今週の週刊漫画ゴラク(2024年4/20記載)

 読まないと理解できない感想が多いですがご容赦ください。読んだ本 - 情報中毒者、あるいは活字中毒者、もしくは物語中毒者の弁明への感想の形になります。

 えんどう豆尽くし。>酒のほそ道@ラズウェル細木

 「エンドウのベーコンエッグ」「エンドウとトマトのサラダ」「エンドウのオムレツ」「エンドウの豆ご飯」が登場。
 酒というタイトルですが、古谷三敏BARレモン・ハート」等と違いむしろ「酒のつまみ」が話のメインです。

 (ボーガス注:登場人物が「(ウクライナ戦争による?)第三次大戦の危機(そして軍拡自民党により、日本が戦争に巻き込まれる危機)」を口にするが)第三次世界大戦、後の歴史の教科書だと(ボーガス注:ウクライナ戦争とイスラエルのイラン攻撃で)2024年はもう突入済みだった事になってそうでもある。>警部補ダイマジン@リチャード・ウー×コウノコウジ

 まあ、「岸田軍拡」には警戒が必要ですが、ウクライナ戦争も「イスラエルとイランの対立」もそこまでの話ではないでしょう。ロシアはウクライナ以外へ戦線を拡大できる体力はないし、一方、米国政府も「ウクライナに軍事支援」はしても米軍をロシア軍と直接、戦闘させる気は無いでしょう。何せタリバン相手にすらアフガンから撤退しましたからね。
 イランもイスラエルも、国際社会の非難を無視してまで全面戦争する気は無いでしょう。
 「中国の台湾侵攻」「北朝鮮の韓国侵攻」の可能性もまずないですし(これについては、例えば韓国(民)同様、台湾でも中国の台湾侵攻などというものを本気で警戒してはいないのだろう - ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)参照)。勿論、「ウクライナ戦争と中東問題」で手一杯の米国が「北朝鮮に軍事侵攻」する可能性もまずない。ウクライナ戦争も「イスラエルとイランの対立」も「中台問題」「朝鮮半島問題」も重大な問題ですが、これでは「第三次大戦」と言う話にはなりようがない。

 老舗の味。そのままの味を続けるのではなく、時代に合わせて変えながらも技を受け継いでいくと。>江戸前の旬@九十九森×さとう輝

 「うちは来年で創業100年だが、昔通りの味だったらとっくの昔に客が離れて廃業していた(味の好みは昔から大分変わってる)。大事なのは昔の志や技術(江戸前のハマグリ煮、マグロの漬けなど)を引き継ぐことで、味を一切変えないなど、昔と同じことをずっとすることじゃない」と言う趣旨の登場人物(寿司屋主人)の発言。
 過去には週刊漫画ゴラクの新連載『裸のカルテ』第一話の登場人物名「松武伸比行(まつたけ・のびゆき)」に吹き出す(2023年3月10日記載)(追記あり) - bogus-simotukareのブログなんてマンガが登場し、また共産が2022年で創立100年で、2023年に「100年史」を出してることを考えると深読みしたくなりますが、まあ、「単なる偶然」でそういう話ではないのでしょう。
 それはともかく、kojitaken、inti-sol、阿部治平、広原盛明など共産に悪口する「反共分子の輩」は無視したがる話ですが、「うち(共産)は2022年で創立100年だが、昔通りの方針だったら、既に解散した新自由クラブ(1986年解散)、民社党社民連(いずれも1994年解散)、新党さきがけ(2002年解散)*1等のように、とっくの昔に支持者(党員、後援会員、サポーターなど)が離れて解散していた。大事なのは昔の志(例:『山宣ひとり孤塁を守る、だが私は淋しくない、背後には大衆が支持しているから』の名言を残した山本宣治)や技術を引き継ぐことで、ずっと同じことをすることじゃない」といえるでしょう。わかりやすい例ならもはや「大森ギャング事件(戦前)」「火炎瓶闘争(戦後の徳田時代)」のような無茶はしないわけです。
 全盛期(1970年代)に比べれば党員が減ってるので「過大評価は勿論しませんが」そういう意味で俺は「国政政党では最も老舗」日本共産党をかなり評価しています。
 自民、社民は戦前に前身政党として、自民の場合、立憲政友会自民党総裁を務めた鳩山一郎自民党副総裁を務めた川島正次郎らが所属)や立憲民政党、社民の場合、社会大衆党(後に社会党委員長になった片山哲浅沼稲次郎河上丈太郎らが所属)があるが、今の党が結党されたのは共産と違い、戦後です。
 ちなみにこのマンガでは「昔の寿司(戦前)」「今の寿司」の食べ比べが行われますが、昔は「冷蔵庫が存在しない」ので、腐敗防止のためにネタは酢や塩をかなり強くきかせてあり、「酸味と塩味が強すぎて、今の人間にとっては美味しくない」とのこと。まあ最近の寿司は「コハダ」「しめ鯖」など一部を除けばそんなに酢をきかせてませんからね(俺が食べるのは専ら回転寿司とスーパーのパック寿司ですが)。
 そういえば江戸前のネタとして知られる「マグロの漬け」にしてもアレはもともとは「醤油漬けにすることによる腐敗防止」ですよね。

 絡み酒は良くないよねえ。>つりまん@いましろたかし

 釣り話かと思いきや「酒さえ飲まなければいい人だが酒癖が悪いA」「Aの友人B」「A,Bが、釣り場で出会った釣りの名人C」が登場し、当初はCの釣り自慢を普通に聞いていたのに、酒(ウイスキー)が入って泥酔するや、「俺たちが下手の横好きなのをあんたはバカにしてるんだろ!」「釣りが上手いのがそんなに偉いのか!」「釣り上手が社会の何の役にたってるんだ!(まあほとんどの趣味は社会の役になどたっていませんが)」と絡みまくるA。
 「釣りは全く関係ない話の展開」です。いずれにせよ、こういう人間は酒を飲んだらいかんでしょう。

*1:まあこれら「解散した党」の人間は「小渕内閣労働相、第一次安倍、福田内閣経産相、第二次、第三次安倍内閣経済財政担当相、自民党政調会長(第二次安倍、菅、岸田総裁時代)、幹事長(岸田総裁時代)等を歴任した甘利明新自由クラブ)」「社民連副代表、新党さきがけ政調会長、橋本内閣厚生相、鳩山内閣副総理・財務相、首相等を歴任した菅直人立民党最高顧問」のように「別の党の人間」として今も一定の政治力を有してはいますが。国民民主党もその面子の多くは旧民社党人脈ですし。

新刊紹介:「経済」2024年5月号

特集「マルクス資本論』で社会をつかむ」
◆「資本論」が面白い(上瀧真生*1
◆社会を科学的につかむとは(増田正人*2
◆人が働くのは何のためか*3(浜矩子*4
◆貧困・格差と『資本論』(松丸和*5
ジェンダー平等と現代社会(姉歯*6
◆気候危機の時代と『資本論』(野口義直*7
◆利潤第一主義とのたたかいと資本主義の変革(江口健志*8
◆GAFAM*9を解き明かす:巨大情報プラットフォーム企業と社会科学への問い(坂木雅彦*10
マルクスによる未来社会の探究と「自由な時間」:ディルク抜粋から『資本論』へ〔1〕(山口富男*11
◆新シリーズ・マルクスエンゲルスの古典案内①『エンゲルス「空想から科学へ」(1880年)(牧野広義*12
◆シリーズ「現代のグローバル企業分析」第8回『Enel*13、EDF*14東京電力』(松田真由美*15
(内容紹介)
 小生の無能のため紹介はせず(というか、できず)、但し上記の通り「論文名」「著者名」はメモしておきます。


◆裁判所と巨大法律事務所との関係深化を暴く:「国に責任はない」最高裁判決以降6連敗の避難者訴訟(後藤秀典*16
(内容紹介)
 新刊紹介:「経済」2023年5月号 - bogus-simotukareのブログで紹介した◆「国に責任はない」原発国賠訴訟・最高裁判決は誰がつくったか:裁判所、国、東京電力、巨大法律事務所の系譜(後藤秀典)の続編。小生の無能のため詳細な紹介は省略します。

参考

後藤秀典
 後藤秀典『裁判所と巨大法律事務所との関係深化を暴く:「国に責任はない」最高裁判決以降6連敗の避難者訴訟』が月刊誌『経済5月号』(新日本出版社)に掲載されました。6月17日最高裁判決以降の避難者訴訟の動向とさらに明らかになった巨大法律事務所、裁判所、東電、原子力規制庁の関係を暴きます。

後藤秀典
 現在発売中の月刊誌『経済』5月号に、最高裁各小法廷の判事の構成とともに「原告たちが恐れているのは、ある日突然、最高裁から一通の通知が届き、『上告不受理』を伝えられることだ。」と記した。この通りになってしまった。こういうのは当たってもうれしくない。

後藤秀典
 いわき市民訴訟を上告棄却した最高裁判事。宇賀判事のみが反対意見。2年前のスカスカな6月17日最高裁判決に続き、最高裁は恥の上塗りをした。
・宇賀克也  元東京大学教授、行政学専門
・長嶺安政  オランダ大使、韓国大使、英国大使を歴任
・渡邉惠理子 元長島・大野・常松法律事務所*17弁護士
・林道晴   最高裁首席調査官、東京高裁長官を歴任
・今崎幸彦  最高裁事務総長、東京高裁長官を歴任

*1:流通科学大学教授

*2:法政大学教授

*3:タイトルからして近著『人が働くのはお金のためか』(2023年、青春新書インテリジェンス)とかなり主張がかぶっているのかもしれません。「労働疎外」について触れています。

*4:同志社大学名誉教授。全国革新懇代表世話人。著書『経済は地球をまわる』(2001年、ちくまプリマーブックス)、『グローバル恐慌』(2009年、岩波新書)、『恐慌の歴史』(2011年、宝島社新書)、『新・通貨戦争』(2013年、朝日新書)、『超入門・グローバル経済』(2013年、NHK出版新書)、『地球経済のまわり方』(2014年、ちくまプリマー新書)、『国民なき経済成長』(2015年、角川新書)、『窒息死に向かう日本経済』(2018年、角川新書)、『「通貨」の正体』(2019年、集英社新書)、『強欲「奴隷国家」からの脱却』(2020年、講談社+α新書)、『「共に生きる」ための経済学』(2020年、平凡社新書)、『人が働くのはお金のためか』(2023年、青春新書インテリジェンス)等

*5:中央大学教授

*6:駒澤大学教授。著書『豊かさという幻想』(2013年、桜井書店)、『農家女性の戦後史』(2018年、こぶし書房)、『コルチェスター日記:イギリスの人、くらし、福祉』(2019年、野島出版)

*7:摂南大学教授

*8:労働者教育協会常任理事

*9:グーグル、アマゾン、フェイスブック、アップル、マイクロソフトのこと

*10:立命館大名誉教授

*11:日本共産党社会科学研究所所長(党幹部会委員兼務)。著書『新しい世紀に日本共産党を語る』(2003年、新日本出版社)、『マルクス資本論』のすすめ』(2021年、学習の友社)

*12:阪南大学名誉教授。著書『現代唯物論の探求』(1998年、文理閣)、『自由のパラドックス弁証法』(2001年、青木書店)、『「資本論」から哲学を学ぶ』(2007年、学習の友社)、『現代倫理と民主主義』(2007年、地歴社)、『人間的価値と正義』(2013年、文理閣)、『環境倫理学の転換』(2015年、文理閣)、『世界は変えられる:マルクスの哲学への案内』(2016年、学習の友社)、『ヘーゲル論理学と矛盾・主体・自由』(2016年、ミネルヴァ書房)、『「資本論」と変革の哲学』(2017年、学習の友社)、『マルクスの哲学思想』(2018年、文理閣)、『マルクスと個人の尊重』(2019年、本の泉社)、『人間の尊厳と個人の尊重』(2022年、学習の友社)等

*13:イタリアの大手電力会社

*14:フランスの大手電力会社

*15:政治経済研究所主任研究員

*16:著書『東京電力の変節:最高裁・司法エリートとの癒着と原発被災者攻撃』(2023年、旬報社

*17:「長島・大野・常松」は株主代表訴訟での東電側代理人

新刊紹介:「歴史評論」2024年5月号

特集『「ポスト・トゥルース*1」時代のドイツ現代史研究』
ヴァイマル共和国研究の現在:「一九二三」「一九三三」のアクチュアリティ(小野寺拓也*2
(内容紹介)
 Q&A形式で書いてみます。

 「「一九二三」「一九三三」のアクチュアリティ」とはどういう意味ですか?

 1923年*3には「ヒトラーミュンヘン一揆」があり、1933年*4には「国会議事堂放火事件を口実にしたナチス共産党弾圧」「全権委任法可決によるナチ独裁の開始」がありました。
 1923年にクーデター未遂を起こして挫折し、息の根を止められたと思ったナチが10年後の1933年に政権与党となるまでに復権し、1945年には「ユダヤ人虐殺」など多くの負の遺産を残したあげくドイツを敗戦に導いた。
 「1923年から1933年までの10年で事態が何故そこまで右傾化したのか?」「ワイマール共和国には重大な欠陥があったのではないか?」、戦後ドイツ史はそうした痛切な思いから開始されたと言っていいでしょう。何せ戦前ドイツは「国会があったとは言え、天皇主権国家だった日本」とは違い、民主共和国です。
 この点は「何故、大正デモクラシー後に昭和ファシズム体制が成立したのか(大正デモクラシーには重大な欠陥があったのではないか?)」「何故安倍が復権し、戦後最長の長期政権となったのか?(戦後民主主義には重大な欠陥があったのではないか?)」という思いを抱く我々日本人も共感しやすいところではないか。
 なお、ワイマル共和国の問題点としてよく指摘されるのが大統領権限の強大さです(ヒトラーが首相となったのもヒンデンブルク大統領が彼を支持したから)。またワイマール共和国誕生当初、社民党党首で首相のエーベルトがドイツ義勇軍によるカール・リープクネヒト、ローザ・ルクセンブルク*5(ドイツ共産党)虐殺を容認し、ヒトラー(政敵を暗殺した「長いナイフの夜事件」)と同一視はできないにしても、「虐殺容認の黒歴史」があり、それが、「長いナイフの夜事件」など後世に悪影響を残したのではないかとされます。
 エーベルトについては

フリードリヒ・エーベルト - Wikipedia
 ドイツ史上初の民選大統領ということで、現在のドイツでは多くの町で大通りに彼の名前が冠されている。一方でエーベルトは今日まで非常に論争の的になっている人物である。後のヒンデンブルク(106回)を上回る回数(136回)でワイマール憲法第48条に基づく大統領令を濫発し、左派労働者の暴動をドイツ義勇軍を使って抑制したため、治安維持という点では一応の評価をされている一方、左派からは「ナチス躍進の一因を作った」と批判の対象とされている。

ということで左派からは「大統領令を乱発したり、ドイツ義勇軍*6を左派弾圧に使ったりしたことで、ナチ独裁の一因を作った人物」として批判が強いことを指摘しておきます。但し、一方で右派からは「エーベルトヒトラーは違う」「エーベルトの強権発動は当時としては必要悪だった」と言う反論もされています。エーベルト評価は「ワイマル共和国評価」や「ナチ評価」とも関係する重要なポイントと言えます。
 なお、昨今では「何故1933年にナチが復権したのか?(ワイマル共和国には重大な欠陥があったのではないか?)」と言う問題の立て方はドイツにおいて、必ずしも「昔ほど強くない」気がします。
 むしろ「ドイツは1923年以降、政治的混乱で、何時、ナチ的な右翼政権が誕生してもおかしくないところ、10年もワイマル体制を維持できた」という「昔よりはワイマル共和国について肯定的な評価」が強まっている気がします。それは「戦前美化の動きが自民党などから目立つ」日本同様、ドイツにおいても「反省疲れ」があるのかもしれません。その「反省疲れ」の反映としての「極右勢力(近年、伸張が著しく「ドイツの大阪維新国民戦線(フランス)」といっていい国政野党で極右政党「ドイツのための選択肢」)の最近の伸張」かもしれない。勿論「ワイマル共和国」に「1927年の失業保険法成立」など、「評価に値する点」があるのは事実ですし、「ワイマル共和国への肯定的評価」と「戦前日本美化」は同一視できませんが。
 「ドイツのための選択肢」の危険性については例えば、以下の記事を紹介しておきます。

極右政党、移民追放を謀議か ナチス想起に波紋広がる―ドイツ:時事ドットコム2024.1.13
 ドイツで極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」幹部と右翼活動家らが移民の大量追放計画を謀議したと報じられ、波紋が広がっている。ユダヤ人を排斥したナチス政権を想起させる動きに対して、「おぞましい計画だ」(与党議員)などと批判が集中。AfDの党活動禁止も取り沙汰されている。
 調査報道団体「コレクティーフ」によると、昨年11月25日、東部ポツダムのホテルで、AfDのワイデル共同党首の最側近やAfD所属の連邦議会議員、AfD支持の起業家ら約20人が会合を開いた。この中で、オーストリア出身のAfD活動家が「マスタープラン」と称し、肌の色や出身地が異なり、「同化されていない国民」はドイツから追放可能とすべきだと主張。アフリカ北部に「モデル国家」を設けて200万人*7が移り住めるようにするアイデアを披露したという。
 ナチスは「アフリカのマダガスカル島」へのユダヤ人移送*8を実際に計画したことで知られる。
 AfDは反移民を掲げて急速に支持を広げており、直近の世論調査によると、今年9月に実施される独東部3州の議会選全てで第1党になる可能性がある。コレクティーフは「(移民追放計画は)AfDが政権を取れば、何が起こるかを予感させる」と警告した。
 ショルツ首相はX(旧ツイッター)で「移民的背景があるかどうかで、『私たち』を区別することは誰にも許されない」と憤った。ただ、この会合には保守野党のキリスト教民主同盟(CDU)の右派党員も参加したとされ、反移民感情の根深さがあらわになっている。

参考

【書評】『ナチズムは再来するのか? 民主主義をめぐるヴァイマル共和国の教訓』(慶應義塾大学出版会、2019年6月)アンドレアス・ヴィルシング、ベルトルト・コーラー、ウルリヒ・ヴィルヘルム編、板橋拓己・小野寺拓也監訳 | 研究プログラム | 東京財団政策研究所から一部紹介
第四章<有権者> 抵抗の国民政党「右派政党台頭の政治的分析」
 ナチ党はたった数年間で1929年の得票数を20倍以上に増やし、それは後にも先にも例がない上昇率であった。近年のAfDでも類似した得票率の上昇が見られると指摘され、ナチ党の躍進と類似していると説明されている。そしてナチ党とAfDの支持層の比較も試みられている。ナチ党の支持者は中間層の急進主義者であるとされてきたが、実は最近の研究では支持者の40%は労働者であり、特に熟練労働者であったことが判明している。つまり支持層としてもAfDと類似点がある。ナチ党とAfDは、前者は反ユダヤ主義、後者は反移民・難民の人種主義的な扇動という共通点がある。こうした傾向は、フランスやイタリア、ハンガリーの右派のポピュリスト政党にも同様に見られる。こうした右派政党が影響力を拡大して選挙で成功する危険性と、自由民主主義的な連邦共和制を脅威にさらす可能性があると結論付けている。
おわりに 警戒を怠らないということ
 本章では、(中略)ナチ党が最初から反ユダヤ主義を掲げていたわけではないように、AfDに投票する人が全て右派急進主義者ではないと述べている。だからと言って安心できるわけではなく、「エコーチェンバー」現象や「フェイク・ニュース」、著しい社会不平等がもたらす危険性を警告している。

ヴァイマル共和国の教訓――分断された社会とポピュリズムとしてのナチズム | 研究プログラム | 東京財団政策研究所(板橋拓己*9
※本稿は、2022年3月9日に開催されたウェビナー「歴史から考えるポピュリズム戦間期ヨーロッパの経験から」で報告した内容の一部である。
 近年、ドイツのメディアでは「ヴァイマル状況(Weimarer Verhältnisse)」や「ヴァイマルの亡霊(Gespenst von Weimar)」といった見出しをよく目にするようになった。ヴァイマル共和国(1919-1933年)とは、第一次世界大戦の敗戦と革命のなかで成立し、当時世界で最も先進的な民主憲法を備えていたドイツの共和政のことである。その共和政は、世界恐慌のなか左右の反体制勢力の挟撃に合い、ナチ政権の成立によって打ち倒された[1]。つまり、「ヴァイマル状況」という言葉が意味するのは、(ボーガス注:極右政党がドイツで躍進する)われわれの現在の状況がヴァイマル共和国と似ているのではないか、すなわち、民主政が危機にあり、ついには倒れてしまうのではないかという問い*10である。
 その問いに対して、多くの論文、研究書、一般向け書籍が著されている。一例を挙げれば、筆者が小野寺拓也氏とともに監訳した『ナチズムは再来するのか?*11』(原題は『ヴァイマル状況?』)という本がある[2]。同書は、2017年4月から7月にかけてドイツのバイエルン放送と『フランクフルター・アルゲマイネ新聞』でメディアミックス的に展開された企画を書籍化したものであり、5人の歴史家と2人の政治学者がそれぞれの専門的知見に基づいて、現代とヴァイマル時代を比較したものである[3]。
 そうした研究の成果については後述するとして、ここではまず、なぜ「ヴァイマル状況」という言説が出てきたかを確認したい[4]。
 ヴァイマル共和国と現代を比較する言説が頻繁に飛び交うようになったのは、およそ15年前である。まず2007年の世界金融危機が、1929年の世界恐慌との比較を誘発した。そうした新聞記事は検索で無数に見つかるが、たとえば2010年5月17日の『南ドイツ新聞』には「1929年と2008年」という論説が掲載されている。また、ユーロ危機で示されたドイツの徹底的な緊縮志向は、容易にブリューニング内閣との連想を呼び起こし、各紙に「ヴァイマルの亡霊」という言葉が並んだ(ブリューニングは世界恐慌時の首相であり、議会ではなく大統領緊急令に依拠して危機を乗り切ろうとし、緊縮財政とデフレ政策を進め、かえって左右の反体制派の躍進を招いた)。
 そして、この10年でヴァイマルの類推は政治や社会の領域にまで広がった。ドイツにおいても「民主主義の危機」が危惧されたからに他ならない。それは、まずもって「ドイツのための選択肢(AfD)」の台頭に起因する。2013年に結成された同党は、当初は反ユーロ政党だったが、次第に右傾化・排外主義化を強め、とりわけ2015年の難民危機を背景に右翼ポピュリズム政党となり、勢力を伸ばした。2017年の連邦議会選挙では12.6%を獲得し、一気に第三党(結果的には野党第一党)に駆け上がり、21年の総選挙でも旧東側を中心に勢力を維持している。これで連邦議会議席を有する主要政党は(ボーガス注:左翼党、社民党緑の党自民党キリスト教民主同盟、「ドイツのための選択肢」の)6党となり、中道の二大政党*12の凋落も相まって、多党化現象が生じた。
 そうした政党政治レベルでの変容とともに、社会レベルでも排外主義が高まっていることが、いっそうヴァイマルとの比較をもっともらしいものにしている。「民族の裏切り者(Volksverräter)」や「民族共同体(Volksgemeinschaft)」といった、ヴァイマル共和国およびナチ体制時代の遺物であり、とうの昔にドイツが「克服」したかに思われた語彙が復活した。
(中略)
 ヴァイマル共和国には、三つの「宗派化」した陣営、すなわち、①社会主義陣営、②カトリック陣営、③プロテスタント陣営があり、それぞれの陣営内に民主派と非民主派がいるという状況であった。投票行動の変化は基本的に各陣営の内部で起こり、陣営の境界を越える変化は少なかった[8]。
 また、メディア史家ウーテ・ダニエルが指摘するように、ヴァイマル共和国ではメディアも政治的・イデオロギー的に分断されていた[9]*13。全体を包括するような主要メディアは存在せず、新聞は党派によって分断されており、それぞれ「エコーチェンバー」を作り出していた。ある陣営にとっての真実が、他の陣営にとってはフェイクになる。そんな状況が生み出されていたのである。
 さらに、地域間の分断、都市と地方の分断も見逃せない。とりわけ、大都市ベルリンは他の地域の怨嗟の的となった。地方からみたベルリンは、「共和主義、多元主義、機械化、アメリカ化、派閥主義、教育実験、道徳の退廃、とりわけ性別の適切な境界の混乱という退廃」の象徴であった[10]。
 また、ベルリンには外国人も多く、ユダヤ人に関しては、ドイツ全体では人口の1%に満たない割合のところ、ベルリンでは7%を占めていた。こうしたなかでユダヤ人は「エリート」「資本主義」「共産主義」のシンボルとなり、反ユダヤ主義は反エリート、反資本主義、反共産主義の意味をもつようになった。
 こうしたなかで台頭したのがナチ党だが、しばしば指摘されるように、ヒトラーは選挙によって首相の座についたわけではない。とはいえ、ナチ党が、1928年の総選挙では得票率2.6%に過ぎなかった状態から、わずか数年で30%台を獲得するようになったことも、忘れるべきではない。こうした急速なナチ党への支持拡大なくして、1933年1月にヒトラーが首相に任命されることもなかったであろう。
 古い研究ではナチ党は中間層の運動と捉えられてきたが、ユルゲン・ファルターらの統計的手法を用いた歴史研究により、実際にはナチ党は、党員においても支持者においても、従来考えられてきたよりもはるかに多様な人びとから構成されていたことが判明している。たとえば、ナチ党に投票した者のうち3分の1は労働者層であった。
 こうした点をふまえて、ファルターはナチ党を「中間層の傾向が強い国民政党」と規定している[12]*14。ここで「国民政党」とは、広範な社会層に満遍なく支持される大政党を意味する。
 加えて注意すべきは、ナチ党に投票した人びとの多数が、「経済的敗者」や「社会的な根無し草」と呼ばれるような人びとではなかったことだ。たとえば、ナチ党に投票した者のなかで、失業者が占める割合は全体の平均よりも低い。それに対して、それまで棄権していた人びとが、1928年から33年のあいだに投票所に足を運び、ナチ党の成功に貢献している[13]。
 1920年代の深刻な農業危機、29年に始まる世界恐慌など、危機が次々と訪れるなかで、ヴァイマル共和国の既成政党は安定した連立政権を樹立できずに無力をさらけ出していると有権者には思われた。既存の政党が、各々の支持勢力の個別利益を優先したことも、ナチ党には有利に働いた。多くの人は、抗議の意味でナチ党に投票したのである。このような状況を指して、トーマス・チルダースはナチ党を「抵抗の国民政党」と形容する[14]。
 ナチ党の戦略面にも巧みなところがあった。ここでは、共和国政府の貿易政策によって苦境に立たされ、不満を抱いていた農村地域に目を付け、1930年以降、「フォルク(人民、民族)」を強調して農民層に訴えかけたことを挙げておこう。この農村進出戦略は功を奏した。
 こうして、ファシズム研究者のケヴィン・パスモアが述べるように、「ナチは、それまで多くの政党がなろうとしてきた政党、すなわち、対立し合っているような集団までも単一の運動のなかに融合してしまうような国民政党になる、という点で、最も成功を収めた」のである[15]*15。石田勇治*16も、「ナチ党躍進の鍵は、この政党が国民政党となったことにある」と指摘している[16]*17
 とはいえ、ナチ党が単独では政権を握れなかったことは忘れるべきではない。多くの研究が指摘する通り、保守派の助力なくしてヒトラーが権力を握ることはなかった。さらに言えば、保守派は、首相就任後もヒトラーを引きずり下ろすことができた数少ない勢力であった。しかし、彼らはその機会を逸したのである。ヴァイマル共和国の保守派は、自己の利益や権力や名声を守るために、民主主義を放棄してナチと手を組むことを選んだのであった

 反共極右政党「維新」にすり寄り、共産から距離を置き野党共闘を破壊しようとする今の立民は「板橋文章をもじって」あえて言えば

立民党執行部は、自己の利益(選挙の勝利)を得るために、民主主義を放棄して維新と手を組むことを選んだのであった

ではないのか(但し、結局ナチスに政治的実権を奪われて衰退した戦前ドイツ保守派同様、そうした路線は立民にとってむしろ有害でしょうが)。そんな「立民批判派」の俺にとっては維新に批判的とはいえ「社民、れいわ」が「共産に比べ」党勢が弱すぎてお話にならない以上、もはや「共産支持、この道しかない(維新にすり寄る点では自公、国民民主は立民と変わらず論外)」ので
あって未だに「立民党のリベラル派」に空しい期待をし、共産に不当な悪口を加えるid:kojitakenには心底呆れます。


◆激動の20世紀を「良き教師」として生きる:ヒルデガルト・フォン・ギールケの場合(小玉亮子*18
(内容紹介)
 ナチドイツ時代にナチス支持をした女性幼稚園教師「ヒルデガルト・フォン・ギールケ*19」が取り上げられていますが、小生の無能のため詳細な紹介は省略します。筆者はヒルデガルトが、戦後は東ドイツにおいて幼稚園教師を続けたことから彼女において「ナチ体制であれ、社会主義体制(東ドイツ)であれ、政治体制に関係なく、政治から距離を置いて、中立的立場で、子どものための教育ができるはず」という認識(本心か、諦念に基づく自己欺瞞かはともかく)があったのではないかと見なしています(勿論、それは結果的には体制の容認になりますが)。
 ナチドイツとは同一視できないとはいえ、「戦前日本の教師(多くは戦前ファシズム体制を事実上容認)」を考えれば、日本も決して他人事ではないでしょう。


◆ナチ時代のドイツ女性を再考する(井上茂子*20
(内容紹介)
 長い間「ナチの被害者」として描き出されることが多かったドイツ女性について近年では「ナチ支持のドイツ女性も多数おり、(ユダヤ人女性、障害者女性などナチの迫害を受けたマイノリティ女性はともかく)ドイツ女性の多くは(ナチに騙されていたにせよ)ナチの共犯だった、決して無罪では無かった」と言う研究が近年進んでいること(例:ロバート・ジェラテリー『ヒトラーを支持したドイツ国民』(邦訳:2008年、みすず書房)、ウェンディ・ロワー『ヒトラーの娘たち:ホロコーストに加担したドイツ女性』(邦訳:2016年、明石書店)、桑原ヒサ子(敬和学園大学名誉教授)『ナチス機関誌「女性展望」を読む』(2020年、青弓社))が指摘されていますが、小生の無能のため詳細な紹介は省略します。
 なお、「女性の戦争加担」はナチだけではなく「太平洋戦争期の日本(愛国婦人会など)」など古今東西に見られる現象であり、筆者は「ナチスと他国の比較」による「ナチスの独自性と他国との共通性」の分析が今後の課題としています。

参考

弁護士会の読書:ヒトラーを支持したドイツ国民
 ヒトラー独裁といっても、それは多くのドイツ国民の最後までの支持なしにはありえなかったし、ドイツ国民は強制収容所の存在、そして、そこでの囚人虐待を知っていたという本です。ドイツ国民は何も知らなかったという従来の通説とは異なりますが、当時のマスコミ報道をふくめて資料を丹念に掘り起こしていますから、説得力があります。目を背けてはいけない事実です。
 ヒトラーの1935年の徴兵制度の再導入は、労働市場から大量の就労年齢の男性を吸い上げ、失業者数を減らした。雇用と収入が突然戻ってきて、ドイツ国民に希望がよみがえった。それは、ことに青年男女にとって顕著だった。そこで、多くのドイツ国民が競ってナチ運動に参加しようとした。ナチ党員は、1930年に 13万人、1933年に85万人、その後、数年で500万人となった。ナチ党突撃隊(SA)には1931年に8万人、1932年に50万人、1934年に300万人いた。女性も同じ。ナチの女性組織「ナチ女性団」(NSF)は1932年に11万人、(ボーガス注:ヒトラーが首相に就任した)1933年に85万人、1934年に150万人、そして1938年には400万人だった。
 こんな数字をあげられると、大衆操作の怖さをつくづく実感します。
 世論懐柔のため、強制収容所は、もっぱら共産党員用だと宣伝された。ドイツのほとんどの町にあるといってもよい強制収容所について、新聞が一斉に報道したのだから、収容所の存在は秘密でもなんでもなかった。しばらくとはいえ、むしろ町民たちは、町に強制収容所があることを誇りに思っていた。ええーっ、そうだったんですか・・・。
 ドイツ人は、囚人服を着て木靴をはいた囚人を色眼鏡をとおして見た。よくて無関心か恐怖心、悪くて看守と一緒になって侮蔑、敵意、憎悪をむき出しにして囚人を見ていた。
 一般市民も囚人を自分たちのために強制して働かせることをなんとも思っていなかった。囚人は、人間以下の人間として、国家の敵、犯罪者としての烙印が押されていたから。そして、ドイツの民間企業こそが、強制収容所囚人の最大の搾取者だった。IGファルベン、ジーメンスダイムラー、ベンツ、フォルクスワーゲンBMWなどなど。
 300頁ほどの本ですが、大変重たく感じる本です。

ヒトラーの娘たち ウェンディ・ロワー著 - 日本経済新聞(法政大学名誉教授・川成洋*21
 本書によると、第2次大戦期に、ナチ占領下の東部に50万を超える若い女性が教師、看護師、秘書、福祉士、そして妻として派遣された。はっきりしていることは、彼女たちはすでにナチ的衛生学や人種生物学にどっぷり浸かっていたことだ。彼女たちは「総統の伝道者」「文化の担い手」としてジェノサイドを初めて直接目撃し、たじろぐが、ヒトラーの目論む戦争が「絶滅戦争」であると理解するのにはそう時間はかからなかった。愛国的ドイツ人という自覚がこうした大量殺人の現場に無感覚となり、ユダヤ人から強奪した所持品を祝勝の名目で山分けするようになる。まさに彼女たちは、ヒトラーの殺人マシンの不可欠なパーツと化していた。
 本書で取り上げた共犯者・加害者の十数人の女性の中で、有罪を宣告されたのは、たった1人である。何故だろうか。
 彼女たちは自分の過去を葬り去ろうとして可能な限り偽証や黙秘をする。結婚して姓を変える*22。かつての同僚も犯罪事実を隠蔽し、あるいは隠滅する。裁判官は生存者の証言よりも証拠書類の提出を求める。
 しかし、誰が犯罪現場で、それを書類に記述できるであろうか。しかも目撃者や生存者にとって、自分の家族・親戚を殺めた殺人者の名前は定かでない。何よりも、裁判官がナチ犯罪で被告人を有罪とすることに全体として抵抗を示した。これでは公正な裁判は望むべくもない。
 かくして「ヒトラーの娘たち」のほとんどは、逃げ切ったのだった。

 やはり拙記事『銃後』とは『自由』な『自己実現』ができる時代だった(副題:NHKスペシャル「銃後の女性たち―戦争にのめりこんだ‟普通の人々”」) - bogus-simotukareのブログ積極支持ではない消極的支持(諦め)であれ、「デマ扇動やメディア統制による詐欺的支持獲得(いわゆるポピュリズム)」であれ、国民の支持無しでは独裁は成り立たない(追記あり) - bogus-simotukareのブログは「大筋で正しい」と言う思いを改めてします。


◆抵抗と再建のはざまで:「ドイツ零時*23」における社会運動(土肥有理*24
(内容紹介)
 1945年の敗戦前後に活動した「反ファッショ委員会」の活動について述べられていますが、小生の無能のため詳細な紹介は省略します。


◆「ナチスの発明」の起源:源泉徴収をめぐる俗説と「一九四〇年体制」論(田野大輔*25
(内容紹介)
 ネット上の記事紹介で代替。
 筆者には『検証・ナチスは「良いこと」もしたのか?』(共著、2023年、岩波ブックレット)と言う著書がありますが「ページ数の制約」等から全ての「ナチスの善行デマ」批判を著書でしたわけではなく、今回は著書では触れなかった「源泉徴収ナチスの発明」デマが取り上げられています。
 詳しくは後で紹介するネット記事を見て頂ければと思いますが
1)源泉徴収がドイツに導入されたのはワイマール共和国時代であってナチス時代ではない
2)源泉徴収自体もドイツで発明されたわけではない(ドイツでの導入以前に米国や英国で導入されている)
と言う話です。

「源泉徴収はナチスの発明」というウソ(田野 大輔) | 現代ビジネス | 講談社(1/6)
 ナチスの政策のなかにも「良いもの」はあった。ネット上を中心にしばしばそんな主張を見かける。
 しかし実はそうした主張の多くは少なからぬ事実誤認を含んでいたり、政策の全体を見ずに一部だけを切り取っていたりする。そうした巷間の「ナチス擁護論」の杜撰さと危うさを指摘した『検証 ナチスは「良いこと」もしたのか?』(小野寺拓也・田野大輔)がベストセラーとなっている。
 「ナチスは良いこともした」という主張の根拠の一つとしてしばしば持ち出されるのが、「源泉徴収ナチスが発明した」という説だ。同書の著者の一人である甲南大学教授の田野大輔氏が、この説の虚実、そして、なぜこの説が広まったのかを検証する。
注:本記事は、田野大輔「『ナチスの発明』の起源:源泉徴収をめぐる俗説と『一九四〇年体制』論」『歴史評論』2024年5月号(予定)の内容の一部を再編集したものである。
【田野】
 新書やビジネス書、雑誌などでもこの説がまことしやかに紹介されているのを目にする。
 代表的な事例としては、2006年に出版された武田知弘*26フリーライター)の『ナチスの発明*27』が挙げられる。武田は同書のなかで「税金の『源泉徴収』をはじめたのもナチス・ドイツである」と述べ、この制度をナチスの「人類への功績」の一つに数えている。最近では舛添要一国際政治学者)も、2019年の『ヒトラーの正体*28』の冒頭でヒトラー源泉徴収の考案者と名指しし、出版時のインタビューで「源泉徴収という考え方はヒトラーが初めて導入しました」と断言している(『スポーツ報知』2019年8月31日)。
 だが一部の読者には驚きかもしれないが、実はこの「ナチスの発明」という俗説はまったくのデタラメである。所得税源泉徴収はイギリスではナポレオン戦争期の1803年に、アメリカでは南北戦争期の1862年に導入されており、ドイツでも第一次世界大戦直後の1920年に導入されている。
 ドイツの源泉徴収制度はヒトラーが政権を握る13年前、ワイマール共和国のエルツベルガー財務相が1919年から翌年にかけて行った包括的な税制・財政改革の一環として導入したものである。第一次世界大戦の敗戦による深刻な財政危機に直面していた共和国政府が、大衆課税による増収と税務行政の効率化をはかる目的で行った改革だが、これによって今日につながるドイツの租税・財政制度の基盤が確立されたというのが、研究者の間で一致した見方となっている。このとき採用された源泉徴収を、ナチスはただ受け継いだにすぎない。
 それにもかかわらず、源泉徴収を「ナチスの発明」とする謬説が広まったのはなぜだろうか。その原因は何よりも、日本が1940年にドイツに倣ってこの制度を導入したという歴史的経緯にありそうだ。当時のドイツはヒトラー政権下だったから、源泉徴収を「ナチスの制度」と誤解してもおかしくない。多くの論者の発言を精査すると、そのような誤解や歪曲が「ナチスの発明」という謬説の成立に深く関わっていることがわかる。彼らは源泉徴収の起源をより強くナチスと結びつける方向で、発言の内容を徐々に変化させている。
 このことをはっきりと示しているのが、最初期に主導的な役割を果たした(ボーガス注:ライフコーポレーション創業者の)清水信次(実業家)の発言である。清水は早くも1989年に源泉徴収ナチスの関係に言及したパイオニア的存在だが、この時点ではまだ「ナチス・ドイツを範にして1940年に所得税の給与源泉徴収制度を導入した」との説明にとどまっていた(『世界』523号)。だが1993年のインタビューで「源泉徴収ナチスの遺産」とトーンを強めると(『週刊ポスト』1993年9月10日号)、その翌年に出版した著書では「この制度を考えだしたのは、ナチスドイツのヒトラーであった」という主張に移行している(『時短は国を滅ぼす*29』)。
 同様の変化は加藤寛*30(経済学者)の発言にも見られる。政府税制調査会会長も務めた加藤は1987年の共著では戦後の所得税法改正で源泉徴収が採用されたと述べていたが(『「決定版・税制改革」』*31)、1987年と1999年の対談で源泉徴収導入にドイツの影響があったことを知ると(『法令ニュース』487号、『対論「所得税一律革命」』)、2002年の論説で「ナチスドイツに範を求めた」と説明を変えている(『日本経済新聞』2002年1月28日)。そして最終的に、2005年の雑誌インタビューで「ヒットラーが便利だからと作った」と主張するにいたっている(『週刊東洋経済』2005年2月5日号)。
 このように多くの論者の発言は何かに導かれるように徐々に内容を変化させ、やがて一線を踏み越えて完全な謬説に移行している。「ドイツに倣って」が「ナチスを真似て」となり、「ドイツの税制」が「ナチスの制度」とされて、最終的に「ナチスの発明」という主張に行き着くのだが、そうした不可逆的な変化をもたらした原因は何だったのだろうか。
 まず指摘できるのは、話を誇張して読者の関心を引こうとする動機である。本当はドイツに倣って導入されただけなのだが、それでは弱すぎる。「ナチスが作った」と言い切ってしまった方が、インパクトは大きいはずだ。おおよそこのような理由から、多くの論者は「ナチスの発明」論を唱えるようになったと考えられる。だがもう一つ、「ナチスの発明」論の成立・拡大に――間接的にではあるものの――大きな影響を与えたものがある。1995年に出版されベストセラーとなった野口悠紀雄*32(経済学者)の『1940年体制*33』である。ただし野口は1940年に源泉徴収が導入された事実には言及していたが、そこにドイツの影響があったことは指摘していなかった(その代わりに「世界ではじめて」導入されたという勇み足の指摘を行っている)。この点を補足し、現代につながる連続性の起点をナチスにまで延長しようとした論者の代表格が、斎藤貴男*34(ジャーナリスト)である。
 斎藤は1996年に出版した『源泉徴収と年末調整*35』のなかで、野口の「1940年体制」論を紹介しながら日本の税制を検討し、源泉徴収導入の背景に「ナチス・ドイツの強い影響」があったことを強調する。だが源泉徴収ナチス以前に導入されていたから、これは間違いとは言えないまでも誤解を招く説明である(なお、彼は年末調整もナチスの影響によるものと説明しているが、ドイツでこの制度が導入されたのは1948年なので、こちらは明らかな誤りである)。
 (ボーガス注:左派の)斎藤は戦時体制の所産である源泉徴収に批判的な議論を展開しているのだが、ナチスの影響を強調することでそうした批判の説得力を高める意図があったのかもしれない。
 ところが2000年代半ばになると、こうした論調は一変する。その最大の原因こそ、冒頭で挙げた武田の『ナチスの発明』にほかならない。同書のそれまでにない特徴は、源泉徴収ナチスによる「偉大な発明や発見」として、もっぱら肯定的に取り上げている点にある。
 源泉徴収は納税を効率化する「先進的な社会制度」なのだから、たとえナチスが作ったものであろうと「人類への功績」として正当に評価されるべきだというのだが、このような主張は一般世論の保守化、とりわけ「過去を一方的に断罪するのはおかしい」という風潮の高まりにも後押しされて、源泉徴収をめぐる議論を急速に間違った方向に導いていく。2008年にはさっそく戸矢学*36(作家)が源泉徴収を「ナチスが開発したもの」と断定し、「当時としては比較するものもない圧倒的な『先進国』ということです」と発言している(『カリスマのつくり方*37』)。
 この時期の変化としてさらに注目されるのは、かつて源泉徴収の起源について比較的慎重な説明を行っていた斎藤と舛添が、武田に背中を押されるように一線を踏み越え、「ナチスの発明」論を唱え始めることである(もともと源泉徴収について武田とは反対の評価をしていたにもかかわらず、である)。斎藤は2014年に出版した著書のなかで「源泉徴収ナチスのしくみ」と説明し(『ちゃんとわかる消費税*38』)、さらに2016年のインタビューで「もともとはナチスドイツが戦費調達のために発明したもの」と発言しているし(『マガジン9』2016年9月14日)、舛添も上述の通り2019年の著書とインタビューで源泉徴収ヒトラーの考案によるものと断定し、この制度の利便性と効率性を強調している。
 過去30年あまりにわたって積み上げられてきた源泉徴収をめぐる俗説の系譜をたどってみると、あらためて悪の象徴=ナチスの「情動に訴える力」の大きさに気付かされる。(ボーガス注:左派の斎藤のように)容赦なく税金を取り立てる源泉徴収の非道さを印象付け、不条理な税制への怨嗟をかき立てるためであれ、(ボーガス注:歴史修正主義右派のように)逆に納税の手間を省いてくれるこの制度の先進性と先見性を強調し、それによって「ナチスの時代をただ真っ黒に塗りつぶしてきた歴史観」を修正するためであれ(『ナチスの発明』)、ナチスを引き合いに出すことが喚起する感情は強力で、歴史的事実の認知さえ歪めてしまいがちである。
 「ナチスはこんな凄い発明もしていた」といった人目を引く主張に心動かされ、「やっぱりそうだったのか」と納得してしまう前に、それが事実認識として間違っていないか、立ち止まって考えてみるべきだろう。
 武田や戸矢の主張が示しているように、「源泉徴収ナチスの発明」という主張はナチスの免罪化、少なくともその犯罪の相対化につながる危険性をはらんでいる。そうした謬説が広まるのを防ぐためには、専門家による粘り強い批判が欠かせない。実は筆者もSNS上でこの種の発言を見つけては間違いを指摘し、「源泉徴収ナチスの発明ではありません」というステッカーまで作って啓発に取り組んでいるのだが、次から次へと現れる発言を前に途方にくれることが多い。根拠のない間違った俗説であっても、いったん活字になって世間に流布してしまうと、これを打ち消すのは非常に困難である。著述を業とする者の責任は重いと言わざるをえない。

*1:こういうタイトルですが「ポスト・トゥルース」という問題に関係があるのは「源泉徴収ナチスの発明ではない」と批判する田野論文だけではないか?

*2:東京外国語大学准教授。著書『野戦郵便から読み解く「ふつうのドイツ兵」:第二次世界大戦末期におけるイデオロギーと「主体性」(2022年、山川出版社)、『検証・ナチスは「良いこと」もしたのか?』(共著、2023年、岩波ブックレット)等

*3:日本では「関東大震災及び朝鮮人虐殺、左派虐殺(甘粕事件、亀戸事件)」「虎ノ門事件(裕仁皇太子狙撃事件)」等がありました。

*4:日本では「小林多喜二虐殺」「日本の国際連盟脱退」等がありました。

*5:1871~1919年。著書『ローザ・ルクセンブルクの手紙』(1987年、岩波文庫)、『経済学入門』(1991年、岩波文庫や2018年、御茶の水書房)、『資本蓄積論』(1997年、同時代社)、『ポーランドの産業的発展』(2011年、御茶の水書房)等

*6:突撃隊指揮官エルンスト・レーム(「長いナイフの夜事件」によりヒトラーが暗殺)、親衛隊指導者ハインリヒ・ヒムラー(後に自殺)、アウシュヴィッツ強制収容所所長ルドルフ・フェルディナント・ヘス(戦後、絞首刑)など、ナチ幹部の多くは義勇軍の出身者であった(ドイツ義勇軍 - Wikipedia参照)

*7:野原某(id:noharra)の「10万人の北朝鮮難民を日本に受け入れろ(以前俺が批判)」もいい加減非常識ですが、「200万人の外国人をドイツから追放してアフリカに移住させる」とは「報道が事実」なら、野原すらかわいく見える酷さです。いや「大阪維新すらかわいく見えるAfDの酷さ」といっていい。(勿論人道的な意味で非道ですが)是非以前にできるわけがない。いずれにせよこういうスクープをしたドイツメディアには感動ですね。日本のメディアにはこうした批判精神が何処まであるのか?

*8:勿論「移送(ドイツからの追放)ならいい、虐殺で無ければいい」と言う話では全くないですが、当初ナチは「マダガスカル」「東欧」などへの移送を計画した物の、それが挫折したこと(例えばマダガスカル(もともとはフランスの植民地だったがドイツが侵略)への移送計画は英仏連合軍が、ドイツからマダガスカルを奪還したことで挫折)で虐殺にシフトしたのであって当初から虐殺方針ではありませんでした。これについては例えばマダガスカル計画 - Wikipedia参照

*9:東大教授。著書『アデナウアー』(2014年、中公新書)、『黒いヨーロッパ:ドイツにおけるキリスト教保守派の「西洋(アーベントラント)」主義、1925~1965年』(2016年、吉田書店)、『分断の克服 1989~1990:統一をめぐる西ドイツ外交の挑戦』(2022年、中公選書)等

*10:こうした問い(現在の状況が戦前日本と似ていないか?)は「戦前美化勢力=自民党安倍派など」が政治において強い影響力を発揮し、また「参政党」という右翼ミニ政党が国会に進出した日本にも該当するでしょう。

*11:2019年、慶應義塾大学出版会

*12:社民党キリスト教民主同盟のこと

*13:ウーテ・ダニエル「政治的言語とメディア」ヴィルシングほか『ナチズムは再来するのか?』

*14:ユルゲン・W・ファルター「抵抗の国民政党」ヴィルシングほか『ナチズムは再来するのか?』

*15:ケヴィン・パスモア『ファシズムとは何か』福井憲彦訳、岩波書店、2016年

*16:東京大学名誉教授。著書『20世紀ドイツ史』(2005年、白水社)、『過去の克服[新版]:ヒトラー後のドイツ』(2023年、白水社)等

*17:石田勇治『ヒトラーとナチ・ドイツ』講談社現代新書、2015年

*18:お茶の水女子大学教授

*19:筆者に寄れば著名なドイツの法学者「オットー・フォン・ギールケ(1841~1921年)」の娘。なお、オットー・フォン・ギールケ - Wikipediaによれば「オットー・フォン・ギールケの蔵書の一部は第一次世界大戦後、東京商科大学によって購入され、その直後の関東大震災の難から逃れたのち、東京商大の後身校である一橋大学の「ギールケ文庫」として継承されている」とのこと。オットーの邦訳著書としては『ドイツ私法概論』(1990年、三一書房)、『ドイツ団体法論第1巻:ドイツ・ゲノッセンシャフト法史』(2014年、信山社)、『歴史法学論文集』(2019年、信山社)がある。

*20:上智大学名誉教授

*21:著書『青春のスペイン戦争:ケンブリッジ大学義勇兵たち』(1985年、中公新書)、『スペイン戦争:ジャック白井と国際旅団』(1989年、朝日選書→『ジャック白井と国際旅団:スペイン内戦を戦った日本人』と改題して、2013年、中公文庫)、『幻のオリンピック』(1992年、ちくまプリマーブックス)、『本が語る現代』(1996年、丸善ライブラリー)、『大学崩壊』(2000年、宝島社新書)、『スペイン内戦』(2003年、講談社学術文庫)、『紳士の国のインテリジェンス』(2007年、集英社新書)、『英国スパイ物語』(2018年、中公選書)、『スペイン内戦と人間群像』(2023年、人間社)等

*22:結婚して姓を変えることが「不祥事(ホロコーストへの加担)」追及逃れとは「話が脱線します」が「山尾(結婚後の姓)から菅野(旧姓)に姓を変えた不倫醜聞・山尾志桜里(元民進党政調会長)」を連想させる話です。あるいは名前を変えることで過去を消そうとするとは「血盟団事件の菱沼五郎(後に小幡五朗に改名し、自民党茨城県議)」を連想させる話です。

*23:1945年5月8日のドイツ国防軍の無条件降伏によってナチス・ドイツ体制が崩壊し、ドイツ戦後史が始まったことを指す言葉(零時 (ドイツ史) - Wikipedia参照)

*24:明治大学講師

*25:甲南大学教授。著書『魅惑する帝国:政治の美学化とナチズム』(2007年、名古屋大学出版会)、『愛と欲望のナチズム』(2012年、講談社選書メチエ)、『ファシズムの教室:なぜ集団は暴走するのか』(2020年、大月書店)、『検証・ナチスは「良いこと」もしたのか?』(共著、2023年、岩波ブックレット)等

*26:著書『ヒトラーケインズ』(2010年、祥伝社新書)、『戦前の生活:大日本帝国の「リアルな生活誌」』(2013年、ちくま文庫)、『大日本帝国の経済戦略』(2015年、祥伝社新書)、『ヒトラーとトランプ』(2017年、祥伝社新書)、『ヒトラーの経済政策』(2020年、祥伝社黄金文庫)等

*27:彩図社

*28:小学館新書

*29:文春ネスコ社

*30:慶應義塾大学名誉教授

*31:国際商業出版社

*32:一橋大学名誉教授

*33:東洋経済新報社

*34:著書『源泉徴収と年末調整:納税者の意識を変えられるか』(1996年、中公新書→後に『大増税のカラクリ』と改題し、2006年、ちくま文庫)、『プライバシー・クライシス』(1999年、文春新書)、『梶原一騎伝』(2001年、新潮文庫→2005年、文春文庫、後に『「あしたのジョー」と梶原一騎の奇跡』と改題し、2016年、朝日文庫)、『小泉改革と監視社会』(2002年、岩波ブックレット)、『バブルの復讐:精神の瓦礫』(2003年、講談社文庫)、『安心のファシズム:支配されたがる人びと』(2004年、岩波新書)、『国家に隷従せず』(2004年、ちくま文庫)、『希望の仕事論』(2004年、平凡社新書)、『不屈のために:階層・監視社会をめぐるキーワード』(2005年、ちくま文庫)、『ルポ改憲潮流』(2006年、岩波新書)、『住基ネットの「真実」を暴く』(2006年、岩波ブックレツト)、『「非国民」のすすめ』、『報道されない重大事』(以上、2007年、ちくま文庫)、『消費増税で日本崩壊』(2010年、ベスト新書)、『東京を弄んだ男:「空疎な小皇帝」石原慎太郎』(2011年、講談社文庫)、『「心」と「国策」の内幕』(2011年、ちくま文庫)、『強いられる死:自殺者三万人超の実相』(2012年、河出文庫)、『安倍改憲政権の正体』(2013年、岩波ブックレット)、『分断される日本』(2013年、角川文庫)、『戦争のできる国へ:安倍政権の正体』(2014年、朝日新書)、『民意のつくられかた』(2014年、岩波現代文庫)、『民主主義はいかにして劣化するか』(2014年、ベスト新書)、『「東京電力」研究』(2015年、角川文庫)、『ジャーナリストという仕事』(2016年、岩波ジュニア新書)、『機会不平等』(2016年、岩波現代文庫)、『国民のしつけ方』(2017年、集英社インターナショナル新書)、『「明治礼賛」の正体』(2018年、岩波ブックレット)、『日本が壊れていく』(2018年、ちくま新書)、『ちゃんとわかる消費税』(2019年、河出文庫)、『カルト資本主義(増補版)』(2019年、ちくま文庫)など

*35:1996年、中公新書→後に『大増税のカラクリ』と改題し、2006年、ちくま文庫

*36:著書『陰陽道とは何か』(2005年、PHP新書)、『三種の神器』(2016年、河出文庫)等

*37:PHP新書

*38:2014年、河出書房新社→2019年、河出文庫

今日の産経ニュースほか(2024年4/19日分)

上川陽子外相がNATO事務総長と会談 ウクライナ支援で緊密連携 - 産経ニュース
 「軍事同盟NATO」との協力強化を上川外相が表明したことについては、ハト派、九条護憲派としては大いに警戒と監視が必要でしょう。


埼玉県警が「ザコども」発言認める クルド人排除を訴えたデモへの抗議に - 産経ニュース
 県民として埼玉ネタとして紹介しておきます。過去には土人発言(大阪府警)もあったし警察内部で差別が横行してるのではないかと疑いたくなります。


◆埼玉の男女別学高校

12の県立高校が「男女別学」埼玉県で“共学化”の流れ「早期に実現されるべき」 卒業生からは反対の声も(TBS NEWS DIG Powered by JNN) - Yahoo!ニュース2023.4.18
 「男女別学」ですが、実はいまや希少な存在です。
 40年前には全国の高校のうち、公立の男子校は130校、女子校は182校ありました。しかし、少子化などを理由に共学化が進み、2023年度に男子校は15校、女子校は30校と大きく減っています*1
 そんな中、男女別学の県立高校が12校*2ある埼玉県に対し、こんな苦情が寄せられました。
「埼玉県立の男子校が女子の入学を拒んでいるのは不適切であり、認められるべきだ」
 これを受けて去年、県の第三者機関が教育委員会に「共学化が早期に実現されるべき」という勧告を行い、波紋を呼んでいるのです。
 今日、男子校の浦和高校や女子校の浦和第一女子高校の卒業生たちが会見を行い、別学を維持するよう訴えました。
 男子校や女子校を共学化するのか。埼玉県の教育委員会は今年8月に方針をまとめる予定です。

“埼玉県立高校の共学化反対” 男女別4校の同窓会長が会見|NHK 首都圏のニュース2024.4.18
 男子校、女子校がある埼玉県の県立高校について共学化を求める勧告が出たことを受け、男女別の県立高校4校の同窓会の会長が18日会見し、「学校を選択する多様性を奪うことになる」などとして、共学化に反対すると訴えました。
 会見を開いたのは、浦和高校春日部高校、浦和第一女子高校、川越女子高校の4校の同窓会の会長です。

 県民として埼玉ネタとして(以下略)。記事にあるように、埼玉は私立だけでなく、歴史的に公立高校でも別学が多く、小生も高校は別学でしたが果たしてどうなるか?


脅迫のジェンダー本、政治家や医療関係者、当事者らが読む「差別つながる要素ない」 - 産経ニュース
 こういう場合、両論併記するのが普通ですが、「産経支持の声」しか出さないのだから心底呆れます。


立民・辻元氏、東京15区補選で楽勝ムード引き締め 討論会欠席に酒井氏は「日程の関係」 - 産経ニュース
 当初思われていたほどには「都民ファ乙武」も優勢ではないようです。酒井候補勝利で「自民だけでなく、小池知事にも打撃を与え、都知事選で小池に勝利したい」ところです。


教員の給与上乗せ「10%以上」、中教審部会が素案提示 実現すれば半世紀ぶり - 産経ニュース
赤旗教員残業代不支給を継続/中教審特別部会まとめ素案
 「教特法(教育公務員特例法)による教員調整額を今の4%から10%に引き上げ」とは「現状維持よりマシ」とはいえ脱力します。
 何故「教特法を廃止し、きちんと残業代を払う」と言う方向に行かないのか。そうすることで残業が減り、教員希望者も増えるでしょう。そこまで教育に金をケチる一方で、大軍拡とは「税金の使い方が明らかにおかしい」。


<主張>首相の訪米報告 危機認識をもっと伝えよ 社説 - 産経ニュース

 共産党志位和夫議長は、自衛隊と米軍の指揮・統制見直しについて「自衛隊が参戦する道を開くことになる」と批判した。抑止力の強化を否定するもので、共産の主張では平和を守れない。

 俺は勿論共産支持ですがそれはともかく。
 興味深いのは、ここで産経が「自衛隊の海外参戦(勿論専守防衛に当たらない参戦*3)はあり得ない」とも「海外参戦が必要なときもある」とも言えず、事実上共産の指摘から逃げてることです。

*1:なお、女子短大、大学も同様の理由から現在では共学化が進んでいます。

*2:埼玉県立の男女別学校に関するアンケート(「高校生」対象) - 埼玉県教育委員会によれば「浦和高校川越高校熊谷高校、松山高校、春日部高校(男子校)」、「浦和第一女子高校、川越女子高校、熊谷女子高校、松山女子高校、春日部女子高校、鴻巣女子高校、久喜高校(女子校)」

*3:共産も専守防衛は肯定しています。

今日のしんぶん赤旗ニュース(2024年4/18~20日分)

“自民要請で訓練場撤回”/防衛相は政治利用/赤嶺氏が追及 衆院安保委
 「一部の自民関係者を含む」とはいえ「広範な県民運動の成果」ですし、自民主流派は当初は「そうした県民運動を封じ込めようとしていた」くせに封じ込めが無理と分かるや、「自民の手柄であるかのように宣伝」とは全くふざけた話です。


主張/こども誰でも通園/看板倒れで危険な政策改めよ
 「誰でも通園」が認可基準の緩和を前提としていることを「安全が犠牲にされる」として批判しています。


財源負担 「なし」は虚偽/子育て支援 改定法案 衆院委可決/共産党は反対
子育て支援法改定案 可決/高橋議員反対討論 「軍事費減こそ」/衆院本会議
 「大軍拡を辞めれば財源は確保できる」と主張する点は、そのように主張しない「軍拡容認」の立民や維新よりずっと評価できます。


主張/「大東亜戦争」記述/自衛隊の侵略戦争美化許すな

 内閣直属の言論統制・宣伝機関である情報局は同日、「今次の対米英戦は、支那事変*1をも含め大東亜戦争と呼称す。大東亜戦争と称するは、大東亜新秩序建設を目的とする戦争なることを意味するものにして、戦争地域を大東亜のみに限定する意味にあらず」と発表しました。

 当時の日本政府自ら大東亜戦争とは「単に戦争地域(大東亜)を意味するのではなく、大東亜新秩序(大東亜共栄圏)建設という日本の戦争目的を意味する」としている点が重要です。そんな言葉を現代に使うべきではない。


救済法案 今国会提出へ/笠井氏あいさつ 空襲議連が意欲
 平沢勝栄が空襲議連会長とのことで俺的に平沢への評価が「多少アップ」しました。


被害数 逐次公表せよ/機能性表示食品 宮本議員が要求/衆院厚労委
 問題を小林製薬に限定せず、機能性表示食品の是非を論じるべきです。


妊娠・出産・中絶に休暇保障/米政府、企業に義務付け
 こうした点は「バイデンはトランプよりマシ」といえるでしょう。


東アジアの平和構築への提言――ASEANと協力して/志位議長が講演/各界各分野・多くの在日大使館から参加

 海江田万里*2衆院副議長と玉城デニー沖縄県知事からメッセージが寄せられ、林陽子*3(元国連女性差別撤廃委員会委員長、弁護士)、小林節*4(慶応大名誉教授)、小畑雅子(全労連議長)、小薬岳(東京学生平和ゼミナール)―4氏がスピーチしました。

 小生も単純な性格なのでこうした祝賀メッセージ、挨拶には支持者として深く感謝しますね。
参考

「防衛費増より学費支援を」 官邸前で学生グループが敵基地攻撃能力保有などに抗議:東京新聞 TOKYO Web2023.2.10
 学生有志でつくる団体「東京学生平和ゼミナール」のメンバーら約30人が10日夜、東京・永田町の首相官邸前で、敵基地攻撃能力(反撃能力)の保有などを盛り込んだ安保関連3文書の閣議決定に抗議した。
 雨が降りしきる中、学生らが次々とマイクを握った。法政大1年の小薬岳(こぐすり・がく)さん(18)は「(安保3文書は)戦後から続く『専守防衛』を捨て、先制攻撃や戦争を起こすことを可能にする非常に危険なもの」と批判した。

*1:日中戦争のこと

*2:菅内閣経産相民主党代表、立憲民主党最高顧問等を経て衆院副議長

*3:現在、市川房枝記念会「女性と政治センター」理事長(例えば(ひと)林陽子さん 「市川房枝記念会女性と政治センター」の理事長になった:朝日新聞デジタル(2023.9.26)参照)

*4:著書『白熱講義! 日本国憲法改正』(2013年、ベスト新書)、『白熱講義!集団的自衛権』(2014年、ベスト新書)、『安倍「壊憲」を撃つ』(佐高信氏との共著、2015年、平凡社)、『「憲法改正」の真実』(樋口陽一東大名誉教授との共著、2016年、集英社新書)、『なぜ憲法学者が「野党共闘」を呼びかけるのか』(2016年、新日本出版社)、『小林節憲法改正試案』(2016年、宝島社新書) 、『ここがおかしい! 小林節が壊憲政治を斬る! 』(2017年、七つ森書館)等

今日の朝鮮・韓国ニュース(2023年4月18日分)

LINE情報漏えい問題 韓国外務省 “差別的措置あってはならぬ” | NHK | 通信
 「ラインと韓国企業(ラインの親会社)の関係を断ち切り、ラインをヤフーの完全子会社化にしようとしているかのような日本政府の言動」に「韓国の権益が侵害される」として韓国政府が反発するのは「韓国政府としては当然の態度」「先日の韓国総選挙結果とは全く関係ない」でしょうが、日本右翼(産経など)が「総選挙で負けたから、尹錫悦が反日に舵を切った」と言い出すのだろうと思ってげんなりします。


岸田首相は「ノーベル平和賞に値する」 米高官、韓国大統領と共同で | 毎日新聞

 米国のキャンベル国務副長官は24日、ワシントンのシンクタンク「ハドソン研究所」で講演し、日韓関係改善を図った岸田文雄首相と韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が「ノーベル平和賞の共同受賞に値する」と持ち上げた。
 キャンベル氏は、元徴用工訴訟問題を念頭に「日韓両国には現行の条件での関係改善を望まない圧力団体や政治団体がいたが、難しい歴史問題を克服しようとする日韓の指導者の決意は目を見張るものだった」と指摘。

 赤字部分が「韓国野党は反日」と誹謗する日本右翼と大同小異であることには心底呆れます。それにしても「ノーベル賞」とは、ここまで見え透いたデマカセには「なら、お前が岸田や尹を推薦するのか?。推薦しねえよな?。いい加減なことを言うな。馬鹿にするな」とむしろ腹が立ちますね。


北朝鮮、日本や米国のアニメ下請けか 制裁違反の可能性 - 日本経済新聞

 米国拠点の北朝鮮分析サイト「38ノース」は22日、北朝鮮のアニメスタジオが米国からの制裁に違反し、米国や日本の制作会社が下請けに出した仕事に関わっていたとみられるとの分析を公表した。
 アマゾンオリジナルの「インビンシブル〜無敵のヒーロー〜」や、7月放送開始の日本のアニメ「魔導具師ダリヤはうつむかない」などの制作下請けに北朝鮮のスタジオが関与していたもようだと指摘した。

 政府発表ではないので「間違い」の可能性もありますが紹介しておきます。
 仮に事実だとしても、海外に下請けに出したら、(孫請け、ひ孫請け等、どのレベルかはともかく)孫請け以下が北朝鮮アニメスタジオだったと言う話らしい(さすがに下請けが北朝鮮スタジオではなく、元請けはこうした事実を把握してなかった模様)。
 この記事だけでは作画にどこまで関与したかわからないが、一度これらのアニメを見たくなってきました。勿論「海外下請け=コストカットという要素はある」でしょうが、北朝鮮のアニメ作成能力も意外と高いんでしょうか?
 なお、さすがにこんなことで放送中止にはならないとは思いますし、中止しては駄目でしょう。


拉致被害者の家族、米国連大使に協力求める 横田早紀江さん「めぐみと一目会いたい」 - 産経ニュース
 協力を求めるなら「北朝鮮を経済支援しており、一定の影響力がある中露」であって米国ではないでしょう。
 まあ中国はともかく「ロシアがウクライナ侵攻する」今の政治状況では協力を求めることは無理ですが、家族会が中露に協力を求めないのは単に「家族会が、自主性皆無で、拉致右翼(救う会など)の言いなりで、拉致右翼が反中露だから」にすぎないでしょう。あえて言えば拉致右翼が「反米で親中露(勿論そんなことは現実的にはないですが)」なら家族会は拉致右翼の言いなりに米国ではなく「中露の駐日大使」に面会したでしょう。馬鹿馬鹿しい話です。そんなことだから拉致が解決しない。


拉致被害者の帰国条件に「独自制裁の解除に反対せず」…苦しい家族、米国連大使に理解求め - 産経ニュース
 「制裁解除に反対しない」といったところで「即時一括全員帰国」という非常識な条件が前提の上に、全員の中に「明らかに北朝鮮拉致ではない特定失踪者」が含まれているので話になりません。
 どっちにしろ日本政府にこう言うならともかく、米国大使に言っても「知らんがな(あんたらの勝手にすればいい)」でしょう。「日本独自の制裁」は日本がやってることで米国がやってることではない。


<主張>朴名誉教授「無罪」 表現の自由を守る判決だ 社説 - 産経ニュース
 判決の是非に関係なく明確なことは「慰安婦戦争犯罪である」ということです。
 慰安婦が「通常の売春婦と同じ」であるかのような産経らウヨのデマは何ら正当化されません。

今日の産経ニュース(2024年4/18日分)

<独自>「ご飯論法」神谷氏にブログ削除要求 共産福岡県委 言論封殺の懸念も - 産経ニュース*1
 誰(紙屋研究所紙屋高雪)こと神谷貴行本人?)がこうした情報を産経に流してるのかはともかく、産経のみに記事が載るというのが「謎」ですね。
 産経にしか情報を流してないのか、「朝日、読売など他のマスコミ」にも流したが相手にされなかったのか。いずれにせよ「緊張する中東情勢」「急激な円安」などビッグニュースが他にあるとは言え「紙屋や松竹」がどんなに自画自賛しようが世間は彼らには全く注目してないことが改めて明らかです。しかしこうなると「紙屋の除名や離党」もあり得るのか?
 さてこの機会に神谷に悪口しておきます。

政治家としての大局観・歴史観 - 紙屋研究所
 先日、岸田文雄の米議会での演説を(英語の勉強を兼ねて)読み、聞いた。
 そこで示された内容に大局観・歴史観はあまり感じなかった。
 今晩、共産党志位和夫*2の外交での講演がある。
 政治主張としての立場ではなく、岸田と比べて大局観・歴史観を感じられるものになるかどうか、楽しみにしている。

 「志位氏に対してどんだけ上から目線なんだよ!、お前は何様のつもりだ?」「そういうお前には、自慢に値する大局観や歴史観があるのか?」と心底呆れます。


「『立憲共産党』の野党代表に過ぎない」 維新・三木氏の指摘に立民・逢坂氏「失礼だ!」 - 産経ニュース
 逢坂が言うのとは別の意味で「失礼(共産に失礼)」ですね。
 「共産が反対した共同親権や経済安保法案に、維新や国民民主とともに賛成した立民」のどこが「立憲共産党」なのか?
 むしろ「立憲維新党」「立憲国民党」でしょう。ちなみに立憲国民党は実際に過去にそうした政党があります(立憲国民党 - Wikipedia参照)。
 それにしても今の立民だと「逢坂の反発」は単に「事実に反する上に、立民に対する誹謗目的だから怒った」のではなく、「逢坂自身が反共主義だから」「逢坂自身はそうではないが党支持者のうちの反共右派に迎合してる」と言う疑いがあるのが何ともかんとも。


連合会長、立民候補への共産支援「容認できぬ」 東京15区補選巡り苦言、自主投票に - 産経ニュース
 「反共もいい加減にしろよ」と思いますが、実際は共産云々よりも「国民民主(連合系右派労組とつながりがある)の乙武支持」で自主投票になったのでしょう。


同性カップル、里親家庭など県営住宅の入居対象拡大で条例改正案 千葉県、パブコメ開始 - 産経ニュース
 自民党王国・千葉でも「同性カップルの県営住宅の入居を認める条例案」かと驚きです。果たして県議会自民党はどう動くか。それにしても安倍が死んだから「こうなったのか?」と思うと思いは複雑です。


スーチー氏、刑務所外移送で所在不明 次男「人間の盾」にされると懸念 - 産経ニュース
 「猛暑から高齢のスーチーを保護するための措置」と言い訳してるとは言え、家族や支持者は居場所を知らないようだから詭弁も甚だしい。「ノーベル平和賞受賞者(1991年)」「外相(2016~2021年)」に対して随分と乱暴ですが、「ウクライナイスラエルに手一杯で、スーチーをどう扱おうと欧米諸国(英米仏独等)は何もできない」と完全に舐められています(そもそもスーチーを投獄したこと自体が無法ですが)。
 ミャンマー軍部が民主派と内戦状態になっても、スーチーを選挙違反や収賄等を理由に禁固33年(アウンサンスーチー - Wikipediaによれば、2023年に恩赦で刑期を6年短縮)で投獄しても「ロシア批判等に比べれば甘い軍部批判しかしてこなかった欧米」の自業自得でもある。あえて「きついことを言えば」今回のミャンマーの無法は、イスラエルの無法同様「ロシア(ウクライナ戦争)、北朝鮮(核、ミサイル開発)、イラン(核開発)など特定の国には人権問題を理由に厳しい」が「ミャンマー、エジプト(いずれも軍事独裁)やイスラエル(ガザ侵攻)などには甘い欧米(特に米国)の欺瞞、偽善」を暴いたと言えるのではないか。エジプトなんか米国の軍事基地がありますからね。
 

「立民はたたきつぶす必要がある」 日本維新の会の馬場伸幸代表氏が痛烈批判 - 産経ニュース
 こういうのは批判ではなく、ただの誹謗、罵倒でしかない。一時は越えた支持率が「大阪万博の体たらく」で、また立民を下回り焦っているのか?。ただこれが受けるのは「以前から維新を支持してるようなコア支持層」だけでしょう。


堂々と大東亜戦争と呼ぼう 阿比留瑠比の極言御免 - 産経ニュース
 堂々と呼んでも「あの戦争を正当化する気か?」「何故太平洋戦争と呼ばないのか?」と英米(太平洋戦争の相手国)、中国(日中戦争の相手国)等に呆れられたり、憤激されたりするだけで何の利益もない。
 大東亜戦争とは「大東亜共栄圏を正当化する立場に立った右翼イデオロギーまみれの呼び方」、たとえるなら「特別軍事作戦」「ウクライナの非ナチ化」(いずれもウクライナ戦争についてのロシア側の表現)のような呼び方であって「太平洋戦争」のような「価値中立的な呼び方」とは全く違う。

*1:削除要求が仮に事実として、対象記事は (再掲)私はなぜあのブログ記事を書いたか——党規約にそい、大会決定を実践するもの - かみや貴行のブログ 1%でなく99%のための福岡市政をのことか?

*2:党員なのだから「呼び捨て」ではなく「議長」の肩書きをつけるべきではないか。