論をどういうふうに政策として採用するのかは、今言ったいろんな国のいろんなやり方がありますけれど、大きなバックボーンとしてこのMMTがあるということではないかと思います。
 ただ、正確に言いますと、コービンさんなんかの政策を見ると、社会政策の方は税制改革でと。つまり、富裕層に増税を求めてとか、歳出の中でやるものは増税、税制改革。で、緩和マネーでやるのは公共インフラ、公共住宅の建設。そこで雇用を生めと、雇用も生めという意味ですけどね。そういうふうにありますけど、いずれにせよ、緊縮財政への反発が歴史的な背景にあるといいますか、あると。
 そこで、日本について考えますと、この財務省の過剰反応も含めて思うんですけれども、日本の緊縮財政の本丸が財務省だというふうに思われているから、西田さんも財務省を主要の敵の本を書かれるわけですよね。そういうことが広がっているわけ、いろんな方からね。
 そういうふうに考えますと、財務省はこれ、ただ過剰反応するんじゃなくて、自分たちがやってきたこと、やろうとしていることをもうちょっと謙虚に反省すべきじゃないかと、まず。このMMTは日本にずっと波及しますよ、財務省が今の姿勢のままですと。
 要するに、財務省は一貫して財政再建至上主義、借金が大変だ大変だと危機感あおって、プロパガンダやって、もう社会保障は削るしかないと、増税しかないんだというようなことをずっとやってきたわけですね。四月の財政審なんかも、あれもう夢も希望もない、国民にとっては。もう気持ちが暗くなるだけの、そんなものばっかり出してきているから景気も悪くなって、マインドも冷え込んで良くならないということになっていると思うんですよね。
 ですから、財務省に聞きたいのは、緊縮財政にこんな過剰反応するんじゃなくて、今の財務省の緊縮政策そのものがもう歴史的に日本では問われていると、そういう認識をまず持つべきではないかと思うんですが、いかがでしょうか。
副大臣鈴木馨祐*9
 今いろいろと御指摘をいただいたところでありますけれども、例えば、今、高齢化がこれから進んでいくような状況を考えれば、やはり医療の高度化も伴って社会保障全体の費用というのはこれからどうしても増えていく傾向があると、そういった状況があります。さらに、やはり今の景況感、景気の状況を考えたときに、どこまで公助でしっかりと支えていかなくてはいけない状況なのか、これは当然、その時々の景気状況によって我々の打つべき政策変わってくると思います。
 そうした中で、どこに最適解があるのかということを考えて、今しっかりとそうした財政の必要なところ、必要なところをしっかりと対応していくということで今政策を進めているところであります。
大門実紀史
 そんなことばっかり言っているから、財務省がもう主要な敵になっちゃうんですよね。副大臣財務省出身だから仕方がないのかも分かりませんけれども。
 私は、このMMTの理論の中身というよりも、欧米の場合は左派が多いわけですけれども、こういう政治家の方々の心情というのは、国民の気持ちを代弁していて大変理解できるところはあるわけでございますし、大変共感するところはもちろんあるわけです。当たり前ですよね、目の前で困っている人がいたら借金してでも助けろと、それは政治の役割ですよね。これは当たり前のことでありましてですね。
 あと、財務省にちょっと一言言っておきますと、何でこんな過剰反応するのかなと。私、このMMTの理論は、一つの知的なシミュレーションとしてちゃんと参考にすべきところは参考にして、何も全面否定、こんな全面否定する必要ないんじゃないかと思うんですよね。西田さんが言われた信用創造の話も、先ほどもありましたけれども、当たり前の話をされているわけで、銀行が万年筆マネーで数字書けばそれでお金が生まれるわけですから、それは一つの当たり前の、実務的には当たり前の話をされているわけですね。それを延長するとちょっといろいろ言いたくなるというのは分かりますけれども。
 ただ、いずれにせよ、物事というのはそういう面もあれば違う面も見ると、からも見るということであって、これは一つのシミュレーションとして、この信用創造論、別に新しい話と私思わないんですけれども、天動説、地動説ほどの話だとは思わないけれども、これは一つの考え方とこのMMTの人たちも言っているわけですね。そういうふうに捉えればいい話で、何もむきになって否定する必要ないと思うんですよね。
 統合政府まで、これ、わざわざよくこんなもの資料作ったなと思いますけれども。これ何枚目ですかね、統合政府は資料五枚目ですかね。何でここまで一々やる必要があるのかなと思うんですけれども。要するに、政府と日銀が一体だと考えるとどうなるかということを一つのシミュレーションとしてMMTの人はかたがた言っているわけでありまして、これは要するに、財務省が借金大変だ大変だと言うから、違う考え方もありますよと、こうやって見ればちょっと違う絵柄が見えるでしょうということのシミュレーションであって、何も本当に統合しているわけでもありませんし、当座預金は負債で残りますからね。それをこんな、何か非常に過剰反応する必要は何もないんじゃないかと。財務省の脅しに乗るよりはよっぽど、この統合政府論をいつも描いておいた方がよっぽどいいなと私は思うんでありまして、何もこれもそんな否定するような話じゃないと。財務省が余りにも今まであおり過ぎるからこういう考え方が出てくるんではないかと思いますし。
 先ほどもちょっとありましたけれども、六枚目のシムズ理論、FTPLですね、これも何で一々こんなこと書くのかなと思いますけれども。これも一つの知的シミュレーションで見ればいいんじゃないかと思うんですよね。要するに、これ言っていることは、政府が財政支出を行う、借金して行う、だけど将来増税しませんよ、歳出のカットもしませんよということをコミットしたら人々はお金を使うだろう、景気は良くなるだろう、物価は上がるだろうと。これ一つのシミュレーションで、私は本当にこのとおりいくと思いませんよ、人々の気持ちというのはいろいろありますからね。このとおり動くとは思いませんが、一つの学者さんの意見として、理論として参考にすればいいだけで、シミュレーションとしてですね、こんな一々反応する必要はないんじゃないかというふうに思います。
 ですから、ちょっと過剰反応し過ぎじゃないかなと思うわけですけれども、一つだけ私が思うのは、なかなかMMTの主張に同意できないといいますか、思うのは、やはり中央銀行が財政ファイナンスをしても大丈夫、高インフレは起こらない、日銀はもう既に財政ファイナンスやっているからインフレにもならない、金利も低いんだと。やっているけれどもインフレにならない、金利も低いんだ、だからこれからも大丈夫と。これだけはちょっと違うのかなというふうに大変思っているところでありまして、ここからは西田さんと意見が分かれてくるわけでございます。
 これはもう長いこと、私もう二十年近くそういう議論しているんですけれども、先ほども黒田総裁にMMTどう見るかという質問ございまして、要するに、ちょっと一般的な今までの答弁と同じで、みんなが批判しているし、少数の主張だし、オーソライズされていないということだけでしたけれども、このケルトン先生がおっしゃっているのはそういうことではなくて、実態として。目的じゃないんですね。日銀はそういう目的でやっていません、財政ファイナンスなんか考えておりませんと。それはそういう目的じゃなくて、事実この六年やってきたことは間接的なファイナンスで、しかも巨額の国債保有をしている、しかしインフレ起きていないじゃないか、金利もゼロに張り付いているじゃないかと、この部分がケルトンさんはMMTと、今までのところですよ、少なくとも、同じではないかということをおっしゃっているわけですね。それはもう藤巻さんと私は同じで、同じじゃないかと思うんです、そこはと思うんですね。
 あえて違うと日銀がおっしゃるとしたら、日銀は、この先も絶対高インフレは起こらないとか、財政ファイナンスに発展しても大丈夫だとは思っていないということならば違いますよということになると思うんですけれど、その点はいかがですか。
参考人黒田東彦君)
 先ほど申し上げたように、MMTの理論自体が必ずしも体系化されておりませんので、なかなかこの評価が難しいということは申し上げたいと思いますが、その上で、この基本的な考え方の、自国通貨建て政府債務はデフォルトしない、したがって財政政策は財政赤字や債務残高なんか考慮しないで景気安定化に専念する、しかも、その際、国債中央銀行引受けで幾らでもやってもハイパーインフレにならないということも言っている人がいるわけですけれども、御承知のように、戦後のインフレの多くが、確かに生産設備が破壊されて供給力が落ちたところに、戦後に、戦争中に抑制あるいは抑圧されていた消費需要がばっと出てきてインフレになったという面があることは事実なんですけど、他方で、やはりその際に巨額の国債をため、それをファイナンスしてきたと。
 御承知のように、アメリカ自体もそういう下で中央銀行が長期国債金利を上げないようにずっとしていたわけですけど、景気がもう良くなっているのにやったということが失敗だったというので、それは五〇年代にやめているわけですけれども。
 いずれにせよ、ハイパーインフレは戦後のそういう時期だけでなくて、途上国ではそこらじゅうでハイパーインフレは起こっています。これは別に戦争があった結果ではなくて、ラテンアメリカとかアフリカとかでいっぱい起こっていますし、アジアでも起こっています。
 ですから、MMTの理論が、財政政策はもう幾らやっても大丈夫で、しかもそれを中央銀行ファイナンスしたら大丈夫、ハイパーインフレなんてほとんどならないというのは実際間違っているわけでして、そこは学者の人がみんな批判する一番大きな理由だと思います。
 それから二番目に、ケルトン教授ほかの人が、日本はMMT理論を実行しているじゃないかということを言われるんですが、私はそういうふうに思っておりません。
 ケルトン教授の理論というのは、要するに、財政はもうどんどんむちゃくちゃ拡張して、それを全部中央銀行引受けで国債を買ってやれればいいんだと言うんですけど、それを日本がやっているかと言われると、むしろ委員が御指摘のように、景気対策ということはやってきましたけれども、やはり財政の健全化あるいは持続可能性を強化するということは歴代の内閣でも、今の内閣でもそうですけれども、重要なことであると考えていますし、それは私は間違っていないと思いますので、ケルトン教授が言っているように、日本はMMTを実行して財政を大拡張して、それを中央銀行が引き受けてうまくいっていると、ハイパーインフレになっていないという議論は、日本がそういうことをやっているわけではありませんので、そのMMTの理論の、何というんですか、正当化するための、実例があるというのは間違っていると思います。
 なお、シムズ教授の理論、議論については私もよく存じておりまして、実際にシムズ教授が講演して話されたのはもう大分前ですけれども、五、六年前ですか、その場におりまして、シムズ教授と話したこともありますけれども、この理論自体はしっかりした理論で、別におかしくはないんですね。ただ、その前提がちょうど満たされるような状況かと言われると、そういう状況になっているところは余りないということでして、前提をきちっと受け入れるときちっとした結果が出てくるということは間違いないので。
 シムズ教授はたしか(ボーガス注:2011年に)ノーベル経済学賞もらって、期待とかマーケットの話について非常に詳しい人ですけれども、全く理論として間違っていると思いませんし、それはそれで考慮すべきものであると思いますが、MMTについては理論もしっかりしていないし、それから、確かに今委員御指摘のような政治状況の中でアメリカでかなりもてはやされてはいますけれども、アメリカの学者自体がまずほとんど、デモクラット*10でもリパブリカン*11の学者でも受け入れていないというのは、やはり言っている、主張していることが理論的に正しくないということがあって言っているんだと思います。
 一方で、委員御指摘のような財政政策に関するリベラルな人たちの不満とか、現に民主党の大統領候補の方々はグリーンニューディールということを唱えて、それを実際にちゃんとインフレとか財政破綻なくできるということを言うためにこのMMTというのを使っているんだと思いますけれども、そういう政治的な、あるいは社会的な背景があるということは委員御指摘のとおりだと思いますけれども、ただ、この理論が正しいとか、あるいは日本がそれをやっているとか、それはちょっと当たらないというふうに思っております。
大門実紀史
 (ボーガス注:MMTは支持しませんが)私、このケルトン先生好きなんですよね。何といいますか、心情的にね、人々を救わなきゃいけないというところからいくとですね。だからこそ、財政ファイナンスしても大丈夫だとおっしゃる根拠は何だろう、何だろうということでいろいろ見てみたんですけれど、はっきり大丈夫だと言える根拠が示されていないというのが今のところ、私の勉強不足かも分かりませんけれど。
 まず思うのは、国債の直接引受けと間接引受けはまず大きく違うと思っているんですね、そもそもこの日銀の議論の最初からですけど。銀行から日銀が国債を買うときというのは、既に銀行が国から買っているわけですね。そのときは、銀行は民間の、自分の判断として国債のリスクなりあるいは償還の可能性とかいろんなものを検討した上で市場価値を測って、その値段で買うなら買う、買わないなら買わないと、こう裏付けがあるわけですね、一定、市場のですね。
 ところが、直接引受けになりますと、それとは関係なく、もう政府が発行したら買わなきゃいけないと、こういう仕組みになりますから、市場の裏付けの価値のない国債、つまり通貨も発行することになりますからインフレになると。もうこれ当たり前のよく分かる話で、それがありますから、どうして財政ファイナンス、直接引受けしても大丈夫だと、事実やっているから直接引受けやっていいんだと、ちょっと違うと思うんですけど、その議論もなかなか、どこにも書いてないですね。
 何よりも、ちょっと私分からなかったんで、この新聞記事にあることなんですけど、戦後の、今おっしゃいました戦争とかクーデターでハイパーインフレは起きたんじゃなくて、物不足で起きたんだというようなことなんですね。もちろん、それは物不足もあったと思うんですよ。ところが、それだけなのかということが逆にあって、今言った直接ファイナンスもあるんですけど。
 それで、国会図書館に、このケルトンさんがおっしゃっている、何を根拠にこうおっしゃっているのか、世界各国ではというのを国会図書館に調べてもらったら、この根拠になっているのはアメリカのCATO研究所のワーキングペーパーで、五十六か国におけるハイパーインフレに関する調査というのがありまして、その文言の中に、戦争、政治的失敗等の極端な状況の下で発生したと、ハイパーインフレはですね。で、それしか書いてないんですよね。
 もちろん、その戦争の意味ともう一つ政治的失敗の意味の中に当然直接引受け、ファイナンスがあったんではないかと、時の政府の圧力によって、軍部の圧力とかで国債買わされるわけですからね。ですから、ケルトンさんは別にその文言だけ持ってきて戦争とか何かだとおっしゃっているだけで、中央銀行の信用膨張が関係ないんだという実証は何もないということが分かったんですよね。
 あと、もう一つ気になるのは、これ、民主的な政府ならば、民主的な政府では起きないと。実は、第一次世界大戦の後のドイツでハイパーインフレ起きましたよね。あのとき、ワイマール共和国ですよね。世界で最も民主的と言われた国でしたよね、当時ですね。だから、その意味は分かりませんけど、これは恐らく、理想的な政府、非常に賢い人たちが運営する理想的な政府で、しかも統制経済的な運用ができる、その世界ならばハイパーインフレを起こさず、あるいは起きても止めることができるというようなことの意味かなというふうに善意に解釈して思うところでございます。
 あともう一つは、ちょっといろいろ疑問点あるんですが、いずれにせよ、こういう方々がおっしゃっている意味、最初申し上げましたけど、今の緊縮財政そのものがやっぱり根本的に問われていると。やっぱり税制改革含めてもっと人々のためにお金を使うような、税制改革含めてやらないと違う話になってきて、私がそれともう一つ思うのは、このMMTの理論がこれから、今までの日本を思うとどう影響するかというと、本当に人々のための財政支出、例えば社会保障とか生活予算とかに財政支出が回ることに使われるんだろうかと。ひょっとしたら、要するに、もっと借金していいですよと、あと百兆、二百兆大丈夫ですよと、ここだけが、都合のいいところだけが利用されて、結局新幹線造ろうとか公共事業もっとやっていいとか、そちらの方に使われてしまうんじゃないかと、MMTの理論は、善意としても。
 社会保障は、やっぱり私、社会政策だから、歳出の範囲で税制改革をやるべきだと思っておりますので。
 で、公共事業を全部否定しているわけではありません。重要な公共事業もあります。必要な新幹線もあるでしょう。住民のための公共住宅の建設だって必要ですよね。あと、投資、収益、効率を見てですね。否定するわけじゃありませんが、この理論が、結局今の安倍内閣の下では、財務省だけの責任じゃありませんで、安倍内閣の下では結局はそちらに使われて、国民のための、だって社会保障ずっと削ろうとしているじゃないですか。
(中略)
 だから、そういうふうに危険に、何というのかな、危なく使われる可能性があると。だって、今までのリフレ理論も、いろんなこと言っていましたけど、結局株価上げるために使われたんじゃないかと私は思っておりますので。
 政治の場というのは大変怖いものがありまして、学者さんたちの知的なシミュレーションとかいろんな研究のいいところだけ切り取って使うというのはこの国会の常でございますので、そういう点は非常に警戒をしているわけでありますが、こういうふうに日本もMMTをやっていると言われるぐらい、やっぱり日銀の政策というのは行き詰まっているし、逆に言うと、出口に向かうなと、向かわなくていいためにこういう話が出てきているというふうにも思うわけですよね。
 ここはしっかりと、何度も提案しておりますけど、量的緩和、正常化の道にきちっと踏み出すべきときにやっぱりこういう面からも来ているんじゃないかと思いますが、黒田総裁、いかがでしょうか。
参考人黒田東彦君)
 現時点で、展望レポート等にも示されておりますとおり、二%の物価安定の目標に向けたモメンタムは維持されていますけれども、それまで、達成されるまで、従来考えていたよりも少し時間が掛かるということでありますので、現時点では、この長短金利操作付き量的・質的金融緩和の枠組みの下で強力な金融緩和を引き続き続けていくということになるということであります。
 ただ一方で、二%の物価安定目標が実現すると、そういうような事態に近づいてきた場合には、当然出口について政策委員会でも議論しますし、私どもからもその出口への具体的な考え方についてはコミュニケーションを取っていきたいというふうに考えております。
大門実紀史
 終わります。

異次元緩和をやめよ/大門氏“正常化踏み出せ”
 大門氏*12は、自国通貨建ての政府債務で財政破綻することはないとして赤字を気にすることなく財政支出を求める理論=「MMT(現代貨幣理論)」が日米で話題になっていることについて、「欧米でのMMT支持の流れは、各国政府の『緊縮政策』による国民負担への反発として起きている」と指摘。日本でも財政赤字を強調し(ボーガス注:消費税増税など)国民に負担ばかり求める政府・財務省の姿勢は「緊縮政策」であると批判しました。
 大門氏は、(ボーガス注:反緊縮財政という意味で)MMTを支持する人々への共感を示しつつ、(ボーガス注:MMTが主張する)「財政ファイナンス*13」容認については「過去の歴史を見ても高インフレを引き起こさない保証はない」と主張し(ボーガス注:MMTを批判し)ました。

ビジネス特集 お金がないなら刷ればいい!? | NHKニュース
 主な提唱者であるニューヨーク州立大学のステファニー・ケルトン教授などの学説によれば、その中心的な考え方は「自国で通貨を発行している国家は、債務返済に充てるお金を際限なく発行できるため、政府債務や財政赤字で破綻することはない」というものです。このため、景気を上向かせ、雇用を生み出していくためにも、行き過ぎたインフレにならなければ、「政府は財政赤字を気にせず、積極的に財政出動すべきだ」と説いています。
 このMMT、2018年11月にニューヨーク州から、史上最年少で下院議員に当選したオカシオコルテス氏が支持したことで、ブームに火が付きました。さらに、ケルトン教授が、2020年のアメリカ大統領選に出馬を表明している民主党のサンダース上院議員の顧問を務めたこともあって、支持が広がりました。ケルトン教授らが成功例として引き合いに出しているのが、ほかならぬ日本です。GDPの2倍近くに達した巨額の債務を抱えながらインフレにもならず、財政も破綻していないではないか、と言うのです。
 このため日本でも、にわかに注目を集めるようになっています。4月4日には、参議院の決算委員会でも、自民党の(ボーガス注:西田昌司)議員からMMTへの見解を問う質問が飛び出しました。答弁に立った麻生*14副総理兼財務大臣は、MMTをばっさりと切り捨てました。
「極端な議論に陥ると、財政規律を緩めるということで、極めて危険なことになり得る。そういう実験に最も適しているからといって、この日本という国を実験場にする考えは持っていない」
 4月25日、金融政策決定会合後の記者会見でMMTについて問われた(ボーガス注:日銀の)黒田総裁も。
 「極端な議論で適切なものとは思わない。政府・日銀の政策はMMTとは全く何の関係もない」
 こうした議論に、いま神経をとがらせているのが(ボーガス注:財政再建を理由とした消費税増税に乗り出した政府与党や)財務省です。
 財政問題を議論する国の財政制度等審議会では、財務省が早速、MMTに反論する資料を提出。実に17人もの著名な学者や投資家が、MMTを批判したコメントを列挙しました。ノーベル経済学賞を受賞しているアメリカの経済学者、ポール・クルーグマン*15や、FRBのパウエル議長、著名な投資家のウォーレン・バフェット氏と、そうそうたる名前が並びます。
 財政制度分科会の会長代理を務める元総務大臣増田寛也*16は、会議の後の記者会見で、MMTに理解を示す意見は一切出ず、委員からは「ただメシはない。後で何らかのツケを払わなくてはいけなくなる」など批判的な意見が相次いだと紹介。そのうえで、「学問としては異端で、アメリカの政治的なムーブメント」と冷ややかに総括しました。

ビジネス特集 消費増税は逆効果?「 MMT」提唱者に聞いてみた | NHKニュース
 MMT、2018年11月のアメリカの中間選挙ニューヨーク州から、史上最年少で下院議員に当選したオカシオコルテス氏が支持したことで、ブームに火が付きました。さらに、ケルトン教授が、2020年のアメリカ大統領選に出馬を表明している民主党のサンダース上院議員の顧問を務めたこともあって、支持が広がりました。
 ケルトン教授らがMMTの成功例として引き合いに出しているのが、ほかならぬ日本です。GDPの2倍を超える巨額の債務を抱えながらインフレにもならず、財政も破綻していないではないか、と言うのです。
(中略)
 MMTをめぐっては、強い反発があります。日本の財務省も否定的な立場で、ことし4月に開かれた財政問題を議論する審議会では、MMTに批判的な見方をしている17人もの学者や投資家のコメントを載せた資料を提出しました。
 それによりますと、IMFのラガルド*17専務理事は「MMTが本物の万能薬だと思っていない。(理論の)数式は魅惑的だが、金利が上がり始めれば(借金が膨張して)わなにはまる」と指摘しているほか、前FRB議長のイエレン氏も「MMTは超インフレを招くものであり、非常に誤った理論だ」などと痛烈に批判しています。
 やはり、MMTは「天下の暴論」なのでしょうか?
 「天下の暴論」と切り捨てるのは簡単ですが、MMTは、財政のあり方について考える機会を私たちに与えてくれていると言えそうです。

■ステファニー・ケルトン(1969年~:ウィキペディア参照)
 アメリカの経済学者。ニューヨーク州立大学ストーニーブルック校教授。MMT(現代貨幣理論)の提唱者として知られる。2016年のアメリカ大統領選挙予備選挙ヒラリー・クリントン国務長官に敗れたバーニー・サンダース上院議員予備選挙後に設立したシンクタンクであるサンダース研究所の顧問を務めている。ただしサンダース自身はMMT理論と明確に距離をとっている。
■日本での議論
 日本では2019年4月4日の参院決算委員会で質問に立った自民党西田昌司参院議員が「日本はこの20年(国の債務は増えたが)金利も物価も上がっていない。日本はいつの間にかMMTをやっているのが現実だ」と指摘。安倍晋三首相が、財政健全化に向け、政府は債務残高の対GDP比に目標を設けていることなどを挙げ、「MMTを実行しているわけでない」と否定する一幕もあった。


■経営者高額報酬問題と企業の株主資本主義化(下)(丸山惠也)
(内容紹介)
 新刊紹介:「経済」9月号 - bogus-simotukareのブログで紹介した(上)の続きです。
 (上)では「高額報酬問題」という事実が指摘されていましたが(下)では欧米の規制を紹介したうえで、日本でも同様の規制を行うべきと主張されています。

*1:著書『EU加盟と移行の経済学』(2005年、ミネルヴァ書房

*2:著書『福祉国家新自由主義:イギリス現代国家の構造とその再編』(2014年、旬報社

*3:東京新聞記者。著書『武器輸出と日本企業』(2016年、角川新書)、『新聞記者』(2017年、角川新書)、『追及力:権力の暴走を食い止める』(共著、2018年、光文社新書)、『安倍政治 100のファクトチェック』、『権力と新聞の大問題』(以上、共著、2018年、集英社新書)、『同調圧力』(共著、2019年、角川新書)、『「安倍晋三」大研究』(2019年、ベストセラーズ)など

*4:NHKプロデューサー。著書『NHKと政治権力』(2014年、岩波現代文庫)、『ベン・シャーンを追いかけて』(2014年、大月書店)、『奄美の奇跡:「祖国復帰」若者たちの無血革命』(2015年、WAVE出版)、『ヒロシマを伝える:詩画人・四國五郎と原爆の表現者たち』(2016年、WAVE出版)など

*5:著書『安倍官邸とテレビ』(2016年、集英社新書

*6:著書『NHKが危ない! :「政府のNHK」ではなく、「国民のためのNHK」へ』(共著、2014年、あけび書房)

*7:著書『貨幣・金融論の現代的課題』(1997年、大月書店)、『金融危機下の日銀の金融政策』(2010年、中央大学出版部)、『21世紀型世界経済危機と金融政策』(2013年、新日本出版社)、『なぜ異次元金融緩和は失策なのか』(2016年、新日本出版社)など

*8:とはいえれいわ支持者の多くはMMTを支持理由とはしていないでしょうが。

*9:第三次安倍内閣国交大臣政務官、第四次安倍内閣財務副大臣を歴任

*10:民主党支持のこと

*11:共和党支持のこと

*12:著書『「属国ニッポン」経済版』(2003年、新日本出版社)、『新自由主義の犯罪』(2007年、新日本出版社)、『ルールある経済って、なに?』(2010年、新日本出版社)、『カジノミクス』(2018年、新日本出版社

*13:日銀が国債を直接引き受けること。財政法により禁止されている。

*14:橋本内閣経済企画庁長官、森内閣経済財政担当相、小泉内閣総務相、第一次安倍内閣外相、自民党幹事長(福田総裁時代)などを経て首相。現在、第二~四次安倍内閣副総理・財務相

*15:著書『クルーグマン教授の経済入門』、『経済政策を売り歩く人々』、『自己組織化の経済学』(ちくま学芸文庫)など

*16:岩手県知事、第一次安倍、福田内閣総務相など歴任

*17:ドヴィルパン内閣農業・漁業相、フィヨン内閣経済・財政・産業相、IMF専務理事などを経て欧州中央銀行総裁

今日の朝鮮・韓国ニュース(2019年9月14~16日分)

両陛下、新潟で国民文化祭ご臨席 - 産経ニュース
 もちろん「9/16の国民文化祭天皇一家にとって非常に重要な行事」です。
 ウィキペディア国民文化祭」によれば

・1986年の第1回大会から浩宮(のちに皇太子、現天皇)が出席、1993年の結婚後は皇太子妃雅子(現皇后)も出席するが、近年は雅子の体調不良のために、皇太子単独で出席のケースが多かった。2019年の天皇即位後も出席する予定。
天皇、皇后が原則として出席する全国植樹祭国民体育大会(国体)、全国豊かな海づくり大会と並び「四大行幸*1」の一つに位置付けられている。

そうです。
 しかしが、「たぶんこの文化祭がなくても安倍が出席した拉致国民大集会(9/16)なんざ行かないんだろうな」とは思います。だって国民大集会といったところで櫻井よしこが司会の右翼集会ですよ。
 同じ「国民」がつくとはいえ「国民文化祭」と全然違う。
 宮内庁幹部から「あんなところへ皇族が行ったら大問題になる」「あんなところへ行くくらいならむしろ千葉に行くべきだ」つうダメ出し入ってるんじゃないか。


あらゆる機会逃さず拉致被害者を奪還 首相の国民大集会あいさつ要旨 - 産経ニュース

 冷静な分析の上にあらゆるチャンスを逃すことなく、果断に行動していく考えだ。

 第二次安倍政権誕生から6年たって何の成果もないのによくもこんなふざけたことが言えたもんだと本当に感心(?)します。


拉致被害者の即時一括帰国求め決議 家族会ら北と国に実現要求(1/2ページ) - 産経ニュース
一括帰国「一歩も譲らない」 拉致国民大集会で初シンポ(1/2ページ) - 産経ニュース
 もちろん「即時一括」が可能ならそうすればいいでしょう。「可能ならば」誰も家族会や巣くう会がそう主張することに反対しない。しかし「即時一括が残念ながら難しそうだから段階的にせざるをえない」と言ってるのに「即時一括」と言い募るのは1)バカか、2)段階的な帰国(あるいは帰国それ自体)を妨害したいかどっちかでしかありません(巣くう会は明らかに2)でしょう)。どっちであれくだらないですが。

一括帰国「一歩も譲らない」 拉致国民大集会で初シンポ(1/2ページ) - 産経ニュース
 拓也さんは、トランプ米大統領金正恩キム・ジョンウン朝鮮労働党委員長との首脳会談で、非核化とともに拉致を再三提起したことに触れ

 「安倍に頼まれたから」アリバイ作りとして提起してるだけでしょう。なんでそんなこともわからないのか。

一括帰国「一歩も譲らない」 拉致国民大集会で初シンポ(1/2ページ) - 産経ニュース
 耕一郎さんは「同じことを繰り返していくことが大事で、全拉致被害者の即時一括帰国という大前提を一歩も譲らないというスタンスが、改めて必要になっている」と主張した。

 「あほか」ですね。拉致問題に限りませんが「成果もない」のに同じことを繰り返してどうするのか。
 成果がないんだから変えなきゃダメでしょう。大体今テレビで何が一番報じられてるかと言ったらこれは間違いなく「千葉の台風被害(停電など)」です。拉致国民大集会なんかろくに報じられてない。そうなってしまったのも家族会がバカだからです。
 テレビが「皆さん、千葉の被災者を支援しましょう」といって報道する。視聴者が「じゃあブルーシートでも送るか」「義援金でも送るか」と思って支援する。被災者や自治体が「全国の皆様ありがとうございます」とそれに感謝する。支援した人間は「よいことをした」といい気持になる。そういうのが今拉致界隈には何もないわけですから。
 「国民に支援されて当然だ、私たちは被害者だ」と家族会連中が思いあがってる。そりゃ日本国民だって「家族会なんぞ支援するくらいなら千葉の被災者に義援金でも送るわい」「家族会調子のりすぎだろ」と反感を感じるでしょうよ。


【主張】韓国のWTO提訴 不毛な対日紛争望むのか - 産経ニュース
 ここで「望むところだ、返り討ちにしてやる」と言えないで泣き言を言いだすところが本当に無様です。産経も内心では勝ち目がないことをよく自覚してるのでしょう。
 「ホワイト国除外で不毛な紛争をしかけたのは手前だろ!。自分でケンカを売っておいて裁判になったら泣き言ってふざけんな」
 「性格が違うとはいえ、韓国の福島県産輸出規制をWTOに訴えた国がよくそんなことが言えるな?」
 「WTO提訴は加盟国の権利であり、『日本も含め』過去に様々な国が何度も提訴してますが?」
 「中国が南シナ海紛争で『フィリピンの提訴は友好関係を破壊する』といったときに『勝ち目がないと思ってそんなこと言ってる』と悪口してた産経の理屈なら、産経は『勝ち目がないと認めてる』ってことだよね?」で終わる話です。


自民元参院議員や日医幹部が訪朝へ 拉致意見交換、医療現場視察も - 産経ニュース
 こうした人道支援的な動きは大いに評価したいと思います。なお、「日本医師会出身の自民党参院議員」とはいえこれが、安倍自民の要請なのかそれとも独自の動きなのかは記事を読んでもよくわかりません。


首相、金正恩氏との会談実現に重ねて意欲「条件つけずに向き合う」 - 産経ニュース
 以下の二つの意味で「事実に反する」バカげた安倍発言「条件つけずに会談」です。
1)「拉致被害者は探したけど見つかりませんでしたby北朝鮮」、つまり「拉致被害者帰国」という条件なしで会談する度胸が安倍にあるとは思えない
 安倍は「条件なしで会談というなら、拉致被害者が一人も出てこなくても会談するんですか?」という当然の疑問にはまともに答えることが一度もできません。
2)「経済制裁解除も何もお土産はないけど首脳会談してくださいby安倍」、つまり「制裁解除などの何らかのお土産」という条件なしで北朝鮮が会談する気になるとは思えない。

*1:天皇の外出を「行幸」、皇后、皇太后、皇太子、皇太子妃の外出を「行啓」といい二つ合わせて「行幸啓」という。