今日の産経ニュース(2020年7月12日分)(追記あり)

【追記】
 鹿児島県知事選挙に関するちょっとした雑感 - ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)でこの記事がご紹介頂きました。いつもありがとうございます。
【追記終わり】

◆そういえばテレ朝で家政夫のミタゾノ - Wikipediaてコメディがあったことを思いだした
 家政夫のミタゾノ - Wikipediaにも書いてありますが、この家政夫のミタゾノ - Wikipedia家政婦は見た! - Wikipediaや『家政婦は見た! - Wikipediaを元ネタとしたコメディ
家政婦のミタ - Wikipedia』を受けてのコメディです。
 で今回落選した三反園鹿児島県知事は

三反園訓 - Wikipedia
 1980年、テレビ朝日に入社し、政治部に配属される。自民党番記者時代は金丸信*1安倍晋太郎*2番記者を務めていた。その後は首相官邸自民党、大蔵省や外務省、防衛庁担当のキャップを歴任した後、テレビ朝日コメンテーター(解説委員)に就任。1990年代はニュースステーションの政治担当キャスターを務め、連日、国会記者会館からリポートしていた。一時期はスポーツ部に所属し、テレビ朝日で放送されていた大相撲ダイジェストを担当した。

と言うことで元テレ朝社員です。
 ドラマでの「ミタゾノ」は「三田園」だそうですが、実際は「三反園」から発想したのかもしれません。


自公推薦の現職敗れた鹿児島県知事選 政党全体への不信感 - 産経ニュース
 単に「三反園が不人気だった」だけでその不人気は「自公の三反園支持」では払拭できなかっただけの話でしょう。政党不信とかそう言う話では無い。そもそも敗戦したとは言え三反園も19万5千票ほど得票してるし、当選した塩田も地元の自民関係者が擁立したわけですから。


鹿児島知事に塩田氏初当選 自公推薦の現職ら6氏破る - 産経ニュース

 任期満了に伴う鹿児島県知事選は12日投開票の結果、新人で元九州経済産業局長・塩田康一氏(54)が、再選を目指した自民、公明推薦の現職・三反園訓氏(62)、元知事*3伊藤祐一郎氏(72)ら計6氏を破り初当選した。
 投票率は49・84%で、参院選との同日選となった前回2016年の投票率56・77%を下回った。

 過去に「明治維新大久保利通*4西郷隆盛*5」「元老の黒田清隆*6松方正義*7」「自民党副総裁の二階堂進*8」などといった大物保守政治家を生み出した「自民党王国・鹿児島」とはいえ、共産候補が「ら」扱いされてることが共産支持者として悲しいですがそれはさておき。
 この記事「だけ」でも色々なことが読み取れるかと思います。
 まず第一に「元九州経済産業局長」「前知事(知事在任中は自公が支持)」と言う塩田氏、伊藤氏の肩書きからは、この選挙がいわゆる「保守分裂選挙」であり、自民が現職の三反園氏を支持したとは言え、
1)そもそも三反園氏の初当選では彼は自民が支持する伊藤前知事を破っている
2)当選後は再稼働を事実上容認し批判を浴びたが、初当選した選挙では「川内原発再稼働反対」を訴え、野党各党や市民団体の支持も受けてる
ということで、
「三反園なんか非自民をアピールし、野党各党や市民団体の支援を受けて、自民が支持した伊藤前知事を落選させた人間で、そもそもよそ者じゃ無いか」と「三反園支持に不満を感じる鹿児島自民党関係者」がそれぞれ伊藤、塩田を擁立し、今回、塩田が当選したという話のわけです。
 ただし、この種の「保守分裂選挙」では

◆現職の鈴木俊一*9(自民東京都連が支持)が元NHKニュースキャスター磯村尚徳自民党中央が支持)を破り、当時の小沢*10自民党幹事長が引責辞任した1991年都知事
◆現職の小川洋*11(自民福岡県連や福岡選出だった古賀*12元幹事長、山崎*13元副総裁が支持)が元厚労省キャリア官僚・武内和久(自民党中央と福岡選出の麻生*14副総理・財務相が支持)を破った2019年福岡県知事選(分裂選挙 - Wikipedia参照)

など、普通は「自民が正式に支持した方」or「現職」が有利です。今回は「自民が正式に支持&現職=三反園」なので三反園が有利なように俺のような「県外の人間」からは見えます(鹿児島県民だと見え方は違うのかもしれませんが)。
 しかも投票率が前回を下回ればなおさら「自民が正式に支持した方」or「現職」が普通は有利なので正直びっくりです。「建前では塩田は自民支持候補では無い(それは勿論三反園です、とはいえ塩田を擁立したのは明らかに自民関係者ですが))」「再稼働公約を反故にした三反園が許せない」「知事在任中、自民の支持を公式に受けていた伊藤に比べれば自民カラーが薄そうに見える(とはいえ「繰り返しますが」塩田を擁立したのは明らかに自民関係者ですが)」ということで一部の野党支持者が塩田に投票し、それが結構大きかったんでしょうか。
 なお、選挙結果は

鹿児島県知事選 新人の塩田康一氏が現職らを破り初当選 | NHKニュース
・塩田康一、22万2676票。
三反園訓、19万5941票。
伊藤祐一郎、13万2732票。

であり、僅差での勝利でした。伊藤が立候補しなかった場合、どうなったかはわかりませんが、やはり塩田勝利という状況は変わらなかったでしょうね。
 「伊藤支持の多くは反三反園」でしょうから。単純に「伊藤票が全て塩田に向かった」と考えれば塩田圧勝ですし、そこまで行かなくても、伊藤票の多くが三反園へ向かい、三反園が巻き返したとは考えがたいでしょう。
 それにしても、「安倍の四選がまずあり得ない」「コロナ対応のまずさなどで安倍支持率が下降傾向」ということもこうした「分裂選挙&塩田当選」に関係するのか気になるところです(都知事選の分裂は明らかにリクルート疑惑で自民中央ががたついてると言う要素があったでしょうし)。
 第二に、候補者乱立で、あげく現職も敗れてるのに、前回投票率を大幅に下回ってるというのが興味深い。前回は「川内原発再稼働反対を訴える三反園(野党各党が支持)VS当時の現職・伊藤(自公が支持)」ということでそれなりに盛り上がった。
 しかし当選後、危惧されていたことですが三反園氏が再稼働を事実上容認し、今回は自民の支持まで公式に取り付けた。 
 ここで、野党各党が共闘候補として誰か立てられれば良かったのですが、それが出来なかったのは残念なところです。「俺の願望込み」ですが「三反園、伊藤、塩田」の分裂選挙なのだから、それなりの候補を共闘候補にすれば勝てずとも善戦できたのでは無いか。この点では「共産、社民が支持表明した宇都宮候補に後から乗ることしかできなかった」都知事選もそうですが最大野党・立民の無能さ、怠慢が腹立たしい。今回、立民は「自民系の伊藤」に相乗りしました(結局、野党としては共産だけが公式に党の候補を擁立した)。
 安倍長期政権は明らかに「旧民主党関係者の無能、怠慢が助長している」と言う面があります。もちろん社民、共産に責任がないとは言いませんが最も責任を問われるべきは「最大野党の旧民主」「対立候補を立てずにすぐに相乗りしたがる旧民主(この点、共産は対立候補を旧民主よりはずっと立てたがります)」でしょう。
 その結果、
1)自民、非自民の野党支持層にとって「当選しそうな非自民、反自民候補がいない(残念ながら共産候補を当選可能性があると言うことは出来ないでしょう)」「自民が正式に支持した三反園はもちろん支持しない。伊藤や塩田は勝利の可能性があるが、自民系候補で投票する気にならない」
2)自民支持層の側も「三反園、塩田、伊藤の誰でも、自民系で大して変わらないんだからわざわざ投票する気にならない」「分裂選挙といったところで政策的な対立なんか全然無いだろ」
ということで投票率が大幅ダウンなのでしょう。


公明代表が解散時期で注文 選挙協力「効果最大に」 - 産経ニュース

 公明党山口那津男代表は12日放送のBSテレ東番組で、衆院解散・総選挙の時期に関し「自民、公明両党の選挙協力で最大の効果が表れ、政権を維持できるようにしないといけない」と注文を付けた。今秋の解散には重ねて否定的な見解を示し、来年の通常国会会期末についても、党が重視する来夏の東京都議選と近いため「簡単ではない」と解散を困難視した。
 公明党は前回2017年の衆院選議席を大きく減らした。山口氏は「にわかに解散となり大変慌てた」と振り返った。

 確かにそれが本音ではあるでしょうが、「コロナが完全に収束するまでは解散すべきでは無い、東京で毎日感染者100人超過なんて今の状況では当面解散なんか考えるべきでは無い」ならまだしも、あるいは、自公幹部しかいない席ならまだしも、「とにかく自公にとって選挙に有利な時期に解散すればいい」と躊躇無く社会に公言できる辺り「公明党も劣化したもんだ」ですね。それとも「化けの皮が剥がれただけで昔からこのレベル」なのか。
 「コロナの影響」も公明にとっては「今解散するなんてコロナ予防をまともに考えてない」と国民に批判されたらかえって選挙に不利だとか、公明党員、創価学会員がコロナ感染を恐れて外出自粛したら選挙にならないとかその程度の理解しかしてないのでしょう。
 おそらく「解散がコロナ予防に悪影響を与えないかどうか」なんてことは公明にとってはどうでもいい。「医師など現場の人間がなんとかするから解散しても大丈夫だろ」位にしか多分思ってない。


【花田紀凱の週刊誌ウオッチング】〈779〉「生きてさえいれば希望がある」 - 産経ニュース

 「生きてさえいれば希望がある」という、香港デモのリーダーの一人、周庭(アグネス・チョウ)さんの言葉に涙しなかった人はいないだろう。

 いやいや「例の条例案が撤回されたとき」など、羽振りのいいときは「中国と安易な妥協はしない」「デモは今後も続ける」など「イケイケどんどん」な過激な発言していたくせに香港国家安全維持法が可決された途端に「生きてさえいれば希望がある」と言い出して政治活動からの撤退を言い出すなんて無責任&「先見の明が無い」にもほどがあるでしょう。
 「どんだけ手前、無能で無責任だよ!」という怒りの涙ならまだしも、周庭(アグネス・チョウ)みたいな「無能で無責任なバカ」に対しては同情だの共感だのかけらも出来ませんね。「死刑えん罪で獄中にいる人間」などがこう言うなら共感や同情も出来ますが。 


【昭和天皇の87年】国防めぐる天皇発言の波紋 「もう張りぼてにでも…」 - 産経ニュース
 この「張りぼて発言(野党やマスコミは俺に張りぼてになれ、何も話すなと言うのか)」、増原内奏問題 - Wikipediaで増原が野党やマスコミの批判で長官引責辞任に追い込まれたときの昭和天皇の逆切れ発言として有名です。入江相政日記 - Wikipediaに出てくる発言です。
 もちろん「憲法違反の疑いが濃厚な政治的発言はするな」と言ってるだけで誰も「話すな」「黙れ」「はりぼてになれ」などとは一言も言ってないので完全な逆切れですが。ただし「国家元首気取り」の昭和天皇にとっては「政治的発言するな」は「話すな」「黙れ」「はりぼてになれ」とイコールだったのでしょう。
 他にも昭和天皇の「内奏での政治的発言」としては例えば昭和天皇というのも、時代錯誤な人だ - ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)で紹介されている「昭和天皇蒋介石支持を」=国連代表権問題、佐藤*15首相に促す-日米文書で判明」などがあります。
 昭和天皇は最後まで「国家元首気取り」が抜けなかったわけです。

 昭和55年1月14日、昭和天皇は《侍従職御用掛天羽民雄(外務省情報文化局長)より国際情勢についての定例進講をお聴きになる。以後、この年の定例進講は、皇居あるいは那須御用邸において、月に一、二回の割合で計二十回行われる。進講内容は、アフガニスタン内戦へのソビエト連邦介入問題、オリンピックモスクワ大会への日本不参加、イラン・イラク戦争などに及ぶ》(昭和天皇実録56巻5~6頁)
 記憶力に優れた昭和天皇の、分析力や直感力は鋭い。アフガン内戦を進講した天羽に「ソ連は結局(アフガンを)とってしまうハラなんだろう」と話し、その意図を見抜いている。1982(昭和57)年のフォークランド紛争でも、当時の外務省情報文化局長に「(英首相の)サッチャーは軍艦をだすか」と尋ね、早くから軍事衝突を予見していた。

 産経が言うほど昭和天皇の発言が鋭いとは思いませんがそれはさておき。
 「天皇の政治的中立性」を考えれば「政治情勢の内奏&それに対する天皇発言」が極めて問題があることは言うまでも無いでしょう。
 例えば天羽が内奏したという「モスクワ大会への日本不参加」について適当に相づちを打つレベルならともかく、「日米関係を考えれば不参加は当然だ」なんて天皇が言っていたならば完全に違憲行為です。

参考

増原内奏問題 - Wikipedia
 1973年(昭和48年)5月26日、田中角栄*16内閣の増原惠吉*17防衛庁長官昭和天皇に「当面の防衛問題」について内奏した時、天皇は、「(ボーガス注:ソ連、中国と言った)近隣諸国に比べ自衛力がそんなに大きいとは思えない。国会でなぜ問題になっているのか」と質問した。増原は「仰せの通りです。我が国は専守防衛で、野党に批判されるようなものではありません」と応答すると、昭和天皇は「防衛問題は難しいだろうが、国の守りは大事なので、旧軍の悪いことは真似せず、良いところは取り入れてしっかりやってほしい」と発言した。
 増原はこの内奏の後に記者会見でこの会話を公表し、「防衛二法(防衛庁設置法、自衛隊法)の審議を前に、勇気づけられた」と発言した。
 野党側は「憲法に反する天皇の政治利用である」との批判を行い、政治問題化した。5月29日に増原は引責辞任した(後任には、山中貞則*18が就任)。

昭和天皇を引き継いで繰り返される憲法違反の「内奏」 - アリの一言
 「内奏」とは、「上奏の前に、内閣などから人事・外交・議会関係などの重要案件を申し上げること」(後藤致人*19愛知学院大教授『内奏ー天皇と政治の近現代*20』(中公新書))です。そして「上奏」(「近衛上奏」など)とは、「天皇大権に対応する形で国家法の枠組みのなかに正式に位置づけられたもの」(同)です。
 つまり「内奏」と「上奏」はセットで明治憲法天皇大権を支える制度でした。したがって国民主権の新憲法のもとでは当然両方廃止されるべきでした。ところがー。
 「戦後、象徴天皇制になって上奏は消滅するが内奏は残る。昭和天皇が在位し続けたため、天皇がこの内奏という政治的慣習にこだわったことが大きかった。内奏は戦前以来、天皇の政治行為の重要な要素を構成しており、戦後象徴天皇制においても内奏が残ったことは、長期にわたる保守政権下、昭和天皇の政治力を残存させることになる」(後藤氏、前掲書)
 「内奏」は政府から天皇に報告するだけではありません。その際、天皇からの発言(宮内庁は御下問といいます)があるのがふつうです。そのやりとりは当然秘密にされますが、かつてそれが明るみに出て大問題になったことがあります。防衛庁長官(当時)の内奏にあたり昭和天皇が「(ボーガス注:ソ連、中国と言った)近隣諸国に比べ自衛力がそんなに大きいとは思えない」などと露骨な政治発言を行ったのです(いわゆる「増原防衛庁長官の内奏漏えい事件」1973年5月26日)。
 問題は、昭和天皇がこだわったこの悪しき「政治的慣習」が、明仁天皇にも引き継がれていることです。
 なぜ明仁天皇昭和天皇の「内奏」を引き継いだのでしょうか。昭和天皇が皇太子・明仁に直接「帝王教育」を施し、明仁氏は父・昭和天皇をモデルに「天皇像」をつくりあげてきたからです。
 「天皇のあり方については、(昭和天皇にー引用者)お接しした時に感じたことが大きな指針になっていると思います」(1989年8月4日、即位後の記者会見)
 「内奏」については、「昭和天皇は、内奏の一部を皇太子明仁に見せることにより、戦後政治における天皇と内閣・行政機関の有り様を教えようとしていた」(後藤氏、前掲書)のです。
 「知事の奏上(昭和天皇に対する内奏ー引用者)に毎年陪席しているわけですが…(昭和天皇が)よく知事にお聞きになっていらっしゃるのを、非常に印象深く感じたことがあります」(1978年12月21日、皇太子時代、45歳の誕生日の会見)
 明仁天皇が「内奏」の際に政府(首相)とどういうやりとりをしているかは不明です。しかし、「『内奏』の慣行は、過去の上奏等を彷彿させ、天皇がいまなお統治の中枢にあるかのような印象を生み出している」(横田耕一*21九州大名誉教授『憲法天皇*22』(岩波新書))ことは明らかです。

天皇陛下への「内奏」 野党が写真公表批判 「天皇の政治利用だ」 - 毎日新聞
 天皇陛下に対する安倍晋三首相の国政報告「内奏」の写真を宮内庁が14日に公表したことを野党が批判している。立憲民主党など主要野党の国対委員長は15日、国会内で会談し、「天皇の政治利用だ」との認識で一致した。

首相の内奏映像公開「説明なければ政治利用の批判免れない」国民 玉木氏 | 注目の発言集 | NHK政治マガジン
 安倍総理大臣が天皇陛下に行った内奏の様子の映像が公開されたことについて、国民民主党の玉木代表は「説明責任を果たさないのであれば、政治利用という批判を免れない」と指摘し、公開の理由などの説明が必要だという認識を示しました。

【風を読む】君臣水魚の交わりを 論説副委員長・榊原智 - 産経ニュース
天皇陛下に対する安倍晋三首相の内奏の様子が公開されたことに、野党の一部から「天皇の政治利用」ではないかと批判の声が出ている。
憲法立憲君主制をとる。君主がいれば臣がいるのは当たり前で、憲法に書いてある通り、首相は「内閣総理大臣」で閣僚は「大臣」だ。国民主権や民主主義となんら矛盾しない。
・首相や閣僚が内奏によって国内外の情勢や国政の重要課題を、陛下に報告申し上げるのは、日本の国柄、政体からいっても極めて大切なことだ。「知ろしめす」ことが、君主としての天皇のありようだからである。
 平成25年12月に、内奏の写真が初めて公開されたが問題化していない。ところが今回、国民民主党玉木雄一郎代表は記者会見で、公開が首相官邸の指示だったのか質(ただ)す考えを示し、「取り方によっては政治利用になる。大きな政治的意義を含んでくるので、本来慎重に扱うべきだ」と述べた。共産党穀田恵二国対委員長は会見で、政治利用に当たるとして批判した。
・党派的立場を持たない、国民統合の象徴である陛下が内奏の場で、首相らに、命令でなく質問などの形で考えや助言を示されることも当然だ。権力を振るわれない立憲君主の役割だからである。皇位の安定継承の確保という重要事が控えている。陛下と首相は内奏などの機会をなるべく多く重ね、「君臣水魚の交わり」をしてほしい。

 予想の範囲内ですがいつもながら産経は無茶苦茶です。

天皇陛下に対する総理内奏に関する記事について - 宮内庁
 令和元年5月16日付けの毎日新聞朝刊は,同14日の天皇陛下への総理の「内奏」を報じる記事の中で,「関係者によると,首相は『前の天皇陛下はいつも座ったままだったが,今の陛下は部屋のドアまで送って下さって大変恐縮した』と話した。」と伝えています。
 総理の内奏は,天皇陛下と総理二人だけの行事であり,他に同席する者はなく,その内容も室内の様子も外からは分かりませんが,「前の天皇陛下」すなわち上皇陛下が,座ったまま総理をお見送りになることはあり得ません。上皇陛下は,行事に際し,宮内庁職員に対しても必ず席を立って挨拶をお受けになっており,外から来られた方を座ったまま出迎え,見送られた例は,相手が誰であれ一度もなかったと思います。
 閣僚の内奏については,皇室と国政との関係から,昭和時代には閣僚の内奏後に問題が起こり,閣僚が辞任した例*23もありましたが,上皇陛下はこのようなことがないよう毎回細心の注意を払われ,いわば儀式に準ずるものとして臨まれてきました。そうした背景から,宮内庁としても総理内奏を慎重に取り扱い,その様子を初めて映像公開したのも上皇陛下が80歳をお迎えになってからのことでした。なお,この映像でも,勿論,上皇陛下は席をお立ちになって総理をお迎えになっています。
 この度の記事は,上皇陛下が座ったままお見送りになったとの総理発言を内容とするもので,上皇陛下のこれまでの人々へのご対応とは大きく異なるものであるため,宮内庁は,官邸に記事内容の事実確認を求めましたが,総理は記事にあるような発言はしていないという回答でした。
 毎日新聞社は取材に基づいて報じたものと思いますが,結果として,総理発言に基づかない上皇陛下への非礼となる内容となっていることから,去る5月20日宮内庁次長会見において,以上の経過を宮内記者会に説明するとともに,ホームページに掲載することにしました。

【皇室ウイークリー】(638)陛下、首相から「内奏」お受けに 秋篠宮ご夫妻、感染症対策ご提案 - 産経ニュース
 陛下は22日、皇居・宮殿「鳳凰の間」で、安倍晋三首相から、国内外の情勢について説明を聞く「内奏」を受けられた。内奏には陛下の側近である侍従らも同席せず、内容は原則、公表されない。陛下のお考えなどが明らかにされることで「天皇の政治利用」につながるのを避けるためで、昭和48年には田中角栄内閣の防衛庁(当時)の増原恵吉長官(同)が昭和天皇への内奏の内容を記者団に漏らし、辞任に追い込まれたこともある。

 さすがに前天皇も現天皇も内奏に対し昭和天皇ほど無神経な政治的発言はしてないでしょうが、憲法上問題があることは確かです。

*1:田中内閣建設相、三木内閣国土庁長官福田内閣防衛庁長官自民党国対委員長(大平総裁時代)、総務会長、幹事長(中曽根総裁時代)、中曽根内閣副総理、副総裁(宮沢総裁時代)など歴任

*2:三木内閣農林相、福田内閣官房長官自民党政調会長(大平総裁時代)、鈴木内閣通産相、中曽根内閣外相、自民党総務会長(中曽根総裁時代)、幹事長(竹下総裁時代)など歴任

*3:元知事と書くより「前知事」と書く方が適切かと思います。

*4:参議、大蔵卿、内務卿を歴任。紀尾井坂の変で暗殺される

*5:参議、陸軍大将、近衛都督を歴任。征韓論論争で大久保らに敗れて下野。その後西南戦争を起こし敗北し自決

*6:第1次伊藤内閣農商務相、首相、第2次伊藤内閣逓信相、枢密院議長など歴任

*7:大蔵卿、首相、第1次伊藤、黒田、第1次山県、第2次伊藤、第2次山県内閣蔵相、内大臣など歴任

*8:佐藤内閣科学技術庁長官(北海道開発庁長官兼務)、田中内閣官房長官自民党幹事長(田中総裁時代)、総務会長(鈴木総裁時代)、幹事長、副総裁(中曽根総裁時代)など歴任

*9:自治事務次官、岸内閣官房副長官東京都副知事東龍太郎知事時代)、日本万国博覧会事務総長、首都高速道路公団理事長などを経て都知事鈴木俊一 (東京都知事) - Wikipedia参照)

*10:中曽根内閣自治相・国家公安委員長自民党幹事長(海部総裁時代)、新生党代表幹事、新進党党首、自由党党首、民主党幹事長、「生活の党」代表など歴任

*11:通産省近畿通商産業局長、特許庁長官などを経て福岡県知事

*12:橋本内閣運輸相、自民党国対委員長(小渕総裁時代)、幹事長(森総裁時代)、選対委員長(福田、麻生総裁時代)など歴任

*13:宇野内閣防衛庁長官、宮沢内閣建設相、自民党国対委員長(河野総裁時代)、政調会長(橋本総裁時代)、幹事長、副総裁(小泉総裁時代)など歴任

*14:橋本内閣経済企画庁長官、森内閣経済財政担当相、小泉内閣総務相、第一次安倍内閣外相、自民党幹事長(福田総裁時代)などを経て首相。現在、第二~四次安倍内閣副総理・財務相

*15:運輸次官から政界入り。吉田内閣郵政相、建設相、岸内閣蔵相、自民党総務会長(岸総裁時代)、池田内閣通産相科学技術庁長官などを経て首相

*16:岸内閣郵政相、池田内閣蔵相、佐藤内閣通産相自民党政調会長(池田総裁時代)、幹事長(佐藤総裁時代)などを経て首相

*17:池田、佐藤内閣行政管理庁長官、佐藤、田中内閣防衛庁長官など歴任

*18:佐藤内閣環境庁長官沖縄開発庁長官、田中内閣防衛庁長官自民党政調会長(田中総裁時代)、中曽根内閣通産相など歴任

*19:著書『昭和天皇と近現代日本』(2003年、吉川弘文館)など

*20:2010年刊行

*21:著書『自民党改憲草案を読む』(2014年、新教出版社)など

*22:1990年刊行

*23:田中内閣での増原防衛庁長官辞任のこと

黒坂真に突っ込む(2020年7月12日分)

黒坂真リツイート
 中野顕さん。志位さんはれいわ新選組に、けじめをつけるべきと主張しただけですが日本共産党新宿地区委員会は志位さんと異なり、山本太郎さんに大西つねきさんの発言で謝罪をすべきだとツイッターで繰り返し主張してきました。日本共産党は時折、職員を他党への切り込み部隊のように使うのでしょうね。
◆中野顕
 (ボーガス注:れいわ信者、山本信者が邪推するのとは違い)大西発言を批判するのは、(ボーガス注:共産にとって目障りな?)れいわを潰すためではありませんよ。発言は、生存権を定めた憲法と相入れず、国会に議席を持つ党ならけじめをつけるべきだと言っているだけです。

 おいおいですね。仮に「新宿地区委員会幹部である中野氏」の「れいわ・大西暴言問題」に対する態度が「志位氏より厳しい*1」としても、それは単に「中央と支部の意見が全て一致しているわけでは無い」と言うだけの話では無いのか。
 しかし、黒坂は勝手に「新宿地区委員会は志位の命令で動いてる」と根拠レスで決めつけ「日本共産党は時折、職員を他党への切り込み部隊のように使う」と言うのだから呆れたバカです。というか普通こんなことは「反共右翼」であっても、思いつくことすら出来ないでしょう。
 「子分を鉄砲玉、切り込み部隊として使うことに躊躇しないゲス=黒坂」だと黒坂自ら自白してるようなもんです。

黒坂真
 日本共産党は中国や北朝鮮が日本を攻撃、侵攻するなどありえないと盲信しています。

 しかし、黒坂ですら内心では「中国や北朝鮮の侵攻がありうる」とは思ってないでしょう。理由は簡単でそんなことをすることにメリットが無いからです。大体、黒坂は、ならば「安倍政権が習主席を国賓として招こう」としていることをどう理解するのか。

黒坂真
 日本共産党が政権をとったら、自衛隊解散、日米安保廃棄が実現します。

 そもそも日本共産党が政権入りするとしたら現状では「細川、羽田*2連立(新生党日本新党公明党、旧民社党など、一時は社会党新党さきがけも参加)」「自社さ連立」「鳩山政権(民主党社民党国民新党の連立)」「自公連立」と言った連立の形しかあり得ず、当然、「自衛隊解散、日米安保廃棄」など無理です。
 かつ「連立政権入りするかどうか」も現時点では未定ですがそれはさておき。
 無責任にも「九条改憲」「首相靖国参拝」「河野談話撤回」「尖閣への自衛隊常駐」を首相就任前、公言していた安倍が、国内外の批判のために「靖国参拝を除き、どれ一つとして実現できてないこと」「靖国参拝も首相就任1年目に一回やっただけで2年目以降はやってないこと」であることからわかるように、今の「安倍自民党政権」だって何でも出来るわけではありません。
 最近も安倍は「検察庁法改定」「イージスアショアの秋田配備」を「世論の批判」と「それによる支持率低下」で断念しました。
 仮に「共産党単独政権」であったとしても今の安倍と同様、何でも出来るわけでは無い。
 「自衛隊解散、日米安保廃棄」をするには国民の強い支持が必要であり、それは現時点では「あるとはいえない」。
 特に「自衛隊解散」なんて「日米安保はいらない」「世界中の国が米国と軍事同盟を結んでいるわけでは無い」という論者でも支持者は少ないでしょう。まあ、黒坂も本気では無いでしょうが良くもデマが放言できるもんです。

【参考:安倍と靖国

【主張】靖国創建150年 安倍首相は参拝の再開を - 産経ニュース(2019年(令和元年=平成32年)7月8日)
 安倍晋三*3首相は、25年12月に参拝した際、「二度と戦争の惨禍によって人々が苦しむことのない時代をつくるとの誓い、決意をお伝えするため」と語った。その信念に変わりないなら、5年半にわたる参拝の見送りは残念だ。参拝を再開してもらいたい。まず首相の参拝を普通の光景に戻したい。それが、天皇陛下のご親拝復活の環境を整えることにつながる。

【参考:安倍と河野談話

安倍首相「河野談話見直す考えない」: 日本経済新聞
 安倍晋三首相は28日昼(日本時間29日未明)の日米首脳会談後の記者会見で、従軍慰安婦問題について「人身売買の犠牲になり、筆舌に尽くしがたいつらい思いをされた方を思うと非常に心が痛む」と強調した。そのうえで旧日本軍の関与を認め謝罪した1993年の河野洋平*4官房長官の談話を「継承し見直す考えはない」と語った。

【参考:安倍と尖閣

安倍晋三氏 「総理になったら尖閣諸島に人員配備」 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)週刊朝日2012年9月28日号
 ニュースキャスターの辛坊治郎氏は自民党総裁選挙に立候補した安倍晋三氏から「総理になったら尖閣諸島に人員配置する」という言葉を聞いたという。
 「辛坊さん、日本は中国に強い態度に出るべきだってみんな言いますけどね、例えば尖閣自衛隊を駐留させるようなことをしたら、戦争になりますよ。それだけの覚悟が、今の日本にあるんですか?」
 その翌週、元総理大臣の安倍晋三氏にこの発言をぶつけると、彼はこう答えた。
「今の日中間の経済関係を考えると、尖閣に人を置いただけで、中国が軍事力を使うとは思えません。私がもう一度総理大臣になったら、尖閣には人員を配備します」

自民副総裁、尖閣への公務員常駐も選択肢に: 日本経済新聞
 自民党高村正彦*5副総裁は29日午前のテレビ東京番組で、同党が先の衆院選で打ち出した沖縄県尖閣諸島への公務員の常駐に関して「そういうこともあり得るという1つのメッセージだ」との認識を示した。「中国が実効支配を力で動かそうとして、公務員の常駐が尖閣を守るために資するような場合はそういうこともあり得るが、そうでない時にわざわざ常駐させるのは外交上得策ではない」とも指摘した。
 安倍晋三首相(自民党総裁)は9月の総裁選前、尖閣諸島をめぐって「公務員が常駐することが必要だ」と表明。衆院選に向けて発表した「総合政策集」では「島を守るための公務員の常駐を検討」と明記している。ただ、衆院選後は強硬姿勢をひとまず封印し、公務員の常駐は当面、見送る考えだ。

安倍晋三首相、「尖閣諸島に公務員常駐検討」の過去発言「現在はその選択肢とらず」 - 産経ニュース
 安倍晋三首相は27日の参院予算委員会で、尖閣諸島沖縄県石垣市)への公務員*6常駐を検討するとしていた自身の発言について「現在はその選択肢はとっていない。総合的に、戦略的に判断している」と述べた。
 首相は平成24年の自民党総裁選で公務員常駐の検討を訴え、自民党は同年の衆院選、25年の参院選の政策集に明記していた。

【主張】住所に「尖閣」明記 有人化に乗り出すときだ - 産経ニュース
 心もとないのは、安倍晋三政権や沖縄県の反応だ。
 自民党は平成24年12月の衆院選の公約に尖閣への公務員常駐を掲げたが、政権復帰後は放置した。無人なら占拠しやすいと中国は考えるだろう。
 政府は、自衛隊を含む尖閣有人化に踏み切るべきだ。

*1:「けじめをつける(志位氏)=謝罪すべき(中野氏)」であり何ら違いは無いと俺は思いますが。

*2:中曽根、竹下内閣農水相、宮沢内閣蔵相、細川内閣副総理・外相などを経て首相

*3:自民党幹事長(小泉総裁時代)、小泉内閣官房長官を経て首相

*4:新自由クラブ代表、中曽根内閣科学技術庁長官、宮沢内閣官房長官自民党総裁、村山、小渕、森内閣外相、衆院議長を歴任。現在、日本国際貿易促進協会会長

*5:村山内閣経済企画庁長官、小渕内閣外相、森内閣法相、第一次安倍内閣防衛相、福田内閣外相、自民党副総裁(第二次安倍総裁時代)など歴任

*6:もちろん、この「公務員」とは「自衛隊」のこと。

芸能界から会社員へ 33歳で人材紹介会社社員に転身した元グラビアアイドル

 偶然見つけて面白い記事だと思ったので紹介しておきます。

芸能界から会社員へ 33歳で人材紹介会社社員に転身した元グラビアアイドルのリアル(ENCOUNT) - Yahoo!ニュース

 一般人に戻って企業に就職する人もいる。グラビアアイドルとして活動していた古崎瞳さん(34)もそんな1人。芸能界を離れてまだ1年弱*1だが、会社員になった今、13年間のグラビアアイドル時代を振り返って思うところを聞いた。
◆古崎
 去年の8月に、10年間お世話になった芸能事務所を退所し引退しました。踏ん切りがついたきっかけのひとつは、2018年9月に主演映画「夏引きの頃」が南青山映画祭で上演されたこと。たった1日の上演でしたけど、その4年前に撮影したままお蔵入りしそうだったので、ようやく日の目を見て心残りが無くなりました。
 2018年12月には出演映画「ガチ★星」が出身地・広島で上演され、家族の前で舞台挨拶できたことも大きかったです。20歳で上京して「有名になるんだ!」とがんばってきて、「解決!ナイナイアンサー」「有吉ゼミ」(日本テレビ)などのゴールデンタイムの番組にも出演できました。願ったようには有名になれませんでしたが、満足しました。

 まあ「テレビ番組に出れた」つうのは「出れない人間の方が多い」つう意味では「充分有名になった」。
 古崎瞳 - Wikipediaとしてウィキペディアに項目もある彼女ですが、全然売れてなければウィキペディアの項目になどなりたくてもなれません。もちろんそう言う人間の方が多い。
 だからこそ「あの人は今」的な、こうしたインタビュー記事にもなるわけですが、ご当人がこうして過去を吹っ切ってインタビューに応じてる辺りは俺個人としては面白いですね。

・引退を考えたのは、収入面で安定しなかったから。
・デビューして初めて出したDVDのギャラは80万円だったのに、去年、出したのは15万円。年齢とともに需要が減るのをまざまざと感じました。
 当然、ずっとアルバイトをしていました。飲食が多かったです。六本木ヒルズの中のイタリアンとか新宿の「バーガーキング」とか。時給1000~1100円で、朝6時から昼12時までのシフトを組んでもらっていました。
・30歳を過ぎると、アルバイト生活を続けるのはどうなのかな、と疑問に感じるようになりました。それで、経済的に自立しないといけない、と思い就職活動を始めました。
・就職して何が嬉しいって、ヒマじゃないことです(笑)。
・お金がないから、レッスンに通うこともできませんしね。
 規則正しい生活を送れるようになったのも嬉しいですし、定期収入があるのも、本当にありがたいです。
・今思えば、芸能界のお仕事も「女優になる」とか目標を1つたててがんばれば結果は違ったのかな、と思います。あと、体重管理をしっかりやるべきでした(笑)。身長163センチで(ボーガス注:プロフィールに書いている)ベスト体重は47キロなんですけど、油断するとすぐに55キロぐらいに増える。かわいい子が一杯いるなかで、太ってる場合じゃなかったですね。でも、芸能界に未練はないです

 まあ、そう言う意味では芸能界なんてのは博打みたいなもんです。押しも押されもせぬ売れっ子にでもならない限り収入は安定しません。

*1:古崎瞳 - Wikipediaによれば「2019年8月末日」で正式に引退

高世仁に突っ込む(2020年7/12日分)

地村保さんが心残りだったこと - 高世仁の「諸悪莫作」日記
 有本嘉代子(拉致被害者有本恵子の母)が亡くなったときは有本恵子さんの母、嘉代子さん逝く - 高世仁の「諸悪莫作」日記を、横田滋拉致被害者横田めぐみの父)が亡くなったときは横田滋さんの逝去によせてー覚悟の実名公表 - 高世仁の「諸悪莫作」日記を書いた高世は地村保(拉致被害者・地村保志の父)が亡くなったときも似たり寄ったりの駄文を書くわけです。

 保さんの妻の「と志子さん」は息子が帰ってくる半年前の4月に74歳で亡くなっていた。保さんは亡くなるまで、そのことが心残りだったのではないか。

 そんなことは言ったって仕方が無いことです。

 地村保志さん、富貴恵さん夫妻は11日、保志さんの父、地村保さん(93)が10日に亡くなったことを受け、福井県小浜市を通じ、連名でコメントを出した。全文は次の通り。
『7月10日午前2時39分、父、保は93歳で永眠いたしました。
 父は生前、私たち拉致被害者の救出に向け、全力で闘ってくれました。そのお陰で、私たちは平成14年(2002年)10月に無事、祖国日本へ帰国を果たすことができました。
 父の救出活動がなければ、私たちの帰国もかなわなかったと思います。あらためて、父には心から感謝したいと思っています。
 横田めぐみさんの父横田滋さんに続き、父も亡くなりました。拉致被害者・家族は高齢化し、解決には一刻の猶予もありません。
 父は生前、すべての拉致被害者が帰国できることを心より望んでいました。父の遺志を引き継ぎ、我々の世代で拉致問題が解決されるよう今後も取り組んでいきたいと思います。』

 「父に感謝する」と言う言葉はあっても、小泉首相田中均氏に対する感謝の言葉がない点が引っかかりますね。小泉氏らを不当にも敵視する救う会や家族会に忖度してるのか?。ただし「父に感謝する」とは書いても「家族会、救う会に感謝する」と言う言葉がない点、「今後も取り組む」と書いても「救う会や家族会とともに」とは書かない点も一方では興味深い。俺の邪推ではありますが、蓮池氏不当除名などから、「批判はしないまでも」家族会や救う会を手放しで高評価することに躊躇を感じてるのでは無いか。
 まあ、現状では『我々の世代で拉致問題が解決される』ことはありえないでしょう。特定失踪者という嘘を垂れ流す「救う会」は明らかに拉致の解決を望んでおらず、むしろ妨害しています。拉致を解決したいなら、家族会が救う会と縁切りし、蓮池透氏と和解することが不可欠でしょう。とはいえそれが家族会に出来るとは俺は全く思っておらず、だからこそ「拉致は解決しない」と考えるわけですが。

 地村保さんに関する記述は拙著『拉致―北朝鮮の国家犯罪』(講談社文庫)による

 「未だに過去の栄光(?)にすがってるのかよ、だせえ奴(苦笑)」ですね。まあ、高世もその人生を死ぬ前に総括したら「救う会とつるんで北朝鮮問題であること無いこと垂れ流したクズ」「身の程知らずに日本電波ニュース社を辞めて会社ジンネットをおこしたが結局潰した無能」つう評価にしかならないんでしょうね。と言うと高世はマジギレなのでしょうが。

三浦小太郎に突っ込む(2020年7月11日分)(追記あり)

モリコーネと「ニュー・シネマ・パラダイス」 | 三浦小太郎BLOG Blue Moon

 私はこの映画を観て、勝手に「この寓話の意味はこうだ!」と思い込み、完全版を見た時全く違う解釈を示された気がして、今も2時間版にこだわってます。でも、この寓話の解釈は、100人いれば100通りのものがあるのでしょうね。

 ヤフー知恵袋によれば

◆質問
 ニューシネマパラダイスの寓話。
 この作品は観たのは、随分前なので余り覚えていないのですが、映写技師のおじいさんが主人公に寓話を聞かせる場面がありますよね。
 曖昧ですが、後1日と言う所で去った兵士の話だったと思います。
 それって、結局どういう意味だったのでしょうか?
 私が観たのは劇場公開版でしたが、完全版の方では答えが分かるのでしょうか?
だとしたら、ここで聞くのは野暮だと思いますが、長年、私の未完了リストに入っているこの疑問をスッキリさせたいので、誰か分かる方教えて下さい。
 お願いします。
◆回答
 3時間バージョンではこの物語の意味について、トトが語るシーンがあります。
 確かこんな感じだったと思います。
「100日目になって王女に裏切られたら兵士は絶望して死んでしまう。99日で去れば、王女は本気だったと一生思っていられるから」

だそうです。
 

ラグタイムララバイ(三浦小太郎)のトンデモ書評

◆三品純&鳥取ループアイヌ探訪』(2016年、示現舎)
ラグタイムララバイ
 アイヌ問題を、歴史や先住民の問題としてではなく、あくまで今現在、アイヌとそれをめぐる状況についてリアルに描いた良書。著者の専門*1である同和事業をめぐる利権構造、特に箱物行政と、現在のアイヌをめぐる法律やそれに伴う予算措置が全く同類のものであり、かつ、実際のアイヌ人たち(という明確な民族が存在するかどうかもすでに怪しい*2のだが)とは無関係なものであることが明らかにされている。

 「在日特権」などというデマと同レベルの「アイヌ特権」を放言するデマ右翼本を「良書」と持ち上げ、アイヌ協会の活動を「実際のアイヌ人たちとは無関係な利権あさり*3」として悪口雑言するのだから今更ながら三浦のクズ右翼ぶりには心底呆れます。コメ欄でも指摘がありますが、三浦の行為はもはやアイヌ協会への誹謗中傷です。
 さすがアイヌ新法を「悪法」呼ばわりした男はやることが違いますね(勿論褒めてない)。
 id:noharra高世仁も良くこんなクズ男と交遊できるもんです。id:noharra高世仁も「アイヌ新法は悪法」「アイヌはもはや存在しない」という立場なのか。それとも今は交遊はさすがに辞めたんですかね?
 高世に至っては

嘘の人権 偽の平和 - 高世仁の「諸悪莫作」日記
・畏友、三浦小太郎さん
・以前から、彼の見識の深さ、確かさには教えられることが多かった。
・かねがね、私は三浦さんは思想家としてもっと注目されるべき人物だと思っていた

2019年に読んだ10冊の本 - 高世仁の「諸悪莫作」日記
 三浦さんは長い付き合いの畏友である。

ですからね。「アイヌ差別者を畏敬するのが高世さんの立場ですか?。高世さんもアイヌ差別者ですか?」と聞かれたらどう回答する気なのやら。
 まあ、高世が

2019年に読んだ10冊の本 - 高世仁の「諸悪莫作」日記
2.渡辺京二『黒船前夜 ロシア・アイヌ・日本の三国志』(洋泉社
 以前から気になっていた「和人がアイヌを搾取、圧迫してきた」という俗論から自由になれてすっきりした。

なんて書いてることを考えると「高世のアイヌ認識」には危うさを感じますね。
 「和人がアイヌを搾取、圧迫してきた」てのは俗論で無くて事実でしょうよ。ただし「中国のチベット統治に問題があろうとも、一方で中国政府によってチベットは近代化され、チベット人は経済的に豊かになれた」ように「アイヌの問題」も「一方では利益があった」つうだけでしょう。
 高世の物言いは「中国のチベット解放でチベットは豊かになった。だから、チベット解放を批判するのは俗論でくだらない。皆で中国のチベット統治を称えよう」「ダライ・ラマ?。中国相手に無意味に反乱してインドに逃亡した犯罪者だろ?」つうぐらい無茶苦茶な詭弁でしょう。
 まあ、高世がそういうデタラメなクズだから高世の会社も倒産したんでしょうけど(苦笑)。と言うと高世もマジギレするんですかね?
 俺個人は三浦は

 「新しい歴史教科書をつくる会」理事、アジア自由民主連帯協議会事務局長という極右活動家としてもっと注目されるべき人物(勿論批判的な意味で)だと思っている

わけですが(苦笑)。
 まあ、「アイヌ新法」「国立アイヌ民族博物館」「ゴールデンカムイ」などを考えればアイヌ問題については「それなりにまともな方向に話は向かっている」とは思いますが。
 ちなみに「アイヌ」でググると、比較的入手ししやすい本(新書、文庫など)としては

【刊行年順(刊行年が同じ場合は著者名順)】
萱野茂アイヌの碑』(1990年、朝日文庫)
萱野茂アイヌの昔話』(1993年、平凡社ライブラリー)
本多勝一先住民族アイヌの現在』(1993年、朝日文庫)
山本多助『カムイ・ユーカラ』(1993年、平凡社ライブラリー)
菊池勇夫*4アイヌ民族と日本人:東アジアのなかの蝦夷地』(1994年、朝日選書)
チカップ美恵子アイヌ文様刺繍のこころ』(1994年、岩波ブックレット
◆山田孝子*5アイヌの世界観:「ことば」から読む自然と宇宙』(1994年、講談社選書メチエ→2019年、講談社学術文庫)
萱野茂アイヌ歳時記:二風谷のくらしと心』(2000年、平凡社新書→2017年、ちくま学芸文庫)
佐々木利和 *6アイヌ文化誌ノート』(2001年、吉川弘文館歴史文化ライブラリー)
本多勝一アイヌ民族』(2001年、朝日文庫)
◆麓慎一*7『近代日本とアイヌ社会』(2002年、山川出版社日本史リブレット)
◆浪川健治*8アイヌ民族の軌跡』(2004年、山川出版社日本史リブレット)
瀬川拓郎*9アイヌの歴史:海と宝のノマド』(2007年、講談社選書メチエ)
花崎皋平*10『静かな大地:松浦武四郎アイヌ民族』(2008年、岩波現代文庫)
◆瀬川拓郎『アイヌの世界』(2011年、講談社選書メチエ)
◆瀬川拓郎『アイヌ学入門』(2015年、講談社現代新書)
◆瀬川拓郎『アイヌと縄文:もうひとつの日本の歴史』(2016年、ちくま新書)
◆瀬川拓郎監修『カラー版 1時間でわかるアイヌの文化と歴史』(2019年、宝島社新書)
中川裕*11アイヌ文化で読み解く「ゴールデンカムイ」』(2019年、集英社新書)
萱野茂アイヌと神々の物語:炉端で聞いたウウェペケレ』(2020年3月、ヤマケイ文庫)
◆中川裕『改訂版 アイヌの物語世界』(2020年4月、平凡社ライブラリー)
萱野茂アイヌと神々の謡:カムイユカラと子守歌』(2020年8月刊行予定、ヤマケイ文庫)

がヒットします。「繰り返しますが」、これだけアイヌ関連本がある中から、よりによって「アイヌ否定論」とは三浦も呆れたバカでクズです。

参考

鳥取ループ - Wikipedia
 本名は宮部龍彦(1978年11月28日生まれ)。「ネットの電話帳」(旧称「住所でポン!」)運営者。示現舎合同会社代表社員。示現舎編集長。
 2005年11月19日、ブログ「鳥取ループ」を開設。
 2012年、電話帳検索サイト「住所でポン!」を開設(のち「ネットの電話帳」と改称)。
◆「ネットの電話帳」に関して
「ネットの電話帳」に無断で一般人の氏名と住所と電話番号を公開した行為に対し、2015年8月14日、京都市の男性からプライバシー権侵害で京都地裁に提訴された。2017年に敗訴して5万円の賠償金の支払いを命じられたものの、支払っていないことを明らかにしている。
◆同和地区Wikiと『全国部落調査』復刻に関して
 2015年12月初旬に『全国部落調査』を入手すると同書の記載内容をテキスト化し、みずから同和地区Wikiに掲載。これにより、日本全国の部落約6000地区のうち5400地区近くの内訳が明らかになった。
 2016年には「同和地区Wikiは不屈・不滅です」と表明していたが、 オリジナルの同和地区Wiki横浜地裁相模原支部からの仮処分決定を受けて速やかに削除。その後、同サイトは管理者不明のミラーサイトという形で存続している。
 同じ2016年、『全国部落調査』復刻版の刊行を予告していたが、部落解放同盟の提訴により出版中止を余儀なくされた。解放同盟は人格権侵害を申し立て、総額3億円近くの損害賠償を請求している。 同年、解放同盟から自宅マンションと自家用車の仮差押を受け、2019年現在も地裁で係争中である。

 こんな連中を褒めて恥じないのだから三浦も論外のクズです。id:noharraや高世も「鳥取ループ」こと「宮部龍彦」について三浦同様礼賛する立場なのか、ぜひとも教えて欲しいもんです。まあ都合が悪いから、id:noharraや高世は黙りで逃げるのでしょうが。

【追記】
 国立アイヌ民族博物館関係の記事をいくつか紹介しておきます。新型コロナで開館(当初予定4/24)が遅れていたところ、7/12に開館したそうです。

萩生田光一文部科学大臣記者会見録(令和2年7月10日):文部科学省
◆記者)
 明日、大臣、ウポポイ視察されるということですので、ぜひ、アイヌ文化にたくさん触れてきていただきたいなと思うんですが、今回の開業を受けて、アイヌ民族の方々を取材していますと、やはり、なぜ文化復興しなければいけなくなったのか。つまり、これまで受けてきた差別というものをしっかり伝えていく施設になってほしいという願いが大きいと感じています。特に、今、アイヌ新法が施行になりまして、交付金事業などもやっていますと、逆張りアイヌ民族なんていないなんていうふうな主張すらしてくるような方*12もいらっしゃるようなのが、今、現実です。ウポポイ、それからあと教育通じてですね、どのようにアイヌ民族の方々が受けてきた差別というものを後世に伝えていくか、もし、大臣、お考えがありましたら、ぜひ教えていただければと思います。
◆大臣)
アイヌの方々から、アイヌの歴史をしっかり伝えてほしいという声があることは承知しています。かつて、原住民と新しく開拓される皆さんの間で、様々なですね、価値観の違いっていうのはきっとあったのだと思います。それを差別という言葉でひとくくりにすることが、果たして後世にですね、アイヌ文化を伝承していくためにいいかどうかっていうのは、ちょっと私は考えるところありますので。従って、それを大切にしようということで、これだけ国が責任を持って博物館や伝承館を作ったわけですから、私は、逆にアイヌの皆さんは、そのアイヌ民族の素晴らしさっていうのを、これを、センターを使いながらですね、大いに、あの、国内外に発信をしていただいたらよろしいんじゃないかなっていうふうに思っております。ウポポイの開業を機にですね、将来を担う子供たちはじめ、内外の多様な方々に、ウポポイでの体験などを通じて、アイヌの歴史や文化をしっかりと伝えてまいりたいと思いますし、当然、あの、課外授業ですとか社会科見学ですとか、こういったことでも、あるいは修学旅行などにも活用していただいて、多くの皆さんが、逆に今まで以上に、アイヌ文化に理解をしていただく大きなきっかけになるんじゃないかってことを、逆に期待しています。
◆記者)
 ちなみにですね、その、差別でひとくくりにするのは難しいのかもしれないですけど、一方で、そういう過去があって、今のおじいちゃん、おばあちゃんぐらいのときに、やはり大きな差別があった、結婚差別があった、職業差別があったことによって、今もやはり経済的に困窮してる人が多いという現実もあります。文化の素晴らしさは、皆さん、アイヌ民族の方々の誇りですし、それが民族を支えてきたと思いますけれど、一方で、やっぱりそういう現実をしっかり伝える、例えばアウシュビッツのように、負の歴史というものもしっかり伝えていってほしいという方々もいらっしゃるんですけれども、そこについてはいかがでしょうか。
◆大臣)
 別段、歴史に目隠しをするためにこの施設を作ったわけじゃないので、仮にですね、そういう、その、負の部分と言いますか、悲しい歴史があるとすれば、それは伝承いただける方が、こういう施設を通じてですね、機会があれば、語り部としてお話ししていただいたりですね、何か記録を残しておくことは大事だと思うのですけれど、それはそれで決して否定はしませんし目を背けるつもりないですけれど、せっかくの施設ですから、皆さんでお祝いしていただいてですね、前向きにアイヌ文化の良さってのを広めていくことに努力したいなと思っております。

萩生田光一文部科学大臣記者会見録(令和2年7月14日):文部科学省
◆記者)
 先週のアイヌ民族の方への差別に関する発言(中略)について(中略)お伺いさせていただきます。アイヌの方への差別についてだったんですけれど、大臣、ウポポイの方に土曜日に訪問された際にですね、昨年9月の閣議決定された文言を引用をしつつ、ご自身の発言については、これまでの歴史や経緯を全て差別という言葉で一括りにすることがどうかという趣旨だったというふうにおっしゃられています。ただ、あの先週の閣議後の会見での発言はですね、原住民と開拓する方との間での価値観の違いがあったというふうにおっしゃられているのは、これは、抑圧される人と抑圧する側に分かれる同化政策を、価値観の違いだということで、価値観の違いが原因だというふうにおっしゃられたというふうに捉えられても仕方がないと思いますし、それを差別で一括りにするのはどうかというふうに大臣はおっしゃられました。で、これがですね、閣議決定で既にされている、厳粛に、アイヌの差別を厳粛に受け止めるということに、なんでしょう、それにちゃんと適合するのか、整合性があるのかということを、大臣、どのようにお考えでしょうか。もし、仮に、整合性があるとお考えでしたら、先週の発言を受けて、アイヌの方々から、私が、今、説明したような解釈をされて、アイヌの方々から、憤りですとか悲しみの声が上がっています。そういう方々に対してどのようにお考えか教えていただけますか。
◆大臣)
 12日にですね、ウポポイが、お蔭様でオープンしました。長い間、多くの皆さんが待ち望んでいた施設でありまして、そういった意味では大変喜ばしく思っております。あの、ご存じかどうか、私、官房長官の下で官房副長官を2年務めて、この施設の概要、建設段階、アイヌの関係者の皆さんとの懇談、様々な機会を通じて、少なからず、この建設に携わってきました。したがって、あの、現場でですね、協会の皆さん、歴代の役員の皆さん、わざわざ私の部屋を訪ねていただいて、そして、ここまでくることができたという感謝の言葉をいただいたところでございます。あの、発言につきましては、別段ですね、私、差別がなかったなんて一言も言ってなくて、そういう時代があったことを十分承知の上で、ただ、折角のお祝いの施設ですから、未来志向の共生施設として多くの皆さんに愛される施設になってもらいたい、こういう思いで発言をしたつもりでございまして、発言の趣旨については、今まで申し上げてきた記者会見を含めた発言のとおりでございます。
◆記者)
 今の、大臣がおっしゃられることも分かるんですけれども、一方で、その、先日の発言について、アイヌの方々から憤りですとか、悲しみ。国の認識が浅いというような悲しみの声も上がっています。そういうふうに受け取られるような発言をされたいことについては、いかがお考えでしょうか。
◆大臣)
アイヌの協会の皆さんから感謝の言葉をいただきました。いい施設を造っていただいたということでですね、これから未来志向の共生施設として多くの皆さんに愛される施設になってほしいと思っています。私、あの別に、アイヌの皆さんをですね、悲しませることを目的に発言したわけではなくて、未来志向共生施設、大事に、皆でしっかり多くの人達に来ていただく施設にしたい、こういう思いから発言したのみでありまして、その真意につきましては記者会見でも申し上げたとおりです。
◆記者)
 その上で一点だけ、ごめんなさい。国が主体になって、今後差別というものをどのように伝えていくのか。それからもう一つ、これは所管外になりますけれども、アイヌ民族の方の中には、先住権ですとか土地利用、水産資源を優先的に使えるようにしてほしいというお考えがあります。これは差別という不平等が世代を超えて引き継がれてしまったために、是正をしてほしいというお考えです。そういう考えについて、どのようにお考えか教えていただけますか。
◆大臣)
 所管外のことについて、ここでお答えさせていたくのは控えさせていただきたいと思います。いずれにしましても、アイヌの人達が困難な時代もあったと思います。それを乗り越えて、今、折角ですね、こういう素晴らしい施設ができて、そして、協会の皆さんも、それに対して非常に賛同されているわけです。多くの人達が施設を通じてですね、アイヌ文化の素晴らしさというのを、国内外、また世界に発信できるような、そういう後押しをしっかりしていきたいなと思っています。

アイヌ民族「困難な時代も」 萩生田氏、差別めぐる発言で釈明:時事ドットコム
 萩生田光一文部科学相アイヌ民族をめぐり「差別でひとくくりにするのはどうか」などと発言したことについて、同氏は11日、北海道白老町で記者会見し、「もちろん困難な時代を越えてきたアイヌの人たちがいたのも事実だ」と釈明した。同氏は会見に先立ち、町内に12日開業するアイヌ文化施設「民族共生象徴空間(ウポポイ)」の記念式典に出席した。
 萩生田氏は10日、「原住民と新しく開拓される皆さんの間で、さまざまな価値観の違いはあったと思う。それを差別という言葉でひとくくりにすることが、果たして後世にアイヌ文化を伝承していくためにいいかどうかは、ちょっと考えるところがある」と語っていた。
 同氏は11日の会見で「これまでの歴史や経緯を全て差別という言葉でひとくくりにすることが、アイヌ文化を伝承していくためによろしいのかという発言だ」と改めて述べ、ウポポイについて「(差別の歴史を)正しく伝承しながらアイヌ文化を国内外に発信する拠点として活用いただきたい」と語った。

アイヌ差別の歴史、萩生田氏「厳粛に」 前日の発言釈明:朝日新聞デジタル
 萩生田光一文部科学相は11日、北海道白老町に12日に開業する先住民族アイヌの文化の発信拠点「民族共生象徴空間」(愛称ウポポイ)の記念式典に出席後、記者会見し、アイヌの人々が受けてきた差別の歴史について「我が国が近代化される過程において、アイヌの皆様が差別され、貧窮を余儀なくされたという歴史的事実を厳粛に受け止めなければならないと認識しております」と述べた。
 萩生田氏は10日の閣議後会見で、こうしたアイヌの歴史について「かつて原住民と新しく開拓される皆さんの間で、様々な価値観の違いがきっとあったと思う。それを差別という言葉でひとくくりにすることが、後世にアイヌ文化を伝承するためにいいかどうかは、ちょっと私は考えるところがある」などと語っていたが、事実上釈明した。
 一方、11日の会見では、「困難な時代を越えてきたアイヌの人たちがいたことも事実。そういったことも正しく伝承しながら、アイヌ文化の素晴らしさを国内外、世界に発信する施設として大いに活躍していただきたい」などと述べた。

 「アイヌ差別の事実」について、「明治新政府によって近代化した面もあったのでは無いか」「そうした差別云々にこだわるよりアイヌ文化の素晴らしさを後世に伝えたい」云々と、日本会議辺りに媚びてるとしか思えない「奥歯に物の挟まったような物言い」はどうかと思います。その結果、アイヌ協会関係者からも「萩生田大臣に失望した」と非難もされるわけですが、ウヨの萩生田ですら、さすがに大臣になれば「アイヌ差別の事実を全否定したりはしない」し、ましてや「アイヌ否定論を放言などしない」わけです。「アイヌ否定論を放言する」三浦らバカウヨ連中の異常性が際立ちますね。

菅氏が北海道視察 宣言発令後初、経済両立へ旗振り役 - 産経ニュース
 菅義偉(すが・よしひで)官房長官は11日、北海道白老町を訪れ、翌日に開業する文化施設を視察した。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、菅氏の公務出張は4月の緊急事態宣言発令以降初めて。コロナ禍に伴う経済への悪影響に政府内で危機感を訴えてきた菅氏だが、10日にはイベントの入場制限が緩和されたばかり。今回の出張には感染防止と経済活動を両立させる「旗振り役」としての思いもありそうだ。
 菅氏は令和12年の外国旅行客6千万人の目標達成に向け、ウポポイのような文化施設を「キラーコンテンツ」と持ち上げた。
 11日の視察に同行した鈴木直道*13北海道知事も8日に首相官邸を訪れ、感染拡大防止対策とともに社会経済活動再開の推進を菅氏に求めた。

 「観光」という要素があまり前面に出るのも「いかがなものか」とは思いますが、アイヌ否定論の三浦のようなゲスよりはまともでしょう。
 正直「チベット民族否定論」「ウイグル民族否定論」など勿論唱えず「少数民族自治区チベット自治区新疆ウイグル自治区)」を設置する中国の方が三浦らアイヌ否定論の「日本会議右翼」よりずっとマシでは無いのか。
 「お前より中国の方がましだ」というとマジギレするのが三浦らウヨでしょうが。ペマ・ギャルポなどもよくアイヌ否定論の三浦らと野合できるもんです。そしてid:MukkeやI濱Y子早稲田大教授(Mukkeの恩師?)、阿部治平などもそうしたペマの愚行「アイヌ否定論ウヨとの野合」を良くも容認できるもんです。心底呆れます(なお、慰安婦問題など他の件はともかく、アイヌ問題では、安倍や菅はアイヌ否定ウヨの三浦らほどクズではないのでこの件では三浦などとは同一視はしません)。

アイヌ施設ウポポイ開業 文化発信、観光のけん引役 - 産経ニュース
 アイヌ民族の文化の発信と継承、国民理解促進の拠点として北海道白老町のポロト湖畔に整備されたアイヌ文化施設「民族共生象徴空間(ウポポイ)」が12日、開業した。「先住民族アイヌ」をテーマとした初めての国立施設。政府は観光や地域振興のけん引役としても期待しており、年間来場者100万人を目指すとしている。
 オープニングセレモニーで刀禰俊哉*14内閣官房アイヌ総合政策室長は「アイヌの誇りが尊重される社会の実現に向けた施策の扇の要。愛される施設になることを祈念している」とあいさつ。PRアンバサダーで俳優の宇梶剛士さんも登壇し「アイヌの豊かな歴史と受難の歴史をここで知ってもらうことで、優しさや認め合う心が広まってくれたら」と期待を込めた。
 当初は4月24日に開業予定だったが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で2度にわたって延期されていた。

 なぜ宇梶が開館セレモニーに登場したかと言えば

宇梶剛士 - Wikipedia
・母親の宇梶静江はアイヌの詩人・古布絵作家で、民族運動家でもある。この事情から母は家庭不在のことが多く、青年期まで確執があったことが不良になった一因だと思うと著書やメディアで自ら述べている。東京アイヌ協会名誉会長・浦川治造は叔父に当たる。
・その生い立ちから、北海道白老郡白老町に設置された国立アイヌ民族博物館のアイヌ文化紹介VTRに進行役として出演している。また、叔父である浦川を追ったドキュメンタリー映画「カムイと生きる」のナレーションも務めている。

「夕飯はいつもオハウでした」宇梶剛士が明かす“アイヌ民族出身の母から教わったこと”――文藝春秋特選記事 | 文春オンライン
 アイヌ文化への関心が高まるなか、北海道・白老町に「ウポポイ 民族共生象徴空間(国立アイヌ民族博物館)」がオープンする。今年直木賞を受賞した『熱源』で、19世紀末から20世紀にかけての厳しい時代を生き抜いたアイヌの人々を描いた川越宗一さんと俳優の宇梶剛士さんがアイヌ文化の魅力について語り合った。
 宇梶さんは、生まれ育ちは東京ながら、アイヌ民族出身の母・静江さんを通して幼い頃からアイヌ文化に触れてきた。
 それはいい思い出ばかりではないという。
(以下略)

と言う経緯があるからでしょう。

アイヌ文化の拠点 ウポポイ開業|NHK 北海道のニュース
 白老町アイヌ文化の発信拠点となる国立施設「ウポポイ」が12日、オープンしました。
 白老町で12日、オープンした民族共生象徴空間、愛称=「ウポポイ」には北日本で初めての国立博物館などが整備され失われつつあるアイヌ文化を復興・発展させる拠点としての役割が期待されています。
 ウポポイはアイヌ語で「大勢で歌うこと」という意味で明治時代以降に本格化したいわゆる同化政策の影響で差別や偏見に苦しんできたアイヌの人たちにとって重要な施設です。
 12日は開業を記念する式典が開かれ、鈴木知事は「全国のアイヌのみなさんや地元にとっても大切な施設だ。多くの人に愛され、末永く親しまれる施設にしていきたい」と述べました。
 このあと午前9時にテープカットが行われ訪れた人たちは、ホールではユネスコ無形文化遺産に登録されているアイヌの古式舞踊などを鑑賞していました。
 また再現されたアイヌの伝統的な集落では、訪れた人たちが「チセ」と呼ばれる家で神様に祈りを捧げる儀式についての説明を受けていました。
 ウポポイは新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、当面、入場を予約制にしているほか、アイヌ料理を作る体験プログラムなども実施を見合わせています。
 また国立アイヌ民族博物館の入館には別途、オンラインでの予約が必要で、詳しくはウポポイのホームページを確認して欲しいとしています。

アイヌ民族と歩む未来 ウポポイ開業、各施設をご紹介:朝日新聞デジタル
 北海道白老町のポロト湖畔に完成した国立の「民族共生象徴空間(愛称・ウポポイ)」が12日から一般公開を始めた。ウポポイとはアイヌ語で「(大勢で)歌うこと」という意味。存続の危機にある先住民族アイヌの文化の復興・発展を目指す日本初の国立施設で、アイヌ民族博物館、民族共生公園、慰霊施設の三つで構成されている。

「イランカラプテー」アイヌ文化の復興と発信の拠点「ウポポイ」オープン 北海道・白老 - 毎日新聞
 アイヌ文化の復興と発信の拠点として国が北海道白老町に整備した民族共生象徴空間(愛称・ウポポイ)が12日開業し、来場者が伝統の古式舞踊など、アイヌ文化を堪能した。
 ウポポイは、当初4月24日開業予定だったが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で2回延期されていた。
 午前9時に開業すると、スタッフがアイヌ語のあいさつ「イランカラプテー」と来場者らを出迎えた。国立民族共生公園の野外ステージでは、伝統衣装を身にまとった若手の伝承者らが各地に伝わる儀礼や祭りで舞う踊りや、竹で作った楽器ムックリの演奏があり、独特の音色が公園中に響き渡った。
 中核施設の国立アイヌ民族博物館で開館記念特別展「サスイシリ 私たちが受け継ぐ文化 アイヌ文化を未来へつなぐ」が始まり、木彫り彫刻や織物など、現代の伝承者の作品を中心に紹介している。11月8日まで。

*1:同和問題にしても別に三品や鳥取ループ(宮部龍彦)の専門ではありません。三品や鳥取ループのようなウヨのやってることは部落解放運動への誹謗でしか勿論無く、それなりの正当性がある日本共産党の「モードアバンセ問題批判」などとは意味が全く違います。

*2:「中曽根単一民族発言」がアイヌ協会に批判された後であるにもかかわらず、「明確な民族が存在するかどうかもすでに怪しい」と堂々とアイヌ民族否定論ですよ、奥さん。しかもその理由が「もはや日本人に同化した」ですからね。呆れて二の句が継げません。「その理屈だとチベット人ウイグル人漢民族に同化させられても何ら問題ないよね?」「日本の同化はきれいで中国の同化は汚いのかよ、最低のクズだな、お前」と三浦に説教したくなります。id:noharra高世仁もよくこんな三浦のようなクズと付き合えるもんです。俺なら三浦のようなクズと付き合うなど人として御免被ります。

*3:アイヌ協会を利権云々と誹謗するその一方で「モリカケ」「布マスク疑惑(ユースビオ疑惑)「給付金疑惑(電通疑惑)」という安倍政権の利権あさり疑惑には何一つ批判をしないのだから三浦も呆れたバカでクズです。

*4:宮城学院女子大学教授。北海道関係の著書に『幕藩体制蝦夷地』(1984年、雄山閣出版)、『北方史のなかの近世日本』(1991年、校倉書房)、『エトロフ島 つくられた国境』(1999年、吉川弘文館歴史文化ライブラリー)、 『菅江真澄』(2007年、吉川弘文館人物叢書)、『アイヌ松前の政治文化論』(2013年、校倉書房)、『五稜郭の戦い:蝦夷地の終焉』(2015年、吉川弘文館歴史文化ライブラリー)

*5:京都大学名誉教授

*6:北海道大学特任教授。著書『アイヌ絵誌の研究』(2004年、草風館)

*7:仏教大学教授

*8:筑波大学名誉教授。著書『近世武士の生活と意識:天和期の江戸と弘前』(2004年、岩田書院)、『近世北奥社会と民衆』(2004年、吉川弘文館)、『明君の時代:十八世紀中期~十九世紀の藩主と藩政』(2019年、清文堂出版)など

*9:札幌大学教授

*10:著書『生きる場の哲学』(1981年、岩波新書)、『アイデンティティと共生の哲学』(2001年、平凡社ライブラリー)など

*11:千葉大学教授。2014年8月21日号から週刊ヤングジャンプに連載の野田サトルゴールデンカムイ』でアイヌ語アイヌ文化の監修を行っている。

*12:勿論、三浦小太郎もその一例ですね。他にもその種のバカウヨは色々いますが。

*13:夕張市長を経て北海道知事

*14:佐久税務署長、財務省主計局主計官、国税庁長官官房審議官(酒税等担当)、国税庁仙台国税局長、国税庁関東信越国税局長などを経て内閣官房アイヌ総合政策室長

今日の朝鮮・韓国ニュース(2020年7月11日分)(注:『探偵物語』などのネタばらしがあります)

【ソウルからヨボセヨ】文在寅政権へのアラーム ソウル市長の自殺 - 産経ニュース
 何が「文政権へのアラーム」なのかさっぱりわかりません。彼の自殺原因は今のところ「元女性秘書のセクハラ告発」と見られています。
 このセクハラについて「文政権がもみ消しに動いた(安倍が警察に不当な圧力をかけ、山口某のレイプ逮捕をもみ消した疑惑があるように)」などの事実でもない限り、セクハラ自体が事実だとしても「自殺した市長氏の個人的犯行」にすぎず、文政権がどうこういう話では無い。
 むしろセクハラ、あるいは性暴力での問題というなら「安倍政権が当初、セクハラ疑惑の福田財務次官(当時)を公然とかばおうとしたこと(世論の批判でかばいきれなくなって結局更迭しましたが)」「安倍に山口某のレイプ逮捕もみ消し疑惑があること」の方がよほど問題でしょう。


◆国家基本問題研究所のツイート

国家基本問題研究所
国基研 活動報告:第7回「国基研 日本研究賞」受賞者決定
◆日本研究特別賞
 李建志氏(関西学院大学社会学部教授)

 この李氏、李建志 - Wikipediaによれば在日韓国人三世で

◆『朝鮮近代文学ナショナリズム』(2007年、作品社)
◆『日韓ナショナリズムの解体』(2008年、筑摩書房
◆『李氏朝鮮 最後の王 李垠』(2019年、作品社)
◆『松田優作と七人の作家たち:『探偵物語*1』のミステリ』(2020年、弦書房

と言う著書があるそうですが、何せ、賞をくれるのは「河野談話は間違ってる、慰安婦は公娼」「徴用工は違法でも不当でも無い」「関東大震災朝鮮人虐殺など無かった」「ホワイト国除外して何が悪い」の嫌韓国デマ極右の国家基本問題研究所(国基研)ですからね。
 まともな人間なら受賞を拒否するでしょうし、受賞した時点で「研究者として大丈夫なのか、こいつは?」でしょう。
 なお、松田優作 - Wikipedia在日韓国人であることを知っていれば『松田優作と七人の作家たち:『探偵物語』のミステリ』が「その点に触れてるのかどうか」が気になるところではあります(著者が在日であること、過去の著者が韓国について著書で何度も取り上げてることを考えれば恐らく触れてるでしょうが)。
 「7人の作家たち」とは探偵物語 - Wikipediaに出てくる

・原案:
小鷹信光 - Wikipedia*2
・脚本【順番はドラマの放送順】:
丸山昇一 - Wikipedia*3(第1作『聖女が街にやって来た』、第5作『夜汽車で来たあいつ』、第11作『鎖の街』、第13作『或る夜の出来事』)
那須真知子 - Wikipedia(第2作『サーフ・シティ・ブルース』、第14作『復讐のメロディー』、第23作『夕陽に赤い血を!』)
佐治乾 - Wikipedia(さじ・すすむ)(第3作『危険を買う男』、第4作『暴力組織』、第6作『失踪者の影』(柏原寛司との共同脚本)、第7作『裏街の女』、第25作『ポリス番外地』)
柏原寛司 - Wikipedia(第6作『失踪者の影』(佐治乾(さじ・すすむ)との共同脚本)、第15作『脅迫者』、第19作『影を捨てた男』、第26作『野良犬の勲章』)
◆中島紘一(第8作『暴走儀式』)
宮田雪 - Wikipedia(みやた・きよし)(第9作『惑星から来た少年』、第17作『黒猫に罠を張れ』、第24作『ダイヤモンド・パニック』(大和屋竺(やまとや・あつし)との共同脚本)、第27作(最終作)『ダウンタウン・ブルース』など)
白坂依志夫 - Wikipedia(第10作『夜の仮面』)
和久田正明 - Wikipedia(第12作『誘拐』)
内田栄一 (作家) - Wikipedia(第16作『裏切りの遊戯』、第21作『欲望の迷路』)
◆井戸昌雄(第18作『犯罪大通り』)
桂千穂 - Wikipedia(第20作『逃亡者』)
田中陽造 - Wikipedia(第22作『ブルー殺人事件』)
大和屋竺 - Wikipedia(やまとや・あつし)(第24作『ダイヤモンド・パニック』(宮田雪(みやた・きよし)との共同脚本))

の中から7人取り上げたと言うことでしょう。まあ7人の中には「第1作の丸山昇一」と「第27作(最終作)の宮田雪(みやた・きよし)」はおそらく入っているでしょうが。
 第27作(最終作)『ダウンタウン・ブルース』ですが、

「探偵物語」でハートボイルドを学ぶ #27「ダウンタウン・ブルース」 - ハートボイルドマスターへの道
 店員が走り去った方向を見て、自分の腹に刺さったままのナイフを引き抜くと、血を拭き取って畳んで放り投げてこう言うのです。
 「おい、忘れ物だよ。誰にも言わないから、これ持って帰れ」
 私が思うにこの最終回で工藤は「ハートボイルドの究極形」を体現したのです。自分の生命が危ぶまれる状態で、それでも赤の他人、それも自分に危害を加えた相手の事を思いやれる。こんな苛烈とも思える優しさの表出は、後にも先にもこの瞬間だけでしょう。だからこそ、「探偵物語」が唯一無二のハートボイルドたり得るのです。

「探偵物語」最終回 | コーキのテキトーク
 松田優作も、この頃のアメリカンニューシネマを見ていただろう。
 工藤ちゃんの最後を、どうしようとかと悩んでいたはずである。
 その時、(ボーガス注:主人公が最後に殺される俺たちに明日はない - Wikipediaワイルドバンチ - Wikipediaイージー・ライダー - Wikipediaといった)アメリカンニューシネマのテイストを取り入れたのでは、ないだろうか?
 そういう気がしてならない。

なども指摘するように、工藤がナイフで刺されて生死不明(絶命したようにも見えるがはっきりそうとは示されていない)という落ちは有名なのでご存じの方も多いかもしれません。
 作品中で工藤の生死は結局明らかにされません*4し、「日テレドラマ版の続編」としては「探偵物語」はつくられませんので結局工藤の生死は不明です(探偵物語 (1983年の映画) - Wikipediaでも松田優作が探偵を演じますが、1)原作は赤川次郎で日テレドラマとは全く関係ないし、2)したがって探偵の名前もそもそも工藤ではありません)。

*1:松田が主役(探偵の工藤俊作)を演じた日本テレビのドラマ(1979~1980年)(探偵物語 - Wikipedia参照)

*2:著書『探偵物語』(1998年、幻冬舎文庫)、『赤き馬の使者:探偵物語〈2〉』(1999年、幻冬舎文庫)、『新・探偵物語』(2001年、幻冬舎文庫:ただしこれらの小説は日テレドラマとは直接には関係ない)、『翻訳という仕事』(2001年、ちくま文庫)、『アメリカン・ヒーロー伝説』(2002年、ちくま文庫)など

*3:探偵物語」以外でも松田が主役を務めた映画『処刑遊戯』(1979年)、『野獣死すべし』(1980年、大藪春彦原作)、『ヨコハマBJブルース』(1981年)、『ア・ホーマンス』(1986年、原作は『漫画アクション』(双葉社)で連載された狩撫麻礼原作、たなか亜希夫作画による漫画)の脚本の執筆で知られる。

*4:とはいえ「探偵物語」でハートボイルドを学ぶ #27「ダウンタウン・ブルース」 - ハートボイルドマスターへの道が指摘するように最終話での松田(工藤俊作)はそれまでのコメディタッチとは打って変わって『処刑遊戯』(1979年)、『野獣死すべし』(1980年、大藪春彦原作)で演じた殺し屋のように「(仲間の敵討ちですが)四人も殺害」していますので、「生死不明」だとしても、事件が迷宮入りしない限り厳罰は避けられませんが。

今日の中国ニュース(2020年7月11日分)

【8月23日 島根・松江市】集会「今日のウイグルは明日の台湾・香港・日本だ」 | 一般社団法人 アジア自由民主連帯協議会
 まあ、ばかばかしいですね。「中国が実効支配する香港」はともかく、そうではない日本や台湾が「明日のウイグル」のわけがないでしょう。こういう馬鹿なことを言うから「まともな人間」には相手にされないのだと言うことを「日本ウヨに媚びて恥じない、アホのウイグル=イリハム・マハムティとその仲間たち」にはいい加減理解して欲しいもんです。


【昭和天皇の87年】「過去」を持ち出した中国最高実力者 天皇はしなやかに対応した - 産経ニュース
 「天皇のしなやかな対応」も何も鄧小平だって昭和天皇を戦争責任問題で徹底追及してボコボコにしたかったわけでも無いでしょう。
 単に「我が国は日本の侵略を忘れてない。天皇や首相がそのことについて無神経な言動をすれば黙認はしない」と釘を刺しただけでしょう。
 まあ、「言葉の綾発言」なんかする馬鹿野郎が昭和天皇ですからね。

 日本が中華人民共和国を中国唯一の合法政府であると承認するかわりに、中国は日本に対する戦争賠償請求を放棄することで合意した(※1)。

 中華民国(台湾)が既に戦争賠償請求を放棄している事への対応ですね。とはいえ、ODAという形で別途配慮がされたわけですが。

 中国側はこのとき、訪中した田中*1を微に入り細に入り歓待したとされる。宿泊する迎賓館に田中の好物、木村屋のあんパンが用意されていたことはよく知られた話だ。中国は当時、ソ連との国境紛争や文化大革命で国内が疲弊しており、経済力のある日本と、何としても手を結びたかったのである。

 「反中国」産経らしい恩着せがましい物言いですが、日本だって中国市場で金儲けがしたかったのであって、何も中国だけに利益があったわけではない。そもそも「西側諸国では最も国交正常化の動きが遅かった」のが日本ですし。


「#検察庁法改正案に抗議」した芸能人たちは香港問題にどうコメントしたか(デイリー新潮) - Yahoo!ニュース
 「反中国&自民万歳&アンチ野党(特にアンチ左派)」週刊新潮らしいですが勿論、小泉今日子など「検察庁法改定反対をツイートした著名人」が「香港問題」で中国批判コメントする必要はどこにも無いわけです(コメントしてもいいですが)。
 それにしてもここで新潮が取り上げるのが「検察庁法改定反対をツイートした著名人は米国の黒人差別反対デモでBLMスローガン(Black Lives Matter:黒人の命は重要だ!)への賛成を表明したか」などでないことが反中国ウヨの新潮らしい。
 週刊新潮のへりくつなら「検察庁法改定に反対したのにBLMスローガンに賛成しないとはどういうことか。黒人差別を容認するのか」ともいえるわけです。
 あるいは逆に「香港の民主活動家は、沖縄基地問題で安倍批判したのか。中央政府が地方の声を無視しているという点では香港問題と沖縄基地問題には共通点があるのに!」「香港の民主活動家は自分たちのことしか考えてない身勝手だ」などともいえてしまう。いずれも馬鹿げた詭弁、へりくつであることは言うまでも無いでしょう。


【産経抄】7月11日 - 産経ニュース

 8日は自民党外交部会が中国の習近平国家主席国賓来日中止を求める対中非難決議を、10日には超党派保守系議員による日本会議国会議員懇談会が、同趣旨の声明を菅義偉官房長官に手渡した。
▼もっとも国賓来日の件は、中国・武漢発の新型コロナウイルス感染症がいまだ猛威を振るっていることや、中国による国際約束をほごにして香港の自由を奪う香港国家安全維持法の制定などもあり、すでに話は立ち消えている。にもかかわらず、政府への要請が続くのはなぜか。

 「はあ?」ですね。一体いつ「立ち消えになった」のか。立ち消えになってないからこそ、立ち消えにしたいからこそ「ウヨ議員連中」は国賓訪日中止を主張するし、二階幹事長や公明党の山口代表などはそれを「日中関係を悪化させる気か?」と批判するわけです。立ち消えにする気が無いからこそ、安倍も菅も現時点では中止など表明しない。
 仮に今後「新型コロナ」を理由に秋の訪日計画が「立ち消え」になったとしても現時点において立ち消えになどなっていない。つうか「予定通り秋に実施される可能性」は充分あるのに良くも産経もここまでデタラメなことが書き飛ばせるもんです。
 産経は
1)今後も安倍政権が退陣しようが何があろうが、「千代に八千代に」「さざれ石が巌となり苔がむしても」国賓訪日がないようにするために、あるいは
2)国賓訪日が立ち消えても他の問題(例:尖閣問題)で安倍政権が中国相手に弱腰にならないようにするために
「立ち消えになっても」要請するのだと強弁しますが嘘も甚だしい。

*1:岸内閣郵政相、池田内閣蔵相、佐藤内閣通産相自民党政調会長(池田総裁時代)、幹事長(佐藤総裁時代)などを経て首相